

こんばんは ユースケです。
自己紹介:BAR WHITE OAK 店主。ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーエキスパート。JSA認定ソムリエ。2022年1月 東京・銀座にBAR WHITE OAK をオープン。YouTube、TikTokでカクテル動画を公開中!
ニッカウヰスキーのモルト原酒を支える「宮城峡蒸溜所」。華やかでフルーティーな味わいは、どのようにして生まれるのでしょうか。
今回は実際に宮城峡蒸溜所を訪れ、有料セミナーへの参加、製造工程の見学、テイスティング、蒸溜所限定ボトルの購入まで体験してきました。
この記事では、現地で見て、聞いて、味わって分かった宮城峡蒸溜所の魅力を、写真とともに紹介します。
【2026年8月】宮城峡蒸溜所見学レポート|ニッカウヰスキーの特徴からショップ限定ボトルまで完全ガイド

宮城峡蒸溜所とは|基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 蒸溜所名 | 仙台 宮城峡蒸溜所(SENDAI MIYAGIKYO DISTILLERY) |
| 設立年 | 1969年 |
| 創業者 | 竹鶴政孝(Masataka Taketsuru) |
| 所有・運営 | ニッカウヰスキー株式会社(NIKKA WHISKY DISTILLING CO. LTD.) |
| 所在地 | 〒989-3433 宮城県仙台市青葉区ニッカ1番地 |
| 主な生産原酒 | モルトウイスキー、グレーンウイスキー |
| 特徴的な設備 | スチーム加熱式ポットスチル、カフェ式連続式蒸溜機(Coffey Still) |

宮城峡蒸溜所(Miyagikyo Distillery)は、ニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝が、北海道の余市蒸溜所とは異なる個性の原酒を造るために設立した、ニッカ第二の蒸溜所です。
1969年、仙台市中心部から西へ進んだ作並の地に誕生しました。広瀬川と新川という二つの清流に囲まれた、緑豊かな峡谷に位置しています。
現在はモルトウイスキーだけでなく、カフェ式連続式蒸溜機によるグレーンウイスキーも生産しており、ニッカのブレンデッドウイスキーを支える重要な製造拠点となっています。
余市だけでは完成しなかった竹鶴政孝の構想

竹鶴政孝は1934年、北海道・余市町に大日本果汁株式会社を設立し、本格的な国産ウイスキー造りをスタートさせます。余市で造られるモルト原酒は、石炭直火蒸留による力強さやオイリーな厚み、香ばしさ、ピート由来のスモーキーさが大きな特徴です。
しかし、竹鶴が目指していたのは、余市のような力強い原酒だけではありませんでした。
異なる個性を持つ原酒を組み合わせることで、単一の原酒では表現できない、より複雑で奥行きのあるウイスキーをつくる。それが竹鶴政孝の描いていた構想でした。
そこで必要となったのが、余市とは異なる環境と製造方法を持つ第二の蒸溜所です。その答えとして選ばれたのが、仙台・作並でした。
宮城峡では、余市とは異なる蒸留方式によって、華やかでフルーティー、そしてなめらかなモルト原酒を生産。さらにグレーン原酒も製造することで、ニッカのブレンデッドウイスキーを支える役割を担っています。
仙台・作並を選んだ理由

第二蒸溜所の建設にあたり、竹鶴政孝の後継者となる竹鶴威らが全国各地を調査しました。
そのなかで選ばれたのが、仙台市西部の作並です。宮城峡蒸溜所は、新川と広瀬川が流れる峡谷に囲まれ、周囲には豊かな森林が広がっています。
仕込水には、蔵王連峰を源流とする新川の伏流水を使用。硬度が低く、ウイスキー造りに適した水質を持っています。

有名なのが、竹鶴政孝が初めて作並を訪れた際、新川の水で持参したブラックニッカを割って飲み、その水の味を確かめたうえで蒸溜所建設を決めたという逸話です。
竹鶴政孝がそれほどまでに水を重視していたことを物語るエピソードといえるでしょう。
また、作並は冷涼で湿潤な内陸部に位置しており、樽熟成にも適した環境です。海に近い余市とは異なり、山と清流に囲まれた宮城峡。こうした土地の違いも、両蒸溜所で生まれる原酒の個性を分ける重要な要素となっています。
自然を活かした宮城峡蒸溜所

宮城峡蒸溜所を訪れると、まず印象に残るのが豊かな自然です。蒸溜所の建設では、敷地を大規模に造成して平坦にするのではなく、もともとの地形や起伏をできるだけ活かして建物が配置されました。
そのため、製造工程ごとに建物の床の高さが異なっています。樹木の伐採も最小限に抑えられ、電線は地下に埋設。レンガ調の建物と周囲の森林が調和するように設計されています。
実際に敷地内を歩くと、工場が自然の中に建てられたというよりも、森や川の景観に溶け込むように存在していることが分かります。「自然と共生する蒸溜所」という宮城峡のイメージは、単なるブランドコンセプトではありません。
創業時から続く設計思想そのものが、現在の蒸溜所の景観に残されているのです。
宮城峡と余市、原酒の違い

宮城峡を理解するうえで欠かせないのが、余市との違いです。両者は単純に「北海道と宮城」という産地の違いだけではありません。設備や蒸留方法を意図的に変えることで、異なる個性の原酒を造り分けています。
| 比較項目 | 余市蒸溜所 | 宮城峡蒸溜所 |
|---|---|---|
| 立地 | 北海道余市町・海に近い | 宮城県仙台市・作並 |
| 創業 | 1934年 | 1969年 |
| 加熱方式 | 石炭直火蒸留 | スチームによる間接加熱 |
| 原酒の傾向 | 力強い、重厚、オイリー、香ばしい、スモーキー | 華やか、フルーティー、やわらかい、なめらか |
| ブレンドでの役割 | 骨格、厚み、力強さ | 香り、甘み、調和 |
| グレーン製造 | 主な役割ではない | カフェスチルによる生産拠点 |

余市の大きな特徴が「石炭直火蒸留」。ポットスチルを石炭の炎で直接加熱することで、力強く香ばしい酒質につながります。
一方、宮城峡では蒸気による間接加熱を採用しています。ポットスチルは大きなバルジを持ち、ラインアームも上向きに設計されています。こうした形状と蒸留方式によって還流が起こりやすくなり、比較的軽やかで華やかな原酒が生み出されます。
そのため、シングルモルト宮城峡では、りんごや洋梨、白い花などを思わせるフルーティーでエレガントな香味を感じることができます。
余市が「力強さ」を担うなら、宮城峡は「華やかさと調和」を担う存在と言えるでしょう。
発酵から熟成まで、宮城峡らしさを生み出す工程

宮城峡の個性は、蒸留設備だけで決まるものではありません。発酵工程では、木桶発酵槽とステンレス製発酵槽の双方が使用しています。木桶発酵では、酵母による発酵に加えて、木桶という環境も香味形成に影響します。
こうした発酵条件に蒸留や熟成が組み合わさることで、宮城峡らしい果実や花を思わせる香りが形づくられていきます。
熟成庫では、伝統的なダンネージ式の貯蔵庫を使用。樽を低く積み上げる三段積みの貯蔵庫が24棟あります。さらに2021年には、24段のラック式オートメーション貯蔵庫も完成しました。
昔ながらのダンネージ式と、大規模なラック式貯蔵庫。宮城峡では、伝統的なウイスキー造りを守りながら、現代の生産規模にも対応できる設備が整えられています。
宮城峡を支える「カフェスチル」

宮城峡蒸溜所を訪れるなら、モルト用のポットスチルだけでなく「カフェスチル」にも注目したいところ。カフェスチルとは、アイルランド人技術者イーニアス・コーフィー(カフェ)が考案した連続式蒸溜機です。
現在主流となっている高効率の連続式蒸溜機とは異なり、カフェスチルは原料由来の風味を残しやすいことが特徴です。
ニッカはこの設備を、単に効率よくアルコールを造るためではなく、香味を持ったグレーン原酒を造るために活用してきました。
ニッカのカフェスチルは1963年に西宮工場へ導入され、1999年に宮城峡蒸溜所へ移設されました。

現在は「ニッカ カフェグレーン」として商品化されているほか、「ニッカ カフェモルト」「ニッカ カフェジン」「ニッカ カフェウオッカ」などにも活用されています。
グレーンウイスキーは、モルトウイスキーに比べて軽い酒質と思われがち。しかしニッカのカフェグレーンは、穀物由来の甘みやコク、クリーミーな口当たりを持ち、ブレンデッドウイスキーに独特の厚みを与えます。
ブラックニッカやフロム・ザ・バレル、ザ・ニッカなど、ニッカを代表するブレンデッドウイスキーを語るうえでも、宮城峡のカフェスチルは重要な存在なのです。
宮城峡蒸溜所がニッカに果たす役割

宮城峡蒸溜所は、単に「余市とは違うモルトを造る第二の蒸溜所」ではありません。華やかでフルーティーなモルト原酒を生み出す一方、カフェスチルによって個性豊かなグレーン原酒も製造する、ニッカの中核的な製造拠点です。
余市が力強さや骨格を与え、宮城峡が香りや調和を加える。
そして宮城峡で造られるカフェグレーンが、ブレンデッドウイスキーに甘みやコク、なめらかな口当たりをもたらします。この異なる個性を組み合わせられることが、ニッカウヰスキーの大きな強みです。
シングルモルト宮城峡を飲むときは、その華やかでフルーティーな味わいに注目しがちです。しかし実際に蒸溜所を訪れてみると、宮城峡が担っている役割はそれだけではないことが分かります。

