【2024年】世界の有名バーで人気のアイリッシュウイスキー｜ランキングTOP10

この記事では、世界中の有名なバーで人気のあるアイリッシュウイスキーを10本ご紹介致します。

今回は、イギリスの「Drinks International」が発表した「ブランドレポート2024:アイリッシュウイスキー」を基にランキングを作成。各ウイスキーブランドを、銀座のオーナーバーテンダーである私、ユースケの見解も合わせて解説致します。

このデータは、国際的なタイトルを受賞するなど、名実共に優れた世界中のバー100軒に対して調査した結果であり、「ウイスキーの売上数」を順位にしたものではありません。2024年時点のアイリッシュウイスキー人気ブランドを示す一つの指標としてご覧ください。

 

 

【2024年】世界の有名バーで人気のアイリッシュウイスキー｜ランキングTOP10

第１位：ジェムソン (Jameson)

• 種類：ブレンデッドウイスキー、ポットスチルウイスキー
• 主力商品：ジェムソン、ジェムソン ブラック バレル、ジェムソン スタウトエディション など
• 楽天市場価格[2024年10月]：1,870円（ジェムソン）

見事１位に輝いたのは、世界ウイスキー売上ランキングでも７位にランクインし、最も売れているアイリッシュウイスキーの王者「ジェムソン」。世界の有名バーでもその立ち位置が変わることなく、アイリッシュウイスキーの「顔」とまで言える、業界に必要不可欠なビッグブランド。アイリッシュ市場において圧倒的なシェア率を誇り、70%以上にまで到達しています。

「ジェムソン」は新ミドルトン蒸留所で製造されています。蒸留所ではピュアポットスチルウイスキーとグレーンウイスキーを生産しており、「ジェムソン」のスタンダードは、これらをブレンドした商品です。

ピュアポットスチルとグレーンの比率は、スタンダードボトルは「50：50」程度とされていますが、「ジェムソン12年」や「ジェムソン ボウ・ストリート 18年」といった上位ボトルのは、味の中核となるピュアポットスチルの比率は高く設定されています。

世界市場ではアイリッシュウイスキーの中では圧倒的なシェアを誇るジェムソンですが、日本市場では「ブッシュミルズ」や、近年急速にシェアを拡大している「バスカー」と、激しく首位争いをしている状態。

ライバルの「ブッシュミルズ」は生産量を拡大させていますので、「ジェムソン」が日本でこのままトップをキープできるのか注目ですね。

 

 

第2位：ブッシュミルズ (Bushmills)

• 種類：シングルモルトウイスキー、ブレンデッドウイスキー
• 主力商品：ブッシュミルズ ザ オリジナル、ブラックブッシュ、ブッシュミルズ シングルモルト10年 など
• 楽天市場価格[2024年10月]：1,757円（ブッシュミルズ ザ オリジナル）

第２位は、１位と同じくも順当と言うべきか、日本でも大人気のアイリッシュウイスキー「ブッシュミルズ」です。

「ジェムソン」との違いとしては、ブッシュミルズはシングルモルトとブレンデッドの両方をブランドとして展開している点。ブレンデッドはカクテルベースに適していますし、シングルモルトはウイスキー単体で愉しむことができるため、世界の有名バーで、「ブッシュミルズ」の取り扱いが無い、というほうが、違和感を覚えるでしょう。

ブッシュミルズのスタンダードボトル「ブッシュミルズ ザ オリジナル」は、３回蒸溜をしたモルトとライトなグレーンをブレンド。モルト原酒の比率は50%。リーズナブルな銘柄にしてはモルトがしっかりと入っており、アイリッシュらしいスムースな口当たりが特徴的。

そして「ブッシュミルズ ブラックブッシュ」はその上位版となるボトルで、オロロソシェリーカスクとバーボン樽で最長7年間熟成させたモルト原酒を80％以上使用しています。モルトの比率が多いことから、リッチでマイルド。シェリー樽からのコクとフルーティーさも相まって、リーズナブルながら飲みごたえのあるアイリッシュウイスキーとなっています。

 

 

第3位：レッドブレスト (Redbreast)

