【ウイスキー初心者向け講座】アイリッシュとは?おすすめ銘柄も解説

ユースケ
ユースケ

こんばんは ユースケです。

自己紹介:BAR WHITE OAK 店主。ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーエキスパート。JSA認定ソムリエ。2022年1月 東京・銀座にBAR WHITE OAK をオープン。YouTube、TikTokでカクテル動画を公開中!

この記事ではアイリッシュウイスキーについて、初心者向けに分かりやすく解説致します。

アイリッシュウイスキーはスコッチと似ている部分も多いのですが、アイリッシュならではの個性があり、世界中のウイスキーファンから根強く人気があります。

スコッチやジャパニーズが好きな方は、アイリッシュのことも基本はおさえておきましょう。

今回はアイリッシュの重要な部分をぎゅっとまとめましたので、ぜひ最後までご覧ください。

 

【2023年版】アイリッシュウイスキー蒸留所51カ所解説の記事↓

 

 

 

【ウイスキー初心者向け講座】アイリッシュとは?

アイリッシュウイスキーとは

以下の2カ国でつくられているウイスキーのこと。

  • アイルランド共和国
  • イギリスの一部、北アイルランド

もともと2カ国は同じ国でしたが、南部地域だけがイギリスから離脱し一つの国になったのがアイルランド共和国。北部の地域はイギリスの統治下として残り、いまでも北アイルランドはイギリスの一部となっています。

ウイスキーの世界ではどちらの国でつくっていても、同じ「アイリッシュウイスキー」として呼称されています。

 

 

【ウイスキー初心者向け講座】アイリッシュとは?法定義について

アイリッシュの法定義とは?

アイリッシュには「アイリッシュウイスキー」と名乗るための法定義があり、ウイスキーの品質と伝統を守るためには重要なルールとなります。

法定義の内容はウイスキー文化研究所が発行したテキストのものを引用しています。

【法定義】

アイリッシュウイスキーの法定義をまとめると、以下のようになる。

  • 穀物を原料とする
  • 麦芽に含まれるジアスターゼ(酵素)により糖化
  • 酵母の働きにより発酵
  • 蒸留液から香りと味を引き出させるように、アルコール度数94.8%以下で蒸留
  • 木製樽に詰める
  • アイルランド、または北アイルランドの倉庫で3年間以上熟成させる

(移動した場合は両方の土地での累計年数が3年以上)

ウイスキー文化研究所発行『ウイスキーコニサー資格認定試験教本2015下巻』より引用

 

法定義の要約

法定義の重要な部分を整理すると…

  • アイルランド、または北アイルランドでつくる。
  • 木製樽で最低でも3年熟成させる。
  • 穀物を原料でつくり、糖化には大麦麦芽を使う。

というのが基本的なアイリッシュの法定義となっています。

内容はスコッチの法定義とよく似ており、「シングルモルト」と表記する場合は、「一つの蒸留所で造られた3年以上熟成した原酒が使用されていること」がアイリッシュウイスキーでも共通となっています。

 

 

【ウイスキー初心者向け講座】アイリッシュとは?種類について

アイリッシュウイスキーは大きく以下の4種類に分けられます。

 

シングルモルトウイスキー

シングルモルトウイスキー:一つの蒸留所で作られたモルトウイスキー原酒をボトリングしたもの。複数の原酒が混ざる場合は「モルトウイスキー」となる。

主な銘柄:「ングルモルト ブッシュミルズ」「カネマラ」「アイリッシュマン」「バスカー シングルモルト」など

アイリッシュウイスキーはスコッチとくらべ蒸留所の数が少なく、主力となっているのはわずか5か所。しかし近年はマイクロディスティラリー(小規模蒸留所)が相次いで誕生しており、操業準備中のものを含めると50カ所以上の蒸留所があるとされています。

アイリッシュウイスキーではスコッチのようにモルトを乾燥させる際に「ピート(泥炭)」を基本的には使用しません。スコッチよりも酒質が軽く、クセがなく飲みやすいのが特徴となっています。また、蒸留所回数もスコッチでは「2回蒸留」行っているのに対し、アイリッシュは伝統的に「3回蒸留」が採用されています。

ブレンデッドウイスキー

ブレンデッドウイスキー:モルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンドしたもの。銘柄によってはポットスチルウイスキーも混ぜられている。

主な銘柄:「ブッシュミルズ・ブラック」「ジェムソン」「タラモアデュー」「キルベガン」など

アイリッシュウイスキーもスコッチと同様、販売本数の9割はブレンデッドウイスキーです。スコッチの場合は多くの蒸留所から原酒をかき集めてブレンドしますが、アイリッシュの場合は蒸留所の数が少ないこともあって、少なければ2か所の蒸留所から原酒を集めてブレンドされていることもあります。ブレンデッドは、ポットスチルウイスキーかモルトウイスキーのどちらかと、グレーンウイスキーをブレンドしてつくるのが一般的ですが、3種類ともブレンドされている銘柄もあります。

