こんばんは ユースケです。
自己紹介:BAR WHITE OAK 店主。ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーエキスパート。JSA認定ソムリエ。2022年1月 東京・銀座にBAR WHITE OAK をオープン。YouTube、TikTokでカクテル動画を公開中!
この記事ではアメリカンバーボンウイスキーを生産している蒸留所を12か所解説いたします。アメリカンウイスキー、とくにバーボンウイスキーにご興味のある方は必見の内容です。
アメリカには大手から小規模まで実に2000か所以上のウイスキー蒸留所があるとされています。とくに近年は、クラフトウイスキー蒸留所の開業設ラッシュが続いており、バーボンの本場であるケンタッキー州以外の地域でも蒸留所が爆発的に増えています。
そんな勢いのあるバーボンですが…今回は主要なアメリカンウイスキーの蒸留所と、各蒸留所で製造されているおすすめ銘柄を解説。
スコッチやジャパニーズの蒸留所と比べ、参考書籍やウェブ上の情報が少ないアメリカンウイスキー。本記事をきっかけに、各蒸留所とそこで造られている銘柄についてご興味を持っていただければ嬉しいです。
アメリカンウイスキーについての解説記事はこちら↓
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アメリカンバーボンウイスキー蒸留所12か所解説!おすすめ銘柄も紹介
1ページ目
- ヘブンヒル [ Heaven Hill ]
- ブラウンフォーマン [ Brown Forman ]
- ウッドフォードリザーブ [ Woodford Reserve ]
- バッファロートレース [ Buffalo Trace ]
- フォアローゼス [ Four Roses ]
6. ワイルドターキー [ Wild Turkey ]
7. ジムビーム [ Jim Beam ]
8. バートン 1792[ Barton 1792]
9. メーカーズマーク [ Maker’s Mark ]
10. ジャックダニエル [ Jack Daniel ]
11. ジョージディッケル [ George Dickel ]
12. コーヴァル [ KOVAL ]
アメリカンバーボンウイスキー蒸留所解説|ヘブンヒル [ Heaven Hill ]
ヘブンヒル [ Heaven Hill ]
- ケンタッキー州・ルイヴィル地区
- ヘブンヒル社
全米でもトップクラスの生産能力を誇る巨大な蒸留所であるヘブンヒル。1996年に落雷により火災で被害を受けウイスキー生産ができなくなりますが、ブラウンフォーマン社や経営一族の血縁関係があるビーム社による援助をうけ、蒸留所設備を借りる形で生産を続けます。
そして1999年にはディアジオ社から「バーンハイム蒸溜所」を買い取り、自社生産を再開。その後、ヘブンヒル社はかつての本拠であったバーズタウンに蒸留所を復活し、これが現在のヘブンヒル蒸留所となっています。
ウイスキー以外にスピリッツの蒸留も行っている蒸留所ですが、メインはやはりバーボンウイスキー。当初は「エライジャクレイグ」「エヴァン・ウィリアムス」の2つを中心に販売していましたが、90年代以降からは他社ブランドを買収するなどしてラインナップを拡充させています。
しかし近年はブランドの見直しが行われたことで、終売となったボトルも数多くあります。最盛期には80以上のバーボンブランドを造っていました。
現在の主力商品は、社名を冠にした「ヘブン・ヒル」と、昔から変わらず人気のある「エヴァン・ウィリアムス」。
エヴァンウィリアムスはアメリカンウイスキーの祖と呼ばれている人物の名を冠したボトル。その他の銘柄も有名なものばかりで、その多くが日本でも購入可能となっています。
ヘブンヒルは強気の経営戦力を経て、世界中にブランド力と販路を広め、バーボン業界最大手にまで昇りつめた造り手。今後の戦略にも注目ですね。
ヘブンヒルの主要銘柄・おすすめボトル
ヘブンヒル
エヴァンウィリアムス12年
エライジャ・クレイグ
エズラ・ブルックス
I.W.ハーパー ゴールドメダル
アメリカンバーボンウイスキー蒸留所解説|ブラウンフォーマン [ Brown Forman ]
ブラウンフォーマン [ Brown Forman ]
- ケンタッキー州・ ルイヴィル地区
- ブラウンフォーマン社
