アイリッシュウイスキー蒸留所51カ所解説|Rademon Estate レイデモンエステート
レイデモンエステート
地域:北アイルランド・ダウン州
創業年:2012
デイビッド&ボイド・アームストロング夫妻
レイデモンエステート蒸留所は、デイビッドとフィオナのボイド・アームストロング夫妻によって2012年に創業されました。北アイルランドのダウン州の森の中にあり、小さな十字架がシンボルマークとなっています。この地は初期キリスト教の発展に関連する歴史的な場所で、セント・パトリックが再上陸した地として有名です。
創業当初はジンの製造に特化しており、2014年からジンを発売。アイルランドではクラフトジンのブームの先駆けとなった造り手です。現在はウイスキーの生産もおこなっており、イタリアのフリッリ社製のスチルを導入して蒸溜しています。
ジンはエステート内の森で収穫される4種のボタニカルを使用。オリジナリティのある特徴的な味わいで人気となっており、「ショートクロス・ジン」はイギリスだけでなく、EU諸国やアメリカに輸出されています。
アイリッシュウイスキー蒸留所51カ所解説|Killowen キルオーウェン
キルオーウェン
地域:北アイルランド・ダウン州
創業年:2018
ブレンダン・カーティ氏
キルオーウェンは密造酒時代を思い起こさせるような小さな蒸留所。施設に窓はなく、外見は完全にガレージ。
キルオーウェン蒸留所はアイルランド共和国との国境に近い、ダウン州のキルオーウェン村に位置し、創業者のブレンダン・カーティ氏によって2018年に設立。アイルランドで最も小さい蒸留所として知られており、ワンバッチの仕込み量はわずか200kg。クラフト蒸留所と呼ばれる小規模生産者でさえ、ワンバッチは500㎏が標準となっているので、キルオーウェンはその半分にも満たない生産量となります。
蒸留所ではジン、モルトウイスキー、ポッスチルウイスキー、ポチーン(ニューポット)を製造。麦芽粉砕機やマッシュタンなどの設備も非常に小さく、麦汁の抽出量は1000リットルで、発酵槽にはプラスチックのバルクコンテナーを使用しています。
このコンテナーは海外への輸出時にも利用され、移動が容易であることが特徴です。キルオーウェンでは発酵の初期段階でこのコンテナーを屋外に運び、蓋を開けて意図的に外気にさらす作業を行っています。
発酵槽を外気にさらす理由としては、キルオーウェン蒸留所の「妖精の力を借りる」というコンセプトの元、その土地に存在する乳酸菌や野生酵母を利用するため。蒸留所の背後にあるノックシーという山から吹き下ろす風によって、発酵が促進されるとのこと。
ウイスキーの蒸留所は、発酵槽の大きさや材質(ステンレスタンク製、ダグラスファー製、ミズナラ製など)にこだわる所が多い訳ですが、発酵させる環境までもコントロールしている所も、小規模生産者ならではですね。
ポットスチルはポルトガルのホヤ社製。初留は1000リットル、再留は800リットル。クラフト蒸留所のなかでも非常に小さいサイズ。蒸留所はガスによる「直火焚き蒸留」が行われ、冷却には屋内ワームタブ冷却槽を使用。昔ながらの伝統的な製造方法を取り入れています。
麦芽はピート麦芽も含めて自家製。燻製室のような小さなスペースでピートを燻しています。
アイリッシュウイスキー蒸留所51カ所解説|Matt D’arcy マットダーシー(準備中)
マットダーシー(準備中)
地域:北アイルランド・ダウン州
創業年:準備中
D’Arcy & Co. Ltd.
