【スコッチウイスキーレビュー】アードベッグ ウィー・ビースティー 5年を評価

ユースケ
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こんばんは ユースケです。

自己紹介:BAR WHITE OAK 店主。ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーエキスパート。JSA認定ソムリエ。2022年1月 東京・銀座にBAR WHITE OAK をオープン。YouTube、TikTokでカクテル動画を公開中!

力強いスモーキーさと繊細な甘みが同居する、アイラモルトの真骨頂「アードベッグ」。個性あふれる香味と確かな品質で世界中のファンを魅了し続けています。

この記事では、「アードベッグ ウィー・ビースティー 5年」のテイスティングレビューを中心に、アードベッグ蒸留所の特徴やボトルの評価についても詳しくご紹介します。

「アードベッグ ウィー・ビースティー 5年」についてもっと知りたい方は、ぜひ最後までお付き合いください。

 

 

 

アードベッグ蒸溜所とは?

アードベッグ Ardbeg

設立:1815年
地域:アイラ島
オーナー:モエヘネシー・ルイヴィトン社
蒸留器:初留x2基、再留x2基
仕込み水:ウーガダール湖
年間生産量:250万リットル

アードベッグは、ポートエレン製のピートをたっぷり含んだ麦芽を用い、クセの強い、力強いウイスキーを生産している蒸留所です。「アードベッグ」という名前はゲール語で「小さな岬」という意味。実際に蒸留所の近くにはその名の岬があり、周辺の岩礁地帯には野生のアザラシが生息しています。

2008年には、そのフラッグシップである「アードベッグ10年」が世界ウイスキー賞で最優秀ウイスキーに選ばれるなど、アードベッグは世界中の愛好家たちを魅了し続けています。

 

アードベッグ蒸溜所は約100年にわたり、創業家のマクドゥーガル家が経営していましたが、20世紀以降は何度もオーナーが替わり、蒸留所は浮沈を繰り返しました。1980年から1989年までは閉鎖。ウイスキー造りは完全にストップします。

その後、1997年にグレンモーレンジィ社が買収し、ビル・ラムズデン氏の手によって復活を果たします。アードベッグの息を吹き返らせたラムズデン氏は、様々な改革を行います。その中の一つとして、シングルモルトのみを造ることを決め、ブレンデッドウイスキーには供給しない方針を採用。その結果、アードベッグはシングルモルトとしてアイラ島の代表的な存在にまで昇りつめます。

シングルモルトの急速な成長に対応するため、増産を計画。2021年3月には、これまでの倍の生産能力を持つ新しい蒸留所(蒸留棟)を完成させます。

そして現在は、年間240万本を販売。過去25年間で、100倍以上に増加したことを示しており、今日まで続く、アードベッグブランドの人気ぶりは、しっかりと販売本数に反映されているのです。

 

 

【スコッチウイスキーレビュー】アードベッグ ウィー・ビースティー 5年を評価

アードベッグ ウィー・ビースティー 5年

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アードベッグ ウィー・ビースティー 5年とは?

「アードベッグ ウィー・ビースティー 5年」は、2020年に登場した短期熟成の商品。

“ウィー・ビースティー”とは、スコットランドの方言で「小さな獣」や「やんちゃで手に負えないモンスター」といった意味を持ちます。その名の通り、若くして荒々しく、スモーキーで獰猛な個性を持つ1本としてリリースされました。

熟成年数はわずか5年。これは、10年以上熟成された原酒を用いる「アードベッグ10年」と比較しても明らかに若く、スコッチウイスキーとしては非常に短い熟成期間。しかし、この若さこそがウィー・ビースティー最大の魅力。

一般的に、長期熟成を経たウイスキーはピート香が丸くなり、落ち着いた風味へと変化していきます。一方で「アードベッグ ウィー・ビースティー 5年」は、あえて若さを活かすことで、突き抜けるようなスモーキーさと鋭いスパイス感をダイレクトに表現しています。

 

香り

レモン、石鹸、セメダイン、長靴、アーモンド、シナモン、鉛筆削り、オーク材、バニラシロップ、ドライパイナップル、ホワイトペッパー。

加水するとアロマバランスが一気に変化。洋梨、青りんご、アロエ。モルト由来のエステリーな香りが現れます。

 

