【2023年版】スコッチウイスキー「スプリングバンク」流通価格と品薄の理由を解説

ユースケ
ユースケ

こんばんは ユースケです。

自己紹介:BAR WHITE OAK 店主。ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーエキスパート。JSA認定ソムリエ。2022年1月 東京・銀座にBAR WHITE OAK をオープン。YouTube、TikTokでカクテル動画を公開中!

この記事ではシングルモルトスコッチウイスキー「スプリングバンク」の現状について解説致します。

皆様ご存じの通り、「スプリングバンク」は稼働中の蒸留所であるにも関わらず、まるで「閉鎖蒸留所」であるかのような極度の品薄状態が続いています。「スプリングバンク10年」の流通価格は定価の2倍以上となっており、バーやウイスキー専門店でも見る機会が少なくなっています。

そこで今回は、異常なほど品薄となっている「スプリングバンク」について、2023年9月時点でのオフィシャルボトル14本の解説と、各ボトルの定価と流通価格、スプリングバンクがなぜ品薄になっているのかをご説明いたします。

 

 

 

スコッチウイスキー「スプリングバンク」流通価格と品薄の理由を解説|スプリングバンク蒸留所と生産ブランドについて

出典:Lirazelf – 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=62325073による

スプリングバンク Springbank

  • 地域:キャンベルタウン
  • 創業年:1828
  • オーナー:J.&A.ミッチェル
  • 正規代理店:株式会社ウィスク・イー

 

スプリングバンクは世界中で高い需要があり、供給不足が深刻化しているシングルモルトスコッチウイスキー。スプリングバンク蒸留所が位置している「キャンベルタウン」には、蒸留所が数軒残っていますが、その中でもスプリングバンクは特に注目されています。

スプリングバンクは自社の施設ですべての工程を行う、唯一の蒸留所としても知られています。ウイスキーの原料である大麦の製麦からボトリングに至るまで、全ての工程を自社で行っています。

通常、多くのモルトウイスキー蒸留所は、原料として大麦を精麦工場(モルトスター)から購入していますが、スプリングバンク蒸留所は大麦の製麦工程を伝統的な「フロアモルティング」で行い、キルン塔で乾燥させています。

また、スプリングバンクでは「スプリングバンク」「ロングロウ」「ヘーゼルバーン」の3つ異なるタイプのシングルモルトウイスキーを造っています。

 

スプリングバンク  Springbank

フェノール値12~15ppm。「2.5回蒸留」という、最初の蒸留で得られた蒸留液(ローワイン)の一部のみを3回蒸留するという、特殊な蒸留方法が行われている。スプリングバンク蒸留所の全生産量の大半を占める。

 

ロングロウ  Longrow

フェノール値50~55ppm。2回蒸留。全生産量の1割程度。クセが強くてスモーキーなタイプのウイスキー。

 

ヘーゼルバーン  Hazelburn

ノンピーテッドモルトを使用(フェノール値0ppm)。3回蒸留。全生産量の1割程度。クセが少なく、3タイプの中で最も飲みやすいウイスキー。

 

出典:Andrewrabbott – 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=111540990による

スプリングバンク蒸留所の年間生産量は約75万リットル。3つの異なるタイプのウイスキーを生産していますが、小規模な蒸留所です。ポットスチルはストレートネック型の初留が1基、再留が2基の、合計3基。

フロアモルティングによる自家製麦にこだわっているため、生産量を急増させることは難しいようです。そのため供給不足の状態が続いています。

また、ボトラーズ(独立系のボトラー)によるリリースも、最近ではほとんど見られず、販売されても高値で即座に売り切れるほどの人気があります。

 

 

 

スコッチウイスキー「スプリングバンク」流通価格と品薄の理由を解説|オフィシャルボトルの定価・流通価格

スプリングバンク蒸留所のオフィシャルボトル一覧【14本】

  1. スプリングバンク 10年
  2. スプリングバンク 12年 カスクストレングス
  3. スプリングバンク 15年
  4. スプリングバンク 18年
  5. スプリングバンク 21年
  6. スプリングバンク 25年
  7. スプリングバンク 30年
  8. ロングロウ ピーテッド
  9. ロングロウ レッド 11年
  10. ロングロウ 18年
  11. ロングロウ 21年
  12. ヘーゼルバーン 10年
  13. へーセルバーン シェリーウッド 12年
  14. ヘーゼルバーン 21年

