ウイスキー初心者向け講座 モルトウイスキーの原料「大麦麦芽」(モルト)とは? 

ユースケ
ユースケ

こんばんは。ユースケです。

僕の自己紹介:経歴9年の現役バーテンダー。ウイスキー文化研究所認定「ウイスキーエキスパート」。JSA認定「ソムリエ」。

この記事ではモルトウイスキーの原料である、大麦麦芽(モルト)について、ウイスキー初心者の方にもわかるように説明したいと思います。 

 こんな疑問がある方にお勧めの内容になっています。 

  • そもそも大麦麦芽(モルト)ってなに?
  • モルトに種類ってあるの?
  • モルトの作り方は?ピートってなに?

 ウイスキーにとって重要であるはずの原料が、意外と注目されていないように思います。 

原料の「モルト」を詳しく知ることで、モルトウイスキーについての理解度を大幅にあげることができますよ。 

モルトウイスキーのことがもっと好きになれますし、これを知っておいたらウイスキーを飲むのがもっと楽しくなるはずです! 

ぜひ最後までご覧ください。  

ウイスキー初心者向け講座 モルトウイスキーの原料「大麦麦芽」とは? 

大麦麦芽とは大麦を発芽させたもので、モルトとも呼ばれています。 

大麦を発芽させることで、糖化酵素を作り出すことができます。 なぜ糖化酵素が必要なのかというと、ウイスキーの原料である「穀物」はでんぷん質であるからです。 アルコール発酵させるには、でんぷんを「糖分」に変える必要があります。  糖化酵素は麦芽になる前の「大麦」(バーレイ)にはありません。 

大麦麦芽(モルト)にすることで、糖化酵素ができて、モルトウイスキーを作ることができるようになります。 

 

ウイスキー初心者向け講座 モルトウイスキーの原料「大麦麦芽」とは?大麦について 

では「大麦」(バーレイ)についてご説明いたします。 

大麦は、小麦やトウモロコシ、米などと共に、人類に欠かすことのできない、重要な食用穀物の一種です。最近では大麦の若葉を粉末にした「青汁」が人気になっています。 

そして、お酒造りにも大麦は使われています。ウイスキー以外には、ビール、焼酎などにも利用されています。 

 

ウイスキー初心者向け講座 モルトウイスキーの原料「大麦麦芽」とは?大麦の種類 

ウイスキー用に使われる大麦は、大きく2種類に分けられます。 

  • 二条大麦 
  • 六条大麦 

 モルトウイスキーの原料として使われるのは「二条大麦」ですが、ここでは比較対象として「六条大麦」の解説もします。 

 

≪二条大麦(二条種)≫

通称「ビール麦」。モルトウイスキー以外にビールにも使われています。 

一粒が大きいことから、「大粒大麦」と呼ばれることもあります。 

酵素力が弱い品種です。 

 

≪六条大麦(六条種)≫

上から見ると、正六角形に実がなって見えることから名前がつきました。 

二条大麦と比べて酵素力が強いのが特徴です。 

そのため、ほかの原料が主体となっているウイスキー(バーボンウイスキーグレーンウイスキー)にも使われています。 

バーボンウイスキー
グレーンウイスキー

ちなみに、麦ごはん(麦飯)や麦茶などに使われているのは六条大麦です。 

 

二条大麦と六条大麦の比較表
二条大麦六条大麦
ウイスキーの種類モルトウイスキーバーボン、グレーンウイスキーなど
粒の大きさ大きい小さい
でんぷん多い少ない
タンパク質少ない多い
酵素力弱い強い
その他の用途ビール食用(麦飯、麦茶)
麦芽飴(麦芽糖)デンプン
飼料用飼料用

二条大麦は、酵素力が弱い分、でんぷんが多いため、最終的なアルコール収量が多い特徴があります。モルトウイスキーは100%大麦麦芽ですから、酵素力の弱さは問題ありません。 

