【2024年版】日本のウイスキー蒸留所114か所解説|宮崎県
99.SATO DISTILLERY
SATO DISTILLERYは、「天の刻印」や「銀の水」などで有名な酒造元「佐藤焼酎製造場」が所有する蒸溜所。2021年からウイスキーの製造を開始。
2022年にはニューボーン「Next 100 New Born The 1st Edition」をリリース。2023年には国産米を原料とした「延岡シングルグレインウイスキー」を発売しています。
100.尾鈴山蒸留所
尾鈴山蒸留所は宮崎県・尾鈴山の山中にある豊かな山の蒸留所。老舗焼酎メーカー黒木本店が2019年に創業しました。同メーカーは「百年の孤独」や「中々」などの有名な焼酎を生産。代表の黒木信作氏は「甦る大地の会」という農業生産法人も経営しており、焼酎やウイスキーの原料となる芋や大麦はすべて自社で調達しています。
大麦は「はるしずく」「はるか二条」という品種を使い、自社で製麦。製麦と言えば、スコットランドの伝統な製法「フロアモルティング」を思い浮かべますが、尾鈴山蒸留所ではそれができる設備がありません。
精麦は大きなプラスチック容器を使い浸麦し、温室(ビニールハウス)の中で手作業で行っているとのこと。「フロアモルティング」ならぬ「ボックスモルティング」。生産量を増やすことができない古式な製法ですが、愛情豊かにモルトがつくられているのに間違いありません。
自家製大麦麦芽を使用した仕込みは、1バッジ大麦麦芽800㎏。「手作業モルティング」の割には立派な生産量です。仕込み水は小丸川上流の硬度7.5度の超軟水。
発酵槽は宮崎県産の杉材でつくられたもので、焼酎と兼用。蒸留器も一部が焼酎と兼用で、ステンレス製の焼酎用蒸留器2基と、三宅製作所製のストレート型ポットスチルが1基。焼酎用で初留を行い、ポットスチルで再留しています。
2020年にはニューポット「OSUZU MALT NEW MAKE」、2021年には18か月熟成の「OSUZU MALT NEW BORN」、2022年には宮崎の桜の樽とアメリカンオーク樽で27か月熟成させたOSUZU MALT NEW BORN」をリリース。
そして2023年には、3年熟成となるジャパニーズウイスキーを発売。「OSUZU MALT Chestnut Barrel」は、アメリカンオークの樽に地元産の栗材を使用して熟成していま。同年10月に発売した「OSUZU MALT Cedar Barrel」は、宮崎県産の杉とアメリカンオークの樽で熟成させています。
尾鈴山蒸留所の開設に至っては、先代の社長 黒木敏夫さんがスコットランドのエドラダワー蒸留所に感銘を受けて決意したようで、その遺志を2代目が継ぎ生産されています。エドラダワーのように少人数・少量生産でこだわりのウイスキーを造る。まさに真のクラフトウイスキーとよべる蒸留所ですね。
尾鈴山蒸留所|おすすめのウイスキー
尾鈴山蒸留所 OSUZU MALT
尾鈴山蒸留所 OSUZU MALT
OSUZU MALT Cedar Barrel
OSUZU MALT Cedar Barrel
【2024年版】日本のウイスキー蒸留所114か所解説|鹿児島県
101.菱田蒸溜所 天星酒造(リカマンホールディングス)
創業は1901年の焼酎メーカーの蒸留所。老舗老松酒造から2010年に「天星酒造」と改称しています。2022年10月にウイスキー製造免許を取得し、敷地内でウイスキーの生産を開始。
仕込み水は平成の名水百選にも選定された「普現堂湧水源(ふげんどうゆうすいげん)」を源流から。この水は鹿児島県では珍しい硬度35度以下の超軟水で、地下100mからくみ上げた地下水となっています。
菱田蒸溜所はモルトウイスキーとグレーンウイスキーを製造しています。モルトウイスキーの仕込みは一度に700㎏の麦芽を使用。仕込みの割合は、モルトが主体で、グレーンウイスキーの割合は3~4割程。
