

こんばんは ユースケです。
自己紹介:BAR WHITE OAK 店主。ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーエキスパート。JSA認定ソムリエ。2022年1月 東京・銀座にBAR WHITE OAK をオープン。YouTube、TikTokでカクテル動画を公開中!
ニッカウヰスキーの創業者・竹鶴政孝が最後に手がけた最高峰ブレンデッドウイスキー「ニッカ 鶴」。この記事では、「竹鶴」との違いや歴代ボトルの変遷、終売となった「鶴17年」の歴史から、現行の蒸溜所限定ボトルまでを分かりやすく解説します。
後半では現行ボトルの実飲レビューや価格に見合う価値があるのかの考察もまとめていますので、購入や試飲を検討している方はぜひ最後までご覧ください。
「ニッカ 鶴」とは?竹鶴政孝最後のブレンド、その歴史と歴代ボトルを解説

ニッカウヰスキーの「鶴」は、創業者・竹鶴政孝が最後に手がけたブレンデッドウイスキーとして知られる、ニッカを代表する高級銘柄です。
1976年10月に「鶴(特級)」として誕生して以来、白陶器ボトル、ガラス製スリムボトル、「鶴17年」、そして現在の蒸溜所限定品へと姿を変えながら、その名を受け継いできました。
ニッカ公式の歴史では、1976年に発売された「鶴(特級)」を、竹鶴政孝自身が最後にブレンドした商品としています。竹鶴政孝は1979年に85歳で亡くなったことから、「鶴」は後に「竹鶴政孝の遺作」とも呼ばれるようになりました。
「鶴」という名前には、北の大地に立つ鶴の優雅さや凛とした姿が重ねられています。初代の白陶器ボトルから続く細長いシルエットも、鶴の首や立ち姿を思わせる特徴的なデザインです。
また、鶴はニッカが長年培ってきたブレンデッドウイスキー造りを象徴するブランドでもあります。余市蒸溜所の力強いモルト、宮城峡蒸溜所の華やかなモルト、そして自社のグレーン原酒。それぞれ異なる個性を持つ原酒を組み合わせることで、単一の原酒では生み出せない調和を目指しています。
「竹鶴」と「鶴」の違い

「竹鶴」と「鶴」は名前が似ていますが、全く異なる別ブランドのウイスキーです。
| 項目 | 竹鶴 | 鶴 |
|---|---|---|
| 正式な酒類区分 | ピュアモルト/ブレンデッドモルト | ブレンデッドウイスキー |
| 使用原酒 | モルトウイスキーのみ | モルト+グレーン |
| ブランドの意味 | 竹鶴政孝の名を受け継ぐブランド | 竹鶴政孝が最後にブレンドしたブランド |
| 初登場 | 2000年 | 1976年10月 |
| 竹鶴政孝との関係 | 没後に誕生 | 生前に手がけた最後のブレンデッド |
| 現行品 | 「竹鶴ピュアモルト」 | 余市・宮城峡蒸溜所限定の「ニッカ 鶴」 |
「竹鶴」は、余市と宮城峡のモルト原酒だけを組み合わせたピュアモルトです。国際的なカテゴリーでは、ブレンデッドモルトウイスキーに分類されます。
一方、「鶴」はモルト原酒にグレーン原酒を加えたブレンデッドウイスキーです。モルトの個性を軸にしながら、グレーンによって甘みや口当たり、全体のまとまりを整えています。
つまり、「竹鶴」は竹鶴政孝の名前を受け継ぐブランド、「鶴」は政孝がブレンダーとして最後に手がけた銘柄、という違いがあります。
竹鶴政孝が「鶴」に込めたブレンド思想

