【ジャパニーズウイスキーレビュー】三郎丸Ⅶ(セブンス)THE CHARIOTを評価

ユースケ
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こんばんは ユースケです。

自己紹介:BAR WHITE OAK 店主。ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーエキスパート。JSA認定ソムリエ。2022年1月 東京・銀座にBAR WHITE OAK をオープン。YouTube、TikTokでカクテル動画を公開中!

富山県に位置する三郎丸蒸留所は、世界初の鋳物製蒸留器「ZEMON」を駆使し、独自のジャパニーズウイスキーを追求しています。この度、タロットカードをモチーフとしたシングルモルトシリーズの第8弾として、「三郎丸Ⅶ(セブンス) THE CHARIOT(ザ チャリオット)」が登場。これは、ジャパニーズ・スモーキーモルトに新たな境地をもたらす一本です。

この記事では、三郎丸史上最強となるフェノール値80ppmのスーパーヘビリーピーテッド麦芽を使用した「三郎丸Ⅶ」に焦点を当て、詳細なテイスティングレビューを通じて、その力強い個性を徹底解説。

定価や市場価格の情報、そして「富山のアードベッグ」とも称される三郎丸蒸留所の魅力まで、スモーキーなウイスキーファン必見の内容となっています。ぜひ最後までご覧ください。

 

富山発、鋳物の魂を受け継ぐ「三郎丸蒸留所」とは?

北陸・富山県の砺波市に位置する「三郎丸蒸留所(Saburomaru Distillery)」は、日本最古級のクラフトディスティラリーの一つとして、今静かに注目を集めています。運営元は若鶴酒造株式会社。もともと清酒蔵として1910年に創業し、戦後の1952年からウイスキーの製造を開始した歴史ある酒造メーカーです。

しかし、三郎丸の本格的なウイスキーづくりが再評価されたのはごく最近のこと。2017年からの大規模リニューアルを皮切りに、スモーキーで力強いスタイルのシングルモルトが国内外のファンの間で高い評価を得るようになりました。

 

鋳物と銅で造る独自のポットスチル

三郎丸蒸留所の最大の特徴は、なんといっても「ZEMON(ゼモン)」と名付けられた世界初の鋳物製ポットスチル。これは地元・高岡の伝統産業である鋳物技術を活かして開発されたもので、銅と錫の合金で作られています。

通常の蒸留器よりも熱伝導性に優れ、蒸留過程で複雑な風味を引き出すとされています。これは他のどの蒸留所でも味わえない、三郎丸ならではの「重厚さと立体感」を生み出す鍵でもあります。

 

シングルモルト三郎丸の特徴

三郎丸蒸留所が生み出すモルトウイスキーは、スモーキーさを前面に打ち出した力強いスタイルが特徴です。その方向性は、スコットランド・アイラ島のウイスキーに着想を得たもの。ピート(泥炭)由来の燻した香りと、芯の通った骨太な味わいは、まさに“日本のアイラ”と呼ぶにふさわしい個性を備えています。

使用する麦芽には、アイラ島産ピーテッドモルトに加え、ハイランド産のヘビリーピーテッド麦芽も採用。これにより、アイラ由来のヨード香や海風のニュアンスと、ハイランドらしい土やスパイスの印象が交錯する、より複雑で重層的なスモーキーフレーバーが実現されています。

単にアイラモルトを模倣するのではなく、日本のクラフト蒸留所としての感性と技術で再構築した“ジャパニーズ・スモーキー・スタイル”。シングルモルト三郎丸は、そんな挑戦と美意識を感じさせるウイスキーです。

 

シングルモルト三郎丸を定価購入するなら、公式オンラインショップがおすすめ

三郎丸蒸留所の年間生産能力は15万リットル。その生産量の少なさゆえに、「シングルモルト三郎丸」の入手は困難です。定番ボトルはなく、年間数千本規模の小ロット生産が続けられており、新作が出るたびに即完売するケースも珍しくありません。

