- スペイサイドのシングルモルトスコッチウイスキー|ノッカンドオ Knockando
- スペイサイドのシングルモルトスコッチウイスキー|バルヴェニー Balvenie
- スペイサイドのシングルモルトスコッチウイスキー|ベンリアック Benriach
- スペイサイドのシングルモルトスコッチウイスキー|ベンリネス Benrinnes
- スペイサイドのシングルモルトスコッチウイスキー|ベンローマック Benromach
- スペイサイドのシングルモルトスコッチウイスキー|マッカラン Macallan
- スペイサイドのシングルモルトスコッチウイスキー|マノックモア Mannochmore
- スペイサイドのシングルモルトスコッチウイスキー|モートラック Mortlach
- スペイサイドのシングルモルトスコッチウイスキー|リンクウッド Linkwood
- スペイサイドのシングルモルトスコッチウイスキー|ロングモーン Longmorn
スペイサイドのシングルモルトスコッチウイスキー|ノッカンドオ Knockando
地域:スペイサイド
創業年:1898
MHD
ノッカンドオ(ノッカンドゥ)はスペイサイド・スペイ川中流地域にある蒸留所。ゲール語で「小さな黒い丘」という名だけあって、実際に蒸留所はスペイ川を見下ろせる丘の上に建っています。
年間生産量は140万ℓでしたが、2017年~2021年まで改修工事が行われており、生産能力は上がっています。コロナ禍の影響からで2021年からの蒸留はできませんでしたが、今後新しい設備で本格的な生産が始まります。
ノッカンドゥ 12年
ノッカンドゥ 12年
- アルコール度数:43%
- 楽天市場価格[2024年4月]:4,346円
「ノッカンドゥ(ノッカンドー)12年」はリフィル・バーボン樽で熟成した原酒をメインで使用しています。そのためボディはソフトでフルーティー過ぎないドライテイスト。
後から香ばしさとスパイシー、洋梨、バニラ、ヘーゼルナッツ、キャラメル。
クセはあまりありませんが、どことなくスコッチらしい風味。ブレンデッドのような軽快さではない、個性のあるスッキリ系スペイサイドモルト。
上位版の「ノッカンドゥ21年」となると一気にスタイルが変わるので、そうした変化もノッカンドゥの面白い所です。
スペイサイドのシングルモルトスコッチウイスキー|バルヴェニー Balvenie
地域:スペイサイド
創業年:1892
ウィリアム・グラント&サンズ社
ウィリアムグラント&サンズが所有する3つのモルト蒸留所の内の一つ。バルヴェニーはフィディックと同じ敷地内に存在しており、第二蒸留所という形で創業しました。1892年はフィディックが完成した5年後のこと。地元の領主の館だった建物を改造して建てられました。
バルヴェニーの特徴の一つとしては、現在でもフロアモルティングを行っているところ。この伝統製法を行っている蒸留所は現在ではほとんどありません。普段はトミントール産のピートで最初の12時間乾燥させ、残りは熱風で乾燥させた麦芽を使用しています。
バルヴェニー 12年 ダブルウツド
バルヴェニー 12年 ダブルウツド
- アルコール度数:40%
- 楽天市場価格[2024年4月]:6,796円
1993年に発売された「バルヴェニー12年 ダブルウッド」は、バルヴェニーブランドの生みの親でもある、モルトマスター「ディビッド・C・スチュワート」氏によって考案された後熟(カスクフィニッシュ)でつくられています。現在では多くのオフィシャルボトルでこの製法が利用されている訳ですが、80~90年代はまだ珍しい熟成方法の一つでした。
アメリカンオークのバーボン樽と、バーボン樽を組み替えてつくったホッグスヘッドで12年以上熟成させた原酒を合わせ、スパニッシュオークのオロロソシェリー樽で9か月間フィニッシュ。
また、バルヴェニーの特異な製法として、さらにその後、オークで作られたの「大桶」にウイスキーを詰め替えて、3~4カ月間かけて「マリッジ」をさせています。
マリッジは他の蒸留所でも行っていますが、通常はウイスキーの風味が完成段階で変わらないように、樽からの成分流失が無いよう「ステンレスタンク」を使用します。しかし、バルヴェニーでは最後の数ヶ月もあえてオーク材で寝かせることで、絶妙なバランスを作り出しています。
スペイサイドのシングルモルトスコッチウイスキー|ベンリアック Benriach
地域:スペイサイド
創業年:1897年
ブラウンフォーマン社
ベンリアックは1897年にロングモーンの創業者であるジョン・ダフによって創業されました。しかしウイスキー不況の影響から1900年には閉鎖。そこから長きにわたって蒸留が再開されることはありませんでしたが、1966年にシーバス社(当時はザ・グレンリベット・グレングラント蒸留会社)が買収したことで再び生産を開始。そして現在はアメリカのブラウンフォーマン社が経営しています。