竹鶴政孝が作並の地に築いたのは、余市の「代わり」ではありません。
余市とは異なる個性を持つ原酒を造り、さらにグレーン原酒まで生産することで、ニッカウヰスキー全体の表現力を広げるための蒸溜所だったのです。
宮城峡蒸溜所を見学すると、ニッカのウイスキー造りが「ひとつの蒸溜所ですべてを完結させる」のではなく、異なる個性を組み合わせることで完成度を高めていく思想の上に成り立っていることが、よりはっきりと見えてきます。
宮城峡蒸溜所までのアクセス【東京・仙台から】

宮城峡蒸溜所は、宮城県仙台市青葉区の西部、自然豊かな作並(さくなみ)エリアにあります。
最寄り駅はJR仙山線の作並駅ですが、駅から蒸溜所までは少し距離があります。そのため、見学ツアーの予約時間だけでなく、仙山線の列車時刻や無料シャトルバスの運行時間まで事前に確認しておくことが大切です。
特に東京から日帰りで訪れる場合は、移動時間が長くなるため、余裕を持ったスケジュールを組みましょう。
東京から向かう場合

東京から宮城峡蒸溜所へ向かう場合、最も分かりやすいのは新幹線と在来線を乗り継ぐルートです。
基本的な流れは、「東京駅 → 仙台駅 → 作並駅 → 無料シャトルバス → 宮城峡蒸溜所」となります。
まず東京駅から東北新幹線に乗り、仙台駅へ向かいます。「はやぶさ」や「やまびこ」などを利用できます。
仙台駅に到着したら、JR仙山線へ乗り換えます。
仙山線は仙台駅と山形駅を結ぶ路線で、宮城峡蒸溜所へ向かう場合は山形方面の列車に乗車し、「作並駅」で下車します。
仙山線は都市部の路線ほど本数が多くないため、乗り換え時間には注意が必要です。特に見学ツアーは開始時間が決まっているので、「仙台駅に着いてから考える」のではなく、新幹線と仙山線の接続まで事前に確認しておくことをおすすめします。
作並駅からは無料シャトルバスを利用

作並駅に到着したら、宮城峡蒸溜所までは無料シャトルバスを利用するのが基本です。
シャトルバスは、基本的にJR仙山線の到着時刻に合わせて運行されています。
ただし、平日は土日祝日に比べて運行本数が少ないため、仙山線が到着する時間帯によっては、次のシャトルバスまで待つことになる場合があります。
一方、土日祝日は比較的シャトルバスの本数が多く、鉄道のダイヤに合わせて運行されています。
そのため、見学予約をする際には「ツアーの開始時間」だけでなく、「作並駅に何時に到着するか」まで逆算しておくと安心です。
なお、シャトルバスの運行時間は変更される可能性があるため、訪問前には必ず最新の時刻表を確認しておきましょう。
作並駅からタクシーという方法もある?
作並駅からタクシーを利用する方法も考えられますが、基本的には事前予約をおすすめします。作並駅は大きな駅ではなく、駅前で常時タクシーが待機しているような場所ではありません。
「駅に着いてからタクシーを拾えばいい」と考えていると、タクシーが見つからず困ってしまう可能性があります。利用する場合は、あらかじめタクシー会社へ連絡して予約しておくと安心です。
作並駅から歩くのはおすすめしません
「駅から近いなら歩いて行こう」と考える人もいるかもしれませんが、個人的にはおすすめしません。作並駅から宮城峡蒸溜所までは徒歩でそれなりの距離があり、早歩きでも30分以上かかります。
また、周辺は都市部のような歩行者向けの環境でもありません。
せっかく蒸溜所見学を楽しみに来たのに、到着する前に疲れてしまってはもったいありません。宮城峡蒸溜所へ行くなら、素直に無料シャトルバスを利用するのが一番です。
帰りもシャトルバスを利用

見学が終わった後も、蒸溜所から作並駅まで無料シャトルバスが運行されています。
そのため、帰りも「宮城峡蒸溜所 → 無料シャトルバス → 作並駅 → JR仙山線 → 仙台駅」という流れになります。
ただし、帰りのシャトルバスと仙山線の接続も事前に確認しておきましょう。
特に東京方面へ戻る場合は、仙台駅から新幹線に乗る時間も考える必要があります。見学終了後にゆっくり買い物や試飲を楽しみたい人は、帰りの時間を詰めすぎないほうが安心です。
宮城峡蒸溜所へのアクセスは「時間に余裕を持つ」がポイント
東京から宮城峡蒸溜所へ向かう場合の基本ルートは、
東京駅
↓ 東北新幹線
仙台駅
↓ JR仙山線
作並駅
↓ 無料シャトルバス
宮城峡蒸溜所
という流れです。
特に注意したいのが、仙山線とシャトルバスの本数。東京からの新幹線だけを基準に予定を組むのではなく、見学開始時間から逆算して、仙台駅から作並駅、そして作並駅から蒸溜所までの移動時間を確認しておきましょう。
宮城峡蒸溜所は仙台市内にあるとはいえ、中心部からはかなり離れた自然豊かな場所にあります。だからこそ、街中の蒸溜所とは違った、森と清流に囲まれた独特の雰囲気を味わえるのも魅力です。時間に追われることなく、余裕を持って向かうようにしましょう。
車・タクシー利用時の注意点

車で宮城峡蒸溜所へ向かう場合は、東北自動車道の仙台宮城インターチェンジから国道48号線を山形方面へ進むルートが便利です。所要時間は、交通状況にもよりますが約25分が目安です。
蒸溜所の住所は「宮城県仙台市青葉区ニッカ1番地」。カーナビやGoogleマップなどの地図アプリに「ニッカウヰスキー 宮城峡蒸溜所」と入力すれば、目的地として検索できます。
ただし、宮城峡蒸溜所を訪れるなら、個人的には公共交通機関の利用をおすすめします。その理由は、やはり見学後のテイスティングです。蒸溜所見学では、ウイスキーの試飲を楽しめるのも大きな魅力の一つ。車で来場すると、当然ながらドライバーは試飲できません。試飲を楽しむのであれば、運転する人を別にする必要があります。
せっかく宮城峡まで来てウイスキーを試飲できないのは少しもったいないので、試飲を予定している場合は、東京や仙台から新幹線・電車を利用するほうが便利でしょう。
また、車で訪れる場合は道路状況にも注意が必要です。週末や観光シーズンには交通量が増えるほか、天候によっては通常より時間がかかる場合があります。
無理に車を使わず、公共交通機関+無料シャトルバスを利用するのが安心ですね♪
今回の訪問ルート|仙台駅から宮城峡蒸溜所へ

今回、私は仙台駅を起点にJR仙山線を利用して、作並駅から宮城峡蒸溜所へ向かいました。
今回は事前に有料セミナー「ニッカのウイスキーを知るセミナー」に申し込んでいたため、絶対に遅刻するわけにはいきません(笑)。
訪問日は2026年8月11日(火・祝日)。当日のスケジュールは以下の通りです。
| 時刻 | 行程 |
|---|---|
| 9:11 | 仙台駅 発 |
| 9:50 | 作並駅 着 |
| 10:00 | 作並駅 発・無料シャトルバス |
| 10:10頃 | 宮城峡蒸溜所 着 |
| 10:30 | 「ニッカのウイスキーを知るセミナー」開始 |

作並駅に到着すると、10時発の無料シャトルバスが待っていました。駅から蒸溜所まではバスで約10分ほど。公共交通機関を利用する場合、このシャトルバスが非常に便利です。
今回は10時30分からのセミナーだったため、蒸溜所には開始時間の約20分前に到着。時間的にもかなり余裕があり、受付を済ませてからセミナーに向かうことができました。
ちなみに、作並駅からのシャトルバスは、宮城峡蒸溜所を訪れる際の重要な交通手段です。仙山線の到着時刻とシャトルバスの出発時刻がうまくつながるように設定されているため、事前に両方の時刻を確認しておくと安心です。
今回は祝日だったため比較的スムーズでしたが、平日はシャトルバスの本数が少ない時間帯もあります。見学やセミナーの予約をしている場合は、くれぐれも時間に余裕を持った計画を立てましょう。
蒸溜所見学について

宮城峡蒸溜所の見学方法は、大きく分けて「自由見学」「無料の蒸溜所ガイドツアー」「有料のセミナー付きガイドツアー」の3種類があります。
それぞれ見学できる範囲や内容が大きく異なるため、初めて訪れる方は、自分の目的に合った見学方法を選ぶことが大切です。
① 自由見学