 

グレーンウイスキー

グレーンウイスキー:小麦やトウモロコシを原料につくったウイスキー。ブレンデッドウイスキーの原酒用として主につくられている。

主な銘柄:「グレノア8年」「ティーリング・シングルグレーン」「バスカー シングルグレーン」など。

ブレンデッドウイスキーを生産するために欠かすことのできない重要なウイスキー。かつてはグレーンウイスキー単体で販売されることは稀でしたが、近年はシングルグレーンウイスキーとして定番化されています。

 

シングル(ピュア)ポットスチルウイスキー

シングル(ピュア)ポットスチルウイスキー:伝統的なアイリッシュウイスキー。モルトや未発芽の大麦などの5種類の穀物を混ぜて糖化・発酵させ、ポットスチルで3回蒸留する。

銘柄は「レッドブレスト」「グリーンスポット」「バスカー シングルポットスチル」

「シングルポットスチルウイスキー」は、伝統的なアイリッシュウイスキーです。主な銘柄としては「レッドブレスト」と「グリーンスポット」があり、呼称を認められる特別な製法でつくられています。(厳密にいうと、現在完全に昔ながらの伝統を守ってつくられているシングルポットスチルウイスキーは存在しません)

原料は大麦麦芽(モルト)、大麦(バーレイ)、小麦、オート麦、ライ麦。これを最初から一緒に発酵させて蒸留。熟成させてウイスキーにします。一つのポットスチル(単式蒸留器)でつくるウイスキーなので、「シングルポットスチルウイスキー」または「ピュアポットスチルウイスキー」と呼ばれています。

味わいは、モルトウイスキーに似ていますが、独特のオイリーさ、華やかさ、スパイシーさがあり、シングルモルトとは一味違う奥深い風味を生み出しています。

ユースケ
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シングルポットスチルウイスキーに認められている5種類の原料のうち、実際に使われているのは「モルト」と「バーレイ」だけです。

 

 

【ウイスキー初心者向け講座】アイリッシュとは?歴史について

アイリッシュウイスキーの歴史について簡単に解説。アイリッシュウイスキーはどのように誕生し、世界に広まっていったのでしょうか。

 

西暦1316年 『アイルランド史』という文献に、アクアビッテ(命の水)を飲んだという記述あり。ただし、この記述は公式記録として認められていないため、文献上ではスコッチのほうがウイスキーを先につくっていたとされています。(スコットランドの歴史についてはこちらの記事で解説)しかし実際は、アイルランド島からスコットランドに製法が伝わったという節が有力。今でも、アイルランドとスコットランドの間には「ウイスキー発祥の地」をめぐって議論がなされており、両国とも退かない状況です…

15世紀~16世紀 この頃から、アイルランドでウイスキーつくりが一般的になっていきます。

1661年 アイリッシュウイスキーに初めて課税されたという記録があります。

1759年 アーサーギネスが醸造所を作ります。かの有名な「ギネスビール」が誕生。その後ギネスグループは巨大企業に成長し、スコッチの蒸留所も経営することになります。

1780年 ダブリンにジョン・ジェイムソン蒸留所が誕生(当時の名はボウストリート蒸留所)

1784年 ブッシュミルズ誕生。アイルランドではこの頃から正規蒸留所と密造蒸留所の両方が増えていきます。

1801年 アイルランドがイギリスに併合。

1831年 イーニアス・コーフィーが連続式蒸留器を開発。ブレンデッドウイスキーの時代がやってきます。

1860~1880年代 フィロキセラ(ブドウ根アブラムシ)の影響でヨーロッパのブドウが壊滅状態に。ワイン、ブランデーの代わりにウイスキーが飲まれるようになる。スコッチウイスキーと共に、アイリッシュウイスキーの全盛期が到来!アイリッシュウイスキーが世界中に輸出されるようになります。

1933年 アメリカ禁酒法撤廃。その後好んで飲まれたのはスコッチやカナディアンウイスキーでした。アイリッシュは巨大なアメリカ市場でのシェアを失ったことで、衰退していきます。

1939~1945 第二次世界大戦。アイルランドは中立。ウイスキーは輸出を止めていました。そのことが原因で、大戦後もさらにアイリッシュ需要が減っていき、業界は低迷。多くの蒸留所が閉鎖していきました。最盛期は28か所の蒸留所があり、海外ではスコッチと並ぶ人気となっていましたが、1950年代にはいるとさらに衰退。アイルランドの蒸留所は激減します。

1970年頃~現在 スコッチウイスキーに対抗し、アイリッシュはブレンデッドを主流としてつくり始めます。アイリッシュ・ブレンデッドはスコッチよりもクセがなく飲みやすいことから徐々に人気となります。長いトンネルを抜け、アイリッシュウイスキーは復活を遂げるのです。