ベンリアックはスパイサイドでありながら、ヘビリーピーテッドのモルトでも仕込むことで有名です。これは、近年のスモーキーモルトのブームに乗っかった訳ではなく、シーバス社時代にシーバスリーガル用のスモーキー原酒が必要であったことから、定期的に仕込まれるようになったようです。
ベンリアック 12年
ベンリアック 12年
- アルコール度数:46%
- 楽天市場価格[2024年4月]:5,236円
「ベンリアック 10年」はシェリー樽、バーボン樽、新樽の原酒をあわせていますが、「ベンリアック12年」は新樽の代わりに「ポートワイン樽」を使用。10年よりもフルーティーさとスパイス、酸化熟成のニュアンスが混じり合った複雑さを生み出しています。
ベンリアック蒸留所では2013年から伝統的な製麦「フロアモルティング」を再開しています。そのため近い将来、フロアモルティングでつくられた貴重な原酒をブレンドした商品が出回る思います。
ウイスキーの味わいを決定づけるのは「熟成樽」だという意見が大半ですが、ベンリアックのように自家製麦にこだわったり、地元産の大麦を使用するなど原料にこだわる蒸留所も増えてきています。熟成樽の間違いなく重要な要因ですが、ウイスキーの原料である大麦麦芽(モルト)にこだわりを持った蒸留所の商品が、近年評価を受けていることを考えると軽視はできませんね。
スペイサイドのシングルモルトスコッチウイスキー|ベンリネス Benrinnes
地域:スペイサイド
創業年:1826
MHD
ベンリネスのはスペイサイドで最も高い山、ベンリネス山の麓にある蒸留所。創業は1826年。ウイスキー不況の影響を受けオーナーは次々とかわっていき、1925年からディアジオの傘下となります。
ベンリネスは1966年から2009年まで仕込みの一部に3回蒸留を採用していました。数多くあるスペイサイドの蒸留所のなかでもごく一部とはいえ、3回蒸留をしていたのは珍しいといえます。
当時からディアジオ社所有の蒸留所はたくさんありましたから、その中からベンリネスが選ばれ実験的に行われていたのかもしれません。現在は一般的な2蒸留となっています。
ベンリネス 15年
ベンリネス 15年
- アルコール度数:43%
- 楽天市場価格[2024年4月]:9,350円
2009年までは3回蒸留を行っていた、スペイサイドでも珍しい蒸留所。代表作は、やはり花と動物シリーズの「ベンリネス15年」。
味わいはドライでスパイシー。ハチミツ、洋梨、ソフトキャンディ。ミディアムボディで若干のスモーキーさとウッディネスな風味。酒齢15年ということもあって、樽からの甘みもあります。
シングルモルトとしてはほとんど出回らず、ボトラーズからのリリースも多くはないレアモルト。つかみどころの無い個性。確実に言えることは、シングルモルトとしてはクラシックなバランスで、現在の主流なオフィシャルボトルにはない落ち着きを感じます。
スペイサイドのシングルモルトスコッチウイスキー|ベンローマック Benromach
地域:スペイサイド
創業年:1898
ゴードン&マクファイル社
創業以来、次々とオーナーが変わり操業と休止が繰り返されてきました。ベンローマック(ベンロマック)は長い間安定したオーナー企業に恵まれていませんでしたが、1993年に老舗のボトラーズ会社、ゴードン&マクファイル社によって買収され、その後現在に至るまで安定した生産が行われています。
蒸留所は93年から改装を始め、5年後の1998年に完成・再稼働。創業が1898年ということですから、実に100年が経過してようやくウイスキーがしっかりつくれる環境になったということになります。
ベンロマック 10年
ベンロマック 10年
- アルコール度数:43%
- 楽天市場価格[2024年4月]:7,387円
日本では2015年4月に発売された、ゴードンマックファイル社(GM社)がオーナーとなってから初めてリリースされたオフィシャルボトル「ベンロマック10年」。
GM社は、老舗ボトラーズ会社として、シングルモルトの魅力を発信し続けてきた訳ですが、ウイスキーの生産に携わることも願い続けていました。
その念願が叶ったのが1993年。ベンロマック蒸留所を買収し、その後5年の歳月をかけて蒸留所を復興させます。そして1998年にはウイスキーを生産を再開させ、2009年には「10年物」をリリースされます。
ベンロマック 10年は、シェリー樽とバーボン樽を使用し、オロロソシェリー樽でのフィニッシュを施しています。また、各バッチの一部を次のバッチに混ぜるという「ソレラ方式」を用いています。
