【2026年版】1〜2万円で買えるジャパニーズシングルモルトウイスキー15選

ユースケ
ユースケ

こんばんは ユースケです。

自己紹介:BAR WHITE OAK 店主。ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーエキスパート。JSA認定ソムリエ。2022年1月 東京・銀座にBAR WHITE OAK をオープン。YouTube、TikTokでカクテル動画を公開中!

近年、国内外でますます人気が高まっているジャパニーズウイスキー。その中でも「1万〜2万円」という価格帯は、誰もが知る大手メーカーのスタンダードボトルから、全国各地に誕生したクラフト蒸溜所の意欲作まで、もっとも個性豊かで面白いラインナップが揃うゾーンだと思っています。

今回は、この価格帯で手に入れることができる、おすすめのジャパニーズシングルモルト15本をピックアップしました。単においしいというだけでなく、それぞれの蒸溜所が歩んできた背景や、独自の製法へのこだわりも交えながら、その魅力をじっくりとご紹介します。

 

【2026年版】1〜2万円で買えるジャパニーズシングルモルトウイスキー15選

  1. サントリー シングルモルト山崎
  2. サントリー シングルモルト白州
  3. YUZA シングルモルト ジャパニーズウイスキー 2026
  4. 桜尾 SHERRY CASK STILLMAN’S SELECTION
  5. シングルモルト長濱 THE EIGHTH BATCH(ザ エイト バッチ)
  6. 三郎丸Ⅷ STRENGTH
  7. シングルモルト 江井ヶ嶋 QUINTET
  8. シングルモルト日本ウイスキー 静岡 ユナイテッドS 100%静岡大麦 5年 2026年版
  9. 嘉之助シングルモルト 2026 LIMITED EDITION
  10. 井川蒸溜所 シングルモルト デッサンシリーズ ファウナ2026
  11. シングルモルト 久住 sora2025
  12. JAPANESE SINGLE MALT WHISKY 御岳 2025
  13. YAMAZAKURA シングルモルト 安積 2025エディション
  14. YAMAZAKURA シングルモルト 安積 ピーテッド 1st Wooden Washback
  15. YAMAZAKURA シングルモルト 安積 ニューアメリカンオークカスク リザーブ

 

サントリー シングルモルトウイスキー 山崎

サントリー シングルモルトウイスキー 山崎

参考価格:約13,000円〜15,000円(税込)
希望小売価格:8,250円(税込)
アルコール度数:43%
容量:700ml

山崎蒸溜所ってどんな場所?
山崎蒸溜所は1923年に建設が始まり、翌1924年に完成して操業を開始しました。以来、途切れることなくウイスキー造りを続けており、日本で最初に本格的なモルトウイスキーの量産体制を確立した蒸溜所として知られています。
場所は大阪府三島郡島本町——ちょうど京都府との境目あたり。天王山の麓に位置していて、古くから「離宮の水」と呼ばれる良質な湧き水が知られてきた土地です。湿潤な気候と豊かな水、山に囲まれた地形が生み出す独特の霧が、樽の中でじっくりと熟成を促してきた。まさにウイスキーづくりのために用意されたような場所なんです。

山崎らしさの核心は「つくり分け」と「樽」にある
山崎の最大の個性って何かと聞かれたら、ぼくは迷わず「多彩な原酒のつくり分け」と答えます。
長い歴史の中で蓄積された、さまざまな形状のポットスチル(蒸溜器のこと)を使い分けることで、軽やかなタイプから重厚なタイプまで、個性の異なるモルト原酒を社内で生み出すことができる。これって他の蒸溜所にはなかなかできない芸当。

そして忘れてはいけないのが熟成樽へのこだわり。

なかでも特徴的なのが、日本固有のオーク材から作られるミズナラ樽です。白檀(びゃくだん)や伽羅(きゃら)を思わせる、オリエンタルで高貴な香りをウイスキーに与えてくれる。これにシェリー樽やホワイトオーク樽などを組み合わせ、熟練のブレンダーたちが最終的な味わいに仕上げていく。このプロセスこそが、山崎がシングルモルトとして極限まで完成度を高めてきた理由だと思っています。

「山崎12年」と何が違うの?という話
これ、めちゃくちゃよく聞かれます。最大の違いは熟成期間の定義です。

この「山崎」は「ノンエイジ(NA / Non-Age Statement)」と呼ばれるタイプで、熟成年数にしばられることなく、多彩な原酒の魅力を最大限に引き出すブレンディングが施されています。若々しく華やかな果実味と軽やかさが際立つのが特徴です。
一方「山崎12年」は、酒齢12年以上の原酒のみで構成されています。長い年月をかけてアルコール・水・樽成分がより深く融合した原酒たちは、ミズナラ由来のお香のような余韻をより長く、より重厚に感じさせてくれます。
ひと言で言うなら、

  • 山崎NA:フレッシュな華やかさ
  • 山崎12年:円熟した複雑さ

どちらが上というわけじゃなく、それぞれに違う魅力があります。ぶっちゃけ両方持っておきたい(笑)。

テイスティングノート
グラスに注いだ瞬間、熟した柿や桃のようなフレッシュな果実香と、バニラ・蜂蜜の甘い樽香がふわっと立ち上がります。
口に含むと驚くほど滑らかでシルキーなテクスチャー。加水や薄さを感じさせない、ちゃんとした飲み応えがありながら、するっと喉に入っていく。
後味には、ミズナラ由来の白檀を思わせるお香のような余韻がゆっくりと続きます。甘さとウッディな苦味が幾層にも重なって、飲むたびに少しずつ違う表情を見せてくれる——そういうボトルです。

ジャパニーズウイスキーを語るうえで、山崎は避けては通れない一本。「高いな」と思いながらも、一度ちゃんと飲んでみると、その価格に納得してしまうのがちょっと悔しいところです。

 

