ジャック・ウィバース・ウイスキー・ワールド / Jack Wiebers Whisky World

出典:https://www.whizita.de/en/jwww-en/
- ボトラーズ会社
ジャック・ウィバース・ウイスキー・ワールドは、ドイツ・ベルリンを拠点とする独立系ボトラーで、1996年にラース=ヨーラン・ジャック・ウィバース氏によって設立されました。1998年からは自社ブランドでのボトリングを開始し、これまでに約900本以上のシングルカスクウイスキーがリリースされています。
ジャック・ウィバースの人気ブランド「Classic of Islay」は、アイラ島の蒸留所から選ばれた原酒を使用したシリーズで、カスクストレングスでボトリング。また、長期熟成の希少なシングルカスクを中心としたシリーズ「Old Train Line」や、閉鎖された蒸留所や希少な原酒を特集した「Auld Distillers Collection」も高く評価されています。
ジェームズ イーディー / James Eadie
- ボトラーズ会社
ジェームズ・イーディーは、1854年にスコットランドのグレンイーグルズ近郊で創業された、歴史あるウイスキーブランドとして始まり、現在はボトラー(ジェームズ・イーディー社名)としてウイスキーをリリースしています。
創業者のジェームズ・イーディーは、ビール醸造業者として成功を収め、最盛期には約300軒のパブを所有していました。彼は独自のブレンドレシピで作られたウイスキーを、特別な顧客に提供。後にこのブレンドは「トレードマークX(Trade Mark X)」として知られ、19世紀のスコッチウイスキーの黄金時代を象徴する存在となりました。
20世紀半ばにブランドは一時的に姿を消しましたが、2015年に創業者の玄孫である、ルパート・パトリック氏によって復活しました。彼はウイスキー業界での豊富な経験を活かし、ジェームズ・イーディー社を再興。現在では、シングルカスクやスモールバッチのシングルモルトおよびシングルグレーンウイスキーのボトリングを専門とする独立系ボトラーとして知られています。
ジェームズ・イーディー社の製品には、復刻された「トレードマークX」ブレンデッドウイスキーがあります。このブレンドは、創業者のオリジナルレシピに基づき、現代のマスターブレンダーであるノーマン・マシソン氏の手によって再現。その他、多数のシングルモルトもリリースしています。
さらに、ジェームズ・イーディー社では「プロジェクト1927(Project 1927)」という革新的な取り組みも行っています。このプロジェクトでは、1920年代から1930年代初頭にかけての蒸留技術を再現することを目的とし、「アードナムルッカン」、「ドーノック」、「ホリールード」、「インチデアニー」、「ロッホリー」といった、ファイフ地方の新興蒸留所と協力。各蒸留所では、当時の技術を用いて新たなスピリッツを生産し、ウイスキーの歴史と伝統を現代に伝える試みが行われています。
ジェームズ マッカーサー / James MacArthur
- ボトラーズ会社
ジェームズ・マッカーサーは、1982年にスコットランドで設立された独立系ボトラーです。創業以来、閉鎖された蒸溜所やあまり知られていない蒸溜所の原酒を中心に、シングルカスクやカスクストレングスのウイスキーをリリースしてきました。
また、同社は10年から35年熟成のシングルモルトを、カスクストレングスだけではなく、43度の加水タイプも展開しています。ウイスキーの状態を丁寧に見極め、熟成のピークを逃さず瓶詰めされています。
ジェームズ マッカーサーは、ワイン樽や特殊なフィニッシュを行わないのも特徴の一つ。バーボン樽やシェリー樽といった、クラシカルな熟成にこだわっています。そのため、ウイスキー本来の個性や蒸溜所の特徴が際立っています。
ジェームズ・マッカーサーは、近年ではリリース数が少なくなっており、現在ボトリングされているのか不明。その品質の高さと希少性から高値で取引されています。
キルンズマンズ ドラム / Kilnsman’s Dram
- ボトラーズブランド