香りは洋ナシ、りんご、ミント、ダージリンティー、モルトスナック、べっ甲飴、かすかにピーティー。バランスのとれたスペイサイドらしさのあるアロマ。口に含むとモルティーでスパイシー。熟成感があり、少しずつピーティー。中盤以降はビターでドライ。アフターは複雑。
フルーティーなアロマですが飲むと印象が変わります。ほどよくピーティーでドライな飲み口。余韻にはスモーキーさは残らず、フレッシュな飲み心地。
ベンローマックは古典的なスペイサイドモルトといった印象。ストレート以外に、ハイボールも合いそうなバランスです。
スペイサイドのシングルモルトスコッチウイスキー|マッカラン Macallan
地域:スペイサイド
創業年:1824
エドリントングループ社
マッカランのこだわりと言えば、やはりシェリー樽。かつてはスパニッシュオークのオロロソシェリー樽のみを使用していましたが、現在はアメリカンホワイトオークのシェリー樽も使っています。
シーズニングは2~3年間で、それが終わってようやくスペイサイドへ運び、ニューポットが詰められて熟成に入ります。ここまでの工程が全てが「マッカラン仕様」となっている点が他の蒸留所にはない強いこだわりとなっています。
マッカラン12年 シェリーオーク
マッカラン12年 シェリーオーク
- アルコール度数:40%
- 楽天市場価格[2024年4月]:12,500円
「シングルモルトのロールスロイス」の異名を持つウイスキー。スペイサイドを代表するシェリーカスク100%でつくられた「マッカラン12年シェリーオーク」は、シェリー樽由来のフルーティーさがしっかりと表現されています。
マッカランと言えば…気になるフレーバーとしては「ゴム臭」が挙げられます。
「サルファリー」「セメダイン系」「硫黄」など、ネット上ではいろいろな表現をされていますが、昔のマッカランはこのフレーバーを強く感じることはありませんでした。
個人的には2010年以降から、マッカラン12年の味わいは激変していったようなイメージ。その頃から、ラインナップも「シェリーオーク」以外に「ファインオーク」や「マッカラン1824シリーズ(ノンエイジボトル)」など、次第に増えていき、テイスティングする度に、ますます「マッカランとは何か?」を考えさせられる時期が続きました。
現在はシェリーオークの他、「ダブルカスク」と「トリプルカスク」が流通しています。どちらも種類は違えども、原酒はシェリー樽100%となっていますから、マッカランと名乗る以上はシェリー樽でないと落ち着かないというのが、蒸留所側も理解できたのかもしれません(笑)
話は戻し、「ゴム臭」についてですが、このフレーバーをネガティブにとらえている方も多いのではないでしょうか?確かに昔の90~80年代のマッカランには無いフレーバーで、その頃を知る方からすればネガティブな香気成分と捉えられるのは必然です。
しかし若干のサルファリーが、熟成によって複雑さを与えているといった意見もあり、ウイスキー好きが集まればこの議論だけで一夜を過ごしてしまうかもしれませんね。
スペイサイドのシングルモルトスコッチウイスキー|マノックモア Mannochmore
地域:スペイサイド
創業年:1971
MHD
マノックモアはグレンロッシーの敷地内に第二蒸留所として建てられました。グレンロッシーと同様、ブレンデッドウイスキーの「ヘイグ」「ディンプル」のキーモルトとなる存在です。
蒸留所名のマノックモアとはゲール語で「大きな丘」という意味。蒸留所の南にあるマノックヒルから名付けられ、仕込み水にはマノックヒルを水源とするバードン川の水が使用されています。
マノックモア12年
マノックモア12年
- アルコール度数:43%
- 楽天市場価格[2024年4月]:8,778円
花と動物シリーズ「マノックモア12年」のラベルに描かれているのは「グレイト・スポッテッド・ウッドペッカー」。和名は「赤啄木鳥(アカゲラ)」という啄木鳥の仲間。
ウイスキーはライトテイストで、若干クリーミー。後半はドライ。全体的にはクリーンな印象で、ブレンデッドウイスキーのキーモルトとしては扱いやすいことが理解できます。
オフィシャルは「花動」のみ。蒸留所としてはマイナーですが、ボトラーズからのリリースは結構あります。
熟成に耐えれるタイプには思えないんですが、長期熟成のボトルもあるので飲んでみたいですね。
スペイサイドのシングルモルトスコッチウイスキー|モートラック Mortlach
地域:スペイサイド
創業年:1823
MHD
モートラックでは原酒を3種類に造り分けています。
まずは通常の2回蒸留。もう一つは初留液のアルコール分の高い部分(蒸留開始直後の部分)を再留したもの。そして3つ目はアルコール分の低い蒸留液を集めて3回蒸留したもの。複雑な原酒造りのシステムから、モートラックは2回蒸留でも3回蒸留でもなく「2.81回蒸留」と言われています。
モートラック12年
モートラック12年
