ジャック・ウィバース・ウイスキー・ワールド / Jack Wiebers Whisky World

出典:https://www.whizita.de/en/jwww-en/
- ボトラーズ会社
ジャック・ウィバース・ウイスキー・ワールドは、ドイツ・ベルリンを拠点とする独立系ボトラーで、1996年にラース=ヨーラン「ジャック」・ウィバース氏によって設立されました。同氏は会社設立以前から情熱的なウイスキー愛好家・コレクターとして知られ、その個人的な嗜好とセンスがカスク選定に色濃く反映されており、ドイツの独立系ボトラーシーンにおける草分け的存在、代表的な人物の一人として高く評価されています。
1998年からは自社ブランドでのボトリングを開始し、これまでに1,100本以上のシングルカスクウイスキーがリリースされています。ウイスキーはグラスゴーでボトリングされており、いずれもシングルカスクにこだわった仕様となっています。
同社の知名度は、2013年に最終エディションを迎えた初期の代表シリーズ「Scottish Castles」によって確立されました。その後、長期熟成の希少なシングルカスクを中心とした「Old Train Line」、閉鎖蒸留所や希少原酒を特集する「Auld Distillers Collection」のほか、「Cross Hill」「Prenzlow Portfolio」「Gentle Noses」「Great Ocean Liners」「Old Passenger Liners」といった多彩なシリーズが高い評価を得ています。アイラ島の蒸留所から選ばれた原酒をカスクストレングスでボトリングする人気シリーズ「Classic of Islay」も、年に複数回リリースされる看板ブランドの一つです。
各シリーズはテーマに沿った凝ったイラストレーションのラベルデザインが特徴で、高い視認性とコレクター人気につながっており、少量生産のボトルは発売後短期間で完売することも珍しくありません。著名なウイスキー業界人をラベルで探すユニークなコンセプトの「Bowmore Wanted」シリーズも、話題性の高いラインナップとして知られています。こうした個性豊かなシリーズ展開により、ジャック・ウィバース・ウイスキー・ワールドは今日、国際的に高い評価とほぼカルト的な人気を誇る独立系ボトラーとしての地位を確立しています。
ジェームズ イーディー / James Eadie
- ボトラーズ会社
ジェームズ・イーディーは、1854年にイングランド・バートン・アポン・トレントで創業された、歴史あるウイスキーブランドとして始まり、現在はボトラー(ジェームズ・イーディー社名)としてウイスキーをリリースしています。
創業者のジェームズ・イーディーは、スコットランド・ブラックフォード(グレンイーグルズ近郊)出身で、ビール醸造業者として成功を収め、最盛期には約300軒のパブを所有していました。彼は独自のブレンドレシピで作られたウイスキーを、自らのパブを通じて特別な顧客に提供していました。後にこのブレンドは1877年に商標登録された「トレードマークX(Trade Mark X)」として知られ、19世紀のスコッチウイスキーの黄金時代を象徴する存在となりました。
創業者の死後、ブランドは大手蒸溜所に買収され、1947年頃まで製造が続けられましたが、その後20世紀半ばに姿を消しました。長い休眠期間を経て、創業者の玄孫であるルパート・パトリック氏によってブランドが復活しました。パトリック氏はDiageoの元コマーシャルディレクターであり、ウイスキー投資プラットフォーム「WhiskyInvestDirect」の共同創業者でもあります。彼はウイスキー業界での豊富な経験を活かし、19世紀の帳簿と1940年代の現存する最後のボトルを頼りに、ジェームズ・イーディー社を再興しました。現在では、シングルカスクやスモールバッチのシングルモルトおよびシングルグレーンウイスキーのボトリングを専門とする独立系ボトラーとして知られています。
ジェームズ・イーディー社の製品には、復刻された「トレードマークX」ブレンデッドウイスキーがあります。このブレンドは、創業者のオリジナルレシピに基づき、現代のマスターブレンダーであるノーマン・マシソン氏の手によって再現され、現存する蒸溜所だけでなく、すでに閉鎖された蒸溜所の原酒も組み合わせることで、当時の味わいの再現を追求しています。このブレンドはワールド・ウイスキー・アワードやIWSC、ISCなどで金賞を受賞しています。その他、多数のシングルモルトもリリースしています。
さらに、ジェームズ・イーディー社では「プロジェクト1927(Project 1927)」という革新的な取り組みも行っています。このプロジェクトは、1920年代から1930年代初頭の蒸留技術を記録した歴史的文献にインスピレーションを得たもので、「アードナムルッカン」「ドーノック」「ホリールード」「インチデアニー」「ロッホリー」の5蒸溜所に加え、ファイフ地方の非公開の農場蒸溜所を合わせた計6つの新興蒸溜所と協力しています。
各蒸溜所では、濁った麦汁や旧式の酵母、長期発酵、床式製麦など、当時の技術をそれぞれ独自に解釈して新たなスピリッツを生産し、6種類の個性豊かなニューメイクに加え、それらをブレンドした7本目のスピリッツも制作することで、ウイスキーの歴史と伝統を現代に伝える試みが行われています。
ジェームズ マッカーサー / James MacArthur
- ボトラーズ会社
ジェームズ・マッカーサーは、1982年にスコットランド・エディンバラで設立された独立系ボトラーです。創業以来、閉鎖された蒸溜所やあまり知られていない蒸溜所の原酒を中心に、シングルカスクやカスクストレングスのウイスキーをリリースしてきました。あまり派手な知名度はないものの、ウイスキーマガジン誌で数々の受賞歴を持つなど、玄人筋から実力を評価されているボトラーとして知られています。
同社は10年から35年熟成のシングルモルトを、カスクストレングスだけではなく、43度の加水タイプも展開しています。ウイスキーの状態を丁寧に見極め、熟成のピークを逃さず瓶詰めされています。代表的な製品ラインには「オールド・マスターズ(Old Masters)」があり、シングルモルトのほかシングルグレーンウイスキーもリリースしています。
ジェームズ・マッカーサーは、ワイン樽や特殊なフィニッシュを行わないのも特徴の一つです。バーボン樽やシェリー樽といった、クラシカルな熟成にこだわっています。そのため、ウイスキー本来の個性や蒸溜所の特徴が際立っています。
