スコッチウイスキーの閉鎖蒸留所23カ所解説!おすすめボトルも登場

スコッチウイスキー閉鎖蒸留所|Glen Mhor グレンモール

出典:https://ultimatespirits.jp/shopdetail/000000001740/highland_glenmhor/page1/order/

Glen Mhor グレンモール

  • 地域:ハイランド
  • 創業年:1892
  • 閉鎖年:1983
  • 流通価格:¥487,140 税込

グレンモール蒸留所は1892年に創業された蒸留所で、インバネス市のカレドニアン運河に面して位置していました。グレンアルビン蒸留所のマネージャーであるジョン・バーニーがチャールズ・マッキンレー社と提携し、隣接する土地に建設されました。1920年には隣接するグレンアルビンも買収され、両者は姉妹蒸留所として運営されていました。

グレンモール蒸留所のポットスチルは2基。仕込み水はネス湖の水を利用していたとのこと。

特筆すべき点は、1954年にスコットランドでもいち早く、機械的なモルティング施設である「サラディン・モルティング(サラディンボックス式)」が行われていたことでしょうか。サラディンボックス式は、コンクリート床で完全な人力で撹拌作業を行う「フロアモルティング」よりも効率が良く、ドラム式で自動的に撹拌されることから、モルトの生産量も増やすことも容易でした。

しかし、その後は1972年には親会社のDCL社により買収され、1983年には閉鎖。貴重なモルティング施設のある蒸留所でしたが、建物は1988年には完全に取り壊されてしまい、現在では、グレンアルビンと同様に複合商業施設となっています…

 

 

スコッチウイスキー閉鎖蒸留所|Glenugie グレンアギー

出典:By Africa23 – This photo was taken in 1956 of the Glenugie Distillery. The tower at centre bottom is the remains of a pumping windmill., CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=4264826

Glenugie グレンアギー

  • 地域:ハイランド
  • 創業年:1831
  • 閉鎖年:1983
  • 流通価格:不明

グレンアギーはかつてはスコットランドで最も東に位置する蒸留所でした。東ハイランドのピーターヘッドという港町に位置しており、海を一望できる高台に1831年に創立。蒸留所は当初、北海油田の関連会社によって所有されており、当時の名前は「インバーネッティ蒸留所」。後に「グレンアギー」と改名されています。

グレンアギー蒸留所は頻繁にオーナーが変わっていました。そのたびに、何度も生産停止と再開を繰り返していました。閉鎖となったのは1983年で、その後、北海油田のプラント会社に売却されています。現在では残念なことに、ウイスキーの蒸留設備はほとんど撤去され、2基のポットスチルのみが残されています。

蒸留が安定して行われていたのは、ロング・ジョン社が所有していた1970年~1983年までで、それ以前はどれくらいの頻度で仕込みが行われていたのかもわかりません。つまり、グレンアギーのストック原酒は、閉鎖蒸留所の中でもかなり不透明であり、残りが少ないことが予測できます。

実際に2023年8月時点では、日本語で販売されているサイトを見つけることはできませんでした。モルト歴の長いウイスキーファンでも、その味を知らない方は多いはず…

 

 

スコッチウイスキー閉鎖蒸留所|Glenury Royal グレンユーリーロイヤル

出典:By NemesisAT – Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=103065483

Glenury Royal グレンユーリーロイヤル

  • 地域:ハイランド
  • 創業年:1825
  • 閉鎖年:1985
  • 流通価格:¥100,000 税込
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「ロイヤル」を名乗っているシングルモルト・スコッチウイスキーは3つのみ。現役の蒸留所は「ロイヤルロッホナガー」と「ロイヤルブラックラ」の2か所。そして、残り一つが閉鎖蒸留所の「グレンユーリーロイヤル」です。

グレンユーリーロイヤル蒸留所の設立は1825年。創業者であるロバート・バークレイは地域の代議士で、裁判所、国会議、貴族、王族まで、様々な人との交友関係が広い人物でした。そうしたことから国王ウィリアム4世(在位: 1830~1837年)と縁がつながり、特別に「ロイヤル」(英王室御用達)という称号の使用を許可され、「グレンユーリーロイヤル」と名乗るようになりました。

