81、Russell’s Reserve(ラッセルズ リザーブ)

Russell’s Reserve(ラッセルズ リザーブ)
種類:ケンタッキー・ストレートバーボンウイスキー/ストレートライウイスキー(10年、13年、シングルバレル、シングルバレル・ライ、15年限定など)
蒸溜所:ワイルドターキー蒸溜所(Wild Turkey Distillery、ケンタッキー州ローレンスバーグ)
楽天市場価格[2026年8月]:8,393円(ラッセルズ リザーブ シングルバレル)
ラッセルズ リザーブは、ワイルドターキー蒸溜所を代表するマスターディスティラー、ジミー・ラッセル氏と、その息子エディ・ラッセル氏によって育てられたプレミアム・バーボンブランドです。ワイルドターキーが持つ伝統的な力強い味わいを受け継ぎながら、より厳選された樽を使用し、熟成による奥行きや複雑さを追求した上位シリーズとして位置づけられています。
ブランド名の「ラッセル」は、70年以上にわたってワイルドターキーの製造に携わってきたラッセル家に由来します。特にジミー・ラッセル氏は、アメリカンウイスキー界でも屈指の経験を持つマスターディスティラーとして知られ、「バーボンの仏様」とも称される人物。その技術と経験は、現在のラッセルズ リザーブの品質を支える大きな柱となっています。
ラッセルズ リザーブの特徴は、ワイルドターキーらしい高い樽入れ度数と、厳選された熟成樽にあります。ワイルドターキーでは125プルーフ(62.5%)で樽詰めする伝統があり、これにより樽の風味をしっかりと引き出します。長期熟成を経た原酒は、オークの深みを持ちながらも、ラッセル家が培ってきたブレンド技術によってバランスの取れた味わいに仕上げられています。
定番の「ラッセルズ リザーブ10年」は、ブランドを代表する一本です。10年以上熟成された原酒を使用し、長期熟成ならではの落ち着いた味わいを楽しめます。
「ラッセルズ リザーブ シングルバレル」は、1樽ごとの個性を楽しめる特別なラインです。複数の樽をブレンドする一般的なバーボンとは異なり、選び抜かれた単一樽のみを瓶詰めするため、ボトルごとに異なる表情を見せます。ワイルドターキーの熟成技術をダイレクトに味わえる一本です。
ライウイスキーでは「ラッセルズ リザーブ シングルバレル ライ」も高い人気を誇ります。ライ麦由来の胡椒やハーブのようなスパイス感を持ちながら、樽熟成によるバニラやキャラメルの甘みが加わり、力強さと滑らかさを両立しています。バーボンだけではなく、アメリカンライの魅力を知るうえでも重要な存在です。
さらに、13年熟成や15年熟成といった限定リリースは、ラッセルズ リザーブの熟成能力を象徴する存在です。13年熟成では、長い年月によって生まれる複雑な香味が楽しめます。若いバーボンにはない落ち着きと深みがあり、飲むほどに変化する奥行きが魅力です。
クラシックなアメリカンウイスキーの魅力を求める人にとって、ラッセルズ リザーブは外すことのできない存在です。伝統を守りながら進化を続ける、ケンタッキーバーボンを代表するプレミアムブランドのひとつといえます。
82、Sagamore Spirit(サガモア スピリット)
Sagamore Spirit(サガモア スピリット)
種類:ストレートライウイスキー(ストレートライ、スモールバッチライ、ダブルオーク、各種カスクフィニッシュ、ハイライ・ストレートバーボンなど)
蒸溜所:サガモア・スピリット・ディスティラリー(Sagamore Spirit Distillery、メリーランド州ボルティモア・ポート・コビントン地区)
楽天市場価格[2026年8月]:在庫なし
Sagamore Spirit(サガモア スピリット)は、かつてアメリカ東海岸で栄えたメリーランド・ライウイスキーの伝統を復活させることを目的に誕生した、現代を代表するライウイスキーブランドです。2013年にアンダーアーマー創業者のケビン・プランク氏と、ボルティモアの実業家ビル・マクダーモンド氏によって設立され、禁酒法によって衰退したメリーランド独自のライ文化を再び世界へ発信することを目指してきました。
ブランド名は、ケビン・プランク氏が所有するサガモア・ファームに由来しています。この農場には1909年に建てられた歴史的なスプリングハウスが残されており、さらに石灰岩層を通った天然水も、サガモア スピリットの重要な要素として位置づけられています。土地の歴史と水源をブランドストーリーに取り込んでいる点も、この銘柄の大きな特徴です。
蒸溜所は、メリーランド州ボルティモアのポート・コビントン地区にあるサガモア・スピリット・ディスティラリーです。2016年に最初の製品を発売した当初は、インディアナ州などから調達した原酒を使用していましたが、現在では自社蒸留による原酒も加わり、独自のスタイルを確立しています。
サガモア スピリットの最大の特徴は、異なるライ麦比率の原酒を組み合わせるブレンド技術にあります。特に95%ライ麦の力強い原酒と、51%ライ麦のより穏やかな原酒を使い分けることで、ライ特有のスパイス感と滑らかな口当たりを両立しています。メリーランド・ライらしい、刺激的でありながらバランスの取れた味わいが、このブランドの核となっています。
定番のストレートライは、穀物由来の甘みや樽熟成による厚みが続き、力強さと飲みやすさを兼ね備えています。スモールバッチライは、ブランドのクラフト精神をより強く感じられるライン。メリーランド産の原料と自社蒸留原酒を中心に、少量ずつ丁寧にブレンドされています。
また、サガモア スピリットは樽熟成による表現にも積極的です。ダブルオーク、ラム樽フィニッシュ、モスカテル樽フィニッシュなど、さまざまなカスクフィニッシュを展開しており、ライウイスキーに新しい表情を与えています。スパイス感を軸にしながら、樽由来の甘みや果実感を重ねることで、幅広い味わいを生み出しています。
近年では、ライウイスキーだけでなく「ハイライ・ストレートバーボン」造りにも進出。ライ造りで培った穀物設計やブレンド技術をバーボンにも応用し、伝統的なケンタッキーバーボンとは異なる個性を追求しています。さらに、アメリカ建国250周年を記念した限定リリースなど、希少性の高いボトルも展開され、ブランドとしての注目度は高まっています。
