スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!おすすめボトルも登場

  1. スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!グレンスペイ Glen Spey
  2. スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!グレンダラン Glendullan
  3. スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説! グレンタレット Glenturret
  4. スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!グレントファース Glentauchers
  5. スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!グレンドロナック Glendronach
  6. スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!グレンバーギ Glenburgie
  7. スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!グレンファークラス Glenfarclas
  8. スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!グレンフィディック Glenfiddich
  9. スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!グレンマレイ Glen Moray
  10. スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!グレンモーレンジィ Glenmorangie
  11. スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!グレンロセス Glenrothes
  12. スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!グレンロッシー Glenlossie
  13. スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!ザ・グレンリベット The Glenlivet
  14. スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!スキャパ Scapa
  15. スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!ストラスアイラ Strathisla
  16. スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!ストラスアーン Strathearn
  17. スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!ストラスミル Strathmill
  18. スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!スプリングバンク Springbank
  19. スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!スペイサイド Speyside
  20. スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!スペイバーン Speyburn

スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!グレンスペイ Glen Spey

グレンスペイ Glen Spey
地域:スペイサイド
創業年:1878
MHD

J&Bの原酒 花動12年以外のオフィシャルはなし

スペイサイド・ローゼス地区にある蒸留所。

原酒はブレンデッドウイスキー「J&B」に使用されています。J&Bはスコッチの中でも売上本数ベスト10に入る人気ウイスキー。その味わいを陰で支えていたのはグレンスペイに他ならないでしょう。

年間生産量は140万ℓ。ポットスチルは70年代に増築され初留、再留2基ずつ。シングルモルトとしては花と動物シリーズの12年物がリリースされているのが唯一。近年ボトラーズではいろいろなタイプを見かけますが、基本的にシングルモルトとしては少しマイナーでしょうか。

ちなみにグレンスペイはイングランドの「ジン」のメーカー、ギルビー社が過去に所有していたこともありました。イングランドの企業として初めてスコッチの蒸留所を経営したことになるそうです。

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グレンスペイ
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スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!グレンダラン Glendullan

グレンダラン Glendullan
地域:スペイサイド
創業年:1897年
MHD

オールドパーやジョニーの原酒をつくる蒸留所

スペイサイドはウイスキー産業が盛んであることは言うまでもありませんが、その中心地となっているのが「ダフタウン」です。グレンダラン(グレンデュラン)はダフタウンに1897年に誕生。

創業者はグレンフィディックでおなじみのウィリアムグラント&サンズ社で、その後ウイスキー不況を背景に他社へ売却。現在はディアジオ社の所有となっています。

年間生産量は500万ℓと大規模。初留、再留3基ずつ。

原酒はブレンデッドの「オールドパー」や「ジョニーウォーカー」へ供給。どちらも世界的にメジャーなブランドですから、グレンダランの存在は大きいものです。オフィシャルボトルは80年代まではグレンダラン12年が流通。

現在は「ザ シングルトン オブ グレンダラン 12年」としてリリース。ボトラーズではあまり見かけることがありませんね。

 

 

スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説! グレンタレット Glenturret

グレンタレット Glenturret
地域:ハイランド
創業年:1775
ラリックグループ社

タウザー像が見守る 現存する最古の蒸留所

グレンタレットは親会社が何度も変わっていますが、現存するなかで最も古い蒸留所です。

そしてもう一つ有名なのが、世界一ネズミをとったことでギネスブックに認定されている「タウザー」という猫。23歳11か月まで生きたタウザーは、生涯で28899匹ものネズミを捕まえました。蒸留所の人たちが毎日確認し、記録をとっていたそうです。

年間生産量は34万ℓと、有名な蒸留所の割には意外と小規模。

フェイマスグラウスの原酒用として役割を果たしており、シングルモルトとしてのリリースは限定的。2019年にはクリスタルブランドでおなじみの「ラリックグループ」が買収。オーナーが変わったことで、今後シングルモルトのラインナップにも変化が起こるかもしれません。

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スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!グレントファース Glentauchers

グレントファース Glentauchers
地域:スペイサイド
創業年:1898
ペルノリカール社

バランタインのキーモルトの一つ

創業は1898年で、現在の蒸留所は1965年に新しく建てられたもの。85年にはウイスキー不況により一度閉鎖していますが、89年には再開。現在はペルノリカールがオーナーとなり、同社の人気ブランド「シーバスリーガル」や、「バランタイン」の原酒としても有名です。

