【ジャパニーズウイスキーレビュー】宮城峡10年を評価

ユースケ
ユースケ

こんばんは ユースケです。

自己紹介:BAR WHITE OAK 店主。ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーエキスパート。JSA認定ソムリエ。2022年1月 東京・銀座にBAR WHITE OAK をオープン。YouTube、TikTokでカクテル動画を公開中!

ニッカウヰスキーが誇る、華やかで優美な「シングルモルト宮城峡」。そのラインナップの中でも、長らく原酒不足により終売となっていた伝説の「10年物」が、ついに待望の復活を果たしました。

今回の記事では、この貴重な「宮城峡10年」を徹底レビュー。実際にテイスティングして感じた香りと味わいの変化、そして定番の「ノンエイジ(NV)」との決定的な違いについても詳しく解説します。新しくなった10年ボトルがどのような進化を遂げたのか、その真価を紐解いていきましょう。

「宮城峡10年」の味わいと「宮城峡蒸溜所」を知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

 

【ジャパニーズウイスキーレビュー】宮城峡蒸溜所とは?

宮城峡蒸溜所

  • 設立年:1969年
  • 創業者:竹鶴政孝(ニッカウヰスキー創業者)
  • 所有者:ニッカウヰスキー
  • 所在地:〒989-3433 宮城県仙台市青葉区ニッカ1番地

ニッカウヰスキー第二の蒸溜所

宮城峡蒸溜所は、ニッカウヰスキーの創業者・竹鶴政孝が、余市蒸溜所とは異なるタイプのウイスキーを生み出すために設立した蒸溜所です。広瀬川と新川の清流に恵まれた宮城県仙台市郊外の谷間に位置しており、周囲を奥羽山脈に囲まれた冷涼かつ湿潤な環境が、ウイスキーの熟成に穏やかで優雅な特性をもたらします。

この地を訪れた竹鶴氏は、川の水をすくい取り、「ブラックニッカ」で割って飲み、その場で蒸溜所の建設を決意したと伝えられています。

宮城峡と余市の違い

宮城峡蒸溜所のウイスキー造りは、余市蒸溜所(北海道)とは対照的なスタイル。余市のヘビーでピートの効いたモルトウイスキーとは異なり、宮城峡ではライトピーテッド、またはノンピートの麦芽を使用し、スコットランドのローランド地域を意識した、華やかでクセの少ないモルトウイスキーを生産しています。

また、余市とは蒸溜方法も異なり、宮城峡では間接加熱式(スチーム加熱)を採用。バルジ型ポットスチルを使用し、ラインアームを上向きにすることで、フルーティーでクリーンな酒質を実現。

発酵には木桶発酵槽とステンレス発酵槽の両方を用い、木桶発酵槽では微生物の働きによって複雑なエステル香(リンゴや洋ナシ、トロピカルフルーツのような香り)を生み出しています。宮城峡は余市よりも周辺に森林の多いことで、木桶発酵槽との相性がよく、この違いも宮城峡独自の個性に繋がっています。

また、熟成環境も宮城峡に独特の風味を与える要素の一つ。余市の寒冷な「海洋性気候」ですが、宮城峡は比較的湿潤な「内陸性気候」。夏は湿度が高く、冬の冷え込みも適度なため、ウイスキーはまろやかで調和の取れた味わいに仕上がります。

熟成庫は余市と同様の伝統的なダンネージ式(三段積み)24棟。その他、2021年には24段からなる「ラック式オートメーション貯蔵庫」が完成したことで、宮城峡蒸溜所内での貯蔵能力が大幅に増加しています。

ちなみにこの熟成庫は、周辺住民から「マンション」や「社宅」と勘違いされたほ。宮城峡蒸溜所内でも存在感のある建物なので、見学に訪れた際に確認してみてください。

カフェ式連続式蒸溜機

宮城峡蒸溜所には日本で唯一カフェ式連続式蒸溜機(Coffey Still)が備えられており、グレーンウイスキーの製造も行っています。カフェ式スチルは通常の連続式蒸溜機と比べ、低温でゆっくりと蒸溜し、穀物由来の甘みとオイリーな質感を持つ豊かな風味のグレーンウイスキーを造ることができます。

この蒸留器は1963年に西宮工場(大阪)で導入され、その後1999年に宮城峡へ移設されました。カフェグレーンの原酒はニッカウヰスキーのブレンデッドウイスキー「フロム・ザ・バレル」「ザ・ニッカ」などの、多くの銘柄に使用されています。

