ブレンデッドスコッチウイスキー63銘柄を解説!おすすめボトルも紹介

Old Smuggler オールドスマグラー

出典:https://www.amazon.co.jp/

Old Smuggler オールドスマグラー

製造企業:J&Gストダート社
系列企業:カンパリ社
Amazon価格:¥3,740 税込
40% 700ml

「オールドスマグラー」は日本ではマイナーな銘柄ですが、南北アメリカ大陸諸国では人気があり、アメリカとアルゼンチンでは、スタンダードスコッチの売上げで上位となっている人気ブレンデッドスコッチウイスキーです。

製造元の「J&Gストダート社」は、1931年にカナダのハイラムウォーカー社に買収され、その後アライド社、ペルノリカール社の傘下に入りますが、2006年にイタリアのカンパリ社によって買収されています。ブレンド原酒は、ペルノリカール傘下時代は「グレンバーギ」などが使用されていましたが、現在は同社が経営するスペイサイドの「グレングラント」を主体としています。

「オールドスマグラー」は「老いぼれ密造者」というなんとも意味深な名前を持つブランドですが、この背後にはかつて存在した密造酒に対する郷愁と、密造酒が通常のウイスキーよりも優れた品質と味わいを持っていたという思いが込められています。

当時のスコットランドはウイスキー大密造時代。1707年にスコットランドがイングランドに併合されると、イングランド議会によってスコッチウイスキーに高額な税金が課されるようになります。この異常な税制に対抗するため、スコットランド人は密造酒製造に取り組みました。

税関の取締官に見つかれば、命を失うかもしれないという危険な状況下でも密造を続けるスマグラー(密造者)は、スコットランドの民衆から英雄として扱われ、人々は彼らの密造酒を求めるようにもなったと言います。彼らは麦芽の乾燥にピートを用いるなど、スコッチウイスキーの風味を生み出す重要な技術も持っていました。今日でも存在する「スモーキ―フレーバー」は、密造酒時代の影響を受けて誕生したと言われているほどです。

現在のオールドスマグラーのキーモルトは、ノンピートで造られている「グレングラント」とされているので、全くピーティーなニュアンスはありません。ブランド誕生の背景に密造酒時代が関わっているウイスキーですから、少しくらいクセのあるタイプに仕上げてほしかった(笑)

 

 

Passport パスポート

出典:https://www.amazon.co.jp/

Passport パスポート

製造企業:ウィリアムロングモア社
系列企業:ペルノリカール社
Amazon価格:¥3,300 税込
40% 1000ml

「パスポート」はそこまで有名ではありませんが、店頭でも販売されているブレンデッドスコッチウイスキーです。象徴的なダークグリーンの四角系ボトルには、古代ローマの通行証をかたどったラベルが貼られています。

製造しているのはウィリアムロングモア社。「100パイパーズ」もつくっている会社で、「パスポート」はパイパーズが発売されてから3年後となる1968年にリリースされたウイスキーです。同社は現在、ペルノリカール社の系列となっています。

ブレンドの中心はスペイサイドの「グレンキース蒸留所」のモルトを使用。その他、グレンリベットやロングモーンもブレンドされています。

「パスポート」は世界市場をターゲットに造られた、大衆的なブレンデッド。ライトテイストでクセが少なく、ヨーロッパ、アメリカ、メキシコ、ブラジル、韓国などで人気となっています。アメリカではバルクで輸出されており、現地でボトリング。「パスポート&コーク」というプレミックス・ドリンクも販売されています。アメリカはなんでもコーラと合わせちゃう…

先ほど「クセが少ない」と記述しましたが、個人的には独特なフレーバーを感じるので、クセが少ないというよりはむしろ個性的なタイプだと思います。スモーキ―さはありませんが、モルト由来なのか、熟成の未熟さなのかは分かりませんが、モルティーさとオイリーさが混じった、スコッチっぽくないバランス。シングルモルトのようなフルーティーさ、エステリーで甘やかな香りもなく、ちょっと地味な印象です。

パスポート ウイスキー

 

 

Rob Roy ロブロイ

出典:https://www.whiskybase.com/whiskies/whisky/107446/rob-roy-12-year-old

Rob Roy ロブロイ

製造企業:モリソンボウモア社
系列企業:サントリー
価格:不明
40% 700ml

BARで「ロブロイ」と聞けば、99%の方がスコッチウイスキーを使用したカクテル「ロブロイ」の話になると思いますが、残り1%くらいの方は、ブレンデッドスコッチウイスキー「ロブロイ」のことを話しているかもしれません(笑)それぐらい「ロブロイ」の名声とは裏腹に、日本ではほとんど見かけないこの銘柄は、モリソンボウモア社がリリースしています。