年間生産量は420万ℓ。初留、再留3基ずつ。

シングルモルトとしては一部ボトラーズのみがリリースしていましたが、バランタイン社のキーモルト(グレントファースのほかグレンバ―ギ、ミルトンダフ)をシングルモルトとしてボトリングしたシリーズが発売される形で、オフィシャルボトルが誕生しています。

 

 

スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!グレンドロナック Glendronach

グレンドロナック Glendronach
地域:ハイランド
創業年:1826年
ブラウンフォーマン社

シェリー樽にこだわりのある甘いモルト

ゲール語で「黒イチゴの谷」。なんともかわいらしい名前の蒸留所。ウイスキーもイチゴのように?甘い味わいが特徴的です。

麦芽はノンピーテッドを基本とし、ブレンデッド用にピーテッドモルトでも仕込みが行われています。また、最近ではシングルモルトでもピーテッドが発売されたりと、革新的にウイスキー造りを進めている蒸留所でもありますが、伝統的なドロナックのハウススタイルはやはりシェリー樽熟成。フルーティーで濃厚な甘みが特徴的で、スコッチの中で最も甘いと言う意見も耳にします。

シェリー樽は不足している現在でもシングルモルト用の原酒はほとんどがシェリーで熟成させたものを使用しています。

生産能力は年間140万ℓ。初留、再留2基ずつ。ブラウンフォーマンの傘下にはいってからはビジターセンターが導入されたりと、観光客の誘致に積極的になっています。

2021年頃からオフィシャルラインアップが人気となり品薄状態が続いているので、今後は生産設備にも投資してもらえることを願っています…

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スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!グレンバーギ Glenburgie

グレンバーギ Glenburgie
地域:スペイサイド
創業年:1810
ペルノリカール社

バランタイン「魔法の7柱」の一つ

グレンバーギ(グレンバーギ―)は、バラン17年の重要な原酒として役割をはたしてきた蒸留所。2005には新しく建て替えられて、あらたに2基のポットスチルが増説され、現在は初留、再留3基ずつとなり、年間430万ℓが生産されています。

また、グレンバーギでは過去にローモンドスチルでの生産もおこなっており、こちらは1981年に設備が取り外され、現在では生産されていません。幻のモルトの名は「グレンクレイグ」。グレンバーギとは全く異なった性質のウイスキーでした。

スペイサイドのなかでは中規模の蒸留所ですが、ほとんどがバランの原酒となっているため、これまでシングルモルトは出回っていませんでした。

しかし2021年にバランタイン シングルモルトシリーズがリリースされ、15年物と18年物が登場。不定期リリースとなっていますが、それなりに生産量があるようです。15年は爽やかでライトボディ。バランスのとれたタイプ。18年は15年よりもフルーツや蜂蜜のような香りが強く、甘くてまろやか。

 

 

スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!グレンファークラス Glenfarclas

グレンファークラス Glenfarclas
地域:スペイサイド
創業年:1836
J&Gグラント社

150年以上家族経営を続けるシェリー樽の銘酒

創業は1836年ですが、J&Gグラント社の創業者が経営を始めたのは1865年。もうすぐ創立160年を向かえる家族経営の蒸留所は、スコットランドでも数少ない存在です。

ウイスキーの熟成にはオロロソシェリー樽をメインに使用。樽は4回(フォースフィル)まで利用。かつてはシェリー樽100%でしたが現在ではバーボン樽での熟成も行っており、オフィシャルボトルの10年物などにブレンドされています。

年間生産量は350万ℓ。ポットスチルは初留、再留3基ずつの計6基で、すべてガス直火焚き。スチーム加熱が一般的となったなかで、伝統を守っています。

 

これまで発売されたラインナップは非常に多彩。10年、12年、15年、17年、18年、21年、25年、30年、40年、50年。

年数表記のあるものだけでこの数。その他に元イギリス首相のサッチャー氏が愛した「105」や、限定版のファミリーシリーズを合わせると数えきれないほどボトルが存在しています。

近年急速に人気となり、終売や休売になったボトルもありますが、それでもコスパの良いシェリー系シングルモルトの造りてとして、世界中に多くのファンを獲得しています。

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スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!グレンフィディック Glenfiddich

グレンフィディック Glenfiddich
地域:スペイサイド
創業年:1887
ウィリアムグラント&サンズ社

常識を破った!売上世界一のシングルモルト

1960年代、シングルモルトは一般的ではなくブレンデッドウイスキーが全盛期だった時代。グレンフィディックはどこよりも早くシングルモルトを主力商品として販売していました。

当時は原酒供給が常識だったため、シングルモルトとして販売することはかなり攻めた戦略。ウイスキーの業界関係者からは笑いものにされ ていました。しかしそんな時代も終わりを向かえます。

グレンフィディックの巧みな広告戦術によってシングルモルトは徐々に浸透していき、そのフレッシュで飲みやすい個性は多くのウイスキーファンに支持されます。そして今やイギリス国内にとどまらず、世界中で愛されるNO.1シングルモルトの称号を手にしました。

年間生産能力は1370万ℓ。ポットスチルは初留10基、再留21基と最大級の規模。増設する計画もあるため、今後さらに生産量は増える予定です。

グレンフィディックをはじめウィリアムグラント&サンズ社の蒸留所は同じ敷地内に三か所あります。(フィディック、キニンヴィ、バルヴェニー)現在のトータルの生産量は3600万ℓを超えており、これはスコッチモルトウイスキー全体の1割にあたる量。

シングルモルトの成功によって、グラント社はスコッチを代表する造り手となりました。

 

 

 

スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!グレンマレイ Glen Moray

グレンマレイ Glen Moray
地域:スペイサイド
創業年:1897
ラ・マルティニケーズ社

大麦の名産地で誕生 フランス市場で人気のモルト

大麦の一大産地として有名なスペイサイドのマレイ州にある蒸留所。スコットランドのなかでも比較的温暖な気候でウイスキーがつくられています。

2008年にフランスのラ・マルティニケーズ社に買収。グレンマレイは「ラベル5」というブレンデッドの原酒に使用されており、この銘柄はフランス国内で非常に人気がある商品。原酒確保のためフランス企業に買収されたようです。

年間生産量は570万リットル。初留3基、再留6基の計9基のポットスチルで蒸留しています。

シングルモルトとしての販売量は多くはありませんが、ラインナップは充実。販売に力を入れています。スタンダードは12年。上位版の15年、18年の他、ピーテッドタイプもあります。フランス企業ならではなのは、シャルドネカスクやカベルネカスクなどのワイン樽を熟成に使用したボトルもあるところ。

今やワインカスクはモルトウイスキーに複雑さを生み出すために必要な存在となり、グレンマレイに限らず多くの蒸留所で使用されています。

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スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!グレンモーレンジィ Glenmorangie

グレンモーレンジィ Glenmorangie
地域:ハイランド
創業年:1843
MHD

「樽のパイオニア」キリンよりも高いポットスチル

1843年の創業当時は古い民家を改築してつくられた小さな蒸留所でしたが、現在ではシングルモルトスコッチウイスキーとしてベスト5に名を連ねるメジャー銘柄として、世界中で多くのファンから支持されています。

グレンモーレンジィは元々、ブレンデッドウイスキー「ハイランドクイーン」の原酒供給が主な役割でした。90年代頃からシングルモルトにも力を注ぐようになり「ウッドフィニッシュ」などの個性豊かなシリーズを販売するようになります。

基本的にはファーストフィルとセカンドフィルのバーボン樽しか使用していないモーレンジィですが、「樽のパイオニア」として様々な樽での商品開発に尽力しています。

グレンモーレンジィに関して特筆しておきたいのは、スコッチで初めてバーボン樽を使用したことでしょうか。バーボン樽が使用され始めたのは1940年代のこのから。世界大戦の影響でシェリー樽の供給が難しくなったことから使用されるようになりました。その後はバーボン樽だけに限らず、様々な樽で個性的なシングルモルトをリリースするようになります。

年間生産量は650万ℓ。初留、再留6基ずつ。

仕込み水はスコッチでは珍しい硬水。ターロギーとケルピーの泉からの湧き水が使用されています。

2021年には第二蒸留棟が完成。実験的な仕込みも行える施設としても稼働しており、モーレンジィの進化はとどまることを知りません。

 

 

 

スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!グレンロセス Glenrothes

グレンロセス Glenrothes
地域:スペイサイド
創業年:1878
エドリントングループ

カティーサークに原酒提供 丸いボトルがチャーミング

グレンロセスの年間生産量は560万ℓ。原酒の90%以上がブレンデッドウイスキー「カティサーク」の用となっています。ポットスチルは80年代に増設しており、現在は合計10基。原酒用としてだけでなく、近年はシングルモルトのリリースも積極的。