クラシックな伝統と現代的な革新、その両方を兼ね備えたサガモア スピリットは、アメリカンライウイスキーの未来を象徴する存在のひとつです。
83、Sazerac(サゼラック)

Sazerac(サゼラック、Sazerac Rye Whiskey)
種類:ストレートライウイスキー(サゼラック6年、18年、その他限定リリース)
蒸溜所:バッファロートレース蒸溜所(Buffalo Trace Distillery、ケンタッキー州フランクフォート)
楽天市場価格[2026年8月]:4,999円
種類:ストレートライウイスキー(サゼラック6年、18年、その他限定リリース)
蒸溜所:バッファロートレース蒸溜所(Buffalo Trace Distillery、ケンタッキー州フランクフォート)
楽天市場価格[2026年8月]:4,999円
Sazerac Rye Whiskey(サゼラック・ライウイスキー)は、アメリカを代表するクラシックカクテル「サゼラック」と深い関わりを持つ、歴史あるライウイスキーです。ニューオーリンズ発祥とされる「サゼラック」は、アメリカ最古級のカクテルのひとつとして知られ、ライウイスキー、アブサン、ペイショーズ・ビターズを組み合わせた独特のスタイルで、多くのバーテンダーやカクテル愛好家から長く支持されています。
ブランド名の由来は、19世紀ニューオーリンズの酒文化にあります。当初「サゼラック」という名前は、フランス産ブランデー「Sazerac-Forge et Fils」や、それを提供していた「サゼラック・ハウス」に関連するとされています。その後、時代の変化によってベーススピリッツはブランデーからライウイスキーへ移り、現在のカクテルスタイルが確立されました。つまりサゼラック・ライは、単なるウイスキーではなく、アメリカのバー文化そのものを背景に持つブランドです。
現在の生産拠点は、ケンタッキー州フランクフォートにあるバッファロートレース蒸溜所です。バッファロートレースを所有するサゼラック社がブランドを展開しており、蒸留から熟成、瓶詰めまで一貫した管理体制のもとで製造されています。ニューオーリンズ生まれの文化的背景と、ケンタッキーの伝統的なウイスキー造りが融合している点も、この銘柄ならではの特徴です。
スタンダードなサゼラック・ライは、ライウイスキーらしいスパイス感と、バーボンにも通じる甘みのバランスが魅力です。ライウイスキー特有のシャープな個性を持ちながら、過度に刺激的ではなく、丸みのある飲みやすさも備えています。
そのため、ストレートやロックでも楽しめますが、特にカクテルベースとして高い評価を受けています。「サゼラック」はもちろん、「マンハッタン」や「オールドファッションド」など、クラシックカクテルではライウイスキーの骨格が味わいを引き締める重要な役割を果たします。
サゼラックの最大の特徴は、ウイスキーそのものの品質だけでなく、アメリカのカクテル文化やニューオーリンズの歴史を背負っている点です。19世紀から続くバー文化、ライウイスキーの伝統、そしてバッファロートレース蒸溜所の技術力が重なり、唯一無二の存在感を築いています。
84、Seagram’s 7 Crown(シーグラム セブンクラウン)

シーグラム セブンクラウン(Seagram’s 7 Crown、Seagram’s Seven)
種類:アメリカン・ブレンデッド・ウイスキー
蒸溜所:セブンクラウン・ディスティリング・カンパニー(Seven Crown Distilling Company、コネチカット州ノーウォーク)
楽天市場価格[2026年8月]:2,445円
Seagram’s 7 Crown(シーグラム セブンクラウン)は、アメリカのブレンデッド・ウイスキーを代表する歴史あるブランドのひとつです。かつてアメリカ市場で圧倒的な人気を誇り、特にカジュアルな飲み方やカクテル文化と深く結びついてきました。現在でも「7&7」と呼ばれるセブンアップ割りは、この銘柄を象徴するスタイルとして世界的に知られています。
ブランド名の「Seven」の由来には諸説あります。シーグラム社が数多く試作したブレンドの中から7番目に選ばれたことに由来するという説や、ラベルに描かれた王冠(Crown)のデザインと組み合わせた名称という説があります。明確な由来は定まっていませんが、長い歴史を持つブランドらしい象徴的な名前として親しまれています。
シーグラム セブンクラウンのルーツは、1857年にカナダ・オンタリオ州で創業したシーグラム社にあります。同社はカナディアンウイスキーを中心に世界的な酒類企業へ成長し、20世紀にはアメリカ市場でも大きな影響力を持つようになりました。禁酒法終了後の1934年に発売されたセブンクラウンは、安定した品質と飲みやすさによって急速に人気を獲得していきます。
当時のアメリカでは、品質にばらつきのあるウイスキーも多く流通していました。その中でセブンクラウンは、軽快で飲みやすく、毎回安定した味わいを楽しめる点が評価されました。高級志向ではなく、幅広い層が気軽に楽しめるウイスキーとして成長し、アメリカの大衆的なウイスキー文化を象徴する存在へと成長しました。
現在はディアジオがブランドを所有。長い歴史の中で所有者や製造体制は変化してきましたが、セブンクラウンというブランド名と、軽快で親しみやすいブレンデッド・ウイスキーというスタイルは受け継がれています。
シーグラム セブンクラウンの中身は、ストレートウイスキーとニュートラルグレーンスピリッツをブレンドしたアメリカン・ブレンデッド・ウイスキーです。一般的にはストレートウイスキーの比率は25%以上とされ、残りをグレーンスピリッツで構成することで、軽やかで飲みやすい味わいに仕上げています。アルコール度数は40%(80プルーフ)。力強さよりもスムーズさを重視した設計です。
ポピュラーな飲み方は、レモンライムソーダで割る「7&7」。セブンクラウンの穏やかな甘みと軽快なボディが炭酸や柑橘系の爽やかさと相性がよく、アメリカでは長年親しまれてきた定番カクテルとなっています。バー文化や家庭での気軽な飲み方を象徴する一杯といえるでしょう。