味わい

スムースに広がり、すぐにスモーキー&ピーティー。ビターでドライ。酸味をわずかに感じます。中盤以降からフィニッシュにかけて、焦げた木材、アスファルトのような独特な個性。余韻は長めですが、複雑ではなくシンプルにまとまります。

加水後もスモーキーさは継続。ややフルーティーな要素こそ開くますが、「香り」ほどの変化は見えず、スムースでドライ。

 

評価

「アードベッグ ウィー・ビースティー 5年」の評価としては、「完成度より個性を重視した、野性味あふれる異端のスモーキーモルト」です。

「アードベッグ ウィー・ビースティー 5年」は、しばしば「10年の廉価版」と見なされがちですが、実際の価格差は1,000円程度とそこまで大きくありません。そのため、価格差を気にするなら10年を選ぶ人も少なくないでしょう。とはいえ、「10年のほうが単純に美味しい」と断言するのも少し違います。5年と10年には、それぞれ異なる魅力があるのです。

まず、5年の特徴として挙げられるのが、輪郭のはっきりしたスモーキーさ。熟成年数が短いぶん、スモークの要素が強く際立ち、加えて鉄や化学製品、湿った木材を思わせるような未熟なアロマも感じられます。

これらの個性は、一見ネガティブにも受け取られがちですが、アードベッグのように個性の強さを前面に押し出すブランドにとっては、むしろ重要な要素。荒削りなアロマがスモーキーな骨格に溶け込み、アードベッグ特有の“焦げ感”を、さらに際立たせる効果をもたらしています。

もちろん、こうした個性を喜ぶのは、スモーキーでクセの強いウイスキーを好む層だけ。スモークが苦手な人にとっては、10年よりも5年の方がハードルは高く感じられるかもしれません。

一方、アードベッグ10年はというと、スモーキーさの中にも樽由来の甘みや丸みが感じられ、口当たりもなめらか。クリーミーなコクとバランスの取れた構成は、完成度の高さを物語っています。

10年とは異なり、5年の熟成にはオロロソ・シェリー樽も使われています。しかし、ドライフルーツのような明確な風味はほとんど感じられず、あくまで“隠し味”程度。樽のニュアンスは控えめです。加水後に、フルーティーさを少し感じるくらいでしょうか。

最後に加水後の違いについて。10年は加水してもバランスが崩れず、ハイボールやロックでもアードベッグらしさをしっかりと維持します。一方で5年は、加水によってフレーバーの主張がやや後退し、フルーティーさやバニラ、ナッツ系の風味が感じづらくなる傾向があります。スモーキーさは残るものの、全体としての複雑さには欠け、ストレートと比べると物足りなさを感じるかも…。

とはいえ、これはあくまでも「アードベッグ10年」と比較しての話。10年の完成度が高すぎるがゆえに、5年に対する評価が相対的に厳しくなってしまうという側面もあります。

それでも、5,000円以内で手に入るスモーキーモルトとしては、「アードベッグ ウィー・ビースティー 5年」は非常に優秀なボトルと言えるでしょう。シンプルにスモーキーさを求めるなら、加水スタイルでも十分楽しめますし、「10年のバランスの良さ」よりも「5年の野性味」が好みという方には、むしろこちらが刺さるかもしれません。

どちらが自分に合うか、ぜひ実際に飲み比べて確かめてみてください。

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スモーキーなアイラモルトの魅力を、あえて若さで突き詰めた「アードベッグ ウィー・ビースティー 5年」。その野性味あふれる個性は、スタンダードな10年とはまた違った刺激を与えてくれます。飲み慣れた一本を離れて、たまにはこうした“やんちゃな獣”と向き合ってみるのも、アードベッグシリーズの楽しみ方の一つでしょう。

まだ飲んだことがない方も、久しぶりに飲む方も、この機会にぜひ、スモーキーモルトの真髄「アードベッグ ウィー・ビースティー 5年」を、BARWHITEOAKで堪能してみては如何でしょうか♪

ユースケ
ユースケ

あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。

 

 

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