創業は1870年。ジョージ・ガーヴィン・ブラウンと、ジョージ・フォーマンの二人によって、アメリカで初となるガラス瓶ボトルのバーボンウイスキー「オールド フォレスター」を製造します。
禁酒法時代(1920〜1933年)には、医療目的のためのボトルウイスキー・ライセンスを取得。ウイスキー製造業者にとっての暗黒時代を旨く切り盛りし、禁酒法時代でもボトリングや原酒の熟成・蒸留ができるようにしました。
その名残という訳ではありませんが、現在でもブラウンフォーマン社はバーボン以外のウイスキーやスピリッツも数多く製造しているメーカーとなっています。
また、自社専用のクーパレッジも所有しており、主力製品のオールドフィレスターをはじめ姉妹蒸留所の「ウッドフォードリザーブ 」で使用している熟成樽も製造しています。
オールドフォレスター 86プルーフ
「オールドフォレスター」は原料の粉砕などの前工程のみをブラウン・フォーマン蒸溜所で行っており、それ以降の蒸留工程などは2018年にオープンしたオールド・フォレスター蒸溜所で行われています。
ラインナップは「オールドフォレスター 86プルーフ」や「オールドフォレスター 100プルーフ」のほか、限定版の「オールドフォレスター 1897 ボトルド イン ボンド」も人気です。
ブラウンフォーマン社はスコッチウイスキーの蒸留所も所有しているよ。「グレンドロナック」「ベンリアック」「グレングラッサ」のオーナーです。
ブラウンフォーマン の主要銘柄・おすすめボトル
オールドフォレスター 86プルーフ(43%)
オールドフォレスター 1897 ボトルド イン ボンド 100プルーフ(50%)
アメリカンバーボンウイスキー蒸留所解説|ウッドフォードリザーブ [ Woodford Reserve ]
ウッドフォードリザーブ [ Woodford Reserve ]
- ケンタッキー州・フランクフォート地区
- ブラウンフォーマン社
ウッドフォード・リザーブはバーボン業界では珍しく、銅製の単式蒸留器を用いてつくるスモールパッチ・バーボンウイスキー。
スコットランド製のポットスチルでの3回蒸留によって力強い味わいの中に柔らかさのある、上質なバーボンを製造。他の蒸留所が多くブランドをリリースしているなか、ウッドフォードリザーブ蒸留所は一つのブランドのみ生産しています。
同蒸留所の起源は1812年。エライジャ・ペッパーによって創業したオールド・オスカー・ペッパー蒸留所から歴史はスタート。1878年にはレオナルド・ラブローとジェイムズ・グラハムが買収し、「ラブロー&グラハム蒸留所」に改名。禁酒法時代に閉鎖し、一度は復活しますが1941年に現在のオーナーであるブラウンフォーマン社が買収します。
しかしブラウンフォーマン社もまた「バーボン過剰生産不況」のなかで厳しい経営状態であったことから、蒸溜所を一旦売却。それから長年にわたり閉鎖していましたが、1996年にブラウンフォーマン社によって蒸留所は再開。そして2003年にウッドフォードリザーブに蒸留所名を改名します。
オーナーも名前も代わり、蒸留所の生産も停止と再開を繰り返してきたウッドフォードリザーブですが、歴史ある蒸留所としても知られています。
原酒を生み出すウエアハウスは、いまだに1838年に建造された石灰岩造りの建物を使用。ケンタッキー州の蒸留所としては最古の存在でありながら、現在はバーボン業界でも異端な3回蒸留をおこなっている所が面白いですね。
ブラウンフォーマン の主要銘柄・おすすめボトル
ウッドフォードリザーブ
ウッドフォードリザーブ ダブルオークド
ウッドフォードリザーブ ライ
ウッドフォードリザーブ ウィート
アメリカンバーボンウイスキー蒸留所解説|バッファロートレース [ Buffalo Trace ]
バッファロートレース [ Buffalo Trace ]
- ケンタッキー州・フランクフォート地区
- サゼラック社
バッファロートレース蒸留所はバーボン業界でも有数の巨大な蒸留所。数多くのバーボンブランドを製造する他、ウォッカなどのスピリッツの製造も行っています。生産したバーボンは世界中で高く評価されており、名実共に業界を引っ張る蒸留所です。
蒸留所の歴史は1865年に誕生した「リーズタウン蒸留所」からスタート。創業者はベンジャミン・ハリソン・ブラントンという人物ですが、このブラントンがバーボンウイスキー蒸留所としての基盤をつくったのではなく、1869年にオーナーとなったエドムンド・ヘインズ・テイラーJrになってからのこと。