シーグラム セブンクラウンは、希少性や高級感を追求するタイプのウイスキーではありません。しかし、長い年月にわたって飲み続けられてきた背景には、誰でも気軽に楽しめる親しみやすさがあります。
日本市場ではそこまで人気はありませんが、アメリカの大衆酒文化、カクテル文化、そしてブレンデッド・ウイスキーの歴史を語るうえで欠かせない、クラシックなブランドと言えるでしょう。
85、Slipknot No. 9 Iowa Whiskey(スリップノット No.9 アイオワ・ウイスキー)
Slipknot No.9 Iowa Whiskey(スリップノット No.9 アイオワ・ウイスキー)
種類:ブレンデッド・アメリカン・ウイスキー
蒸溜所:シダーリッジ蒸留所(Cedar Ridge Distillery、アイオワ州)
楽天市場価格[2026年8月]:6,980円(スリップノット No.9 スモールバッチ アイオワウイスキー)
Slipknot No.9 Iowa Whiskey(スリップノット No.9 アイオワ・ウイスキー)は、アイオワ州出身のヘヴィメタルバンド「Slipknot(スリップノット)」と、同じアイオワ州に拠点を置くシダーリッジ蒸留所が共同で生み出した、バンド初の公式ウイスキーです。
スリップノットといえば、メンバーそれぞれが番号と独自のマスクを持ち、激しい音楽性と強烈なビジュアルで世界的な人気を誇るバンドです。その中でも「No.9」は、メンバーの番号を象徴する存在であり、このウイスキーにもバンドのアイデンティティが込められています。単なる有名アーティストとのコラボ商品ではなく、同じアイオワの地で育った文化と技術を融合させた、地域性のあるプロジェクトとして誕生しました。
原酒の製造はシダーリッジで、アイオワ州のクラフトウイスキー蒸留所です。アイオワはアメリカ有数のトウモロコシ生産地として知られており、その土地の特徴を生かしたウイスキー造りが行われています。スリップノット No.9も、アイオワ産ウイスキーらしい穀物由来の甘みを土台に、ライ由来のスパイス感を加えた設計になっています。
このウイスキーは、ストレート・バーボンとストレート・ライを組み合わせたブレンデッド・アメリカン・ウイスキーです。バーボン原酒はコーン74%、モルテッドライ14%、モルテッドバーリー12%、ライ原酒はライ麦51%を主体とした構成で、それぞれ異なる個性を持つ原酒を組み合わせています。
コーン由来の柔らかな甘みと、ライ麦由来のスパイシーな風味を重ねることで、力強さと飲みやすさのバランスを実現しています。3〜4年熟成の若々しい原酒を使用しながらも、ブレンドによって厚みのある味わいに仕上げている点が特徴です。
定番のNo.9に加えて、より熟成感を重視したリザーブ版や、赤ワイン樽で仕上げたレッドカスク版なども展開されています。リザーブ版では樽由来の深みや厚みが増し、レッドカスク版では赤ワイン樽による果実感や複雑な甘みが加わります。こうした限定展開は、スリップノットらしい実験精神をウイスキーの世界でも表現しています。
アイオワという土地、シダーリッジ蒸留所のクラフト精神、そしてスリップノットの独自の世界観が融合したこのウイスキーは、音楽ファンだけでなく、個性的なアメリカンウイスキーを探している愛好家にも注目される存在です。話題性だけではなく、しっかりと楽しめる品質を備えた、異色のクラフトウイスキーといえるでしょう。
86、Stagg(スタッグ)

スタッグ(Stagg)※旧称 Stagg Jr.
種類:ケンタッキー・ストレート・バーボンウイスキー(バレルプルーフ、非冷却濾過)
蒸溜所:バッファロートレース蒸溜所(Buffalo Trace Distillery、ケンタッキー州フランクフォート)
楽天市場価格[2026年8月]:98,000円(参考価格)
スタッグ(Stagg)は、バッファロートレース蒸溜所が手がける、バレルプルーフ仕様のプレミアム・バーボンです。もともとは「Stagg Jr.(スタッグ ジュニア)」という名称で2013年に発売され、現在はブランド整理により「Stagg」という名称で展開されています。
名前の由来は、19世紀後半にケンタッキー州フランクフォートの蒸溜所を大きく発展させたジョージ・T・スタッグにあります。同じく彼の名を冠する超限定バーボン「ジョージ・T・スタッグ」と同じルーツを持ち、バッファロートレースの伝統を受け継ぐ重要なブランドのひとつです。
ただし、スタッグは単なる廉価版という位置づけではありません。アメリカンウイスキーの最高峰「ジョージ・T・スタッグ」が長期熟成による究極の一本を目指しているのに対し、スタッグは比較的若い原酒を使いながら、バレルプルーフならではの力強さと飲みごたえを追求した別方向の魅力を持っています。
最大の特徴は、加水を行わないバレルプルーフ仕様と、非冷却濾過で瓶詰めされている点です。通常のバーボンでは調整されるアルコール度数をそのまま残すことで、樽由来のオイル感、濃厚な甘み、スパイスの力強さをダイレクトに楽しむことができます。
アルコール度数はバッチごとに異なり、おおむね60%台前半から66%前後でリリースされます。非常に高い度数ながら、単にアルコール感が強いだけではなく、豊かな香味とバランスの良さを兼ね備えている点が、多くの愛好家から評価されています。
原酒には、バッファロートレースの代表的なローバーライ・マッシュビル「マッシュビル#1」が使用されています。コーンを主体に、ライ麦と大麦麦芽を組み合わせたレシピで、バーボンらしいキャラメルのような甘さと、ライ麦由来のスパイシーな風味を生み出しています。
熟成年数は公式な年数表記がありませんが、一般的には8年前後から9年程度熟成された原酒が使用されているとされています。若々しい力強さと、樽熟成による複雑さが両立しやすい熟成年数であり、スタッグ独自の個性につながっています。
高アルコールながら、少量の加水によって香りが大きく開くのも魅力。水を加えることで、隠れていた果実感や樽由来の甘みが現れ、ストレートとは違った表情を楽しむことができます。