自由見学は、予約なしでも楽しめる気軽な見学方法です。ただし、「自由」とはいっても、見学できる場所は限られています。
基本的にはビジターセンターやお土産ショップ、有料テイスティングバー、自由見学用の貯蔵庫などが中心。ウイスキーの製造工程を詳しく見学したり、スタッフから説明を聞いたりすることはできません。
そして、蒸溜所見学の大きな見どころであるポットスチル(蒸溜器)も、自由見学では見ることができません。
そのため、宮城峡蒸溜所の製造設備やウイスキー造りそのものを見たいのであれば、自由見学だけでは少し物足りないと思います。「近くまで来たので、ショップやテイスティングを楽しみたい」という場合には良いですが、せっかく宮城峡まで足を運ぶのであれば、個人的にはガイドツアーへの参加をおすすめします。
② 無料の蒸溜所ガイドツアー

初めて宮城峡蒸溜所を訪れる方に、まずおすすめしたいのが「無料の蒸溜所ガイドツアー」です。参加には事前予約が必要ですが、宮城峡蒸溜所を知るなら、ぜひ予約して参加してほしいですね。
当日に空きがあれば参加できる場合もありますが、混雑している日は受付できないこともあります。せっかく現地まで行ったのに参加できないという事態を避けるためにも、事前予約をしておきましょう。
所要時間は約70分。そのうち約50分が蒸溜所の見学、残りの時間が無料試飲となっています。
見学では、モルトウイスキーの製造工程をはじめ、宮城峡蒸溜所ならではの設備や製法、ニッカウヰスキーの歴史などについて、ガイドの説明を聞きながら学ぶことができます。
「ウイスキーは好きだけど、製造工程までは詳しく知らない」という方でも、宮城峡の特徴を一通り理解できる内容です。
初めての蒸溜所見学なら、まずはこの無料ガイドツアーを選べば間違いないでしょう。
③ 有料のセミナー付きガイドツアー

そして、今回私が参加したのが「ニッカのウイスキーを知るセミナー」です。有料のセミナー付きガイドツアーは複数のプログラムが用意されていますが、開催日や時間が限られているため、参加できる機会は無料ツアーほど多くありません。
しかし、スケジュールが合うのであれば、初めて宮城峡を訪れる方にもこちらをおすすめします。特にウイスキー初心者だけでなく、「ウイスキーは好きだけど、もっと詳しく製造方法を知りたい」という方にはぴったりです。
無料ツアーでも製造工程を学ぶことはできますが、有料セミナーでは、さらに一歩踏み込んだ内容を聞くことができます。
ウイスキーの原料や仕込み、発酵、蒸溜、熟成といった基本的な工程だけでなく、ニッカがどのような考え方で原酒を造り分けているのか、宮城峡と余市にはどのような違いがあるのか、といった部分まで理解しやすい内容になっています。
そして何より、実際の設備を目の前にしながら説明を聞けるため、文章や動画だけで学ぶよりも理解が深まります。
宮城峡を訪れるならガイドツアーは必須

3種類の見学方法を比較すると、私は「宮城峡蒸溜所をしっかり見たいのであれば、ガイドツアーへの参加は必須」と考えています。
自由見学でもショップやテイスティングバーなどを楽しめますが、宮城峡蒸溜所の魅力である製造設備やウイスキー造りについて深く知ることはできません。
特にポットスチルは、蒸溜所を訪れたらぜひ実際に見ておきたい設備の一つです。宮城峡のポットスチルは、余市とは異なる形状と加熱方式を採用しており、そこには宮城峡らしい原酒を生み出すための工夫が詰まっています。実際にポットスチルを目の前にして説明を聞くと、「なぜ宮城峡のウイスキーは華やかでなめらかなのか」という疑問も、より具体的に理解できます。
そのため、もし希望するガイドツアーの予約が取れなかったのであれば、可能であれば訪問日を変更するのも一つの方法です。せっかく仙台まで来て、さらに作並まで足を延ばすのですから、ショップだけを見て帰るのは少しもったいない。
宮城峡蒸溜所を訪れるなら、ぜひ事前にガイドツアーを予約して、実際の製造現場まで見学してみてください。
そして、ウイスキーをもう一段深く学びたい方は、今回私が参加した「ニッカのウイスキーを知るセミナー」などの有料ツアーを狙ってみることをおすすめします。
宮城峡蒸溜所見学レポート「ニッカのウイスキーを知るセミナー」

蒸溜所に到着したら、まず向かうのがビジターセンターです。
ここで蒸溜所見学ツアーの受付を行います。有料ツアーと無料ツアーでは受付の列が分かれているため、自分が予約したツアーを確認して受付を済ませましょう。
見学ツアーは開始時間が決まっているので、到着したら先に受付を済ませておくのがおすすめ。受付を終えたら、ツアー開始までの時間を利用してビジターセンター内を見学しながら待機します。

館内には、ウイスキーの製造工程を紹介する展示をはじめ、宮城峡蒸溜所の歴史、ニッカウヰスキーの歩み、代表的な製品など、さまざまな資料が展示されています。
内容はかなり充実しているので、見学ツアーが始まる前に一通り目を通しておくと、その後のガイドの説明がより分かりやすくなります。

特に押さえておきたいのが、宮城峡蒸溜所が造られた背景です。
創業者の竹鶴政孝が、なぜ余市とは別の第二の蒸溜所を必要としたのか。そして、余市とは異なる酒質を持つモルト原酒を造るために、なぜ仙台・作並という土地が選ばれたのか。
さらに、宮城峡蒸溜所はモルトウイスキーだけでなく、カフェ式連続式蒸溜機によるグレーンウイスキーも生産する、ニッカにとって重要な製造拠点です。
このあたりをあらかじめ頭に入れておくと、実際の見学でポットスチルや発酵槽、カフェスチルなどを見たときにも、「なぜ宮城峡ではこの設備が使われているのか」という視点で楽しめます。
「ニッカのウイスキーを知るセミナー」見学ツアーの流れ

今回は「ニッカのウイスキーを知るセミナー」という有料見学ツアーに参加したので、そちらの様子を紹介します。
「ニッカのウイスキーを知るセミナー」は、概ね次のような流れで進みます。
- ビジターセンターで受付を済ませ、開始時刻まで待機
- セミナールームで蒸溜所の歴史・竹鶴政孝・宮城峡創設の背景を学ぶ
- 蒸留所内を見学
- セミナールームへ戻り、ウイスキーのテイスティング
- セミナー終了後は、個人的に質疑応答が可能
基本的に写真撮影OK。ただし、動画撮影、録音は禁止。また、中央制御室のみ写真撮影は禁止です。
1,セミナールームで事前説明

まずはセミナールームで、講師の方から蒸溜所見学の流れや注意点、宮城峡蒸溜所とニッカウヰスキーについて、映像を交えながら説明していただきます。
これから実際の製造現場を見学する前に、宮城峡蒸溜所の特徴やニッカのウイスキー造りについて知ることができるので、その後の見学がより分かりやすくなります。
そして、目の前にはテイスティング用のウイスキーがすでに用意されていました。「おっ、もう飲めるのか?」と思いましたが、テイスティングは製造工程の見学が終わってから。
あぶないあぶない、一足先に飲んでしまうところだった(笑)
2,蒸留器の説明|ポットスチルとカフェ式連続式蒸留器

セミナールームを出ると、ビジターセンター入口に展示されているポットスチルとカフェ式連続式蒸溜機のところへ移動します。
写真のポットスチルは、かつて余市蒸溜所で実際に使用されていたもの。まずは宮城峡のポットスチルを見る前に、「そもそもポットスチルとは何か?」という基本から説明してもらいます。
ポットスチルに銅が使われている主な理由は3つ。
- 熱伝導率が高い
- 蒸溜時に不純成分を取り除きやすい
- 柔らかく、加工しやすい
こうした設備の基本的な役割から丁寧に解説してもらえるのは、初心者にとってもありがたいところです。そして面白いのが、まず余市のポットスチルを見てから、実際に宮城峡のポットスチルへ進むという流れ。
余市と宮城峡では蒸溜器の形状や加熱方式が異なるため、実物を続けて見ることで、それぞれの違いがより分かりやすくなっています。
「余市は力強く、宮城峡は華やかでなめらか」という酒質の違いが、実際の設備を見ることで少しずつつながっていきます。

こちらは、宮城峡蒸溜所の特徴的な設備の一つである「カフェ式連続式蒸溜機(Coffey Still)」です。
カフェ式連続式蒸溜機は、1830年代にイーニアス・コーフィーが、当時すでに存在していた連続式蒸溜機を改良して開発した伝統的な蒸溜機です。現在ではスコットランドでもほとんど使われておらず、非常に貴重な設備となっています。
ポットスチルが一回ごとに蒸溜するのに対し、カフェ式は発酵を終えたもろみを連続的に送り込み、塔の内部で蒸発と凝縮を繰り返しながらアルコールを取り出します。
一般的な連続式蒸溜機ほど精製効率は高くありませんが、そのぶん原料由来の香りや甘み、クリーミーなコクを残しやすいのが特徴。ニッカでは宮城峡蒸溜所でこの設備を使い、グレーンウイスキーをはじめ、カフェスチルの特性を生かしたウオッカやジンなども造っています。

そして、今回の見学で興味深かったのが、この展示そのものです。
このカフェ式連続式蒸溜機の展示が始まったのは2026年。宮城峡には2基のカフェ式連続式蒸溜機があり、そのうち1基を新しい設備へ更新した際、旧設備の一部を展示したものです。
旧蒸溜機はスコットランドのフォーサイス社製。一方、新しい蒸溜機は大阪の専門メーカーが、旧設備の設計をもとに製作した日本製です。
2基を一度に更新するのではなく、まず1基だけを新しくすることで、新旧の設備から生まれる原酒の違いを比較できるようにするというのも興味深いところです。