アイリッシュウイスキー蒸留所51カ所解説|Boatyard ポートヤード
ポートヤード
地域:北アイルランド・ファーマナ州
創業年:2013
The boatyard distillery
ボートヤード蒸留所は2016年末に最初の製品であるジンを販売。ウイスキーの製造については今後予定されているようです。
アイリッシュウイスキー蒸留所51カ所解説|Cooley クーリー
クーリー
地域:アイルランド共和国・ラウス州ダンダーク近郊
創業年:1987
ビームサントリー社
創業者である「ジョン・ティーリング」氏は、1987年に国立の工場であったケミックトー蒸留所を買収し、クーリー蒸留所として創業。2年後の1989年に生産が開始されています。
蒸留所は元々アルコール工場であったため、連続式蒸溜機をそのまま利用してグレーンウイスキー製造も行っています。2014年からはビーム社を買収したサントリーの傘下となっています。
この記事の冒頭で、アイルランドのウイスキーは衰退した結果、1975年には新ミドルトンとブッシュミルズのわずか2か所のみが稼働する状態になったと解説しましたが、クーリーが第3の蒸留所として誕生したことで、低迷していたアイリッシュウイスキーに新たな風を起こすこととなり、ここ数年の新規蒸溜所開業ラッシュへとつながったのです。
クーリー蒸留所と言えば、アイリッシュウイスキーでありながら、スコットランド産のピーテッド麦芽を使い、二回蒸留で製造しているのが最大の特徴。麦芽のフェノール値は14ppm。モルトウイスキーに使うポットスチルは2基で、どちらも中古。スコットランドのベンネヴィス蒸留所から入手しています。
ワンバッチあたりの仕込み量は麦芽3トン。約1万6000リットルの麦汁を抽出。マッシュタンは最新鋭のブリッグス社製に更新され、発酵槽も室内のステンレス製に変更されています。
アイリッシュでありながらスコッチの製法を取り入れたクーリー蒸留所。ピート仕込みのアイリッシュ・シングルモルトの先駆けとなったカネマラの誕生は、ウイスキーの個性に多様性を生み、他のクラフト蒸留所へ新たな可能性を見出すきっかけを作ったと言えますね。
「Cooley クーリー」のおすすめウイスキー
カネマラ オリジナル
カネマラ オリジナル
カネマラ12年
カネマラ12年
カネマラ ディスティラーズ エディション
カネマラ ディスティラーズ エディション
アイリッシュウイスキー蒸留所51カ所解説|Great Northern グレートノーザン
グレートノーザン
地域:アイルランド共和国・ダンドーク
創業年:2015
ジョン・ティーリング氏
グレートノーザン蒸留所は、かつてギネスが所有していたビール工場「グレートノーザン醸造所」をウイスキー蒸留所に改装する形で誕生しました。
グレートノーザンのビール工場は、ダブリンのギネス本社工場に次ぐ大規模なもので、「ハープ」というラガービールを主に製造していました。2013年にギネスが工場を売却。購入したのはクーリー蒸留所の創業者である「ジョン・ティーリング」氏で、クーリーをビーム社に売却後、新たなチャレンジとしてグレートノーザン蒸留所を創業します。
蒸留所では当初、イタリアのフリッリ社製の連続式蒸留機を使用してグレーンウイスキーの製造をおこなっており、ウイスキーの原酒を中小規模のクラフトウイスキーメーカーに供給していました。
しかしその後、ジョン氏はケトル(煮沸釜)をポットスチルの単式蒸留器に改造することが可能であることを知り、2016年からモルトウイスキーとポットスチルウイスキーの製造を開始します。
グレートノーザン蒸留所は、モルトウイスキー、ポットスチルウイスキー、グレーンウイスキーの3タイプの原酒を製造しており、生産能力は、モルトとポットスチルを合わせて360万リットル。グレーンウイスキーは800万リットル。クラフト蒸留所とは呼べない生産規模です。2020年には新たに発酵槽を2基増設し、さらに生産量は増える予定。
商品としては、日本で未発売ですが「Burke’s(バークス)」という自社ブランドをリリースしています。
アイリッシュウイスキー蒸留所51カ所解説|Old Carrick Mill オールドキャリックミル
オールドキャリックミル
地域:アイルランド・モナハン州
創業年:?
MONAGHAN社
コメント