 一方、六条大麦は、酵素力が強いものの、でんぷん質は少ないため、アルコール収量は少なくなります。つまり、六条大麦だけではウイスキー醸造用に不向きといえます。そのため、バーボンやグレーンウイスキーに1割~2割程度いれられて、酵素力の強さを活かした、糖化酵素としての役割を果たすことになります。 

 

ウイスキー初心者向け講座 モルトウイスキーの原料「大麦麦芽」とは?大麦品種について 

大麦の品種と品種改良についてご説明します。 

 

大麦の品種

モルトウイスキー用の大麦の品種は、1900年以降に次々と開発されています。 ちなみに、大麦の品種は「ウイスキーの味わいにおおきく作用することはない」というのが定説です。(ワインであれば、ブドウ品種が味わいを決定づけますが、ウイスキーは違います) 

 ですので、大麦の品種改良の目的は、おいしいウイスキーをつくる為に行われるわけではなく、あくまでもアルコールの収量を増やすことが目的です。でんぷん質が高い大麦に品種改良していきました。 

 

ゴールデンプロミスとは?

 1960年代に開発された「ゴールデン・プロミス」という品種があります。 この品種は「マッカラン蒸留所」が、未だに使っていることで有名な品種です。 

ゴールデンプロミスは優秀な品種でしたが、その後品種改良のサイクルがどんどん早くなりました。いまでは「コンチェルト」「オクタビア」などの更にアルコール収容の多い品種があります。 

 いまではより多くのアルコールをとれるように、収量の多い大麦の品種を積極的に使うようになり、古い品種は使われなくなってきました。 

マッカラン 12年 700ml シェリー オーク カスク ザ マッカラン シングルモルトウィスキー 正規箱付_[リカーズベスト]_[全品ヤマト宅急便配送]

 

ウイスキー初心者向け講座 モルトウイスキーの原料「大麦麦芽」とは?大麦麦芽の作り方(製麦) 

jasmine rice seed farmer hand

大麦麦芽(モルト)の作り方は、「製麦」ともいいます。 

ウイスキーの製麦は、昔はすべての蒸留所が自ら行っていました。 しかし、現在はほとんどが「モルトスター」と呼ばれるモルトを作る専門業者によって作られています。 

蒸留所は「それぞれにあったモルト」をモルトスターに注文し、購入したモルトでウイスキーを製造しています。 

 今回は、スコッチウイスキーでの「伝統的な製麦」についてご説明したいと思います。 製麦は以下のような手順になっています。 

 

  1. 収穫 
  2. 自然乾燥 
  3. 保管 
  4. 選粒 
  5. 浸麦 
  6. 発芽 
  7. 乾燥
  8. 除根 

 

1、収穫 

スコットランドでは、8月頃。 

日本では5月~6月頃に大麦が収穫されます。 

(日本産のウイスキー用モルトはほとんどありませんが…) 

 

2、自然乾燥 

収穫直後の大麦を自然乾燥させます。 

 

3、保管 

大麦には、発芽しない休眠期間があります。そのため乾燥後に保管して待ちます。 

通常の期間は2~3か月です。 

品種改良によって、休眠しない品種もあるようですが、発芽が不均一になるようです。 

ですので、一定の休眠期間を受け入れるのが一般的です。 

 

4、選粒 

大きさを揃えます。そうすると、吸水や発芽のタイミングを揃えることができます。 

 

5、浸麦 

大麦を浸麦槽(スティープ)に入れて吸水させます。 

この吸水の作業は「ウエット&ドライ」と呼ばれていて、仕込み水に漬け込むのと引き上げる作業を繰り返して行います。ずっと漬け込んでおくと空気が入らないため、発芽がしない為です。 

 

