King’s Ransom キングスランサム
King’s Ransom キングスランサム
製造企業:ウィリアムホワイトリー社
系列企業:キャンベルディスティラーズ社
価格:不明
43% 750ml
ブレンデッドウイスキーに欠かすことのできない要素の一つである「マリッジ」。本来の意味は「結婚」ですが、ウイスキーの場合は「融合」の意味も含まれており、ウイスキーの原酒を混合した後、風味を安定させるためにしばらく寝かせることを指しています。
熟成を終えたモルトウイスキーは樽同士でヴァッティングされたり、グレーンウイスキーとブレンディングされたりして最終工程に進みますが、その後しばらく寝かせてから瓶詰めを行います。この寝かせる期間がマリッジであり、モルト同士やモルトとグレーンを融合させ、最高の状態に整える工程です。
その「マリッジ」は、通常は貯蔵庫などの蒸留所内で行われるものですが、ブレンデッドスコッチウイスキー「キングスランサム」は、世界一周航路の船内に積み込こんで、ゆっくりと船旅のようにマリッジを行っています。
キングスランサムを生み出したのは「スコッチの司祭」として知られた名ブレンダー「ウィリアム・ホワイトリー」(1856~1941年)。ウイスキーブレンダーとしての使命を果たすため、タバコや葉巻などの刺激物を摂取せず、味覚を損なわないようにハイランドの天然水しか飲まなかったとのこと。
ホワイトリーはキングスランサムを完璧なものにするため、原酒を再度シェリー樽に詰め、それをバラスト(船の重り)として世界一周航路の船に積み込みました。「暗い船内の環境と波の揺れがマリッジをより完璧なものにする」という彼の独創的なアイデアでつくられたウイスキーには「Round the world」という言葉と、世界一周航路の誇り高い表示がされていました。
キングスランサムの主要モルトはハイランドの「エドラダワー」。ウイスキー自体は超レアな存在。見かけたら写メりたいし、飲みたい…
Label 5 ラベル5
Label 5 ラベル5
製造企業:ファーストブレンディング社
系列企業:ラ・マルティニケーズ社
Amazon価格:¥1,988 税込(ラベル5 クラシックブラック 1000mlボトル)
40% 1000ml
「Label 5(ラベルファイブ)」は、2020年世界ウイスキー売り上げランキングでは29位。年間270万ケースを売上るビッグブランドです。フランス、アジア、新興国などで売上を伸ばしており、最近は日本でも取り扱っているお店が増えています。正規代理店は「明治屋」。
ラベル5は、フランス企業「ラ・マルティニケーズ」によって製造されています。この会社は1934年に創業され、元々はスピリッツの製造や、スーパーマーケットでのウイスキーとスピリッツの販売を手がけていました。
フランス国内での需要増加に応じて、2008年にはスペイサイドの「グレンマレイ蒸留所」を所有するグレンモーレンジ社から買収します。その後、エジンバラ近郊に大規模な熟成庫とボトリング施設を建設。ラベル5のための原酒造りは、蒸留から熟成、ブレンディングからボトリングまでを一貫して、スコットランド国内で行うことができるようになります。
ラインナップはノンエイジの「ラベル5」をはじめ、デラックスブレンドの「12年」などがあります。ノンエイジはバーボン樽で3~4年間熟成させた原酒が主体。主要モルトは当然グレンマレイ。ライトボディで飲みやすく、軽いピートの香りとフルーティーフレーバー、バニラのアロマ。
Langs ラングス
Langs ラングス
製造企業:ラングブラザーズ社
系列企業:イアンマクロード社
Amazon価格:¥1,683 税込 (ラングス・シュープリーム・デラックス)
40% 700ml
「ラングス」を造るラングブラザーズ社は、1965年にロバートソン&バクスター社の傘下に入り、その後2003年にキーモルトである「グレンゴイン蒸留所」とともにイアンマクロード社に買収され、現在はその傘下となっています。
イアンマクロードは「アイル・オブ・スカイ」や「ヘッジス & バトラー」といった銘柄も所有していますが、ラングスはこの二つ
の銘柄と比べるとちょっと地味な存在。日本でもほとんど見たことがありません。穏やかな酒質をもっており、グレンゴインのマイルドな味わいを感じます。ブレンデッドスコッチとしては個性的な一面を持ちつつも、割と穏やかなタイプ。
製造元であるラングブラザーズ社の起源は、ヒュー・ラングがグラスゴーで始めたラム酒の輸入業者。そのうちスコッチウイスキーも扱うようになり、ウイスキー商及びブレンダーとして成功を収めました。
