【2023年5月 秩父蒸溜所見学】イチローズモルトのウイスキー造りを解説|テイスティング(無料)
最後はビジター施設に戻り、お待ちかねのテイスティング。
ちなみに現在ビジター施設となっている建物は、昔「ブレンダー室」として使用していたそうです。その名残で、棚にはたくさんの原酒サンプルがありました。
まずは、「レッドワインカスク」「ミズナラウッドリザーブ」「ダブルディスティラリー」「イチローズモルト&グレーン」「リミテッドエディション」「クラシカルエディション」「秩父・ザ・ピーテッド」のスタンダードボトル7本がお目見え。
大変ありがたいのですが、バーホワイトオークに全てあるので、今回はパス(笑)
限定ボトルのシングルモルト「秩父・ザ・ピーテッド」も飲めることには驚きました。秩父のシングルモルトは非常に高値で取引されています。現在、Amazonでは10万円くらいの値が付いているヤバイやつです(笑)
今回は、秩父蒸溜所でしか飲むことのできないシングルカスクウイスキーを6種類テイスティングさせて頂きました。もちろん全て非売品です。
- バーボンバレル
- シェリーカスク
- ミズナラカスク
- 第2蒸溜所のバーボンカスク
- IPAビールカスク
- マデイラカスク
バーボンバレルの10年物。
バーボンバレルのウイスキーは、秩父蒸溜所で最も優先的に造っている原酒となります。
バニラ香と洋梨のようなフルーティーさ。フィニッシュはドライ。加水すると甘さが引き立ち、バーボンバレル由来の樽香がさらに開きます。
6種の中では最もバランスのとれているタイプ。ブレンドの「核」となる原酒のように感じました。
秩父の10年物を飲むなんて、一生無いと思っていました。ホントに感謝。お金を払いそうになりました(テイスティングは無料です 笑)
ファーストフィルのスパニッシュ・オロロソシェリー・ホグスヘッド。12年物。
秩父蒸溜所のシェリーカスクは初めて飲みましたが、非常によくできています。
レーズン、ナッツ、ダークチョコレート、キャラメル、コーヒー豆の香り。口に含むと濃厚で甘さがあり、中盤以降はビター。フィニッシュにかけてもオロロソシェリーの豊かなでリッチな風味が長く続きます。
加水しても骨格があっておいしいのですが、アルコール58度の状態でもナチュラルに広がります。
あくまでも個人的な主観ですが…「グレンファークラス」や「エドラダワー」のシェリーカスク・カスクストレングスに似ているような感じがしました。
ミズナラの新樽。5年物。樽工場でつくった自家製樽です。
ミズナラらしいオリエンタルな風味…という表現で良いのかわかりませんが、ホワイトオークでは表われない独特なアロマが、このミズナラカスクには間違いなく存在しています。
秩父蒸溜所のミズナラカスクは初めて頂きましたが…「初めて飲んだ感覚」というよりは、イチローズモルトのリーフシリーズ(ミズナラウッドリザーブとダブルディスティラリーズ)などで感じる、どこか馴染みのある風味。「イチローズモルトってこれだよな」と思ってしまう感覚。
既存のイチローズモルトにミズナラ原酒がどのくらいの割合でブレンドされているのかはわかりませんが、ミズナラ樽がイチローズモルトの味わいに大きな影響を与えていることが理解できました。
ミズナラカスクのウイスキーは「長期熟成で美味しくなる」という定説がありますが、短期熟成でもそのポテンシャルの素晴らしさを感じました。
秩父蒸溜所のミズナラカスクはすごい。おいしい。
ファーストフィルのバーボンバレル。秩父第2蒸留所で造られた3年物。
2019年の操業初年度に蒸留した原酒を飲むことができて大変光栄です。原酒としてはまだ若いので、秩父第1蒸溜所との違いがはっきりと分かる訳ではありませんが、この時点ではクリアでスムース。
この直前までテイスティングしていた原酒(バーボン、シェリー、ミズナラ)が個性的で力強かったこともあってか、アルコールが強い割にはさっぱりとしています。しかし加水するとフレーバーが開き、カスクストレングスの状態とはかなり違った印象。麦芽の香ばしさ、樽香、フルーティーでエステリーなアロマ。
3年物でこのクオリティーなので、第2蒸溜所の原酒も、比較的早く熟成が進むと思います。
IPAビールカスクの8年物。志賀高原ビールのファーイーストIPAの樽でフィニッシュ。
後熟の期間を調べて頂いたら、バーボンバレルで3年熟成させた後、ビールカスクに入れ替えて5年寝かせているとのこと。フィニッシュというよりは、ほぼIPAビールカスク熟成といった感じでしょうか。
香りは完全にビール。ビールカスクのシングルモルトウイスキーは何度か飲んだことがありますが、ここまでビールのアロマを強く感じるものは今までありませんでした。
モルティーでドライフルーツと柑橘のようなアロマ。口に含むとやっぱりビールのような香りが広がりますが、IPAビールのような苦味はありません。どちらかというと甘みがあって口当たりもなめらか。
加水してもビール(笑)ほかに表現がなくてすみません…
このウイスキーをハイボールにしてブラインドテイスティングしたら、ホントにビールと間違ってしまうと思います。
ウイスキーとしては極端な個性。賛否両論あるかとは思いますが、個人的には好き。IPAビールカスクならではの豊かな風味は、構成原酒としての可能性を大いに感じますね。
マデイラワインのホグスヘッド。11年物。
マデイラとはポルトガル領のマデイラ島で造られている「シェリー酒」や「ポートワイン」と並ぶ、世界三大酒精強化ワインの一つ。最近ではシングルモルトの熟成用に、マデイラの空き樽を利用することが多くなっています。
秩父のマデイラカスクも飲むのは初めてでした。ドライフルーツ、ナッツ、ベリー系統のフルーティーさとキャラメル香。オロロソシェリーと似た系統の風味を感じますが、マデイラカスクのほうがフレッシュなアロマが主体。
口に含むと甘くてまろやか。加水後はさらにフルーティー。フィニッシュはしっかりとドライにまとまりますが、タンニン分は少なめでビターに感じません。
最後にテイスティングしたマデイラカスクは、ここまで飲んできた5種類とも違ったスタイル。構成原酒としても面白いのですが、このままシングルカスクとして飲んでもいい感じ。販売してほしいウイスキーですね。
【2023年5月 秩父蒸溜所見学】イチローズモルトのウイスキー造りを解説|一般見学が可能になる日は来るのか?
