【2026年版】日本のウイスキー蒸留所|全126カ所を解説|鹿児島県
89,菱田蒸溜所

創業は1901年の焼酎メーカーの蒸留所。老舗老松酒造から2010年に「天星酒造」と改称しています。2022年10月にウイスキー製造免許を取得し、敷地内でウイスキーの生産を開始。
仕込み水は平成の名水百選にも選定された「普現堂湧水源(ふげんどうゆうすいげん)」を源流から。この水は鹿児島県では珍しい硬度35度以下の超軟水で、地下100mからくみ上げた地下水となっています。
菱田蒸溜所はモルトウイスキーとグレーンウイスキーを製造しています。モルトウイスキーの仕込みは一度に700㎏の麦芽を使用。仕込みの割合は、モルトが主体で、グレーンウイスキーの割合は3~4割程。
モルトミルは中国製。マッシュタンはステンレス製が1基。一度の仕込みで得られる麦汁量は約3,000リットル。3回分の麦汁を一緒にして、1基の発酵槽に投入しています。発酵槽はステンレス製が5基。
焼酎とモルトウイスキーの蒸留には、ステンレス製の焼酎蒸留器1基が兼用されています。このスチルは常圧蒸留と減圧蒸留の両方が可能となっており、容量は6,000リットル。
さらに、もう1基、新しいハイブリッドスチルを導入しており、こちらはモルトウイスキーやグレーンウイスキーを蒸留しています。
2024年には、「菱田 ニューボーン モルト ソーテルヌカスク」、「菱田 ニューボーング
レーンチョコレートバーレイ」、「菱田ニューボーン モルト バーボンカスク」をリリース。また、廃校となった中学校を活用したウイスキーの熟成庫「田之浦エイジングセラー」を開設しています。
菱田蒸留所|おすすめのウイスキー
菱田蒸溜所 ニューボーン プレリュードワン
菱田蒸溜所 ニューボーン プレリュードワン
90,大隅酒造

出典:https://www.suntory.co.jp/osumidistillery/
鹿児島県曽於市(そおし)、のどかな田園風景の中に広大な敷地を構えるのが、サントリーグループの大隅(おおすみ)酒造です。
2004年に創業し、2014年にサントリーの完全子会社となったこの蒸留所は、今や「焼酎の伝統技術」と「サントリーの最新知見」が融合する、非常にユニークな拠点として注目を集めています。
大隅酒造は、もともと芋焼酎の「大隅」などで知られる本格焼酎の蔵元です。ここでは、300年にわたる焼酎造りの伝統に、サントリーの技術力を掛け合わせた「香り厳選蒸留」という製法を確立。原料の特性に合わせて精緻に蒸留方法を変えることで、素材本来の良さを最大限に引き出しているんですね。
工場内には、焼酎造りに欠かせない巨大な仕込みタンクが所狭しと並び、その奥には容量7,000リットルのステンレス製焼酎蒸留器が4基鎮座しています。これらは減圧蒸留も常圧蒸留もこなせる優れもので、この設備こそが、これまでにない新しいウイスキーを生み出す鍵となりました。
大隅蒸留所がウイスキーファンの間で一躍有名になったきっかけは、2016年から始まった「米」を原料としたウイスキー造り。2020年、サントリーの革新的な試みを象徴するシリーズ「エッセンス・オブ・サントリーウイスキー」の第4弾として、ここで造られた「ライスウイスキー」が限定発売されています。
サントリーが米を原料としたウイスキーを「本格ウイスキー」のラインナップでリリースしたことには、業界内でも大きな驚きが広がりました。焼酎の蔵元としての顔を持ちながら、日本のウイスキーの新たな可能性を切り拓く大隅蒸留所。和酒と洋酒の境界線で生まれる次の一滴に、これからも期待が膨らみますね。
大隅酒造|おすすめのウイスキー
エッセンス・オブ・サントリーウイスキー ライスウイスキー(THE ESSENCE of SUNTORY WHISKY RICE WHISKY)
エッセンス・オブ・サントリーウイスキー ライスウイスキー(THE ESSENCE of SUNTORY WHISKY RICE WHISKY)
91,ニッカウヰスキー さつま司蒸溜蔵