• 種類：シングルポットスチルウイスキー
• 主力商品：レッドブレスト12年、レッドブレスト ルスタウ シェリーフィニッシュ など
• 楽天市場価格[2024年10月]：6,389円（レッドブレスト12年）

第３位は、アイリッシュウイスキー伝統の「ポットスチルウイスキー」のトップブランドである「レッドブレスト」。今回のランキングでは、1、2位は誰もが知るアイリッシュウイスキーの2大巨頭でしたが、３位の「レッドブレスト」に関しては、ウイスキー愛好家もその名を知らない方や、まだ飲んだことがない方も多いと思います。

世界の有名バーではメジャーなブランドですが、日本ではそこまで知られていない「レッドブレスト」。このブランドが誕生したのは1939年で、立ち上げたのはイギリスの「ギルビージン」などで知られているギルビー社です。

原酒を供給していたダブリンの「ボウストリート蒸留所」が1960年代に閉鎖し、1971年までは原酒の買い付けを行ことができましたが、1985年に生産終了。しかしその後、アイリッシュディスティラリーズ社（ペルノリカール傘下）がギルビー社からブランド権を買い取り、「レッドブレスト」を復刻させます。

現在の「レッドブレスト」に使用されている原酒は、新ミドルトン蒸留所で造られている比較的ヘビーなタイプ。シェリー樽とバーボン樽で熟成させており、独特なクリーミーを持ち、バニラ、フルーツケーキ、キャラメルナッツのような個性を持っています。

 

 

 

第4位：タラモアデュー (Tullamore Dew)

• 種類：ブレンデッドウイスキー、シングルモルトウイスキー
• 主力商品：タラモアデュー、タラモアデュー 14年 シングルモルト など
• 楽天市場価格[2024年10月]：2,222円（タラモアデュー）

第4位の「タラモアデュー」は、「ブッシュミルズ」と同じくシングルモルトとブレンデッドの両方を生産していますが、シングルモルトの出荷数は限定的であるため、ブランドの累計売上数ではブッシュミルズと大きく差が付いています。それでも、世界の有名バーでの取り扱いが上位であることから、このブランドには多くのファンと、バーテンダーからの信頼があることが分かります。

しかし、「タラモアデュー」は日本市場でそこまで人気のあるブランドではなく、同じような調査を日本のバーで行った場合、トップ10入りも厳しいかもしれません…

スタンダードボトル「タラモアデュー」は、ピュアポットスチルとグレーンを合わせた、正統派アイリッシュブレンデッドウイスキー。新ミドルトン蒸留所の原酒を使用しています。クセが少ないため、ウイスキー初心者にもおすすめです。

 

 

第5位：ティーリング (Teeling)

• 種類：ブレンデッドウイスキー、シングルモルトウイスキー、シングルポットスチルウイスキー、グレーンウイスキー
• 主力商品：ティーリング スモールバッチ、ティーリング シングルポットスティル、
  ティーリング シングルモルト、ティーリング シングルグレーン
• 楽天市場価格[2024年10月]：4,125円（ティーリング スモールバッチ）

４種類のウイスキーを造り分ける、日本でもおなじみのアイリッシュウイスキー「ティーリング」が第５位。ウイスキーの種類が多いのも、トップバーで扱われている理由の一つかもしれません。世界でもその評価は高く、どのタイプもアイリッシュらしい個性も持っていることから、バーテンダーとしても「売りやすい」のではないでしょうか。

2015年に開業したティーリング蒸留所は、かつてはビール工場やウイスキー蒸留所が立ち並んでいたリバティーズ地区にある古い倉庫を改装する形で誕生しました。2017年にはバカルディ社がティーリングの一部株式を買収。バカルディグループとしては初のアイリッシュ市場への進出となりました。

ティーリングのラインナップの内、「スモールバッチ」と「シングルグレーン」は「クーリー蒸留所」の原酒が使用されていますが、「ポットスチルウイスキー」と「モルトウイスキー」は、ティーリング蒸溜所の原酒のみで構成されています。

 

 

第6位：グリーンスポット (Green Spot)