ジェームズ・マッカーサーは、近年ではリリース数が少なくなっており、現在ボトリングされているのか不明です。その品質の高さと希少性から高値で取引されています。
キルンズマンズ ドラム / Kilnsman’s Dram
- ボトラーズブランド
- 運営会社:ゴールドフィンチ・ウイスキー・マーチャンツ(スコットランド)
「キルンズマンズ・ドラム(The Kilnsman’s Dram)」は、スコットランド・ロッホローモンド湖畔を拠点とする小規模ボトラー「ゴールドフィンチ・ウイスキー・マーチャンツ(Goldfinch Whisky Merchants)」が手がけるシングルカスク・ウイスキーのブランド名です。
「キルンズマンズ・ドラム」とは、ウイスキー製造工程の中でも重要でありながら見過ごされがちな「キルニング(Kilning)」、すなわち発芽した大麦を乾燥させる工程に携わる職人「キルンズマン(Kilnsman)」の熟練技術と、麦芽とピートの繊細な関係を読み解く経験への敬意を表しています。このシリーズは特にピーテッドウイスキーを中心に展開されています。
このブランドを手掛けるゴールドフィンチ・ウイスキー・マーチャンツ社は、2018年にアンドリュー・マクドナルド=ベネット氏によって設立されました。同氏は、マッカラン、ハイランドパーク、グレンロセス、フェイマス・グラウスといった世界的なシングルモルトブランドに加え、「ホワイト&マッカイ」や「エドリントン」での豊富な経験を経てゴールドフィンチを立ち上げました。ワイン&スピリッツの専門家である妻のロス氏も共同で経営に携わり、樽選びと品質管理を支えています。
社名の「ゴールドフィンチ(金翅鳥)」は、美術の世界において繁栄、楽観、多様性、そして誠実さ(インテグリティ)を象徴する鳥に由来しており、こうした価値観をブランド哲学の核としています。
「キルンズマンズ・ドラム」はすべて単一の樽からボトリングされ、加水や冷却ろ過を行わず、自然な色合いと風味を保持しています。これにより、各ウイスキーの個性と熟成のピークをそのまま表現しています。シェリー樽やシェリーオクタブ樽でのフィニッシュを施したリリースも多く、複雑でリッチな風味を持つウイスキーが揃っています。生産本数はごくわずか(一部リリースは95本のみなど)で、発売から数日で完売することも珍しくない、非常に希少性の高いブランドです。
キングスバリー / Kingsbury
- ボトラーズ会社
キングスバリーは、1989年にスコットランド・アバディーンで創業された独立系ボトラーで、現在はスコットランド・エディンバラに本拠を構えています。創業以来、高品質なシングルモルトのボトリングを続けており、日本市場を中心に高い人気を誇っています。
2012年には、スプリングバンク蒸溜所の創業一族の一人であるゴードン・ライト氏が代表に就任し、以降のボトリングを監修しています。初期のボトルには、スプリングバンクの親会社である「J&Aミッチェル社」の子会社「イーグルサム(Eaglesome)」の名前が記載されていたものもあり、同社との深いつながりを示す歴史的な資料となっています。ラベルには、そのウイスキーが生まれた瞬間を大切にするというコンセプトのもと、蒸留年(ヴィンテージ)が大きく表記されているのも特徴です。
キングスバリーの代表的シリーズは、「カスクストレングス・シリーズ(Cask Strength Series)」です。ゴールドがかったブラウン色のラベルから、通称「キングスバリー・ゴールド」とも呼ばれています。一切の加水を行わず、樽出しそのままのアルコール度数でボトリングされ、特に際立った個性を持つ樽のみが厳選されるため、同社の最高品質シリーズと位置づけられています。すべてシングルカスク仕様です。
また、「リミテッド・エディション・シリーズ(Limited Editions Series)」は、シングルカスクである点は同様ですが、飲みやすさを意識して46%に加水しているタイプです。
その他、ゲール語で「シングルカスク」を意味する「メインバライル(Mhain Baraille)」は、複数の希少な樽をヴァッティングした長期熟成ブレンデッドウイスキーとしてリリースされる意欲的なシリーズで、これまでにアードベッグを高い比率で使用したアイラブレンデッドモルトなど、話題性の高いボトルを世に送り出しています。ケルト文字をあしらったラベルが印象的な「ケルティック・コレクション」も、発売25周年を機に復刻された人気シリーズです。
ウイスキーのボトリングに関しては、ノンチルフィルター&ナチュラルカラーにこだわっており、冷却ろ過や着色を行わないことで、ウイスキー本来の風味と色合い、原酒の個性や熟成のニュアンスを大切にしています。近年ではウイスキーだけでなく、ジンやラムといった他のスピリッツのリリースにも取り組んでいます。
ラ メゾン ド ウイスキー / La Maison du Whisky
- ボトラーズ会社
ラ・メゾン・ド・ウイスキー(LMDW)は、フランス・パリに本拠を構える世界有数のウイスキー専門商社であり、1956年にジョルジュ・ベニタ氏が兄弟のシモン氏、フェリックス氏とともに創業した「SNPA」を起源とする長い歴史を誇ります。1961年にはパリ16区に第一号店をオープンし、単なるインポーターにとどまらず、独自のボトリングやイベント主催など、多角的にウイスキー文化を牽引してきました。
ラ・メゾン・ド・ウイスキーは、ボトラーとしての事業の他に、世界中のウイスキーの輸入・販売も行っています。スコットランド、日本、アメリカ、アイルランドなど、世界中の蒸溜所から選りすぐりのウイスキーを輸入しています。日本のウイスキーとの関係は特に深く、1993年にサントリー「響」の輸入を開始したのを皮切りに、2002年からニッカウヰスキーの取り扱いを始め、2007年には同社の欧州における公式代理店となるなど、長年にわたり欧州での日本ウイスキーの普及に大きく貢献してきました。
また、ラ・メゾン・ド・ウイスキーは2004年から「ウイスキーライブ・パリ(Whisky Live Paris)」の主催も行っています。ウイスキーライブは、毎年世界中の蒸溜所やボトラーズ、愛好家が集まる大規模ウイスキーイベントです。同年には「Whisky Magazine」のフランス語版も創刊し、テイスティングノートや業界情報の発信にも貢献しています。近年ではウイスキーにとどまらず、ラム、コニャック、アルマニャック、テキーラ、ジン、ウォッカ、日本酒など幅広いスピリッツを取り扱っており、2017年にはイタリアのラム専門商社ヴェリエ社と提携、2019年にはハイチにポルトープランス蒸溜所を共同設立するなど、ラム業界でも存在感を強めています。
ラ・メゾン・ド・ウイスキーの展開する主なブランドは次の通りです。