出典:https://www.asahibeer.co.jp/s-tsukasa-kura/
オーナー:ニッカウヰスキー(アサヒグループホールディングス)
創業年:2018年
所在地:鹿児島県姶良市加治木町諏訪町200
公式HP:https://www.asahibeer.co.jp/s-tsukasa-kura
ニッカウヰスキーさつま司蒸留蔵は、鹿児島県の錦江湾の北端、姶良市加治木町に位置している蒸留所です。1936年に創業。
以前は「始伊酒造」として知られていましたが、2002年にアサヒビールの傘下に入り、その後ニッカウヰスキーの子会社となります。2017年には「ニッカウヰスキーさつま司蒸留蔵」として再編されました。
ニッカウヰスキーさつま司蒸留蔵では、地元鹿児島産のさつま芋を使用した本格的な芋焼酎の製造に加えて、ニッカのブレンド技術や樽熟成技術を活かした新しい焼酎の製造にも取り組んでいます。
2018年からはグレーンウイスキーの製造をスタート。大麦を使った「グレーン」と、トウモロコシやライ麦を原料とした「コーンライグレーン」の2種類を製造しています。これらのウイスキーは、ニッカのディスカバリーシリーズ「ニッカ ザ・グレーン」の原酒に利用しています。
蒸留は2基の焼酎用ステンレス蒸留器を使用。「グレーン」は常圧で2回蒸留しています。
「コーンライ」の原料は「デントコーン」とライ麦。麦芽を加えて糖化と発酵を行っています。このウイスキーは「コーン」の風味がしっかりと効いた「バーボンタイプのグレーン」。コーンとライ麦の比率は、一般的なバーボンとほぼ同じ設定となっています。
熟成樽も使い分けており、「グレーン」にはホグスヘッド(バーボンバレルの組み替え)。「コーンライ」は内側を焦がしたホワイトオークの新樽(つまりバーボンウイスキーと同じ)も使用しています。
92,小牧蒸溜所
小牧蒸溜所は薩摩半島北部、鹿児島県さつま町に位置しています。オーナー企業の「小牧醸造」は創業明治42年(1909年)。酒造のすぐ横には一級河川「川内川」が流れており、古くから米の集積地、水運の町として栄えてきた町にあります。
初めてウイスキーが蒸留されたのは2023年2月。小牧醸造は主に「小牧」や「一尚」といった芋焼酎で知られていますが、100年以上の歴史の中で何度も水害に見舞われてきました。特に2006年には川内川が大規模な氾濫を起こし、蒸溜所も冠水。その後、地元や全国からの支援を受け、数ヶ月後には焼酎の製造を再開します。
小牧蒸溜所は酒造の倉庫を改造したもので、外観は黒く塗られ、大きく”Komaki Distillery”と書かれています。仕込みは1バッチ麦芽1トン。主に英国のポールズモルトなどを調達しています。仕込み水は蒸溜所の裏手にある、山林の井戸水を使用。
スチルは初留と再留の計2基。それぞれの容量は6,000リットルと4,000リットル。発酵槽はステンレス製。小牧醸造の焼酎に利用している「和甕」を使い、ウイスキーのモロミを発酵させる実験も行っています。
2024年には「小牧ウイスキー ニューポット2024 ピーテッドモルト50ppm」と、「小牧ウイスキー ノンピーテッドモルト」を発売。
93,嘉之助蒸溜所

小正酒造は1883年に創業した老舗の本格焼酎メーカー。鹿児島県日置市の吹上浜の丘上に建てられたのが「嘉之助蒸溜所」。
世界に通用するウイスキーを造りたいと強い決意で始めた嘉之助は、小正醸造代表、小正芳嗣氏の祖父の名前が名付けられています。2017年ウイスキー免許を取得し、同年11月から生産を開始しています。
仕込みは1バッチ麦芽1トン。6000リットルの麦汁を抽出できます。大麦麦芽はイギリス産をメインに、オーストラリア産や日本産も使用。ノンピーテッドから50ppmのヘビリーピーテッドまで、幅広いタイプを仕込んでいます。
生産設備の多くは三宅製作所のものが使われており、マッシュタン、ステンレス製の発酵槽、ポットスチルとすべて三宅製。発酵槽は床に埋め込まれているのスタイルで、焼酎の蔵と同じように作成されたことによるもの。どの蒸留所へ見学に行っても見ることのない、焼酎メーカーだからこその設計ですね。

ポットスチルはサイズが異なる3つのタイプあり、それぞれ容量、形状、ラインアームの角度が微妙に異なっており、多彩な原酒を生み出すことができるように工夫されています。一番大きいものは容量6000リットルのストレート型。中型は3000リットルのストレート型。小型は1600リットルのランタンヘッド型。大は初留のみ。小は再留のみ。中型は初留・再留どちらにも使用しています。
冷却装置は3基とも「屋内ワームタブ」となっており、日本の蒸留所としては珍しい方式です。これは、昔から使用している焼酎蒸留器がワームタブであるから。老舗焼酎蔵元として、ウイスキーに焼酎造りのエッセンスを採り入れることも目的となっています。
貯蔵庫はラック式が5棟あり、約3800樽を寝かせることができます。ボトリング設備は嘉之助蒸留所の中にはないため、車で10分ほどの場所にある小正醸造で行っています。
また、小正醸造では日置にある焼酎蔵でグレーンウイスキーの製造も行っています。焼酎用のステンレス蒸留器を使い、自社のモルトとグレーンの原酒をブレンドしたウイスキー(シングルブレンデッド・ジャパニーズウイスキー)を将来的にリリースする予定とのこと。
その他、「メローコヅル」と呼ばれるオーク樽熟成を施した米焼酎もつくっており、全量を樽熟成させた初となる商品として話題になっています。焼酎メーカーとしても新たな挑戦を続け、ウイスキー造りも積極的に行っています。
2018年にはニューポットを数量限定で発売し、その後8ヵ月間貯蔵した「嘉之助ニューボーン2018」を発売。2019年には16ヵ月間貯蔵の「嘉之助ニューボーン2019」。2020年にはイギリス産ピーテッド麦芽を使用した24ヵ月間貯蔵の「嘉之助ニューボーン2020ピーテッド」を発売。

2021年6月、待望の3年熟成「シングルモルト嘉之助2021 FIRST EDITION」をリリース。「東京ウイスキー&スピリッツコンペティション2022(TWSC2022)」では最高金賞を受賞。この年にはウイスキー製造部門を分社化し、「小正嘉之助蒸溜所株式会社」を設立し、ウイスキー大手「ディアジオ社」との長期的なパートナーシップを結んでいます。
2022年には「シングルモルト嘉之助 2022 LIMITED EDITION」の他、「嘉之助 蒸溜所限定ボトル#002~004」などを発売。
そして2023年1月には定番商品となる「シングルモルト嘉之助」をリリース。ノンピート麦芽で仕込まれたタイプで、熟成樽はアメリカンオークのリチャーカスクを主体に、複数の異なる樽で熟成した原酒をヴァッテッドしています。
2024年には、嘉之助のモルトウイスキーと日置蒸溜蔵のグレーンウイスキーをブレンドした「嘉之助 DOUBLE DISTILLERY」を発売。TWSC2024(東京ウイスキースピリッツコンペティション2024)では最高金賞を受賞しています。
嘉之助蒸溜所|おすすめのウイスキー

