こんばんは ユースケです。
自己紹介:BAR WHITE OAK 店主。ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーエキスパート。JSA認定ソムリエ。2022年1月 東京・銀座にBAR WHITE OAK をオープン。YouTube、TikTokでカクテル動画を公開中!
この記事では台湾にあるウイスキー「オマー(OMAR)」について解説致します。
台湾は5大ウイスキー(スコットランド、アイルランド、アメリカ、カナダ、日本)には数えられていませんが、生産されているウイスキーの品質においては5大ウイスキーと肩を並べており、現在最も注目されている「本格的なウイスキーの生産国」です。
台湾のウイスキーといえば「カバラン(Kavalan)」が最も有名ですが、オマーもカバランに負けじと、国際的なウイスキーの品評会で数々の賞を受賞しています。
そこで今回は、オマーを製造している「南投(ナントウ)蒸溜所」についてと、オマーのウイスキー銘柄 本をご紹介。
オマーを飲んだことのない方や、知っていてもあまり詳しくない方、台湾のウイスキーに興味のある方にもおすすめの内容です。ぜひ最後までご覧ください。
【おすすめ記事】台湾のウイスキーといえば「カバラン」↓
【おすすめボトルも紹介】台湾のウイスキー「オマー(OMAR)」を解説|南投蒸溜所とは?
オマーを製造する「南投(ナントウ)蒸溜所(Nantou Distillery)」の概要
南投蒸溜所はカバラン蒸溜所に次ぐ、台湾で第2の本格的なウイスキーの蒸溜所です。オーナーのTaiwan Tabacco & Liquor Corporation(台湾タバコ酒株式会社)で、元は国営企業でした。
蒸留所は台湾の中部、南投県にあり、台湾の独自の気候と水質を活かしたウイスキー造りが行われています。山地にあるため訪れるのにはやや困難な立地ですが、蒸留所までは台北市内からは車で約3時間でアクセス可能です。
蒸留所の設立は1978年ですが、スコッチタイプのウイスキー蒸留設備を導入し、本格的な原酒造りを開始したのは2008年からとなります。それまではワインやリキュール、ブランデーなど他の酒類の製造に従事していましたが、現在はウイスキー造りに注力しています。
オマー(Omar)という名前は、スコットランドの伝統民族が使用するゲール語で「琥珀」という意味。南投酒工場の気候が温暖で住みやすく、中央山脈からの汚染のない純粋な水があることに由来しています。
恵まれた自然環境と良質な水は、ウイスキーの生産と熟成には必須条件。それらを満たしている南投蒸溜所がウイスキー造りを目指すのは必然だったのかもしれません。
オマーを製造する南投蒸溜所の歴史年表と主な受賞歴
- 2008年:南投蒸溜所設立。試験的な製造を開始。
- 2009年:本格的にウイスキーの製造を始める。
- 2013年:「バーボン樽」と「シェリー樽」のカスクストレングスタイプを初リリースする。
- 2014年: 「カスクストレングス・バーボンカスク」が国際的なウイスキーコンペティションである、ISC(インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ)で金賞を受賞。その他の銘柄も国内外で高評価を受ける。
- 2015年: オマー(Omar)のブランドを立ち上げ、オマーのフラッグシップとなる「オマー シングルモルト バーボンタイプ」と「オマー シングルモルト シェリータイプ」をリリースする。
世界3大酒類コンペティション「IWSC(インターナショナル・ワイン・アンド・スピリッツ・コンペティション)で「オマー・カスクストレングス・シェリーカスク」が金賞を受賞。
その他の銘柄も国内外で高評価を受ける。ウッドフィニッシュタイプのウイスキー各種(ライチ樽、梅樽、ワイン樽など)をリリースする。 - 2017年:WWA(ワールド・ウイスキー・アワード)で「オマー・カスクストレングス・バーボンカスク」と「オマー・カスクストレングス・ブラックウイーンワインバレル」が金賞を受賞。その他の銘柄も国内外で高評価を受ける。
- 2018年: 世界で最も影響力のある国際酒類コンペティション「サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション(SFWSC)」で、オマーのウイスキーが数多くの賞を受賞。
- 2019年: WWAにて、ピーテッドタイプと梅樽熟成のウイスキーが「台湾最優シングルモルト」に選ばれる。
- 2020年:オマーのウイスキーが、ジム・マレー氏の著書『ウイスキーバイブル2020』で「ワールドベストシングルカスク」と「ベストアジアンウイスキー」をダブル受賞する。
- 2022年:「オマー シングルモルト ピーテッドタイプ」が東京ウイスキー&スピリッツコンペティション(TWSC)で金賞を受賞。
【おすすめボトルも紹介】台湾のウイスキー「オマー(OMAR)」の特徴とは?