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the ten(ザ・テン):蒸留所名よりもウイスキーのスタイルを重視し、「ライトハイランド」や「ミディアムアイラピート」といったわかりやすいタイトルを記載した人気のエントリーシリーズ。
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Artist Collective(アーティスト・コレクティブ):アートとウイスキーを融合させたシリーズ。シングルモルトを中心に、洗練されたデザインと高品質の原酒が魅力。
このほかにも、コニャックやアルマニャックをウイスキーの視点で選ぶシリーズや、フランス国内のクラフト蒸溜所の製品に特化したシリーズなど、独自の切り口を持つラインナップを展開しており、単なる輸入商社の枠を超えた多彩なウイスキー文化の発信拠点となっています。
リキッド トレジャーズ / Liquid Treasures
- ボトラーズブランド
- 運営会社:イースピリッツ・トレーディング社(ドイツ)
リキッド・トレジャーズは、ドイツ・リムブルクに拠点を置く独立系ボトラー「イースピリッツ・トレーディング社」のブランドです。同社は2009年に設立され、これまでにスコットランドのシングルモルトウイスキーやシングルグレーンウイスキー、アイリッシュモルト、ラム、アルマニャック、コニャックなど、幅広いカテゴリーから厳選されたシングルカスクをボトリングしてきました。
リキッド・トレジャーズは、特定のテーマやシーズンに合わせた限定エディションを数多くリリースしていることも大きな特徴です。「サマー・ドラム(Summer Dram)」「オータム・エディション(Autumn Edition)」「レトロ(Retro)」といった季節感や個性を打ち出したシリーズのほか、ラムに特化した「ラムセッション(Rum Session)」など、コレクター心をくすぐるバラエティ豊かなラインナップを展開しています。
各ボトルには、アーティスティックで印象的なラベルが施されており、ドイツ国内だけでなく、日本、オーストラリア、韓国など、世界各国で展開を広げています。
リトル ブラウン ドッグ スピリッツ / Little Brown Dog Spirits
- ボトラーズ会社 兼 スピリッツ製造業者
リトル・ブラウン・ドッグ・スピリッツは、スコットランド・アバディーンシャーのフェタニア(インヴァルーリー近郊)に拠点を置く、独立系ボトラー兼マイクロディスティラリーです。2018年に獣医でウイスキー愛好家のアンドリュー・スミス博士と、地元農場主のクリス・リード氏によって設立されました。ブランド名は、アンドリュー氏の愛犬であった「リトル・ブラウン・ドッグ」への追悼の思いを込めて名付けられています。
地元の自然環境と深い知識を活かし、ウイスキー、ジン、ラムなどのスピリッツを製造しています。自社敷地内に熟成倉庫とボトリング施設を保有しており、樽をピークの状態で見極めたり、フィニッシュの樽との相性を細かく調整したりと、原酒の状態を常時管理できる体制を整えているのも特徴です。
ウイスキーはシングルカスクでスモールバッチのスコッチをボトリングするほか、バーボンやラム、コニャックといった他のスピリッツのボトリングも手がけています。2026年には、ブランドとして初めてとなる定番商品(コアエクスプレッション)のリリースにも踏み出しました。
クラフトジンは、地元のボタニカルを使用して製造しており、特に「実験的スピリッツシリーズ(Experimental Spirit Series)」では、毎年テーマを変えながら、原材料の産地をwhat3words(位置情報システム)で正確に特定するなど、徹底した地産地消とトレーサビリティにこだわった一点物のジンを発表しています。
ロンバード スコッチウイスキー / Lombard Scotch Whisky
- ボトラーズ会社
ロンバード・スコッチ・ウイスキーは、アイルランドとスコットランドの間に浮かぶマン島(Isle of Man)に本拠を置く家族経営の独立系ボトラーです。ロンバード=チブナル家の酒類ビジネスの歴史は300年近くに遡り、スコッチウイスキーのほか、フランスのぶどう園、ポルトガルのコルク工場、イングランドの醸造所を営んでいた実績を持ちます。
1960年代、マーガレット・ロンバード=チブナル氏によって現在の「ロンバード・スコッチ・ウイスキー」が設立されました。当初はブレンダー向けのバルク供給業者としてスタートしましたが、蒸溜所に原酒の製造を委託し、蒸留した時点から自社で熟成・在庫管理を行うスタイルを確立したことで、自社ブランドのブレンドとボトリングへと事業を拡大しました。事務・管理拠点はマン島に置かれていますが、実際のボトリングとブレンディングはスコットランド中央部で行われています。
同社最初の看板ブランドは、1970年代に発売されたブレンデッドスコッチ「ロンバード・ゴールドラベル(Lombard Gold Label)」です。1990年代には、シングルモルトブームの高まりを受けて瓶詰め商品市場にも本格参入し、自社の熟成原酒をより有効に活用する体制を整えました。2005年には、著名なペブルビーチ・ゴルフコースを運営するペブルビーチ・カンパニーと独占契約を結び、同社の名を冠した12年熟成のスペイサイドシングルモルトをリリースするなど、ユニークなコラボレーションも展開しています。
ロンバード・スコッチ・ウイスキーは、ノンチルフィルター(冷却ろ過なし)のシングルモルト専門の独立系ボトラーとして確固たる地位を築いており、熟成年数の長いレアな原酒を幅広く保有しています。これらにはすでに閉鎖された蒸溜所や知名度の低いマイナーなシングルモルトも含まれています。
主力ブランドは「ジュエルズ・オブ・スコットランド(The Jewels of Scotland)」です。ボトリングは46%からカスクストレングスまで幅広く展開されていますが、基準となるボトリング度数は50%となっています。チルフィルター処理やカラメル添加をせず、ナチュラルな状態でボトリングしています。現在は創業者マーガレット氏の息子であるリチャード・ロンバード=チブナル氏がグローバル・ブランド・ディレクターを務めており、家族経営として次の世代へと事業が受け継がれています。
マキロップズ チョイス / MacKillop’s Choice

- ボトラーズブランド
- 運営会社:イアン・マキロップ&カンパニー社(親会社:アンガス・ダンディ・ディスティラーズ)