 

 

スプリングバンク 10年

スプリングバンク 10年

  • 46% 700ml
  • 定価(税抜):¥8,900
  • 流通価格(税込):¥25,698

「スプリングバンク 10年」は、スプリングバンク蒸留所のフラグシップボトル。ウイスキーの愛好家からは「モルトの香水」と称されている銘酒。その独特な個性は熟成環境によって生み出されています。

港町「キャンベルタウン」の蒸溜所から生まれる塩辛い味わいが特徴的。甘みもあって程よく飲みごたえもあり、バランスのとれたウイスキーです。

スプリングバンク 10年

 

 

スプリングバンク 12年 カスクストレングス

スプリングバンク 12年 カスクストレングス

  • 55.3% 700ml
  • 定価(税抜): £68.00
  • 流通価格(税込):¥58,000

数量限定で定期的にリリースされているボトル。12年以上熟成させたバーボン樽とシェリー樽の原酒を50%ずつブレンドしています。カスクストレングスでボトリング。

「スプリングバンク 12年 カスクストレングス」は、スプリングバンクの原酒本来の味わいを楽しめるシリーズとして、ファンから人気の高いボトルです。かつては1万円前後の価格で購入できましたが、今では大変貴重なウイスキーです。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

スプリングバンク12年カスクストレングス55.3%700ml
価格:58,000円(税込、送料別) (2023/9/3時点)

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スプリングバンク 15年

スプリングバンク 15年

  • 46% 700ml
  • 定価(税抜):¥12,500
  • 流通価格(税込):¥42,398

「スプリングバンク10年」の上位版。「スプリングバンク15年」は、100%シェリー樽で熟成した原酒のみを合わせたウイスキー。

ただでさえ貴重なスプリングバンクですが、このウイスキーはシェリー樽で最低15年寝かせた原酒を使用しているので、生産量は10年物よりも少ないのが現状。シングルモルトスコッチウイスキーの「15年クラス」のなかでは、ぶっちぎりの高値で取引されています。

ダークチョコレートの豊かな香りと濃厚な甘さ。それに加え、スプリングバンクらしい塩味が絶妙なハーモニーを生み出しています。

スプリングバンク 15年

 

 

スプリングバンク 18年

スプリングバンク 18年

  • 46% 700ml
  • 定価(税抜): £110.00
  • 流通価格(税込):¥84,898

「スプリングバンク18年」は、正規代理店での販売が現在では見当たらず、並行輸入品が流通しています。ネットでの価格は8~10万円程。「18年物」の他銘柄と比べると、「マッカラン18年」よりも高価となっています。

「スプリングバンク15年」はシェリー樽100%でつくられていますが、18年はシェリー樽が80%、バーボン樽が20%の割合でブレンドされています。シェリー樽の風味をメインに感じますが、バーボン樽原酒が加わることでなめらか口当たりと、余韻の複雑さを生み出しています。

スプリングバンク 18年

 

 

スプリングバンク 21年

スプリングバンク 21年

  • 46% 700ml
  • 定価(税抜):£250.00
  • 流通価格(税込):¥219,800

「スプリングバンク21年」は、1990年代からリリースされている貴重な長期熟成ボトル。
生産休止となっていた時期もありましたが、2012年頃から再び販売されており、現在も
年1回ペースで少量生産されています。

スプリングバンク21年の構成原酒は毎年のように変化しています。「2023エディション」の原酒比率は、バーボン樽45%、ラムカスク20%、シェリーカスク20%、ポートワインカスク15%。

熟成樽の種類や構成比率を変えることで、高いクオリティを維持しつつ、原酒を有効的に使うことでボトリング本数も確保しているようです。

スプリングバンク 21年

 

 

スプリングバンク 25年

スプリングバンク 25年

  • 46% 700ml
  • 定価(税抜): £500.00
  • 流通価格(税込):¥318,000

「スプリングバンク25年」も、21年と同様に生産量が限られている限定品。その年によって原酒の構成比率やラベルデザインも変わっています。

「赤ラベルのプリングバンク25年」(ボトリング年の表記無し)は、シェリーカスクの原酒60%と、ラムカスクの原酒40%をブレンド。生産本数は1200本。日本への入荷は120本となっています。

ちなみに最新のボトル「2023エディション」の25年物は、ラベルがゴールドカラーのデザインに変わっています。原酒比率はリフィルバーボンカスクとリフィルシェリーカスクが半々(50%)。生産本数は1400本。日本には何本あるのでしょうか…。