1857年にはバークレイが無くなったことで、蒸留所は競売にかけられ、グラスゴーのリッチー社が所有します。その後、1953年にはDCL社がオーナーとなり、ウイスキーの生産が続けられていましたが、1985年には閉鎖となります。閉鎖後の1993年に、蒸留所と敷地は地元の不動産会社に売却。現在は蒸留所の建物の残っておらず、幻の蒸留所となっています。

UD社がリリースしていた、「レアモルト・セレクション」シリーズのグレンユーリーロイヤルを飲んだことがあります。レアモルトシリーズは、閉鎖した蒸留所や小規模蒸留所から原酒をセレクトし、熟成年数が約20年以上のものをボトリングした人気シリーズ。熟成期間が長いのか、グレンユーリーロイヤルの個性なのかはわかりませんが、柔らかくてモルティーな風味があり、全体的にソフトで優しい味わいでした。

見つけるのが困難なウイスキーの一つ。値段も高いと思いますが、バー見かけたら思い切って飲んでみてください。

 

 

スコッチウイスキー閉鎖蒸留所|Imperial インペリアル

Imperial インペリアル

  • 地域:スペイサイド
  • 創業年:1897
  • 閉鎖年:2005
  • 流通価格:¥143,580 税込

インペリアル蒸留所はダルメニャック(バルメナック)の第2蒸溜所として1897年に建設されました。この年はヴィクトリア女王の在位60周年でもあったことから、ダイヤモンド・ジュビリーの年であり、そういった理由で蒸留所の名前に「インベリアル(皇帝の)」が使用されています。

輝かしい名称が付けられたものの、世間では「ウイスキー不況」が深刻化していたことから、創業からわずか3年となる1900年に生産停止となります。

その後もインペリアル蒸留所の経営は安定せず、何度か閉鎖を繰り返すことになります。1925年にDCL社によって吸収合併。そして1955年にはDCL社の子会社であるSMD社の傘下となり、蒸留が再開。1965年には4基のポットスチルで生産が行われ、いよいよ安定生産の時代が来たかと思われましたが、その後もオーナーが次々と代わります。

最終的には2005年にペルノリカール社が買収した際に閉鎖となります。現在はインペリアル蒸留所の建物は全て壊されており、跡地はダルメニック蒸留所となり利用されています。

インペリアルのシングルモルトは2005年以降もオフィシャルやボトラーズからもリリースされていましたが、2020年頃からは急激に値段が上がりました。今ではダルメニャックのウイスキーとは異なる「インペリアル」らしさが高く評価されており、流通価格の上昇はやむ得ない状況です。

 

 

スコッチウイスキー閉鎖蒸留所|Inverleven インヴァリーブン

出典:https://www.whisky.com/whisky-database/details/inverleven-1.html

Inverleven インヴァリーブン

  • 地域:ローランド
  • 創業年:1938
  • 閉鎖年:1991
  • 流通価格:不明

インヴァリーブンは、ダンバートン複合蒸留所内の一部として設立されたモルトウイスキーの蒸留所。敷地はハイランドとローランドの境界線をまたいでいましたが、ローランドの蒸留所として分類されるのが一般的です。

創業は1938年で、ジョージ・バランタイン・アンド・カンパニー社によって設立されました。歴史の古い閉鎖蒸留所が多い中で、インヴァリーブンは比較的新しい蒸留所と言えます。

インヴァリーブン蒸留所は、当時ヨーロッパで最大の蒸留施設であり、造られたモルトウイスキーは、主にブレンデッド用のモルト原酒として利用されていました。1958年から1991年の間には、既存の2つのポットスチルに加えて、新たに「ローモンドスチル」を導入。通常のポットスチルで蒸留した「インヴァリーブン」と、ローモンドスチルで蒸留した「ローモンド」という、別々の名前のモルトウイスキーを生産していました。

ローモンドスチルとは、1959年にハイラムウォーカー社によって開発された特殊な形状のポットスチルのこと。円筒状の胴体内部には銅板の仕切りがあり、これによって銅と接触する面積が増え、通常よりも高い純度のアルコールを回収することができます。その結果、3回蒸留に近いクリアでスムースな酒質のウイスキーを生産できると言われています。

ローモンドスチルはその後、インヴァリーブン以外の蒸留所でも採用されていましたが、現在使用している蒸留所は多くありません。代表的なところだと「スキャパ」や「ロッホローモンド」が仕込みの一部に利用しています。