「ロブロイ」は、赤毛のヒーロー「ロバート・マクレガー」のこと。ロブ・ロイは実在のスコットランドの英雄で、スコットランド版の「ロビンフッド」として親しまれています。

ロブロイの生まれてトロサックス地方は農作物が育たず、多くの人たちが牛飼いで、ロブ・ロイも同じく生計を立てていました。困っている農民を奪った金品で助け足りしたことで、人々から尊敬されていました。その雄姿は文豪「ウォルター・スコット」によって小説化。物語は人々を魅了し、ロブロイの物語は何度もドラマや映画になっています。

現在、モリソンボウモア社はサントリーの傘下になっており、「ロブロイ」の主要モルト原酒は同社の所有する「ボウモア」「オーヘントッシャン」「グレンギリー」。

ラインナップはノンエイジボトルの他、「12年」「17年」がありますが、いずれのボトルも現在ではほとんど流通していない状態。日本でもほとんど見かけません…

 

 

 

Robert Burns ロバートバーンズ

出典:https://www.amazon.co.jp/

Robert Burns ロバートバーンズ

製造企業:アイル・オブ・アラン・ディスティラーズ社
Amazon価格:¥3,130 税込(アラン ロバートバーンズ ブレンデッド)
40% 700ml

「ロバートバーンズ」は、アイル・オブ・アラン・ディスティラーズ社がリリースするウイスキーで、同じブランド名でシングルモルトウイスキーも販売されています。同社は1995年にアラン島で創業された独立系のウイスキー製造会社。アイル・オブ・アラン蒸留所(現在はロックランザ蒸留所)と、2019年に操業したラグ蒸留所の二カ所でウイスキーを造っています。

ロバート・バーンズ(Robert Burns)は、1759年にスコットランドのエアシャーで生まれ、スコットランド文学の最も重要な作家の一人です。バーンズはスコットランドの伝統や文化、農民の生活をテーマにした詩や歌を多く手掛け、スコットランドの国民詩人(National Bard of Scotland)として称えられています。

彼の作品の中で最も有名なものは、スコットランドの詩や民謡に基づいた詩集『スコットランドの歌』(Scots Wha Hae)や、「オールド・ラング・サイン」(Auld Lang Syne)という詩が挙げられます。特に「オールド・ラング・サイン」は、新年の祝いや特別な行事でよく歌われるスコットランドの伝統的な歌として広く知られています。

バーンズは、彼の詩や歌がスコットランドの文化やアイデンティティを称賛し、庶民の言葉で表現されたことから、スコットランドの国民的英雄と見なされており、その作品は死後も広く読まれ、称賛され続けています。

ブレンデッドウイスキー「ロバートバーンズ」は、バーンズ協会の正式な認可を受けたオフィシャルボトル。キーモルトはもちろん「アラン(ロックランザ)」蒸留所の原酒となっています。

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ロバート バーンズ
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Royal Household ロイヤルハウスホールド

出典:https://www.mhdkk.com/brands/royal_household/

Royal Household ロイヤルハウスホールド

製造企業:ジェームズブキャナン社
系列企業:ディアジオ社
Amazon価格:¥35,362 税込
43% 750ml

「ロイヤルハウスホールド」は、イギリス王室を表わす言葉で、その名の通りイギリス王室用にブランドされた特別なブレンデッドウイスキーです。かつては飲める場所が限定されていました。

  1. バッキンガム宮殿
  2. アウターヘブリディーズ諸島ハリス島にある 「ローデルホテル」 のメインバー
  3. 日本(一般販売)

「1」は、イギリス王室の為につくられたものなので当然と言えますし、「2」は、そもそもブレンドレシピを考案したのが、ロー出るホテルのオーナー、ジャック・マッカラム氏であったため。特別に許可されているということなら納得です。

しかし、「3」の日本国内でのみ「普通に買える」というのは驚きですね。

日本で販売が許可された理由としては、英王室と日本の皇室との関係が深かったため。1920年代、昭和天皇が皇太子時代にイギリスを訪れ、その際に英王室からロイヤルハウスホールドが贈られました。それ以来、英王室の特別な許可が下りて、日本国内でのみで販売が許可されました。