- アルコール度数:43.4%
- 楽天市場価格[2024年4月]:6,930円
2019年に発売された「モートラック12年」は、リフィルシェリー樽とリフィルバーボン樽の原酒をブレンドしています。
ルームフレグランス(サンダルウッド)、バニラ、レザー、タフィー、チョコレート、ドライフルーツ、ナッツ。
スペイサイドモルトの中ではボディに厚みがあって個性的なタイプ。フルーティーなアロマ以外も感じることができ、複雑なバランスです。
モートラックの個性は好みは分かれるかもしれませんが、加水に対しても比較的に強いウイスキーなので、シーンを問わず楽しむことができると思います。
スペイサイドのシングルモルトスコッチウイスキー|リンクウッド Linkwood
地域:スペイサイド
創業年:1821
MHD
地元の銘家であるピーター・ブラウンが1821年に創業。以後100年程はブラウン一族によって家族経営が続きますが、1936年にDCL社が買い取り、現在までディアジオ社の所有となっています。
リンクウッドと言えばオフィシャルボトル「花と動物シリーズ」に描かれている白鳥が印象的。冷却水を貯めている池に毎年飛来してくるところから、蒸留所のマスコット的な存在。ラベルだけでなく、キルン塔の風見鶏や倉庫の扉などにも白鳥のデザインが使用されています。
リンクウッド 12年
リンクウッド 12年
- アルコール度数:43%
- 楽天市場価格[2024年4月]:9,000円
白鳥が描かれたラベルが印象的な「リンクウッド12年」。
お客様から「スワンボートが描かれたボトル…」と言われたことがありますが、「いやいや、スワンボートじゃなくてスワンです(笑)」と訂正した過去があるのは私だけでしょうか…
青リンゴ、洋ナシ、蜂蜜、バニラ、パイナップル、レモンタルト、ミント。バランスのとれたアロマで親しみやすさがあり、豊潤。若干のピーティーさがスペイサイドモルトらしい個性を形成しいます。花と動物シリーズの中でも完成度の高い1本。
リンクウッドはシングルモルトとしての評価が高い割には、これまでリリースされたオフィシャルボトルがほとんど無いのが不思議ですね。
スペイサイドのシングルモルトスコッチウイスキー|ロングモーン Longmorn
地域:スペイサイド
創業年:1894
ペルノリカール社
1894年に地元の実業家によって創業。ロングモーン蒸留所の周辺は大麦の一大産地であったことも、この地でウイスキー造りが行われた理由の一つ。
しかし環境に恵まれていながらも、1900年にオーナー会社は倒産。その後1970年まではグラント一族の経営。1978年にはカナダのシーグラム社の傘下に。現在はシーグラム社の酒類事業を引き継いだペルノリカール社が所有しています。
1919年にはニッカウヰスキーの創業者、竹鶴政孝が1週間だけ修行したことで知られています。ロングモーンはマッサンが初めて本格的なウイスキー造りを眼にした記念すべき蒸留所でもあります。
ロングモーン 18年
ロングモーン 18年
- アルコール度数:48%
- 楽天市場価格[2024年4月]:29,854円
ロングモーン 18年は『シークレット スペイサイドコレクション』の一つとして2020年から発売されているボトルです。熟成樽はアメリカンオークのバレルとホグスヘッドを使用。
洋梨、りんご、バニラ、コーンスナック、若干の燻製香。口に含むと甘くてビター。中盤以降はドライで力強い味わいです。
ロングモーンは熟成年数によって印象がかなり変わるイメージがあります。スペイサイドモルトの中では割とピーティーに仕上がっているため、酒齢に伴ってフェノール値が落ち、フレーバーのバランスが変わることで、ウイスキー個性に多様性がうまれているような気がします。
スペイサイド地域の蒸留所は、主にブレンデッドの原酒をつくる目的でウイスキーを生産しています。オフィシャルボトルは沢山ありますが、展開しているラインナップの数は蒸留所によって差があります。たとえば、花と動物シリーズとしてリリースしている蒸留所のほとんどが、オフィシャルボトルとしては「花動1本のみ」としています。
また、今回ご紹介していない「ストラスアイラ」などの一部の蒸留所は、ブレンデッドウイスキー用の原酒を確保するために、シングルモルトの生産を休止(終売)している場合もあります。シングルモルトファンとしては、「ブレンデッドよりもシングルモルトに原酒を回してくれ!」と思ってしまいますよね。
スペイサイドは魅力的なオフィシャルボトルがまだまだ沢山あります。ぜひお近くのバーやご自宅で飲んでみて下さい♪
あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。
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