6、発芽 

一種間程度、空気を送り込んで酸素を供給します。発芽による熱を冷ます目的もあります。麦芽の全長にたいして、大麦の芽の長さが3分の2程度になったら、発芽は完了です。現在はこの作業を機械などで行っています。しかし、本場のスコットランドでは、完全に人の手で発芽を行う「フロア・モルティング」という伝統的な製法があり、いまだに一部のウイスキーがこの製法で作られています。 

7、乾燥 

ここからが重要ポイントの乾燥作業です。 

伝統的なスコッチの製法だと、「キルン」と呼ばれる乾燥室で作業が行われます。 「発芽」の工程である程度乾燥した大麦麦芽ですが、ここから最後の仕上げ乾燥になります。 

 この乾燥の作業で使われるのが「ピート」(泥炭)です。 

ピートは木炭や石炭のようにな感じで火が付きます。火はそこまで強くありませんが、特有の香りがする煙がたくさん出てきます。このピートの燻煙によって、大麦麦芽の水分が抜けていき、香りが付いていきます。そして、最終的にウイスキーの個性に反映されるのです。 

 「ピート」での燻煙は、モルトの個性=ウイスキーの個性に直結します。

そのため、蒸留所(正確には商品)ごとにそれぞれ異なる個性の麦芽を使っています。 

 

乾燥の作業を、最初から最後まで「ピート」で行うと… 

→ヘビリーピーテッド麦芽(クセの強いウイスキー用の麦芽) 

商品例:アードベック

 

乾燥の作業を、最初から最後までピートを使わない「温風」で行うと… 

→ノンピーテッド麦芽(クセのないウイスキー用の麦芽) 

商品例:ブルイックラディ(ザ・クラシックラディ)

 

乾燥の作業を、「ピート」と「温風」両方で行うと… 

→ライトピーテッド麦芽(クセの強さはピートの燻煙時間に比例する。長ければクセが強くなる)

 ※「温風」とは匂いのしない電気などが熱源の風です。 

 

ユースケ
ユースケ

ピートとは:シダやコケ類、草、ヘザー、海藻などが沈積してできた泥炭のことです。クセの強いウイスキーは、このピートで香りが付いた為、「ピーティー」と表現することがあります。

 

8、除根 

乾燥した根を取り除きます。 

 これでモルトが完成! 

 

まとめ 

ウイスキー初心者向け講座 モルトウイスキーの原料「大麦麦芽」とは? 

→大麦麦芽とは大麦を発芽させたもので、モルトとも呼ばれている。 

 ウイスキー初心者向け講座 モルトウイスキーの原料「大麦麦芽」とは?大麦について  

→小麦やトウモロコシ、米などと共に、人類に欠かすことのできない、重要な食用穀物の一種。 

  ウイスキー初心者向け講座 モルトウイスキーの原料「大麦麦芽」とは?大麦の種類   

→二条大麦はモルトウイスキー用。六条大麦はバーボン、グレーンウイスキー用。 

 ウイスキー初心者向け講座 モルトウイスキーの原料「大麦麦芽」とは?大麦品種について 

→アルコール収量の多い大麦の品種を積極的に使うようになり、古い品種は使われなくなった。 

 ウイスキー初心者向け講座 モルトウイスキーの原料「大麦麦芽」とは?大麦麦芽の作り方(製麦) 

→収穫 、自然乾燥、保管、選粒、浸麦、発芽、乾燥、除根。 

 

 

モルトウイスキーの原料「大麦麦芽」について解説させていただきました。 

バーではなかなか聞くことのできない(知らないバーテンダーも多いんですよ)知識だったと思います。 特に製麦に関しては、ウイスキーの個性にかなり大きく影響を与える「ピート」についてお話ししました。

一般的には、樽での熟成のほうが大事だといわれるウイスキーですが、大麦麦芽も非常に大事だということを理解していただけたかと思います。 

ユースケ
ユースケ

あなたの人生がウイスキーによって幸せになることを願っています。最後までご覧いただきありがとうございました。それでは、また。

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました