【初心者向け講座】ウイスキーの熟成樽「シェリーカスク」とは?おすすめ銘柄も紹介 

【初心者向け講座】ウイスキーの熟成樽「シェリーカスク」とは?|オークの種類

シェリーカスクに使用しているオークの種類について 

シェリー酒が造られているスペイン南部地域では、樽材となるオークが自生していません。そのため他の地域から樽材(原木)を運んできて、樽を作っています 

主に使用されるのは、「アメリカンホワイトオーク」と「スパニッシュオーク(コモンオーク)」。 

  • アメリカンオーク:北米産のホワイトオーク。アメリカンウイスキーの樽にも使用。バニラ香が強くでる傾向がある。樽材としてはやや安価。シェリー樽のほとんどがアメリカン・ホワイトオークで作られています。 
  • スパニッシュオーク:スペイン、フランス、中央ヨーロッパなどが原産。スペイシーで複雑なアロマを生み出す。アメリカンオークと比べると高級で希少価値が高い。 

 

ウイスキーの熟成樽やオークの種類についての記事はこちら↓

 

【初心者向け講座】ウイスキーの熟成樽「シェリーカスク」とは?|シェリー酒の製造工程 

シェリー酒の造り方について簡単に解説致します。

シェリーカスクの製造 

ウイスキー用のシェリーカスクのサイズは、500リットル程度の「シェリーバット」と、バットを組み替えて小さくした250リットル程度の「シェリーホグスヘッド」の2種類が一般的。

樽材となる原木はアメリカン・ホワイトオークがほとんどですが、スパニッシュオークで作られている樽もあります。伐採した原木はスペイン・へレス地方へ運ばれ、アンダルシアの強い日差しのなか、1年間の自然乾燥を経てから樽材に加工します。 

樽の内側は、火鉢の炭火でゆっくりと「トースト処理」されていきます。ここがバーボンウイスキーの樽とはかなり違うところ。バーボンの場合はガスバーナーで樽に直接火をあてる方法(ヘビリーチャー)で一気に樽の内側を炭化させていますが、シェリー樽は「ワイン樽と同じようにトーストを行っています。 

 

シェリーの醸造  

フィノシェリーの場合

シェリーの製造方法は、収穫、圧搾、発酵までは、スティルワイン(通常の辛口ワイン)と同じです。樽での熟成工程からが大きく変わります。

一般的なシェリーである「フィノ」の場合、アルコール度数が11度から12度くらいのワインに、ブドウからつくったスピリッツを添加。フィノシェリーは15度程度にアルコール調整することで、“フロール”と呼ばれる産膜酵母がワインの表面に現れます。

フロールにより空気が遮断され、ワインの酸化をある程度防ぎながら熟成することができるのです。

 

オロロソシェリーの場合

ウイスキーの熟成樽として一般的なオロロソシェリーの場合は、フィノとは異なる方法で造られています。

アルコール度数が17度くらいになるまでスピリッツを添加。15度を超えると産膜酵母は形成されることがないため、ワインを空気に触れさせることで酸化熟成することができます。

ユースケ
ユースケ

オロロソシェリーはアルコール度数20%を超える商品もありますが、そのようになるのは長期熟成によって水分が蒸発しているから。

 

シェリーの熟成「ソレラシステム」 

出典:https://www.sherry.wine/jp/wines/production/ageing#

シェリー酒の熟成方法は普通のワインとは違います。シェリーは「ソレラシステム」という伝統的な熟成方法で造られています。

ソレラシステムを簡単に説明すると「継ぎ足し熟成」。

  1. 最も古いシェリーが貯蔵された樽(ソレラ)から、一部をとってボトリングします。(3分の1以上はとらないようにします。)
  2. ソレラのシェリーが減った分を、2番目に古い樽から補充します。
  3. 2番目に古い樽 のシェリーが減った分を、3番目に古い樽から補充していきます。
  4. 以上を繰り返していきます。

このように、順々に補充しながら継ぎ足しを繰り返す熟成方法をソレラシステムといいます。この仕組みは生産年によって変わるワインの品質を、ある程度均一にできるというメリットがあり、シェリー酒では伝統的に続けられている製法となっています。 

シェリー酒と名乗る為には2年以上の熟成が必要です。ウイスキー用のオロロソシェリーカスクも、通常は2~3年くらいの熟成(シーズニング)を経たものを使用しています。 

 

 

【初心者向け講座】ウイスキーの熟成樽「シェリーカスク」とは?|生産量の9割がウイスキー用 

オロロソシェリーはウイスキーの熟成樽のためにつくられている⁉ 

ウイスキーの熟成樽として最も使用されているのは「オロロソ」ですが、実はオロロソシェリー自体の需要は少ないため、あまり造られていません。当然ですが、オロロソシェリーを造らない限り「オロロソシェリーカスク」も造ることはできません。