実際の製造現場ではカフェ式連続式蒸溜機を見ることはできませんが、この展示を見るだけでも、その巨大なスケールは十分に伝わってきます。
ポットスチルとは構造も大きさもまったく異なり、「これでグレーンウイスキーを造っているのか」と驚かされました。宮城峡のウイスキー造りを知るうえで、ぜひ見ておきたい展示です。
3,宮城峡蒸留所建設までの経緯

宮城峡蒸溜所の建設には、竹鶴政孝の強いこだわりが随所に反映されています。蒸溜所を造る際にも、ウイスキー造りだけでなく、周囲の自然や景観を大切にしました。
竹鶴氏がこだわったポイントは、いくつもあります。
- 敷地内の木は、できる限り切らない
- 土地の勾配も無理に変えず、そのまま活かす
- 蒸溜所のどこからでも山が見えるようにする
- 木々の緑が映えるよう、建物を赤いレンガ調に統一する
- 電線は地中に埋める
実際、蒸溜所への入り口は道路から大きく迂回するように造られています。これも、周囲の景観をできるだけ損なわないための工夫です。
「自然を大切にしなければ、おいしいウイスキーはつくれない」という竹鶴政孝の考えが、蒸溜所の細部にまで反映されています。「マッサン」で知られる竹鶴政孝のこだわりは、余市蒸溜所だけではありません。宮城峡蒸溜所にも、同じくらい強く息づいています。
4,キルン塔

今回の有料ツアーでは、無料ツアーでは公開されていない「キルン塔」も見学することができました。キルン塔は、発芽させた大麦を乾燥させ、大麦麦芽(モルト)に仕上げるための施設。
乾燥の際にピート(泥炭)を燃やし、その煙を麦芽に当てることで、スモーキーな香りを持つピーテッドモルトが生まれます。

そして、キルン塔といえば特徴的なのが、屋根の形。これは「パゴダ屋根」と呼ばれるもので、乾燥時に発生する煙を外へ逃がすための構造です。
この独特な形状は、古くからスコッチウイスキーの蒸溜所を象徴する景観の一つにもなっています。普段はなかなか見ることのできないキルン塔を見学できるのは、有料セミナーならではの貴重な体験でした。

右側にあるのが、ピートを焚くための暖炉。左側は、麦芽を乾燥させる乾燥機です。
宮城峡では、余市のようにピートをしっかりと焚いたモルトを現在は使用していませんが、かつてはこの設備を使ってモルトを製造していました。
宮城峡蒸溜所のキルン塔が使用されていたのは、操業を開始した1969年から1975年までの約6年間。その後は自社でのモルト製造を行わず、現在はすべて専門業者であるモルトスターからモルトを購入・輸入しています。
今では使われていない設備ですが、宮城峡蒸溜所がかつて自らモルト造りまで行っていたことを知ることができる、貴重な施設です。

それでもニッカウヰスキーは、現在も北海道にピート採取地を所有しているそうです。
講師の方のお話によると、余市蒸溜所では今でも年に数回、自社で採取したピートを焚き、モルト造りを行っているとのこと。
現在の余市で使用されるモルトの多くは外部から調達されていますが、こうした伝統的な製麦も完全になくなったわけではありません。
大量生産の時代になっても、自社でピートを採取し、実際にピートを焚いてモルトを造る技術や設備を維持しているのは、ニッカらしいこだわりを感じるエピソードですね。

見学では、ピートを実際に触ることもできました。ただし、こちらは展示用のサンプルなので、めちゃくちゃ湿気っていて重い(笑)。
ちなみに、実際に燃やすピートはもっと軽く、「うまい棒」のような感触です。黒くて重厚な見た目からは想像できないほど軽いんですよね。以前、余市蒸溜所で本物のピートを触ったことがありますが、見た目と実際の重量のギャップには驚きました。
こういうものを実際に手に取って確認できるのも、蒸溜所見学ならではの面白さです。
5,ミル棟、サイロ

ミル棟の内部は見学できませんでしたが、外から設備について説明していただきました。

まず目に入るのが、白い円柱がいくつも並んだ「サイロ」です。ここには、ウイスキーの原料となる穀物が保管されています。
モルトウイスキーには「大麦麦芽(モルト)」、グレーンウイスキーには主に「とうもろこし」を使用します。ミル棟では、これらの原料を粉砕し、次の仕込棟で行われる「糖化」の工程へ送る準備をします。
大麦麦芽は「ローラーミル」で粉砕します。粉砕された麦芽は、殻の部分である「ハスク」、粗い粒の「グリッツ」、細かな粉状の「フラワー」に分かれ、糖化の際に効率よく麦汁を取り出せる状態に整えられます。一方、グレーンウイスキー用の原料は「ハンマーミル」を使って、より細かく粉砕します。
モルトウイスキーでは、ハスクが糖化時の濾過層として重要な役割を果たします。一方、グレーンウイスキーでは、固形分を含んだ状態のまま発酵・連続式蒸溜へ進むため、ハスクを残す必要がありません。
同じ「原料を砕く」という工程でも、モルトとグレーンでは、その後の製造工程に合わせて粉砕方法が異なるわけです。
6,糖化

粉砕された穀物は仕込棟へ送られ、次の「糖化」の工程に進みます。

宮城峡蒸溜所では、粉砕した麦芽に新川の伏流水を加え、マッシュタン(糖化槽)で麦芽のでんぷんを糖へと変えていきます。
ここで重要なのが、できるだけ濁りの少ない、澄んだ麦汁をつくること。こうして得られた麦汁が、宮城峡らしい華やかでフルーティーなモルト原酒の土台となります。

残念ながら、この日はメンテナンスのため仕込み作業はお休み。実際の設備が稼働しているところは見られませんでしたが、モニター映像で仕込み工程を確認することができました。
7、発酵

糖化で得られた麦汁に酵母を加え、約72時間かけて発酵させます。
宮城峡蒸溜所には、モルトウイスキー用のステンレス製発酵槽が22基あります。複数のディスティラリー酵母を使い分け、温度などを管理しながらじっくり発酵させることで、宮城峡らしい華やかでフルーティーな香味を引き出していきます。

発酵を終えた液体は「もろみ(ウォッシュ/Wash)」と呼ばれ、アルコール度数は約8%。このもろみをポットスチルで2回蒸溜することで、軽やかでフルーティーな宮城峡モルトの原酒へとつながります。

酵母の種類を使い分けることで、ひとつの蒸溜所の中でもさまざまな個性を持つ原酒を造り分けているのも、宮城峡の特徴です。
8、蒸留

いよいよ蒸溜の工程です。
発酵を終えた「もろみ」を銅製のポットスチルで2回蒸溜し、樽熟成前の無色透明な原酒「ニューメイク」を造ります。ここで重要になるのが、宮城峡独特のポットスチルの形状と、スチームによる間接加熱です。

初留|もろみを濃縮する
まず、発酵を終えたもろみを「初留器(ウォッシュスチル)」で蒸溜します。初留器は4基。
加熱によってアルコールや香味成分を含む蒸気を発生させ、それを冷却して液体に戻したものが「ローワイン(Low Wines)」です。
この段階で、もろみのアルコール度数は約8%から24〜25%程度まで高められます。

再留|ニューポットを仕上げる
次にローワインを「再留器(スピリットスチル)」で、もう一度蒸溜します。こちらも4基あり、初留器と合わせて計8基のポットスチルが稼働しています。
再留では、蒸溜液をそのまま全量使うわけではありません。最初に出てくる「ヘッド」、中心部分の「ハート」、最後に出てくる「テール」に分け、その中から品質の中心となるハートを原酒として採用します。
この「ミドルカット」と呼ばれる工程が、最終的な酒質を左右する重要なポイント。
再留後の本溜液は約65%。その後、樽詰め前に加水して約63%に調整されます。

宮城峡らしい酒質を生むポットスチル
宮城峡のポットスチルは、胴体が大きく膨らんだ「バルジ型」。さらに、上部のラインアームが上向きになっています。
蒸溜中、蒸気がスチル内部を上昇する際に一部が冷えて液体となり、再び釜へ戻ります。これが「還流」です。
還流によって比較的重い成分が釜へ戻されるため、軽やかで華やかな香味成分を取り出しやすくなります。こうしたスチルの形状も、宮城峡らしいフルーティーでなめらかな酒質を生み出す重要な要素です。

余市との違いは「加熱方法」にもある
余市蒸溜所では石炭による直火加熱を採用していますが、宮城峡では蒸気によってポットスチルを温める「スチーム間接加熱」を採用しています。
竹鶴政孝は、余市とは異なる原酒を造るため、蒸気によって釜を約130℃に保ちながら、じっくりと蒸溜する方法を選びました。
力強く重厚な酒質を生む余市に対し、宮城峡はより穏やかでクリーンな方向へ。
バルジ型のポットスチル、上向きのラインアーム、そしてスチーム間接加熱。これらが組み合わさることで、宮城峡らしい華やかな香り、果実味、やわらかな口当たりを持つモルト原酒が生まれます。