モルトミルは中国製。マッシュタンはステンレス製が1基。一度の仕込みで得られる麦汁量は約3,000リットル。3回分の麦汁を一緒にして、1基の発酵槽に投入しています。発酵槽はステンレス製が5基。
焼酎とモルトウイスキーの蒸留には、ステンレス製の焼酎蒸留器1基が兼用されています。このスチルは常圧蒸留と減圧蒸留の両方が可能となっており、容量は6,000リットル。
さらに、もう1基、新しいハイブリッドスチルを導入しており、こちらはモルトウイスキーやグレーンウイスキーを蒸留しています。
102.さつま司蒸溜蔵
オーナー:ニッカウヰスキー(アサヒグループホールディングス)
創業年:2018年
所在地:鹿児島県姶良市加治木町諏訪町200
公式HP:https://www.asahibeer.co.jp/s-tsukasa-kura
ニッカウヰスキーさつま司蒸留蔵は、鹿児島県の錦江湾の北端、姶良市加治木町に位置している蒸留所です。1936年に創業。
以前は「始伊酒造」として知られていましたが、2002年にアサヒビールの傘下に入り、その後ニッカウヰスキーの子会社となります。2017年には「ニッカウヰスキーさつま司蒸留蔵」として再編されました。
ニッカウヰスキーさつま司蒸留蔵では、地元鹿児島産のさつま芋を使用した本格的な芋焼酎の製造に加えて、ニッカのブレンド技術や樽熟成技術を活かした新しい焼酎の製造にも取り組んでいます。
2018年からはグレーンウイスキーの製造をスタート。大麦を使った「グレーン」と、トウモロコシやライ麦を原料とした「コーンライグレーン」の2種類を製造しています。これらのウイスキーは、ニッカのディスカバリーシリーズ「ニッカ ザ・グレーン」の原酒に利用しています。
蒸留は2基の焼酎用ステンレス蒸留器を使用。「グレーン」は常圧で2回蒸留しています。
「コーンライ」の原料は「デントコーン」とライ麦。麦芽を加えて糖化と発酵を行っています。このウイスキーは「コーン」の風味がしっかりと効いた「バーボンタイプのグレーン」。コーンとライ麦の比率は、一般的なバーボンとほぼ同じ設定となっています。
熟成樽も使い分けており、「グレーン」にはホグスヘッド(バーボンバレルの組み替え)。「コーンライ」は内側を焦がしたホワイトオークの新樽(つまりバーボンウイスキーと同じ)も使用しています。
103.横川蒸留所
横川蒸留所は「薩摩さくら」、「蘭」、 「東五」 などの焼酎を製造しているアットスター株式会社が所有しています。2023年から焼酎用の蒸留器でウイスキー造りを開始しています。
104.小牧蒸溜所
小牧蒸溜所は薩摩半島北部、鹿児島県さつま町に位置しています。オーナー企業の「小牧醸造」は創業明治42年(1909年)。酒造のすぐ横には一級河川「川内川」が流れており、古くから米の集積地、水運の町として栄えてきた町にあります。
初めてウイスキーが蒸留されたのは2023年2月。小牧醸造は主に「小牧」や「一尚」といった芋焼酎で知られていますが、100年以上の歴史の中で何度も水害に見舞われてきました。特に2006年には川内川が大規模な氾濫を起こし、蒸溜所も冠水。その後、地元や全国からの支援を受け、数ヶ月後には焼酎の製造を再開します。
小牧蒸溜所は酒造の倉庫を改造したもので、外観は黒く塗られ、大きく”Komaki Distillery”と書かれています。仕込みは1バッチ麦芽1トン。主に英国のポールズモルトなどを調達しています。仕込み水は蒸溜所の裏手にある、山林の井戸水を使用。
スチルは初留と再留の計2基。それぞれの容量は6,000リットルと4,000リットル。発酵槽はステンレス製。小牧醸造の焼酎に利用している「和甕」を使い、ウイスキーのモロミを発酵させる実験も行っています。
2024年にニューポットの発売を予定。2025年にはビジターセンター設立を計画しています。
105.嘉之助蒸溜所
小正酒造は1883年に創業した老舗の本格焼酎メーカー。鹿児島県日置市の吹上浜の丘上に建てられたのが「嘉之助蒸溜所」。
