アイリッシュウイスキー蒸留所51カ所解説|Waterford ウォーターフォード
ウォーターフォード
地域:アイルランド共和国・ウォーターフォード
創業年:2015
WATERFORD DISTILLERY
ウォーターフォードは古くから栄えた港町で、ヴァイキングによって10世紀に築かれた歴史を持ち、ガラス工芸の町としても知られています。蒸留所で製造しているウイスキーは、モルトとグレーンの2種類。モルトウイスキーはスコッチタイプの製造方法。2基のポットスチルで2回蒸留が行われています。
ウォーターフォード蒸留所は、元はギネスビールの工場でしたが、マーレイマクダビット社のマーク・レイニエー氏によって買い取られ、ウイスキー蒸留所に改造。スコッチでもあまり取り入れられていない「テロワール」を意識するウイスキー造りを行っています。
マーク・レイニエー氏は、アイラ島のブルックラディ蒸留所の復活に尽力した人物です。2011年に、ブルックラディはレミーコアントロー社に買収され、それを機にマーク氏はアイラ島を離れて南アイルランドに移ることになります。蒸留所のポットスチルは、ブルイックラディから運んできたものを導入しており、その他、ウイスキー製造にはブルイックラディ蒸留所での経験が活かされています。
ちなみにブルイックラディといえば、スコッチとしてはかなり早くから、地元産の大麦を使用したウイスキー造りを行っています。アイラ島の大麦麦芽を使用することで、これまでスコッチにはなかった「テロワール」を意識し、「原料の大麦から全てがアイラ産」といった商品をリリースしています。
ウォーターフォード蒸留所では、ブルックラディで行ってきたテロワールの概念をさらに進化させる形で導入しています。アイルランドの99カ所の農家と契約し、ウイスキー仕込みは農家ごとに、異なる品種別に行われています。仕込み段階でここまでこだわりのある蒸留所は他にはありません。ワイン造りで行われているような徹底した醸造(麦汁造り)が行われています。
蒸留所のスチルハウスには最新技術が導入されており、壁にはアイルランドの地図が電光パネルとして表示され、現在蒸留中の農家が表示される仕組みになっています。
ボトリングも農家別や品種別に行われ、これを「シングルファーム・オリジン」と呼んでいます。これらのウイスキーは2020年からリリースされ、第4弾と第5弾は日本でも発売されています。
「Waterford ウォーターフォード」おすすめのウイスキー
ウォーターフォード シングルファーム オリジン レイクフィールド
ウォーターフォード シングルファーム オリジン レイクフィールド
ウォーターフォード シングルファーム オリジン フックヘッド
ウォーターフォード シングルファーム オリジン フックヘッド
ウォーターフォード シングルファーム オリジン シーズタウン
ウォーターフォード シングルファーム オリジン シーズタウン
ウォーターフォード オーガニック ガイア
ウォーターフォード オーガニック ガイア
ウォーターフォード シングルファーム オリジン バリーモーガン
ウォーターフォード シングルファーム オリジン バリーモーガン
アイリッシュウイスキー蒸留所51カ所解説|Gortinore ゴーティノア(準備中)
ゴーティノア(準備中)
地域:アイルランド
創業年:準備中
アイリッシュウイスキー蒸留所51カ所解説|Blackwater ブラックウォーター
ブラックウォーター
地域:アイルランド共和国・ウォーターフォード
創業年:2018
ピーター・モリアン氏
ジャーナリストのピーター・モリアン氏が創業した極小サイズのクラフト蒸留所。2014年に創業していますが、ウイスキーの蒸留は2018年から行っています。
当初から高品質なジンとウォッカを生産。ブラックウォーターNo.5ジンは、ジュニパーベリーやコリアンダーシード、ビターオレンジピール、シナモンなどのボタニカルを使用して作られており、コンペティションでは多くの賞を受賞しています。
また、ブラックウォーターNo.12というアイリッシュウォッカには、100%アイルランド産モルト大麦を使用。滑らかさな味わいが評価されています。