ニューポットの香りを体験できました(ほんとは飲みたかったけど)。
9、貯蔵、熟成

蒸溜棟から貯蔵庫へ移動する途中、フォークリフトでウイスキー樽を運んでいる様子を見ることができました。

少しわかりにくいのですが、
奥に見える「NIKKA」の文字が入った大きな建物。これは2021年に新設された、24段のラック式オートメーション貯蔵庫です。
従来のダンネージ式貯蔵庫に加えて、この大型貯蔵庫を新設したことで、原酒の保管量は従来の約1.6倍まで拡大。さらに現在、もう一棟が建設中とのこと。

こちらが昔ながらの「ダンネージ式貯蔵庫」です。

樽を床に近い低い位置で積み上げる方式で、宮城峡では三段積みで保管されています。床は土で、外から光が入る小窓も開けたまま。
庫内には照明もありません。これは、漏電などによる火災を防ぐためのもの。外気を取り込みながら、原酒をゆっくりと熟成させていきます。

貯蔵庫には、さまざまな種類の樽が使われています。
「アメリカ産ホワイトオーク スペイン製樽」という表示もあり、「これはシェリー樽なのかな?」と思ったのですが、実際に宮城峡では複数タイプの樽を使い分けています。

代表的なのが、以下の4種類です。

バレル
容量約180Lの樽で、主にバーボンウイスキーの熟成に一度使われたものを再利用します。内側を強く焦がしているのが特徴で、熟成が比較的早く進み、バニラのような甘い香りや爽やかな樽香を原酒に与えます。

ホグスヘッド
容量約250Lの、バレルより一回り大きな樽です。バーボン樽をいったん解体し、側板を増やして組み直してつくられます。バレルと同じく熟成は比較的早く進みますが、よりまろやかで穏やかな樽香を与えやすいのが特徴です。

パンチョン
容量約500Lの大きな樽で、北米産ホワイトオークを使ってつくられます。もともとはビールやスピリッツの熟成にも用いられていた形で、樽が大きいぶん原酒が木材に触れる割合が小さく、熟成はゆっくり進みます。そのため、すっきりとした木香を生かした原酒に育ちます。

シェリーバット
容量約500Lの大型樽で、スペインでシェリー酒の貯蔵に使われてきた樽です。「バット(Butt)」は、大きな樽を意味するラテン語に由来します。シェリー樽ならではの濃い色合いに加え、レーズンやドライフルーツを思わせる、濃密で甘い熟成香をウイスキーに与えます。

ここも蒸溜所見学で知っておきたいポイントです。
貯蔵庫に眠る宮城峡モルトが、すべて「シングルモルト宮城峡」になるわけではありません。
華やかな宮城峡モルトは、竹鶴ピュアモルトやブラックニッカ、フロム・ザ・バレルなど、ニッカのさまざまなウイスキーに使用されています。
さらに宮城峡では、カフェ式連続式蒸溜機で造られたグレーン原酒も熟成されています。
余市の力強いモルト、宮城峡の華やかなモルト、そして宮城峡で造られる甘くふくよかなグレーン原酒。
これらが時間をかけて熟成し、それぞれの個性を深めていきます。貯蔵庫は、こうした原酒が最終的にニッカの多彩なウイスキーへとつながっていく場所なのです。
ちなみに、原酒がすべて宮城峡蒸溜所内で保管されているわけではありません。千葉県柏市にある「ニッカウヰスキー柏工場」にも原酒が送られています。
柏工場にはブレンダー室があり、そこでさまざまな原酒を組み合わせて製品としての味わいをつくり上げます。最終的なボトリング(瓶詰)も柏工場で行われています。

セミナールームへ戻って、見学ツアーの締めくくりとなるテイスティングにはいります。
10、テイスティング

今回の「ニッカのウイスキーを知るセミナー」でのテイスティングアイテムは5種類。
- 宮城峡
- 余市
- 竹鶴
- カフェグレーン
- スーパーニッカ
ニッカを代表する銘柄を一度に味わえる、かなり贅沢なラインアップです。
テイスティング方法についてのレクチャーもあり、ウイスキーをストレートで飲み慣れていない初心者にも分かりやすい内容でした。
単純に「おいしい」で終わらせるのではなく、ここまで見てきた製造工程や、それぞれの原酒の役割を思い出しながら飲んでみる。すると、個々のウイスキーがニッカ全体の中でどんな役割を担っているのかが、より立体的に見えてきます。

ウイスキーのテイスティング方法のレクチャーもありました。ウイスキー初心者は、ストレートで飲むことに慣れていないので、重要ですね。

各ウイスキーを飲んだ感想、ざっくりとまとめて書きます。
宮城峡
まず口にしたのは、宮城峡蒸溜所を象徴するシングルモルト「宮城峡」。青りんごや洋梨、白い花を思わせる華やかな香りが立ち、口に含むとやわらかく、フルーティーな甘みが広がります。軽やかでなめらかな酒質。
今回の蒸留所見学に行く前から、正直言って私の宮城峡に対しての評価は高いものがありました。率直に「もっと評価されるべきシングルモルトでしょ」と思っています。
スペイサイドモルトにも負けない、ってかむしろ勝ってるくらい、クオリティと満足度の高いウイスキーです。
余市
続いては、対照的な個性を持つ「余市」。石炭直火蒸留による力強さ、麦芽の香ばしさ。「ピート香が強い」といった印象よりも、宮城峡と比べると重厚で骨太な個性を感じます。飲み比べると、ほんとこの2つの蒸留所の違いは面白いですね。
竹鶴
三番目は、宮城峡と余市のモルト原酒をブレンドした「竹鶴ピュアモルト」。余市の力強さと宮城峡の華やかさが重なり合い、単一蒸溜所の原酒にはない、複雑で奥行きのある味わい。
竹鶴政孝が目指した「異なる風土の原酒をブレンドすることで生まれる豊かさ」を、まさに体現した一本。二つの蒸溜所を巡ってきたからこそ、その完成度の高さがより深く響きますね…
カフェグレーン
四番目は、宮城峡蒸溜所のカフェ式連続式蒸溜機から生まれる「カフェグレーン」です。穀物由来の、リッチなバニラと甘くクリーミーな口当たりが特徴で、モルトウイスキーとは全く異なる方向性。
モルトウイスキーでは現れない、パンチのある独自の個性が魅力的。単なるブレンド用の設備ではなく、それ自体が個性豊かな一本を生み出す力を持つことを確認できました。
スーパーニッカ
最後は、ニッカを代表するブレンデッドウイスキー「スーパーニッカ」。
余市や宮城峡のモルト原酒、カフェグレーンなど、複数の原酒を組み合わせることで、バランスの良さと飲みやすさを実現しています。
ただ、正直に言うと……飲む順番がちょっとかわいそうでした(笑)。
宮城峡、余市、竹鶴、そしてカフェグレーンと飲んできた後だけに、どうしてもクオリティの差を感じてしまいます。特にカフェグレーンの個性的な味わいの後では、少しおとなしく感じました。
もちろん、スーパーニッカが悪いウイスキーというわけではありません。むしろ、リーズナブルでよくできたブレンデッドウイスキーです。ただ、前の4種類が強烈だった。こればかりは仕方ありません(笑)。
それでも、セミナーの最後にスーパーニッカが登場する構成には、非常に納得感があります。宮城峡と余市という2つのモルト原酒。その個性を組み合わせた竹鶴。そして、カフェスチルから生まれるカフェグレーン。それらの原酒が最終的にブレンデッドウイスキーへとつながっていく。
実際に5種類を順番に飲むことで、これまで見学してきた製造工程が一本の線につながりました。

そして、もう一つうれしかったのが、テイスティング用に用意されていた水。
なんと、宮城峡の仕込み水でした。
仕込み水をチェイサーにし、さらに加水にも使いながらウイスキーとの相性を楽しむ。これは蒸溜所でしかできない、まさに特別な体験です。
宮城峡で使用されているのは、新川(にっかわ)そのものの川の水ではなく、新川の伏流水。蔵王連峰を経て地下へ浸透し、自然にろ過された低硬度の水です。

ちなみに「ニッカウヰスキー」と「新川(にっかわ)」の名前が似ているのは偶然だそうです。新川という地名が先に存在しており、ニッカウヰスキーが名付けたものではありません。
今回のテイスティングは、単にウイスキーを飲むだけではなく、宮城峡蒸溜所で学んだことを実際の味わいで確かめる時間でした。
蒸溜所を「見る」だけでは分からなかった、それぞれの原酒の役割やニッカのブレンド思想が、グラスを通してようやく腑に落ちたように感じます。
宮城峡蒸留所|有料テイスティング

見学ツアーが終わったら、蒸溜所見学のもう一つの楽しみである「有料テイスティング」へ向かいます。
セミナーでも試飲はありましたが、こちらで味わえるのは定番品だけではありません。蒸溜所ならではの限定ウイスキーも用意されているので、せっかく宮城峡まで来たなら、ぜひ立ち寄りたいところです。

有料テイスティングは、ギフトショップに併設されたバーで行われています。ビジターセンターから歩いて3分ほど。

ギフトショップへ向かう途中には、古いポットスチルも展示されています。かつて余市蒸溜所で使用されていたもので、現在の宮城峡のポットスチルと比べると、なんと約10分の1ほどのサイズ。
NHKドラマ「マッサン」の撮影にも使用されたそうです。