ブレンドには、ブキャナン社(ディアジオ社傘下)のダルウィニーグレンダラングレントファースを中心に、45種類以上の希少なモルトとグレーン原酒を使用。現在でも正規の販売は日本国内のみとなっています。

 

そして「ロイヤルハウスホールド」を語る上で外せないのが、「ザ(The)・ロイヤルハウスホールド」の存在です。定冠詞付きのボトルは、90年代頃まで流通していたオールドボトル。当時のキーモルトは「グレントファース」とされており、現在はペルノリカール社が所有する蒸留所となっているため、ロイヤルハウスホールドの「The」と「現行ボトル」では、原酒のブレンドが全く異なっています。

「The」は非常に人気が高い古酒なので、なかなかお目にかかれないと思いますが、可能であれば現行品と飲み比べてみて下さい。その違いを楽しむのは、イギリス王室でもやっていないことでしょうから(笑)

ロイヤルハウスホールド

 

 

Royal Salute ロイヤルサルート

Royal Salute ロイヤルサルート

製造企業:シーバスリーガル社
系列企業:ペルノリカール社
Amazon価格:¥14,597 税込(ローヤルサルート 21年 シグネチャーブレンド)
40% 700ml

「ロイヤルサルート」もまた、「ロイヤルハウスホールド」と同様にイギリス王室と縁のあるブレンデッドスコッチウイスキーです。このウイスキーは、イギリス海軍が王室の特別行事などで打ち鳴らす「王礼砲」に由来しており、21発の空砲から21年熟成としてつくられています。かつては戴冠式用の限定販売でしたが、現在では世界100か国以上で販売され、プレミアムスコッチの代表格として高く評価されています。

誕生したのは1953年。女王エリザベス2世の戴冠式を記念し、シーバスブラザーズ社によって発売。21年間の熟成がもたらす深い味わいも然ることながら、特徴的な陶製ボトルこのウイスキーの代名詞。

陶器ボトルはフラゴン(選付き細口型ボトル)とも呼ばれており、色違いが合計三色。青(サファイア)、緑(エメラルド)、赤(ルビー)があり、これは女王の王冠に飾られている3つの宝石にインスパイアされたもの。中身のウイスキーは全て同じですが、コレクターにとっては3つの色をそろえることが楽しみの一つとなっています。
※白(ホワイトラベル)もありますが、こちらは21年熟成のブレンデッド・グレーンウイスキー。

ブレンド用原酒は「シーバスリーガル」と同様に、スペイサイドのストラスアイラ蒸留所が中心。その他、ザ・グレンリベットロングモーンアベラワーなど、シーバス傘下のモルト原酒をブレンド。王室(ロイヤル)の名に恥じない気品漂うブレンデッドスコッチ。21年物の中では比較的リーズナブルでコスパの良い銘柄だと思います。

 

 

Sheep Dip シープディップ

出典:https://www.amazon.co.jp/

Sheep Dip シープディップ

製造企業:スペンサーフィールドスピリッツ社
Amazon価格:¥4,350 税込
40% 700ml

「シープディップ」とは、かつて羊の皮膚につく害虫を駆除するための洗羊液の名前。この洗羊液はイギリスの農家にとって欠かせない常備薬で、どこの農家でも大量に保管されていました。

ウイスキーの蒸留技術が広まると、スコットランドの農家は余剰の大麦を使用して自家製ウイスキーを作るようになりました。そのウイスキーは最初は「無税」でしたが、密造酒が広まったことを受けて税金が課されるようになります。そして税務署の目を欺くため、農家はウイスキーの入った樽に「SD(シープディップ)」とペイントすることで、中身がウイスキーであること隠したとされています。

ブレンデッドモルトウイスキー「シープディップ」は、このような歴史と伝統(伝説?)から名付けられた銘柄。現在の製造・販売元はスコットランドのスペンサーフィールドスピリッツ社。グレーンウイスキーは混ぜていない、ブレンデッドモルトウイスキーで、スコットランドの4つの地域からモルト原酒を集め、およそ16種類がブレンドされています。

原酒の酒齢は8~21年。ブレンド後にアメリカン・ホワイトオークの新樽で後熟を行っているのも特徴的。

日本ではほとんどお目にかかれない銘柄。ブレンデッドモルトウイスキーはここ数年で銘柄の数を増やしましたが、それも「シープディップ」などの歴史の長いブランドがあったからこそですね。

 

 