• 種類：シングルポットスチルウイスキー
• 主力商品：グリーンスポット、グリーンスポット シャトー・レオヴィル・バルトン カスク、グリーンスポット シャトー・モンテレーナ カスク など
• 楽天市場価格[2024年10月]：5,440円（グリーンスポット）

「グリーンスポット」は、ダブリンに本拠を置く「ミッチェル&サン社」の手がけるピュアポットスチルウイスキーです。このブランドは生産量が少なく、人気の高いアイリッシュウイスキーとしても知られています。

今回のランキングは「出荷本数」を示したものではありませんから、世界のトップバーで取り扱いがあるだけで、そこまで多くのセールスとはなっていないはず。それでも、多くの有名バーテンダーから支持を受けていることからもわかる通り、人気以上の実力を持つブランドです。

「グリーンスポット」の名前の由来は、樽に熟成年別に印（スポット）をつけていたことから。かつてはブルースポット（7年）、イエロースポット（12年）、レッドスポット（15年）などが存在しており、各ボトルは熟成年数によって色分けがされていました。

現在は「グリーンスポット」と、グリーンよりもさらに生産量の少ない限定品「イエロースポット」「レッドスポット」が、2024年10月から日本市場で正規販売を開始しています。

 

 

第7位：カネマラ (Connemara)

• 種類：シングルモルトウイスキー
• 主力商品：カネマラ オリジナル、カネマラ12年 など
• 楽天市場価格[2024年10月]：4,367円（カネマラ オリジナル）

「カネマラ」は、クーリー蒸留所で造られているシングルモルトアイリッシュウイスキー。年数表記のない「カネマラ オリジナル」と、12年物の「カネマラ12年」が通常ラインナップとして販売されています。

カネマラはアイリッシュでは珍しく、ピーテッドモルトで仕込まれたウイスキーです。スコットランドのアイラ島を意識して造られたブランドで、アイルランド伝統の３回蒸留ではなく、スコッチと同様に２回蒸留を採用しています。

現在はアイルランドの蒸留所が増え、スコッチタイプのスモーキ―モルトを造るメーカーも珍しくはありません。カネマラはそれらのパイオニアとして、アイリッシュウイスキーを牽引しているは間違いありませんね。

使用される麦芽のフェノール値（ピートの強さを表す数値）は、アイラ島の「ラフロイグ」や「アードベッグ」と比べると弱めとなる「14ppm」。程よいスモーキーさと樽香、フルーツ、麦芽、バニラなどのフレーバーがバランスよく溶け込んでいます。

個性が強いので、カクテルのベースウイスキーとしては不向きかもしれませんが、スモーキ―アイリッシュの代表的なブランドということもあって、世界の有名バーでも置かれていることが多いようです。

 

 

第8位：ザ・バスカー (The Busker)

• 種類：ブレンデッドウイスキー、シングルモルトウイスキー、シングルポットスチルウイスキー、グレーンウイスキー
• 主力商品：バスカー、バスカー シングルモルトウイスキー、バスカ ーグレーンウイスキー、バスカー シングルポットスチルウイスキー など
• 楽天市場価格[2024年10月]：2,135円（バスカー）

「ザ・バスカー」は、リリースからわずか数年の間で、日本における“販売数No.1アイリッシュウイスキー”の座を獲得。日本での売り上げはどの国よりも多く、世界で一番「ザ・バスカー」を飲んでいるのは日本人ということになりますが、世界の有名バーでも、徐々にその人気と知名度を伸ばしています。

「ザ・バスカー」が造られているのは、アイルランドのカーロウにある、「ロイヤルオーク蒸溜所」です。創業は2016年ですが、すでに多くのラインアップを展開。シングルモルト、シングルポットスチル、シングルグレーン、ブレンデッドの４種のウイスキーをリリースしています。

ロイヤルオーク蒸溜所では、単式蒸溜器と連続式蒸溜機の両方を使用。複雑で奥深い味わいを追求しています。熟成にはバーボン樽やシェリー樽に加え、老舗「フローリオ」のマルサラワイン樽も使用しており、フルーティーで華やかな香りと、まろやかな甘みを作り出しています。