リリースするウイスキーは全て「シングルモルト」
カバランと同様に、オマーもシングルモルトのみを製造しています。「オマー(OMAR)」ゲール語で「琥珀」を意味しており、美しく輝くアンバー色がそれを象徴しています。ボトリングの際はカラメル色素を一切添加せず、ウイスキー本来の色調にこだわっています。
ノンカラーだけでなく、加水を行わない「カスクストレングス」タイプのウイスキーもたくさんリリースしています。
亜熱帯気候による熟成の早さ
亜熱帯気候である台湾は高温多湿。この気候条件はウイスキーの熟成に大きな影響を与えます。スコットランドや日本よりもウイスキーが樽の中でより早く熟成し、フルーティーで華やかな香りや味わいが生まれる傾向があります。
オマーにはスコッチやジャパニーズウイスキーのような長期間の熟成は必要ありません。平均的な熟成期間は3~5年。年間の平均「エンジェルズシェア(天使のわけまえ)」は6~10%。
スコットランドの場合は毎年1~2%で、日本でも4%程度といわれているため、比べるとオマーのエンジェルズシェアの高さがわかりますね。
熟成が速く進むことにより、5年程度でスコッチでいう「12年物」相当の味わいを生み出すことができています。
かつてモルトウイスキーには「冷涼な気候が適している」という常識がありました。しかし、オマーをはじめとする台湾のウイスキーが、その常識を破り、温暖な気候でも美味しいウイスキーがつくれることを証明したのです。
【おすすめボトルも紹介】台湾のウイスキー「オマー(OMAR)」を解説|主な銘柄8選
- オマー バーボン タイプ
- オマー シェリー タイプ
- オマー ピーテッド
- オマー カスクストレングス ライチバレル
- オマー カスクストレングス バージンオーク
- オマー カスクストレングス オレンジバレル
- オマー カスクストレングス プラムバレル
- オマー カスクストレングス ワインバレル
オマー バーボン タイプ
オマー バーボン タイプ
- ¥6,040 税込
- アルコール度数: 46%
公式テイスティングノート
色沢:蜂蜜のような明るい黄金色
香り:甘いハーブとほのかな花の香り、甘くて自然な酒体が浮き彫りになります。脂感は喉に漂うバニラ、ミルク飴、柑橘の香りを描き出します。
口当たり:甘い麦の香り、優雅な花の香り、マンゴー干し、鳳梨など台湾の熱帯フルーツの豊かな香りが現れています。
余韻:甘さは細かく回ってきます。テイルは暖かくて長く続きます。
バーボン樽熟成のスタンダードボトル。原酒の酒齢が若いせいか、もしくは短期間での仕上がりによってのものか、ストレートで飲むと、やや刺激的な口当たりとアルコール感があります。
次第に落ち着いてきますが、加水して飲んだ方がいいかもしれません。ロック、ハイボール、水割りがおすすめです。
オマー シェリー タイプ
オマー シェリー タイプ
- ¥7,187 税込
- アルコール度数: 46%
公式テイスティングノート
色沢:ふっくらとした赤ブラウン
香り:お酒が濃くて甘い、キャラメルローストのようで、ドライフルーツやオレンジケーキなどの味がします。
口当たり:花の香りにかすかな硫黄の香りが隠れて、バナナの濃厚なにおいは強いです。そしてスクラップクッキー、梅干し、ジャム、白檀と黒チョコレートの甘さが現れます。続いてくるのは竜眼蜜、熟マンゴー、芭蕉、ブドウ、梅干しなどの甘い味です。
余韻:微細な硫黄がスモークのにおいに転化して、テイルは長く続き、甘さが回ってきます。
バーボンタイプと同じくフラッグシップボトルとしてオマーブランドを支える1本。オロロソ・シェリー樽で3年間熟成させています。