そして最近はブレンデッドウイスキーの他、シングルモルトやシングルグレーンも盛んにリリースされるようになりました。これまでは大手メーカーの商品のみが主力でしたが、現在はマイクロディスティラリーが増え、新しいウイスキーが次々と誕生しています。多様性のある、新たなアイリッシュウイスキーの歴史はまだ始まったばかり。再び業界は盛り上がりを見せています。

 

 

【ウイスキー初心者向け講座】アイリッシュとは?おすすめの飲み方

アイリッシュウイスキーのことが大体わかったところですね。

そろそろ肝心の「飲み方」です。

ユースケ
ユースケ

結論 おすすめの飲み方は「ストレート」

だけど、飲みにくい場合は「ハイボール」か「オンザロックス」

スコッチと同様の内容です。モルトウイスキーはやはりストレート。これが一番ウイスキーの味がわかる飲み方。ウイスキーの魅力を最大限に感じてほしいですね。

※ウイスキーの飲み方についてはこちらの記事にまとめています↓

 

ただし、ストレートではアルコール度数が高すぎて刺激が強いという方もいると思います。飲み方に慣れないうちは、逆にウイスキーの味がわからなくなる恐れがあります。

  • ウイスキー初心者は「ハイボール」「水割り」
  • ウイスキーがちょっと苦手な方は、カクテル「アイリッシュ・コーヒー」で楽しむのもありです。アイリッシュ・コーヒーとは、ウインナーコーヒーに、アイリッシュウイスキーは入っているようなカクテルです。
  • 徐々に慣れてきたらちょっと強めの「オンザロックス」
  • 本当にウイスキーが知りたいのであれば、最終的な飲み方は「ストレート」の一択。

こんな感じで、少しずつ段階を踏んで楽しんでみてはいかがでしょうか。

 

 

【ウイスキー初心者向け講座】アイリッシュとは?おすすめ銘柄も解説

ウイスキー初心者、またはアイリッシュ初心者向けにおすすめの銘柄をご紹介。銘柄の選考基準は、「アイリッシュウイスキーを知るには、まずこれを飲みましょう!」です。この3本を飲むことで、アイリッシュウイスキーの基本と多様性を知ることができます。お好みのウイスキーを探る意味でも、参考にしてみてください。

 

おすすめのアイリッシュウイスキー「レッドブレスト12年」

レッドブレスト12年

参考価格:5800円

アイリッシュの伝統的なウイスキー「シングルポットスチルウイスキー」であるレッドブレストは、3回蒸留により飲みやすい酒質ですが、少し複雑でクリーミーな口当たり。個性もしっかりとしつつも、初心者向けのライトテイストです。

 

おすすめのアイリッシュウイスキー「ブッシュミルズ・シングルモルト10年」

ブッシュミルズ・シングルモルト10年

参考価格:4200円

1608年誕生の世界最古のウイスキー蒸留所。ノンピーテッド麦芽を使用した正統派アイリッシュシングルモルトウイスキー。華やかさとモルティーな風味と、すっきりと落ち着いた個性を持っています。ハイボールにもよく合います。

 

おすすめのアイリッシュウイスキー「ジェムソン」

ジェムソン

参考価格:3300円

世界売上げナンバー1のブレンデッド・アイリッシュウイスキー。フルーティーでさわやかな味わいはウイスキー初心者でも飲みやすく、どんな飲み方でもおいしい万能型。カクテルのベースとしても最適です。

 

 

まとめ

ウイスキー初心者向け講座 アイリッシュウイスキーとは?

→アイルランドまたは北アイルランドで作り、木製の樽で最低でも3年間熟成させたウイスキー。

ウイスキー初心者向け講座 アイリッシュウイスキーとは?4種類あります

→「シングルモルト」「ブレンデッド」「グレーン」「シングルポットスチルウイスキー」

ウイスキー初心者向け講座 アイリッシュウイスキーとは?アイリッシュの歴史

→最盛期にはスコッチと並ぶウイスキーに。しかし、戦後に低迷し蒸留所が激減。現在は再び注目されている。

ウイスキー初心者向け講座 アイリッシュウイスキーとは?おすすめの飲み方

→「ストレート」飲みにくい場合は「ハイボール」か「オンザロックス」で慣れていこう。

ウイスキー初心者向け講座 アイリッシュウイスキーとは?おすすめアイリッシュウイスキー

  • 「レッドブレスト12年」
  • 「ブッシュミルズ・シングルモルト10年」
  • 「ジェムソン」

 

 



 

 

一度は衰退していったアイリッシュウイスキーですが、現在では蒸留所が年々増えており、再び盛り返しています。新商品も次々と発表されているので、今後も注目していきたいですね。まだアイリッシュウイスキーを飲んだことのない方は、是非一度飲んでみてください。そしてこれまで愛飲していた方も、新しい銘柄にチャレンジして新たな発見をしてみてくださいね。

ユースケ
ユースケ

あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。

 

 

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