インヴァリーブンは1991年に閉鎖され、2005年には建物も解体されてしまい、蒸留所として復活することはありません。

バランタインなどのブレンデッド用原酒として生産されていただけあって、「インヴァリーブン」のシングルモルトはかなり少ないのが現状です。また、ローモンドスチルで蒸留した「ローモンド」の方は、生産していた期間が短いためさらにレアなボトル。幻のウイスキーとして語られています。

 

 

スコッチウイスキー閉鎖蒸留所|Kinclaith キンクレイス

出典:https://www.whisky.com/whisky-database/distilleries/details/kinclaith.html

Kinclaith キンクレイス

  • 地域:ローランド
  • 創業年:1958
  • 閉鎖年:1975
  • 流通価格:¥399,999 税込

キンクレイスはシーガー・エバンス&ロングジョン社に作られた「ストラスクライド・グレーンウイスキー蒸留所」内に建設された、モルトウイスキー蒸留所。ストラスクライドは広大な敷地を持っており、倉庫やクーパレッジ、ブレンド施設を有する大規模な蒸留所でした。現在では、グレーンウイスキー蒸留所内にモルトウイスキーの設備を備えている蒸留所は数えるほどしかありませんが、当時は一般的だったようです。

キンクレイス蒸留所はグラスゴー市内に1958年に設立。モルトウイスキーを生産する最後の拠点でした。グラスゴー市内にはかつて、何百もの蒸留所があったとされていますが、一度はすべての蒸留所で生産されなくなりました。しかし2000年以降は、再びウイスキーを造るメーカーが数多く現れており、グラスゴー市内にあるクラフトウイスキー蒸留所は増え続けています。

蒸留所には初留と再留のポットスチルが2基。シングルモルトとしてはオフィシャルボトルが瓶詰めされることはありませんでした。原酒のほとんどはブレンデッドウイスキー「ロングジョン」に使用。一部のボトラーズでは販売されており、ウイスキーの個性は、スモーキーでフルボディなタイプと言われています。

蒸留所はその後、オーナーのロングジョン社がイギリスのビール会社「ウィットブレッド社」に買収されたことをきっかけとなり閉鎖となります。これは、1975年に行われたストラスクライド蒸留所グレーン部門の拡張によるもの。グレーンウイスキーの生産能力を高めるために、キンクレイスの蒸留器を撤去となり、1982年には建物も解体されてしまいます。

キンクレイス蒸留所は跡形もなく消えてしまいましたが、ストラスクライド蒸留所は現在でも稼働中。ペルノリカール社が所有しており、グラスゴー市内で唯一のグレーンウイスキー蒸留所として、年間4000万リットルもの原酒を生産しています。

稼働年数わずか17年程のキンクレイスは、オフィシャルボトルも存在していないことからかなりレアなボトル。かつての「グラスゴーモルト」はどのような味わいだったのか、気になりますね…

 

 

スコッチウイスキー閉鎖蒸留所|Ladyburn レディバーン

出典:https://ultimatespirits.jp/shopdetail/000000002873/ct420/page1/order/

Ladyburn レディバーン

  • 地域:ローランド
  • 創業年:1966
  • 閉鎖年:1975
  • 流通価格:¥ 税込
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レディバーン
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ウイスキーに詳しい方でも、その存在を知りえないというのが「閉鎖蒸留所のシングルモルト」だと思います。しかし、その中でもかなりマニアック?というか、閉鎖蒸留所としての「レア度」でいうと、恐らくトップクラスだと思うのが「レディバーン」です。

操業は1966年~1975年のわずか9年。記録に残っている中では最も短命となった蒸留所です。

レディバーンは、ウィリアム・グラント&サンズ社所有するガーヴァン・グレーンウイスキー蒸留所内で1966年に誕生しました。ガーヴァンの名前の由来は、地元の方言で「短い川」を意味しています。そしてレディバーンは「貴婦人の川」で、蒸留所が短命に終わった原因の一つに、ネーミングが悪かったことが挙げられているとか…いないとか…。

ポットスチルは初留と再留の2基ずつの、合計4基で稼働。「グレンフィディック」「バルヴェニー」「キニンヴィ」の姉妹蒸留所として期待されていたのかと思いきや、ガーヴァン蒸留所でのグレーン原酒の需要が高まったことを受けて、モルト部門のレディーバーンは解体されることになりました。