サントリー シングルモルトウイスキー 白州

サントリー シングルモルトウイスキー 白州

参考価格:約13,000円〜16,000円(税込)
希望小売価格:8,250円(税込)
アルコール度数:43%
容量:700ml

「森の蒸溜所」という愛称がこれほど似合う蒸溜所も珍しい
白州蒸溜所が竣工したのは1973年2月。南アルプス・甲斐駒ヶ岳の麓、標高約700mの高原地帯に位置しています。冷涼で湿潤な気候、そして蒸溜所の敷地内に広がる広大な天然の森——この環境そのものが、白州ならではの「軽やかで爽快な酒質」を生み出す根っこになっています。
山崎が「水の都」的な湿潤さを纏うとすれば、白州はもっと開放的。森の中の空気をそのままボトルに詰めたような、そんなイメージです。

白州らしさはどこから来るのか
製造面での大きな特徴も、山崎と同様に多種多様なポットスチル(蒸溜器)の使い分けにあります。
白州の場合、ライトリーピーテッド(ごく軽くピート香を付けた)の原酒から、コクのある重めの原酒まで、幅広くつくり分けています。このバリエーションの豊富さが、ブレンダーの腕の見せ所になっているわけです。

「白州12年」と何が違うの?
山崎と同様、これもよく聞かれます。
白州ノンエイジ(NA / Non-Age Statement)」は若々しくフレッシュな原酒を主体にブレンドしているため、森を吹き抜ける風のような爽やかさ、新緑やミントを思わせる清涼感が全面に出ています。とにかく軽くて飲みやすい。
白州12年は酒齢12年以上の原酒を厳選したもの。白州らしい軽快さはそのままに、長期熟成由来の甘いバニラ香や樽由来のウッディなコク、複雑なスモーキーさが加わります。余韻も静かに、でも長く続く。

  • 白州NA:瑞々しい軽やかさ
  • 白州12年:熟した果実のような深みと調和

爽快なベースは両方に共通していて、12年はそこに重層感が乗ってくるイメージです。白州はNAから12年への「変化」が山崎以上に分かりやすいかもしれません。

テイスティングノート
グラスに近づけた瞬間、若葉・ミント・キューカンバーを思わせる、白州特有の「森の香り」が出迎えてくれます。洋梨や青リンゴの瑞々しい果実香が清涼感を演出して、その奥底からほのかなピートのニュアンスがそっと重なってくる。
口に含むとひたすら軽やかでスムース。甘みと酸味が絶妙なバランスで調和していて、後味は森の木々を吹き抜ける風のように、すっきりと消えていきます。
重厚さや複雑さを求めるなら山崎。でも「食中にも合う、日常的に飲めるシングルモルト」を探しているなら、白州はかなり有力な選択肢です。

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白州
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YUZA シングルモルト ジャパニーズウイスキー 2026

YUZA シングルモルト ジャパニーズウイスキー 2026

参考価格:約13,750円(税込)
希望小売価格:13,750円(税込)
アルコール度数:51%
容量:700ml

ジャパニーズウイスキーの新星として、じわじわと注目を集めている遊佐蒸溜所。その山形県飽海郡遊佐町から生まれるフラッグシップボトルが、この「YUZA シングルモルト ジャパニーズウイスキー 2026」です。
蒸溜所のコンセプトは「TLAS」——Tiny(小規模)、Lovely(愛らしさ)、Authentic(本物志向)、Supreme(至高)の頭文字を取ったもの。このコンセプトを極限まで追求した、クリーンでフルーティな酒質が光る一本。

遊佐蒸溜所ってどんなところ?
運営母体の「株式会社金龍」は、山形県酒田飽海地区の清酒メーカー9社が共同出資して1950年に設立した歴史ある企業。「爽」ブランドをはじめとする醸造用アルコール製造で長年培ってきた発酵・蒸留の深い知見に、スコットランドの伝統的な蒸留技術を掛け合わせてウイスキー造りに参入しました。
仕込み水には、名峰・鳥海山の麓から湧き出る豊かな伏流水を使用。日本海側特有の寒暖差ある冷涼な気候の中でゆっくりと熟成が進むため、それが酒質の繊細さにつながっていると思います。
清酒の発酵技術をベースに持つ蒸溜所というのも珍しくて、それがYUZAのクリーンな味わいの背景にあるんじゃないかと、個人的には感じています。

バーボン樽へのこだわり
このボトルで特に注目したいのが、熟成における「バーボン樽へのこだわり」です。ウイスキーの世界では、シェリー樽やワイン樽、ミズナラ樽など、さまざまな樽由来の個性を組み合わせることで複雑な味わいを生み出す手法が広く採用されています。一方、遊佐蒸溜所は創業以来、バーボン樽熟成を酒質の核として位置付けてきました。

特にファーストフィル・バーボン樽から得られるバニラやハチミツ、キャラメルを思わせる甘やかな香りは、遊佐モルトの持つフルーティーで繊細な酒質との相性が抜群です。樽の個性を過度に主張させるのではなく、原酒本来の魅力を引き立てる方向で熟成を行っている点が大きな特徴といえるでしょう。

小規模蒸溜所ならではの丁寧な樽選定と品質管理によって生み出される、透明感のある味わい。その根底には、遊佐蒸溜所が一貫して大切にしてきた「バーボン樽への深いこだわり」が息づいています。

テイスティングノート
グラスに注ぐと、バニラやハチミツを思わせる甘く芳醇なアロマが立ち上がり、続いて熟した洋梨やアプリコットの瑞々しい果実香が重なってきます。
口に含むと、51%という高めの度数を感じさせないきめ細かくシルキーな酒質が滑らかに広がります。アルコール度数51%って、普通はもっとガツンとくるはずなんですが、これが全然そうじゃない(笑)。後味には洗練された甘みとフルーティな風味が細く長く続いて、気づいたらもう一口飲んでいる。

若々しいエネルギーと熟成による深みが絶妙なバランスで共存した、完成度の高い仕上がりです。定価で買えるうちに確保しておいて損はない一本だと思います。

 

桜尾 SHERRY CASK STILLMAN’S SELECTION

桜尾 SHERRY CASK STILLMAN’S SELECTION

希望小売価格:13,530円(税込)
参考価格:約13,530円(税込)

アルコール度数:50%
容量:700ml

広島県廿日市市桜尾から生まれる、作り手の顔が見えるシングルモルト。それが「桜尾 SHERRY CASK STILLMAN’S SELECTION」です。
運営会社の創業は1918年、ウイスキー製造免許の取得は1920年という長い歴史を持つ蔵元が、2017年に蒸溜所を竣工・製造開始。百年超の醸造の知見を土台に、現代のクラフトウイスキーとして生まれ変わった一本です。

廿日市という土地の個性
蒸溜所が立つ廿日市市桜尾は、南に瀬戸内海、北に中国山地という恵まれたロケーション。夏と冬の気温差が大きく、原酒の呼吸を活発にして熟成を加速させます。
さらに海に近い立地ゆえに、貯蔵庫には瀬戸内の穏やかな潮風が吹き抜ける。これが樽に独特の塩味や深みを与えていると言われています。スコットランドのアイラ島やキャンベルタウンが海風の影響を受けるように、桜尾も「海の近さ」がウイスキーの個性に直結しているんです。

スティルマン自らが樽を選ぶ、という仕事
このボトルの核心にあるのが、蒸溜技術者であるスティルマン自らが膨大な樽の中から特に状態の良いシェリー樽を厳選しているという点です。
使用するのは2種類の厳選されたクリームシェリー樽。異なる個性を持つ原酒を作り手の感性で組み合わせることで、シェリー樽特有の甘美で芳醇な果実味と、桜尾らしい潮風のエッセンスが見事に調和しています。
アルコール度数を50%に設定しているのも、香りと味わいのパンチを最大限に楽しんでほしいという作り手の意図から。こういう一本が飲めるのはクラフト蒸溜所の醍醐味だと思います。

テイスティングノート
グラスに注ぐと、レーズン・ドライフィグ・深みのあるカカオを思わせるシェリー樽由来の芳醇なアロマが広がります。シェリー樽のウイスキーってこれだよな、という王道の香り。
口に含むと、ダークチェリーやマーマレードのような華やかな果実味が一気に広がり、それがかすかなピート香と絶妙に混ざり合う。フィニッシュにかけてはビターチョコレートのようなほろ苦い甘さとオーク由来のウッディな香りが心地よく持続して、余韻の深さを存分に楽しめます。
シェリー樽好きなら間違いなく刺さる一本。桜尾という土地の個性も感じながら飲んでほしいですね。

 

シングルモルト長濱 THE EIGHTH BATCH(ザ エイト バッチ)

シングルモルト長濱 THE EIGHTH BATCH(ザ エイト バッチ)

希望小売価格:12,100円(税込)
参考価格:12
,100円(税込)
アルコール度数:50%
容量:500ml

「シングルモルト長濱 THE EIGHTH BATCH(ザ エイト バッチ)」は、滋賀県長濱市から届く、クラフトウイスキーの真骨頂。シングルモルト長濱シリーズの第8弾です。
「和の華やぎ」と「エスニックな要素」の融合——そんな一見矛盾するような組み合わせを、蒸溜所の哲学「一醸一樽」で真剣に追求した、独創的で神秘的な一本です。

長濱蒸溜所ってどんなところ?
長濱蒸溜所は琵琶湖のほとり長浜に2016年11月1日、長浜浪漫ビール創業20周年の記念事業として開設されました。運営するのはリカマンホールディングス傘下の長浜浪漫ビール株式会社。クラフトビール製造で培ってきた発酵・醸造のノウハウを、そのままウイスキー造りに活かしています。
蒸留器には、コニャックやカルバドス(フランス産のリンゴのブランデー)の蒸留で伝統的に用いられるアランビック型のポットスチルを採用。初溜釜1,000L×2基、再溜釜500L×1基という国内最小クラスの規模です。
この小ぶりな蒸留器というのがポイントで、繊細でありながら骨太でリッチな酒質を生み出す秘密がここにあります。小さいからこそ、原酒の個性がストレートにでています。

EIGHTH BATCHの樽使いが面白い
今回のバッチで特に注目したいのが、かなり個性的な樽の組み合わせです。
2021年蒸留の原酒はコーヴァル樽とアイラクォーターカスク(アイラモルト由来のピート香が移った小樽)で3年熟成後、アンブラナ樽でさらに2年後熟。2022年蒸留の原酒は桜樽で4年間フルマチュアード(単一樽のみで熟成を完結させること)。この2つをヴァッティングして仕上げています。
「アンブラナ」という木材、聞き慣れない方も多いと思います。ブラジル原産の木材で、南米のサトウキビ蒸留酒・カシャッサの熟成にも使われる素材です。これが国産の桜樽と組み合わさることで、桜の繊細な甘みとアンブラナのエキゾチックなスパイス感が重なり、お香や香木を焚いたような深く静謐な余韻が生まれています。
山崎のミズナラとはまた違う、もっとディープでアジアンな雰囲気とでも言いましょうか。

この方向性は新しい。個人的には好きです。

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シングルモルト三郎丸 VIII STRENGTH(ストレングス)

シングルモルト三郎丸 VIII STRENGTH(ストレングス)

希望小売価格:19,800円(税込)
参考価格:19,800円(税込)

アルコール度数:48%
容量:700ml

「シングルモルト三郎丸 VIII STRENGTH(ストレングス)」は、富山県砺波市にある三郎丸蒸留所が2026年5月にリリースした、シリーズ最新作。2020年発売の「三郎丸0 THE FOOL」から始まるこのシリーズ、タロットカードの大アルカナをモチーフにしており、今作はⅧ番「力(STRENGTH)」です。「包容、誠実、制御、粘り強さ」をテーマに、0番から数えて通算第9弾(バッチ名としてはVIII)という記念碑的なリリースとなっています。

三郎丸蒸留所とタロットシリーズについて
若鶴酒造が1952年にウイスキー製造免許を取得して以来続く三郎丸蒸留所は、北陸最古の蒸留所です。2016年の秋に、老朽化していたウイスキー蒸留所を改修するための計画をスタートさせます。クラウドファンディングを展開し、多くの人々からの支援を受けることに成功。2017年に大規模な改修を行い、現在の「三郎丸蒸留所」が開設します。

2020年リリースの「三郎丸0 THE FOOL」を皮切りに、タロットカードの大アルカナ(22枚の主要なカード)をモチーフにしたシリーズが続いており、今作でついに通算9本目に到達しました。
ラベルの切り絵はシリーズを通してお馴染みの切り絵作家・加野由希絵氏によるもの。ウイスキーとしての中身はもちろん、コレクションとしての価値も高いシリーズです。

三郎丸といえばスモーキー
三郎丸蒸留所はスモーキーへの強いこだわりで知られています。今作では2022年仕込みの「スーパーヘビリーアイラピーテッド」麦芽を使用。フェノール値80ppmというのは、スモーキーの代名詞であるアイラ島のウイスキーと比較しても相当に高い数値です(アードベッグやラフロイグあたりで50ppm前後)。
そのアイラ島の希少なピートをふんだんに使いながら、力強くも柔らかな潮風を感じさせる味わいに仕上げているというのが今作の肝です。
さらに蒸留器には、高岡銅器の鋳造技術を応用した世界初の鋳造製ポットスチル「ZEMON(ゼモン)」を採用。重厚なピーテッド麦芽由来の風味を、クリーンで伸びやかな酒質へと導く独自設備です。富山の伝統工芸とウイスキーが交差しているあたりに、この蒸留所のこだわりが滲み出ていると思います。

通常版とカスクストレングス、どっちを選ぶ?
今作には2つのラインナップがあります。
今回紹介している通常版(48%)は、飲みごたえとバランスを追求したスタンダードな構成。ピートの力強さをしっかり感じながらも、飲みやすさとのバランスが取れた仕上がりです。
カスクストレングス(59%)は加水を一切行わず、樽の個性をダイレクトに閉じ込めたより力強く濃厚な仕上がり。ピートをガツンと体感したいなら迷わずこちらです(笑)。

どちらを選ぶかは好みと用途次第ですが、予算的にも2万円をオーバーしてしまうので、三郎丸を初めて飲む方には通常版から入ることをおすすめします。

 

シングルモルト 江井ヶ嶋 QUINTET(クインテット)

シングルモルト 江井ヶ嶋 QUINTET(クインテット)

希望小売価格:11,000円(税込)
参考価格:11,000円(税込)
アルコール度数:55%

容量:500ml

兵庫県明石市の江井ヶ嶋酒造から届いた、数量限定のシングルモルト「江井ヶ嶋 QUINTET(クインテット)」。クインテットは五重奏のこと。その名の通り、5つの異なる樽で熟成した原酒を絶妙なバランスでブレンドした、重層的な一本です。

山崎より早くウイスキー製造免許を取得した蔵元⁉
江井ヶ嶋酒造がウイスキー製造免許を取得したのは1919年。これは、山崎蒸溜所が竣工した1924年よりも5年も前のことです。
もちろん、日本初の本格的なウイスキー量産体制を築いたのは山崎蒸溜所であり、継続的な生産という点でも山崎が日本ウイスキーの原点とされています。しかし、江井ヶ嶋酒造が極めて早い時期からウイスキー製造に着目し、免許を取得していたことは見逃せない事実です。
実際には当時の生産量はごく限られていたと考えられていますが、日本の洋酒文化がまだ黎明期だった時代に、すでにウイスキー造りへの挑戦を始めていた先見性は特筆すべきものでしょう。

蒸溜所が立つのは瀬戸内海に面した温暖な明石市。清酒製造も行う広大な敷地の中で、長年「あかし」ブランドを軸にウイスキー造りを続けてきました。近年では蒸溜所の個性をより前面に打ち出すため、「シングルモルト 江井ヶ嶋」シリーズの展開も積極化しています。

瀬戸内と日本酒、2つの個性がウイスキーに宿る
江井ヶ嶋のウイスキーに独自の個性を与えているのが、2つの要素です。
ひとつは立地。瀬戸内の温暖な気候と潮風が原酒に柔らかな口当たりと穏やかな熟成感をもたらしています。
もうひとつは清酒製造で培われた酵母管理の知見。発酵の繊細なコントロールがこの蒸溜所のウイスキーの、細やかな風味の基礎になっています。日本酒蔵が母体の蒸溜所ならではの強みと言えます。

5つの樽が奏でるハーモニー
「シングルモルト 江井ヶ嶋 QUINTET(クインテット)」の核心はなんといっても樽使いにあります。
バーボン樽、シェリー樽、ワイン樽、ポート樽、ブランデー樽——5種類の異なる樽で熟成させた原酒をブレンド。それぞれの樽由来の個性が混ざり合い、重層的かつ調和のとれたハーモニーを生み出しています。
ひとつの樽に絞り込んで個性を際立てる手法も魅力的ですが、これだけ多様な樽を使いながらバランスを保つのも、また別次元の難しさがある。江井ヶ嶋蒸溜所が保有する原酒の多様性と、樽熟成のポテンシャルを証明するボトルだと思います。アルコール度数55%のカスクストレングスに近い設定も、それぞれの個性をダイレクトに感じるための必然でしょう。

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シングルモルト日本ウイスキー 静岡 ユナイテッドS 100%静岡大麦 5年 2026年版

シングルモルト日本ウイスキー 静岡 ユナイテッドS 100%静岡大麦 5年 2026年版

希望小売価格:15,554円(税込)
参考価格:15,554円(税込)
アルコール度数:50.5%
容量:500ml

「シングルモルト日本ウイスキー 静岡 ユナイテッドS 100%静岡大麦 5年 2026年版」は、ガイアフロー静岡蒸溜所が2026年3月下旬に発売した、数量限定のリミテッドエディションです。「静岡らしいウイスキー造り」という蒸溜所創業時からのヴィジョンを、原料の栽培段階から体現したこの作品。どれほどの時間と努力が注ぎ込まれているか、背景を知るとより一層味わい深くなります。

