【おすすめボトルも紹介】台湾のウイスキー蒸留所「カバラン」を解説|主な銘柄14選

ユースケ
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こんばんは ユースケです。

自己紹介:BAR WHITE OAK 店主。ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーエキスパート。JSA認定ソムリエ。2022年1月 東京・銀座にBAR WHITE OAK をオープン。YouTube、TikTokでカクテル動画を公開中!

この記事では台湾にあるウイスキー蒸留所「カバラン」(Kavalan Distillery)について解説致します。

台湾は5大ウイスキー(スコットランド、アイルランド、アメリカ、カナダ、日本)には数えられていませんが、生産されているウイスキーの品質においては5大ウイスキーと肩を並べており、現在最も注目されている「本格的なウイスキーの生産国」です。

その中でもカバランのウイスキーは、世界的に高い評価を受けており、数々の賞を受賞しています。

そこで今回は、カバラン蒸留所とカバランのウイスキー銘柄14本をご紹介。

カバランを飲んだことのない方や、知っていてもあまり詳しくない方にもおすすめの内容です。ぜひ最後までご覧ください。

 

 

 

【おすすめボトルも紹介】台湾のウイスキー蒸留所「カバラン」を解説|カバラン蒸留所とは?

カバラン蒸留所[Kavalan Distillery]概要

カバランは台湾の「金車グループ」が操業した蒸留所で、2005年からウイスキー事業を開始し、2006年3月に最初の蒸溜器が完成。カバラン蒸留所で造られた原酒を100%使用した、シングルモルトウイスキーのみを生産しています。

2008年末には早くもウイスキーをリリース。台湾初の本格的なモルトウイスキーの蒸留所として注目されています。

カバランの名が世に知れ渡ったのは2010年のこと。ウイスキーの本場、スコットランドのエディンバラで開催された「ウイスキー ブラインド・テイスティング大会」で、並み居る有名スコッチウイスキーを抑え、「カバラン クラシック・シングルモルト・ウイスキー」が優勝を果たします。

 

その後も、ワールド・ウィスキー・アワード(WWW)やインターナショナル・ワイン・アンド・スピリッツ・コンペティション(IWSC)など、数多くのウイスキーコンペティションで賞を獲得します。

また、カバランは日本開催のコンペでも結果をだしており、「東京ウイスキー&スピリッツコンペティション2020(TWSC2020)」では、カバラン蒸留所のシングルモルトが1位~3位までを独占しています。ウイスキーの王様「スコッチ」や、今や飛ぶ鳥を落とす勢いのある「ジャパニーズ」を抑えての表彰台独占は、まさに快挙。

カバランのウイスキーは世界中で高い評価を受けており、台湾を代表する蒸留所であるとともに、アジアでも注目すべき蒸留所の一つなのです。

 

カバラン蒸留所の歴史年表

2005年:台湾の金車グループによってカバラン蒸留所の建設が始まる。

2007年:カバラン蒸留所が台湾で初めてウイスキーの製造を開始。

2010年:「カバラン クラシック・シングルモルト・ウイスキー」がスコットランドのウイスキーブラインド・テイスティング大会で優勝。

2011年:カバランウイスキーがワールド・ウイスキー・アワードで数々の賞を受賞。

2012年:カバランウイスキーがインターナショナル・ワイン・アンド・スピリッツ・コンペティションで賞を受賞。

2018年:金車グループが自社ビール「BUCKSKIN柏克金啤酒」の販売を開始。

2020年:カバランのシングルモルトが東京ウイスキー&スピリッツコンペティションで1位から3位までを独占する。

2022年:「カバラン金車コンダクター」がサンフランシスコ ワールドスピリッツコンペティション(SFWSC)でダブルゴールドを獲得。

 

 

【おすすめボトルも紹介】台湾のウイスキー蒸留所「カバラン」を解説|カバランの特徴とは?

製造しているウイスキーの種類

カバランがリリースしているのはすべて「シングルモルトウイスキー」です。自社の蒸留所で生産したモルトウイスキーのみを販売しています。

カバラン蒸留所では、ウイスキー以外にビール、ラム、リキュールなども生産していますが、ウイスキーに関してはシングルモルトのみを製造しており、グレーンウイスキーとブレンドした「ブレンデッドウイスキー」は造っていません。

また、日本のウイスキーメーカーのように、海外からの輸入原酒をブレンドすることも一切行っていません。

 

亜熱帯気候による熟成の早さ

亜熱帯気候である台湾は高温多湿。この気候条件はウイスキーの熟成に大きな影響を与えます。スコットランドや日本よりもウイスキーが樽の中でより早く熟成し、フルーティーで華やかな香りや味わいが生まれる傾向があります。

その為、カバラン蒸留所では常に「過度の熟成」に対しての配慮が欠かせません。スコッチのような長期間の熟成は必要ありませんが、その分デリケート。原酒はおおむね4〜7年の熟成期間を経てボトリングされています。