ビジターセンターからは少し下り坂になっていて、途中には3段積みされた樽も並んでいます。ここで記念撮影している方も結構いました。
ギフトショップの建物は「ゲストホール」と呼ばれており、ショップのほか、有料テイスティングバー、無料見学ツアー参加者専用のテイスティングバーが入っています。
そして、ゲストホールの外には蒸溜所で唯一の自動販売機もあります。
水やお茶、ジュースなどはこちらで購入しておきましょう。作並駅周辺には自動販売機がほとんどありません。当たり前ですが、飲み物はすべてアサヒビール社製品です(笑)

有料テイスティングバーは、すべて立ち席スタイル。注文できるのは1人3杯までで、利用時間は20分です。
注文すると、カウンターでウイスキーと席番号を受け取ります。あとは指定された場所へ移動して、ゆっくりとテイスティングを楽しみます。
時間と杯数に制限があるので、あらかじめ飲みたい銘柄を決めておくとスムーズです。宮城峡でしか味わえない限定品もあるため、何を飲むか迷う時間もまた楽しいところですね。
有料テイスティングメニューと価格|一覧

シングルモルト宮城峡シリーズ / SINGLE MALT WHISKY (MIYAGIKYO)
- シングルカスク宮城峡10年 / SINGLE CASK MIYAGIKYO 10 YEARS:¥1,500
- シングルモルト宮城峡 / SINGLE MALT MIYAGIKYO (NAS):¥500
- シングルモルト宮城峡 フルーティ&リッチ / SINGLE MALT MIYAGIKYO FRUITY&RICH (NAS):¥800
- シングルモルト宮城峡 シェリー&スイート / SINGLE MALT MIYAGIKYO SHERRY&SWEET (NAS):¥800
- シングルモルト宮城峡 モルティ&ソフト / SINGLE MALT MIYAGIKYO MALTY&SOFT (NAS):¥800
- シングルモルト宮城峡 3種セット / SINGLE MALT MIYAGIKYO 3 TYPES TASTING SET:¥2,400
シングルモルト余市シリーズ / SINGLE MALT WHISKY (YOICHI)
- シングルモルト余市 / SINGLE MALT YOICHI (NAS):¥500
- シングルモルト余市 ピーティ&ソルティ / SINGLE MALT YOICHI PEATY&SALTY (NAS):¥800
- シングルモルト余市 ウッディ&バニラ / SINGLE MALT YOICHI WOODY&VANILLIC (NAS):¥800
- シングルモルト余市 シェリー&スイート / SINGLE MALT YOICHI SHERRY&SWEET (NAS):¥800
- シングルモルト余市 3種セット / SINGLE MALT YOICHI 3 TYPES TASTING SET:¥2,400
ピュアモルトウイスキー / PURE MALT WHISKY
- 竹鶴 ピュアモルト / TAKETSURU PURE MALT:¥500
- ピュアモルト レッド / PURE MALT RED:¥350
- ピュアモルト ブラック / PURE MALT BLACK:¥350
- ニッカ セッション / NIKKA SESSION:¥300
グレーンウイスキー / GRAIN WHISKY
- ニッカ シングル カフェグレーン ウッディ&メロウ / SINGLE COFFEY GRAIN WHISKY WOODY & MELLOW:¥800
- ニッカ カフェグレーン / NIKKA COFFEY GRAIN WHISKY:¥400
- ニッカ カフェモルト / NIKKA COFFEY MALT:¥400
ブレンデッドウイスキー / BLENDED WHISKY
- 鶴 / TSURU:¥1,500
- ザ・ニッカ / THE NIKKA:¥600
- フロム・ザ・バレル / FROM THE BARREL:¥300
- 伊達 / DATE:¥300
- ニッカ フロンティア / NIKKA FRONTIER:¥300
- スーパーニッカ / SUPER NIKKA:¥300
- ブラックニッカ スペシャル ※20ml / BLACK NIKKA SPECIAL ※20ml:¥300
- 宮城峡蒸溜所限定ブレンデッド / MIYAGIKYO DISTILLERY LIMITED BLENDED WHISKY:¥350
- 余市蒸溜所限定ブレンデッド / YOICHI DISTILLERY LIMITED BLENDED WHISKY:¥350
ブランデー・その他 / BRANDY, OTHERWISE
- シングルアップルブランデー弘前12年 / SINGLE APPLE BRANDY “HIROSAKI”:¥1,000
- X・O 白 / X.O WHITE:¥300
- アップルワイン ※20ml / APPLE WINE ※20ml:¥300
- ニッカ カフェウォッカ / NIKKA COFFEY VODKA:¥350
- ニッカ カフェジン / NIKKA COFFEY GIN:¥350
海外ウイスキー / WORLD WHISKEY
- ブッシュミルズ 12年 / BUSHMILLS 12 YEARS:¥500
ニッカ モルト3種セット / NIKKA MALT 3TYPES SET
- ニッカ モルト3種セット(宮城峡・竹鶴・余市) / NIKKA MALT 3TYPES SET (MIYAGIKYO TAKETSURU YOICHI):¥1,500

今回、私が選んだのはメニューには載っていなかった「シングルカスク宮城峡10年」の飲み比べセット。15ml×2杯で3,000円でした。
シングルカスク宮城峡は、宮城峡蒸溜所でしか味わえない非常にレアなウイスキー。シングルカスクシリーズは基本的に非売品なので、ウイスキー専門のバーでも見かける機会はほとんどありません。
これを飲まないという選択肢はないでしょう。即決で注文しました(笑)。

宮城峡のシングルカスクを飲むのは今回が初めて。しかも1種類ではなく、2種類を同時に飲み比べられるのは貴重な機会です。
樽の種類については記載がありませんでしたが、実際に飲んだ印象では、どちらもホグスヘッド(バーボン樽)ではないかと予想しています。

それぞれの説明書きには異なるテイスティングコメントが記載されていましたが、実際に飲み比べてみると、味わいの方向性にはそれほど大きな違いは感じません。
カスクストレングスらしい力強さがありながら、青りんごを思わせるフルーティーさ、ほどよいバニラ、かすかなハーブ香、そしてハチミツのような甘み。通常の「シングルモルト宮城峡」と比べても、10年熟成によるものなのか、アルコール度数が高いにもかかわらず、口当たりは意外なほどマイルドです。
最後はトワイスアップ(1:1)まで加水してみました。
水を加えることでさらにまろやかになり、香味のまとまりも増して、洗練された味わいに。シングルカスクでありながら、どちらのボトルからも「宮城峡らしいバランスの良さ」をしっかり感じることができました。

ひとり3杯まで注文できるので、もう1種類試すこともできましたが、セミナーですでに結構飲んでいたため、今回はこの2杯で終了。
個人的には、宮城県限定のブレンデッドウイスキー「伊達」も気になっていました。ちなみに、この日はギフトショップでも伊達が売り切れ。やはり人気があるようです。
有料テイスティングでは、せっかく蒸溜所まで来たのですから、普段なかなか飲めない限定品や希少な原酒を選ぶのがおすすめです。
とはいえ、最終的には自分が飲みたいものを選ぶのが一番。定番の「シングルモルト余市」を選んで、宮城峡と飲み比べてみるのも面白いと思います。
ギフトショップと蒸溜所限定ボトル

見学とテイスティングを終えたら、最後に立ち寄りたいのがギフトショップです。ここも宮城峡蒸溜所を訪れる楽しみの一つ。
店内にはニッカの定番ウイスキーをはじめ、蒸溜所限定ボトル、ニッカウヰスキーのオリジナルグッズ、仙台のお土産やお菓子など、さまざまな商品が並んでいます。公式サイトでも、ギフトショップでは数種類の蒸溜所限定商品を販売していると案内されています。
やはり一番注目したいのは、蒸溜所限定ボトル。
文字通り、宮城峡蒸溜所を訪れたからこそ購入できる商品です。ニッカの定番ウイスキーであれば、帰宅してからネットショップや酒販店で購入できますが、蒸溜所限定品はそうはいきません。
せっかくここまで来たのなら、限定ボトルを優先して購入するのがおすすめです。

ただし、限定商品は数量に限りがあり、入荷時期も不定期。そのため、訪問したタイミングによっては品切れになっていることもあります。実際、私が訪問した2026年8月11日も、宮城県限定の「伊達」はギフトショップで売り切れていました。
そのため、購入したいボトルがある場合は、見学ツアーが終わったら早めにショップを覗いておくのが安心です。
先に限定ボトルを確保してから、もう一度蒸溜所を散策したり、有料テイスティングを楽しんだりするのもおすすめ。ショップだけの利用も可能なので、ツアーに参加しない場合でも買い物を楽しめます。
ちなみに2026年には、宮城峡蒸溜所の樽を活用した「NIKKA BARREL AGED COFFEE」のようなウイスキー以外の限定商品も登場しています。蒸溜所限定品はウイスキーだけとは限らないので、グッズやお土産も含めてチェックしてみると面白いでしょう。
以下では、私が訪問した2026年8月時点で、宮城峡蒸溜所のギフトショップで販売されていた限定ボトルを紹介していきます。
宮城峡蒸溜所限定おすすめボトル3選