Something Special サムシングスペシャル

出典:https://www.amazon.co.jp/

Something Special サムシングスペシャル

製造企業:ペルノリカール社
Amazon価格:¥3,840 税込
40% 1000ml

サムシングスペシャル(something special)は、「何か特別なこと[もの]」という意味。この意味深なウイスキーを造ったのは1793年創業のヒルトムソン社。イギリス王室御用達の高級ブレンデッドウイスキーであり、「バランタイン30年」と共に、1975年に行われたエリザベス女王来日時の宮中晩餐会でも提供されています。

同社はローズ・ストリート・レーンから、エジンバラのニュータウン(新市街)として知られる地域の中心部にあたるフレデリック・ストリートに移転しました。この地域はジョージ王朝時代の建物が立ち並び、当時は非常に活気のある場所。1838年にはヴィクトリア女王から王室御用達の勅許状を授けられ、それ以来、エリザベス女王の時代まで連続して御用達の栄誉を受けています。

「サムシングスペシャル」は、当初の名前が「クィーンアン」で、在位していたアン女王(1702〜1714年)に由来。その後、よりスペシャルなブレンドが施されたウイスキーを「サムシングスペシャル」と命名しています。サムシングスペシャルのラベル中央には、誇らしげに「エリザベス女王の紋章」が掲げられています。

現在のヒルトムソン社はシーバスブラザーズ(ペルノリカール)社系列となっており、原酒にはシーバス傘下の「ザ・グレンリベット」「ロングモーン」「アベラワー」などがブレンドされています。注目すべきは、キーモルトがロングモーンであること。フルーティでかすかに感じるスモーキ―さ、マイルドでありながら個性的な風味は、まさにロングモーン由来の風味と言えます。

 

 

THE Spey Cast ザ・スペイキャスト

出典:https://www.whiskybase.com/whiskies/whisky/69733/the-spey-cast-12-year-old-jg

THE Spey Cast ザ・スペイキャスト

製造企業:ジェームズゴードン社
系列企業:ゴードン&マクファイル社
価格:不明
40% 700ml

老舗ボトラーズ会社「ゴードン&マクファイル社(G&M社)」のつくるブレンデッドスコッチウイスキー。「スペイキャスト」は、世界中のサーモン釣り愛好家の中で行われている特別な技法を持つ「フライキャスティング」の方法のこと。そしてこの技法は、スペイ川で発展したことからその名がつけられています。

スペイ川は、ハイランド地方のテイ川やディー川と並ぶ、有名なサーモンリバーとして知られています。この川は全長約160キロメートル。釣り小屋が川岸に点在し、釣り師たちがシーズンになると川に立ち込んで竿を振るう光景を見ることができるのだとか。
ちなみにこのスペイキャストの複雑な投げ方をマスターするには、一般的に5~6年かかると言われています。

「スペイキャスト」のキーモルト及び原酒は不明。G&M社の所有している蒸留所「ベンローマック」がブレンドされている可能性は否定できませんが、情報はありません。原酒に関しては約10種類前後を使用し、すべての原酒がスペイサイドモルトであることのみ公開されています。

それにしても、あのG&Mがこんなマイナーなブレンデッドウイスキーをつくっていたとは…。現在は終売しています。

 

 

Stewart’s スチュワート

出典:https://www.whiskybase.com/whiskies/whisky/85453/stewarts-finest

Stewart’s スチュワート

製造企業:J&Gスチュアート社
系列企業:ホワイト&マッカイ社
価格:不明
40% 700ml

スチュワートは、スコットランドの王家の名前としても知られ、スコットランドで最も一般的な姓の一つでもあります。スチュワート(またはスチュアート)という綴り方には二つのバリエーションがあり、”Stewart”は古来からある綴り。もう一つの”Stuart”は、フランス風の教育を受けたメアリー女王(在位1542〜1567年)がフランス語風に改めたものとなっています。

ブレンデッドスコッチウイスキーの「スチュワート」の製造元はJ&Gスチュワート社。1779年にエジンバラで創業。元々はワインや紅茶の貿易を手がけていましたが、創業者「ジェームズ・スチュワート」の息子の代になってからはウイスキーのブレンド業に進出します。19世紀末まで家族経営が続き、その後はオーナーが何度も変わります。現在はホワイト&マッカイ社の傘下となっています。

ブレンド原酒はDCL社が所有していたスペイサイドの「コールバーン」、東ハイランドの「ノースポート」のモルト原酒を使用していましたが、どちらも閉鎖していることもあって、現在はホワイト&マッカイ社所有の「アイル・オブ・ジュラ」「フェッターケアン」「タムナヴーリン」などの原酒を採用しています。

 

 

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