秩父蒸溜所では2023年現在、一般見学を行っていません。
国内外で非常に人気のある「イチローズモルト」を製造する秩父蒸溜所は、今や日本を代表するウイスキーの蒸溜所。しかし蒸留所の規模は小さく、仮に見学ツアーを行うとしても、一日に受け入れられる人数は制限されます。一般見学を受け入れると、おそらくツアーの予約は数年先まで埋まってしまうことでしょう。
では今後、一般見学ができるようになるでしょうか?
結論 現状では難しいと思います。
なぜなら、一般の方を受け入れるための設備が十分とは言えないからです。
まず第1蒸溜所ですが、非常にコンパクトにできた小規模蒸溜所ですので、一度に見学できる人数は10人程度が限界。見学ルートが整備されている訳ではなく、配管などの設備に気を配りながら見学しなければなりません。
当然、自由見学などは無理がありますし、見学者が少人数だとしても、ツアーを担当するスタッフさんは複数人必要です。小規模な蒸溜所なので人員的にも大変ですね。
そうしたことを踏まえると、不徳的多数の見学者にルールを守ってもらいながら見学してもらうことは、蒸溜所にとって負担が大きいでしょう。
一般見学を待ち望んでいる方からすれば残念だとは思いますが、とりあえず今は、秩父蒸溜所を応援する気持ちでウイスキー造りに専念してもらい、一般見学可能となる日が来るのを心待ちにしましょう♪
ちなみに私の場合は、蒸溜所を見学することが決定してから半年くらい待ちました(笑)
【2023年5月 秩父蒸溜所見学】イチローズモルトのウイスキー造りを解説|おすすめの銘柄紹介
イチローズモルトは品薄状態が続いていますが、まずこの4本は飲んでほしい、おすすめのウイスキーです。
イチローズモルト&グレーン
イチローズモルト&グレーン
楽天市場価格(2024年1月):4,840円
イチローズモルトのフラッグシップボトル。海外原酒と秩父蒸溜所のモルトウイスキーをブレンドした「ワールドブレンデッドウイスキー」。海外原酒は主にラック式貯蔵庫で熟成させているので、現在のモルト&グレーンに利用している原酒は、主に第7貯蔵庫から調達していると考えられます。
イチローズモルト ダブルディスティラリーズ
イチローズモルト ダブルディスティラリーズ
楽天市場価格(2024年1月):15,000円
イチローズモルトの定番商品の中で唯一となる「ジャパニーズブレンデッドモルトウイスキー」。海外原酒は使用せず、秩父蒸留所と閉鎖した旧羽生蒸留所の原酒のみをブレンドしています。
イチローズモルト ミズナラウッドリザーブ
イチローズモルト ミズナラウッドリザーブ
楽天市場価格(2024年1月):15,400円
秩父蒸留所と海外のモルト原酒をブレンドした「ワールドブレンデッドモルトウイスキー」。原酒をミズナラ樽でマリッジ(後熟)を施しています。自家製のミズナラ樽は秩父蒸溜所こだわりの熟成樽。イチローズモルトを知る上で、ミズナラウッドリザーブを飲まずにはいられません。
イチローズモルト ワインウッドリザーブ
イチローズモルト ワインウッドリザーブ
楽天市場価格(2024年1月):12,650円
秩父蒸留所と海外のモルト原酒をブレンドした「ワールドブレンデッドモルトウイスキー」。フレンチオーク(赤ワイン樽)で後熟。ワイン樽は国産・海外産にこだわらず、良質なものを幅広く調達しています。
今回の見学で、秩父蒸溜所と秩父第2蒸溜所の生産設備・製造方法について、いろいろと学ぶことができました。
今や日本を代表するウイスキー「イチローズモルト」は、小規模でありながらも情熱とこだわりをもって造られています。秩父蒸留所のウイスキー造りの素晴らしさに感動しました。世界を驚かせるような銘酒は、これからも次々と生まれていくとこでしょう。
見学でお世話になったスタッフの皆様、お忙しい中対応して頂き、本当にありがとうございました!
あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。
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