ウイスキーのポットスチルは3基。モルトウイスキーとポットスチルウイスキーを製造しています。創業者のピーター氏はウイスキージャーナリストであることから、ウイスキーの製造は少しマニアック。18世紀の古い「マッシュビル」のレシピを採用したウイスキー造りも行っています。
また、ブラックウォーターではアイリッシュ・クラフト・モルツ社のピート麦芽を使用した仕込みも始めておいます。この会社は「アイルランド産の大麦」を「アイルランド産ピート(泥炭)」で製麦している、唯一の製麦業者となります。
アイリッシュウイスキーで使用されるピーテッド麦芽は、通常スコットランド産がほとんどなので、100%アイルランド産のピーテッド麦芽を使用ウイスキーというのは恐らく初めてとなります。飲んでみたいですね。
アイリッシュウイスキー蒸留所51カ所解説|Tipperary ティパレイリー
ティパレイリー
地域:アイルランド・ティパレイリー州
創業年:2020
ニッカ―ソン氏
スコッチ業界の重鎮で、ハイランドパークやグレンロセスの所長を務めたことのある「スチュワート・ニッカーソン」氏が、娘のジェニファーさんと一緒に創業。「黄金の谷」と呼ばれているティパレイリー州の大麦畑の中にある、クラフトウイスキー蒸留所です。
ティパレイリー蒸留所では「ファーム・トゥ・グラス」のコンセプトにしており、自社農場で栽培された原料を使用し、蒸留から製品化までのプロセスは一貫されています。ボトリング設備も備えており、瓶詰め時の加水にも農場の水が使用されています。
蒸留所の生産設備は小さなマッシュタンと、ステンレス製の発酵槽が4基。ポットスチルはポルトガルのホヤ社製が計4基ありますが、サイズは一番大きい物でも1000リットルと、かなり小さいスチルで蒸留しています。すべての作業が手作業で行われ、週に生産できる量はわずか9樽。
既にティパレイリーの名を冠した製品は発売していますが、蒸留の工程は他の蒸留所で行われたウイスキーとなっています。
アイリッシュウイスキー蒸留所51カ所解説|Midleton ミドルトン
ミドルトン(The Old Midleton Distillery)
地域:アイルランド共和国・コーク州ミドルトン
創業年:1975
アイリッシュ・ディスティラーズ社 (ペルノ・リカール社傘下)
アイリッシュウイスキーの主要な生産拠点であり、アイルランド最大のメガ蒸留所「ミドルトン蒸留所」は「新ミドルトン蒸留所」とも呼ばれています。
旧ミドルトン蒸留所は1825年にマーフィ3兄弟によって創業。現在は閉鎖され、ジェムソンのヘリテージセンターとして利用されています。1975年に新しい蒸留所が完成し、これが現在の「新ミドルトン蒸留所」となっています。
ミドルトン蒸留所は、アイリッシュウイスキーのトップブランド「ジェムソン」の生産拠点。2019年時点の年間販売量は810万ケース(ボトル本数で9720万本)。25年前と比べて約20倍、過去5年間でも60%も売り上げが増加しているモンスターブランドです。
ジェムソンはもともと、ダブリンにあった「ボウストリート蒸留所」のブランドでしたが、ダブリンのジェムソン社、パワーズ社、そしてコークのミドルトン社が合併し、生産拠点を新ミドルトン蒸留所に集約。1975年以降から現在に至るまで、ジェムソンをはじめとする多くの銘柄は、すべて新ミドルトン蒸留所の原酒で生産されています。
旧ミドルトン蒸留所といえば、忘れてならないのが当時世界最大の石炭直火焚きのポットスチルがあったことです。このスチルはポットスチルウイスキーの製造に使用されていました。初留釜は驚異的な大きさで、15万リットル。石炭直火で蒸留は新ミドルトンが完成する1975年まで行われていました。
新ミドルトン蒸留所では、ポットスチルウイスキーとグレーンウイスキーの2種類を製造。
ポットスチルウイスキーのレシピは「大麦60%:大麦麦芽40%」。他の蒸留所で使用されているような、ライ麦、小麦、オート麦などの穀物は使用していません。また、以前はモルトウイスキーも造っていましたが、現在は製造していません。大規模蒸留所なのに、これは意外ですね…。
新ミドルトン蒸留所には10基のポットスチルと6基のグレーンウイスキー用のコラムスチルがあります。いずれも巨大なサイズで、容量は7~8万リットル。スコッチウイスキーの平均的なスチルよりも3〜4倍の容量となっています。
生産能力もここ数年でさらに拡張されており、現在の年間生産能力はポットスチルとグレーンを合わせて7000万リットル。アイリッシュを代表する「メガ蒸留所」としての地位を確立しています。