レディバーンはウィリアム・グラント&サンズ社が保有する、スペイサイドにある3か所の蒸留所とは全くことなる個性を持っていました。今のようなモルトウイスキーブームが来ることなんて、閉鎖した70年代では予測できなかったとはいえ、9年で閉鎖が決定づけられるのは早すぎたと思います。

 

 

スコッチウイスキー閉鎖蒸留所|Littlemill リトルミル

出典:https://ultimatespirits.jp/shopdetail/000000001427/lowland_littlemill/page1/order/

Littlemill リトルミル

  • 地域:キャンベルタウン
  • 創業年:1772
  • 閉鎖年:1994
  • 流通価格:¥99,980 税込

現在稼働しているスコットランド最古の蒸溜所は「グレンタレット」。そして、閉鎖蒸留所を含めたときに一番歴史の古い蒸留所が、キャンベルタウンにある「リトルミル」になります。創業は1772年。(日本では江戸時代で、田沼意次が老中に抜擢された年…)

リトルミル蒸留所はその歴史の間に何度もオーナーが変わり、その度に一時的な休業や再開を繰り返してきました。1772年から1857年の間に、9回もオーナーが変わっています。1931年にはダンカン・トーマスが買収し、ウイスキーの製造方法が3回蒸留から2回へ変更され、ローランドの伝統製法に終わりを告げます。

その後、1971年にはバートン・ブランズが買収。この際、リトルミル蒸留所では以下の3つの異なるタイプのウイスキー造りを開始します。

  1. これまで通りの「リトルミル」
  2. ライトピーテッドタイプ「ダングラス」
  3. ヘビリーピーテッドタイプ「ダンバック」

このような原酒の造り分けは、リトルミルの後継蒸留所である「ロッホローモンド」が受け継いでいるように思います。

その後、1984年から1989までは生産停止。1987年にギブソンインターナショナルがリトルミル蒸留所を取得し、ウイスキーの生産は1992年まで続けられました。

しかしその後、新たな所有者が博物館にするとの構想を持ちだしたことで、1994年に閉鎖。一時は企業の事務所として利用されていましたが、現在は取り壊されています。

リトルミルのシングルモルトウイスキーは、ここ数年で相場がかなり上がっています。10年程前までは、オフィシャルボトルがまだ流通していましたが、今では見つけることも困難。キャンベルタウンモルトが枯渇していることも考慮すると、ネットショップで買えなくなるのも時間の問題でしょうか。

 

 

スコッチウイスキー閉鎖蒸留所|Lochside ロッホサイド

出典:By Alan Morrison, CC BY-SA 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=7765750

Lochside ロッホサイド

  • 地域:ハイランド
  • 創業年:1957
  • 閉鎖年:1996
  • 流通価格:¥159,500 税込

ロッホサイドは、もともとはビールの醸造所として1781年に設立されました。ウイスキーの蒸留所として操業したのは1957年。ASD社のジョセフ・ホッブスを含むマクナブディスティラー社が買収し、ウイスキーの蒸留所として改装します。

ホッブス氏はウイスキー産業で名を馳せた人物。ロッホサイド蒸留所ではグレーンウイスキーの生産に専念していたそうです。

ロッホサイド蒸留所はモルトとグレーンの両方を生産する計画で生産を開始します。ポットスチルが4基。蒸留器の形状はオニオンヘッド型。背の高くて細いネックから、下向きにラインアームが伸びていました。原酒の多くはバーボン樽で熟成。グレーンウイスキー用の蒸留器は「コフィースチル(カフェ式連続式蒸留器)」を使用。

ところが1964年にホッブス氏が亡くなると、コフィースチルは1970年に取り外されてしまいます。その後、蒸留所の運営者はマクナブ社によって行われ、同社は「サンデーマクナブス」というブレンデッドウイスキーを製造・販売していました。

1973年には、スペインの「ディスティレリアス・イ・クリエンサ社」が買収。この時点で、ロッホサイドで生産されたウイスキーの多くはスペインに輸送され、同社のブレンデッドウイスキーである「DYC(ディーク)」の原酒として使用されていました。

1987年には、シングルモルトのボトリングを始め、「ロッホサイド シングルモルト10年」をリリースしますが、1996年にロッホサイド蒸留所は閉鎖となります。

ロッホサイド蒸留所は醸造所として創業し、1781年に建てられた歴史ある建物を使用し続けていました。蒸留所としてはもちろん、施設全体が取り壊しになったのは残念ですね。