- 宮城峡 シェリー&スイート
- 宮城峡フルーティ&リッチ
- 宮城峡モルティ&ソフト
1、宮城峡 シェリー&スイート

個人的に3本の中で一番おすすめしたいのが「宮城峡 シェリー&スイート」。
シェリー樽熟成の原酒を使用しており、濃厚な甘みとコクが魅力です。ドライフルーツやチョコレートを思わせる、シェリー樽由来のリッチな風味がしっかりと感じられます。
華やかで軽やかなイメージのある宮城峡ですが、このボトルではシェリー樽による濃厚な甘みが加わり、通常の宮城峡とはまた違った表情を楽しめます。
3本の中で迷ったら、私は迷わずこれを選びます。
というか、宮城峡蒸溜所まで来たなら、ぜひ買ってほしい1本です(笑)。
2、宮城峡フルーティ&リッチ

「宮城峡 フルーティ&リッチ」は、宮城峡らしい華やかなフルーティーさを前面に押し出した限定ボトル。
りんごやマスカットを思わせる爽やかな果実香を軸に、さまざまな熟成樽の原酒を組み合わせています。
特に酵母由来のエステル香を引き立たせることを意識しており、ピート香はほとんど感じられません。
3本の中では最もバランスの取れたタイプ。宮城峡らしい「華やかさ」「フルーティーさ」をストレートに楽しみたい方に向いています。
3、宮城峡モルティ&ソフト

「宮城峡 モルティ&ソフト」は、原酒そのものが持つモルティーな風味と、心地よくやわらかな飲み口を追求した限定ボトルです。
リフィルカスク(古樽)の原酒をメインに使用することで、樽由来の香味をあえて控えめにし、麦芽由来の穏やかな風味を引き立てています。
シェリー&スイートのような濃厚な樽香とは対照的に、より素朴で優しい宮城峡モルトの魅力を楽しめる1本です。
宮城峡蒸留所限定ボトル|比較表
| 銘柄名 | 主な特徴(香り・味わい) | 容量 | 定価(税込) |
| 宮城峡 シェリー&スイート |
濃厚な甘みとコク
|
500ml
180ml
|
500ml:9,500円
180ml:3,500円
|
| 宮城峡 フルーティ&リッチ |
華やかな果実香と伸びやかな樽香
|
500ml
180ml
|
500ml:9,500円
180ml:3,500円
|
| 宮城峡 モルティ&ソフト |
香ばしい麦香となめらかな口当たり
|
500ml
180ml
|
500ml:9,500円
180ml:3,500円
|

「3本とも飲みたい!」という方には、180mlボトルを3本まとめたセットもあります。価格は10,500円。
500mlボトルを3本購入すると28,500円になるので、まずは180mlセットで3種類を飲み比べて、気に入ったものを500mlで購入するという選び方もおすすめです。
余市・宮城峡 蒸留所限定 おすすめボトル6選(どちらでも購入可能)

余市蒸溜所と宮城峡蒸溜所のギフトショップでは、それぞれの蒸溜所で造られたウイスキーだけでなく、両方の蒸溜所で購入できる限定商品も販売されています。
せっかく蒸溜所まで足を運んだなら、一般の酒販店ではなかなか購入できないボトルを優先してチェックしたいところです。
今回は、余市・宮城峡のどちらでも購入できるおすすめ商品を6種類紹介します。
- ブレンデッドウイスキー 鶴
- ニッカ ピュアモルト レッド
- ニッカ ピュアモルト ブラック
- シングルカフェグレーン ウッディ&メロウ
- シングルアップルブランデー 弘前 12年
- 余市・宮城峡・竹鶴 50ml 3本セット
1、ブレンデッドウイスキー 鶴

「ブレンデッドウイスキー 鶴」は、ニッカを代表するプレミアム・ブレンデッドウイスキー。余市と宮城峡、さらにグレーン原酒を組み合わせ、ニッカが持つ複数の原酒の魅力を一本にまとめています。
余市由来の骨太で穏やかなスモーキーさ、宮城峡らしい華やかな果実味、そしてグレーンウイスキーのなめらかな甘さが重なり、リッチでバランスの取れた味わいに仕上がっています。
容量は700ml、アルコール度数は43%。定価は25,000円(税込)です。
「余市10年」「宮城峡10年」がそれぞれ13,200円(税込)なので、それらと比べてもかなり高価なボトル。購入は1人1本までとなっています。
人気が高く、訪問時期によっては売り切れていることもあります。蒸溜所で見つけたら、優先的に確保したい1本です。
2、ニッカ ピュアモルト レッド
「ニッカ ピュアモルト レッド」は、宮城峡モルトの個性を楽しめるピュアモルトウイスキーです。
軽やかなバニラ香に、りんごや洋梨を思わせるフルーティーな香り。口当たりもやわらかく、穏やかな飲みやすさが魅力です。
宮城峡らしい華やかなモルトの個性を比較的分かりやすく楽しめるため、初心者にもおすすめ。
容量は500ml、アルコール度数は43%です。
3、ニッカ ピュアモルト ブラック
「ニッカ ピュアモルト ブラック」は、余市モルトをキーモルトに使用したピュアモルトウイスキー。
レッドが華やかで軽やかな方向性なのに対して、ブラックはモルトの厚みとほどよいスモーキーさが特徴です。バニラを思わせる甘みも加わり、しっかりとした飲みごたえがあります。
こちらも500ml・43%。
「レッド」と「ブラック」を飲み比べれば、宮城峡と余市、それぞれのモルトの方向性をより分かりやすく感じられます。2本セットで購入するのもおすすめです。
4、シングルカフェグレーン ウッディ&メロウ
「シングルカフェグレーン ウッディ&メロウ」は、宮城峡蒸溜所のカフェ式連続式蒸溜機で造られたグレーン原酒を楽しめる限定系ボトルです。
一般流通している「ニッカ カフェグレーン」とは異なり、樽由来のウッディな香りと、グレーン原酒ならではの甘くまろやかな風味を楽しめるのが特徴。
「グレーンウイスキー=軽い」というイメージを持っている方には、ぜひ試してほしい1本。宮城峡蒸溜所のカフェスチルについて学んだあとに飲めば、製造設備と味わいのつながりもより実感できるでしょう。
5、シングルアップルブランデー 弘前 12年
ウイスキーではありませんが、ニッカの歴史を知るうえでも面白いのが「シングルアップルブランデー 弘前 12年」です。
りんごを原料とするブランデー原酒を12年以上熟成させたもので、ニッカの前身である大日本果汁株式会社が始めた、りんご事業の流れを感じられる1本でもあります。こちらは弘前工場でも購入できます。
なお、青森県の地域限定商品として知られる「ニッカ アップルブランデー弘前」とは別の商品。12年以上熟成させた原酒を使用している点にも注目です。ウイスキーだけでなく、ニッカの「りんご」にまつわる歴史まで味わえるのが、このボトルの面白いところです。
6、余市・宮城峡・竹鶴 50ml 3本セット

最後は、少量ずつ飲み比べたい方におすすめのミニボトルセット。
「シングルモルト余市」「シングルモルト宮城峡」「竹鶴ピュアモルト」の3種類が、それぞれ50mlずつセットになっています。価格は2,550円(税込)。
余市の力強さ、宮城峡の華やかさ、そして両者を組み合わせた竹鶴。それぞれの個性を一度に比較できるので、今回の宮城峡・余市蒸溜所見学のお土産としても非常に面白いセットです。
特に「余市と宮城峡、どちらを買おう?」と迷っている方にはぴったり。まず50mlで飲み比べてから、お気に入りのボトルを購入するのもいいでしょう。
お菓子・おつまみ

ギフトショップにはウイスキーだけでなく、宮城峡らしいお菓子やおつまみも充実しています。今回は、ウイスキーとの相性を考えながら、いくつか購入してみました。
カマンベールチーズ ラングドシャ 1,350円
「絶対ウイスキーに合うだろ!」ということで、見つけて即購入(笑)。
カマンベールチーズのコクとラングドシャの甘さが組み合わさった、いわゆる「甘じょっぱい」系のお菓子です。ウイスキーのお供としては、かなり期待できそう。やっぱり「甘じょっぱい」には勝てませんな(笑)。

コーヒービーンズ ミルクチョコ&ホワイトチョコ 各1,730円
木樽をモチーフにしたパッケージがかわいくて、こちらも購入。
コーヒービーンズをチョコレートで包んだタイプで、コーヒーの香ばしさとチョコレートの甘さは、もちろんウイスキーとの相性も抜群です。
ちょっとお高めではありますが、木樽をリサイクルしたパッケージということを考えると、これも宮城峡らしいお土産。見た目も楽しめるので、プレゼントにも良さそうです。

宮城セット 牛タン 1,450円
宮城峡の50mlボトルと、仙台名物の牛タンのおつまみがセットになった商品。
仙台駅でも売っていそうな組み合わせですが、今回の訪問では宮城峡蒸溜所でしか見かけませんでした。
ウイスキーを飲んだ後の勢いもあり、こちらも購入(笑)。宮城らしさを一度に楽しめる、お土産として面白いセットです。

