アメリカンバーボンウイスキー蒸留所12か所解説!おすすめ銘柄も紹介

アメリカンバーボンウイスキー蒸留所解説|ワイルドターキー [ Wild Turkey ]

ワイルドターキー [ Wild Turkey ]

  • ケンタッキー州・ローレンスバーグ地区
  • カンパリ社

ワイルドターキーは今やだれもが知る有名バーボンとなりましたが、現在の蒸留所が最初のワイルドターキーを生み出したわけではありません。ワイルドターキーを誕生させたオースティン・ニコルズ社は当時、専用の蒸留所をもっておらず、ワイルドターキーは今で言うと「ボトラーズ商品」のような形で製造していました。

原酒は1869年にトーマス・リピーが創業した「リピー蒸留所」でつくられたものを使用。そして、ブランド名としてワイルドターキーが誕生したのは1940年。

ニコルズ社の社長、トーマス・マッカシーが野生の七面鳥狩りに行くときに自らがつくったバーボン、のちのワイルドターキーをもっていき、仲間振舞ったことがきっかけ。その味わいが評判となり、本格的に生産を開始することになります。

 

左からエディー・ラッセルとジミー・ラッセル。父子でマスターディスティラー(蒸留責任者)。

1970年になると、ニコルズ社はリピー蒸留所を買収します。それまではリピー蒸留所と他の蒸留所で造られた原酒をブレンドして商品を製造していましたが、リピーをワイルドターキー蒸留所として稼働させることで、蒸留からボトリングまでの生産を一貫できるようになります。

そして、現在はイタリアのカンパリグループの傘下となっていますが、オースティン・ニコルズとしてのバーボン造りには変化はありません。あくまでもカンパリグループの「バーボン部門」として独自のウイスキー造りを継続し、世界で最も愛されている七面鳥のウイスキーとして、その名声を維持し続けています。

 

ワイルドターキーの主要銘柄・おすすめボトル

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ワイルドターキー レアブリード

 

ワイルドターキー ライ

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アメリカンバーボンウイスキー蒸留所解説|ジムビーム [ Jim Beam ]

ジムビーム [ Jim Beam ]

  • ケンタッキー州・クレアモント地区
  • ビームサントリー社

バーボンウイスキーを語る上では外せない存在。ジムビームはバーボンのシェアを4割ほどを獲得しているビックブランド。2014年にはサントリーが1兆7000億円でビーム社を買収し、業界の最大のメーカーは「ビーム・サントリー社」となりました。

これによりサントリーホールディングスは世界のスピリッツ販売高で世界10位から3位にまで一気に上昇(2014年当時)。ビーム社の持つグローバルマーケットを獲得することで、世界中にサントリー製品の販売網を広げることができるようになりました。

ジム・ビームの歴史についてですが、ビーム家では17世紀頃にはすでにウイスキー造りをしていました。創始者のヨハネス・ヤコブ・ボームはドイツからの移民。

米国名に変更しジェイコブ・ビームと名乗ります。1795年に記念すべき初のウイスキー「オールド・ジェイク・ビーム」をリリース。ビーム家は以後7代に渡って、激動のバーボン業界で生き残り良質なバーボンを提供し続けているのです。

 

2019年には心配なニュースが入ってきました。落雷による火災により熟成庫内にあったウイスキー被害にあいます。炎は燃え広がり、大量の原酒が近くの川に流れ、魚が死ぬ被害も発生。敷地内の全126棟の倉庫中、2棟が焼けてしまいます。

被害に遭ったウイスキーを700mlボトルに換算すると、およそ1300万本分に相当。とてつもない量を喪失したことで原酒供給に影響が出ないか気になりましたが、これだけのウイスキーを失っても「中、長期的な原酒供給には影響はない」とのことでした。

ジムビーム恐るべし…

 

ジムビームの主要銘柄・おすすめボトル

ジムビーム デビルズカット

 

オールド・グランダッド114

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ブッカーズ

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オールドオーバーホルト

 

ノブクリーク

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アメリカンバーボンウイスキー蒸留所解説|バートン1792 [ Barton1792 ]