竹鶴政孝にとって、ブレンドとは単に原酒の個性を弱める作業ではありませんでした。
異なる個性を持つ原酒を組み合わせ、それぞれの長所を引き出しながら、単独の原酒では生み出せない味わいを完成させる。これが、竹鶴政孝が考えたブレンデッドウイスキー造りの重要な考え方でした。
竹鶴政孝はスコットランドでウイスキー造りを学び、帰国後は「日本で本物のウイスキーを造る」という理想を掲げます。その実現のため北海道・余市に蒸溜所を設立し、後に宮城県にも宮城峡蒸溜所を建設しました。
余市では石炭直火蒸溜による力強く重厚なモルト原酒が生まれる一方、宮城峡では蒸気加熱による蒸溜によって、華やかで軽快な酒質のモルト原酒が造られます。
さらに宮城峡にはカフェ式連続式蒸溜機があり、グレーン原酒の製造にも使用されています。
こうした個性の異なる余市と宮城峡のモルトにグレーン原酒を組み合わせることで、重厚さと華やかさ、そしてなめらかな口当たりを兼ね備えた、奥行きのあるブレンデッドウイスキーを生み出すことができるのです。
ニッカ鶴の歴史年表

| 年月 | 出来事 |
|---|---|
| 1976年10月 | 「鶴(特級)」発売。竹鶴政孝が最後にブレンドした商品とされる |
| 1979年 | 竹鶴政孝逝去(享年85) |
| 1989年4月 | 酒税法改正により特級表示が廃止。前後して容量が750mlへ移行 |
| 1990年頃 | ガラス製スリムボトルが登場。 ※発売年は資料により1990年・1992年の記載があるが、詳細は不明。 |
| 1996年 | 関東地方限定「鶴ウイング」発売 |
| 1997年前後 | 容量が700mlへ移行し、書体も変更されたとされる |
| 2006年11月 | 年数表記のない「鶴」販売終了 |
| 2006年12月 | 「鶴17年」発売 |
| 2015年8月 | 「鶴17年」終売。原酒不足が理由とアサヒビール広報が説明 |
| 2016年9月 | ノンエイジの「鶴」が余市・宮城峡蒸溜所限定品として再発売 |
白陶器ボトルの魅力と特徴

ニッカ鶴の歴史を語るうえで欠かせないのが、白陶器ボトル。
白を基調とした陶器は、鶴の白い羽や日本的な美意識を思わせるデザイン。なだらかな肩から細く伸びる首も、優雅に立つ鶴の姿を連想させます。
ただし、白陶器だからといって特定の年代や製品に限定できるわけではありません。年数表記のない「鶴」と「鶴17年」の双方に陶器ボトルが存在します。
容量も時代によって変化しており、1989年前後には750ml、その後1997年前後には700mlへ移行したとする実物調査記録があります。700ml化に伴って書体も変更されたとされています。
鶴17年とは?

「鶴17年」は、年数表記のない「鶴」の販売終了後、2006年12月に発売されたプレミアム・ブレンデッドウイスキーです。17年という名称が示す通り、構成原酒はすべて17年以上熟成されたものとされます。
販売者の商品説明では、17年以上熟成した余市・宮城峡のモルト原酒に、宮城峡のカフェ式連続式蒸溜機で造られたグレーン原酒を加えていたとされています。
ボトルはガラス製と白陶器製の両方が存在し、ニッカを代表する高級ブレンデッドウイスキーとして販売されました。
鶴17年はなぜ終売した?

鶴17年は2015年8月に終売となりました。大きな理由となったのが、長期熟成原酒の不足。アサヒビールは2015年6月の報道取材に対し、8月末で終売すること、その理由が原酒不足であることを説明しています。
背景には、NHK連続テレビ小説「マッサン」の放映によるジャパニーズウイスキー需要の急拡大がありました。2014年9月から2015年3月まで放映された「マッサン」をきっかけに需要が高まり、余市や宮城峡で造られた長期熟成原酒が不足する状況となっていたのです。
ニッカは同じ時期にシングルモルト余市・宮城峡などの年数表記商品のラインナップも見直しており、限られた長期熟成原酒を主力商品へ振り向ける必要に迫られていました。
その結果、「鶴17年」も終売となったのです。
ガラス製スリムボトルと「鶴ウイング」