 

 

スプリングバンク 30年

スプリングバンク 30年

  • 46% 700ml
  • 定価(税抜): £850.00
  • 流通価格(税込):¥599,800

オフィシャルラインナップの最高峰。「10年物」ですらレアとなっているスプリングバンクにおいて、「30年物」の長期熟成ボトルが未だに存在していることに驚きですね。

「スプリングバンク 30年」の年間生産量は1400本とされています。原酒の構成比率はバーボン樽が80%、シェリー樽が20%。

30年クラスの長期熟成シングルモルトウイスキーの価格は異常なほど上がっていますが、スプリングバンクの希少性を考えるとそこまで高くない⁈とバグってしまう(笑)

一生飲むことができないと思うので、公式ページからテイスティングノートを引用(日本語訳)致します。

香り
このウイスキーの香りは、特徴的な果物のニュアンスで迎えられます。焼かれたパイナップル、桃、逆さまのケーキの香りが感じられます。最初からセラーノハム、ハチミツ、ピートの煙のニュアンスもあります。

味わい
口に含むと、口当たりは軽やかで繊細で、果物のニュアンスが続き、ろう質の要素が導入されます。ブランディバターを思わせるクリーミーでバターのような口当たりがあり、パルマバイオレットのニュアンスも感じられます。

フィニッシュ
フィニッシュは乾燥しており、レーズンとミックスピールのニュアンスで締めくくられます。

引用:https://www.springbank.scot/whisky/springbank/

スプリングバンク 30年

 

 

ロングロウ ピーテッド

ロングロウ ピーテッド

  • 46% 700ml
  • 定価(税抜):¥8,000
  • 流通価格(税込):¥11,000

ロングロウは、スプリングバンク蒸溜所で48時間ピートのみで乾燥させた、フェノール値50~55ppmの自家製麦芽で造られたウイスキーです。スプリングバンクは特殊な「2.5回蒸留」を行っていますが、ロングロウは一般的な2回蒸留でつくられており、アイラ島のウイスキーのようなスモーキーさと、キャンベルタウン特有のオイリーな個性を感じます。

「ロングロウ ピーテッド」には、様々な年数の原酒がブレンドされており、スプリングバンクやヘーゼルバーンとは明らかに違った、ロングロウ独自の個性が最大限に表現されています。

ロングロウ ピーテッド

 

 

ロングロウ レッド 11年

ロングロウ レッド 11年

  • 57.5% 700ml
  • 定価(税抜): £70.00
  • 流通価格(税込):¥24,980

「ロングロウ レッド 11年」は毎年数量限定でリリースされており、オフィシャルボトルでは珍しくカスクストレングスでボトリングされています。毎年、異なる種類の赤ワイン樽を使用しています。最新のリリースのボトルは、バーボン樽で7年間寝かせた後、「トゥニー・ポート(Tawny-Port)」樽で4年間の後熟を行っています。

ちなみに過去リリースされたボトルでは、南アフリカ産の「マルベック」や、オーストラリア産の「カベルネ・ソーヴィニヨン」などの赤ワイン樽が使われていました。

ロングロウ レッド 11年

 

 

ロングロウ 18年

ロングロウ 18年

  • 46% 700ml
  • 定価(税抜):£110.00
  • 流通価格(税込):¥41,140

「ロングロウ18年」は、かつてはリフィルのシェリー樽60%、バーボン樽40%で構成されていた、シェリー樽主体の18年物でしたが、現在はシェリー樽100%で生産されています。

具体的にいつ頃から完全にシェリー原酒の構成になったのかはわかりませんが、現在のボトルは「リミテッドエディション」の表記があることから、原酒の配合は固定ではなく、毎年(今後も)変わる可能性があります。

スモーキ―フレーバーとシェリーの甘やかなフルーツ香が混じり合った、ロングロウならではのバランス。

 

 

ロングロウ 21年 ラムカスク

ロングロウ 21年 ラムカスク

  • 40.2% 700ml
  • 定価(税抜):£260.00
  • 流通価格(税込):¥119,800

ロングロウの最高峰。「ロングロウ18年」と同様に、毎年構成原酒が変わっています。

「ロングロウ 21年 ラムカスク」はファーストフィルのラムカスクで100%熟成させたボトルで、日本向けにボトリングされています。アルコール度数が40.2%というのが気になりますね…。加水調整されているのでしょうか…。