- 運営会社:ゴールドフィンチ・ウイスキー・マーチャンツ(スコットランド)
「キルンズマンズ・ドラム(The Kilnsman’s Dram)」は、スコットランドの小規模ボトラー「ゴールドフィンチ・ウイスキー・マーチャンツ(Goldfinch Whisky Merchants)」が手がけるシングルカスク・ウイスキーのブランド名です。
「キルンズマンズ・ドラム」とは、ウイスキー製造工程の中でも重要でありながら見過ごされがちな「キルニング(Kilning)」、すなわち発芽した大麦を乾燥させる工程に携わる職人「キルンズマン(Kilnsman)」の熟練技術への敬意を表しています。
このブランドを手掛けるゴールドフィンチ・ウイスキー・マーチャンツ社の創業者は、アンドリュー・マクドナルド=ベネット氏。「ホワイト&マッカイ」や「エドリントン」での経験を経て、ゴールドフィンチを設立。
社名の「ゴールドフィンチ(金翅鳥)」は、スコットランドとスペインを行き来する小鳥に由来し、スコッチウイスキーとスペインのシェリー酒の関係性を象徴しています。
「キルンズマンズ・ドラム」はすべて単一の樽からボトリングされ、加水や冷却ろ過を行わず、自然な色合いと風味を保持しています。これにより、各ウイスキーの個性と熟成のピークをそのまま表現。また、シェリー樽熟成にこだわっており、ヨーロピアンオークのシェリー樽で熟成された、豊かな風味と複雑さを持つウイスキーを数多くリリースしています。
キングスバリー / Kingsbury
- ボトラーズ会社
キングスバリーは、1989年にスコットランド・アバディーンで創業された独立系ボトラーで、スコットランドのエディンバラに本拠を構えています。キングスバリーは高品質なシングルモルトのボトリングを続けており、日本市場を中心に展開しています。
キングスバリーは、創業当初からスプリングバンク蒸留所のゴードン・ライト氏と協力し、樽の選定やボトリングを行ってきました。初期のボトルには、スプリングバンクの親会社である「J&Aミッチェル社」の子会社「イーグルサム(Eaglesome)」の名前が記載されており、同氏の監修のもとでボトリングが行われていたことを示しています。
キングスバリーの代表的シリーズは、「カスクストレングス・シリーズ(Cask Strength Series)」です。別名は「キングスバリー・ゴールド」。一切の加水を行わず、樽出しそのままのアルコール度数でボトリング。すべてシングルカスク仕様となります。
また、「リミテッド・エディション・シリーズ(Limited Editions Series)」は、シングルカスクである点は同様ですが、飲みやすさを意識して46%に加水しているタイプ。
ウイスキーのボトリングに関しては、テロワールを重視。ウイスキーの産地や蒸留所の個性を尊重し、それぞれの土地の特性を反映する形で製品化しています。また、ノンチルフィルター&ナチュラルカラーにもこだわっており、ウイスキー本来の風味と色合いを保つため、冷却ろ過や着色を行わないボトリングを徹底。原酒の個性や熟成のニュアンスを大切にしています。
ラ メゾン ド ウイスキー / La Maison du Whisky
- ボトラーズ会社
ラ・メゾン・ド・ウイスキー(LMDW)は、フランス・パリに本拠を構える世界有数のウイスキー専門商社であり、1956年創業という長い歴史を誇ります。単なるインポーターにとどまらず、独自のボトリングやイベント主催など、多角的にウイスキー文化を牽引しています。
ラ・メゾン・ド・ウイスキーは、ボトラーとしての事業の他に、世界中のウイスキーの輸入・販売も行っています。スコットランド、日本、アメリカ、アイルランドなど、世界中の蒸溜所から選りすぐりのウイスキーを輸入。ニッカウヰスキーやサントリーなど、日本のウイスキーとの関係も深く、欧州での普及に大きく貢献しています。
また、ラ・メゾン・ド・ウイスキーは「ウイスキーライブ・パリ(Whisky Live Paris)」の主催も行っています。ウイスキーライブは、毎年世界中の蒸溜所やボトラーズ、愛好家が集まる大規模ウイスキーイベントです。その他、「Whisky Magazine & Fine Spirits」のフランス語版を発行し、テイスティングノートや業界情報の発信にも貢献しています。
ラ・メゾン・ド・ウイスキーの展開する主なブランド
- the ten (ザ・テン)
蒸留所名よりも、ウイスキーのスタイルを重視して「ライトハイランド」や「ミディアムアイラピート」といったわかりやすいタイトルを記載した人気のエントリーシリーズ。 - Artist Collective(アーティスト・コレクティブ)
アートとウイスキーを融合させたシリーズ。シングルモルトを中心に、洗練されたデザインと高品質の原酒が魅力。 - Through the Grapevine(スルー・ザ・グレープヴァイン)
コニャックやアルマニャックをウイスキーの視点で選んだユニークなライン。 - Version Française(ヴェルシオン・フランセーズ)
フランス国内のクラフト蒸溜所の製品に特化したシリーズ。
リキッド トレジャーズ / Liquid Treasures
- ボトラーズブランド
- 運営会社:イースピリッツ・トレーディング社(ドイツ)
リキッド・トレジャーズは、ドイツ・リムブルクに拠点を置く独立系ボトラー「イースピリッツ・トレーディング社」のブランド。同社は、スコットランドのシングルモルトウイスキーやラム、アルマニャック、コニャックなど、厳選されたシングルカスクをボトリングしています。
各ボトルには、アーティスティックで印象的なラベルが施されており、ドイツ国内だけでなく、オーストラリアや韓国など、世界各国で展開を広げています。
リトル ブラウン ドッグ スピリッツ / Little Brown Dog Spirits
- ボトラーズ会社 兼 スピリッツ製造業者
リトル・ブラウン・ドッグ・スピリッツは、スコットランド・アバディーンシャーのフェタニアに拠点を置く、独立系ボトラー兼マイクロディスティラリーです。2018年に獣医でウイスキー愛好家のアンドリュー・スミス博士と農場主のクリス・リードによって設立されました。地元の自然環境と深い知識を活かし、ウイスキー、ジン、ラムなどのスピリッツを製造しています。
ウイスキーはシングルカスクでスモールバッチのスコッチをボトリング。クラフトジン
は、地元のボタニカルを使用して製造しています。
ロンバード スコッチウイスキー / Lombard Scotch Whisky
- ボトラーズ会社
ロンバード・スコッチ・ウイスキーは、スコットランド・マン島に拠点のある家族経営の独立系ボトラーです。その歴史は300年以上前に遡ります。当初はブレンダー向けのバルク供給業者としてスタートしましたが、後に自社ブランドのウイスキーのブレンドとボトリングに進出。1960年代にマーガレット・ロンバード=チブナルによって、蒸溜所で原酒を確保・貯蔵し、自社で熟成・ボトリングするスタイルを確立しました。
ロンバード スコッチウイスキーは、ノンチルフィルター(冷却ろ過なし)のシングルモルト専門の独立系ボトラーとして確固たる地位を築いており、熟成年数の長いレアな原酒を幅広く保有しています。これらにはすでに閉鎖された蒸溜所や知名度の低いマイナーなシングルモルトも含まれています。
主力ブランドは「ジュエルズ・オブ・スコットランド(The Jewels of Scotland)」。
ボトリングは46%からカスクストレングスまで、幅広く展開されていますが、基準となるボトリング度数は50%となっています。チルフィルター処理やカラメル添加をせず、ナチュラルな状態でボトリングしています。
マキロップズ チョイス / MacKillop’s Choice
- ボトラーズブランド
- 運営会社:イアン・マキロップ&カンパニー社(親会社:アンガス・ダンディ・ディスティラーズ)
マキロップズ・チョイスは、1996年に「グレンカダム蒸溜所」と「トミントール蒸溜所」を所有する「アンガス・ダンディ・ディスティラーズ(Angus Dundee Distillers)」によって立ち上げられたブランドです。製造元はアンガス・ダンディ社の傘下「イアン・マキロップ&カンパニー社(IAIN MACKILLOP & CO LTD)」。