1876年にグレンゴイン蒸留所を買収。ピートを一切使用しない、「ノンピート麦芽」を原料にして造られた飲みやすいモルトウイスキーは、当時では珍しい存在。そのグレンゴインをベースにしたラングスも、クセの少ないブレンデッドとして人気となりました。
日本で販売されている定番ボトルは「ラングス シュープリーム・デラックス」。8年以上熟成させたグレンゴインを中心に、25種類のモルトとグレーン原酒をブレンド。何故かわかりませんが「ホテル限定」のウイスキーとして、アサヒビールが販売しています。
Langside ラングサイド
Langside ラングサイド
製造企業:ラングサイドディスティラーズ社
系列企業:ハンターレイン社
価格:不明
40% 700ml
「ラングス」と混同しそうになりますが、こちらはハンターレイン社が手がけるブレンデッドウイスキーです。
「ラングサイド」は、スコットランドの歴史的な戦場に由来してた名前。1568年5月13日、スコットランド女王メアリー・スチュワートは、反乱軍によって廃位に追い込まれました。そして最後の戦いは、スコットランドのスターリング北方のラングサイドで繰り広げられています。メアリー女王の惨敗し、その後イングランドに逃げ込みましたが、エリザベス1世は彼女を幽閉せざるを得ず、メアリー女王は18年間の幽閉生活を送ることになります。最終的にはエリザベス1世暗殺に関与したとされて処刑されています。
「ラングサイド」の製造元は「ラングサイドディスティラーズ社」。ダグラスレイン社の子会社として設立。ダグラスレイン社は多くのブレンデッド銘柄を扱っており、「キング・オブ・スコッツ」などが有名でしょうか。日本では決してメジャーではない「ラングサイド」は、基本的に南アフリカ向けに製造された銘柄。現在の輸入代理店はジャパンインポートとなっています。
「ラングサイド」のブレンドには、8年から12年熟成のモルト原酒24種類が使用されており、モルトとグレーンの比率は3対7とされています。主要なモルト原酒はオーヘントッシャンとブレアアソール。クセは強くなく、フルーティーさがあって飲みやすいタイプです。
Lismore リズモア
Lismore リズモア
製造企業:ウィリアムランディー社
Amazon価格:¥5,680 税込(リズモア 12年 ブレンデッドウイスキー)
40% 700ml
「リズモア」は、ゲール語で「庭園」を意味しており、スコットランドの西海岸に位置する美しい島の名前。リズモア島は古代から人々が住んでおり、伝説によれば、「聖コロンバ」と「聖モルアグ」という二人の聖人がキリスト教を布教するために島を訪れたとされています。
そんな「リズモア島」をモチーフに造られたスコッチウイスキーが、「リズモア」。製造元のウィリアムランディー社は、1923年にグラスゴーで創業された家族経営の小さな会社。ベンチャ企業がリリースしているのにも関わらず、リズモアのラインナップは大手銘柄のように豊富で、年数の異なる商品がいくつか存在しています。また、同じブランド名で「ヴァッテッドモルト」や「シングルモルト」も販売されています。むしろ、日本ではブレンデッドよりもシングルモルトの方が入手しやすいかも…
ブレンデッドウイスキー「リズモア」のキーモルトや原酒の構成については一切不明。シングルモルトもどこから買い付けているのかわかりませんが、「スペイサイドモルト」であることだけは情報として公開されています。
マイナーブランドですが、隠れた銘酒としてウイスキーファンから人気のあるブランド。シングルモルトのできも良いので機会があったら飲んでみてください。
Long John ロングジョン
Long John ロングジョン
製造企業:ロングジョン・ディスティラリーズ社
系列企業:シーバスブラザーズ社
Amazon価格:¥1,198 税込(ロングジョン スダンダード)
40% 700ml
「ロングジョン」は本名はジョン・マクドナルド(1796年〜1856年)の愛称。身長193センチの大男で、彼はクラン・マクドナルドの血を引いており、地元フォートウィリアムの人々から「ロングジョン」と呼ばれていました。
マクドナルド家は、かつてヘブリディーズ諸島からアーガイル地方一帯を治めた「ロード・オブ・ジ・アイルズ」(島々の君主)につながる名家でしたが、イングランド軍との戦いに負けてからは消滅し、生き残った子孫たちは貧しい小作農として生活を余儀なくされます。