マキロップズ・チョイスは、1996年に「グレンカダム蒸溜所」と「トミントール蒸溜所」を所有する「アンガス・ダンディー・ディスティラーズ(Angus Dundee Distillers)」によって立ち上げられたブランドで、1998年から実際のボトルのリリースが始まりました。製造元はアンガス・ダンディー社の傘下「イアン・マキロップ&カンパニー社(Iain Mackillop & Co Ltd)」です。
その名は、スコットランド・マキロップ家の族長の後継者であり、ブランドの精神的支柱でもある「ローン・マキロップ氏(Lorne Mackillop)」に由来しています。
ローン・マキロップ氏は、かつて王家の近衛として仕えたマキロップ家の末裔です。その家訓は「Non Dormit Qui Custodit(守る者は眠らず)」。1745年のジャコバイトの反乱とカロデンの戦いの後、家系は壊滅的な打撃を受けましたが、わずかに生き延びた者たちの血筋が、現在まで続いています。
ロンドン大学クイーン・メアリー・カレッジで生理学を学んだローン・マキロップ氏は、大学在学中にロンドンのワイン商でアルバイトをしたことをきっかけにワインの世界に惹かれていきます。その後、WSET(ワイン・スピリッツ教育トラスト)のディプロマを優等で修了し、WSET奨学金を獲得したのち、1984年には世界最高峰のワイン資格「マスター・オブ・ワイン」に合格しました。当時28歳での合格は史上最年少となりました。
マスター・オブ・ワイン(Master of Wine, MW)の称号を得るには、ブラインドテイスティング、理論試験、そして実務的な研究論文を含む非常に厳しい審査をクリアする必要があります。1953年の設立以来、取得者は世界でもわずか数百人しかおらず、まさに「ワインの博士号」とも言える権威ある資格です。
17年間にわたるワイン業界でのキャリアを経て、ローン・マキロップ氏はアンガス・ダンディー・ディスティラーズに加わり、スコッチウイスキーの取引にも携わるようになります。そして、1996年、自らの審美眼で選び抜いたウイスキーを世に送り出すべく「マキロップズ・チョイス」ブランドを始動させ、以来30年近くにわたりスコッチウイスキー業界でキャリアを積んできました。なお、同氏は2023年11月に、英国の由緒ある同業者組合「ワーシップフル・カンパニー・オブ・ディスティラーズ」の第308代マスターに就任するなど、業界内で高い権威を持つ人物としても知られています。

ローン・マキロップ氏がこだわるのは、一貫性よりも“個性”です。ウイスキーの世界で主流となっている、ブレンドによる均質化ではなく、それぞれの樽が持つ唯一無二の風味を尊重しています。選定は厳しく、テイスティングされた原酒の約8割はボトリングが見送られたといいます。
ウイスキーは冷却ろ過やカラメル着色を一切行わず、自然のままの味わいを維持したままボトリングされます。アルコール度数は加水タイプの「43%」と「46%」、またはカスクストレングスでボトリングされます。
ローン・マキロップ氏は、シェリー樽やウッドフィニッシュの扱いにも慎重です。「過剰に樽の個性が支配すると、本来のモルトの魅力が損なわれてしまう」と語ります。
そのため、単に希少であるという理由だけで選ばれることはなく、誰もが飲んでみたいと願う、有名蒸溜所の長期熟成シングルモルトであっても、納得のいかない仕上がりであれば製品化を見送ります。
また、彼の哲学は、ワインのヴィンテージのように「年による違いを楽しむ」ことです。シングルカスクという限られた本数しか生まれないスタイルだからこそ、一本一本に注がれたローン・マキロップ氏の審美眼は、マキロップズ・チョイスのブランドを、唯一無二の価値へと成長させました。
モルトバーン / Maltbarn
- ボトラーズ会社
モルトバーンは、2011年にドイツ北部の北海沿岸、シュタットラント地域に設立された家族経営のインディペンデント・ボトラーです。オーナーのマーティン・ディークマン氏は、1998年からウイスキー業界に携わり、モルトバーン設立以前は著名なウイスキー愛好家コミュニティ「モルト・マニアックス(Malt Maniacs)」のメンバーとして活動していました。
彼が引っ越した先の古い農場に、20×30メートルという非常に大きな納屋(バーン)が併設されていたことが、ブランド名「モルトバーン」の由来になっています。この納屋自体は、実際に麦芽の保管や処理に使われたことは一度もないという、少し意外なエピソードも残っています。
モルトバーンは、スコットランドの蒸溜所から厳選したシングルモルトやシングルグレーンウイスキーのほか、ラムなど他のスピリッツも独自の視点でボトリングしています。品質を最優先し、マーケティングや派手なパッケージングには頼らず、ディークマン氏が自ら飲みたいと思えるウイスキーのみを提供することを信条としています。ドイツの「リンブルグ・ウイスキーフェア」への出展をきっかけに、ヨーロッパ中の愛好家から注目を集めるようになりました。
バーボン樽やシェリー樽で熟成されたものが多く、カスクストレングスでの瓶詰めが基本です。冷却ろ過や着色を行わず、ウイスキー本来の風味を大切にしています。ラベルに使われている写真は、すべてディークマン氏の自宅である農場で撮影されたものが使用されており、ブランドの個人的な温かみを感じさせるデザインとなっています。
モルトバーンのボトルは、ドイツやヨーロッパ各地で人気があり、日本でもその品質の高さから注目を集めていますが、生産・流通量が非常に限られているため、発売後すぐに完売することも少なくありません。運営は、ディークマン氏の家族を中心とした小規模な体制で行われています。
ザ シングルモルツ オブ スコットランド / The Malts of Scotland
- ボトラーズブランド
- 運営会社:エリクサー・ディスティラーズ(スコットランド)
ザ・シングルモルツ・オブ・スコットランドは、英国の酒販店「ウイスキー・エクスチェンジ」のオーナーであるスキンダー・シン氏が手がける独立系ボトラー、エリクサー・ディスティラーズ(旧スペシャリティ・ドリンクス社)が展開するメインブランドです。
エリクサー・ディスティラーズは1999年に設立され、2005年からこのシリーズのリリースを開始しました。スコットランド各地の蒸溜所から厳選された樽を購入し、品質に優れたものだけを入念に選び、「ザ・シングルモルツ・オブ・スコットランド」シリーズとしてボトリングしています。