出典:https://www.1792distillery.com/

バートン1792 [ Barton1792 ]

  • ケンタッキー州・バーズタウン
  • サゼラック・カンパニー社

1792という数字は創業年かと思いきや、ケンタッキー郡がはれてアメリカ合衆国の正式な州に認められた年号から名付けられています。バートン1792蒸留所は1879年に設立。バーズタウンはかつてバーボン産業で栄えた街でしたが、禁酒法時代以降は衰退しています。

バートン1792は、ケンタッキー州バーズタウンで唯一現存する蒸留所であり、稼働する最古の蒸留所でもあるのです。

1993年にコンステレーション・ブランズ社がバートンを買収。2002年にはプレミアムバーボンウイスキー「1792リッジモント・リザーブ」発売し話題となりました。

その後2009年、 ブランズ社はバートンを売却。買い取ったのは現在のオーナー であるサゼラック社となります。

2018年には1940年代に建てられた7階建ての古い倉庫が突然倒壊。バーボンウイスキーや他のお酒数千樽が被害にあいました。1万8000個の樽のうち、およそ半分が崩れたとされていますが、被害総額は明らかになっていません。

原酒の一部は近くを流れる川に流れ込んでしまい、800匹ほど魚が死んでしまったそうです。ジムビームの火災の時もそのような話をききましたが、蒸留所の近くに川があることは珍しくありません。

万が一の火事のときに、熟成庫を守るための水源が近くにあったほうが良いからでしょうか。いずれにしても「バーボンの水割り」と化した川というのは、魚にとっては迷惑な話…

 

バートン蒸留所の主要銘柄は「1792 スモールバッチ」。

以前は「1792 リッジモントリザーブ」という名前でしたが改名しています。

日本市場ではそこまでメジャーではありませんが、8年熟成でしっかりとした味わいのスモール・バッチ・バーボン。アメリカ国内では人気のある銘柄です。

もうひとつは「ケンタッキージェントルマン」。こちらは日本でもおなじみですね。

 

バートン1792の主要銘柄・おすすめボトル

ケンタッキージェントルマン

ケンタッキー ジェントルマン

 

1792 スモールバッチ

 

 

アメリカンバーボンウイスキー蒸留所解説|メーカーズマーク [ Maker’s Mark ]

メーカーズマーク [ Maker’s Mark ]

  • ケンタッキー州・ロレット地区
  • ビームサントリー社

バーボン業界の銘家「サミュエルズ家」が1840年に創業した蒸留所。親会社はビームサントリーですが、ウイスキー造りは現在もサミュエルズ家の当主によって行われています。

バーボンの副材料である小麦にこだわりをもち、ライ麦は使っていません。原料へのこだわりは完成したバーボンの「柔らかさ」を与えています。

メーカーズマークと言えば特徴的なのが「蝋栓」。溶かした赤い蝋にウイスキーの栓をくぐらせたボトルは昔から変わりません。この作業は全て人力で行われ、蝋封作業を行ったのが誰なのかわかるように名前が記されています。昔から変わらぬこだわりの蝋栓スタイルはメーカーズマークのトレードマークと言えるでしょう。

スコットランドの移民であるロバート・サミュエルズがウイスキー造りを始めたのは1780年頃で、この頃はまだ自家消費程度の規模でした。

本格的な生産を開始したのが3代目となるテイラー・サミュエルズの代から。1840年に蒸留所を経営します。

しかし禁酒法の影響で生産できなくなり、それからしばらくたってサミュエルズ家がウイスキー造りを再び始めたのは1951年。5代目のビル・サミュエルズはロレット郊外にあった閉鎖状態の蒸留所「パーク・スミス」を買収し、生産を復活させます。

そして1959年に最初のバーボンが発売されると、他社の商品に比べマイルドな味わいだったメーカーズマークは注目される銘柄となります。それに加えボトルの形状も独特であったことから、他のバーボンとの差別化に成功。定番バーボンとして広く認知されるようになります。

 