では、どのようにしてウイスキー用のオロロソシェリーカスクがつくられているのでしょうか。

実はシェリーを造るボデガ(シェリーの醸造所)では、

最初からウイスキーの熟成樽を作る目的で、オロロソシェリーを生産しています。

ボデガはウイスキーを造るメーカーから依頼を受けて、オロロソシェリーを造り、造り終えた樽を提供。

ウイスキーのメーカーが必要なのはあくまでも「樽」なので、ボデガが造ったオロロソシェリーそのものはボデガに渡します。ボデガからすれば、樽を用意してくれて(ウイスキーメーカーが用意する場合が多い)、なおかつ中身のシェリーはすべてもらえる。そして樽を渡した際に報酬も貰えるため、一石二鳥。

ボデガとしてはシェリー酒自体の需要が落ち込み、シェリー業界が不況で苦しんでいる中、ウイスキー樽の需要増大は大変ありがたいことなのです。

ユースケ
ユースケ

少し皮肉なことですが…ウイスキー樽としての需要がなければ、シェリー酒の業界は成り立たないかもしれません。ウイスキーにはシェリー樽が絶対に必要ですから、この関係性は今後も続いていくことでしょう。

 

 

完成したオロロソシェリーの行方

完成したオロロソシェリーはあまり需要がないため、全てを売ることはなかなかできません。では過剰に生産されたシェリーはどうしているのでしょうか?

余ったオロロソシェリーは蒸留所に運ばれて、ブランデー(スピリッツ)の原料となります。蒸留後にスピリッツをボデガに戻し、シェリーの製造時に使用する「添加用のアルコール」として利用します。

無駄にはなっていませんが、せっかく造ったシェリーがスピリッツになってしまうというのは、本来の理想とは少し違うのかもしれませんね。 

しかし近年は、「シェリーカスク用のオロロソシェリー」と「通常出荷用のオロロソシェリー」を完全に分けて造っているボデガも多いことから、副産物としてオロロソシェリーカスクを供給するのではなく、ウイスキー業界の為にオロロソシェリー樽を製造するといった考え方に変化しているようです。

シェリーカスク用のオロロソシェリーについては、熟成樽として理想的になるように、樽に詰めるシェリーの量を調整しています。

シェリーを伝統的に造っているボデガとしては、シェリー造りに対してのこだわりがしっかりとあります。ウイスキー用として造られた、本来の理想的な製造方法ではないシェリー酒を商品として販売することはないのです。 

ユースケ
ユースケ

シェリー酒は世界的に消費量が伸び悩んでいます。一方ウイスキーは絶好調。ウイスキー樽の製造は、シェリー産業にとっては救いの手となっているのです。ウイスキー好きとしては、オロロソシェリーに感謝をする意味でも、少しは飲んであげたいという気持ちもあります。

  

 

【初心者向け講座】ウイスキーの熟成樽「シェリーカスク」とは?おすすめ銘柄紹介

おすすめのシェリーカスクウイスキー①|グレンファークラス15年

グレンファークラス15年

スコットランド・スペイサイドのシングルモルトウイスキー。スパニッシュオークとアメリカンオークのシェリーカスクで15年以上熟成させた原酒を使用しています。数少ないシェリー原酒100%のオフィシャルボトルです。

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おすすめのシェリーカスクウイスキー②|マッカラン12年 シェリーオーク

マッカラン12年 シェリーオーク

シングルモルトのロールスロイスと称される有名ブランド。酒齢12年以上のスパニッシュシェリーカスク原酒100%で構成されています。シェリーカスクは自社調達。スコッチ業界で最も熟成樽にコストをかけている蒸留所です。

 

 

おすすめのシェリーカスクウイスキー③|グレンドロナック12年

グレンドロナック12年

グレンドロナックはスコットランド・ハイランド地方にある蒸留所。12年物はオロロソ・シェリ-カスクと極甘口のペドロヒメネス・シェリーカスクの原酒を使用。リッチな甘さとコクのあるタンニン分があり、スパイシーでまろやかなシングルモルトウイスキー。

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樽の魔術師「ミッシェル・クーブレイ」とは?

 

 



 

 

シェリーカスクの需要が高まる中、シェリー業界は「シェリーカスクの生産」で成り立っているという現状があります。今後も良質なシェリーカスクを作り続けるためには、シェリー業界も一緒に盛り上がらなければいけません。 

ウイスキーもいいけど、シェリー酒をもっと飲んで盛り上げていきましょう。ウイスキーを愛する私たちが、少しでも貢献できれば良いと思っています♪

 

ユースケ
ユースケ

あなたの人生がウイスキーによって幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。

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