世界に通用するウイスキーを造りたいと強い決意で始めた嘉之助は、社長 小正芳嗣氏の祖父の名前が名付けられています。2017年ウイスキー免許を取得し、同年11月から生産を開始しています。
仕込みは1バッチ麦芽1トン。6000リットルの麦汁を抽出できます。大麦麦芽はイギリス産をメインに、オーストラリア産や日本産も使用。ノンピーテッドから50ppmのヘビリーピーテッドまで、幅広いタイプを仕込んでいます。
生産設備の多くは三宅製作所のものが使われており、マッシュタン、ステンレス製の発酵槽、ポットスチルとすべて三宅製。発酵槽は床に埋め込まれているのスタイルで、焼酎の蔵と同じように作成されたことによるもの。どの蒸留所へ見学に行っても見ることのない、焼酎メーカーだからこその設計ですね。
ポットスチルはサイズが異なる3つのタイプあり、それぞれ容量、形状、ラインアームの角度が微妙に異なっており、多彩な原酒を生み出すことができるように工夫されています。一番大きいものは容量6000リットルのストレート型。中型は3000リットルのストレート型。小型は1600リットルのランタンヘッド型。大は初留のみ。小は再留のみ。中型は初留・再留どちらにも使用しています。
冷却装置は3基とも「屋内ワームタブ」となっており、日本の蒸留所としては珍しい方式です。これは、昔から使用している焼酎蒸留器がワームタブであるから。老舗焼酎蔵元として、ウイスキーに焼酎造りのエッセンスを採り入れることも目的となっています。
貯蔵庫はラック式が5棟あり、約3800樽を寝かせることができます。ボトリング設備は嘉之助蒸留所の中にはないため、車で10分ほどの場所にある小正醸造で行っています。
また、小正醸造では日置にある焼酎蔵でグレーンウイスキーの製造も行っています。焼酎用のステンレス蒸留器を使い、自社のモルトとグレーンの原酒をブレンドしたウイスキー(シングルブレンデッド・ジャパニーズウイスキー)を将来的にリリースする予定とのこと。
その他、「メローコヅル」と呼ばれるオーク樽熟成を施した米焼酎もつくっており、全量を樽熟成させた初となる商品として話題になっています。焼酎メーカーとしても新たな挑戦を続け、ウイスキー造りも積極的に行っています。
2018年にはニューポットを数量限定で発売し、その後8ヵ月間貯蔵した「嘉之助ニューボーン2018」を発売。2019年には16ヵ月間貯蔵の「嘉之助ニューボーン2019」。2020年にはイギリス産ピーテッド麦芽を使用した24ヵ月間貯蔵の「嘉之助ニューボーン2020ピーテッド」を発売。
2021年6月、待望の3年熟成「シングルモルト嘉之助2021 FIRST EDITION」をリリース。「東京ウイスキー&スピリッツコンペティション2022(TWSC2022)」では最高金賞を受賞。この年にはウイスキー製造部門を分社化し、「小正嘉之助蒸溜所株式会社」を設立し、ウイスキー大手「ディアジオ社」との長期的なパートナーシップを結んでいます。
2022年には「シングルモルト嘉之助 2022 LIMITED EDITION」の他、「嘉之助 蒸溜所限定ボトル#002~004」などを発売。
そして2023年1月には定番商品となる「シングルモルト嘉之助」をリリース。ノンピート麦芽で仕込まれたタイプで、熟成樽はアメリカンオークのリチャーカスクを主体に、複数の異なる樽で熟成した原酒をヴァッテッドしています。
嘉之助蒸溜所|おすすめのウイスキー
シングルモルト嘉之助
シングルモルト嘉之助
嘉之助蒸溜所 シングルモルト2023 LIMITED EDITION
嘉之助蒸溜所 シングルモルト2023 LIMITED EDITION
106.日置蒸溜蔵
嘉之助蒸溜所から車で10分ほどの場所にある日置蒸留蔵は、小正醸造のメイン工場として焼酎の製造を行っています。2020年からはグレーンウイスキーの製造をスタート。工場では8月~翌年1月までは焼酎の仕込みを行っているため、ウイスキーの製造は焼酎造りが終盤を迎える1月下旬頃から始めています。