2024年7月には新ボトルにリニューアル。日本国内でバスカーがリリースされたのは2021年11月ですから、わずか3年足らずでのボトルチェンジとなりましたが、デザインが大きく変更されることはなく、ウイスキーの味わいもこれまで通りの高いクオリティを維持しています。

 

 

第9位：パワーズ (Powers)

• 種類：ブレンデッドウイスキー、ポットスチルウイスキー
• 主力商品：パワーズ ゴールドラベル、パワーズ シグネチャー リリース
• Amazon価格[2024年10月]：3,498円（パワーズ ゴールドラベル）

第9位の「パワーズ」は、日本での正規販売がなく、並行輸入もかなり限定的であるためか、国内ではほとんど流通していません。世界の有名バーでは「大定番」とまではいかないものの、アイリッシュウイスキーのカテゴリーではトップ10以内に入ることから、広く知られたウイスキーとなっており、特にアイルランド国内では人気のあるブランドです。

「パワーズ」は、1791年創業のジョン・パワー社が生み出したブランド。現在は全ての原酒が新ミドルトン蒸留所で製造されています。

主力製品の「パワーズ ゴールドラベル」は、ポットスチルウイスキーとグレーンウイスキーを合わせたブレンデッドウイスキー。また、ピュアポットスチルウイスキーの「パワーズ　シグネチャー リリース」は、麦芽（モルト）と未発芽大麦（バーレイ）を原料とし、その比率は40対60。

新ミドルトン蒸留所では、ポットスチルウイスキーがそれぞれのブランドに合うよう作り分けていますが、「パワーズ」の原酒用には、比較的ヘビータイプのピュアポットスチルウイスキーが使用されており、個性的で飲みごたえのある味わいに仕上げられています。

国内で見かけることがほとんどありませんから、バーなどで見つけたら１杯飲んでおきたいところです。

 

 

第10位：ウエストコーク (West Cork)

• 種類：シングルモルトウイスキー、ポットスチルウイスキー、グレーンウイスキー
• 主力商品：ウエスト コーク　バーボンカスク、ウエストコーク シェリーカスク フィニッシュ、ウエストコーク ポートカスク フィニッシュ など
• 楽天市場価格[2024年10月]：2,178円（ウエストコーク バーボンカスク）

最後に紹介するのは、2003年創業のクラフトウイスキー蒸留所「ウエストコーク」が造るアイリッシュウイスキーです。

この蒸留所では多様なスチルを用いて様々なタイプのウイスキー原酒を造り分けており、原酒は自社製品のほか、クラフト蒸留所にも供給。モルトウイスキー、グレーンウイスキー、ポットスチルウイスキーの他、ジンやウォッカなどのスピリッツも生産しています。

ウエストコーク蒸留所では、モルトとグレーン用の2つのマッシュタン、8つのポットスチル、2つのコラムスチルがありますが、これらのほとんどが「自作」か「改造したスチル」。蒸留所には大きなガレージがあり、そこで特殊なスチルを製造できるとのこと。

「ウエストコーク」のブランドとしては、シングルモルトとブレンデッドの２種類をリリース。特にシングルモルトのラインアップは豊富で、バーボンカスクやシェリーカスク、ラムカスク、IPAカスク、新樽など、様々な樽で熟成させ、個性的なウイスキーをリリースしています。

創業からまだ20年程ですが、世界の有名バーから支持されています。日本での人気も徐々に高まっており、今後注目のブランドとなりそうです。

 

 

 

 

冒頭でもお伝えしていますが、今回のランキング結果は、国際的に活躍している世界中のバー100軒に対して行った調査を参考につくられたものです。世界の一流バーでのウイスキー購買習慣の順位であり、売上数ではなく、あくまでも現在の人気ブランドを示す指標となっています。

あなたの好きなアイリッシュウイスキーはありましたか？

これらのアイリッシュウイスキーは、多くのバーテンダーやウイスキー愛好家に支持されています。ぜひこのランキングを参考に、自分だけのお気に入りの1本を見つけてみてください。

 

 

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