ネットショップやオークションサイトではプレミアム価格で取引されているのが現状。実勢価格が定価の1.5〜2倍以上に跳ね上がることもあり、「正規価格で飲んでみたい」というファンにとっては、悩ましい状況が続いています。

そんな中で、定価で手に入れるための方法が、三郎丸蒸留所が運営する公式オンラインショップ(若鶴酒造オンラインストア)。

三郎丸の主力ボトルや限定商品は、一般販売ではなく抽選販売での取り扱いが主流ですが、無料会員になればどなたでも応募可能。リリース情報は、公式サイトやメールマガジン、三郎丸蒸留所の公式SNS(InstagramやX)などで随時告知されます。新商品のリリーススケジュールもここでいち早くキャッチできるため、オンラインストアの登録は必須といえます。

 

「三郎丸蒸留所のスモーキーハイボール」とは?

三郎丸蒸留所のスモーキーハイボールとは、自社原酒を使用した本格派の缶ハイボールです。一般的な缶ハイボールのイメージを覆すほどのクオリティと個性を備えており、ウイスキー愛好家からも高い支持を集めています。

その最大の特徴は、やはり「スモーキーさ」。ブレンドに使用されているのは、三郎丸蒸留所モルトとスコッチグレーンウイスキー等の輸入原酒。燻製香をしっかりと感じ、まるで軽めのアイラウイスキーを炭酸で割ったような個性を実現しています。

もともとは北陸エリアを中心に限定流通していた商品でしたが、その評判の高さから徐々に販売エリアを拡大。現在ではコンビニや一部の酒販店で見かけることもあります。

 

【ジャパニーズウイスキーレビュー】三郎丸Ⅶ(セブンス)THE CHARIOTを評価

三郎丸Ⅶ(セブンス) THE CHARIOT(ザ チャリオット)

 

三郎丸Ⅶ(セブンス) THE CHARIOT(ザ チャリオット)とは?

三郎丸蒸留所が展開する、シングルモルトシリーズの第7弾「三郎丸Ⅵ(シックス)THE LOVERS(ザ ラバーズ)」は、2025年11月に数量限定でリリースされました。

このウイスキー最大の特徴は、三郎丸蒸留所としては史上最強となる、「フェノール値80ppm」のスーパーヘビリーピーテッド麦芽で仕込まれているところ。三郎丸蒸留所では、アイラ島産とハイランド産のピーテッドモルトを使用していますが、今回の麦芽はハイランド産のみを使用しています。

今回もボトルは2種類で展開されており、加水タイプ(アルコール度数48%)は7,500本。前回「三郎丸Ⅵ」の9,500本よりも本数は少なめ。カスクストレングス(59%)は、1,800本(前回は1,880本)の限定生産となります。

ラベルには、おなじみのタロットカードをモチーフにしており、大アルカナ22枚の8番「戦車(THE CHARIOT)」が採用されています。

 

香り

レモン、青りんご、ドライアップル、ドライパイン、マスカット、サンザシ、オレンジ、燻製、エルダーフラワー、ヘーゼルナッツ、ラベンダー、パウンドケーキ。

加水後は、はちみつ、バニラ、キウイシロップ。

 

味わい

甘くてスモーキー。若干の酸味を感じた後にドライ。ミディアムライトボディ。徐々にピーティーな個性が強くなり、中盤以降はヨードや燻製の風味が強くなります。フィニッシュにかけてもスモーキーでピーティー。ややアルコールっぽさ、未熟さもありながらも、ピーテッドモルトとしての個性が引き立っているため、全体のバランスは悪くありません。

加水後は、少し滑らかになりますが、ドライ&ピーティーな個性は変わらず、骨格はしっかりとしています。加水に対しても強く、飲み方は選びません。

 

評価

「三郎丸Ⅶ(セブンス) THE CHARIOT(ザ チャリオット)」の評価としては、「力強いスモーキーさは加水後も持続!80ppmの個性が際立つ、富山のアードベッグ⁉」です。