このシリーズは、優れた官能力を持つことで業界でも有名な同社のバイヤー、オリバー・チルトン氏が、入念なテイスティングによって選び抜いた樽をボトリングしていることでも知られています。シリーズ内には、1樽のみを瓶詰めする「シングルカスク」、3〜10樽を組み合わせてアルコール度数48%に統一する「スモールバッチ」、複数樽構成の「リザーブカスク」など、いくつかのサブブランドが存在し、それぞれ異なる個性を楽しめる構成になっています。
これらのシリーズでは、シングルカスクやスモールバッチのウイスキーを提供しており、各ボトルには蒸留所名や蒸留年、ボトリング年、アルコール度数などの詳細な情報が記載されています。
多くのリリースはノンチルフィルター、ノンカラーリングでボトリングされており、蒸溜所本来の個性を尊重した仕上がりになっています。これにより、ウイスキー愛好家は各ボトルの個性や背景を深く理解しながら楽しむことができます。2026年にはブランド創業25周年を記念した特別リリースも行われるなど、長年にわたり高い評価を維持し続けている人気シリーズです。
ムーンインポート / Moon Import

出典:https://item.rakuten.co.jp/
- ボトラーズ会社
ムーンインポートは、1980年にイタリア・ジェノヴァで「ジュゼッペ・ペピ・モンジャルディーノ氏」によって設立された独立系ウイスキーボトラーです。シングルモルトスコッチウイスキーの魅力をイタリアに広めた先駆け的存在であり、美しいラベルデザインに加え、その品質の高さから、イタリアを代表するトップボトラーにまで成長しました。
モンジャルディーノ氏は、1970年代にスピリット社でハイラム・ウォーカー(Hiram Walker)ブランドのイタリア市場への展開に携わり、アードベッグ、バランタイン、ミルトンダフなどのウイスキーを取り扱っていました。
その後、独立を決意しムーンインポートを設立。同社は、ブルックラディ蒸溜所のイタリア初の正規輸入代理店となり、タムナヴーリンやタリバーディンなどの蒸溜所とも提携します。
創業当初の成功には、同じイタリアの独立系ボトラーである「サマローリ」の影響が大きく関わっています。サマローリの創業者「シルヴァーノ・サマローリ(Silvano Samaroli)」氏は、すでに1968年からシングルカスクのボトリングに取り組んでいた先駆者であり、モンジャルディーノ氏はその独立系ボトラーとしての姿勢に強く影響を受けました。サマローリ氏の助言により、ムーンインポートは独立した立場でウイスキーのボトリングを行うことを決意します。
また、1999年には、モンジャルディーノ氏とサマローリ氏の長年の友情と協力の証として、「Dreams」シリーズが共同でリリースされました。全9本構成のこのシリーズは、すべて45%、着色・冷却ろ過なしという統一されたコンセプトでボトリングされ、ラベルはナディア・ピーニ氏とハンス・ピウ氏によってデザインされています。
モンジャルディーノ氏自身が「Dreamsは自分の一番のお気に入りのシリーズだ」と語るほど、両者の情熱と専門知識が融合した特別なボトリングとして、ウイスキー愛好家の間で高く評価されています。ムーンインポートとサマローリは、イタリアにおける独立系ウイスキーボトラーの先駆者として、互いに影響を与え合いながら、トップボトラーとしての地位を築きました。
ムーンインポートのウイスキーは、モンジャルディーノ氏自身の厳格な基準で選ばれた樽からボトリングされています。彼は、自身の味覚に合致し、長期熟成や高品質な樽であることを重視しました。創業初期のボトルは「カスクストレングス」でしたが、後のシリーズでは46%の加水タイプとしてリリースされています。
2025年、1979年からムーンインポートのイタリア正規輸入代理店を務めていたフランスのシャンパーニュメーカー「フィリポナ(Philipponnat)」が、事業からの引退を希望したモンジャルディーノ家が保有していた株式50%を取得しました。残り50%は、長年経営に携わってきたマルコ・ヴァガッジーニ氏が、娘のマルタ、フランチェスカ、キアラの3氏とともに「River.Fin」という会社を通じて保有しており、ヴァガッジーニ氏は同社の会長に就任しています。
ヴァガッジーニ氏はムーンインポートの輸入業務を拡大し、40以上のワイナリーと提携するなど、ウイスキー以外の分野でもポートフォリオを充実させています。同氏はムーンインポートの現在と未来を担う中心的な存在として、成長と発展に寄与し続けています。
ムーンインポートは、イタリアのウイスキー文化に多大な影響を与えた独立系ボトラーとして、今後もその独自性と品質を維持しながら、魅力的なウイスキーを提供し続ける、有能なボトラーズ会社です。現在、日本で購入するのは難しい状況ですが、BARで見かけた際には飲んでおきたいですね。
ムーンインポートの主なシリーズ
ムーンインポートのボトルは、18世紀のドイツの百科事典『ブロックハウス百科事典(Brockhaus Enzyklopädie)』の古い挿絵からインスピレーションを得たラベルデザインで知られ、多くはモンジャルディーノ氏自身がデザインを手がけています。鳥や海洋生物、歴史的人物などをモチーフにしたイラストは、単なるパッケージを超えて“コレクションしたくなるラベルアート”としても評価されています。
ハーフムーン(Half Moon)シリーズ:1982年にリリースされた最初のシリーズで、グレンリベットやマッカランなどの人気蒸溜所のウイスキーが数多くリリースされている。
ザ・バード(The Birds)シリーズ:鳥のイラストが特徴的なラベルデザイン。
ザ・コスチューム(The Costumes)シリーズ:伝統的な衣装を描いたラベルで、ボウモア1974年などが含まれる。
ザ・シー(The Sea)シリーズ:海洋生物のイラストが特徴的なボトル。
ドリームス(Dreams)シリーズ:1999年にサマローリ氏との共同でリリースされた、全9本構成の伝説的なシリーズ。
デ・ヴィリス・イラストリブス(De Viris Illustribus)シリーズ:歴史上の偉人をテーマにしたシリーズ。
マーレイ マクダヴィッド / Murray McDavid
- ボトラーズ会社
マーレイ・マクダヴィッドは、1996年に設立されたスコットランドの独立系ウイスキーボトラーで、革新的な熟成技術と多彩なラインナップで知られています。設立者は、ワイン商である「マーク・レイニエ」、「サイモン・コフリン」、スプリングバンク蒸溜所の元ディレクターである「ゴードン・ライト」の3人です。
同社は、熟成中のウイスキーを異なる種類の樽に移し替えて風味を高める「Additional Cask Enhancement(追加の樽熟成)」と呼ばれる技法を開発し、ウイスキー業界に革新をもたらしました。
この手法は、いわゆる「後熟・フィニッシュ」であり、バーボン樽で熟成したウイスキーを、シェリー樽やポートワイン樽などの樽に移し替える熟成方法です。この技法によって生まれた貴重なワインカスクフィニッシュには定評があり、バラエティに富んだボトリングと高いコストパフォーマンスから、モルトファンの高い支持を得ています。
マーレイ・マクダヴィッドは、2000年12月19日に、当時休眠状態にあったアイラ島のブルックラディ蒸溜所を買収し、元ボウモアのカリスマ的人物であるジム・マッキューワン氏を製造責任者に迎え、2001年に同蒸溜所の再稼働に貢献しました。
しかしその後、2012年にフランスのレミー・コアントロー社がブルックラディ蒸溜所とそのブランドごと同社を買収します。1年も経たないうちに、レミー・コアントロー社はブルックラディの蒸溜所とブランドのみを手元に残し、マーレイ・マクダヴィッドのその他のボトラー事業を、スコッチウイスキーのブローカー「Aceo Limited」社に売却し、現在も同社の元で運営されています。
現在のマーレイ・マクダヴィッドは、本拠地をスペイサイド地方のコールバーン蒸溜所としています。コールバーン蒸溜所は1897年に設立され、1985年に閉鎖されて以来、一度もオフィシャルボトルをリリースしたことのない蒸溜所ですが、現在はマーレイ・マクダヴィッドの倉庫・オフィスとして活用されています。
スコットランド全土の90以上の蒸溜所から40,000以上の樽を、コールバーン蒸溜所内で熟成させ、多様に育てたウイスキーをボトリングしています。主力シリーズは46%でボトリングされる「ベンチマーク(Benchmark)」で、他社ではまねのできない貴重なワインカスクフィニッシュを積極的に取り入れたリリースを展開しています。
マーレイ・マクダヴィッドの主なシリーズ
1. Mission Gold(ミッション・ゴールド)
マーレイ・マクダヴィッドの代表的なシリーズ。熟成年数の長いヴィンテージ・モルトやグレーン、希少な閉鎖蒸溜所の原酒などが中心。ウイスキーコレクターや上級者向けのライン。
2. Benchmark(ベンチマーク)
同社のスタンダードシリーズ。熟成に使う樽の個性を最大限に活かすブレンドが特徴。
3. Mystery Malt(ミステリー・モルト)
蒸溜所名を公開せず、「謎」に包まれたシングルモルト(シークレットモルト)のシリーズ。香味で推理する楽しさを提供する。
4. Select Grain(セレクト・グレーン)
単一蒸溜所のシングルグレーンウイスキーを集めたシリーズ。
5. The Vatting(ザ・ヴァッティング)
複数のシングルモルトをブレンドしたブレンデッドモルトシリーズ。地域や樽タイプ別にテーマが設けられ、香味のバランスに優れる。
ナ ブラザレン / Na Bràithrean
- ボトラーズ会社
ナ・ブラザレンは、2019年にスコットランド・グラスゴーを拠点として設立された、比較的新しいウイスキーボトラーです。社名はスコットランド・ゲール語で「兄弟たち」を意味し、創業者はアンドリュー(愛称アンディ)・パクストン氏とブレンダン・ジェイク・クラーク氏の2人になります。
ナ・ブラザレンの最大の特徴は、独自の「兄弟カスク」というコンセプトです。ひとつの「母カスク」で熟成された原酒を途中で2つに分け、一方はそのままバーボンホグスヘッドなどで熟成を継続させ、もう一方はオロロソシェリーやペドロヒメネスシェリーのクォーターカスクなど、異なる種類の樽に移し替えてさらに数ヶ月間のフィニッシュを施します。
先にボトリングされるのが「Wee Brother(弟)」で、白いラベルが目印です。母カスクからそのまま熟成を続けた原酒が、比較的若い熟成年数でリリースされます。その後、追加のフィニッシュを経てさらに熟成を重ねた「Big Brother(兄)」が、黒いラベルで登場します。
例えば、ダルムナック蒸溜所の原酒を使ったリリースでは、Wee Brotherがバーボンホグスヘッドで6年熟成されたのに対し、Big Brotherは同じ原酒をオロロソシェリークォーターカスクで9ヶ月間フィニッシュしたのち、6年熟成としてボトリングされています。
この手法により、元は同じだった原酒が、異なる「熟成年数」と「セカンドカスク」の影響によって、どのように変化するかを飲み比べながら楽しむことができる、非常にユニークで教育的な体験を提供するブランドとなっています。
ノーススター スピリッツ / North Star Spirits
- ボトラーズ会社
ノーススター スピリッツは、2016年にスコットランド・グラスゴーで、元デュワーラトレー社のブランドアンバサダーだったイアン・クラウチャー氏(Iain Croucher)によって設立された、インディペンデント・ウイスキーボトラーです。40代前半でキャリアの岐路に立っていたクラウチャー氏が、妻のジョイ氏からのアドバイスを受け、「北(North)」と「星(Star)」を組み合わせて名付けたのがブランド名の由来です。有名ブランドやマーケティング戦略に頼るのではなく、樽そのものの品質に徹底的にこだわるというシンプルな哲学のもと、小ロットの厳選された樽をボトリングしてスタートしました。
創業以来、スコッチウイスキーの多様性と個性を尊重し、独自の視点で厳選した樽をボトリングしています。ラインナップは、メインとなる「シングルカスク」シリーズのほか、星座の名を冠したブレンデッドモルト「ヴェガ(VEGA)」、ブレンデッドスコッチ「スピカ(SPICA)」の3つを軸に展開されています。
ウイスキーは全てカスクストレングス・ノンチルフィルターでボトリングされ、ウイスキー本来の個性をダイレクトに楽しめる仕上がりとなっています。創業間もないながら、世界のモルトファンの指標となる評価サイト「Whiskyfun.com」でも高スコアを連発するなど、磨き抜かれた樽の選定能力が早くから話題を集めています。
また、クラウチャー氏はキャンベルタウンに新設が承認された「ダルリアタ蒸溜所」の立ち上げにも携わるなど、ボトラー業の枠を超えて業界全体にその存在感を広げている、注目の新鋭ボトラーです。
オックスヘッド ウイスキーカンパニー / Oxhead Whisky Company
- ボトラーズ会社
オックスヘッド ウイスキーカンパニーは、2019年に設立された独立系ボトラーで、シンガポールと中国を拠点に、スコッチウイスキーを中心にアイリッシュウイスキーなども含めてアジア市場に展開しています。
その哲学は「伝統への敬意と現代的センスの融合」。クラシックなスタイルを重視し、すべてのボトルはナチュラルカラー、ノンチルフィルターでボトリングされています。アルコール度数が60%を超える場合を除き、基本的にカスクストレングスでボトリングされています。
これまでにリリースされたウイスキーは50本前後にのぼり、中には1985年蒸留の「Secret Highland」や、1997年蒸留のボウモア、24年熟成のボウモア、26年熟成のブレンデッドスコッチなど、希少性が高く魅力的なウイスキーも数多く含まれています。世界的なウイスキー評論家サージ・ヴァレンティン氏が運営する著名な評価サイト「Whiskyfun」でも好意的なレビューを獲得しており、シンガポール発の独立系ボトラーとして業界内で存在感を高めています。
展開する主なラインナップは以下の通りです。
Classic Casks:伝統的な樽に焦点を当てたシリーズで、過度な木樽フィニッシュを避け、ウイスキー本来の魅力をストレートに表現する。全てシングルカスクでボトリング。
Dram-Addicts:希少かつ個性的なカスクのみを厳選したシリーズ。
Secret:蒸溜所名を公表せずにリリースするシリーズで、正体不明のオークニーやアイリッシュウイスキーなど、業界でよく見られる手法を用いた個性的な原酒が揃う。
パロマ / Paloma
- ボトラーズブランド
- 運営会社:ゴールドフィンチ・ウイスキー・マーチャント
「パロマ(Paloma)」は、独立系ボトラー「ゴールドフィンチ・ウイスキー・マーチャンツ(Goldfinch Whisky Merchants)」が手がけるシングルモルトウイスキーのブランドです。このシリーズは、希少な「パロ・コルタドシェリー樽」でフィニッシュされたウイスキーをリリースしており、これまでにアードモアやリンクウッド、ロイヤル・ブラックラといった様々な蒸溜所の原酒が採用されています。ロイヤル・ブラックラ12年は、国際的な品評会「IWSC(インターナショナル・ワイン&スピリッツ・コンペティション)2024」で金賞を獲得するなど、高い評価を得ています。
創業者のアンドリュー・マクドナルド=ベネット氏は、「パロマは、パロ・コルタドシェリーが様々なシングルモルトにもたらす影響を伝えるために生まれた。世界でも最も希少なシェリーの一種を貯蔵していた樽を選び、最初のリリースをフィニッシュした。スペインとのつながりに焦点を当てることで、美しく時代を超えた、そして驚くほど美味しいものを作り上げることができた」と語っています。
「パロマ」とはスペイン語で「鳩」を意味し、ラベルにはカタルーニャの画家イシドレ・ノネルによる1904年の作品『La Paloma』が採用されています。もの思いにふける姿のジプシー女性を描いたこの肖像画は、現在バルセロナのカタルーニャ国立美術館(MNAC)に収蔵されている作品で、この芸術的なアプローチにより、スペインとの文化的なつながりが強調されています。
パロ・コルタド(Palo Cortado)シェリーは、スペイン・ヘレス地方で造られる非常に希少なタイプのシェリー酒です。もともとはフィノやアモンティリャードとして熟成が始まりますが、途中で自然に酸化熟成に切り替わるという特殊な経過をたどります。そのため、フィノの繊細な香りとオロロソの豊かなボディを併せ持つのが特徴です。その生産量はシェリー全体のわずか600分の1以下ともいわれるほど希少で、ウイスキー熟成用の樽としても非常に高い価値を持っています。
「パロマ」シリーズは、ノンチルフィルター、ナチュラルカラー、カスクストレングスでボトリングされています。また、環境への配慮から、100%コットンのラベル紙やポルトガル産の天然コルク、再生可能素材から作られた生分解性のシールなど、サステナブルな素材が使用されています。
パールズ オブ スコットランド / Pearls of Scotland

- ボトラーズブランド
- 運営会社:ゴードン&カンパニー社(スコットランド)
「パールズ・オブ・スコットランド」もしくは正式名称「ザ・パール・オブ・スコットランド(The Pearl of Scotland)」は、スコットランドの独立系ボトラーである「ゴードン&カンパニー(Gordon & Company (Distillers) Limited)」社が手がけていたシングルカスクウイスキーのブランドです。希少性と品質の高さを象徴する「真珠(Pearl)」の名にふさわしく、閉鎖蒸溜所やマイナー蒸溜所の厳選された原酒をボトリングしています。
創設者のジム・ゴードン氏は、ウイスキー業界で30年以上のキャリアを積み、2012年に会社を設立、満を持して自身のブランドである「ザ・パール・オブ・スコットランド」を2013年秋からリリースしました。
ボトリング方針は、ノンチルフィルター、ノンカラメル、そしてすべてシングルカスクのカスクストレングスでの瓶詰めを徹底しており、英国を中心に世界10ヶ国で展開されていました。特にレアな原酒だけを厳選する上位ライン「ゴールデンパール・コレクション」も設けられ、コレクター心をくすぐるラインナップとなっていました。
息子・ジョナサン氏も同社に加わり、今後さらなる展開が期待されていましたが、近年は新たなボトルのリリース情報が確認できない状況が続いています。運営会社自体は現在も法人としては存続しているものの、実質的なボトラー事業は休止しているとみられ、既存のボトルは市場での流通が限られていることから、コレクターや愛好家の間で高い評価を受けています。
ペグ ウイスキー / Peg Whisky
- ボトラーズ会社
ペグ・ウイスキーは、スコットランド・ポートダンダスを拠点とする新進気鋭のインディペンデント・ボトラーで、いとこ同士でありながら兄弟のような絆で結ばれたマンディープ氏とカリー氏によって設立されました。もともとウイスキー愛好家として各地でテイスティングを重ねてきた2人は、インド系コミュニティの市場に独自のウイスキーブランドが存在しないというニッチな機会に着目し、自分たちのブランドを立ち上げることを決意しました。
ブランド名の「Peg(ペグ)」とは、インドをはじめとするアジア圏で一般的に使われる「ウイスキーの一杯」を指す口語表現で、「友人や家族と食卓を囲み、語らいながら味わう一杯」という文化的な意味合いが込められています。彼らは「ウイスキーを通じて人々をつなげる」という理念のもと、伝統と文化を融合させたウイスキー造りを目指しています。
ペグ・ウイスキーのラインナップは、大きく3つの階層で構成されています。
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Limited Edition:シングルカスクのシングルモルトスコッチで、ノンチルフィルター・ナチュラルカラーにこだわった、コレクター向けの限定リリース。