その名は、スコットランド・マキロップ家の族長の後継者であり、ブランドの精神的支柱でもある「ローン・マキロップ氏(Lorne Mackillop)」に由来しています。
ローン・マキロップ氏は、かつて王家の近衛として仕えたマキロップ家の末裔。その家訓は「Non Dormit Qui Custodit(守る者は眠らず)」。1745年のジャコバイトの反乱とカロデンの戦いの後、家系は壊滅的な打撃を受けましたが、わずかに生き延びた者たちの血筋が、現在まで続いています。
ロンドン大学で動物学を学んだローン・マキロップ氏は、当初は医師を志していましたが、やがてワインの世界に惹かれていきます。そして、1984年には世界最高峰のワイン資格「マスター・オブ・ワイン」に合格。当時28歳での合格は史上最年少となりました。
マスター・オブ・ワイン(Master of Wine, MW)の称号を得るには、ブラインドテイスティング、理論試験、そして実務的な研究論文を含む非常に厳しい審査をクリアする必要があります。1953年の設立以来、取得者は世界でもわずか数百人しかおらず、まさに「ワインの博士号」とも言える権威ある資格です。
ローン・マキロップ氏は、ワインのみならずスコッチウイスキーの取引にも携わるようになります。そして、1996年に、自らの審美眼で選び抜いたウイスキーを世に送り出すべく、「マキロップズ・チョイス」ブランドを始動させます。
ローン・マキロップ氏がこだわるのは、一貫性よりも“個性”。
ウイスキーの世界で主流となっている、ブレンドによる均質化ではなく、それぞれの樽が持つ唯一無二の風味を尊重。選定は厳しく、テイスティングされた原酒の約8割はボトリングが見送られたといいます。
ウイスキーは冷却ろ過やカラメル着色を一切行わず、自然のままの味わいを維持したままボトリング。アルコール度数は加水タイプの「43%」と「46%」、またはカスクストレングスでボトリング。
ローン・マキロップ氏は、シェリー樽やウッドフィニッシュの扱いにも慎重です。「過剰に樽の個性が支配すると、本来のモルトの魅力が損なわれてしまう」と語ります。
そのため、単に希少であるという理由だけで選ばれることはなく、誰もが飲んでみたいと願う、有名蒸溜所の長期熟成シングルモルトであっても、納得のいかない仕上がりであれば製品化を見送ります。
また、彼の哲学は、ワインのヴィンテージのように「年による違いを楽しむ」こと。シングルカスクという限られた本数しか生まれないスタイルだからこそ、一本一本に注がれたローン・マキロップ氏の審美眼は、マキロップズ・チョイスのブランドを、唯一無二の価値へと成長させました。
モルトバーン / Maltbarn
- ボトラーズ会社
モルトバーンは、2011年にドイツ北部の北海沿岸に設立された家族経営のインディペンデント・ボトラーです。 オーナーのマーティン・ディークマン氏が運営しており、彼の所有する農場がブランド名の由来となっています。
モルトバーンは、スコットランドの蒸留所から厳選したシングルモルトやシングルグレーンウイスキーを、独自の視点でボトリングしています。 品質を最優先し、マーケティングや派手なパッケージングには頼らず、ディークマン氏が飲みたいと思えるウイスキーのみを提供することを信条としています。
バーボン樽やシェリー樽で熟成されたものが多く、カスクストレングスでの瓶詰めが基本。冷却ろ過や着色を行わず、ウイスキー本来の風味を大切にしています。
モルトバーンのボトルは、ドイツやヨーロッパ各地で人気があり、日本でもその品質の高さから注目を集めていますが、流通量は多くありません。
ザ シングルモルツ オブ スコットランド / The Malts of Scotland
- ボトラーズブランド
- 運営会社:エリクサー・ディスティラーズ(スコットランド)
ザ・シングルモルツ・オブ・スコットランドは、英国の独立系ボトラーであるエリクサー・ディスティラーズ(スペシャリティードリンクス社)が展開する、ボトラーズブランド。2005年からリリースされています。スコットランド各地の蒸留所から厳選された樽を購入し、品質に優れたものだけを入念に選び、「ザ・シングルモルツ・オブ・スコットランド」シリーズとしてボトリングしています。
このシリーズでは、シングルカスクやスモールバッチのウイスキーを提供しており、各ボトルには蒸留所名や蒸留年、ボトリング年、アルコール度数などの詳細な情報が記載されています。これにより、ウイスキー愛好家は各ボトルの個性や背景を深く理解しながら楽しむことができます。
ムーンインポート / Moon Import

出典:https://item.rakuten.co.jp/
- ボトラーズ会社
ムーンインポートは、1980年にイタリア・ジェノヴァで、「ジュゼッペ・ペピ・モンジャルディーノ氏」によって設立された独立系ウイスキーボトラーです。シングルモルトスコッチウイスキーの魅力をイタリアに広めた先駆け的存在であり、美しいラベルデザインに加え、その品質の高さから、イタリアを代表するトップボトラーにまで成長しました。
モンジャルディーノ氏は、1970年代にスピリット社でハイラム・ウォーカー(Hiram Walker)ブランドのイタリア市場への展開に携わり、アードベッグ、バランタイン、ミルトンダフなどのウイスキーを取り扱っていました。
その後、独立を決意しムーンインポートを設立。同社は、ブルックラディ蒸溜所のイタリア初の正規輸入代理店となり、タムナヴーリンやタリバーディンなどの蒸溜所とも提携します。
創業当初の成功には、同じイタリアの独立系ボトラーである「サマローリ」の影響が大きく影響しています。モンジャルディーノ氏は、1981年にサマローリの創業者「シルヴァーノ・サマローリ(Silvano Samaroli)」氏と出会いました。サマローリ氏は、独立系ボトラーとしての道をモンジャルディーノ氏に示し、彼の助言により、ムーンインポートは大独立した立場でウイスキーのボトリングを行うことを決意します。
また、1999年には、モンジャルディーノ氏とサマローリ氏の長年の友情と協力の証として、「Dreams」シリーズが共同でリリースされました。このシリーズは、両者の情熱と専門知識が融合した特別なボトリングとして、ウイスキー愛好家の間で高く評価されています。ムーンインポートとサマローリは、イタリアにおける独立系ウイスキーボトラーの先駆者として、互いに影響を与え合いながら、トップボトラーとしての地位を築きました。
ムーンインポートのウイスキーは、モンジャルディーノ氏自身の厳格な基準で選ばれた樽からボトリングされています。彼は、自身の味覚に合致し、長期熟成や高品質な樽であることを重視。創業初期のボトルは「カスクストレングス」でしたが、後のシリーズでは46%の加水タイプとしてリリースされています。
2024年に、シャンパーニュメーカーの「フィリポナ(Philipponnat)」が、ムーンインポート社の株式の50%を取得。残り50%は、ムーンインポートの創業者、モンジャルディーノ氏と長年経営に携わっているマルコ・ヴァガッジーニ氏が保有しています。
ヴァガッジーニ氏がムーンインポートの輸入業務を拡大し、40以上のワイナリーと提携するなど、ウイスキー以外の分野でポートフォリオを充実。同氏はムーンインポートの現在と未来を担う中心的な存在として、成長と発展に寄与し続けています。
ムーンインポートは、イタリアのウイスキー文化に多大な影響を与えた独立系ボトラーとして、今後もその独自性と品質を維持しながら、魅力的なウイスキーを提供し続ける、有能なボトラーズ会社です。現在、日本で購入するのは難しい状況ですが、BARで見かけた際には飲んでおきたいですね。
ムーンインポートの主なシリーズ
ムーンインポートのボトルは、18世紀のドイツの百科事典『ブロックハウス百科事典(Brockhaus Enzyklopädie)』からインスピレーションを得たラベルデザインで知られています。鳥や海洋生物、歴史的人物などをモチーフにしたイラストは、単なるパッケージを超えて“コレクションしたくなるラベルアート”としても評価されています。