見学必須・車があった方がアクセスは便利

宮城峡蒸溜所では予約制の見学ツアーを実施しています。自然豊かな宮城峡の地で、ウイスキー造りの工程からテイスティングまで、一通り学ぶことができます。

見学時間は9:00~14:30の間。約70分のツアーとなります。(蒸溜所見学50分+無料試飲20分)。

1~9名までの予約は前日まで。WEB予約は前日11:59、電話予約は前日16:00まで受け付けています。当日予約はできません。10年くらい前は、当日予約なしでも、少しの待ち時間でツアーに参加できました。

アクセスには、最寄り駅であるJR仙山線「作並駅」から土・日・祝日に宮城峡蒸溜所行きの無料シャトルバスが運行されています。JR仙台駅から電車で約40分、作並駅からバスで約7分くらいの時間で宮城峡蒸溜所に到着します。

作並駅から徒歩での移動は、30~40分くらいかかるためオススメできません。バスが運行しない平日は、車は必須です。

また、宮城峡蒸溜所内にはレストランがなく、周辺には食事ができるお店やコンビニすらないため、その辺もしっかりと計画しましょう。車を利用できれば、蒸溜所から15分圏内に飲食店がチラホラとあります。

予約なしで利用可能な施設

出典:https://sendai-experience.com/ja/ex/83

ビジターセンター(9:00~16:00)
ウイスキーの製造工程やニッカの歴史を学べる展示を自由に見学できます。

有料テイスティングバー(9:15~16:15 L.O.16:00)
蒸溜所限定ウイスキーを含む多彩な銘柄を試飲でき、自分でハイボールや水割りも作れます。

ギフトショップ(9:15~16:15 最終入場16:00)
蒸溜所限定のウイスキーやグッズ、お菓子などを販売しています。
ウイスキーは購入制限があります。

ウイスキー貯蔵庫(9:15~16:00)
低層貯蔵庫内で、樽の種類や熟成による色の変化を観察できる展示があります。

宮城峡が好きならぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか♪

宮城峡蒸留所|ライナップ

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空港免税店向け商品として2022年4月に発売開始。参考小売価格は10,000円(税抜)。

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【ジャパニーズウイスキーレビュー】宮城峡10年を評価

宮城峡10年 SINGLE MALT MIYAGIKYO

  • シングルモルトジャパニーズウイスキー
  • 45% 700ml
  • 販売本数:日本9,000本、海外9,000本
  • 発売日:2026年2月
  • 抜栓時期:2023年2月
  • テイスティング時期:抜栓から一日後
  • whiskybaseでの評価:評価なし
  • 定価:13,200円(税込)
  • 楽天市場価格[2025年2月]:在庫なし
  • Amazon価格[2025年2月]:在庫なし

宮城峡10年とは?

「宮城峡10年」は、仙台宮城峡蒸溜所で10年以上熟成したウイスキー原酒を使ったシングルモルトウイスキーです。2015年の原酒不足により、一度は終売となりましたが、2026年2月(2025年10月から発売延期)に新ボトルとして復活を遂げました。

余市10年に継ぎ、年数表記入りシングルモルトの復活には、ニッカウヰスキーファンの間で再び大きな注目を集めています。

定価と価格推移

「宮城峡10年」の定価は税込13,200円。国内・海外で各9,000本の限定販売となっているため、数量が極めて少なく、大手ネットショップでも在庫がありません。

2026年2月時点では、ヤフーオークションで48,000円の価格で取引されています。

香り

はちみつ、ラズベリー、メープルシロップ、青りんご、洋ナシ、かりん、アプリコットジャム、ドライアップル、ドライパイナップル、白胡椒、シナモン、マドレーヌ。

加水後はマスカット、オレンジスライス、白桃、皮付きのりんご。

味わい

まろやかで豊潤な甘み。ミディアムボディ。徐々にドライ。ドライフルーツ、はちみつ、ほのかなオーク香。かすかにピーティーさも感じます。ボディに厚みがあり、しっかりとした印象。フィニッシュにかけても骨格があり、控えめなバニラ、メープルシロップ、繊細なスパイス&ハーブの風味。

加水すると、クリーミーでエステリー。お花や化粧品を思わせる個性。奥にはスパイシーなオークの風味も見え隠れしています。加水後もボディはしっかりとしており、複雑な印象です。

評価

「宮城峡10年」の評価としては、「ノンエイジと比べるとその差は歴然!磨きをかけた贅沢な10年物」です。

待ってました!とばかりに復活を遂げた「宮城峡10年」。宮城峡蒸溜所は、余市蒸溜所と比較しても大きな生産能力を誇りますが、10年物の復活については余市が先行する形となりました。これには様々な事情があると思われますが、宮城峡10年が後回しになったというよりは、たとえ原酒が僅少であっても、ニッカウヰスキーの聖地でありルーツである「余市」を優先したと考えるのが妥当でしょう。

