ブレンデッドスコッチウイスキー63銘柄を解説!おすすめボトルも紹介

Stewarts Cream of the Barley スチュワーツ・クリーム・オブ・ザ・バーレー

出典:https://www.whiskybase.com/whiskies/whisky/78439/stewarts-cream-of-the-barley-rare-selected-ssd

Stewarts Cream of the Barley スチュワーツ・クリーム・オブ・ザ・バーレー

製造企業:スチュアート&サン・オブ・ダンディー社
系列企業:ペルノリカール社
価格:不明
40% 700ml

名前の長いブレンデッドウイスキーの代表格として「ロイヤル・ハウス・ホールド」があります。省略するにしても「ロイホ」と呼べば、完全にファミレスの「ロイヤルホスト」みたいになってしまうし、微妙なところです(笑)ちなみに「スチュワーツ・クリーム・オブ・ザ・バーレー」は、もともと「センチュリー・ハイアット・クリーム・オブ・ザ・バーレー」という、今よりももっと長い名前で販売されていましたが、1969年にアライド・ライオン・グループに買収された際に現在の名称に変更しています。

そんな文字数の多いブレンデッドウイスキー「スチュワーツ・クリーム・オブ・ザ・バーレー」の、「クリーム・オブ・ザ・バーレー」とは「大麦の精髄」という意味を持っています。実際にモルトの風味が豊かなブレンデッドウイスキー。若干オイリーな個性はアイリッシュウイスキーにも似ており、イギリス国内の市場からアイルランドにシフトし、その後人気のスコッチとなっています。

製造元は「スチュワート&サン・オブ・ダンディー社」。「スチュワート」をつくる「J&Gスチュワート社」とは別会社です。自社でウイスキーの蒸留所は所有していませんが、スコットランド各地から優れた品質のモルト原酒を購入し、高いブレンド技術で製品をつくり続けています。

モルト原酒は、かつては東ハイランドの「グレンカダム」主に使用しており、その他30種類以上のモルト原酒をブレンド。しかし、現在はシーバス・ブラザーズ社(親会社ペルノリカール)の傘下へと変わっているため、シーバス社の所有する蒸留所のモルト原酒が中心となっています。

イギリスやアイルランドで広く流通していますが、日本では販売されていません。

 

 

Swing スウィング

Swing スウィング

製造企業:ジョン・ウォーカー&サンズ社
系列企業:ディアジオ社
Amazon価格:¥5,338 税込
40% 750ml

「スウィング」はジョニーウォーカーシリーズの一つとしても扱われますが、その中でも特別な存在です。

このウイスキーはジョン・ウォーカー&サンズ社の3代目「アレクサンダー・ウォーカー(アレクサンダー2世)」によって生み出されました。ちなみにジョニーウォーカーに欠かすことのできない「カーデゥ蒸留所」の買収を進めたのもアレクサンダー2世になります。

彼は、より飲みやすくマイルドな味わいを求め、世界中で最も売れ筋を誇る「ジョニーウォーカー・レッドラベル」(ジョニ赤)を世に出しましたが、それだけでは満足せず、今度は豪華客船の乗客たち向けのプレミアムウイスキーをつくることにします。こうして誕生したのが「スウィング」。

「スウィング」は1932年に大西洋を航行する豪華客船上で華々しくデビュー。そんなの通り、船の揺れに合わせてスウィングすることで、客船の中でも倒れることのないボトルデザインが施されています。さらに中央には大麦をあしらった黄金のエンブレムと、王室御用達を示す紋章を表示することで、贅沢なウイスキーとして船内で広まり、上流階級層から愛されるスコッチとなります。

「スウィング」は、ジョニーウォーカーのキーモルトである「カーデゥ」の他、ローランドモルトを中心に35種類のモルトとグレーンをブレンドしています。かつては閉鎖蒸留所「ローズバンク」(現在は新ローズバンクが操業中)の原酒もブレンドされていたとのこと。シェリー樽原酒由来の甘みと、シルクのような滑らかさ。「ジョニーウォーカーブルー」よりもピート香は抑え目。

ボトルの形状だけでなく、ブレンドの比率にもこだわりを見せる「スウィング」。船の上で飲みたくなるウイスキー…

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JOHNNIE WALKER(ジョニーウォーカー)
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Syndicate 58/6 シンジケート58/6