ウイスキー好きなら、思わず目移りしてしまうこと間違いなしの宮城峡蒸溜所ギフトショップ。
蒸溜所限定ボトルはもちろん、ウイスキーに合わせたくなるお菓子やおつまみ、オリジナルグッズまで、魅力的な商品がたくさん並んでいます。
宮城峡蒸溜所を訪れた際は、ぜひ時間をかけてショップも覗いてみてください。
そして、お財布の紐は少しだけゆるめて(笑)、ここでしか出会えない限定品や宮城らしいお土産選びを楽しんでみてはいかがでしょうか。
宮城峡蒸溜所を知るための定番ウイスキー5選

ここでは、宮城峡蒸溜所を知るうえで飲んでおきたい5本を紹介します。
なお、「伊達」は宮城県限定商品です。一方、カフェグレーンとカフェモルトは一般流通商品であり、いずれも現在の宮城峡蒸溜所で購入できる「蒸溜所限定ボトル」という意味ではありません。
- シングルモルト宮城峡
- シングルモルト宮城峡10年
- ニッカ 伊達
- ニッカ カフェグレーン
- ニッカ カフェモルト
1.シングルモルト宮城峡

シングルモルト宮城峡
分類:シングルモルトウイスキー
アルコール度数/容量:45%/700ml
楽天市場価格[2026年8月]:6,600円
まず飲んでおきたいのが「シングルモルト宮城峡」。宮城峡蒸留所のモルト原酒だけを使ったシングルモルトで、蒸溜所の個性を最もストレートに味わえる1本です。
最大の特徴は、華やかでフルーティーな香味。りんごや洋梨を思わせる果実香に、やわらかなバニラや樽由来の甘いニュアンスが重なります。口当たりはなめらかで、穏やかな甘さが広がった後、軽やかで心地よい余韻へと続きます。
余市のような力強いスモーキーさを前面に出すタイプではなく、繊細な香りと上品な甘さを楽しむウイスキー。飲み方によって表情が変わるのも魅力。ストレートなら果実や樽の香りをじっくり楽しめ、少量の加水では香りがさらに開きます。ハイボールにすると宮城峡らしい華やかさが軽快に広がります。
ニッカのシングルモルトを初めて飲むなら、「シングルモルト余市」と飲み比べてみるのもおすすめ。
力強い余市と、華やかな宮城峡。2本を並べることで、ニッカが二つの蒸溜所で異なる原酒を造っている意味がよく分かります。
2.シングルモルト宮城峡10年

シングルモルト宮城峡10年
分類:シングルモルトウイスキー
アルコール度数/容量:45%/700ml
楽天市場価格[2026年8月]:30,000円
「シングルモルト宮城峡10年」は、仙台・宮城峡蒸溜所で10年以上熟成した原酒を使用した、年数表記入りのシングルモルトウイスキーです。
かつてニッカの定番商品として販売されていた「宮城峡10年」は、2015年に原酒不足を背景として終売となりました。それから約10年の時を経て、2026年2月に新たなボトルとして復活。もともとは2025年10月の発売が予定されていましたが、発売が延期され、2026年2月に正式に登場しました。
ニッカでは先に「シングルモルト余市10年」が復活しており、続いて宮城峡10年も再登場。かつて販売されていた年数表記入りシングルモルトが相次いで復活したことで、ニッカウヰスキーファンの間でも大きな注目を集めています。
10年以上の熟成を経た宮城峡モルトは、現行の「シングルモルト宮城峡」とはまた違った、熟成による奥行きが魅力。宮城峡らしい華やかな果実香をベースに、樽熟成によるまろやかさや穏やかな甘みが加わり、より落ち着いた味わいを楽しめます。
価格は税込13,200円。国内向け9,000本、海外向け9,000本という限定数量で発売されているため、合計でも18,000本のみという希少なボトルです。
発売後は入手が難しい状況となっており、大手ネットショップでも在庫が見つからないケースが多くなっています。
3.ニッカ 伊達

出典:https://www.nikka.com/products/blended/date/index.html
ニッカ 伊達
分類:ブレンデッドウイスキー
アルコール度数/容量:43%/700ml
販売地域:宮城県限定
楽天市場価格[2026年8月]:8,800円
宮城県ならではのウイスキーを楽しみたいなら、「ニッカ 伊達」は外せません。宮城県限定で販売されているブレンデッドウイスキーであり、原酒は全て宮城峡蒸留所で造られたもので構成されています。
名前の由来は、仙台藩の初代藩主として知られる伊達政宗。宮城県を代表する存在にちなんで名付けられています。
このウイスキーの面白いところは、宮城峡蒸溜所の「カフェスチル」を活用した原酒が重要な役割を果たしている点です。
カフェモルトとカフェグレーンを組み合わせることで、一般的なブレンデッドウイスキーとは少し異なる、なめらかでコクのある味わいに仕上げられています。
穏やかな甘さにバニラや蜂蜜を思わせるニュアンスが重なり、口当たりも柔らかです。
ストレートやロックはもちろん、水割りやハイボールにも合わせやすく、食事と一緒に楽しむウイスキーとしても使いやすいでしょう。
「伊達」は宮城峡蒸溜所だけで販売されている限定品ではありませんが、宮城県を訪れた際にはぜひ探してゲットしたいボトルです。宮城峡モルトとはまた違った角度から、ニッカの製造技術を楽しめます。
4.ニッカ カフェグレーン

ニッカ カフェグレーン
分類:グレーンウイスキー
アルコール度数/容量:45%/700ml
楽天市場価格[2026年8月]:5,120円
宮城峡蒸溜所を語るうえで欠かせない設備が「カフェスチル」。その個性を最も分かりやすく体験できるのが、「ニッカ カフェグレーン」です。
一般的なグレーンウイスキーは、ブレンデッドウイスキーの中でモルト原酒を支える脇役として使われることが多い存在です。
しかし、カフェグレーンは少し違います。
ニッカが使用する伝統的なカフェ式連続式蒸溜機は、現代的な連続式蒸溜機に比べて効率では劣る一方、原料由来の香味を残しやすいという特徴があります。
そのため、コーン由来の甘さに加えて、バニラ、キャラメル、熟した果実を思わせる濃厚な風味が感じられます。口当たりも非常になめらかで、グレーンウイスキーでありながら十分な存在感。
「グレーンウイスキー=軽くて個性が弱い」というイメージを持っている人ほど、一度試してほしいボトルです。
宮城峡蒸溜所のカフェスチルが、ニッカのブレンデッドウイスキーにどのような個性を与えているのかを理解するうえでも重要なウイスキーです。
5.ニッカ カフェモルト

ニッカ カフェモルト
分類:ウイスキー(大麦麦芽100%使用)
アルコール度数/容量:45%/700ml
楽天市場価格[2026年8月]:7,315円
「ニッカ カフェモルト」は、宮城峡蒸溜所の特徴的な設備であるカフェスチルの可能性を、少し変わった形で楽しめるウイスキーです。
大麦麦芽を100%使用しているため原料だけを見るとモルトウイスキーですが、一般的なモルトウイスキーとは異なり、蒸溜には「カフェ式連続式蒸溜機(カフェスチル)」を使用しています。そのため、原料はモルト100%でありながら、シングルモルトには分類されません。
カフェスチルは、一般的にはトウモロコシや小麦などを原料とするグレーンウイスキーの製造に使われる設備です。ところがニッカは、この特徴的な蒸溜機で大麦麦芽を蒸溜するという、ユニークな製法を採用。その結果、麦芽由来の香ばしさや甘みをしっかりと残しながら、一般的なポットスチルで造るモルトウイスキーとは異なる、軽やかでなめらかな酒質に仕上がっています。
香ばしい麦芽の風味に穏やかな甘さが重なり、口当たりは非常にスムーズ。モルトウイスキーらしい風味を持ちながらも、どこか軽快で、一般的なシングルモルトとは違った個性を楽しめます。
特に面白いのが、「ニッカ カフェグレーン」との飲み比べです。
どちらも同じカフェスチルを使用していますが、カフェグレーンはグレーン原料、カフェモルトは大麦麦芽が原料。同じ蒸溜設備でも、原料の違いによってどのように香味が変わるのかを比較できます。
宮城峡蒸溜所のウイスキー造りを深く知りたいのであれば、シングルモルト宮城峡だけでなく、この「ニッカ カフェモルト」もぜひ試しください。
まとめ|宮城峡蒸溜所を訪れて感じたこと

今回、宮城峡蒸溜所を訪れて強く感じたのは、「宮城峡らしい味わいには、すべて理由がある」ということでした。
華やかな果実香、やわらかな甘み、なめらかな口当たり。普段何気なく飲んでいる宮城峡が、土地や水、蒸溜設備、製造方法、熟成環境など、さまざまなこだわりによって生まれていることを実感できました。
特に余市との違いは興味深く、実際に両方の蒸溜所を見学したことで、ニッカが異なる個性を持つ2つのモルトを造る意味が、よりはっきりと分かりました。
蒸溜所を訪れる前から宮城峡は好きなウイスキーでしたが、今回の見学を終えて、その魅力をさらに深く知ることができました。
宮城峡を飲んだことがある方はもちろん、ウイスキーが好きな方にも、ぜひ一度、宮城峡蒸溜所を訪れてみてください。実際に蒸溜所を歩いたあとに飲む宮城峡は、きっと今までとは違って感じられるはずです。

あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。
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