 

 

スコッチウイスキー閉鎖蒸留所|Millburn ミルバーン

出典:https://item.rakuten.co.jp/kawachi/20404/

Millburn ミルバーン

  • 地域:ハイランド
  • 創業年:1807
  • 閉鎖年:1985
  • 流通価格:不明

ミルバーンはインバネス市に位置する歴史的な蒸留所。創業は1807年。インバネスでは最も古い蒸留所です。蒸留所の歴史としては、所有者が何度も変わっており、その影響からかオフィシャル・シングルモルトは、2000年まで一度もリリースされていませんでした。

1853年にはデイビッド・ローズによって買収され、一時的にトウモロコシ工場に変わるなど変遷がありましたが、1892年にヘイグ家によって買い取られます。その後、1921年にはロンドンのジン製造業者「ブース社」がオーナーとなります。

1922年には火事が発生し、ミルバーン蒸留所はかなりの被害を受けていますが、キャメロン・ハイランダー(スコットランド高地地域からの兵士で構成された陸軍)の協力もあって、蒸留所を維持することができました。

1943年にはスコッチ大手のDCL社が買収しますが、1985年に閉鎖となります。その後、建物はレストランやパブとして活用された後、ホテルチェーンによって買収。蒸留所の建物の一部はそのまま使用されているため、レンガ造りや煙突などはかつてのミルバーン蒸留所を思い起こさせてくれます。

冒頭でも記述しましたが、ミルバーンのオフィシャルボトルは一度も市場に出回ることはありませんでしたが、2000年以降はディアジオ社の「レアモルト・シリーズ」からリリースされています。その他、一部のボトラーズからのわずかながらリリースされており、有名なのはゴードン&マクファイルの「コニッサーズ・チョイス・シリーズ」のボトルでしょうか。

現在では日本での販売が確認できませんでした。海外サイトであれば入手可能ですが、それ相応の価格です…

 

 

スコッチウイスキー閉鎖蒸留所|North Port ノースポート

出典:https://www.shinanoya-tokyo.jp/view/item/000000016161?category_page_id=ct866

North Port ノースポート

  • 地域:ハイランド
  • 創業年:1820
  • 閉鎖年:1983
  • 流通価格:¥242,410 税込

ノースポート蒸留所は、ブレヒンという街の銀行家かつ市長、デイビッド・ガスリー氏によって1820年に設立されました。蒸留所があるアンガス地方・ブレヒンは、農業が盛んな地域で、品質の高い大麦を生産する土地として有名でした。

操業当初はタウンヘッド蒸留所と呼ばれていましたが、その後、1823年にブレヒン、そして1839年にノースポートに改名されています。「ノースポート」とは、城壁の北にある門のことを指しています。蒸留所は2基のポットスチルでモルトウイスキーを製造していました。仕込水にはロッホリー(リー湖)の水を使用。

1922年にDCL(ディスティラリー カンパニー リミテッド)が買収し、1970年代には、蒸留所は改修され近代化が進みましたが、建物の老朽化が進んだことを受けて1983年に閉鎖となります。

ノースポートのオフィシャルボトルは、閉鎖されるまでの期間一度もリリースされることはありませんでしたが、1990年代後半からディアジオ社の「レアモルト・シリーズ」として販売されるようになります。その他、ボトラーズからのリリースされていますが、現在ではかなり流通量が少なく、高額な価格で取引されています。

ちなみに「ノースポート」と勘違い⁉されるウイスキーとしては「ウエストポート」があるのではないでしょうか。(ノースポートとは直接関係ありません)

ウエストポートは蒸留所ではなく、ブレンデッドモルトウイスキーの名称に使用されています。ごく微量な原酒をブレンドした「ティースプーンモルト」。蒸留所名は明かされていませんが、北ハイランドの「キリンのように背の高いポットスチル」がある蒸留所(つまりグレンモーレンジィ)がメインの原酒となっています。

 

 

スコッチウイスキー閉鎖蒸留所|Pittyvaich ピティヴァイク

出典:https://item.rakuten.co.jp/auc-sakenochawanya/10002177/

Pittyvaich ピティヴァイク

  • 地域:スペイサイド
  • 創業年:1975
  • 閉鎖年:1993
  • 流通価格:¥110,000 税込
[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