2017年まではBBR社がシングルモルトのブランド権を所有していましたが、エドリントングループがそれを買い戻し、オフィシャルボトルとして再スタートをきっています。

BBRの頃はラベルにヴィンテージ表記のある「原酒サンプルっぽいデザイン」が特徴的でしたが、現在はエイジング表記のみの一般的なラベルとなりました。ボトルの形状は相変わらずの丸瓶で、「これでないとグレンロセスじゃない」と思っているのは私だけでしょうか(笑)

ラインナップは10年、12年、18年のほか、免税店限定のボトル、バーボンカスクリザーブ、ピーテッドカスクリザーブなど豊富に展開。オフィシャルだけでなく多くのボトラーズからも個性的なタイプが数多くリリースされています。

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スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!グレンロッシー Glenlossie

グレンロッシー Glenlossie
地域:スペイサイド
創業年:1876
MHD

ヘイグ社の重要なキーモルト 隠れた銘酒

ヘイグのキーモルトとして有名なグレンロッシー。親会社はディアジオですが現在でもウイスキーの生産はジョン・ヘイグ社によって行われています。

原酒のほとんどがヘイグとディンプルに使用されていることから、シングルモルトとしてはほとんど流通していませんでしたが、90年代からはUD社の「花と動物」シリーズでオフィシャルボトルデビュー。ラベルには蒸留所の近隣に生息する野鳥が描かれています。

オフィシャルの他一部のボトラーズでも見かけますが、商品の数はそう多くありません。モルトファンからの評価の決して悪くはないのに、あまり表には出てこないのがグレンロッシー。

年間生産能力は370万ℓ。初留、再留3基ずつ。

ポットスチルの形状はストレートヘッドで、再留釜のラインアームには精留器が備えられています。そのため、原酒は軽めでクリーンな個性。ヘイグに使用されやすいように造られていることがわかります。

1971年には蒸留所の敷地内に第二蒸留所であるマノックモア蒸留所が建設されます。マノックモアも姉妹蒸留所としてヘイグを支える存在です。

 

 

スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!ザ・グレンリベット The Glenlivet

ザ・グレンリベット The Glenlivet
地域:スペイサイド
創業年:1824
ペルノリカール

政府公認第一号蒸留所 世界最大の生産能力

1824年に政府公認第一号の蒸留所としてスタート。創業者のジョージ・スミスは密造メーカーが乱立しているリベット谷で、あえて政府公認を受けることを決断します。

密造者仲間からは裏切者と言われ、命を狙われることになります。スミスは常に2丁の拳銃を持ち歩き、自分の身を守っていました。その拳銃は現在グレンリベット蒸留所に展示されており、公認一号が苦難の道であったことを示しています。

グレンリベットの生産規模は世界最大。ポットスチルは初留、再留14基ずつ。数で言えばグレンフィディックやマッカランよりも少ないのですが、年間生産量はこの2つを抜いて2100万ℓで、スコッチ最大であり世界最大のモルトウイスキー蒸留所となっています。

売上本数は120万ケース。グレンフィディックと1、2位を常に争っています。

2019年には「ザ・グレンリベット12年」「ザ・グレンリベット ファウンダーズリザーブ」「ザ・グレンリベット15年 フレンチオーク・リザーブ」「ザ・グレンリベット18年」がリニューアル。現代的なデザインに変更され、中身のウイスキーはライトでクリーンな味わいに変化しています。

販売量をより増やすための「ライト嗜好」が施されたことで、一部のモルトファンからは旧ボトルを惜しむ声もあがりました。ウイスキーのマーケティングは一部のファンに向けてではなく、大多数に合わせて考えられているものですから、仕方がないといえばそれまで…なのか。

 

 

 

スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!スキャパ Scapa

スキャパ Scapa
地域:アイランズ(オークニー諸島メインランド島)
創業年:1885
ペルノ・リカール社

唯一無二のローモンドスチル 16年物がなつかしい

オークニー諸島メインランド島にある蒸留所といえば、ハイランドパークとスキャパ。蒸留所はスキャパ湾を望む高台にあり、海に面した位置に建てられています。ウイスキーはハイランドパークとは対局な個性と言ってよいでしょうか。

ハイランドパークではヘザーピートの効いた自家製麦芽を使用し、オークニーらしい個性的な原酒造りをしていますが、スキャパはノンピーテッドモルトを使用したライト仕上がりです。仕込み水が「中硬水」であることや、独特な島の気候で熟成していることからももう少し個性的になっても良いのでは?と思う所はいくつもあるのですが、最終的にボトリングされたウイスキーは程よく落ち着きのある風味となっています。