そして、貧しいながらも誇り高いマクドナルド家の末裔として生まれたのが、ロングジョンことジョン・マクドナルド。生計を立てるために密造酒を造ります。
転機となったのは1823年の酒税法改正。ロングジョンは遠縁のマクドナルド家から資金を調達し、1825年にフォートウィリアムに蒸留所をオープンさせます。その蒸留所こそが「ベンネヴィス蒸留所」。当時は「ロングジョンの蒸留所」として地域で評判となります。
ベンネヴィス蒸留所はジョンの死後、子孫に受け継がれましたが、その後何度かオーナーが変わり、現在は皆さんご存じの通り「ニッカウヰスキー」が所有する蒸留所となっています。
ブレンデッドウイスキー「ロングジョン」のブランド権は、ニッカウヰスキーではなくロングジョン社が所有しており、現在ではシーバスブラザーズ社傘下のブランドですが、国内での正規販売はサントリーが行っています。かつてはベンネヴィスがキーモルトでしたが、現在はトーモア蒸留所の原酒が主要モルトとなっています。
Mackinlay’s マッキンレー
Mackinlay’s マッキンレー
製造企業:チャールズマッキンレー社
系列企業:ホワイト&マッカイ社
Amazon価格:¥5,880 税込(マッキンレー シャクルトン ブレンデッドモルト)
40% 700ml
ブレンデッドスコッチウイスキー「マッキンレー」は、1815年にエジンバラの外港リースに誕生したワイン商の老舗、マッキンレー社が創設したブランド。創業者のチャールズ・マッキンレーはエジンバラでワイン商として修業を積み、独立。ウイスキービジネスへの参入は1867年で、マッキンレー家の2代目ジェームズが家業を継いだ時でした。
マッキンレーはブレンデッドスコッチに力を入れ、オリジナルのブレンドを販売するようになりました。そのオリジナルブランドは「マッキンレー」と呼ばれ、19世紀後半にはイギリス議会に納入され、品質の高さが評価されていました。そして
1907年には「南極探検隊公式スコッチウイスキー」として選ばれたことで、マッキンレー社の名声は世界中に広まっていきます。
2代目のジェームズは家業を発展させると同時に、ウイスキーの蒸留事業にも積極的に取り組んでいきました。1892年には、グレンアルビン蒸留所のマネージャーだったジョン・バーニーと共同で、インバネス郊外にグレンモール蒸留所を創設。1920年には隣のグレンアルビン蒸留所を買収します。
その後も、3代目のチャールズの時代も、マッキンレーはスコッチウイスキーを世界中に広めた功績が認められていたこともあり、ウイスキー業界に深く携わっていきます。
「マッキンレー」のラインナップには、「オリジナル」「レガシー12年」「21年」や、ブレンデッドモルトウイスキーの「マッキンレー シャクルトン」などがあります。
現在は「ホワイト&マッカイ社」の系列であり、その親会社はインド最大の飲料メーカー「ユナイテッド・ブリューワリーズ(United Breweries、UB)グループ」。そのため、現在のキーモルトはUBグループ傘下の「アイル・オブ・ジュラ」「タムナヴーリン」などが使用されています。
Monkey Shoulder モンキーショルダー
Monkey Shoulder モンキーショルダー
製造企業:ウィリアムグラント&サンズ社
Amazon価格:¥3,655 税込
40% 700ml
ボトルの肩に飛び跳ねる3匹のモンキーがデザインされているブレンデッドモルトウイスキー「モンキーショルダー」。製造元のウィリアム・グラント&サンズ社は、所有するグレンフィディック、バルヴェニー、キニンヴィの3つ蒸留所のモルト原酒を使用し、モンキーショルダーを生み出しています。
モンキーショルダーは、異なる性格を持つモルトウィスキー絶妙にブレンドした製品です。かつてはモルト同士、グレーン同士を混合したものはそれぞれ「ヴァッテッドモルト」や「ヴァッテッドグレーン」と呼ばれていましたが、現在ではこれらの製品は一般的に「ブレンデッドモルト」、「ブレンデッドグレーン」と呼ばれる傾向にあります。
モンキーショルダーは、3匹の猿のエンブレムが特徴的なウイスキーで、そのユニークなネーミングとデザインが特に女性を中心に人気を集めています。元々はシングルモルトに馴染みがない初心者や女性向けに作られたブランドでしたが、その飲みやすさから急速にファンを増やし、ウィリアム・グラント&サンズ社のブランドとしては、今や「グランツ」を超える人気となっています。