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ピティヴァイクは、「ピティヴェアック」「ピティヴィアック」などとも発音(表記)されることのある、日本語的にも英語的にもややこしい名前の閉鎖蒸留所です。

ピティヴァイクは、スペイサイドに位置するダフタウン蒸留所の関連プロジェクトとして、1975年にアーサー・ベル&サンズ社によって創業。ダフタウン蒸留所の姉妹施設としてすぐ隣に建設。

ピティヴァイク蒸留所のポットスチルは合計4基。初留と再留が2基ずつ。ポットスチルはダフタウンと同じストレートヘッド型を採用しています。仕込水もダフタウン蒸留所と同様、バリーモアとコンバリーズという名前の2つの泉から採取。他の設備や熟成庫も、ほぼ同じ物が使用されていました。

しかしながら、ほぼ同じ場所・生産設備で生産したのにも関わらず、ピティヴァイクのモルト原酒はダフタウンとは全く異なる個性となります。これはピティヴァイクに限らず、スコッチにおける「姉妹蒸留所あるある」です。同じ個性を持つ原酒を、他の蒸留所で造る難しさ。スコッチの神様は、生産量の増強には否定的なのかもしれません(笑)

1991年には初のオフィシャルボトルとして、「花と動物シリーズ」の「ピティヴァイク12年」が発売されます。ラベルにはスペイサイドの森に生息する「ロー・ディアー(ノロジカ)」が描かれています。

しかし、オフィシャルボトルをリリースして、僅か2年後の1993年にピティヴァイク蒸留所は閉鎖されます。建物は解体され、現在の蒸留所跡は更地となっています。

 

 

スコッチウイスキー閉鎖蒸留所|St. Magdalene セント・マグデラン

出典:By Tom Sargent, CC BY-SA 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=13088067

St. Magdalene セント・マグデラン

  • 地域:ローランド
  • 創業年:1798
  • 閉鎖年:1983
  • 流通価格:¥487,140 税込

セント・マグデランは、リンリスゴーの町にあった蒸留所で、マグデラン聖人にちなんで名付けられています。リンリスゴーにはかつて100以上の蒸留所がありましたが、「聖人」の名を冠してしるのはセント・マグデラン蒸留所のみとなります。

リンリスゴーの街は、かつては重要な交通拠点であり、麦芽の製造や製粉産業によって栄えていました。そして町にはリンリスゴー城(廃城)があり、このお城は「悲劇の女王」といわれたメアリー・ステュアート(1542‐1587)が生まれた場所とのこと。

セント・マグデラン蒸留所は1798年に創業。1894年には生産施設拡張と近代化が行われています。しかし、1900年以降は、ローランドの他の蒸留所と競争を激しくし、さらに人気が出てきたハイランドモルトにも対抗する難題もあったことで、蒸留所の経営状況は厳しくなります。

1914年にはSMD社の傘下となり、1927年に再び大規模な改修が行われますが、1930年代の大恐慌の影響でウイスキーの生産は縮小傾向となります。その後も蒸留は続けられていましたが、1983年に閉鎖となります。

蒸留所は現在、高級アパートメントに改造されています。歴史的価値のある建造物として指定されていることから、外観はそのまま保持。キルン棟もそのままの姿で残っていることから、ウイスキー好きが住むのにはたまらない外観です。

 

セント・マグデランのシングルモルトは「リンリスゴー」という名前でもリリースされています。ローランドモルトとは思えないほど個性的。当時のハイランドモルトに対抗した名残でしょうか。ローランドの閉鎖蒸留所と言えば代表的なのが「ローズバンク(旧ローズバンク)」ですが、それともまた異なる味わい。

ローズバンクと並ぶ、ローランドの消えた銘酒…

 

 



 

 

改めて言うのもなんですが…閉鎖蒸留所のシングルモルトウイスキーは年々在庫が減り続けているため、プレミア価格となっています。

閉鎖蒸留所を復活させたとしても、その蒸留所で造られる原酒は元の蒸留所とは異なる個性であることは避けられません。閉鎖蒸留所が、100%同じように復活することはないのです。

もし飲む機会があったのなら、古いボトルならば50年以上前に造られた大変貴重なオールドウイスキーです。有難く頂戴しましょう♪

ユースケ
ユースケ

あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。

 

 

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