右メーカーズマークVIP。限定版なので今はもう見かけない。

2011年からはジム・ビーム社の傘下に。そして2015年にはサントリーがビーム社を買収したことで、ビームサントリー社がオーナーとなりました。蒸留所の運営はこれまで通りサミュエルズ家が継続しているため、代々続いてきたウイスキー造りが変わることはありませんでした。

 

メーカーズマークの主要銘柄・おすすめボトル

メーカーズマーク

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MAKER'S MARK(メーカーズマーク)
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メーカーズマーク46

 

メーカーズマーク カスクストレングス

 

 

アメリカンバーボンウイスキー蒸留所解説|ジャックダニエル [ Jack Daniel ]

ジャックダニエル [ Jack Daniel ]

  • テネシー州・リンチバーグ
  • ブラウンフォーマン社

単一ブランドの輸出量は世界有数。アメリカを代表するバーボンウイスキー。創業者のジェスパー・N・ダニエル(通称ジャックダニエル)は7歳で働き始め、13歳で蒸留所の経営を任されました。

それから3年後の1866年に自身の名前を冠した「ジャックダニエル」をリリースします。当時はまだガラス瓶ではなく陶器のジャグボトルに詰められていました。

また、この年にアメリカではウイスキーへの課税が決定され、ジャックはいち早く名乗りでて蒸留所を正式に登録。こうしてジャックダニエル蒸留所はアメリカ初の政府登録蒸留所として認定されます。

ジャックダニエルは1911年にこの世を去りますが、甥であるレム・モトローが跡をつぎます。しかしその後禁酒法が施行され、1919年には一度閉鎖に追い込まれます。撤廃後はモトローの手によって再び蒸留が再開されるも、引き継ぐ親族がいなかったことを受けて1957年にブラウンフォーマン社に買収され、現在に至ります。

 

ジャックダニエルといえば、テネシー伝統の「チャコールメローイング」(蒸留液を木炭で濾過する製法)を守り続けた蒸留所。

メローイングは高さ3メートルほどのろ過槽のなかに、サトウカエデの木炭を敷き詰めて、上から蒸留液(ホワイトドック)を流すような形で行われています。

濾過された蒸留液は、自社の製樽工場(ブラウンフォーマン・クーパレッジ)でつくったバーボンバレルに樽詰めされて熟成期間に入ります。

ちなみに…ジャックダニエルは「バーボンではない」とよく勘違いされますが、これは生産地がバーボンの本場ケンタッキーでないことから「ケンタッキーバーボンウイスキー」ではなく、「テネシーウイスキー」という表記をしているため、そのような誤解を生んでいるようです。実際はアメリカの 連邦アルコール法に法られて製造されている、紛れもないバーボンウイスキーなのです。

 

ユースケ
ユースケ

日本だと「ジャックダニエル」だけど、現地では「Jack Daniel’s(ジャックダニエルズ)」と発音するよ。

 

ジャックダニエルの主要銘柄・おすすめボトル

ジャックダニエル

 

ジェントルマン ジャック

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アメリカンバーボンウイスキー蒸留所解説|ジョージディッケル [ George Dickel ]

出典:https://www.georgedickel.com/who-is-george-dickel/

ジョージディッケル [ George Dickel ]

  • テネシー州・カスケードホロー
  • ディアジオ社

ジャックダニエルと共にテネシーウイスキーを代表する蒸留所。「カスケードホロー蒸留所」とも呼ばれています。創業者のジョージ・ディッケルはドイツ出身。1844年からはテネシー州ナッシュビルに移住し、小売業を始めます。

1860年からは地元の蒸留所から買い付けたウイスキーを樽売りやボトリングして販売する会社を設立。卸業者として地位を築きます。そして1870年には自身の蒸留所をテネシー州タラホーマに設立。1879年にはカスケードホロウに蒸留所を操業します。その後は禁酒法の影響により製造中止となってしまいます。

それから長年に渡り休止状態でしたが、第二次大戦を経て1958年にマスターディスティラーのラルフ・ダップスが再建を果たします。1990年頃には需要の増大による過剰生産が問題となり、再び生産休止。