スコッチのシェリー系ウイスキーのように、シェリー樽特有のフルーティーさやスパイシーさがあり、温暖な台湾の地でも、オロロソシェリー熟成のウイスキーが良く仕上がることが理解できます。
ストレートやロックがおすすめ。若干トロピカルなニュアンスがあって面白いです。
オマー ピーテッド
オマー ピーテッド
- 税込
- アルコール度数: 46%
2021年9月にリリースされたフラッグシップボトル。ピーテッドモルトを原料に、バーボンバレルで4年以上熟成。東京ウイスキー&スピリッツコンペティション2022では金賞を受賞しています。
スモーキーさと台湾モルトのトロピカル香のバランスが個性的。アイラ島のシングルモルトほどのクセの強さはありませんが、他のオマーと比べると確実に燻製のニュアンスがあります。
オマー カスクストレングス ライチバレル
オマー カスクストレングス ライチバレル
- ¥29,700 税込
- アルコール度数: 54%
世界初となる「ライチ酒の樽」でフィニッシュ(後熟)を施したウイスキーです。顕著にフルーティーフレーバーを感じます。皆さんご存じの通り、ライチのフレーバーは他のフルーツと比べても強め。
白ワインなどのテイスティングコメントに「ライチ」のニュアンスを使うことはありますが、ウイスキーではあまり少ないように思います。しかしウイスキーに付与されたライチの芳香は、紛れもなく全体のポテンシャルを上げる要因となっています。
ジャパニーズウイスキーでも「梅酒樽」などを熟成に使用していますから、近からずとも遠くないライチ酒樽のウイスキーもまた、熟成用の新たな樽として注目されています。
公式テイスティングノート
色沢 きらきら光る琥珀金
香り ライチの甘さが軽くクリームハメの香りを包んで、バーボン樽をより豊かに表現し、静かで潤いの香りを放っています。
口当たり モークのライ千の香りとオレンジの皮の甘さは、バーボンだるの麦芽、バニラ、タフィーと濃厚な熱帯のフルーツの息吹を浮き彫りにして、また少しオークの香りも中に含まれています。
余韻 しなやかで優雅なオークは鮮やかなフルーツの性格を持って、ライ千のあでやかな趣が口につきます。
オマー カスクストレングス バージンオーク
オマー カスクストレングス バージンオーク
- ¥29,700 税込
- アルコール度数: 57.7%
アメリカンホワイトオークのバージンオーク(新樽)で熟成させた商品。
バージンオークは伝統的なモルトウイスキーの熟成樽ではありませんが、近年はジャパニーズウイスキーやスコッチでもよく利用されるようになりました。
使用方法は「原酒の一部にブレンド」「フィニッシュに利用」「ニューポットから全ての熟成期間に使用」など、蒸留所によってさまざま。
オマーの場合は熟成が早いため、どのような熟成方法をとっているのか気になりますね。
公式テイスティングノート
色沢 神秘で華奢な明るい銅色は、ウイスキーが新しい樽で熟成してできたもので、酒の色はOMARシリーズの他のものより、さらに深く感じます。
香り きめ細かなオーク・タンニンは、酒の味をさらに強くさせ、ハーブとスパイスの味がはっきりして、濃厚なフルーツやクリームの味と共に飾っています。
口当たり 香辛料、キャラメルと豊なクリームの息吹がします。アメリカの白オークの新しい樽でできた熟成は、ウィスキーに活発、複雑で甘いハーブの味をもたらします。
余韻 濃い樽の香りが甘みを強くさせ、フルーツの香りの中で辛香のテイルが続いていきます。
オマー カスクストレングス オレンジバレル
オマー カスクストレングス オレンジバレル
- ¥29,700 税込
- アルコール度数: 55%
オレンジを原料につくったブランデー(フルーツブランデー)の空き樽でフィニッシュ(後熟)を施した商品。