出典:https://www.amazon.co.jp/

Syndicate 58/6 シンジケート58/6

製造企業:ベンリアックディスティラリー社
系列企業:ホワイト&マッカイ社
Amazon価格:¥16,570 税込
40% 750ml

少し特殊な誕生秘話を持つブレンデッドスコッチウイスキー「シンジケート 58/6」。このウイスキーは、たった6人のために作られたプライベートウイスキーでした。

1958年、エジンバラの実業家「ドナルド・スミス」は、港町リースの倉庫で30年以上眠っていた数十樽のウィスキーを発見します。スミスはウィスキー愛好家で、自分たちだけが楽しむことのできるプライベートウイスキーを作りたいと考えていました。

スミスと彼の仲間の6人は、これらのウィスキー樽を購入し、かつての知人であるインバーゴードン社の会長、チャールズ・クレイグにブレンデッドウイスキーの制作を依頼。原酒の配合はモルト65:グレーン35。商品名の「シンジケート58/6」の「58/6」は、このウイスキーが完成した年号「1958年」の「58」と、6人の仲間を意味する「6」を表わしています。

スミスとその仲間たちは、プライベートウイスキーとして30年以上にわたって6人だけが楽しんできましたが、1991年にウォレス・ミルロイの尽力によって、特別に日本の市場限定で販売されることになります。ウォレス・ミルロイ氏は、『モルトウイスキー・アルマニャック』や『スコッチ・モルト・ウイスキ-・ガイド』などの著者としても知られるウイスキーライター。シンジケードの輸入元「オザキトレーディング」と親交があったことをきっかけに、日本でのみ販売することになりました。

シンジケードのオリジナルレシピは熟成年数が30年という長期熟成。さすがプライベートウイスキー。当時はまだ長期熟成の原酒が沢山あったのでしょうか。

残念ながら、現在日本で販売されている「シンジケート58/6」は17年物。モルトとグレーンの原酒(蒸留所)は、オリジナルのレシピとほとんど変わっていません。レシピ(蒸留所)は以下の通り。

<モルトウイスキー 17種類>

  • トーモア
  • ダルモアバルブレア
  • トマーティン
  • ロングモーン
  • グレングラッサ
  • インチガワー
  • グレンキース
  • グレングラント
  • キャパドニック
  • ダフタウン
  • グレンファークラス
  • タムナヴーリン
  • トミントール
  • ブラッドノック
  • キンクレイス
  • インヴァリーブン
  • ブルイックラディ

<グレーンウイスキー 2種類>

  • インバーゴードン
  • ノースプリティッシュ

原酒はオリジナルとほとんど変わっていないとは言うものの、キンクレイス(閉鎖1975年)やインヴァリーブン(閉鎖1991年)の原酒が入っているかどうかはちょっと怪しいですね(笑)ブレンド自体は、スペイサイドモルトを中心にしているため、2つの閉鎖蒸留所の原酒を入れなくても、当時のバランスは十分に再現できていると思いますが…

 

 

Taplows タプローズ

出典:https://www.ebay.com/itm/165232139530

Taplows タプローズ

製造企業:タプローズ社
系列企業:ベンリアックディスティラリー社
価格:不明
40% 700ml

「タプローズ」はボトリングされていない、唯一無二の「樽売り」ブレンデッドスコッチウイスキーです。熟成樽にそのままウイスキーが入っている状態で販売されています。現在は、一般消費者がウイスキーを樽の状態で楽しむことはなかなかできませんが、未だに「ボトル」ではなく「樽詰め」で公式発売されているタプローズは、かなり特殊と言えます。

ウイスキーが樽詰めで販売されていない理由としては、まずは一番に熟成が進んでしまうから。熟成が長くなるにつれて、ウイスキーは必ずしも美味しくなる訳ではありません。熟成にはピークがあり、ウイスキー製造会社はそれを見極めて商品をリリースしています。

しかしタプローズは、あえて消費者が熟成を楽しむスタイルを提供しています。樽から直接グラスにウイスキーを注いでテイスティング。長期間にわたって熟成の変化を楽しむことができるのが、この商品最大の魅力でしょう。

製造元のタブローズ社は1760年に創業。タプローズ自体がいつ誕生したのかは不明。現在はスペイサイドのベンリアックでブレンド・ボトリングが行われており、主要モルトもベンリアックとなっています。原酒となるモルトとグレーンは事前にブレンドされ、マリッジ(後熟)のために樽詰めされ商品として出荷されています。