ガイアフロー静岡蒸溜所について
2012年に輸入販売会社としてスタートしたガイアフロー株式会社は、2014年にウイスキー製造目的の会社を設立し、2016年に静岡蒸溜所を竣工。静岡県静岡市葵区に位置するこのクラフト蒸溜所は、2基の個性的な蒸留機を持っています。
ひとつは日本国内でも極めて珍しい直火蒸留機「蒸留機W(薪直火式)」。もうひとつは旧軽井沢蒸留所から移設したスチーム加熱式の「蒸留機K」です。

異なる加熱方式が生み出す2種類の酒質を使い分ける技術力は国内外から高く評価されており、2024年にはWWA(ワールド・ウイスキー・アワード)で日本地域スモールバッチシングルモルト部門のベストを受賞しています。旧軽井沢の蒸留機が静岡の地で現役というのも、ウイスキーファンとしてはグッとくる話です(笑)。

8年越しの夢が、このボトルに詰まっている
このボトル最大のポイントは、原料に「100%静岡県産大麦」を使用している点です。
静岡蒸溜所は2016年の稼働当時から、日本で唯一「100%地元大麦でのウイスキー造り」を表明していました。とはいえ、最初は種もみの確保というゼロからのスタート。地元農家やJA、静岡県関係機関の協力を得ながら、コツコツと栽培面積を広げてきました。
2023年にシングルカスクで限定リリースされた際の本数は、わずか306本。地道な努力の積み重ねにより、今回ようやくまとまった量の原酒を確保し、多くの愛好家へ届けられることになりました。

2基の蒸留機、それぞれのベストを厳選
バーボン樽を主体に5年以上熟成させた原酒の中から、WとKそれぞれの個性を最もよく表しているものを厳選してヴァッティング。静岡の風土、生産者の想い、蒸溜所の技術——その三つが重なり合った「静岡のテロワール(その土地ならではの個性)」を余すことなく感じてほしい、そういう意図が込められた構成です。

クラフト蒸溜所のリミテッドエディションの中でも、ここまで原料の背景に物語がある一本はなかなかありません。

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嘉之助シングルモルト 2026 LIMITED EDITION

嘉之助シングルモルト 2026 LIMITED EDITION

希望小売価格:14,850円(税込)
参考価格:14,850円(税込)

アルコール度数:57%
容量:700ml

鹿児島県日置市の吹上浜沿いに位置する嘉之助蒸溜所から、年に一度届く数量限定シングルモルト。吹上浜に春を告げる植物「ハマゴウ」の香りと穏やかな潮風をテーマに構成された今年の作品は、同蒸溜所が追求するカスクフィニッシュの醍醐味を存分に堪能できます。

嘉之助蒸溜所について
2017年11月にウイスキー製造免許を取得して操業を開始した嘉之助蒸溜所は、日本三大砂丘のひとつ・吹上浜に面した約9,000㎡の敷地を持ちます。運営母体は焼酎造りで高い評価を得てきた小正醸造(現・株式会社小正嘉之助蒸溜所)。発酵・熟成の深い技術と洋酒造りへの情熱を融合させています。ちなみに、蒸溜所名は2代目当主・小正嘉之助に由来したものです。

嘉之助蒸溜所では形状の異なる3基のポットスチルを使い分け、ニューメイク(蒸留したばかりの原酒)の段階から多彩な酒質を作り分けることで、嘉之助ならではの「メロー」で厚みのある酒質を構築しています。焼酎蔵が母体だからこその発酵管理の巧みさが、このメロー感の背景にあると思います。

今年のリミテッドエディション、カスクフィニッシュの設計が緻密すぎる
「嘉之助シングルモルト 2026 LIMITED EDITION」で特に注目したいのが、熟練のブレンダーによるカスクフィニッシュ(別の樽に移して追加熟成させること)の設計です。

バーボン樽で熟成した原酒をアップルブランデー樽で後熟したものと、焼酎樽をリチャー(再度内側を焦がす処理)して熟成した原酒を白ワイン樽で後熟したものをキーモルトとして使用。

そこへ、オロロソ樽やクリームシェリー樽で熟成した原酒を重ねることで、豊かな厚みと複雑な香味を生み出しています。さらに、少量のピーテッド原酒を加えることで全体の輪郭を引き締め、多彩な個性が調和した奥行きのある味わいに仕上げられています。

これだけ多層的な樽構成を破綻なくまとめるのは、相当な技術力が要る。読んでいるだけで楽しくなる設計ですね。

さらに加水工程では「スローディリューション」という技法を新たに採用。時間をかけて丁寧に水と原酒を馴染ませることで、アルコールの刺激を抑え、味わいにさらなる丸みを生んでいます。57%というカスクストレングスに近い度数でありながら、滑らかに飲めるのはこのひと手間のおかげです。

テイスティングノート
グラスに注ぐと、オレンジブロッサムやアップルピール、白ブドウの軽やかで華やかな香りの中に、ハマゴウの清涼感あるアロマが寄り添います。テーマのハマゴウがちゃんと香りとして体験できるというのが、このボトルの面白いところです。
口に含むと57%という高めの度数を感じさせないほど滑らか。バニラやはちみつの甘みに、ゆず餡を思わせる果実感が調和します。後味にはグレープフルーツの爽やかな苦味と、春の潮風を連想させる余韻が長く穏やかに続く。

華やかな香りと厚みのあるコクが幾層にも重なり合う、春の海辺の情景を彷彿とさせる味わい。季節感のあるウイスキーというのはなかなか珍しいですが、これは確かに「春」なのかも。

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井川蒸溜所 シングルモルト デッサンシリーズ ファウナ 2026

井川蒸溜所 シングルモルト デッサンシリーズ ファウナ 2026

希望小売価格:19,800円(税込)
参考価格:19,800円(税込)
アルコール度数:50%
容量:700ml

「井川蒸溜所 シングルモルト デッサンシリーズ ファウナ 2026」は、静岡県静岡市葵区、南アルプスの豊かな自然に囲まれた井川蒸溜所が、2026年5月下旬に数量限定でリリースしたシングルモルトウイスキーです。