また、これはあくまで考察の域を出ませんが、宮城峡の原酒がブレンデッド用として非常に扱いやすい性質を持っていることも理由の一つかもしれません。余市よりもスムースで癖が少ない宮城峡のモルト原酒は、ニッカが手掛けるあらゆるブランドにおいて、重要な役割を果たしているはずです。

宮城峡10年のテイスティング・プロファイル

今回の「宮城峡10年」は、これまでの宮城峡らしい華やかさを継承しつつも、10年熟成にふさわしいボディの厚みと、複雑に重なる余韻が強く印象に残ります。

原酒の酒齢が増したことで、飲み口は適度な丸みを帯び、フルーティーかつエステリーな風味はよりリッチに進化。単なる「飲みやすさ」に留まらず、全体のバランスが緻密に整えられていながらも、シングルモルトらしい重厚なコクと長い余韻を兼ね備えています。

構成原酒に関する公式情報は開示されていませんが、バーボン樽由来のバニラ感を主体としつつ、シェリー樽由来と思われるフルーティーさやスパイシーな要素も、控えめながら確かに感じ取れます。ノンエイジ(NV)の「シングルモルト宮城峡」と比べると、恐らくシェリー樽原酒、あるいはバーボン樽以外の特徴的な原酒をより多く配合しているのではないかと。

ノンエイジ宮城峡との比較

定番のノンエイジ「シングルモルト宮城峡」と飲み比べてみます。

香りは、やはりノンエイジの方がスムースかつクリアな立ち上がり。宮城峡10年がドライフルーツのような凝縮されたアロマを持つのに対し、ノンエイジはどちらかと言えばフレッシュな果実味とモルティーな風味が強く、全体的な樽香は穏やかです。10年物を味わった後では、熟成年数の短さゆえか、ノンエイジの方に僅かなアルコールの刺激やニュートラルな印象を抱くのは避けられません。

味わいに関しても、ノンエイジはフレッシュなキャラクターが中心。とはいえ、他社の一般的なノンエイジボトル(3~4年程度の原酒構成)と比較すれば、宮城峡のノンエイジには確かな熟成感があります。

比較相手が「10年物」の長熟原酒となると分が悪い訳で、決してノンエイジの品質が劣っているわけではありません。甘味、酸味、苦味、そして僅かなピート感まで、あらゆる要素が調和したそのクオリティは、ジャパニーズウイスキーのノンエイジクラスにおいて、「シングルモルト宮城峡」がトップクラスであることは間違いありません。

しかし、今回の「宮城峡10年」は、その高いハードルを軽々と超えてしまっています。両者を比較すると差は歴然。宮城峡10年は熟成樽がもたらす円熟した個性と複雑な余韻を纏っており、10年以上の歳月が育んだリッチな原酒の恩恵を存分に享受できる仕上がりとなっています。

総評とおすすめの飲み方

「余市10年」の完成度も見事でしたが、装いも新たになった「宮城峡10年」は、過去の10年物をも凌駕するパフォーマンスを秘めていると確信しました。

最後に飲み方について。ノンエイジであればハイボールや水割りでも存分に楽しめますが、この「宮城峡10年」をそのように飲むのはあまりに勿体ない。じっくりと味わうなら、ストレート、トワイスアップ、オンザロックの3択で決まりでしょう。

現段階では在庫のほとんどがウイスキーバーを中心とした流通に流れています。次回のボトリング時期は未定ですが、本品は一応「限定品」ではなく「定番ボトル」という位置付けです。将来的には流通量が安定し、この洗練された味わいをより気軽に愉しめる日が来ることを、心より待ち望んでいます。

 



 

「宮城峡10年」は、かつての面影を残しつつも、現代のニッカウヰスキーが持つ技術と情熱を注ぎ込んだ、まさに「新時代のスタンダード」と呼ぶにふさわしい仕上がりでした。

ノンエイジでも十分に感じられた宮城峡らしい華やかさは、10年以上の熟成を経て、より重厚で複雑な余韻へと姿を変えています。現在は国内外で各9,000本という限られた流通量のため、手に入れるのは容易ではありませんが、その味わいは間違いなく「待った甲斐があった」と確信させてくれるものです。

「宮城峡10年」を飲みたい方は、BARWHITEOAKで堪能してみては如何でしょうか♪

ユースケ
ユースケ

あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。

 

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