三郎丸のシリーズは、気が付けば第8弾(「三郎丸0 THE FOOL」から数えて)となりましたが、「三郎丸Ⅶ」もこれまでと同様、アイラモルトのようなスモーキーでピーティーな個性を纏っています。その一貫したスタイルと実力は、「富山のアードベッグ」と称しても過言ではありません。

スモーキーかつピーティー。加えて、ほどよい柑橘やバニラ、はちみつのアロマが感じられます。エルダーフラワーのようなフローラルな香りも混ざり合います。

その構成は複雑。バーボン樽のみで熟成されているため、燻製香が際立ち、全体的にシンプルな仕上がりですが、単調なスモーキーさではなく、フルーティーやフローラルな要素が複雑に絡み合うことで、短期熟成ながらも十分な飲みごたえを生み出しています。

突出した個性:80ppmの衝撃

「三郎丸Ⅶ」と前作「三郎丸Ⅵ」の最も大きな違いは、麦芽のフェノール値が80ppmに引き上げられた点です。これまでは50ppm程度のアイラモルトやハイランドモルトを使用していましたが、今回はそれを遥かに上回るヘビリーピーテッドモルトが使用されており、その数値に違わぬ強烈な個性を発揮しています。

一般的に、同じフェノール値でも、ハイランドモルトはアイラモルトに比べて穏やかで、スモーキーさやクセの強さではアイラモルトが優位とされるイメージがありました。しかし、近年ではハイランド産でも非常にクセの強いウイスキーは造られており、このイメージは古いものになりつつあります。

これはウイスキー造りの進化と、モルトスター(精麦専門業者)の技術進歩によるものでしょう。ハイランドモルトでも80ppmに達したピーテッドモルトであれば、アイラモルトの50ppmを上回るほどのクセの強さを生み出すことが可能となっているのです。

加水後も揺るがないスモーキーさ

「三郎丸Ⅶ」は、80ppmという非常に強いフェノール値の個性を、特に加水後のバランスにおいて如実に反映しています。これまでの三郎丸シリーズは、ストレートでは強いスモーキーさがありましたが、加水するとアルコール度数の低下に伴い、クセの強さも穏やかになる傾向がありました。

しかし、「三郎丸Ⅶ」は、加水後の印象がストレートとほぼ変わらず、スモーキーさがしっかりと維持されます。アルコール度数が48%でありながらこのスモーキーさが持続するのは、まさに80ppmというヘビリーピーテッドモルトの力強さが影響していることに違いありません。

価格設定について

フェノール値の上昇に伴い、定価も上昇しています。前回の「三郎丸Ⅵ」の16,500円に対し、今回の「三郎丸Ⅶ」は19,800円(いずれも税込価格)。

ジャパニーズ・シングルモルトとしては高価な価格帯ではありますが、同じスモーキー系の「厚岸」のシングルモルトも同程度の相場であり、許容範囲内と言えます。今回は50ppmよりもさらに強い、やや特殊な80ppmの麦芽を使用していることも、値上がりの一因であると考えられます。

おすすめの飲み方

先ほど挙げた通り、ストレート以外でもそのクセの強さを存分に発揮しているため、飲み方は好みで選んで問題ありません。ハイボールや水割りでも、しっかりとしたスモーキーさに加え、ジャパニーズウイスキー特有の「甘さ」も感じるので、ぜひお試しください。

 



 

「三郎丸Ⅶ」は、単にフェノール値を80ppmを上げただけでなく、その力強い個性を短期熟成ながらも複雑な風味として昇華させ、加水しても骨格が崩れないという圧倒的な実力を証明しています。三郎丸の挑戦的な姿勢が結実したと言えるでしょう。

「三郎丸Ⅶ(セブンス) THE CHARIOT(ザ チャリオット)」を飲みたい方は、BARWHITEOAKで堪能してみては如何でしょうか♪

ユースケ
ユースケ

あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。

 

 

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