通常のブドウでつくったブランデー樽は、スコッチやジャパニーズでも頻繁に利用されていますが、オレンジブランデーというのは恐らく史上初。
公式ノートをみても分かる通り、オレンジのフレーバーがしっかりと付与されています。
公式テイスティングノート
色沢 輝きのある黄金色
香り フルボディワインはフレッシュで酸味と甘い味を持っ柑橘系の香りの強いヒントしています、そして、甘みに戻る感覚は素晴らしいです。
口当たり 咲いているカモミールとジャスミンの香りが飛び出し、甘いオレンジジュースジャムの香りに爽やかなオレンジ皮の香りがしています、中間層にある柑橘類の砂糖漬けの果実の香りは、マフィン、蜜、クリーミーな雰囲気を伴っています、クリスマスケーキのお祭りのお楽しみを思わせる。
余韻 長くて優雅な余韻、層が重なりに富んだ、オレンジの柑橘系をおもなの香りは嗅覺を引き続けています、豊かな果物のにおいがいっぱいです。
オマー カスクストレングス プラムバレル
オマー カスクストレングス プラムバレル
- ¥29,700 税込
- アルコール度数: 52%
梅酒(プラム酒)の樽でフィニッシュ(後熟)を施した商品。
ジャパニーズウイスキーでも梅酒樽の有効性は確認がとれていますが、南投蒸溜所で造られている梅酒が、日本の梅酒と同じような特性を持っているのかは定かではありません。
しかし「サンフランシスコ ワールドスピリッツコンペティション2021」ではダブルゴールドを受賞しており、オマーのウイスキーに梅酒樽由来のフレーバーがマッチしていることはすでに証明されています。
オマー カスクストレングス ワインバレル
オマー カスクストレングス ワインバレル
- ¥29,700 税込
- アルコール度数: 52%
ブラック・クイーン種でつくった赤ワイン樽でフィニッシュした商品。
ブラック・クイーン(Black Queen)は日本で開発された、日本固有の黒ブドウ(赤ワイン用)品種です。川上善兵衛氏によって1927年に「ベイリー種」と「ゴールデン・クイーン種」を交配して開発されました。台湾にもブラック・クイーンでつくったワインがあるというのは知りませんでした。日本との関係が深い、台湾だからこそでしょうか。
台湾は暑すぎるためブドウ造りの環境には適していませんが、南投蒸溜所のある地域は標高が高くて冷涼な気候であるため、ワインを造りが可能なようです。
赤ワイン樽はスコッチ・ジャパニーズにも広く使われるようになっていますが、その可能性はまだまだ未知数。注目しておきたいですね。
色沢 中心の色は深くて神秘な宝石のような赤で、縁は些かな古銅色を帯びています。
香り しなやかで繊細なお酒は厚みを失わず、ちらっと渋いブドウの味が舌の先を挑んで、その後は蜜のような甘さに変わって、薄い煙の香りを帯びています。
口当たり 熟しているバナナの甘さを散らし、その後はブラッククイーンの香りですが、そのなかにドライフルーツの甘み、辛料と焼きトーストの香りが混ざっています。どん底にある穏やかな白檀は、梅干しとクリームの息吹をゆっくり吐き出しています。
余韻 ブラッククイーンの皮とオークのタンニンによる細やかな渋い感に、長年を経ったワインの潤いが織り込んでいます。
オマーはカバランに次ぐ台湾のウイスキー蒸留所として注目されています。
すでにコンペティションでは数々の賞を受賞しているため、今後に目が離せません。
まだオマーを飲んだことが無い方は、まずは基本となる「バーボンタイプ」「シェリータイプ」から飲んでみて下さい。短期熟成とは思えない程のクオリティに驚くはずです。
あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。
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