使用される樽は、通常のウイスキーに使用しているホワイトオーク材。基本の容量は45〜68リットルの「オクタブ」と呼ばれる小さな樽。それよりもさらに小さい「20リットル」や「5リットル」の樽も存在しています。酒齢は8年物と17年物の2種類。

現在は販売されているのか分かりません。バーなどで見かけた際にはぜひ飲んでおきたいブレンデッドウイスキーです。

 

 

 

Teacher’s ティーチャーズ

Teacher’s ティーチャーズ

製造企業:ウィリアム・ティーチャー&サンズ社
系列企業:ビームサントリー社
Amazon価格:¥980 税込
40% 700ml

「ティーチャーズ」は日本でも人気があり、現在はビームサントリー社の傘下の「ウィリアム・ティーチャー&サンズ社」が手がけるブレンデッドウイスキー。創業者の「ウィリアム・ティーチャー」は、1811年に貧しい工場労働者の家庭に生まれました。

ウィリアムの人生に転機が訪れたのは11歳の時で、仕立屋ロバート・バーの見習いとして働き始めたことでした。ロバートの仕事場はまさに学校のような存在で、ここで学んだ価値観は彼の後の人生に影響を与え、後に設立される「ウィリアム・ティーチャー&サンズ社」の基本理念となります。

ウィリアムがウイスキーと関わるようになったのは、1830年にグラスゴーの小さな食料雑貨店に雇われたことがキッカケでした。彼はウィスキーが将来的に大きなビジネスになると見抜き、店の女主人を説得して酒類販売の免許を取得。ウィリアムの手腕によってウィスキーが店の主力商品として確立します。

1851年に正式にワイン・スピリッツ商として登録された後も、ウィリアム・ティーチャーズの店は繁盛し、彼の先見性は素晴らしく証明されました。その後、当時新しく登場したばかりのブレンデッドウイスキー造りに取り組み、大成功を収めます。1876年にウィリアム・ティーチャーは65歳で亡くなりますが、ウイスキー事業は2人の息子に引き継がれ、その後も名声を高めていきました。

ティーチャーズと言えば「ティーチャーズ・ハイランド・クリーム」と表記されているのは、ご存じの方も多いと思います。ウイスキーの味わいは実際にクリーミーな口当たりなので(特に80年代以前のオールドボトルはクリーミーでした)、「ハイランドのクリーム」と名乗っているのには納得です。

この名称が正規に登録されたのは1884年。「ハイランドの精髄」という意味が込められており、実際にハイランドで生産される最高品質のモルト原酒を使用しています。モルトの比率は全体の45%以上という高い割合。当時のスコッチウイスキーとしては、このモルト比率は珍しかったようで、今でもこの伝統は厳格に守られています。

現在のティーチャーズのキーモルトはハイランドにある「アードモア」。ウィリアム・ティーチャーの息子である「アダム・ティーチャー」がティーチャーズのモルト原酒の安定供給を確保するために創業しました。以前はシングルモルトとして一般的ではありませんでしたが、オーナーがビームサントリーとなってからは積極的に売り出されるようになりました。

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Té Bheag チェイヴェック

出典:https://www.amazon.co.jp/

Té Bheag チェイヴェック

製造企業:プラバン・ナ・リンネ社
Amazon価格:¥3,300 税込
40% 700ml

日本ではかなりマイナーなブレンデッドスコッチウイスキー「チェイヴェック」は、スカイ島のタリスカーをキーモルトにしてつくられています。「チェイヴェック」とは「可愛いお嬢さん」という意味。

このウイスキーが誕生したのは1976年。製造元のプラバン・ナ・リン社は、ヘブリディーズ諸島に拠点を置く唯一のブレンド会社です。この会社は、スカイ島の地域振興とゲール語の普及を目指して設立されています。

商品名の「チェイヴェック」は、ゲール語で表示されており、スコットランド以外の消費者からすればかなり発音しにくいですし、ウイスキーの銘柄としても覚えにくい名前ですが、地域の活性化を目的にしているのであれば少し納得できますね。

日本でも入手可能ですが、ほとんど見かけたことがありません。タリスカーがキーモルト。味わいは個性的かと思いきや、そこまで強いピーティー感はなく、ボディは比較的に厚め。ブレンデッドウイスキーとしては珍しいノンチルフィルターでボトリングされているため、飲みごたえのある個性です。