2003年には再開されますが、長年の休止が影響したせいか、他のブランドから遅れをとることになります。

ジョージディッケルの特異なところは、他のテネシーウイスキーと異なったチャコールメローイングの製法。テネシーウイスキーでは点滴のように少量ずつ濾過させるやり方が一般的ですが、ジョージディッケルでは蒸留液をサトウカエデの木炭を入れた桶に1週間浸すような形で濾過を行います。

この製法により木炭と蒸留液との間に均一な反応がおきることで、ジョージディッケル特有の個性を生み出すことが可能となります。

 

ジョージディッケルのラインナップは、4〜6年熟成した原酒を使用している「No. 8」がフラッグシップボトルでしたが、現在は「No. 12」(酒齢8〜10年)が多く流通しています。

ジャックダニエルとも異なる製法・個性をもつテネシーウイスキーとして、世界中のバーボンファンに愛される銘酒。飲まれたことがない方は是非一度お試しください。

 

ジョージディッケル の主要銘柄・おすすめボトル

ジョージディッケル No. 12

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アメリカンバーボンウイスキー蒸留所解説|コーヴァル [ KOVAL ]

コーヴァル [ KOVAL ]

  • イリノイ州・シカゴ
  • コーヴァル・ディスティラリー社

コーヴァルは禁酒法以降、バーボンの蒸留所が一切なかったシカゴの地に誕生した新鋭のクラフトバーボンウイスキーの蒸留所。

オーナーのロバート・バーネッカー氏はオーストリア出身。アメリカのオーストリア大使館の副報道官として就業していましたが、実家が蒸溜所兼ワイナリーであった影響を受けて、ウイスキー造りを目指すことになります。2008年に妻のソナト氏と共に「KOVAL Distillery」を設立。バーボンウイスキーの他、ジンやウォッカ、リキュールなども手がけています。

ウイスキー造りに使用される蒸留器はドイツのKothe Distilling Technologies社製。コーヴァルオリジナルの設計を加えたハイブリッド・スチル。

ポットスチルは全長約7m20cmという大型サイズで、コラムスチルが連結しています。蒸溜器と連結することで電子機器による制御が可能となり、高品質な蒸留液を安定して生み出すことができます。少量生産のクラフト蒸留所ならではの利点を活かし、幅広いタイプのスピリッツを生産している、最新鋭の蒸留所と言えますね。

また、原材料のこだわりも秀逸。契約農家が有機栽培でつくった、遺伝子組み換えを一切行っていない穀物のみを使用。糖化・発酵に伴う酵素や酵母、熟成樽に至るまでが、アメリカ農水省のオーガニック認定を受けたものだけを採用しています。

 

出典:https://www.toko-t.co.jp/products/whisky/koval/

コーヴァルのウイスキーは全てシングルバレルでボトリング。ラインナップはオーソドックスなバーボンウイスキー(トウモロコシを51%以上使用)のほか、アメリカ国内でも珍しいライ麦100%のライウイスキーや、世界で唯一のミレット(キビ)100%のウイスキーも生産しています。

その他、こだわりのオーガニック原料を4種類(オーツ麦、大麦麦芽、ライ麦、小麦)使用した「フォーグレーン」と呼ばれる商品もリリース。伝統的なバーボンとヨーロッパのクラフトスピリッツを合わせたような、自由な発想でウイスキーをつくる蒸留所です。

 

コーヴァル の主要銘柄・おすすめボトル

コーヴァル バーボン

 

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コーヴァル フォーグレーン

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世界中で愛されているバーボンウイスキー。近年のウイスキーブームは、スコッチやジャパニーズなどのモルトウイスキーだけにとどまりません。

アメリカンウイスキーの生産量も徐々に増えており、2012年には年間100万樽にまで生産量が拡大し、300を超えるクラフト蒸留所が存在していました。そして現在はさらに生産量・メーカーともに増加し、全米に2000か所を超える蒸留所があるとされています。

たるブログでは今後もアメリカンバーボンウイスキーに注目し、新たな蒸留所やブランドの解説を続けて参ります!

ユースケ
ユースケ

あなたの人生がウイスキーによって幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。

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