仕込水は熊野神社・権現様の井戸水。原材料は二条大麦の「ノンピート麦芽」と「丸麦」。丸麦とは、大麦の外皮を取り除き、ぬかとなる部分を削った状態の大麦のことで、白米に混ぜて炊くと食べることもできます。
日置蒸留蔵には焼酎用の横型連続式蒸留機や、木樽蒸留器(蒸気直噴式)、銅製のストレート型ポットスチルも設備としてありますが、グレーンウイスキーの製造には焼酎用のステンレス製ポットスチル(6000リットル)を使用し、減圧蒸留が行われています。
近い将来、嘉之助状蒸留所のモルト原酒と日置のグレーン原酒をブレンドした、100%自社製造のブレンデッドウイスキーを販売する予定となっています。
107.御岳蒸留所
「御岳」は桜島の大部分を構成する山々の総称のことを言い、桜島の別称でもあります。御岳蒸留所が建設されたのは標高400mの丘陵地で、桜島を望む眺望にあることから名付けられています。オーナーは「富乃宝山」や「天使の誘惑」などの焼酎で有名な「西酒造」。
仕込み水は毎分1000リットルも湧き出るという良質な軟水。ワンバッチの仕込み量は1トン。大麦麦芽はノンピーテッドを基本とし、イギリス、オーストラリア、ベルギー産などを使用しています。
生産設備は全て三宅製作所製。発酵槽はステンレス。ポットスチルは初留が6000リットルのストレート型。再留は3000リットルのバルジ型。ラインアームは上向きで、ライトボディな酒質に仕上げています。
樽詰め度数は60%。熟成庫は3段の木組みのラック式で、床はコンクリート。3,000樽が貯蔵可能。
熟成にはシェリーカスクを中心に、バーボンバレルやミズナラ樽をはじめ、ニュージーランドのワイナリー「グラッドストーン・アーラー」のピノノワールカスク(赤ワインカスク)なども使用。そのほか、ソーヴィニヨン・ブランの白ワインカスクや、芋焼酎「天使の誘惑」の樽も使用し、多様な原酒造りを行う予定です。
108.マルス津貫蒸溜所
マルス信州蒸留所に次ぐ第2の蒸留所として、本坊酒造の創業の地である鹿児島県につくられたのがマルス津貫(つぬき)蒸溜所。 2016年11月からウイスキー造りは本格始動しています。
津貫蒸留所はマルス信州蒸留所がある長野県とは対照的な気候です。標高798 メートルの地にある信州は、年間平均気温11℃と冷涼なのに対し、本土最南端の鹿児島県にある津貫の平均気温は年間18℃と温暖。気温だけでみるとウイスキーの熟成には不向きに思えるかもしれませんが、津貫は周りを山々に囲まれた盆地であり、夏は暑く、冬が寒いのが特徴となっています。
寒暖差があることで、ウイスキーは信州とは異なった熟成スピードに。その差は原酒の個性に影響を与え、幅のある原酒造りを可能にすることができます。また、新設された「マルス屋久島エージングセラー」の平均気温は19℃となっており、これはマルスウイスキーの生産拠点3か所の中で最も高い数値。海に近い温暖な気候は、どのようなウイスキーを生み出すのかが注目されています。
仕込み水は蔵多山山系の湧き水を使用。仕込みはワンバッチ麦芽1.1トン。生産設備はモルトミルだけドイツ製で、他はすべて三宅製作所製。ステンレス製の発酵槽5基で仕込まれています。
ポットスチルは初留6000リットル、再留3300リットルで、どちらもストレート型。信州蒸留所は背の高いスチルを利用することで「クリーン&ライトボディ」な原酒を蒸留していますが、津貫は背が低い形状となっており、ラインアーム も下向き。信州とは対照的に「リッチ&ヘビーボディ」な力強い原酒造りを行っています。
また、ウイスキー以外にも「ハイブリッドスチル」で鹿児島県のボタニカルを使用したドライジン「和美人」も造っています。
熟成庫は実に多彩。ラック式の新しい貯蔵庫や、古い石蔵、そして津貫蒸留所と同じ年に開設した「マルス屋久島エージングセラー」でも原酒を貯蔵しています。屋久島では津貫と信州で造られた原酒を熟成されており、温暖な環境であることから、蒸留所に隣接する熟成庫とは異なる原酒を生み出すことができます。