シングルモルト嘉之助
シングルモルト嘉之助
嘉之助 DOUBLE DISTILLERY
嘉之助 DOUBLE DISTILLERY
嘉之助蒸溜所 シングルモルト2023 LIMITED EDITION
嘉之助蒸溜所 シングルモルト2023 LIMITED EDITION
シングルモルト嘉之助 SHERRY CASKS VATTED
シングルモルト嘉之助 SHERRY CASKS VATTED
94,日置蒸溜蔵

嘉之助蒸溜所から車で10分ほどの場所にある日置蒸留蔵は、小正醸造のメイン工場として焼酎の製造を行っています。2020年からはグレーンウイスキーの製造をスタート。工場では8月~翌年1月までは焼酎の仕込みし、ウイスキーの製造は焼酎造りが終盤を迎える1月下旬頃から始めています。
仕込水は熊野神社・権現様の井戸水。原材料は二条大麦の「ノンピート麦芽」と「丸麦」。丸麦とは、大麦の外皮を取り除き、ぬかとなる部分を削った状態の大麦のことで、白米に混ぜて炊くと食べることもできます。
日置蒸留蔵には焼酎用の横型連続式蒸留機や、木樽蒸留器(蒸気直噴式)、銅製のストレート型ポットスチルも設備としてありますが、グレーンウイスキーの製造には焼酎用のステンレス製ポットスチル(6000リットル)を使用し、減圧蒸留が行われています。
2023年には定番ボトル「嘉之助Hioki Pot Still」をリリース。このウイスキーには大麦麦芽と未発芽大麦を使用しており、アイリッシュウイスキーの「ポットスチルウイスキー」に近いスタイルで製造されています。
日置蒸留蔵|おすすめウイスキー
嘉之助Hioki Pot Still
嘉之助Hioki Pot Still
95,御岳蒸留所

「御岳」は桜島の大部分を構成する山々の総称のことを言い、桜島の別称でもあります。御岳蒸留所が建設されたのは標高400mの丘陵地で、桜島を望む眺望にあることから名付けられています。オーナーは「富乃宝山」や「天使の誘惑」などの焼酎で有名な「西酒造」。
仕込み水は毎分1000リットルも湧き出るという良質な軟水。ワンバッチの仕込み量は1トン。大麦麦芽はノンピーテッドを基本とし、イギリス、オーストラリア、ベルギー産などを使用しています。
生産設備は全て三宅製作所製。発酵槽はステンレス。ポットスチルは初留が6000リットルのストレート型。再留は3000リットルのバルジ型。ラインアームは上向きで、ライトボディな酒質に仕上げています。
樽詰め度数は60%。熟成庫は3段の木組みのラック式で、床はコンクリート。3,000樽が貯蔵可能。
熟成にはシェリーカスクを中心に、バーボンバレルやミズナラ樽をはじめ、ニュージーランドのワイナリー「グラッドストーン・アーラー」のピノノワールカスク(赤ワインカスク)なども使用。そのほか、ソーヴィニヨン・ブランの白ワインカスクや、芋焼酎「天使の誘惑」の樽も使用。
2023年に初のシングルモルト「御岳 ファーストエディション 2023」、2024年には「御岳 ザ ファースト エディション 2024 バーボンバレル」をリリース。2023年はリフィルのシェリーカスク100%。セカンドエディションとなった2024年はバーボン樽熟成の原酒をボトリングしています。
御岳蒸留所|おすすめのウイスキー

御岳 ザ ファースト エディション 2023
御岳 ザ ファースト エディション 2023
御岳 ザ ファースト エディション 2024 バーボンバレル
御岳 ザ ファースト エディション 2024 バーボンバレル
御岳 2025
御岳 2025
96,マルス津貫蒸溜所

マルス信州蒸留所に次ぐ第2の蒸留所として、本坊酒造の創業の地である鹿児島県につくられたのがマルス津貫(つぬき)蒸溜所。2016年11月からウイスキー造りは本格始動しています。
津貫蒸留所はマルス信州蒸留所がある長野県とは対照的な気候です。標高798 メートルの地にある信州は、年間平均気温11℃と冷涼なのに対し、本土最南端の鹿児島県にある津貫の平均気温は年間18℃と温暖。気温だけでみるとウイスキーの熟成には不向きに思えるかもしれませんが、津貫は周りを山々に囲まれた盆地であり、夏は暑く、冬が寒いのが特徴となっています。
寒暖差があることで、ウイスキーは信州とは異なった熟成スピードに。その差は原酒の個性に影響を与え、幅のある原酒造りを可能にすることができます。また、新設された「マルス屋久島エージングセラー」の平均気温は19℃となっており、これはマルスウイスキーの生産拠点3か所の中で最も高い数値。海に近い温暖な気候は、どのようなウイスキーを生み出すのかが注目されています。

仕込み水は蔵多山山系の湧き水を使用。仕込みはワンバッチ麦芽1.1トン。生産設備はモルトミルだけドイツ製で、他はすべて三宅製作所製。ステンレス製の発酵槽5基で仕込まれています。
ポットスチルは初留6000リットル、再留3300リットルで、どちらもストレート型。信州蒸留所は背の高いスチルを利用することで「クリーン&ライトボディ」な原酒を蒸留していますが、津貫は背が低い形状となっており、ラインアーム も下向き。信州とは対照的に「リッチ&ヘビーボディ」な力強い原酒造りを行っています。
また、ウイスキー以外にも「ハイブリッドスチル」で鹿児島県のボタニカルを使用したドライジン「和美人」も造っています。