ちなみに最新の「2022年エディション」ロングロウ21年(度数46%)は、シェリー樽60%、バーボンバレル30%、白ワイン(シャルドネ)カスク10%の配合となっています。

 

 

ヘーゼルバーン 10年

出典:https://store.shopping.yahoo.co.jp/chiyomatsu/sk483-hb10.html?sc_e=slga_fpla#

ヘーゼルバーン 10年

  • 46% 700ml
  • 定価(税抜):¥8,900
  • 流通価格(税込):¥22,800

改めてになりますが、現在スプリングバンク蒸留所がリリースするウイスキーは全て入手困難となっています。通常、たとえ「品薄」であったとしても、蒸留所がリリースする代表作(フラッグシップボトル)だけは「最後の砦」として、多少なり流通したりするものです。

しかし「ヘーゼルバーン 10年」に関してはそれに当てはまりません。10年物は、ヘーゼルバーンのフラッグシップボトルですが、超人気の「スプリングバンク10年」よりも流通量が少ない状況。

ヘーゼルバーンはスプリングバンクよりも生産量が少ないため、品薄は仕方がないのですが、いっその事「10年物」から「ノンエイジ」ボトルに切り替えてもらえれば…と思ってしまいます。(矛盾しますが、シングルモルトのノンエイジ化は非推奨派です 笑)

2023年9月現在、Amazonや楽天市場では取り扱いが無く、yahooショッピングでのみ在庫がありました。

ヘーゼルバーン 10年

 

 

へーゼルバーン シェリーウッド 12年

へーゼルバーン シェリーウッド 12年

  • 49.9% 700ml
  • 定価(税抜):£72.00
  • 流通価格(税込):¥27,500

「へーゼルバーン シェリーウッド 12年」は、(一応)毎年9000本限定でリリースされていますが、10年物と同じくらい見かけないレアなボトルです。

ヘーゼルバーン10年にはバーボン樽の原酒が100%使用されているのに対し、へーゼルバーン・シェリーウッドは、100%オロロソシェリーカスクで熟成させています。

3回蒸留で造られたシングルモルトウイスキーで、シェリー100%の商品というのは、オフィシャルボトル(しかもカスクストレングス)ではほぼありません。ヘーゼルバーン自体レアな存在ですが、このボトルはフルシェリーである故に、さらに希少なウイスキーと言えますね。

 

 

ヘーゼルバーン 21年

ヘーゼルバーン 21年

  • 46% 700ml
  • 定価(税抜):£260.00
  • 流通価格(税込):¥119,800

「ヘーゼルバーン 21年」は、ブランドの最上位ボトル。シェリー樽原酒70%、バーボン樽原酒30%で構成されています。こちらもやはり限定リリースとなる商品で、46%に設定されている「旧ボトル(旧バッチ)」は総本数9,000本。日本へは600本の入荷となっています。

最新リリースの「ヘーゼルバーン21年 2023 Edition」は先ほどの構成とは変わり、バーボンカスク80%、シェリーカスク10%、ポートワインカスク10%の比率となっています。アルコール度数は43.2%。長期熟成であるため、カスクストレングスでのボトリングでも43%まで落ちています。

旧ボトルと最新ボトルは「同じ21年物」ですが、構成原酒とアルコール度数の設定が異なっていることを考えると、両ボトルは全く違う個性を持っていることでしょう。(どちらにしても入手困難…)

 

 

「スプリングバンク」品薄の理由について

スプリングバンク蒸留所のオフィシャルボトルが品薄な理由として、主に以下の6つがあげられます。

 

1,世界的なウイスキー原酒の品薄

スプリングバンクに限らず、世界的にウイスキーの人気が継続していることで、シングルモルトの需要が上がっています。それに伴って、人気銘柄であるスプリングバンクの注文量も増えており、品薄となっています。

 

2,世界情勢の不安定化

ここ数年、パンデミックの影響で船の入港が遅れることにより欠品が生じていたそうです。そのほか、戦争や原油高などの、世界情勢が不安定化しているもの品薄の要因になっています。

 

3,家飲み需要の増加

パンデミックの影響で、家飲み需要が増加したことも理由の一つ。スプリングバンクは「バー」などのウイスキー専門店で人気のある銘柄。リモートワークの影響によって、外出(外飲み)の機会が減ったことで、多少高くても自宅用にスプリングバンクを購入する人が増えたようです。