1990年前後には、鶴にガラス製のスリムボトルが登場しました。
発売年については1990年とする資料と1992年とする資料があり、情報に揺れがあります。ニッカ公式による確定情報は確認されていません。
白陶器ボトルの優雅なイメージを残しながら、ガラスによってより現代的で軽快な印象となったのが特徴です。
さらに1996年には、関東地方限定で「鶴ウイング」が発売された記録があります。地域限定品だったことから、現在では比較的珍しいボトルのひとつです。
なお、ボトルデザインが変わったからといって、中身の原酒構成まで大きく変わったと判断することはできません。ボトルの変化とウイスキーの中身は分けて考える必要があります。
現行「ニッカ 鶴」とは?

現在の「ニッカ 鶴」は、2016年9月から余市蒸溜所と宮城峡蒸溜所で限定販売されているノンエイジのブレンデッドウイスキーです。蒸溜所で販売される限定品ということもあり、ニッカファンや蒸溜所を訪れた人にとって特別感のある一本となっています。
鶴17年が終売してから約1年後に再登場した商品ですが、年数表記や販売形態、公開されている商品情報は異なります。そのため、鶴17年の単純な後継品と考えるのは適切ではありません。
現行鶴については、原酒の具体的な構成、最低熟成年数、使用樽、余市・宮城峡モルトとグレーンの比率などは公開されていません。
したがって、「現行鶴は鶴17年より若い」「鶴17年と同じレシピ」「カフェグレーンが主体」といった推測を断定することはできません。
同じ「鶴」の名を持っていますが、それぞれ異なる時代に造られた商品であるため、その味わいにも差があるかもしれません。
「鶴17年」と現行品の違い|一覧
| 項目 | 鶴17年 | ニッカ 鶴(現行品) |
|---|---|---|
| 発売時期 | 2006年12月 | 2016年9月 |
| 酒類区分 | ブレンデッドウイスキー | ブレンデッドウイスキー |
| 年数表記 | 17年 | なし |
| 販売状況 | 2015年8月終売 | 現行品 |
| 主な流通 | 一般流通品 | 余市・宮城峡蒸溜所限定 |
| 容量 | 700ml | 700ml |
| アルコール度数 | 43% | 43% |
| ボトル | ガラス製・白陶器製 | ガラス製 |
| 原酒の詳細 | 比率・樽構成は非公開 | 比率・樽構成は非公開 |
| 終売・再発売 | 原酒不足により終売 | 「鶴」ブランドとして再発売 |
鶴17年と現行「ニッカ 鶴」の価格を比較

現行の「ニッカ 鶴」は、余市蒸溜所・宮城峡蒸溜所で限定販売されているブレンデッドウイスキーです。容量は700ml、2026年8月現在の価格は税込25,000円。2020年当時は13,200円だったため、わずか数年で大きく値上がりしています。
一方、「鶴17年」は2006年12月に発売され、2015年8月に終売した商品です。17年以上熟成した原酒を使用した年数表記のブレンデッドウイスキーでした。
ただし、終売当時の「鶴17年」の希望小売価格は、ニッカウヰスキーやアサヒビールの資料では確認できませんでした。
現在の「鶴17年」は基本的に二次流通品のため、価格はボトルの仕様、箱の有無、液面、保存状態などによって大きく変わります。
未開栓で状態の良い白陶器ボトルや箱付き品は、現行「ニッカ 鶴」の25,000円を上回ることもあります。一方、状態があまり良くないものや、オークションなどの個人取引では2万円を下回るケースもあります。
「鶴17年」が高値になりやすい理由は、単に17年熟成だからではありません。2015年に原酒不足を理由に終売し、現在「17年表記の鶴」は、生産されていないことに加え、「竹鶴政孝最後のブレンド」とされる「鶴」ブランドの歴史的価値も、現在の希少性を支えています。
【ウイスキーレビュー】蒸留所限定ボトル「ニッカ鶴」を評価