 

 

Tomatin トマーティン(BIG T)

出典:https://www.amazon.co.jp/

Tomatin トマーティン(BIG T)

製造企業:トマーティンディスティラリー社
系列企業:宝酒造
Amazon価格:¥3,155 税込(BIG T)
40% 700ml

「トマーティン」といえば完全にシングルモルトウイスキーの銘柄のことを指すと思いますが、実は同名ブレンデッドウイスキーも存在していました。どちらかというと「トマーティン」というよりは、「ビックT」と言った方がピンとくるのではないでしょうか。この「T」はトマーティンのイニシャルを指しています。

トマーティン社は、現在「トマーティン12年」「15年」「18年」「25年」「レガシー」などのシングルモルトウイスキーを販売していますが、もともとはブレンデッドウイスキーの「ビッグティー」(Big T)の方が主力商品。当時はまだシングルモルトが一般的でははありませんでした。今日のシングルモルトウイスキー「トマーティン」があるのも、ビックTの功績のおかげなのかも。

ビックTの以前のラベルには「Big T」と表記されている5年物「トマーティン・ビッグT5年」と、12年物「トマーティン12年」が販売されていました。前者はブレンデッドと分かりますが、後者の方はラベル表記をよく観察しなければ、シングルモルトとの見分けが付かない状態でした。非常にややこしいことから、ブレンデッドウイスキーのトマーティンは現在流通していません。

スコッチウイスキーの規定に基づいて、ラベルには「Blended Whisky」と表記がありますが、「Scotch Whisky」の表記の方が大きく書かれていました。ウイスキーのオールドボトル「あるある」ですが、昔はシングルモルトの場合は「ピュアモルト」、ブレンデッドは「スコッチウイスキー」と表記しているのもがほとんどでした。

現在はシングルモルトが一般的になったことで、当時とは逆に「ブレンデッドウイスキー」の表記を目立出せているように感じます。ウイスキーの製法やルールは変わらずとも、時代が変わるとラベル表記も変わっていきますね。

現在リリースされている「ビックT」はトマーティンをキーモルトとし、5年以上熟成したモルトウイスキーとグレーンウイスキーの原酒をブレンドしています。スタンダードスコッチとしてはオーソドックスなドライな口あたり。ハイボールや水割りでもしっかりとした味わいです。

BIG T ウイスキー

 

 

Usher’s アッシャーズ

出典:https://www.amazon.co.jp/

Usher’s アッシャーズ

製造企業:J&Gスチュアート社
系列企業:ディアジオ社
Amazon価格:¥19,500 税込(アッシャーズ グリーンストライプ)
43% 1000ml

ブレンデッドウイスキーとしてはそこまでメジャーではない「アッシャーズ」。しかしこのブランドを生み出した「アンドリュー・アッシャー」は、ブレンデッドウイスキーを最初に考案した人物としても知られており、スコッチの隆盛を築いた功績者のひとりです。アッシャーがいなければ、スコッチウイスキーの発展は今よりも遅れていた可能性もあるのです。

アンドリュー・アッシャーはワイン・スピリッツ商を営むアッシャー家に生まれ、1820年代から「グレンリベット」のウイスキーを扱うようになり、1840年からはその独占販売権を手に入れます。このウイスキーは「スミスのグレンリベット」として広く知られ、アッシャー家の専売商品となりました。

その後、アッシャーは異なる熟成年数のグレンリベットのモルトを混ぜた、いわゆるヴァッテッドモルトを開発。このウイスキーは「アッシャーズ・オールド・ヴァッテッド・グレンリベット」と名付けられ、即座に高い評価を受けました。

当時のウイスキーは、樽ごと酒屋に卸されており、そこから量り売りで販売されていました。現在で言う「シングルカスク・カスクストレングス」で、樽からボトル(容器)に詰めるという販売方法。これを聞くと、むしろ羨ましいと思う人も多いと思いますが、ウイスキーの味わいが毎回異なり、品質にバラつきがあることは、必ずしも消費者にうけていた訳ではありませんでした。

これを問題としたアッシャーは、「シングルカスク」で販売するのではなく、複数の樽を混ぜることで品質の一定に保ち、消費者が安心して購入できる状態を実現。現在の「オフィシャルシングルモルト」とまではいきませんが、味わいのバラつきを防ぐことが可能となります。