「モンキーショルダー」という名前の由来も、このブランドを有名にした一つの要素ではないでしょうか。この名前は蒸留所の労働者が悩まされていた「職業病」から名付けられています。かつては蒸留所で麦芽づくりが行われており、フロアモルティングと呼ばれる方法で麦芽を均一に発芽させる作業が行われていました。この作業は木のシャベルを使用して麦芽を撹拌し、非常に重労働でした。ウイスキー職人たちの肩から腕にかけての痛みは「モンキーショルダー」と呼ばれていました。
Old Parr オールドパー
Old Parr オールドパー
製造企業:マクドナルドグリーンリース社
系列企業:ディアジオ社
Amazon価格:¥3,956 税込(オールドパー12年)
40% 750ml
日本でもおなじみのデラックス・ブレンデッドスコッチウイスキー「オールドパー」。このブランドと日本の因縁は古く、初めて日本に紹介されたのは1873年(明治6年)のことでした。当時、遺欧米視察団がイギリスから持ち帰ったのが新しく発売されたばかりの「オールドパー」で、日本の上流階級や政治家たち、特に吉田茂や田中角栄元首相などにも愛されていました。
「オールドパー」は、エアシャー出身のジェームズとサミュエルのグリーンリース兄弟が設立したブランド。グリーンリース社は後にアレクサンダー&マクドナルド社に吸収合併され、1925年にはDCL社(Distillers Company Limited)の傘下に入りました。現在はディアジオ社の系列で、マクドナルド・グリーンリース社が製造しています。キーモルトはスペイサイドのクラガンモア蒸留所。
「オールドパー」といえば、角型ボトルやラベルに描かれた「トーマス・パー」の肖像画が嫌でも目につくほど象徴的ですが、実はこのオールドパーという人物は実在していました。歴史上有名な長寿の人物として152歳まで生きたとされています。
彼の健康と長寿の秘訣については多くの人々に興味を持たれ、当時の国王チャールズ1世も彼に会いたいと願います。1635年、国王はパーの健康の秘訣を尋ねました。するとパーは「特別なことは何もしていない」と答えたそうです。長寿の人ほど、そんなことを言いますよね…
その後、トーマス・パーは国王謁見の栄誉を受け、ロンドンの人々に愛される存在となります。彼は記念メダルやパンフレット、そして「トーマス・パー・ウォーター」と呼ばれる長寿の秘薬?まで販売されたほど、人気となります。
亡くなったのは1635年11月14日。チャールズ1世はトーマスの突然の死を悼み、彼の遺体は公葬され、英国で最も優れた寺院として知られるウエストミンスター寺院に埋葬されます。この寺院内には、シェイクスピアなどの英文学史上の大物が眠る「詩人のコーナー」と呼ばれるエリアがあり、トーマス・パーは、この壮大な場所で英国の歴史的な人々と共に眠っています。
Old St.Andrews オールド・セント・アンドリュース
Old St.Andrews オールド・セント・アンドリュース
製造企業:オールド・セント・アンドリュース社
Amazon価格:¥4,000 税込
40% 700ml
「オールド・セント・アンドリュース」は、スコットランドのセント・アンドリュースにある世界で最も歴史的なゴルフコースの1つです。セント・アンドリュースはゴルフの起源のひとつとされ、ゴルフの聖地とも呼ばれています。
このゴルフコースは多くの有名なゴルフトーナメントや歴史的なゴルフの瞬間に関連しており、世界4大ゴルフ大会の中で最も古く、格式ある「ジ・オープン(全英オープン)」が開催されるなど、世界中のゴルファーたちにとって特別な場所として知られています。
そのゴルフ場をモチーフにしてつくられたブランドが、ブレンデッドスコッチウイスキー「オールド・セント・アンドリュース」。
日本向けにつくられたブランドで、主にゴルフ愛好家をターゲットにしてリリースされました。
当初、製造元企業の26%の株式はトマーティン社が所有していましたが、1985年にハスウェル家が買収。その後、トマーティン社が所有していたトマーティン蒸留所は、日本の宝酒造が所有しています。
ゴルフを結びつけたマーケティング戦略を展開してきただけあって、商品名も個性的。現在は販売されていませんが、かつてのラインナップには「バーディー」「イーグル」「アルバトロス」といったゴルフ用語を使用し、その順に熟成年数と価格を高く設定していました。
現在はボトルがゴルフボール型の「オールド・セント・アンドリュース クラブハウス」がスタンダードとされていますが、流通量は少ない状態です。
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