スタッグは、バレルプルーフ・バーボンの代表格として、世界中のウイスキー愛好家から高い評価を受けています。現在では人気の高さから入手困難なボトルとなっており、プレミア価格で取引されることも珍しくありません。バレルプルーフ・バーボンの魅力を知るうえで、一度は味わってみたい代表的な一本です。
87、Still the One(スティル・ザ・ワン)
Still the One(スティル・ザ・ワン)
種類:シングルモルトウイスキー/ライウイスキー/バーボンウイスキーなど
蒸溜所:スティル・ザ・ワン蒸溜所(StilltheOne Distillery、ニューヨーク州ポート・チェスター)
楽天市場価格[2026年8月]:在庫なし
スティル・ザ・ワン蒸溜所は、ニューヨーク州ウェストチェスター郡ポート・チェスターで活動していた小規模なクラフト蒸溜所です。ハドソンバレー周辺で広がったローカル・スピリッツ文化の流れを受け、地元産の素材を活用した個性的な酒造りを行っていました。
大量生産のブランドとは異なり、地域とのつながりを重視したものづくりが特徴で、ニューヨークらしいクラフト精神を体現する存在でした。ウイスキーだけでなく、ジンやウォッカなど幅広いスピリッツを手がけ、短い活動期間ながら独自の世界観を築いていました。
スティル・ザ・ワンの原点は、地元産の蜂蜜を使った酒造りにあります。創業当初はハニーワイン(ミード)をベースにしたウォッカなどで注目を集め、その後ジン、ラム、ウイスキーへと製造領域を広げていきました。地域の農産物を蒸溜酒へと変えるという発想は、近年のアメリカン・クラフト蒸溜所に共通する理念でもあります。
ウイスキー部門では、「ウエストチェスター・ウイスキー」シリーズを中心に展開していました。地元産の小麦、ライ麦、コーンなどを使用し、ニューヨーク州西部の土地柄を表現したラインナップを展開。ウエストチェスター・ウイスキー、ウエストチェスター・ライウイスキー、ウエストチェスター・バーボンなど、地域名を冠した商品名からも、地元へのこだわりが感じられます。
また、スティル・ザ・ワンは既存のカテゴリーにとらわれない実験的な取り組みでも知られていました。その代表例が、近隣のクラフトブルワリーであるキャプテン・ローレンス・ブルーイングと共同開発した「287シングルモルトウイスキー」です。
このウイスキーは、ブルワリーで造られたペールエールをそのまま蒸留するというユニークな製法を採用していました。通常の麦芽糖化によるウイスキー造りとは異なり、ビール文化と蒸溜文化を融合させた一本であり、クラフトならではの自由な発想を象徴する存在でした。
スティル・ザ・ワンの魅力は、単に「ニューヨーク産ウイスキー」というだけではありません。地元の原料を使い、地域の生産者と協力しながら、新しい味わいを模索する姿勢にありました。蜂蜜から始まった酒造りが、ジン、ラム、ウイスキーへと広がっていった歩みは、アメリカのクラフト蒸溜所らしい挑戦の歴史そのものです。
一方で、2019年頃には蒸溜所の活動が停止し、現在では事実上閉鎖したとみられています。大規模ブランドへ成長することはありませんでしたが、ニューヨーク近郊で広がったクラフト蒸溜所ブームの一端を担った存在として、その名前は記憶されています。
88、Stillhouse(スティルハウス)
スティルハウス(Stillhouse、Stillhouse Spirits Co.)
種類:コーンウイスキー/フレーバーウイスキー/バーボン/ウォッカ
蒸溜所:スティルハウス・スピリッツ(Stillhouse Spirits Co.、テネシー州コロンビア)
楽天市場価格[2026年8月]:3,498円(スティルハウス オリジナル ウイスキー)
スティルハウスは、アメリカのクラフトスピリッツ市場でも特に異彩を放つブランドです。伝統的なムーンシャイン(密造酒)文化を現代的に再解釈し、ステンレス製の缶容器と自由なフレーバー展開によって、従来のウイスキーとは異なるポジションを築いてきました。
一般的なバーボンのように新樽で長期熟成を行うスタイルとは異なり、スティルハウス オリジナルは樽熟成を行わないクリアタイプのウイスキーです。そのため色は無色透明で、香味も重厚な樽香より、穀物由来の甘さや軽快なアルコール感が中心となっています。
ブランドの象徴ともいえるのが、缶入りという大胆なスタイルです。「ガラスが行けない場所へ(No Glass, No Problem)」というコンセプトを掲げ、アウトドア、音楽イベント、スポーツ観戦など、これまでウイスキーが入り込まなかった場面へ持ち込める酒として展開してきました。重厚で伝統的なイメージが強いアメリカンウイスキーの世界に、カジュアルで若々しい価値観を持ち込んだブランドといえます。
スティルハウスの歴史は、起業家ブラッド・ベッカーマン氏による「Original Moonshine」の開発から始まります。当初は透明なクリアウイスキーをガラス容器で販売していましたが、ブランドの方向性を大きく変えるきっかけとなったのがステンレス缶への変更でした。この独自のパッケージングによって、スティルハウスは単なるスピリッツではなく、ライフスタイルブランドとしての存在感を高めていきました。
現在の製造拠点はテネシー州コロンビアにあります。公式には、伝統的な銅製ポットスチルによる蒸留と炭素濾過を採用しているとされています。原料には主にコーンを使用し、コーン由来の自然な甘みを残しながら、クリアで軽快な飲み口に仕上げています。
ラインナップの幅広さも、スティルハウスの大きな特徴です。代表的なオリジナルウイスキーに加え、アップルクリスプ、ピーチティー、ココナッツ、ミントチップ、レッドホットなど、個性的なフレーバーウイスキーを展開しています。
ブランド成長の過程では、ヒップホップアーティストのG・イージー氏とのコラボレーションなど、音楽やカルチャーとの結びつきを強める展開も行われました。若い世代や都市型ライフスタイルとの親和性を高めることで、従来のウイスキー愛好家とは異なる層へアプローチしています。
その後、バカルディ社がブランドへの投資を進め、最終的にスティルハウスを傘下ブランドとして展開するようになりました。大手スピリッツ企業の販売力を得たことで、アメリカ国内だけでなく、免税店や特殊な流通チャネルでも見かける機会が増えています。