スキャパの特異な部分としては、スコッチではあまり使用されていない「ローモンドスチル」で蒸留しているところがあります。しかもこのローモンドスチル、通常は中に仕切りがあり、その仕切りを稼働させることでウイスキー風味を変えることができるのですが、

スキャパのローモンドスチルは1970年代に何故か取り外されており、外側だけがローモンドスチルの形を成しているだけ。こんな蒸留器でウイスキーを造っているのは紛れもなくスキャパのみです。

生産能力は年間130万ℓと小規模。ポットスチルは初留、再留1基ずつ。ブレンデッドウイスキー「バランタイン」の原酒となっています。

シングルモルトは多くのモルトファンから愛されていた16年物が、2015年に突然終売。あっという間に在庫もなくなり、現在はかなり値段が上がってしまいました。

代わりに発売されたのがノンエイジの「スキャパスキレン」。ソフトな味わいはこれまで通りでしたが、ノンエイジ化されたことでライトボディに変化。あぁ…16年物がなつかしい…

 

 

 

スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!ストラスアイラ Strathisla

ストラスアイラ Strathisla
地域:スペイサイド
創業年:1786
ペルノ・リカール社

スペイサイド・キース地区最古の歴史をもつ美しい蒸留所

ストラスアイラは石造りの建物、水車、麦芽の乾燥塔(キルン塔)にあるパゴタ屋根など、古くからの施設が残っている蒸留所です。その風情溢れる景観の美しさから多くの観光客が訪れるといいます。

操業は1786年。スペイサイドで最も古い蒸留所。ブレンデッドウイスキー「シーバスリーガル」の重要な原酒として役割を果たしており、生産されるウイスキーの99%がシーバスに使用されています。

2019年にはオフィシャルボトルがまさかの終売。残る1%にも満たないと言われる原酒はボトラーズに回ったのか、あるいはブレンデッド用に100%供給されるようになったのか。いずれにしても定評のあったストラスアイラ12年の終売にモルトファンはため息をついたことでしょう。

 

生産能力は年間245万リットル。シーバスが世界的なブレンデッドウイスキーであることを考えると、ストラスアイラの生産量は決して多くはありません。

ポットスチルは初留、再留2基ずつ。90年代までは伝統的な石炭直火焚き蒸留を続けていましたが、現在はスチーム間接加熱に変わっています。

樽詰めされた原酒が蒸留所で熟成されることはなく、キースの街の郊外にあるシーバスブラザーズ社の集中熟成庫に運ばれています。

 

 

スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!ストラスアーン Strathearn

   

ストラスアーン Strathearn
地域:ハイランド
創業年:2013年
ダクラスレイン社

わずか3万ℓ クラフト蒸留所のパイオニア

かつてはスコッチウイスキーのルールとして、2000ℓ以下の蒸留器でつくることが許されていませんでしたが、それを覆したのがストラスアーンの創業者であるトニー氏。

イギリス関税局と粘り強く交渉を重ねていき、2013年には条件付きで2000ℓ以下でも良いというルールに変えることができました。これはスコッチウイスキーにとって大きな出来事。ポットスチルのサイズ制限が緩和されたことで多くの生産者が誕生し、蒸留所の数は一気に増加。ストラスアーン蒸留所はスコッチ業界を活性化した、クラフト蒸留所のパイオニアであり、小規模生産者にとっては救世主とも呼べる存在でしょうか。

年間生産量は3万ℓとかなり小規模。ポットスチルが「密造酒サイズ」と言ってもいい小型のもので、初留が1000ℓ、再留はその半分の500ℓ。どちらもポルトガルのスチルメーカー「ホヤ社」製。ラインアームが取り外し可能なタイプで、ジンの蒸留にも利用しているとのこと。

2019年にはボトラーズ会社「ダグラスレイン」が蒸留所を買収。ストラスアーンのような小さな生産者を、大手のボトラーズが買収するとは…

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スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!ストラスミル Strathmill

ストラスミル Strathmill
地域:スペイサイド
創業年:1891
MHD

ストラスアイラを意識⁉J&Bのキーモルト

ストラスアイラの姉妹蒸留所ではないのかと勘違いされるネーミングですが、両蒸留所は特に関係性はありませんし、元々ストラスミルは「グレンアイラ」という名前の蒸留所でした。

操業間もなくしてオーナーが変わったことで改名しています。同じキースの街にあるストラスアイラのほうが先輩ですから、近所同士でちょっと意識した名前が付けられたようです。