その後、1860年にはこれまで禁止されていた「モルト」と「グレーン」を保税倉庫内でブレンドすることが許可されるようになります。(ブレンデッドウイスキーの誕生)この酒税法改正によって、これまでモルト同士のヴァッティング技術を磨いていたアッシャーは、すぐさま現代のようなブレンデッドスコッチウイスキーを完成させます。その後もアッシャー家はブレンデッドウイスキーの時代が来ることを見据えて、蒸留所の買収や、当時世界最大級となる熟成庫の建設などを行います。

1919年にはDCL社の子会社「J&Gスチュワート社」によって買収。現在の親会社はディアジオ社。

かつて1920年代まで販売されていたアンドリュー・アッシャーの「アッシャーズ・オールド・ヴァッテッド・グレンリベット」は、現在は製造されておらず、代わりに「アッシャーズ・グリーン・ストライブ」というブレンデッドウイスキーのみが販売されていました。現在は国内での流通はなく、古酒のみが出回っています。

かつてのキーモルトはスペイサイドのコールバーンだったとされています。コールバーンは1985年に閉鎖されているため、現在の「アッシャーズ」にはディアジオ社が所有するスペイサイドモルトが使用されているようですが、情報は公開されていません。

アッシャーズ ウイスキー

 

 

Usquaebach ウシュクベー

出典:https://www.amazon.co.jp/

Usquaebach ウシュクベー

製造企業:トゥエルブカスク社
Amazon価格:¥5,497 税込(ウシュクベー リザーブ)
43% 700ml

ブレンデッドスコッチウイスキー「ウシュクベー」は、ゲール語で「生命の水」を意味する言葉が名付けられています。この言葉はウイスキーの語源としてよく知られていますが、商品名やブランド名にしているのはトゥエルブカスク社の製造する「ウシュクベー」のみとなっています。

このウイスキーは元々は別の会社が製造していたブランドでした。当社はシングルモルトとして販売されていましたが、ヴァッテッドモルトとしても同名で販売されるようになります。商標登録されたのは1876年。1904年以降に少量のグレーン原酒を加え、ブレンデッドスコッチウイスキーとして販売されるようになります。

モルトウイスキーとして誕生したブランドなだけあって、ウシュクベーのモルト原酒比率は高め。モルトは85%、グレーンは15%。必ずしも、モルトが多く入っていれば「高級」、というわけではないものの、ほとんどの高級ウイスキーはモルト原酒を多めに設定しているので、「ウシュクベー」は上級ウイスキーとして扱われてたブランドでした。

現在、ウシュクベーは3〜4種類の製品を販売。その中でも「ウシュクペーストーン・フラゴン」という商品は、オリジナルを忠実に再現したものとなっており、モルトが85%、グレーンが15%の割合で調合されています。

ブレンド後はシェリー樽で最低18か月間のマリッジ(後熱)を行っています。ボトルは陶製。ウェッジウッド社の製造しているジャグ型ボトルとなっています。

 

 

VAT69 ヴァット 69

出典:https://www.amazon.co.jp/

VAT69 ヴァット 69

製造企業:ウィリアム・サンダーソン&サンズ社
系列企業:ディアジオ社
Amazon価格:¥1,538 税込
40% 700ml

ウイスキーの大消費国「アメリカ」で成功を納めたブレンデッドスコッチはいくつかありますが、「VAT69」はその代表的な銘柄です。

ブランドは1883年にエジンバラの名ブレンダー「ウィリアム・サンダーソン」によって生み出されました。ウィリアムはエジンバラの外港リースで生まれ、ワイン・スピリッツ商の下で果実酒づくりを学んでいましたが、1863年に独立してウイスキーのブレンダー業を始めます。

ウィリアムは研究熱心で、ワインなどで培われてきた技術をウイスキーにも活かします。試行錯誤を重ねたウイスキーの試作品は100を超えていたとも。そして、ウイスキー愛好家やブレンダーを招待してテイスティング会を行い、その時に高く評価されたのが「69番目の樽」。つまりこれが「VAT69(ヴァット69)」でした。

ウィリアム・サンダーソン&サンズ社のつくる「VAT69」はアメリカ市場で広く受け入れられました。創業者ウィリアムから3代にわたって家族経営を続けてきた後、1937年にDCL社と合併。現在はディアジオ社の系列。現在もアメリカで販売されていますが、他の国にも販路を広げており、そのクオリティは世界が証明しています。