熟成庫は実に多彩。ラック式の新しい貯蔵庫や、古い石蔵、そして津貫蒸留所と同じ年に開設した「マルス屋久島エージングセラー」でも原酒を貯蔵しています。屋久島では津貫と信州で造られた原酒を熟成されており、温暖な環境であることから、蒸留所に隣接する熟成庫とは異なる原酒を生み出すことができます。
2020年4月には津貫蒸留所初となる3年熟成のボトル「シングルモルト津貫ザ・ファースト」が発売され、あっという間に完売。2021年には第2弾のピーテッドタイプが発売され、こちらも好評でした。
2022年には「シングルモルト津貫2022エディション」を発売。これまでにリリースされたウイスキーは、どれも熟成期間の若さを感じさせない、完成度の高い仕上がりとなっています。津貫の特異な熟成環境によって、ジャパニーズウイスキーの新しい「常識」が作り出されるのは時間も問題かもしれません…
2024年に発売された「シングルモルト津貫2024エディション」は、バーボン樽とシェリー樽をメインにブレンド。「シングルモルト津貫2025エディション」も同様の配合でつくられています。
マルス津貫蒸溜所|おすすめのウイスキー

シングルモルト 津貫 2026 エディション
シングルモルト 津貫 2026 エディション
シングルモルト 津貫 2025 エディション
シングルモルト 津貫 2025 エディション
シングルモルト 津貫 2024 エディション
シングルモルト 津貫 2024 エディション
97,火の神蒸溜所

火の神蒸溜所は、薩摩酒造が枕崎市に設立したウイスキー蒸溜所。薩摩酒造は「マルスウイスキー」でおなじみの「本坊酒造」の関連会社で、現在は駒ヶ岳と津貫の2つの蒸留所と、山鹿蒸溜所も所有しています。本坊酒造グループとしては、火の神蒸溜所が4つ目の蒸留所となっています。
「火の神」という名称は、古事記に登場する「山幸彦」こと。山幸彦は神話伝説の世界で重要な存在。火の神地区は、この神話に登場する山幸彦が降り立った場所とされています。
火の神蒸溜所は、薩摩酒造の焼酎製造施設の一部を利用して2022年に設立。施設内には「クーパレッジ」があり、これはウイスキーのためでなく、長期貯蔵麦焼酎「神の河」を熟成するためのオーク樽を製造していたことから。焼酎メーカーとしては、専用の樽工場を所有しているのは珍しいこと。ウイスキー用の製樽も行われる予定です。
火の神蒸溜所では、モルトとグレーンの両方を製造しています。グレーンウイスキー用の蒸留機は2023年から稼働しており、仕込水は火の神地区周辺から採取された、硬度約80の地下水。

モルトウイスキーの仕込みは、ワンバッチ麦芽1.1トン。ノンピート麦芽を主体とし、約20〜25%はピート麦芽を混合する予定。麦汁の量は約5,500リットル。発酵槽はステンレス製で合計5基。
ポットスチルは初留と再留の2基。どちらも背の高いランタンヘッド型。初留には約5,500リットルの発酵槽分の麦汁が張り込まれ、再留のミドルカットは74%から61%まで。マルスウイスキーの製造ノウハウを活かしつつ、データを取りながら様々な仕込みに挑戦していく予定とのこと。
2026年にビジターセンターを開設。見学ツアーを行うことが予定されています。
【2026年版】日本のウイスキー蒸留所|全126カ所を解説|沖縄県
98,許田蒸留所

那覇空港から車で1時間半程の距離にある名護市。沖縄本島の真ん中に位置しています。
許田蒸留所は甥縄を代表する酒類メーカー「ヘリオス酒造」によって設立したウイスキー蒸留所で、創業から2年後には生産をスタートさせています。1989年頃からはウイスキーの生産は休止状態でしたが、2016年に蒸留を再開しています。
ワンバッチの仕込み量は500㎏。仕込み水は蒸留所の裏手を流れる川の上流の水。硬度は80度。大麦麦芽はノンピーテッドから20ppmのミディアムピーテッド麦芽も使用しています。蒸留器は日本製で、初留、再留を容量3000リットルの同じ蒸留器で行っています。

2020年には初のシングルモルトウイスキー「許田カスクストレングス2020」を発売。イギリス産のピーテッド麦芽を使用しており、スモーキーなフレーバーのある沖縄産ウイスキーとして話題となりました。その後も2021年に「許田シングルカスク2021 Cask No.4248」、2022年には「許田シングルカスク2022 Rum Cask Finish_Cask No.4265」というシングルカスクのウイスキーを毎年リリースしています。
亜熱帯気候の沖縄で熟成したシングルモルトはどのようになっていくでしょうか。注目していきたいですね。
許田蒸留所|おすすめのウイスキー
シングルモルトウイスキー 許田 ラムカスクフィニッシュ
シングルモルトウイスキー 許田 ラムカスクフィニッシュ
シングルモルトウイスキー 許田 シェリーカスクフィニッシュ
シングルモルトウイスキー 許田 シェリーカスクフィニッシュ
99,州崎蒸溜所