新ミドルトン蒸留所で造られている代表的なウイスキーは「ジェムソン」以外に「レッドブレスト」という銘柄があります。レッドブレストはシングルポットスチルウイスキーで、バーボン樽とシェリー樽で熟成されており、アイリッシュらしいクリーミーでまろやかな味わいが特徴的。
ジェムソンは軽快なブレンデッドウイスキーですが、レッドブレストは(シングルモルトではありませんが)麦芽の風味が豊かで、ストレートでも飽きがこない飲みごたえと複雑な余韻を感じるウイスキーです。
「Midleton ミドルトン」おすすめのウイスキー
ジェムソン
ジェムソン
ジェムソン ブラック・バレル
ジェムソン ブラック・バレル
レッドブレスト 12年
レッドブレスト 12年
レッドブレスト 15年
レッドブレスト 15年
アイリッシュウイスキー蒸留所51カ所解説|Blacks ブラックス
ブラックス
地域:アイルランド・コーク州
創業年:2013
サム&モードリン・ブラック氏
ブラックスはクラフトビールとウイスキーなどの蒸留酒を造る醸造所 兼 蒸留所。ウイスキーのほか、ジンやラムなども製造しています。2013年からビールを造り始め、2015 年に工場を拡張して最先端の蒸留設備を導入しています。
ウイスキーの生産設備は2020年に完成し、ポットスチルは2基。容量は2800リットルと1600リットル。シングルモルトウイスキーはアイルランド産モルトを100%使用して造り、ポットスチルウイスキーはモルト、大麦、小麦、オーツ麦、ライ麦で造っています。
ブラックスではビールとウイスキーの両方を生産しているため、双方をクロスオーバーさせた製品造りが可能です。ビールをウイスキーの樽で熟成させたり、その逆でウイスキーの熟成にビールカスクを使用しています。
2015年には最初の製品「ブラックス アイリッシュ ジン」を発売。2018 年には原料を全てアイルランド産で製造した、アイルランド初のラムである「ブラックス スパイス ラム」をリリースし、ウイスキーやビール以外でも注目されています。
アイリッシュウイスキー蒸留所51カ所解説|Clonakilty クロナキルティ
クロナキルティ
地域:アイルランド・コーク州
創業年:2018
マイケル・スカリー氏
クロナキルティは、アイルランドのリゾートタウンであるクロナキルティに2018年に創業したクラフトウイスキー蒸留所です。創業者はマイケル・スカリー氏。8代にわたる農業一家。
蒸留所の近くにはギャリーヘッド灯台があり、スカリー家はその周辺に広大な畑を所有し、代々大麦を育ててきました。海に面しているため、大麦は潮風の影響を受けて育ちます。ウェアハウスは灯台の近くに建てられており、この海の恩恵を受けたウイスキーがどのような味わいになるのか楽しみですね。
クロナキルティ蒸留所で製造されているのは、自社畑の大麦を使用したポットスチルウイスキー。その他にもジンやウォッカなども蒸留しています。
まだ自社の原酒を使用したウイスキーはリリースされていませんが、他社の原酒を使用した製品はすでに発売されています。「シングルバッチ・ダブルオーク」と「ポートカスクフィニッシュ」はアイリッシュブレンデッドウイスキー。「シングルグレーン・ボルドーフィニッシュ」は8年熟成のグレーン原酒をボルドー産ワイン樽で後熟しています。
クロナキルティ蒸留所は「クジラの尻尾」がシンボルマーク。これは、クロナキルティ海岸に生息するミンク鯨をモチーフにしたもの。スコッチウイスキーでは、蒸留所近くに生息する動物や植物・花などをラベルデザインにした「花と動物シリーズ」がありますし、バーボンの銘柄でも動物はよく使われていますが、クジラは初めてかも。
「Clonakilty クロナキルティ」おすすめのウイスキー
クロナキルティ・シングルバッチ・ダブルオーク
クロナキルティ・シングルバッチ・ダブルオーク
クロナキルティ ポートカスクフィニュッシュ
クロナキルティ ポートカスクフィニュッシュ
クロナキルティ 12年 シングルグレーン ボルドーフィニッシュ
クロナキルティ 12年 シングルグレーン ボルドーフィニッシュ
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