ハーフムーン(Half Moon)シリーズ:1982年にリリースされた最初のシリーズで、グレンリベットやマッカランなどの、人気蒸溜所のウイスキーが数多くリリースされています。
ザ・バード(The Birds)シリーズ:鳥のイラストが特徴的なラベルデザイン。
ザ・コスチューム(The Costumes)シリーズ:伝統的な衣装を描いたラベルで、ボウモア1974年などが含まれています。
ザ・シー(The Sea)シリーズ:海洋生物のイラストが特徴的なボトル。
ドリームス(Dreams)シリーズ:1999年にサマローリ氏との共同でリリースされた伝説的なシリーズ。
デ・ヴィリス・イラストリブス(De Viris Illustribus)シリーズ:歴史上の偉人をテーマにしたシリーズ。
マーレイ マクダヴィッド / Murray McDavid
- ボトラーズ会社
マーレイ・マクダヴィッドは、1994年に設立されたスコットランドの独立系ウイスキーボトラーで、革新的な熟成技術と多彩なラインナップで知られています。設立者は、ワイン商である、「マーク・レイニア」、「サイモン・コフリン」、スプリングバンク蒸溜所の元ディレクターである「ゴードン・ライト」の3人。社名は、レイニア氏の祖父母である「ハリエット・マレー」と「ジョック・マクダヴィッド」に由来しています。
同社は、熟成中のウイスキーを異なる種類の樽に移し替えて風味を高める「Additional Cask Enhancement(追加の樽熟成)」と呼ばれる技法を開発し、ウイスキー業界に革新をもたらしました。この手法では、いわゆる「後熟・フィニッシュ」であり、バーボン樽で熟成したウイスキーを、シェリー樽やポートワイン樽などの樽に移し替える熟成方法です。
マーレイ・マクダヴィッドは、2000年に、当時閉鎖されていたアイラ島のブルイックラディ蒸溜所を買収し、同蒸溜所の再稼働に貢献しました。しかしその後、2012年にフランスのレミー・コアントロー社に買収され、翌年13年にはスコッチウイスキーのブローカー「Aceo Spirits」社の傘下となり、現在も同社の元で運営されています。
現在のマーレイ・マクダヴィッドは、本拠地をスペイサイド地方のコールバーン蒸溜所としています。スコットランド全土の90以上の蒸溜所から40,000以上の樽を、コールバーン蒸溜所内で熟成させ、多様に育てたウイスキーをボトリングしています。
マーレイ・マクダヴィッドの主なシリーズ
1. Mission Gold(ミッション・ゴールド)
マーレイ・マクダヴィッドの代表的なシリーズ。熟成年数の長いヴィンテージ・モルトやグレーン、希少な閉鎖蒸溜所の原酒などが中心。ウイスキーコレクターや上級者向けのライン。
2. Benchmark(ベンチマーク)
同社のスタンダードシリーズ。熟成に使う樽の個性を最大限に活かすブレンドが特徴。
3. Mystery Malt(ミステリー・モルト)
蒸溜所名を公開せず、「謎」に包まれたシングルモルト(シークレットモルト)のシリーズ。香味で推理する楽しさを提供する。
4. Select Grain(セレクト・グレーン)
単一蒸溜所のシングルグレーンウイスキーを集めたシリーズ。
5. The Vatting(ザ・ヴァッティング)
複数のシングルモルトをブレンドしたブレンデッドモルトシリーズ。地域や樽タイプ別にテーマが設けられ、香味のバランスに優れる。
ナ ブラザレン / Na Bràithrean
- ボトラーズ会社
ナ・ブラザレンは、2019年にスコットランド・グラスゴーで設立された、比較的新しいウイスキーボトラーです。社名はスコットランド・ゲール語で「兄弟たち」を意味し、創業者はアンディとブレンダンの兄弟になります。
ナ・ブラザレンの最大の特徴は、独自の「兄弟カスク」というコンセプト。ひとつの「母カスク」で熟成された原酒を、途中で2つの異なるカスクに分け、それぞれ異なるフィニッシュを施します。
先にボトリングされるのが「Wee Brother(弟)」で、白いラベルが目印。その後、さらに熟成を重ねた「Big Brother(兄)」が黒いラベルで登場します。