ニッカ鶴 Nikka tsuru
- ブレンデッドウイスキー
- 43% 700ml
- 抜栓時期:2026年8月
- テイスティング時期:抜栓直後
- whiskybaseでの評価:87.25/100
- 定価:2万5000円(税込)
- 楽天市場価格[2026年8月]:33,200円
- Amazon価格[2026年8月]:30,600円
香り
オレンジ、レモングラス、カスタードクリーム、ドライナッツ、ドライイチジク、マスカット、焼きリンゴ、洋ナシ、アップルミント、ビターズ、接着剤、昆布羊羹、かすかにピート。
加水すると、青りんご、かき氷のシロップ、ミントキャンディー、はちみつ、白い花、ウッドデッキ、シナモンアップルパイ。
味わい
甘く、なめらかでフルーティー。長期熟成のコニャックのように、フルーティーさが先行し、後から、徐々に穏やかなピート香が広がります。ミディアムボディ。
中盤以降は樽材、ドライフルーツ、穀物っぽいフレーバー。ドライにまとまります。おだやかな口当たりですが、ボディに厚みもあって、加水にも強いバランス。
余韻もフルーティーさにバニラとはちみつ、ブレンデッドスコッチのような個性。強すぎないピート香を感じます。
加水するとさらになめらかで飲みやすいバランスに変化します。スッキリというよりは豊潤で複雑。薄めても、全体の個性が弱まりません。
評価