洲崎蒸溜所は、沖縄県うるま市にある新里酒造が運営するウイスキー蒸溜所です。沖縄最古の泡盛蔵である新里酒造が、伝統的な泡盛製造技術を活かしながら、本格的なモルトウイスキーの製造に挑戦しています。
新里酒造は、1846年に首里城の近く、首里三箇の赤田で創業した長い歴史を持つ泡盛の蔵です。1988年に沖縄市へ移転し、さらに2006年には現在地であるうるま市に生産拠点を移しました。
2020年にウイスキー事業に参入し、州崎蒸溜所を開設。蒸溜所(工場)は3階建てで、最上階で泡盛とウイスキーの仕込みが行われています。ウイスキー製造には、イタリア・フリッリ社製のポットスチルを使用。1回の仕込みは大麦麦芽400kg。
原料の麦芽はクリスプ社製のノンピート麦芽。モルトミルには2本ローラーの粉砕機を使用。マッシュタンは手作業で慎重に撹拌し、最新鋭の糖化槽の導入も検討しています。
発酵は容量5,000リットルのステンレス製発酵槽5基で行われ、1回の仕込みで約2,000リットルの麦汁が得られます。その後、小型のスチルを用いて初留と再留を行い、65%のアルコール度数で樽詰めされます。
熟成は、かつて泡盛を貯蔵していた蔵の2階にあるラック式の貯蔵庫で行われ、主にシェリー樽をメインとしています。
2021年には、自社蒸溜によるニューポットの販売を開始。蒸溜所としての第一歩を踏み出しました。
続く2023年には「シングルモルト 琉歌 NEW BORN 2023」をリリース。そして2024年、ついに待望のシングルモルトが登場。なかでも「琉歌 ニューボーン 2024」は、東京ウイスキー&スピリッツコンペティション(TWSC2025)において最高金賞を受賞。さらに新設されたジャパングランプリにも選ばれるなど、高い評価を獲得しました。
このボトルは、リフィルのシェリーホグスヘッド樽で熟成させた原酒をベースに、リフィルのスパニッシュオーク樽で後熟を施したもの。熟成期間は約2年と短いながらも、力強さと厚みを感じさせる味わいが高く評価されています。
2025年にはさらに進化を遂げ、バーボン樽熟成の原酒を加えた「琉歌 ニューボーン 2025」と、シェリー樽原酒と泡盛樽原酒をブレンドした「琉歌 シングルモルト 2025」もリリース。南国・沖縄の風土のもと、独自の個性を追求する挑戦は今も続いています。
洲崎蒸留所|おすすめのウイスキー
シングルモルト 琉歌 NEW BORN 2023
シングルモルト 琉歌 NEW BORN 2023
100,那覇蒸溜所

那覇蒸溜所は、沖縄県那覇市に拠点を置く久米仙酒造が手掛けるウイスキー蒸溜所。久米仙酒造は1952年に創業し、泡盛業界に革新をもたらしてきた企業ですが、2021年にウイスキー製造免許を取得。南国沖縄の地で新たな挑戦を始めました。ライスウイスキー「沖縄 ISLAND BLUE」をはじめ、泡盛の技術を活かした個性的なウイスキーを生み出しています。
那覇蒸溜所のウイスキー造りは、従来の泡盛製造設備を活かしながらも、独自の製法を取り入れています。蒸留器はステンレス製縦型蒸留器(泡盛兼用)。二回蒸留でスピリッツを造ります。2023年からは麦芽の糖化設備(マッシュタン)と小型の鋼製スチル1基を導入し、本格的なウイスキー造りに着手します。ワンバッチ400kgの仕込みで、1基のスチルで二回蒸留を行い、将来的にはもう1基のスチルを導入予定。
現在は、8年熟成のバーボン樽熟成ウイスキーなどを販売。その他、トーストしたホワイトオークの新樽熟成もリリース。3ヵ所の倉庫に約2,000樽を保有。
2025年には、蒸留所初のニューボーンを限定発売。那覇蒸溜所は、沖縄ならではの個性的なウイスキーを生み出しており、その挑戦的な姿勢は、これまで泡盛業界に革新をもたらしてきた久米仙酒造の精神を受け継ぐもの。今後のさらなる発展に期待ですね。
那覇蒸溜所|おすすめのウイスキー
沖縄 ISLAND BLUE
101,まさひろ酒造
まさひろ酒造は1883年に創業され、泡盛の「古酒まさひろ」や「海人」、クラフトジン「まさひろオキナワジン」などを製造しています。
琉球王朝時代、唯一泡盛造りが許可されていた「首里三箇(しゅりさんか)」で創業したというから、その歴史の重みは相当なもの。創業者、比嘉昌文氏の父は王朝の料理人を務め、「包丁比嘉」という称号を賜ったほどの人物だったそうです。昌文氏も当時40人ほどいた泡盛職人の一人としてそのキャリアをスタートさせたといいますから、まさに職人の血筋が生んだ酒蔵。
そんな伝統ある蔵が、2023年の「創業140周年」という大きな節目を記念して、新たに本格的なウイスキー造りという壮大な挑戦を始めました。
現在の糸満市西崎町に拠点を移したのは1991年のこと。2015年には、戦後すぐに蔵を再建した3代目・昌廣氏が自身の名前を冠して大ヒットさせた泡盛「まさひろ」にちなみ、社名を「まさひろ酒造」へと改めています。
ウイスキー造りにおいても、泡盛やジンで培った技術が存分に活かされています。蔵には4基のステンレス製スチルがあり、縦型スチルで造った泡盛をベースに、横型スチルで再留を行うといった独自の手法が、ウイスキーの原酒造りにも応用されています。
2023年10月には、オーストラリア産麦芽を原料に、横型蒸留器で蒸留した原酒をシェリー樽で貯蔵した「昌廣シングルモルトウイスキー NEWBORN 2023」をリリース。さらに同年末には、クラウドファンディング「CAMPFIRE」のリターンとして、創業140周年にちなんだ「140本限定」の特別モデルも発売されました。
特筆すべきは、沖縄という土地がもたらす熟成の速さです。亜熱帯気候の沖縄では、ウイスキーの熟成が通常の3倍も速く進むと言われています。この記念すべきニューボーンは140日という短い熟成期間ながら、沖縄の熱気に後押しされ、シェリー樽由来の香りを程よく纏った見事な仕上がりとなりました。
2024年には、このモルト原酒に自社蒸留のライスウイスキーをブレンドした「昌廣ブレンデッドウイスキー」も発売されるなど、その勢いは止まりません。現在は本格的なモルトウイスキー造りに向けた新建屋も完成し、蒸留設備の搬入も済んでいるとのこと。
泡盛の伝統と、南国・沖縄の気候を味方につけた「まさひろ酒造」のウイスキー。これからどんな驚きを私たちに届けてくれるのか、本当に目が離せませんね。
【2026年版】生産準備中のウイスキー蒸留所(2026年1月時点)
102,富良詩蒸留所