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Small Batch Exclusive Series:複数の樽をブレンドした限定シリーズで、46%・ノンチルフィルターでボトリングされる、実験的な個性を楽しめるライン。
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Peg Whisky Blended Scotch:モルトとグレーンをブレンドした、40%のマイルドで親しみやすい味わいが特徴のスタンダードなブレンデッドウイスキー。
代表的なボトルである「Peg Whisky Blended Scotch」は、幅広い層に親しまれる入門的な一本として位置づけられており、シングルカスクから定番ブレンドまで、ウイスキーを楽しむさまざまな段階の人々に向けた選択肢を提供しています。
レスト アンド ビー サンクフル / Rest and Be Thankful
- ボトラーズブランド
- 運営会社:フォックス・フィッツジェラルド社(イギリス)
レスト・アンド・ビー・サンクフルは、2010年に設立された英国の独立系ボトラー「フォックス・フィッツジェラルド社(Fox Fitzgerald)」が、2012年に立ち上げたブランドで、スコットランドのシングルモルトやジャマイカ産ラムのシングルカスクのボトリングを手がけています。
フォックス・フィッツジェラルド社は、エイモン・ジョーンズ氏とエイダン・スミス氏の2人によって創業されました。同社は、もともとウイスキーブローカーとして事業を始めましたが、その後アイラ島のブルイックラディ蒸溜所から国際事業展開のサポートを依頼されたことをきっかけに、蒸溜所との深い関わりを築いていきました。この経験が、独自ブランドとしての「レスト・アンド・ビー・サンクフル」の立ち上げにつながっています。
ブランド名は、スコットランド・アーガイル地方、ロッホ・ローモンド国立公園内のグレン・クローを通る旧道沿いにある石碑の銘「Rest and Be Thankful(休んで感謝せよ)」に由来し、旅人が立ち止まり、自然の美しさと静けさに感謝する精神を象徴しています。
興味深いことに、ジャマイカのコックピット・カントリー自然公園にも「レスト・アンド・ビー・サンクフル」という同名の山があり、スコットランドがウイスキー、ジャマイカがラムで名高いことから、この偶然の一致にちなんで両方のスピリッツを同じブランドの下でボトリングするというユニークな発想が生まれました。
代表的なボトルには、ブルイックラディ蒸溜所から調達した「オクトモア」や「ポートシャーロット」があります。
特にオクトモアに関しては生産量が非常に少ないため、オフィシャルボトル以外のリリースは限定的であり、ボトラーズブランドとしてリリースできることは、レスト・アンド・ビー・サンクフルの強みと言えるでしょう。これまでに、マッカラン、ブルイックラディ、スプリングバンクなど、著名な蒸溜所を含む80種類以上のシングルカスクをリリースしてきた実績もあります。すべてノンチルフィルター、ノンカラーリング、カスクストレングスでのボトリングにこだわっているのも特徴です。
また、ジャマイカの「Monymusk」や「Long Pond」、「クラレンドン(Clarendon Distillers)」などの蒸溜所からのラムも手がけており、複数の蒸溜所のラムをブレンドした「Assemblage」シリーズなど、スコットランドとジャマイカの蒸留文化を融合させたユニークなボトリングも展開しています。
なお、親会社であるフォックス・フィッツジェラルド社は、ブレンデッドウイスキー「Glen Stuart」や、シングルモルトの「The Corriemhor」「Peat’s Beast」、さらにスペンサーフィールド・スピリッツ社の「Sheep Dip」「Pig’s Nose」「Old Hebridean」といったブランドも手がけており、幅広いスピリッツ事業を展開しています。
ロジャーズ ウイスキー カンパニー / Roger’s Whisky Company
- ボトラーズ会社
ロジャーズ ウイスキー カンパニーは、オランダ・ロッテルダムを拠点とする独立系ウイスキーブランドで、2020年に「ロジャー・タン(Roger Tan)」氏によって立ち上げられました。同ブランドは、ロジャー氏自身が創業したウイスキーブローカー会社「Spirits Services」が展開する、彼個人のパーソナルウイスキーブランドという位置づけになっています。
彼は1995年からシングルモルトの愛好家として活動を始め、2019年にはウイスキーボトルの写真をInstagramで共有するようになります。そして、その経験を通じて世界中のウイスキー愛好家と交流を深め、2020年に自身のボトラーズブランドを立ち上げました。
ロジャーズ ウイスキー カンパニーは、厳選したシングルカスクのウイスキーをナチュラルカラーで、チルフィルター処理を施さず、アルコール度数も高めに設定してボトリングしています。ラベルデザインには、アートデコやポストモダンの要素を取り入れたスタイリッシュなデザインを施しており、ボトルごとにその原酒の個性を反映したカスタムラベルアートを制作していることも特徴です。
ロジャー氏自身も「一つひとつの樽は唯一無二であり、年月をかけてそれぞれ独自のプロファイルを育んでいく。私のボトリングは、その物語をスタイリッシュなデザインとカスタムラベルアートを通じて伝える、小さな芸術作品なのだ」と語っています。
ラインナップは主に2つのシリーズで構成されています。
- Roger’s Vintage Selection:既知の蒸溜所による、比較的長期熟成のシングルカスクウイスキーをリリースするシリーズ。オルトモア、ベンネヴィスなどのボトリングが確認できる。
- Roger’s Hidden Treasures:特徴的なゴールドボトルを使用し、蒸溜所名を明かさずにリリースする、若いながらも優れた原酒を集めたシリーズ。シークレット・スペイサイドやキャンベルタウンなどのボトリングがある。
また、他のボトラーズ会社やデザイナーとのコラボも積極的に行っており、実際に「Scotch ‘n Tattoos」とのコラボレーションボトルもリリースしています。ウイスキーのカスク投資や取引にも取り組んでおり、シングルモルトの愛好家らしく、将来的なボトリングや価値の上昇を見据えて、さまざまなカスクをポートフォリオに加えています。






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