2020年4月には津貫蒸留所初となる3年熟成のボトル「シングルモルト津貫ザ・ファースト」が発売され、あっという間に完売。2021年には第2弾のピーテッドタイプが発売され、こちらも好評でした。
2022年には「シングルモルト津貫2022エディション」を発売。これまでにリリースされたウイスキーは、どれも熟成期間の若さを感じさせない、完成度の高い仕上がりとなっています。津貫の特異な熟成環境によって、ジャパニーズウイスキーの新しい「常識」が作り出されるのは時間も問題かもしれません…
マルス津貫蒸溜所|おすすめのウイスキー
シングルモルト 津貫 2023 エディション
シングルモルト 津貫 2023 エディション
109.火の神蒸溜所
火の神蒸溜所は、薩摩酒造が枕崎市に設立したウイスキー蒸溜所。薩摩酒造は「マルスウイスキー」でおなじみの「本坊酒造」の関連会社で、現在は駒ヶ岳と津貫の2つの蒸留所と、山鹿蒸溜所も所有しています。本坊酒造グループとしては、火の神蒸溜所が4つ目の蒸留所となっています。
「火の神」という名称は、古事記に登場する「山幸彦」こと。山幸彦は神話伝説の世界で重要な存在。火の神地区は、この神話に登場する山幸彦が降り立った場所とされています。
火の神蒸溜所は、薩摩酒造の焼酎製造施設の一部を利用して2022年に設立。施設内には「クーパレッジ」があり、これはウイスキーのためでなく、長期貯蔵麦焼酎「神の河」を熟成するためのオーク樽を製造していたことから。焼酎メーカーとしては、専用の樽工場を所有しているのは珍しいこと。ウイスキー用の製樽も行われる予定です。
火の神蒸溜所では、モルトとグレーンの両方を製造しています。グレーンウイスキー用の蒸留機は2023年から稼働しており、仕込水は火の神地区周辺から採取された、硬度約80の地下水。
モルトウイスキーの仕込みは、ワンバッチ麦芽1.1トン。ノンピート麦芽を主体とし、約20〜25%はピート麦芽を混合する予定。麦汁の量は約5,500リットル。発酵槽はステンレス製で合計5基。
ポットスチルは初留と再留の2基。どちらも背の高いランタンヘッド型。初留には約5,500リットルの発酵槽分の麦汁が張り込まれ、再留のミドルカットは74%から61%まで。
マルスウイスキーの製造ノウハウを活かしつつ、データを取りながら様々な仕込みに挑戦していく予定とのこと。
110.大隅酒造
2004年に創業した大隅酒造の蒸留所で、2014年にサントリーグループの100%子会社となりました。2016年にウイスキー製造免許を取得し、生産を始めています。
大隅蒸留所が造った代表的なウイスキーが、2020年に発売された「エッセンス・オブ・サントリーウイスキー」シリーズ第4弾の「ライスウイスキー」です。米を主原料にし、焼酎用のステンレス製蒸留器で蒸留。ホワイトオークの樽で3年以上熟成しています。
サントリーとしては「本格ウイスキー」のラインナップでリリースした、初の米を原料とした商品。「エッセンス」シリーズから発売されたことには正直驚きました。
サントリーが経営する焼酎とウイスキーを生産する蒸留所として、今後も注目したいですね。
大隅酒造|おすすめのウイスキー
エッセンス・オブ・サントリーウイスキー ライスウイスキー(THE ESSENCE of SUNTORY WHISKY RICE WHISKY)
エッセンス・オブ・サントリーウイスキー ライスウイスキー(THE ESSENCE of SUNTORY WHISKY RICE WHISKY)
【2024年版】日本のウイスキー蒸留所114か所解説|沖縄県
111.許田蒸留所
那覇空港から車で1時間半程の距離にある名護市。沖縄本島の真ん中に位置しています。
許田蒸留所は甥縄を代表する酒類メーカー「ヘリオス酒造」によって設立したウイスキー蒸留所で、創業から2年後には生産をスタートさせています。1989年頃からはウイスキーの生産は休止状態でしたが、2016年に蒸留を再開しています。