運営母体である十山株式会社が展開する「デッサンシリーズ」は、蒸溜所が将来的に目指す“12年熟成の理想形”へ向かう過程を描くシリーズ。熟成途中の原酒が持つ個性や成長の軌跡を表現することをコンセプトとしています。

シリーズは大きく2つのラインに分かれており、ノンピートタイプは「Flora(フローラ)」として植物をモチーフに、ピーテッドタイプは「Fauna(ファウナ)」として動物をモチーフに展開。本ボトルはそのFaunaシリーズに属し、井川蒸溜所ならではの繊細な酒質とスモーキーな個性を楽しめる1本となっています。

ラベルのクマタカと、味わいの構造
「井川蒸溜所 シングルモルト デッサンシリーズ ファウナ 2026」のラベルに描かれているのは「クマタカ」。生態系の頂点に立ちながら大空を優雅に舞う猛禽類です。
その多層的な生態系のように、多様な原酒を重ね合わせることで複雑な味わいのレイヤーを構築する——というのが今作のコンセプト。ラベルのモチーフとウイスキーの構造が直結しているあたり、蒸溜所の世界観への本気度が伝わります。

こ本作の構成は、甘く華やかなノンピートタイプのバーボンバレルおよびシェリーカスク原酒をベースに、ライトピート(フェノール値15ppm)の原酒をブレンド。80ppmの「三郎丸」と比べると相当穏やかな数値ですが、このくらいのピートが甘い原酒に重なったときの調和感は格別です。主張しすぎない、でも確かにそこにいる、というピートの使い方が好きな方には刺さると思います。

テイスティングノート
グラスに注ぐと、ノンピート原酒由来の甘く華やかな香りが広がり、それを追うように15ppmの穏やかなピート香が心地よく鼻腔をくすぐります。
口に含むと、バーボン樽やシェリー樽由来の果実のような甘みとスモーキーなニュアンスが重層的に広がる。力強さと優雅さを併せ持つ、クマタカのような気品を感じさせる仕上がりです。
ヘビーピートが苦手な方でも楽しめる、ピーテッドウイスキーの入り口としても優秀な一本だと思います。

 

シングルモルト 久住 sora2025

シングルモルト 久住 sora2025

希望小売価格:14,080(税込)
参考価格:14,080円(税込)

アルコール度数:50%
容量:700ml

「シングルモルト 久住 sora2025」は、大分県竹田市の久住高原、阿蘇くじゅう国立公園内に位置する久住蒸溜所がリリースした新シリーズ「sora」の第一弾となるシングルモルトです。蒸溜所は標高約800mという国内屈指の高冷地にあり、昼夜の寒暖差が大きい環境がウイスキーの熟成にも独自の個性を与えています。

本作のテーマは、ブレンダー・武石氏が語る「乾いた感じのオレンジ」。夏の暑さが和らぎ始め、秋の気配がわずかに漂う晩夏の夕暮れ時――そんな情景をウイスキーで表現することを目指して造られました。空がゆっくりと色を変えながら日が傾いていく、穏やかで少し切ない季節の移ろいを感じさせる一本です。

「sora」という名のとおり、久住高原の雄大な空と自然をモチーフにしたシリーズの幕開けを飾るボトルとして、蒸溜所の新たな挑戦と世界観が詰め込まれています。

久住蒸溜所の設備へのこだわり
久住蒸溜所はスコットランドのフォーサイス社製ポットスチル(初溜2,500L/再溜1,800L)を導入し、加熱方式にはパーコレーター式を採用。パーコレーター式とは、ポットスチル)の底部を加熱し、沸騰によって立ち上る蒸気や液体をパイプを通して循環させる方式で、ヘビーで厚みのある酒質につながります。
さらに発酵槽を順次、樹齢数百年の米マツ(ダグラスファー)を用いた木槽へと切り替えるという取り組みも進行中。木槽発酵は乳酸菌など木に棲みつく微生物の働きが加わることで、より複雑で香味豊かな酒質を生み出すとされています。

「sora」シリーズとは
「久住の移ろいゆく季節の時々を切り取る」というコンセプトのもと展開するのが、このsoraシリーズです。
今作「シングルモルト 久住 sora2025」は、ピーテッド原酒を含む複数の熟成原酒を慎重にブレンド。前面には色づいた果実のフルーティさを、後からピート香が追いかけるように設計されています。前作「THE FIRST」の鮮やかな要素とは異なり、多層的なフルーティさと厚みのある複雑な余韻が楽しめる構成です。

テイスティングノート
グラスに注ぐと、オレンジやかりん、バニラビーンズの華やかなアロマに、ほうじ茶や日光をたっぷり浴びた土、遠くの焚き火を思わせるスモーキーな香りが重なります。この香りの描写、読んでいるだけで情景が浮かんでくる。
口に含むと、アプリコットやドライオレンジ、三温糖、りんご飴のような甘やかさが広がり、牧草やサワークリームのニュアンスが複雑さを添えます。フィニッシュには、ビターでオイリーな質感とオークの燃えさしを思わせる心地よい余韻が長く続く。

「夏の終わりの夕暮れ」というコンセプトが、テイスティングノートを通じてちゃんと体験できる構成になっています。ウイスキーで季節を飲む、という感覚が好きな方には特におすすめしたい一本です。

 

JAPANESE SINGLE MALT WHISKY 御岳 2025

JAPANESE SINGLE MALT WHISKY 御岳 2025

希望小売価格:14,300円(税込)
参考価格:14,300円(税込)
アルコール度数:43%
容量:700ml

鹿児島県日置市、標高約400mに位置する御岳蒸留所のシングルモルト。「JAPANESE SINGLE MALT WHISKY 御岳 2025」は、「ワールドウイスキーマスターズ2025」Japan – Single Malt部門での金賞をはじめ、「アジアワールドスピリッツコンペティション(AWSC)」「ISC(インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ)」でも金賞を獲得するなど、国際的に高く評価されています。