VAT69のキーモルトは「ロイヤルロッホナガー」。その他42種類のモルトとグレーン原酒をブレンドしています。驚くことに、ボトルデザインは100年前のものとほとんど変わっていません。キャップには創業家「サンダーソン家」の紋章が採用されており、「神なくしては何者も存在し得ない(SANS DIEU RIEN)」という刻印が当時のまま残っています。

 

 

White Horse ホワイトホース

White Horse ホワイトホース

製造企業:ホワイトホース社
系列企業:ディアジオ社
Amazon価格:¥2,490 税込 (ホワイトホース12年)
40% 700ml

ブレンデッドスコッチウイスキー「ホワイトホース」は日本でも大人気のビッグブランド。ホワイトホースは1926年に初めてコルク栓に代わる「スクリューキャップ」を発明したことでも有名です。これを導入した結果、わずか6か月で売り上げは2倍に増加させたといいます。現在では一般的なウイスキーボトルのスクリューキャップも、当時は大きなイノベーションだったようです。

「ホワイトホース」は「白馬」のことですが、名前の由来となったのは、1742年にエジンバラのキャノンゲート街に建てられた「ホワイトホース・セラー(白馬亭)」という宿屋から。つまり、「白馬」から名付けられたというよりは、店名をブランド名に採用したような形です。

このブランドの命名者は、ホワイトホース社(当時はマッキー社)の創業者「ピーター・マッキー」。当時、白馬亭は歴史的にも重要な場所でした。1745年、ボニー・プリンス・チャーリー率いるジャコバイト軍がエジンバラに進攻した際には、常宿として「ホワイトホース・セラー」を利用していました。また、ロンドンとエジンバラを結ぶ乗合馬車の乗降地としても有名な存在でした。

単なる宿屋ではない所も、ピーター・マッキーが気に入っていた理由の一つ。さらに、ピーターの生家が白馬亭の隣であったことからも、何かしら運命的なものを感じていたのかもしれません。

ホワイトホースの主要モルトの一つに、アイラ島のラガヴーリンがあります。この蒸留所は1816年に創業され、当時はピーターの叔父である「ジェームズ・ローガン・マッキー」が所有していました。ピーターは叔父のもとで、ウイスキーの製造技術を学びます。

ラガヴーリン蒸留所のスモーキーなモルト原酒は、ホワイトホースにとってとても重要でした。アイラモルトの特有の風味に加え、クレイゲラキ蒸留所のフルーティさ、グレンエルギンのモルティーさが合わさり、ブレンデッドウイスキーとして理想的なバランスを持っているのは言うまでもありません。ちなみに、クレイゲラキは1891年にピーター・マッキー自らが設立を手がけて建設された蒸留所となっています。

 

1924年に創業者ピーター・マッキーは69歳で亡くなります。彼の後を継いで、2代目のマスターブレンダーとなったのが、実子ではなく愛弟子のジョン・ブラウン。非常に優れたブレンダーとして評判で1897年に会社に入社してから、52年間にわたって「ホワイトホース」の伝統の味わいを守り続けました。

1927年にはDCL社に買収され、マッキー社から現在の「ホワイトホース社」となります。現在はディアジオ社の傘下。

ホワイトホースにはいくつかのラインナップがありますが、スタンダードボトルは「ホワイトホースファインオールド」。ラガヴーリンの程よいスモーキーさ、青リンゴの爽やかさな香り、ハチミツ、ナッツ。ドライな飲み口も人気の理由。ブレンデッドウイスキーとしてのバランスが良く、根強い人気を誇っています。

 

 

Whyte & Mackay ホワイト & マッカイ

出典:https://whyteandmackay.com/#

Whyte & Mackay ホワイト & マッカイ

製造企業:ホワイト&マッカイ・ディスティラーズ社
系列企業:エンペラドール社
Amazon価格:¥1,845 税込(ホワイトマッカイ スペシャル)
40% 700ml

ブレンデッドスコッチウイスキー「ホワイト&マッカイ」。その最大の魅力は、「ダブルマリッジ」にあります。これは「マリッジ」と呼ばれる手法を2回行うという、通常のブレンデッドウイスキーにはない製法です。