ワンバッチの仕込み量は500㎏。仕込み水は蒸留所の裏手を流れる川の上流の水。硬度は80度。大麦麦芽はノンピーテッドから20ppmのミディアムピーテッド麦芽も使用しています。蒸留器は日本製で、初留、再留を容量3000リットルの同じ蒸留器で行っています。
2020年には初のシングルモルトウイスキー「許田カスクストレングス2020」を発売。イギリス産のピーテッド麦芽を使用しており、スモーキーなフレーバーのある沖縄産ウイスキーとして話題となりました。その後も2021年に「許田シングルカスク2021 Cask No.4248」、2022年には「許田シングルカスク2022 Rum Cask Finish_Cask No.4265」というシングルカスクのウイスキーを毎年リリースしています。
亜熱帯気候の沖縄で熟成したシングルモルトはどのようになっていくでしょうか。注目していきたいですね。
許田蒸留所|おすすめのウイスキー
シングルモルトウイスキー 許田 ラムカスクフィニッシュ
シングルモルトウイスキー 許田 ラムカスクフィニッシュ
112.州崎蒸溜所
1846年創業となる沖縄最古の蔵元。
洲崎蒸留所(洲崎工場)は2005年に建てられたもので、ステンレス蒸留器で泡盛を製造しています。2020年にウイスキー製造免許を取得し、スコットランド産の輸入原酒と樫樽貯蔵の13年古酒泡盛をブレンドした「新里WHISKY」をリリース。
2021年から自社製造のニューポットを発売。2023年には「シングルモルト 琉歌 NEW BORN 2023」をリリース。
113.今帰仁酒造
今帰仁酒造は、泡盛ブランドの「千年の響」と「美しき古里」で知られる酒蔵です。また、イムゲー造りも行っています。「イムゲー」とは、首里王府の管理下で造られていた泡盛とは異なり、庶民によって芋や黒糖で造られていた自家製蒸留酒のこと。
2023年にウイスキーの製造免許を取得。2024年からは海外向けの製品を製造する予定です。
114.まさひろ酒造
まさひろ酒造は1883年に創業され、泡盛の「古酒まさひろ」や「海人」、クラフトジン「まさひろオキナワジン」などを製造しています。
2023年には創業140周年を迎え、それを記念し自社でモルトウイスキーを製造することとなり、ウイスキーの製造免許し製造を開始。同年の末には、クラウドファンディング「CAMPFIRE」のリターンとして、初の自社蒸留ウイスキー「昌廣 ニューボーンシングルモルトウイスキー」を、140周年にちなんで、140本限定発売。
このボトルは熟成にシェリー樽を使用。140日間熟成させたニューボーンで、亜熱帯気候の沖縄は通常よりウイスキーの熟成が3倍速いとされていることから、短い熟成期間ながら樽香を程よく感じる仕上がりとなっています。
新しく蒸留所が創業することは、ジャパニーズウイスキー全体の発展につながると思います。新興蒸留所のウイスキー造りもそうですが、これまで歴史をつくってきてくれた老舗蒸留所の動向にも注目したいところ。
数年後には製造から3年以上経過した蒸留所が多くなり、シングルモルトジャパニーズウイスキーの発売ラッシュとなりそう。
スコットランドのように競合が増えて、日本のウイスキーのレベルが、これまで以上に上がっていくことは間違いありませんから、期待しつつ、応援もしていきたいですね♪
あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。
高級ジャパニーズウイスキーを定価で買うなら…
東急クレジットカード会員限定のウイスキー抽選販売がおすすめ!
- 山崎、白州、響などの希少なジャパニーズウイスキー抽選販売の参加が可能。
- 東急グループの他、提携先が豊富なのでポイントを貯めやすい。
- PASMOのオートチャージができる(一体型カードと通常カードの両方で利用可能)
- 年会費は初年度無料。次年度以降は1,100円。
コメント