オーナー:軽井沢蒸留酒製造株式会社
生産準備中:2028年度の開業に向けて始動
所在地:北海道富良野市
公式HP:なし
北海道富良野市に2028年度、新たなウイスキー蒸留所「富良詩(フラリス)蒸留所」が開業予定です。これは軽井沢蒸留酒製造、西武ホールディングス、富良野市の三者による協定に基づくプロジェクト。名称は「富良野」と至福を意味する「BLISS」を合わせた造語で、多くの人々が集う旅の目的地となる願いが込められています。
施設は富良野の気候風土を反映した設計で、製造責任者は世界的に評価の高いマスターブレンダーのイアン・チャン氏が務めます。高品質なウイスキー製造に加え、見学ツアーやバー、レストランも併設予定。
近接する新富良野プリンスホテルなど西武グループのリゾート施設と連携し、地域全体の魅力向上を目指しています。
103,十勝蒸溜所

オーナー:十勝酒造株式会社(スコッチモルト販売株式会社、長谷川産業株式会社、株式会社信濃屋食品の3社が出資)
生産準備中:2026年を予定
所在地:北海道中川郡幕別町札内みずほ町160-72
公式HP:https://tokachidistillery.com/lp/
酒類の輸入卸のスコッチモルト販売(東京・板橋)や、長谷川産業(北海道帯広市)、食品スーパーの信濃屋食品(東京・世田谷)が出資する新会社「十勝蒸溜所」が開設を進める蒸溜所。
製造責任者は、本場スコットランドの4カ所の蒸溜所での経験を持つボブ・ストックウェル氏。十勝の風土を活かした伝統的なウイスキー造りを目指します。
蒸溜設備は世界的な実績を持つスコットランドのフォーサイス社製のポットスチル2基を導入。年間16万Lのニューメイクの生産を計画。
104,当別蒸溜所
オーナー:Whisky Student
生産準備中:2024年10月に会社設立。
所在地:北海道当別町
公式HP:なし
札幌市近郊の当別町で、日本最小規模のウイスキー蒸溜所の創業を計画中。2026年8月から生産開始を目指しています。
105,千歳蒸留所

出典:http://chitosedistillery.com/
千歳蒸溜所は、北海道千歳市に建設中の蒸溜所です。運営するのは、アメリカ・ケンタッキー州に拠点を置くウイスキーカンパニー「IJWウイスキー」の傘下であるシダーフィールド合同会社。グレーンとモルト、両方のウイスキー造りを予定しています。
この蒸溜所は、新千歳空港近くの千歳臨空工業団地内、約16万5000平方メートルの広大な敷地に建設されています。年間生産量は国内最大級の2000万リットルを計画。
蒸溜所建設に際しては、同社の施設立ち上げに関与した技術者が来日し、2022年から北海道に滞在。今後、アメリカからの人材派遣に加え、日本人技術者の雇用も予定。
外資系企業による大規模なウイスキー工場の建設は、北海道内では初の試みですが、原料から樽材に至るまで「オール北海道」を目指したウイスキー造りを計画中とのことです。
106,ねっか奥会津蒸留所
オーナー:合同会社ねっか
生産準備中:2026年を予定
所在地:福島県只見町
公式HP:なし
福島県只見町に拠点を置く「ねっか奥会津蒸留所」は、ユネスコエコパークにも認定されている「自然首都」、福島県只見町に位置する、地域資源を最大限に活用したライスウイスキー造りに挑戦している注強の蒸留所です。
016年に4人の米農家と1人の醸造技術者が設立した「合同会社ねっか」が運営。これまで製造してきた米焼酎「ねっか」に加え、ウイスキーという新たな資産を創り出すことで、只見の美しい田園風景を未来に残し、地域の雇用を創出することを目指しています。
2026年の生産開始を目標としています。
107,日光蒸溜所
オーナー:小林酒造
生産準備中:2026年を予定
所在地:栃木県日光市瀬尾
公式HP:なし
「鳳凰美田」の銘柄で知られる小山市の酒造メーカー、小林酒造が日光市に建設を進めているウイスキー製造拠点「日光蒸溜所」。日光市瀬尾にある公設地方卸売市場の跡地を活用して建設されています。
日光の美味しい水と気候に加え、中禅寺湖のミズナラの木を使った樽を使用するなど、地域の風土を活かしたウイスキー造りを予定しており、2026年10月頃から製造を開始し、3年間の熟成を経て、2029年12月頃の販売を目指しています。
108,大谷妙高蒸溜所(仮称)
オーナー:大谷
生産準備中
所在地:新潟県妙高市長森2113
公式HP:なし
新潟亀田蒸留所の親会社である「大谷」が、新潟県妙高市に新しい蒸留所を計画中。
109,三国蒸溜所
オーナー:ミクニ
生産準備中:2026年を予定
所在地:大阪市東成区東小橋1-16-24
公式HP:https://mikunidistillery.jp/
2024年から大阪初のクラフトジン「OSAKA GIN ORIJIN」の生産を開始しており、ウイスキーは2026年を予定。
110,Distillery Drift Mark
オーナー:Whiskey&Co.株式会社
生産準備中:2026年を予定
所在地:島根県隠岐郡海士町
公式HP:なし
島根県隠岐郡海士町に2026年春の開業を目指して準備が進められている「Distillery Drift Mark」は、Whiskey&Co.株式会社の第2号蒸留所として誕生。静岡県三島市の第1号蒸留所「Distillery Water Dragon」で培われた製造ノウハウを継承・発展させた、これまでにないジャパニーズ・バーボンスタイル・ウイスキーの製造を目指しています。
ウイスキーの製造施設にとどまらず、地域住民や観光客が集うコミュニティスペースや交流拠点となるカフェ&バーを併設し、島内外の交流を深める場としての役割も担う予定。
2025年6月からは地元のクロモジや崎みかん、海藻のアラメなどを贅沢に使用したクラフトジン「GodSpirits」の生産を開始。
ブロックチェーン技術を活用したトークンコミュニティプラットフォーム「FiNANCiE」を導入するなど、最新技術と地方創生を融合させ、伝統と革新が共存する次世代型のウイスキー蒸留所を目指しています。
111,瀬戸内アイランドウイスキー
オーナー:瀬戸内アイランドウイスキー株式会社
生産準備中:2027年を予定
所在地:山口県周防大島町
公式HP:なし
瀬戸内アイランドウイスキーが、山口県初のウイスキー蒸留所を設立。2027年に原酒の生産を始める予定。
【2026年版】日本のウイスキー蒸留所|その他(詳細不明)
112,札幌酒精工業 札幌工場
札幌酒精工業は1933年に札幌市で設立。「サッポロウイスキー」を販売していることで知られています。
北海道立総合研究機構が進めるウイスキープロジェクトの一環として、北海道産のトウモロコシを使用した北海道コーンウイスキー「Gold Quibis(ゴールドキビス)」を製造しています。
113,須藤本家