テイラーは蒸留所設備を一新。当時最新式であったコラム式の連続式蒸留器を導入します。経営も順調で多くの投資を行ったのにも関わらず、テイラーは1878年、ビジネスパートナーであったジョージ・T・スタッグに蒸留所を売却してしまいます。
その後、テイラーは蒸留所経営者からフランクフォートの市長に転身。そしてかの有名な「ボトルド・イン・ボンド法」を成立させ、粗悪なバーボンウイスキーを駆逐することに力を注ぎます。
テイラーは現在でも「ボンド法の父」と称され、バーボンウイスキーの発展に尽力を注いだことから歴史に名を残しています。
蒸留所を引き継いだジョージ・T・スタッグは、現在のバッファロートレースの礎を築き上げた人物で、蒸留所の拡張やウエアハウスをスチームで温めるシステムを初めて採用するなど、数々の実績をのこし蒸留所を発展させます。
そして1904年には「ジョージ・T・スタッグ蒸留所」に改名。その後は経営がシェンリー社へと移り、名称はジョージ・T・スタッグ蒸留所のマスターディスティラリー及び社長を務めていたブラントンの名から「ブラントン蒸留所」に。
1996年に再び改名。当時人気のあった「エイシャントエイジ」の名前を蒸留所名にします。1992年にはシェンリー社はサゼラック社に買収され、99年にエイシャントエイジ蒸留所から、ここでようやくバッファロートレース蒸留所という名称になります。
蒸留所名が次々に変わっていったバッファロートレースですが、歴代の経営者は凄腕ばかり。彼らの功績はブランド名として残ることで、永遠に語り継がれていくことでしょう…
バッファロートレース の主要銘柄・おすすめボトル
バッファロートレース
ブラントン シングルバレル
サゼラック・ライ
高級バーボンウイスキー「ジョージ・T・スタッグ」は、初めて飲んだ人を感動させることができる、素晴らしいプレミアムバーボンウイスキー。現在は入手困難な超レアなバーボンです…
アメリカンバーボンウイスキー蒸留所解説|フォアローゼス [ Four Roses ]
フォアローゼス [ Four Roses ]
- ケンタッキー州・ローレンスバーグ地区
- キリンビール
1865年に創業者のポール・ジョーンズが父親と共にアトランタでバーボン造りを開始。好評だったことから1888年にフランクフォート蒸留所を買収し、フォアローゼスのブランド銘で販売するようになります。
禁酒法時代には医療用のウイスキー製造を許可されたことで、蒸留所を維持することができました。しかしその後はカナダのシーグラム社が蒸留所を買収。バーボンではなく、安価なブレンデッドウイスキーを生産していましたが、2001年に日本のキリンビールが買収。ウイスキーの品質やラインナップを改善させ、これまでの「海外輸出路線オンリー」から脱却させ、アメリカ国内での需要獲得に成功します。
フォアローゼスの特筆すべきところは、やはり原料へのこだわりとウェアハウスでしょうか。
主原料となるトウモロコシはインディアナ州の契約農家から、じつに50年物もの間購入し続けています。ライ麦は西ヨーロッパ産。原酒にスパイシー感を与えるのに必須。上質なバーボンにおいてなくてはならない存在です。
ウエアハウスはシーグラム時代に建てられたものを今も使用しています。大手バーボンメーカーでは珍しく「一階建て」。通常、生産量が多い作り手のウエアハウスは10階建てのビルのような巨大施設であることが多いのですが、フォアローゼスは熟成樽に過度な負担をかけない「低層」での熟成を行います。
スコッチウイスキーの熟成方式「ダンネージ式」に近い6段積み(スコッチは通常3段)を採用。これによって段の違いによる気温の変化はほとんど起こらないため、位置変え(ローテーション)をする必要がないとのこと。
ラインナップは豊富・「イエロー」「ブラック」「シングルバレル」「プラチナ」などがあり、銘柄ごとに多彩な原酒を使用することで、個性的なバーボンに仕上がっています。
特におすすめしたいのは「プラチナ」。バーボンなのに、モルトウイスキーのようなフローラル・テイスト。
フォアローゼスの主要銘柄・おすすめボトル
フォアローゼス ブラック
フォアローゼス シングルバレル
フォアローゼス プラチナ
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