 

4,業務店(バー)に対して欠品させないために出荷規制をかけている

スプリングバンクに限らず、メーカーさんがよく行っている手法です。

小売販売よりも、バーに卸すことを優先して頂けるのは、バーを経営している側からすれば大変有難いことです。しかし、それによって小売の流通量が減り、価格が高騰しているのは、これまで自宅で楽しんできた一般のウイスキーファンからすれば迷惑な話かもしれません…。

いずれにしても、2023年9月現在、「バー」であってもスプリングバンクを定価で購入することはできなくなっています。なせなら、業務店向けの酒屋さんにもほとんど在庫が無いから…。

正規代理店の「ウィスク・イー」さんによると、スプリングバンクは流通を円滑に展開させるため、酒販店や業務店に対し「予約商品」として事前受注をお願いしているらしいのですが、需要に対しての供給量は追い付いていない状況です。

 

ユースケ
ユースケ

バーホワイトオークは2022年にオープン。その際「スプリングバンク」の各ボトル全て発注しましたが、1本も入手できませんでした(笑)

 

5,熱狂的なファンがたくさんいる

スプリングバンクは、フロアモルティングによる自家製麦を100%行っている唯一の蒸留所です。そのウイスキーの味わいも唯一無二。

古くからスプリングバンクを愛するファンが世界中に存在しているため、一部で「買い占め」が行われている可能性もありますね。

 

6,生産量が少ない(増やせない)

出典:Ian Macilwain (www.broombank.co.uk) – Peter Currie, Springbank Distillery, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=2420352による

スプリングバンク蒸留所は伝統的な製麦方法「フロアモルティング」にこだわっていることで、生産量を容易に増やすことができないため、品薄となっています。元々生産量が少なく、世界的に需要が拡大していても簡単に生産量を増やすことができません。

スプリングバンク蒸留所で行われている「フロアモルティング」は、大麦(バーレイ)を床に広げて発芽させ、それを均一にするために、職人によって人力で撹拌して大麦麦芽(モルト)を作ります。大麦麦芽はキルンで乾燥し、この時に「ピート(泥炭)」を使用する量によって、異なるフェノール値(スモーキーレベル)のモルトを作ることができます。

フロアモルティングの期間は5日~7日間。モルトが完成するのは、最低でも5日間を要します。通常であれば、モルトは専門業者から買い付けているため、原料のモルトは潤沢にストックすることで、毎日のように仕込みを行うことができますが、スプリングバンクでは「モルト」が完成するまで次の仕込みができません。

蒸留器などの生産設備を増強したところで、フロアモルティングによる自家製麦が追い付かない限りは、ウイスキーの生産量を増やすことはできないのです。

「じゃあフロアモルティングの設備を増やしたらいいじゃないか。」そう思った方もいると思いますが、それも簡単ではありません。

なぜなら、フロアモルティングの作業は熟練の技術を必要としているから。

だれでも簡単にモルティングができる訳ではなく、また、作業自体も肉体的に過酷であることから、職人の稼働時間を上げることも難しいようです。

 

ユースケ
ユースケ

フロアモルティングは重労働で肩を壊してしまうことも。そのようなウイスキー職人の職業病のことを「モンキーショルダー」と呼びます。

スコッチウイスキー「スプリングバンク」流通価格と品薄の理由を解説|終売や休売の予定

2023年9月現在、スプリングバンクのオフィシャルボトル「スプリングバンク」「ロングロウ」「ヘーゼルバーン」に関して、終売や休売といった情報はありません。
しかし全てのボトルが欠品・品薄という状況がしばらく続きそうですね。
現状では、終売や休売とはなっていませんが、ネットなどで流通価格が高騰していることを考えると、実質的な「休売」。スプリングバンクの人気が途絶えることはないと思うので、今後は「閉鎖蒸留所」のウイスキーのような扱いになっていくのかも…



 

 

キャンベルタウンを代表するシングルモルトスコッチウイスキー「スプリングバンク」。

極度の品薄が続いていますが、「終売」になっていないことは幸いといえます。

生産量が増やせないことはちょっと残念ですが、少量生産こそが「スプリングバンク」なのかも。これからもウイスキー造りにこだわり、個性的な商品をつくってほしいですね。

ユースケ
ユースケ

あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。

 

 

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