西酒造と御岳蒸留所について
運営母体の西酒造は1845年創業、薩摩の酒造りの伝統を受け継いできた蔵元です。「発酵するお酒を極めたい」という理念のもと、2019年に御岳蒸留所を設立しました。
蒸留所が立つのは錦江湾と桜島(御岳)を望む高台。豊かな森で磨かれた毎分1,000リッター以上の天然軟水が湧き上がる、水に恵まれた環境です。仕込みには自社選抜酵母と厳選された二条大麦を使用しています。

蒸留設備にも独自の工夫があります。初留・再留ともにラインアーム(蒸気の通り道となる管)を上向きに設計することで、重たい香味成分を抑えてフルーティで深い香味成分のみを取り出す構造になっています。こういう設備レベルの作り込みが、後の味わいに直結するんですよね。

「本物のシェリー樽」へのこだわり
「JAPANESE SINGLE MALT WHISKY 御岳 2025」は、シェリー樽熟成の第2弾として、自社蒸留の原酒のみをヴァッティングした5年熟成のウイスキーです。
ここで特筆したいのが、樽の選定へのこだわり。

ウイスキー業界では、ウイスキー熟成用に人工的にシェリーを染み込ませた「シーズニング樽」が広く使われています。一方、御岳蒸留所が使用するのは実際にシェリー酒を熟成させていた古樽(リアルシェリー樽)のみ。しかもスペイン・アンダルシア地方へ自ら赴いて目で確認した、ファーストフィル(初めてウイスキーを詰める一番状態の良い樽)のソレラシェリーバットにこだわっています。

ソレラとは、複数の樽を段階的につないで熟成させるスペイン伝統の方式のこと。その複雑な風味が染み込んだ樽を現地で直接選び抜くというのは、手間もコストもかかる作業です。それでもここを妥協しない姿勢が、このボトルの味わいの根拠になっています。

テイスティングノート
グラスに注ぐと、シェリーカスク由来の赤みがかった深みのあるアンバーゴールドが輝きます。見た目からすでに期待感が上がる色調。
香りはドライアプリコット、キャラメリゼしたリンゴ、プルーンの赤ワイン煮込みを思わせる甘くフルーティーなアロマ。口に含むと驚くほど滑らかでスムース、ドライフルーツや樽由来のバニラが心地よく調和して、アルコール感の角を感じさせない柔らかな飲み口が続きます。
43%という比較的穏やかなアルコール度数の設定も、この滑らかさに一役買っているはず。シェリー樽のウイスキーをこれから飲んでみたいという方にも、自信を持っておすすめできる一本です。

 

YAMAZAKURA シングルモルト 安積 2025エディション

YAMAZAKURA シングルモルト 安積 2025エディション

希望小売価格:13,200円(税込)
参考価格:13,200円(税込)

アルコール度数:50%
容量:700ml

「YAMAZAKURA シングルモルト 安積 2025エディション」は、福島県郡山市の安積蒸溜所から毎年届く、恒例の限定ボトル。東北最古の地ウイスキーメーカーとして知られる蒸溜所が、そのハウススタイルをストレートに体現したボトルです。

笹の川酒造と安積蒸溜所の歴史
笹の川酒造の起源は1710年、猪苗代湖南で山口家の酒札が記録されたことに遡ります。1765年(明和2年)に現在の郡山で正式に創業した、300年近い歴史を持つ酒蔵です。
1946年にウイスキー製造免許を取得し、「山桜(YAMAZAKURA)」ブランドを軸に長年ウイスキー造りを続けてきました。

そして2016年、三宅製作所製ポットスチルを導入してクラフト蒸溜所として再始動。伝統的な酒造りの知見と現代の蒸留技術を融合させた取り組みが続いています。
日本酒蔵としての長い発酵の歴史が土台にある点は、嘉之助や御岳と共通する強みです。ただ300年近いという歴史の重さは、やはり別格だと思います。

2025エディションの構成
今作は安積蒸溜所の基軸であるノンピート原酒をベースに、数種類の樽から厳選した原酒を絶妙な比率でヴァッティング。仕上げはノンチルフィルタード(冷却濾過を行わないこと)、ナチュラルカラー(着色料不使用)という、原酒の個性を最大限に引き出すための構成です。
ノンチルフィルタードにこだわる理由はシンプルで、冷却濾過をすると風味の一部も一緒に取り除かれてしまうから。手間はかかりますが、原酒そのものと向き合う姿勢がここに表れています。

テイスティングノート
グラスには明るく透明感のある黄金色が広がります。非常に華やかで爽やかなフルーツのアロマが立ち上がり、口に含むと安積らしいきれいな甘みが舌の上にふわっと広がる。軽やかながら芯のあるボディで、複雑すぎず単調でもない、絶妙なバランスの取れた味わいです。
ストレートはもちろん、少量の加水やハイボールにしてもその華やかさが崩れない。これ、地味にすごいことで、ハイボールにした途端に味が散漫になるウイスキーも少なくない中、安積はどんな飲み方でも顔を見せてくれます。バーで使いやすい一本としても優秀です。

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YAMAZAKURA シングルモルト 安積 ピーテッド 1st Wooden Washback

YAMAZAKURA シングルモルト 安積 ピーテッド 1st Wooden Washback

希望小売価格:14,300円(税込)
参考価格:14,300円(税込)

アルコール度数:50%/容量:700ml

「YAMAZAKURA シングルモルト 安積 ピーテッド 1st Wooden Washback」は、安積蒸溜所のウイスキー造りにおける重要な転換点を告げるボトル。木製発酵槽(ウッデン・ウォッシュバック)を使用した初のリリースであり、同時に力強いピート香を纏った非常に個性豊かなシングルモルト。「1st Wooden Washback」という名が示す通り、歴史的な意味を持つ商品です。