まず、厳選された35種類以上のモルト原酒のみをヴァッティングし、シェリー樽の中で8~12か月以上熟成します。これが「ファーストマリッジ」と呼ばれる第一工程。その後、ヴァッティングしたモルト原酒に今度はグレーン原酒をブレンドし、再びシェリー樽の中で2回目の熟成「セカンドマリッジ」が行われます。2度のマリッジによって原酒同士の結びつきは強固なものとなり、それぞれの個性が調和する綺麗なブレンデッドウイスキーをつくることが可能となるのです。

ダブルマリッジを考案したのは「ジェームズ・ホワイト」と「チャールズ・マッカイ」。1882年にジェームズ・ホワイトと、彼の友人チャールズ・マッカイはパートナーシップを組んでウィスキー事業に進出します。これに伴い、会社名を「ホワイト&マッカイ社」にし、「ホワイト&マッカイ スペシャルブレンド」を世に送り出すことになります。

現在でもホワイト&マッカイの「スペシャル」はダブルマリッジを採用。それに加えて、「13年」「19年」「22年」「30年」、「40年」などのラインアップは全て、ダブルマリッジが行われています。

熟成年数が変われば、当然原酒のブレンドも異なりますし、一貫してダブルマリッジを行うのにも限界があるように思えてしまいます。しかし、現在のホワイト & マッカイは「伝統なのでムキになってやってる」という感覚は恐らくありません。全ての商品を品質を保ちつつ、受け継がれた伝統製法を進化させてブレンドしてるようにも思えます…すごい。

ホワイト&マッカイ社は1972年に、東ハイランドのフェッターケアン蒸留所、スペイサイド地域のトミントール蒸留所を買収し、さらに1988年にはリースに本拠を置くボトリング会社までの手中に収め、自社ブランドの瓶詰めから他社の製品のボトリングまでを幅広く行うようになります。

その後、オーナーは何度か変わり、2007年にはインドのユナイテッドブリュワリーズ(UB)グループに買収され一時はインド資本の会社となりました。その後、2013年はディアジオ社がUBグループの株式の約57%を買収。ホワイト&マッカイ社は現在はフィリピンのエンペラドール社によって経営されています。

 

 

William Lawson’s ウィリアムローソン

出典:https://www.amazon.co.jp/

William Lawson’s ウィリアムローソン

製造企業:ウィリアムローソン・ディスティラ―ズ社
系列企業:バカルディ社
Amazon価格:¥2,420 税込
40% 700ml

ブレンデッドスコッチには名だたるブランドが数多く存在しますが、その中でも「ウィリアムローソン」という名前は特に謎めいています。このブランドは、1889年にアイルランドのダブリンに拠点を置く老舗企業「E&Jパーク社」によって登録されました。この会社は、1849年にエドワード&ジョン兄弟によって設立され、有名なギネスビールの2代目「アーサー・ギネス」(父と同名)の甥でもあります。

19世紀後半から20世紀初頭にかけて、このダブリンのスピリッツ会社は最も成功した企業の1つであり、その中で活躍したのがスコットランド出身の「ウィリアム・ローソン」という人物。エドワード&ジョン兄弟の指導のもと、スコッチの輸出に携わっていたことは確かですが、詳細な経歴や、その生涯については記録が残っていません。

「ウィリアムローソン」が、なぜE&Jパーク社の看板商品の名前に冠されたのか、その理由は謎のまま…

ブレンデッドスコッチウイスキー「ウィリアムローソン」は、禁酒法時代のアメリカ市場で非常に人気があったブランド。1963年にはイタリアの「マルティーニ & ロッシ社」がブランド権を買収し、ヨーロッパ向けにマーケティングも行ったことで、欧州でも人気のあるブランドとなります。ウイスキーの需要は増加する一方で、原酒を確保するために1972年にはマクダフ蒸留所を買収しています。

日本市場ではほとんど見かけませんが、現在でもヨーロッパ市場で人気のある銘柄。2012年の販売量は260万ケース。2019年には330万ケースまで伸ばしています。2019年の統計では、あの有名な「デュワーズ」をおさえて世界ランキング24位にまで昇りつめ、今後もスタンダードスコッチとして世界に販売網を広めていくことでしょう。

ウィリアムローソン

 

 



 

 

ブレンデッドスコッチウイスキーの銘柄は数えきれないほどあり、今回は有名銘柄を中心に解説致しました。

今後は、新しいブランドなどもご紹介していく予定です。

ユースケ
ユースケ

あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。

 

 

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