年間生産量は260万ℓ。初留、再留2基ずつ。

ブレンデッドウイスキー「J&B」のキーモルトで、J&Bは2019の統計では世界ウイスキー売り上げランキング 26位に位置しています。(シーバスは19位)オフィシャルボトルは花と動物シリーズの12年物が2001年から登場。シングルモルトとしてはその他ボトラーズで見かけることもあります。

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スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!スプリングバンク Springbank

スプリングバンク Springbank
地域:キャンベルタウン
創業年:1828
J.&A.ミッチェル

世界的な人気で供給不足が続くキャンベルタウン伝統のウイスキー

キャンベルタウンに残る銘蒸留所。スプリングバンクは自家製麦100%でウイスキーを生産する唯一の造り手で、「スプリングバンク」「ロングロウ」「ヘーゼルバーン」の3種類のシングルモルトをリリースしています。

スプリングバンクはフェノール値12~15ppmで、「2.5回蒸留」という独特な生産システムを取り入れています。これは1回目の蒸留でウォッシュ・スチルから得られた蒸留液(ローワイン)の一部のみを3回蒸留するというもの。生産量の8割がスプリングバンクとして仕込まれています。

ロングロウは通常通りの2回蒸留でフェノール値50~55ppmのヘビリーピーテッドタイプ。ヘーゼルバーンはノンピーテッドモルトで3回蒸留でつくられています。

年間生産量は75万ℓ。3種類のウイスキー造り分けている割には小規模。ポットスチルは初留1基、再留2基の計3基。

自家製麦にこだわっているため生産量は急に増やせないようで、現在は世界的に人気が高まった影響で極度の供給不足に陥っており、まるで終売なったかのように値段が高騰。

オフィシャルボトル10年は通常7000円程で買えるウイスキーでしたが、2022年現在では2万円を超える値で取引されています。

ボトラーズのリリースも最近はほとんどなくなり、販売されれば高額であっても即売切れとなる人気ぶり。今後生産量が増える予定も特に発表されていないため、この品薄状態が解消されるのはかなり時間がかかりそうです…

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スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!スペイサイド Speyside

スペイサイド Speyside
地域:ハイランド
創業年:1956(1990)
ハーベイズ・オブ・エジンバラ社

スペイサイドだけどハイランド⁉ややこしい名前の蒸留所

スペイサイド蒸留所はスペイ川の最上流部の街に位置しており、現在の区分だと「ハイランド地区」に分類されています。

現在のスペイサイド蒸留所は「旧スペイサイド蒸留所」が閉鎖してから建てられた全く別の蒸留所。1956年に建設計画がスタートしたものの、建物が完成し蒸留が開始されたのは1990年。不況時代には一人の職人によって建物の建設が進められたという驚きの歴史があります。

生産能力は小規模で年間60万ℓ。初留、再留1基ずつ。

原酒はいくつかのマイナーなブレンデッドウイスキーに構成されているのと、シングルモルトとしても販売。かつては「ザ・スペイサイド10年」というボトルが流通していましたが、ややこしかったせいか…現在は「スペイ」という銘柄になり数種類がリリースされています。

シングルモルトとしては今後も積極的に販売していく予定で、第二蒸留所(蒸留塔?)の建設も計画されています。

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スペイ

 

 

スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!スペイバーン Speyburn

スペイバーン Speyburn
地域:スペイサイド
創業年:1897
タイ・ビバレッジ社

アメリカで人気のあるシングルモルト

スペイサイド・ローゼス地区にある蒸留所。1960年代までは精麦施設としても稼働していました。今でも歴史的な価値があるということで、ドラム式モルティングの製麦施設は保存状態となってはいますが、製麦は行っていません。

蒸留所の操業は1897年。1916年にはDCL傘下になり、91年UD社時代に、現タイビバレッジ社の子会社であるインバーハウス社の所有となりました。UDの頃は「花と動物シリーズ」のスペイバーンがありましたが、現在は一新。

意外と知られていませんがオフィシャルボトルのラインナップは充実しており、特にアメリカ市場では人気が高いシングルモルトとなっています。

年間生産量は450万ℓ。中規模ですがポットスチルは初留1基、再留2基の計3基。意外と数は少ないものですね。

ブレンド用原酒としては「インバーハウス」と「キングジョージ4世」に使用されています。基本の10年物を始め、15年、16年、18年物があり、その他ノンエイジのボトルもいくつか展開されています。

 

 

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