同じ安積でも、2025エディションとは別物のスモーキーさ
先ほど紹介した「2025エディション」と同じ安積蒸溜所のボトルですが、この2本は全く異なるキャラクターを持っています。
まず発酵槽の違いから。2025エディションはステンレス発酵槽を使用してクリアでフルーティーな酒質を重視しているのに対し、このボトルは木製発酵槽を採用しています。
木製発酵槽はステンレスより温度管理が難しく、独自の微生物叢(乳酸菌などの菌の集まり)が住み着きやすい環境です。これが原酒に独特の厚み、クリーミーなテクスチャー、より複雑なエステル香(果実のような香り成分)をもたらします。

そして風味の方向性としても、2025エディションがノンピートであるのに対し、「YAMAZAKURA シングルモルト 安積 ピーテッド 1st Wooden Washback」はピート麦芽を使用。木製発酵槽由来の複雑なベースにスモーキーな個性が加わることで、安積蒸溜所としては異例の重層的な味わいへと昇華されています。
同じ蒸溜所でここまで振り切った対比を出してくるのは、なかなか面白い(笑)。

テイスティングノート
グラスに注ぐと、ノンピート版の透明感ある黄金色とは異なる、少し深みのある色合いが広がります。
まず力強いピートスモークが前に出て、その奥から木製発酵槽特有のクリーミーでフルーティーな香りが立ち上がります。口に含むと、ピートの荒々しさを木製発酵槽由来の甘やかさとコクが包み込む。フィニッシュには、スモーキーでドライな余韻と安積らしいきれいな甘みが長く残る、非常に複雑で飲み応えのある仕上がりです。

2025エディションと並べて飲み比べるのが、個人的には一番おすすめの楽しみ方です。同じ蒸溜所から生まれた、これだけ異なる表情を見せてくれる——それだけで十分に面白い体験になると思います。

 

YAMAZAKURA シングルモルト 安積 ニュー・アメリカンオークカスク リザーブ

YAMAZAKURA シングルモルト 安積 ニュー・アメリカンオークカスク リザーブ

希望小売価格:15,400円(税込)
参考価格:15,400円(税込)

アルコール度数:55%
容量:700ml

「YAMAZAKURA シングルモルト 安積 ニュー・アメリカンオークカスク リザーブ」は、安積蒸溜所の熟成プロセスへの知見とこだわりが凝縮された特別な限定ボトル。最大の特徴は、2段階にわたる緻密な熟成工程です。2021年6月から2024年8月まで「ファーストフィルバーボン樽」で熟成させた後、さらに「ニューアメリカンオーク樽」へと移し替え、約1年半の追熟を経てリリースされています。

2段階熟成という設計
本作の核心は、2段階にわたる緻密な熟成工程にあります。
2021年6月から2024年8月まで「ファーストフィルバーボン樽」で熟成させた後、さらに「ニューアメリカンオーク樽」へと移し替えて約1年半の追熟を経てリリース。ファーストフィルバーボン樽で原酒の基礎をしっかり作り、そこから新樽に移して香りと厚みを上乗せするという、2ステップの熟成設計です。

追熟に使う樽がまたすごい
追熟に使用された新樽は、カリフォルニア・ナパ・ヴァレーを代表するワイナリー、シルバーオーク社が所有する「The Oak Cooperage」の特注品。樹齢100年以上の最高峰アメリカンオークを用い、バーボン樽サイズの200Lで組み上げ、内側にはハードチャー(強めの焼き入れ)を施した特別仕様です。

ハードチャーを施すことで樽の内側が深く炭化し、バニラやカラメル由来の甘い香味成分がより豊富に溶け出しやすくなります。素材・サイズ・加工まで全部こだわり抜いた樽を、追熟のためだけに特注しているわけです。

2025エディションとの違い
ハウススタイルを表現する2025エディションが複数の樽をヴァッティングして調和を重視しているのに対し、「YAMAZAKURA シングルモルト 安積 ニュー・アメリカンオークカスク リザーブ」は、新樽の影響をほどよくに引き出す手法(追熟)を採用しています。
安積特有の「クリーンで爽やかな甘さ」はそのままに、新樽由来のバニラ香やウッドネスとボディの厚みが加わり、より重層でリッチな仕上がりになっています。3本並べると、同じ蒸溜所でこれだけ異なる表情が出せるのかと驚くはずです。

テイスティングノート
55%という高いアルコール度数がもたらす力強さを予感させるグラス。安積特有の甘く華やかなフレーバーをベースに、新樽由来の豊かなバニラやウッディなニュアンスが重なります。
口に含むと、ハードチャーしたオーク由来の厚みのあるボディが広がり、安積らしい華やかな香りと樽由来の骨太な味わいが絶妙なバランスで共存する。55%でこの飲み心地はなかなかのものです。

今回ご紹介した、シングルモルト安積の3本揃えて飲み比べる機会があれば、ぜひこの順番で試してほしいです。2025エディションのクリーンな甘さを基準に、ピーテッドの荒々しさ。そして、このアメリカンオークカスクリザーブの重層感。

同じ蒸溜所の3つの顔が、ウイスキーの奥深さをそのまま体現しています。

 

伝統を守り続ける大手メーカーから、地域の風土を活かした挑戦を続けるクラフト蒸溜所まで、1万〜2万円の価格帯に揃うウイスキーには、それぞれの作り手のこだわりがぎゅっと詰まっています。

地元の麦芽へのこだわり、気候を活かした熟成、そしてユニークな樽での追熟など、それぞれのボトルの背景を知ることで、グラスに注いだ一杯の味わいはさらに深く、楽しいものになるはずです。ぜひ今回の15選を参考に、あなたのお気に入りの一本を見つけて、贅沢なウイスキータイムを楽しんでみてください。

ユースケ
ユースケ

あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。

 

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健康への配慮: 妊娠中や授乳期の飲酒は、胎児・乳児の発育に悪影響を与えるおそれがあります。
適正飲酒: お酒は楽しく適量を。飲酒運転は法律で厳しく禁止されています。
マナー: 飲酒後は節度ある行動を心がけましょう。

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