この手法により、元は同じだった原酒が、異なる「熟成年数」と「セカンドカスク」の影響によって、どのように変化するかを楽しむことができます。
ノーススター スピリッツ / North Star Spirits
- ボトラーズ会社
ノーススター スピリッツは、2016年にスコットランド・グラスゴーで、元デュワーラトレー社のブランドアンバサダーのイアン・クラウチャー氏(Iain Croucher)よって設立された、家族経営のインディペンデント・ウイスキーボトラーです。創業以来、スコッチウイスキーの多様性と個性を尊重し、独自の視点で厳選した樽をボトリングしています。
ウイスキーは全てはカスクストレングス・ノンチルフィルター。独自の哲学と品質へのこだわりが、多くのファンを魅了している新鋭ボトラー。
オックスヘッド ウイスキーカンパニー / Oxhead Whisky Company
- ボトラーズ会社
オックスヘッド ウイスキーカンパニーは、2019年に設立された独立系ボトラーで、シンガポールと中国を拠点に、スコッチウイスキーをアジア市場に展開しています。
その哲学は「伝統への敬意と現代的センスの融合」。クラシックなスタイルを重視。すべてのボトルはナチュラルカラー、ノンチルフィルター。アルコール度数が60%を超える場合を除き、基本的にカスクストレングスでボトリング。
これまでにリリースされたウイスキーはまだ50本程度ですが、中には1985年蒸留の「Secret Highland」や、1997年蒸留の「ボウモア」など、希少性が高く魅力的なウイスキーもあります。
展開する主なラインナップは以下の2つ
・Classic Casks
伝統的な樽に焦点を当てたシリーズで、過度な木樽フィニッシュを避け、ウイスキー本来の魅力をストレートに表現します。全てシングルカスクでボトリング。
・Dram-Addicts
希少かつ個性的なカスクのみを厳選したシリーズ。
パロマ / Paloma
- ボトラーズブランド
- 運営会社:ゴールドフィンチ・ウイスキー・マーチャント
「パロマ(Paloma)」は、独立系ボトラー「ゴールドフィンチ・ウイスキー・マーチャント(Goldfinch Whisky Merchants)」が手がけるシングルモルトウイスキーのブランドです。このシリーズは、希少な「パロ・コルタド シェリー樽」でフィニッシュされたウイスキーをリリース。
「パロマ」とはスペイン語で「鳩」を意味し、ラベルにはカタルーニャの画家イシドレ・ノネルによる1904年の作品『La Paloma』が採用されています。この芸術的なアプローチにより、スペインとの文化的なつながりが強調されています。
パロ・コルタド(Palo Cortado)シェリーは、スペイン・ヘレス地方で造られる非常に希少なタイプのシェリー酒。もともとはフィノやアモンティリャードとして熟成が始まりますが、途中で自然に酸化熟成に切り替わるという特殊な経過をたどります。そのため、フィノの繊細な香りとオロロソの豊かなボディを併せ持つのが特徴です。生産量が少なく、年間でごくわずかしか作られないため、ウイスキー熟成用の樽としても希少価値が高い状態です。
「パロマ」シリーズは、ノンチルフィルター、ナチュラルカラー、カスクストレングスでボトリングされています。また、環境への配慮から、100%コットンのラベル紙やポルトガル産の天然コルク、再生可能素材から作られた生分解性のシールなど、サステナブルな素材が使用されています。
パールズ オブ スコットランド / Pearls of Scotland
- ボトラーズブランド
- 運営会社:ゴードン&カンパニー社(スコットランド)
「Pearls of Scotland(パールズ・オブ・スコットランド)」は、スコットランドの独立系ボトラーである「Gordon & Company(ゴードン&カンパニー)」社が手がけていたシングルカスクウイスキーのブランドです。希少性と品質の高さを象徴する「真珠(Pearl)」の名にふさわしく、閉鎖蒸溜所やマイナー蒸溜所の厳選された原酒をボトリングしています。