「ニッカ 鶴」の評価としては、「加水しても旨すぎる!これがマッサンの目指した完成形!ニッカウヰスキーのブレンデッドとして最高クラスの味わい」です。
竹鶴政孝の遺作ともいわれる「鶴」は、時代が移り変わった現在も、ニッカウヰスキーのブレンダーたちによってその精神が受け継がれています。蒸溜所限定という特殊な販売形態ではありますが、現在のニッカを代表するプレミアムブレンデッドのひとつと言ってよいでしょう。
数量限定の高級ボトルや「ザ・ニッカ リミテッド」、「ザ・ニッカ40年」といった超高額商品を除けば、現行のニッカウヰスキーが販売するブレンデッドウイスキーの中でも、25,000円という価格はかなり上位に位置します。
現行「鶴」は昔のレシピを受け継いでいる?
ここからは、あくまで私の推測です。
私は、現在の「鶴」も、発売当時のレシピや味わいをかなり意識して造られているのではないかと思っています。もちろん、具体的なレシピは公開されていません。そのため、昔と現在で原酒構成がどこまで同じなのかを確認することはできません。ただ、「鶴」は竹鶴政孝が生前に手がけた最後のウイスキー。
ニッカウヰスキーにとって、創業者の思想が詰まったこの銘柄は、単なる一商品ではありません。そんな「鶴」を、わざわざ大きく方向転換してまで残すとは、個人的には考えにくい。だからこそ、現在の「鶴」も、可能な限り当時の味わいを意識してブレンドされているのではないか、と考えています。
もちろん、原酒の熟成年数や入手できる原酒そのものが当時とは違います。したがって「昔とまったく同じ味」とまでは言えません。それでも、ブランドとして目指している味わいには、かなり強い一貫性があるように感じます。
25,000円という価格にも納得できる
現行の「鶴」は700mlで25,000円(税込)。ノンエイジのブレンデッドウイスキーとして考えると、決して安い価格ではありません。むしろ、かなり高価です。
では、なぜここまで高いのか。もちろん原酒の詳細が公開されていない以上、これは私の推測になります。
ひとつ考えられるのは、現在では調達・熟成コストの高い原酒を惜しげもなく使っていることです。
特に「鶴」は、単純に若い原酒だけを組み合わせて作ったような味わいではありません。長期熟成を思わせる複雑さや、樽由来の奥行きがありながら、同時に若い原酒が持つフレッシュな果実味やピートのニュアンスも残っています。こうした複雑なバランスを作るには、当然ながらブレンダーが使える原酒の選択肢が重要になります。
25,000円という価格には、そうした「鶴」らしい味わいを維持するためのコストも含まれているのではないでしょうか。
「鶴」にはどんな原酒が使われている?
ここは非常に気になるところです。「鶴」のレシピは公開されていないため、具体的にどの蒸溜所の、どんな原酒が、どのくらい使われているのかは分かりません。
ただ、竹鶴政孝が生み出したブレンデッドウイスキーであることを考えれば、余市と宮城峡のモルト原酒が重要な役割を担っていることは容易に想像できますね。
一方で、個人的には「日本の原酒だけで構成されている」と断定するのも少し違う気がしています。その理由のひとつが、ベンネヴィスです。
ニッカウヰスキーはスコットランドのベンネヴィス蒸溜所を所有しており、ここは日本向けのニューメイクを供給するだけでなく、他社・他蒸溜所との原酒交換などを通じて、多様なモルト原酒を確保する役割も担っています。
そして、「鶴」を飲んでいて感じるのが、明確なピート香です。
もちろん、余市モルトだけでも十分にスモーキーでピーティーな個性を作ることは可能でしょう。しかし、ベンネヴィスを通じてアイラ島などのヘビーなピーテッドモルトを調達し、それを日本へ送り、「鶴」のブレンドの一部に使用している可能性も、完全には否定できません。
もちろん、これはあくまで推測ですが…
「鶴」が竹鶴政孝の遺作であることを考えれば、日本の原酒を中心に構成されていると考えるのが自然でしょう。ただ「この複雑さと奥行きを考えると、余市と宮城峡だけでは説明しきれないようなニュアンスも感じる」ということ。
割合としては少なくても、複数のモルト原酒を組み合わせているのではないか。そんな想像をしながら飲むのも、「鶴」の面白さのひとつです。
「鶴」の味わいを支えるカフェグレーン
もうひとつ、「鶴」の味わいを語るうえで忘れてはいけないのが、ニッカウヰスキーの「カフェグレーン」です。現在、カフェ式連続式蒸溜機は世界的に見ても非常に珍しく、スコットランドにもほとんど残っていません。ニッカが自社でカフェ式連続式蒸溜機を使い、カフェグレーンを造り続けていることは、大きな強みです。
一般的なグレーンウイスキーは、モルト原酒に比べてクセや風味が穏やかな「サイレントスピリッツ」と呼ばれることがあります。しかし、ニッカのカフェグレーンは、比較的豊かな風味と力強さを持っています。これをブレンドに加えることで、単に「飲みやすくする」だけではなく、ウイスキー全体にメリハリや厚み、豊かな口当たりを与えることができます。
私は、「鶴」の独特なバランスには、このカフェグレーンの存在もかなり大きいのではないかと思っています。特に面白いのが、加水したときです。
水を加えてもボディが崩れず、むしろ口当たりがなめらかになって、複雑なフレーバーがさらに見えやすくなります。ハイボールや水割りのように加水量の多い飲み方でも、薄っぺらくならず、しっかりとした飲みごたえが残る。これは「鶴」の大きな魅力です。
なぜノンエイジなのか?