須藤本家は1885年(明治18年)創業の老舗酒蔵。2018年に千葉県内で初めてウイスキーの製造免許を取得し、ウイスキー造りをスタートさせています。
商品ブランドは「房総ウイスキー」。自社製のモルトとスコッチをブレンドしたワールドブレンデッドウイスキーとなります。
114,忍蒸溜所

出典:https://shingroupcorp.com/producers/shinobu-distillery/
オーナー: 新潟麦酒
創業年:2018年
所在地:新潟県新潟市西蒲区越前浜5120番地
公式HP:https://shingroupcorp.com/producers/shinobu-distillery
地ビール「ニイガタビア」を製造する新潟麦酒が経営する蒸留所。2017年にウイスキーの蒸留免許を取得し、海外原酒をミズナラ樽でカスクフィニッシュしたウイスキーなどをリリースしています。
忍蒸留所の蒸留器は、自社で改造したモルトウイスキーの製造用としては珍しいステンレス蒸留器と、ドイツ製のポットスチルを使用しています。
115,南アルプスワインアンドビバレッジ 笛吹工場
オーナー:南アルプスワインアンドビバレッジ(徳岡ホールディングス)
創業年:2015年
所在地:山梨県笛吹市
公式HP:http://minamialpswandb.jp/
親会社の「徳岡ホールディングス」は1874年創業の酒類の専門会社。140年以上の歴史があります。ワインをはじめ、ウイスキー、ジン、清涼飲料水なども製造。
ウイスキーの製造は2015年10月から。「蜂角鷹」「角鷹」というブランド名でリリース。
116,韮崎御勅使蒸留所
韮崎御勅使(にらさきみだい)蒸留所は山梨県韮崎市に位置しており、富士山のふもと、富士川の支流である「釜無川」と「御勅使川」が合流する場所にあります。御勅使川は「水出川」とも呼ばれ、この合流地点は、過去に水害が頻発する地域でもありました。戦国大名の「武田信玄」によって治水が行われ、「信玄堤」として知られる堤防が完成し、水害の被害は少なくなります。
1976年創業の「サン.フーズ」が2014年からウイスキーの製造を開始。蒸溜所内ではウイスキーの他、みりんや料理酒の製造も行われています。「韮崎(にらさき)」「御勅使(みだい)」「富士ヶ嶺(ふじがね)」などのブランドをリリース。
117,飯山マウンテンファーム蒸溜所

長野県の最北端に位置する飯山市の自然に抱かれた場所に、イタリア人の情熱と日本の大地が融合した非常にユニークな蒸留所があります。それが飯山マウンテンファーム蒸留所です。
こちらを運営するきよかわ株式会社を率いるのは、イタリア人のルーベン・デビッド・トライアーノさんです。デビッドさんはアジア各地でお酒の輸入や卸を営んでいましたが、オーストラリアのタスマニア島でウイスキー造りを経験したことをきっかけに、自ら造り手の道へ進むことを決意しました。2016年に会社を立ち上げ、2019年に蒸留を開始、2022年に現在の名称へと変更しています。
デビッドさんは農業法人モストファームも経営しており、蒸留所に隣接する2ヘクタールの畑や山間の休耕地を活用して、大麦のゆきはな六条や小麦、さらにはグレーン用の米や蕎麦まで栽培しています。ウイスキーの原料をできるだけ国産、それも自分たちの手で育てたものを使いたいという、農園一体型のスタイルはまさに理想的といえますね。
蒸留所の設備を見渡すと、まるでイタリアの風が吹いているようです。日本で初めてとなるイタリアのフリッリ社製のポットスチルを導入しており、その名前もとても印象的。初留器には森太郎、再留器には森姫というネームプレートが付いています。なんともチャーミングで、造り手の愛着を感じさせます。
また、イタリアのガルベロット社製のオーク材を使用した発酵槽や、日本初登場となるポラリス社製の全自動ボトリング機を備えるなど、細部にまで徹底したこだわりが貫かれています。
当初は小型のハイブリッドスチル1基でジンやウォッカも造っていましたが、2024年10月にはついに新しいフリッリ社製のスチルでの初蒸留が行われました。さらに驚くことに、現在は隣接地域に戸狩温泉蒸溜所も建設中。そちらでは米や小麦を使ったグレーンウイスキー造りを目指しているとのことで、飯山の地から世界を驚かせるブレンデッドウイスキーが生まれる日も、そう遠くないかもしれません。
118,養老蒸溜所
1806年創業の老舗日本酒蔵「玉泉堂酒造」の蒸留所。1946年には早くもウイスキー免許を取得し、焼酎用のスチルをウイスキー用に改造したものを使用してウイスキーを生産していました。80年代以降は生産を休止していましたが、2018年から蒸留を再開しています。
2024年には、シェリーカスクで5年間熟成させたシングルモルトウイスキー「ピークモルト美濃養老」を発売。
119,富士かぐや蒸溜所