創設者のジム・ゴードン氏は、ウイスキー業界で30年以上のキャリアを積み、満を持して自身のブランドである「ザ パールズ オブ スコットランド」を2013年秋からリリースしました。
息子・ジョナサンも同社に加わり、今後さらなる展開が期待されていましたが、現在はボトラー事業を終了しているようで、新たなリリースは行われていません。そのため、既存のボトルは市場での流通が限られており、コレクターや愛好家の間で高い評価を受けています。
ペグ ウイスキー / Peg Whisky
- ボトラーズ会社
ペグ・ウイスキーは、スコットランド発の新進気鋭のインディペンデント・ボトラーで、兄弟のマンディープとカリーによって設立されました。彼らは「ウイスキーを通じて人々をつなげる」という理念のもと、伝統と文化を融合させたウイスキー造りを目指しています。
ペグ・ウイスキーのラインナップは多彩で、ブレンデッドスコッチ、スモールバッチ・ブレンド、シングルカスクの限定リリースなど、幅広い個性と価格帯、スタイルでボトリングをしています。
代表的なボトルは「Peg Whisky Blended Scotch」で、モルトとグレーンをブレンドした、マイルドで親しみやすい味わいが特徴のスタンダードなブレンデッドウイスキーです。
レスト アンド ビー サンクフル / Rest and Be Thankful
- ボトラーズブランド
- 運営会社:フォックス・フィッツジェラルド社(イギリス)
レスト・アンド・ビー・サンクフルは、2012年に英国の独立系ボトラー「フォックス・フィッツジェラルド社(Fox Fitzgerald)」によって設立されたブランドで、スコットランドのシングルモルトやジャマイカ産ラムのシングルカスクのボトリングを手がけています。
レスト・アンド・ビー・サンクフルは、創業者であるエイダン・スミス氏がブルイックラディ蒸留所と深い関わりを持っていたことから始まりました。最初は、同蒸留所の元ディレクターが所有していたカスクをボトリングすることからスタートし、その後、徐々に他の蒸留所のカスクへとラインナップを広げていきました。
ブランド名は、スコットランド・アーガイル地方の峠にある石碑の銘「Rest and Be Thankful(休んで感謝せよ)」に由来し、旅人が立ち止まり、自然の美しさと静けさに感謝する精神を象徴しています。
代表的なボトルには、ブルイックラディ蒸留所から調達した、「オクトモア」や「ポートシャーロット」。特にオクトモアに関しては生産量が非常に少ないため、オフィシャルボトル以外のリリースは限定的であり、ボトラーズブランドとしてリリースできることは、レスト・アンド・ビー・サンクフルの強みと言えるでしょう。
また、ジャマイカの「Monymusk」や「Long Pond」などの蒸留所からのラムも手がけており、スコットランドとジャマイカの蒸留文化を融合させたユニークなボトリングも展開しています。
ロジャーズ ウイスキー カンパニー / Roger’s Whisky Company
- ボトラーズ会社
ロジャーズ ウイスキー カンパニーは、オランダ・ロッテルダムを拠点とする独立系ウイスキーボトラーで、2020年に「ロジャー・タン(Roger Tan)」氏によって設立されました。
彼は1995年からシングルモルトの愛好家として活動を始め、2019年にはウイスキーボトルの写真をInstagramで共有するようになります。そして、その経験を通じて世界中のウイスキー愛好家と交流を深め、2020年に自身のボトラーズブランドを立ち上げました。
ロジャーズ ウイスキー カンパニーは、厳選したシングルカスクのウイスキーをナチュラルカラーで、チルフィルター処理を施さず、アルコール度数も高めに設定。ラベルデザインには、アートデコやポストモダンの要素を取り入れたスタイリッシュなデザインを施しています。
また、他のボトラーズ会社やデザイナーとのコラボも積極的に行っていたり、ウイスキーのカスク投資や取引にも取り組んでいます。シングルモルトの愛好家らしく、将来的なボトリングや価値の上昇を見据えて、さまざまなカスクをポートフォリオに加えています。
コメント