スティルハウスは、熟成や伝統を重視するクラシックなバーボンとは対極に位置するブランドです。しかし、ムーンシャイン文化を現代的なデザインへ置き換え、缶入りスピリッツという新しい飲用スタイルを提案した点では、アメリカンウイスキーの多様化を象徴する存在といえます。
89、Stranahan’s(ストラナハンズ)
ストラナハンズ(Stranahan’s、Stranahan’s Colorado Whiskey)
種類:アメリカン・シングルモルトウイスキー
蒸溜所:ストラナハンズ蒸溜所(Stranahan’s Distillery、コロラド州デンバー、プロキシモ・スピリッツ社傘下)
楽天市場価格[2026年8月]:6,980円(ストラナハンズ シングルバレル カスクストレングス)
ストラナハンズは、アメリカン・シングルモルトの歴史を語るうえで欠かせない先駆的ブランドのひとつです。コロラド州デンバーで2004年に誕生し、クラフト蒸留ブームが本格化する以前から、アメリカでモルト100%のウイスキー造りに取り組んできました。
コロラドは標高が高く、乾燥した気候を持つ地域です。その環境は樽熟成にも影響を与え、寒暖差による樽材との相互作用によって、比較的短い熟成期間でも豊かな樽香を得やすいとされています。
創業者は、ウイスキー愛好家だったジェス・グレイバー氏と、地元でビール醸造に携わっていたジョージ・ストラナハン氏です。2人は、コロラドの自然環境を生かした独自のシングルモルトを造るという目標を共有し、ストラナハンズを立ち上げました。
当時のアメリカでは、シングルモルトといえばスコットランド産が圧倒的な存在感を持っており、国内でモルトウイスキーを造る試みはまだ少数派でした。その中でストラナハンズは、アメリカの土地で造るシングルモルトという新しいカテゴリーを開拓したブランドとして注目されるようになります。
現在はプロキシモ・スピリッツ社(クエルボ、ブッシュミルズ、ブードルス等のブランドを所有)の傘下ブランドとして展開されていますが、デンバーの蒸溜所では創業以来のクラフト精神を受け継いだウイスキー造りが続けられています。
ストラナハンズ最大の特徴は、コロラド産のモルト大麦を100%使用している点です。麦芽由来の豊かな風味を重視し、地元の水を使って仕込みを行うことで、コロラドという土地の個性を反映した味わいを追求しています。
製造理念として掲げる「グレイン・トゥ・グラス(Grain to Glass)」は、原料の選定から蒸留、熟成、瓶詰めまでを自分たちの管理下で行うという考え方です。大量生産ではなく、素材と工程へのこだわりを前面に出したクラフトウイスキーらしいスタイルといえます。
定番のオリジナルは、複数の樽をブレンドして仕上げることで、ストラナハンズらしいバランスを表現した一本です。新樽由来の力強さがありながら、後味は比較的軽快にまとまっています。その他のラインナップには、シェリーカスク、ブルーピーク、ダイヤモンドピーク、マウンテンエンジェルなど、熟成方法や樽使いを変えた限定・上位シリーズも存在します。
ストラナハンズの魅力は、単なる「アメリカ産モルトウイスキー」にとどまらない点にあります。バーボン文化が根付くアメリカで、あえてモルト100%にこだわり、コロラドの風土とクラフト精神を融合させた独自のウイスキー造りを追求してきました。現在では、世界的に注目を集めるアメリカン・シングルモルト市場の先駆者として、高く評価される存在となっています。
90、Templeton(テンプルトン)
テンプルトン(Templeton、正式名称 Templeton Whiskey)
種類:ストレート・ライウイスキー
蒸溜所:テンプルトン蒸溜所(Templeton Distillery、アイオワ州テンプルトン)
楽天市場価格[2026年8月]:3,850円(テンプルトン ライ 4年)
テンプルトンは、アイオワ州の小さな町「テンプルトン」の名を冠した、アメリカン・ライウイスキーを代表するブランドのひとつです。禁酒法時代の密造酒文化を背景にしたストーリー性の強いブランドとして知られ、アメリカらしい歴史と伝説を味わえる一本として、多くのウイスキーファンから注目されてきました。
初期のテンプルトンはブランドの拠点こそアイオワ州にありましたが、原酒の多くはインディアナ州ローレンスバーグのMGPから供給されていました。これはアメリカのクラフトウイスキー業界では珍しくないスタイルで、ブランド開発と蒸留を分けることで市場投入を早める手法の一つです。
その後、ブランドは自社生産へと方向転換し、2018年にはアイオワ州テンプルトンに自社蒸溜所を開設。現在では蒸留から熟成、瓶詰めまでを自社で行う体制を整え、かつての物語だけではなく、実際の生産地としてのアイオワを強く打ち出しています。
ブランドの始まりは、2000年代初頭にスコット・ブッシュ氏らによって立ち上げられたライウイスキー事業です。禁酒法時代にアイオワ州テンプルトンで造られていたとされる密造酒のレシピを再現するというコンセプトが大きな話題となり、2006年頃から市場に登場しました。
特に有名なのが、ギャングのボスとして知られるアル・カポネが愛飲していたという逸話。禁酒法時代に秘密裏に流通していた酒という物語は、テンプルトンのブランドイメージを大きく形成する要素となりました。
テンプルトン ライの特徴は、ライ麦95%、モルト大麦5%という明確なマッシュビルです。ライ麦比率が非常に高いため、スパイス感や穀物由来の香ばしさが際立ちますが、単純に刺激的なだけではなく、熟成による甘みとのバランスが取れています。定番の「テンプルトン ライ 4年」は、ブランドの魅力を最も分かりやすく楽しめる一本。ライウイスキー特有の力強さを持ちながら、口当たりは比較的なめらかで、ストレートだけでなくマンハッタンやオールドファッションドなどのクラシックカクテルにも適しています。
ライ麦由来のスパイス感、樽熟成による甘み、そしてアメリカらしい歴史的ストーリー。そのすべてを楽しめるテンプルトン ライは、クラフトウイスキー時代を象徴する個性的な一本です。
91、Tin Cup(ティンカップ)
ティンカップ(Tin Cup、正式名称 TINCUP American Whiskey)
種類:アメリカン・ウイスキー(ハイライ・バーボン原酒×アメリカン・シングルモルトのブレンド)
蒸溜所:ティンカップ・アメリカンウイスキー(原酒の蒸留・熟成:インディアナ州、ブレンド・加水:コロラド州)
楽天市場価格[2026年8月]:3,496円(ティンカップ アメリカンウイスキー)
ティンカップは、コロラドの雄大な自然やアウトドア文化をコンセプトにした、個性的なアメリカン・ウイスキーブランドです。一般的なバーボンブランドとは異なり、ロッキー山脈の冒険心や開拓者精神を前面に押し出したスタイルで、味わいだけでなくボトルデザインやブランドストーリーにも強い特徴があります。
ブランド名の由来は、コロラド州ガニソン郡にある鉱山町「ティンカップ」にあります。19世紀後半、この地で働いていた鉱夫たちが金属製のカップでウイスキーを楽しんでいたという逸話から名付けられました。特徴的な金属製キャップは、その歴史的な物語を現代のボトルデザインへ落とし込んだものです。
ティンカップを立ち上げたのは、コロラド州デンバーのクラフト蒸溜所「ストラナハンズ」を創設したジェス・グレイバー氏です。彼は、従来のウイスキー文化にコロラドらしい自由な発想を取り入れ、アウトドアシーンでも楽しめる新しいアメリカン・ウイスキーを目指しました。
発売当初から掲げられたコンセプトは「ガラスが行けない場所へ」というものです。キャンプ、登山、ハイキングなど、自然の中で楽しむことを想定し、耐久性のあるボトル形状や携帯性を意識したデザインが採用されています。六角形のボトルと金属カップは、単なる個性的な見た目ではなく、ブランドの思想そのものを表しています。
中身は、インディアナ州で造られた高ライ麦バーボン原酒と、コロラド州のアメリカン・シングルモルトをブレンドしたもの。ベースとなるバーボン原酒は、コーン64%、ライ麦32%、モルト大麦4%というハイライ設計で、新しい焦がしたアメリカンオーク樽で熟成されます。
そこへストラナハンズ由来のコロラド・シングルモルトを加えることで、一般的なバーボンにはないモルト由来の厚みや香ばしさをプラスしています。仕上げにはロッキー山脈の天然水を使用し、アルコール度数42%に調整されています。
定番の「ティンカップ アメリカンウイスキー」に加えて、ストレート・ライや10年熟成などのラインナップも展開されています。ストレート・ライはライ麦の個性をより前面に出した力強い表現で、10年熟成では樽由来の深みや複雑さを楽しめます。
山やキャンプで味わう一杯をイメージさせる世界観と、ハイライ・バーボン×シングルモルトという独自のブレンド設計。その両方が融合したティンカップは、現代アメリカンウイスキーの自由な発想を象徴する一本といえます。
92、Town Branch(タウンブランチ)
タウンブランチ(Town Branch)
種類:ケンタッキー・ストレート・バーボンウイスキー/ライウイスキー/シングルモルトウイスキー
蒸溜所:レキシントン・ブルーイング・アンド・ディスティリング・カンパニー(Lexington Brewing & Distilling Co.、ケンタッキー州レキシントン、Alltech社傘下)
楽天市場価格[2026年8月]:5,478円(タウンブランチ バーボン)
タウンブランチは、ケンタッキー州レキシントンで造られる、地域性を強く打ち出したクラフト・ウイスキーブランドです。ケンタッキーといえば世界的なバーボンの産地として知られていますが、その中でもタウンブランチは「レキシントンの街そのもの」をブランドの中心に据えている点が特徴です。
このブランドを手がけるのは、レキシントン・ブルーイング・アンド・ディスティリング・カンパニーです。アイルランド出身の実業家パース・ライアンズ博士が設立したAlltech社のもとで展開されており、ビール醸造と蒸溜を組み合わせたユニークな事業スタイルを築いています。
ブランド名の「タウンブランチ」は、レキシントン市内を流れる同名の小川に由来します。タウンブランチはかつて街の発展を支えた重要な水源であり、周辺の石灰岩層によってろ過されたケンタッキー特有の良質な水を象徴する存在でもあります。
蒸溜所は200年以上の歴史を持つケンタッキーの蒸溜文化の中で、レキシントンに100年以上ぶりに建設された蒸溜所として注目されました。地域の歴史を掘り起こしながら、新しいクラフト蒸溜所として復活させた存在といえます。
ケンタッキーの多くの蒸溜所と同じく、仕込み水の品質はウイスキー造りにおいて重要な要素。タウンブランチは、その土地の水と歴史をブランドストーリーに取り込むことで、単なるバーボンではなく「レキシントンを味わうウイスキー」として展開されています。
主力商品である「タウンブランチ バーボン」は、コーン72%、ライ麦15%、モルト大麦13%というマッシュビルを採用。蒸留にはスコットランドから導入した銅製ポットスチルを使用しています。一般的なバーボン蒸溜所では連続式蒸留機(ビアスチル)を使うケースが多い中、単式蒸留を取り入れている点は大きな特徴です。
力強さを前面に出したタイプではありませんが、穏やかな飲み口と上品なまとまりが魅力です。ストレートでじっくり楽しむのはもちろん、ロックやハイボールでも扱いやすく、幅広い飲み方に対応できる一本です。
ラインナップはバーボン以外に、ライウイスキーやシングルモルトも存在します。タウンブランチ ライは、ライ麦由来のスパイス感がより明確で、バーボンとは異なるシャープな個性を楽しめます。また、モルト100%で造られる「ピアース・ライアンズ・リザーブ」は、同蒸溜所の技術力を象徴する存在です。
大手ブランドとは異なるローカル感と、現代的な飲みやすさを兼ね備えたタウンブランチは、数あるケンタッキーウイスキーの中でも、個性を楽しみたい人におすすめです。
93、Traveller Whiskey(トラベラー ウイスキー)

トラベラー ウイスキー(Traveller Whiskey)
種類:アメリカン・ブレンデッド・ウイスキー
蒸溜所:バッファロートレース蒸溜所(Buffalo Trace Distillery、ケンタッキー州フランクフォート)でブレンド・瓶詰め
楽天市場価格[2026年8月]:5,980円(トラベラー ブレンデッドウイスキー)
トラベラー ウイスキーは、カントリー歌手クリス・ステイプルトン氏と、ケンタッキーを代表するバッファロートレース蒸溜所が共同開発した、現代的なアメリカン・ブレンデッド・ウイスキーです。音楽界のスターと名門蒸溜所によるコラボレーションとして大きな話題を集めましたが、その魅力は話題性だけではなく、ブレンド技術を重視した中身にもあります。
ブランド名の「Traveller」は、クリス・ステイプルトン氏のデビューアルバム『Traveller』に由来しています。彼の音楽活動と深く結びついた名称であり、旅や人生経験を重ねながら成長していくというブランドイメージを表現しています。音楽とウイスキーという異なる文化をつなぐ存在として誕生した一本です。
開発の舞台となったのは、ケンタッキー州フランクフォートにあるバッファロートレース蒸溜所です。数多くの歴史的ブランドを抱えるサゼラック社傘下の蒸溜所であり、長年培ってきた熟成・ブレンド技術がトラベラー ウイスキーの土台になっています。
このウイスキーの大きな特徴は、一般的なアメリカン・ブレンデッド・ウイスキーとは異なり、ニュートラルグレーンスピリッツを使用していない点にあります。バッファロートレースによると、複数のストレートウイスキーを組み合わせて造られており、軽さだけを追求したブレンドではなく、それぞれの原酒の個性を重ね合わせることで味わいを構築しています。
使用されている具体的な原酒の種類や比率については公開されていませんが、開発段階では50種類以上のブレンドを試作し、その中から「ブレンドNo.40」が最終的な製品として選ばれています。
発売は2024年で、750mlボトルの希望小売価格は39.99ドルに設定されました。バッファロートレース蒸溜所のビジターセンターで販売が始まった後、全米の小売店やバー、レストランへ展開され、発売直後から高い注目を集めました。
発売後は国際的なウイスキーコンペティションでも評価され、2024年には複数の大会で高い評価を獲得しました。特にAmerican Whiskey Mastersなどでの受賞は、著名アーティストとのコラボレーションという話題性だけではなく、ウイスキーそのものの完成度が認められた結果といえます。
トラベラー ウイスキーは、華やかな背景を持ちながら、実際の味わいは非常にバランス重視で、幅広い飲み手に受け入れられる完成度を備えています。伝統的なケンタッキーウイスキーの技術を、現代的な感性で再構築した一本として、今後の展開にも注目したいアメリカン・ブレンデッド・ウイスキーです。
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94、Uncle Nearest(アンクル ニアレスト)

アンクル・ニアレスト(Uncle Nearest Premium Whiskey)
種類:テネシー・ウイスキー/ストレート・バーボン/ストレート・ライウイスキー
蒸溜所:ニアレスト・グリーン蒸溜所(Nearest Green Distillery、テネシー州シェルビービル)
楽天市場価格[2026年8月]:9,180円(アンクル ニアレスト 1856 プレミアム ウイスキー)
アンクル・ニアレストは、アメリカンウイスキーの歴史において長く知られていなかった偉大な人物の功績を現代に伝える、非常にユニークなブランドです。名前の由来となっているのは、テネシー・ウイスキーの発展に大きく関わったネイサン“ニアレスト”グリーン氏です。
グリーン氏は、後にジャックダニエル蒸溜所の創業者となるジャック・ダニエルに蒸留技術を教えた人物として知られています。また、記録上確認できる初期のアフリカ系アメリカ人マスターディスティラーの一人であり、テネシー・ウイスキーの象徴的な製法であるチャコール・メローイング(木炭による濾過)にも深く関わったとされています。
しかし、長い間その功績は十分に語られることがありませんでした。2016年頃からグリーン氏の歴史が再評価され、その翌年となる2017年にアンクル・ニアレスト社が設立されました。ブランド名に彼の名前を冠することで、忘れられていたウイスキー史の一ページを現代へとつなげています。
ブランド創設当初は、既存の蒸溜所から原酒を調達しながら製品展開をスタートしました。その後、テネシー州シェルビービルに自社蒸溜所となるニアレスト・グリーン蒸溜所を建設し、現在では製造、熟成、ビジター体験を含めたブランドの中心拠点となっています。
蒸溜所では、テネシー・ウイスキーの伝統であるチャコール・メローイングを採用しています。サトウカエデの木炭を使用して原酒を濾過することで、アルコールの角を和らげ、滑らかで丸みのある味わいを生み出しています。
また、ブランドの特徴として、熟成樽の選定やブレンド技術にも力を入れています。単なる歴史的ストーリーだけではなく、現代的なプレミアムウイスキーとして品質面にも重点を置いている点が、アンクル・ニアレストの大きな魅力です。
代表的な銘柄が「1856プレミアム・ウイスキー」。これはネイサン・グリーンが活動していた時代を象徴する名前を冠したボトルで、複数の原酒を組み合わせたブレンデッド・テネシーウイスキーです。
「1884スモールバッチ」は、ネイサン・グリーンの生まれた年にちなむ名前を持つシリーズで、よりクラフト感を重視したボトル。さらにシングルバレルでは、樽ごとの個性を前面に出し、熟成による深みや複雑さを楽しめます。
近年ではライウイスキーにも力を入れており、ライ麦由来のスパイス感とテネシーウイスキーらしい滑らかな口当たりを組み合わせた独自のスタイルを展開しています。バーボン、ライ、テネシーウイスキーという複数のカテゴリーを通じて、ブランドの可能性を広げています。
アンクル・ニアレストの魅力は、歴史的な意義とウイスキーとしての品質が両立している点にあります。単なるストーリー先行のブランドではなく、国際的なコンペティションでも高い評価を獲得し、短期間でアメリカを代表するクラフトウイスキーブランドのひとつへ成長しました。
95、Union Horse(ユニオンホース)
ユニオンホース(Union Horse、ユニオンホース・ディスティリング・カンパニー)
種類:ストレート・バーボンウイスキー/ストレート・ライウイスキー/アメリカン・シングルモルト
蒸溜所:ユニオンホース・ディスティリング・カンパニー(Union Horse Distilling Co.、カンザス州レネクサ)
楽天市場価格[2026年8月]:在庫なし
ユニオンホースは、カンザス州レネクサで誕生した、クラフト精神を色濃く持つアメリカンウイスキーブランドです。2010年にガルシア家によって設立され、原料の選定から蒸留、熟成、瓶詰めまでを自社で行う「グレイン・トゥ・グラス」の考え方を大切にしています。
大規模メーカーが多いアメリカンウイスキーの世界において、ユニオンホースは地域性を前面に押し出してきました。カンザス州を中心とした中西部産の穀物を使用し、土地の気候や環境をそのまま熟成に取り込むことで、ローカルクラフトならではの個性を表現しています。
創業したのはガルシア家の4人で、家族によるものづくりの精神がブランドの根幹になっています。単に「地元産」を売りにするだけではなく、農家とのつながりを重視し、原料から完成品まで責任を持って管理する姿勢がユニオンホースの大きな特徴です。
蒸留設備にもクラフト蒸溜所らしいこだわりがあります。使用されている銅製ポットスチルは、アメリカの有名な蒸留設備メーカーであるヴェンドーム・コッパー・アンド・ブラス・ワークス社によって製造された特注品。「チェスター・コッパーポット」と名付けられたこのスチルは、ユニオンホースの象徴的な存在となっています。
熟成では、人工的な環境制御に頼りすぎず、カンザス特有の寒暖差を活かしています。夏の暑さと冬の冷え込みによる樽の膨張・収縮が、原酒と木材の接触を促し、バニラやキャラメル、オーク由来の豊かな風味を生み出します。
代表的な銘柄のひとつが「Reserve Straight Bourbon」です。コーン由来の甘みを中心に、バニラ、メープル、キャラメル、オークの香りが広がり、そこに穏やかなスパイス感が加わります。力強さを持ちながらも飲みやすく、ストレートからカクテルまで幅広く楽しめるバランス型のバーボンです。
ライウイスキーの「Reunion Rye」は、ユニオンホースの個性をより感じやすいシリーズ。ライ麦由来のスパイス感やハーブのニュアンス、香ばしい樽香が特徴で、バーボンよりもシャープで骨格のある味わいを楽しめます。
また、ユニオンホースはバーボンやライだけでなく、アメリカン・シングルモルトにも積極的に取り組んでいます。モルト由来の香ばしさと、アメリカンオーク熟成による甘みを組み合わせることで、スコッチとは異なるアメリカ独自のシングルモルト表現を追求しています。
そのほかにも、複数種類の穀物を使ったフォーグレイン系のウイスキーや、熟成前のニューメイクに近いホワイトウイスキーなど、実験的な商品展開も行っています。こうした幅広い試みは、クラフト蒸溜所ならではの柔軟な発想を感じさせます。
派手なブランド戦略ではなく、地域性と品質へのこだわりで評価を高めてきたユニオンホースは、アメリカ中西部を代表するクラフトウイスキーのひとつです。バーボン、ライ、シングルモルトという異なるジャンルを横断しながら、自分たちの土地ならではの味を追求する姿勢こそ、このブランド最大の魅力といえます。
96、Van Brunt Stillhouse(ヴァン ブラント スティルハウス)
ヴァン ブラント スティルハウス(Van Brunt Stillhouse)
種類:アメリカン・ウイスキー(4穀物ブレンド)/バーボン/モルトウイスキー/ライウイスキー/ラム/グラッパなど
蒸溜所:ヴァン ブラント スティルハウス(Van Brunt Stillhouse、ニューヨーク州ブルックリン・レッドフック地区)
楽天市場価格[2026年8月]:6,910円(ヴァン ブラント スティルハウス ライウイスキー)
ヴァン ブラント スティルハウスは、ニューヨーク・ブルックリンのレッドフック地区で誕生したクラフト蒸溜所です。港町としての歴史を持つウォーターフロントの一角で、少量生産による個性的なスピリッツを生み出しています。
ブランド名は、ブルックリンの歴史的な地名に由来しています。創業時に探していた物件の近くにあったヴァン・ブラント・ストリートの名前に惹かれ、その響きと地域性を気に入ってブランド名として採用しました。オランダ系移民の歴史を持つブルックリンらしい背景も、この名前には込められています。
旧工場を改装したスペースから始まったこの蒸溜所は、ニューヨークらしい都市文化と、昔ながらの手仕事による蒸溜文化を融合させた存在です。大量生産とは異なる、小規模だからこそ可能な自由な発想がブランドの大きな魅力になっています。
創業者はダリック・シュレッセルマン氏。もともとはテレビ番組制作の世界で映像編集者として活動していましたが、蒸溜への興味を深め、スピリッツ造りの道へ転身しました。
その後、スコットランドなどで蒸留技術を学び、2012年にヴァン ブラント スティルハウスを設立。異業種からの参入だったこともあり、伝統的なカテゴリーに縛られない柔軟な商品開発が特徴です。バーボン、ライ、モルトウイスキーだけでなく、ラムやグラッパなど幅広いジャンルに挑戦しており、クラフト蒸溜所らしい実験精神が感じられます。
代表的なアメリカン・ウイスキーは、小麦、ライ麦、トウモロコシ、モルト大麦を使用した4穀物ブレンドです。複数の穀物を組み合わせることで、一般的なバーボンとは異なる複雑な穀物感を生み出しています。
バーボンも、ニューヨーク産の穀物を活かした個性あふれる1本。力強さよりも柔らかさと香りの広がりを楽しむタイプです。ライウイスキーは、ヴァン ブラントの中でも特に人気の高いカテゴリー。ライ麦由来のスパイス感に加え、シャープさと上品な甘みを兼ね備えています。
ヴァン ブラント スティルハウスの魅力は、ブルックリンという都市の中で、土地とのつながりを大切にした酒造りを行っている点です。ニューヨークらしい自由な発想と、昔ながらの蒸溜技術を組み合わせることで、大手ブランドにはない個性を生み出しています。






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