出典:https://fujispark.com/77024/
静岡県富士市にある「エスプラット フジスパーク」内に開設された蒸留所。この複合リゾート施設はスポーツ施設、ホテル、レストラン、スパで構成されています。ウイスキーの蒸留所は地ビール「富嶽麦酒」の醸造所と併設。ホヤ社製のポットスチルが導入されています。
120,京都みやこ蒸溜所
京都初のウイスキー蒸溜所である「京都みやこ蒸溜所」は、2020年にウイスキー製造免許を取得した京都酒造の所有する蒸溜所です。
京丹波町は丹波高原に位置し、長老ヶ岳などの山々に囲まれています。蒸溜所のすぐそばには由良川が流れ、豊かな自然に恵まれています。京都みやこ蒸溜所が位置する京丹波町は、高原気候の影響を受けており、昼夜の寒暖差が大きい特徴があります。この寒暖差により、樽熟成は促進されます。
京都みやこ蒸溜所のポットスチルは「ストレート型」と「バルジ型」の2種類を使用しており、ストレート型のポットスチルで蒸溜されたウイスキーは、素材の特徴を際立たせた味わいになり、一方でバルジ型はクリアでまろやかな口当たりをもたらします。異なるタイプのポットスチルを使用することで、小規模ながらも多様性のある原酒を生み出すことができます。
ウイスキーは「京都ウイスキー西陣織ラベル」シリーズを発売。京都の伝統工芸品である「西陣織」をラベルに起用し、ラベルを帯に見立てた華やかなラベルデザインのウイスキー。原酒は国産モルトが使用されていますが、京都みやこ蒸溜所産の原酒がブレンドされているかどうかは分かりません…
2024年には初となる自家蒸留のシングルモルト「京都シングルモルトウイスキー」を限定リリースしています。
121,藩蔵屋敷 北新地CO・LABO
2021年に設立された「藩蔵屋敷」が、2023年に大阪市内に実験的な工房(ラボ)として機能する蒸溜所を開設しました。この工房には醸造設備や蒸留器が備えられており、クラフトビール、ウイスキー、ジンなどの製造を始めています。
122,吉備蒸溜所
オーナー:ヨイキゲン株式会社
創業年:?
所在地:岡山県総社市清音上中島372-1
公式HP:https://www.yoikigen.com/company.html
岡山県総社市、風光明媚な吉備の里で100年以上の歴史を誇る老舗酒蔵、ヨイキゲンの手がけるウイスキー製造拠点、吉備蒸溜所。こちらの最大の強みは、なんといっても豪華な監修陣にあります。元サントリー白州蒸溜所の工場長を務めた木村俊一氏を顧問に迎え、業界最高峰の知見を詰め込んだウイスキー造りを目指しています。
蒸溜所としての特徴は、2,700平方メートルという広大な敷地を活かし、日本酒の醸造棟とウイスキーの蒸溜設備を併設している点。これにより、日本酒、ウイスキー、そしてビールの3カテゴリーすべてを製造できる、世界的に見ても非常に珍しく、かつ柔軟な体制を整えています。
123,八女蒸留所
株式会社喜多屋は、福岡県八女市本町に本社を構える酒造会社で、江戸時代末期の文政3年(1820年)に創業。「喜多屋」という社名は、「酒を通して多くの喜びを伝えたい」という創業者の志を反映しています。
すでに2021年にはウイスキー免許を取得し、2023年から本社工場の一部で蒸留を開始。ニューポットはすでに発売済。2025年にはクラウドファンディングを活用し、ウイスキー専用の「八女蒸留所」を開設。
124,山都蒸留所
山都蒸留所は「森の酒蔵」として知られ、焼酎の製造に従事している「山都酒造」のウイスキー蒸溜所。2017年にウイスキーの製造免許を取得し、2020年には「山都」というブランド名でシングルライスウイスキー「保之助」をリリースしています。
2022年には、グレーンウイスキー「蘇陽峡」、プレンデッドウイスキーの「国見岳」、玄米原料の「保之助シルバー」をリリース。
125,常楽酒造

大正元年創業の老舗本格焼酎蔵元「常楽酒造」は、アメリカ企業の委託を受けて米焼酎を樽熟成させた「KIKORI RICE WHISKEY」という商品を販売していましたが、2021年にウイスキー製造免許を取得。
そして、初のグレーンウイスキーとなる「RICE WHISKY 常楽」2022年12月に発売。この商品はドイツ産モルトと国産米を使用し蒸留したウイスキー原酒に、本格米焼酎を樫樽で熟成させた原酒をブレンドしたものとなっています。
また、2025年には国産米とモルトを原料につくったライスウイスキーと蜂蜜を合わせたウイスキー(ウイスキーベースのリキュール)「光穂 -mitsuho-」をリリースしています。
126,横川蒸留所

横川蒸留所は「薩摩さくら」、「蘭」、「東五」などの焼酎を製造しているアットスター株式会社が所有しています。2023年から焼酎用の蒸留器でウイスキー造りを開始。仕込み水には霧島山系の地下水を使用。
2024年には「シングルモルトウイスキー 霧島 -2.0 ニューボーン」をリリース。シェリー樽とワイン樽で熟成したモルト原酒を合わせています。

全126カ所の蒸留所を巡る旅はいかがでしたか。かつての模倣の時代は終わり、今は日本各地の風土がそのままボトルに詰め込まれる、まさに多様な表現の時代となりました。2026年を迎え、これから熟成を終えて世に出る原酒も多く、日本のウイスキーはさらに面白くなっていくはず。
この記事が、ジャパニーズウイスキーを知る道標になれば幸いです。

あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。
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