モルトウイスキーの熟成には冷涼な気候が適しているという「常識」がありましたが、カバラン蒸留所ではあえてその暑さを利用しているのです。

年間の平均「エンジェルズシェア(天使のわけまえ)」は10~12%ほど。スコッチが2~3%ですから、比べるとかなり熟成が早いことが理解できますね。

熟成を早く進めることを独自の個性に変えることに成功したカバラン。亜熱帯の気候をうまく利用したウイスキー造りは、世界中の蒸留所に影響を与える存在となっています。

 

ウイスキーの「命」である天然水が豊富

カバラン蒸留所は天然水を活かしてウイスキーを製造しています。

台湾の山岳地帯に位置する蒸留所は、清澄な天然水を豊富に利用することができ、ウイスキーの製造において重要な「水」に困ることはありません。

この天然水を使用してウイスキーの醸造・蒸留・割水などの工程において品質を保つことに努めており、カバランウイスキーの独特な風味や品質に大きな影響を与えています。

 

高品質な大麦麦芽と酵母

大麦麦芽がモルトウイスキーの主原料として重要な役割を果たしていることは、あえて説明する必要もないと思いますが、カバラン蒸留所では、厳選された高品質な大麦を使用しています。

カバラン蒸留所の製品はすべて「シングルモルトウイスキー」。原料の大麦は、スカンジナビア産(スウェーデン、ノールウェー、デンマークの3ヶ国)の二条大麦を使用。発酵には2種類のドライイーストを使用しています。

長年の研究と経験に基づいて酵母の選定を行い、専門の酵母を使用することで、ウイスキーに独自の風味やアロマを形成することができるのです。

 

多種多様な熟成樽を使用

良質な熟成樽はウイスキーの製造に欠かせません。カバラン蒸留所ではウイスキーの熟成に様々な種類の樽を使用しています。

スコッチやジャパニーズでも定番となっている「バーボン樽」や「オロロソシェリー樽」の他、スコッチウイスキーの熟成に一度利用した「スコッチ・リフィル樽」も熟成に使用。

カバランに限らず、ここ数年熟成樽としての利用が増えている「ワイン樽」、「ブランデー(コニャック)樽」、「ポートワイン樽」、「マデイラワイン樽」、「カリビアン・ラム樽」など、他にも多くの種類の樽を世界各地から調達しています。

特にシェリー樽には強いこだわりを持っており、王道の「オロロソシェリー」以外にも、極甘口のPX(ペドロヒメネス)や、モスカテル、アモンティリャード、マンサニージャ、フィノといった様々な種類のシェリー樽を積極的に取り入れています。

また、樽の製造やチャーリング(焼き入れ)もカバラン蒸留所内で専門の職人によって行われています。ワイン樽はチャーリングを行ってから使用しており、古いワイン樽を削って「トースト」と「チャー」を施す「STR樽」と呼ばれる状態に加工しています。

このチャーリングの工程を施すことで、亜熱帯の気候に合ったモルトウイスキーの熟成を行うことができます。

 

 

熟成樽の管理もしっかり

カバラン蒸留所では、原酒が詰められた樽は、一樽ずつバーコードで管理されています。

これは、スコッチよりも熟成が早いカバランには必須のシステム。管理を怠って、酒齢が進み過ぎてしまえば「熟成のピーク」を越えてしまいます。

おおむね最低でも4年以上の熟成期間を経てから原酒として利用。定番商品は複数の原酒をブレンド。そのほか、カバランの人気シリーズ「ソリストシリーズ」は、ブレンドや加水を一切おこなっていない商品であるため、樽から直接ボトリングが行われており、ボトルには樽固有のシリアルナンバーが記載されます。

ウイスキーの貯蔵庫は5階建て。気温が上がる夏の時期は1階と5階で10度前後の温度差があります。そのため、樽ひとつひとつの熟成具合も異なってくるため、膨大なストックを管理する上でもシリアルナンバーは欠かせないものとなっています。

 

また、台湾は日本と同様、地震の多い国であるため、樽をより安定しておけるように縦置き(パラタイズ式)で熟成。縦置きの貯蔵方法はグレーンウイスキーやラム酒の熟成に採用されていることが多いのですが、モルトウイスキーではこの方法は利用されていません。

ただし、シェリー樽の場合はサイズが大きく安定感があるため、モルトウイスキーで一般的な横置き(ダンネージ式)で貯蔵されています。

 

ユースケ
ユースケ

・パラタイズ式
パレットと呼ばれる板の上に樽を縦に並べて熟成さえる熟成方法。アイリッシュ、カナディアン、スコッチやジャパニーズのグレーンウイスキーおよび、一部のモルトウイスキーにも採用されている。ダンネージ式やラック式にくらべ効率良くスペースを活用できるのが利点だが、液漏れしやすいという欠点がある。

・ダンネージ式
熟成樽を積み上げて熟成させる方法のこと。伝統的に行われている製法で、2~3段に積み上げる。

 

 

次のページではカバランの主要銘柄14本を解説

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