「鶴」がノンエイジ仕様になっていることにも、個人的には意味があるように感じます。
長期熟成原酒だけで構成するのではなく、比較的若い原酒も組み合わせることで、熟成による複雑さと、若い原酒ならではのフレッシュな果実味やピート、樽のニュアンスを両立させる。そうすることで、仮に昔の「鶴」とまったく同じ原酒を使えなかったとしても、目指す味わいに近づけることができます。
もちろん、ノンエイジ化には原酒不足やコストの問題もあるでしょう。ただ、「17年」という年数に縛られず、ブレンダーがその時代に確保できる原酒の中から最適な組み合わせを選べるというメリットもあります。もしかすると、そこには「鶴らしい味を残す」という、もっと深い理由があるのかもしれません…
なぜ蒸溜所限定なのか?
これだけ完成度の高いブレンデッドなら、もっと大量に販売してもよさそうなものです。
それでも「鶴」が蒸溜所限定なのは、個人的には「必要な原酒を大量に確保するのが難しいから」という可能性もあると思っています。量産するために原酒構成を変えてしまうくらいなら、生産量を抑えてでも「鶴」らしい品質を維持する。その判断は十分に理解できます。
しかし、現在のニッカにとっては、「余市」「宮城峡」「竹鶴」といったプレミアムラインの安定供給も重要です。
限られた原酒をどの商品に振り分けるのか。そう考えると、「鶴」を蒸溜所限定という小さな流通にとどめているのも、ある意味では納得できるでしょう。
「鶴」に似ているブレンデッドウイスキーは?
最後に、「鶴」に似ているブレンデッドウイスキーは何かを考えてみます。正直言って、あまり思い浮かびません(笑)。もっと高級なブレンデッドスコッチウイスキーを飲まないといけませんね。これは個人的に今後の課題です!
ジャパニーズのプレミアムブレンデッドといえば、「響」を挙げることができますが、全体のバランスとして、「響」と「鶴」は全く異なる個性であり方向性です。
「響」が華やかで繊細、エレガントな方向を目指しているのに対して、「鶴」はもう少しドライで、ピートがあり、骨格もしっかりしています。「鶴」は、「響」のような「日本人に飲みやすいブレンデッド」ではなく、「日本人が本気で、ガチのブレンデッドスコッチを再現してみました」というような印象です。
これは、竹鶴政孝が目指した「日本でスコットランドに負けない本格的なウイスキーを造る」という思想にも、つながっています。
そう考えると、似た方向性のウイスキーとして選びやすいのは、やはり同じニッカの「ザ・ニッカ」でしょうか。もちろん、「ザ・ニッカ」のスタンダードと「鶴」では、使用される原酒の構成や熟成、全体のクオリティに大きな差があります。
それでも、スコッチを意識したような骨格と、ニッカらしいモルト・グレーンの使い方という意味では、共通する部分を感じるのです。
ものすごく簡単に言えば、
「ザ・ニッカ」を、生産コストをほぼ無視して、めちゃくちゃ美味しく作り込んだら「鶴」になるかも??
……という感じでしょうか。
ちょっと分かりにくいですね。すみません(笑)。
「ニッカ 鶴」は買う価値がある?
いずれにしても、「鶴」がニッカウヰスキーのブレンデッドの中でも最高クラスのクオリティを持っていることは間違いありません。25,000円という価格は、ノンエイジのブレンデッドとして考えれば、正直かなり高いです。
しかし、実際に飲んでみると、その価格にも納得できるだけの複雑さと飲みごたえがあります。特に私が評価したいのは、ストレートだけでなく、加水してもしっかり美味しいこと。
水を加えてもボディが残り、フルーティーさ、樽香、ピート、バニラ、はちみつといった複数の要素が崩れません。これはブレンデッドウイスキーとしてかなり優秀です。
「鶴」は、竹鶴政孝が最後に手がけたブレンドという歴史だけで飲むウイスキーではありません。実際に飲んでみれば、なぜニッカが現在でもこの銘柄を残しているのか、その理由が少し分かるはずです。
25,000円は決して安くありませんが、それでも、余市蒸溜所や宮城峡蒸溜所を訪れる機会があるなら、ぜひ一本購入してみることをおすすめします。
蒸溜所でしか買えないという特別感も含めて、「ニッカ 鶴」は、日本人として必ず飲んでおきたい、ニッカウヰスキーのプレミアムブレンデッドです。

「ニッカ 鶴」は、竹鶴政孝のブレンド思想とニッカの技術が凝縮された、まさに最高峰のブレンデッドウイスキーです。蒸溜所限定かつ高価格帯のためボトル購入のハードルは高めですが、そのフルーティーで骨格のある味わいはウイスキー好きなら一度は体験しておきたいクオリティと言えます。
ボトルの購入はなかなか難しいので、「ニッカ鶴」を飲みたい方は、BARWHITEOAKで堪能してみては如何でしょうか♪

あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。
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適正飲酒: お酒は楽しく適量を。飲酒運転は法律で厳しく禁止されています。
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