スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!おすすめボトルも登場

  1. スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!ダフタウン Dufftown
  2. スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!ダフトミル Daftmilt
  3. スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!タムドゥー Tamdhu
  4. スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!タムナヴーリン Tamnavulin
  5. スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!タリスカー Talisker
  6. スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!タリバーディン Tullibardine
  7. スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!ダルウィニー Dalwhinnie
  8. スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!ダルモア Dalmore
  9. スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!ダルユーイン Dailuaine
  10. スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!ダルメニャック Dalmunach
  11. スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!ティーニニック Teaninich
  12. スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!ディーンストン Deanston
  13. スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!トーモア Tormore
  14. スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!トバモリー Tobermory
  15. スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!トマーティン Tomatin
  16. スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!トミントール Tomintoul
  17. スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!トルベイグ Torabhaig
  18. スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!ドーノッホ Dornoch
  19. スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!ノッカンドオ Knockando
  20. スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!ノックニーアン Nc’nean

スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!ダフタウン Dufftown

ダフタウン Dufftown
地域:スペイサイド
創業年:1896
MHD

ディアジオの重要拠点 ベルの原酒

ダフタウンの街の外れにあり、ディアジオ社所有の大規模蒸留所であるダフタウン。操業は1896年。1933年にはアーサー・ベル社が買収し、ブレンデッドウイスキー「ベル」の原酒を造る拠点となりました。

その後蒸留所のオーナーはディアジオ社に変わりましたが、ベルのキーモルトとしての役割は今でも続いています。

ダフタウン蒸留所の珍しいところは、24時間体制のフル稼働で生産を行っていること。日本ではサントリーなど大手の蒸留所は24時間体制で休日もなし、ということは珍しくは無いのですが…スコットランドでは少ないようで、ウイスキーブームによって原酒の供給が厳しい蒸留所でさえ、週末はしっかり休業しているのが一般的です。

年間生産量は600万ℓ。初留、再留3基ずつ。原酒の98%がブレンデッド用に出荷されています。

シングルモルトとしては「シングルトン・オブ・ダフタウン」シリーズとして流通。シングルトンシリーズはダフタウン、グレンオード、グレンダラン(グレンデュラン)のシングルモルトがありますが、3つに共通するのはブレンド用原酒として役割を果たしてきたという点。

それは分かるのですが…それぞれ違う蒸留所ならばわざわざ同じシリーズ名にしなくても良いのでは?と個人的には思っています。消費者を混乱させてしまうような気がしますからね。ややこしのですが少し整理すると、シングルトンは流通(輸出)している地域ごとに蒸留所を変えているような感じです。

グレンオードはアジア市場向け(日本は2018年頃からダフタウンに切り替わっています)
ダフタウンは→ヨーロッパ市場向け
グレンダランは→アメリカ市場向け

並行輸入でどの国でもそれぞれのボトルは入手可能ですが、基本的に地域でしっかりとマーケティング戦略をとり大衆に好まれるウイスキーを販売しているようです。

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スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!ダフトミル Daftmilt

出典:https://www.daftmill.com/

ダフトミル Daftmilt
地域:ローランド
創業年:2005
カスバート家

2005年創業の農家兼蒸留所

ローランドのダフトミル蒸留所は2005年にできた比較的新しい蒸留所です。

創業者は農家のカスバート家。使用されている大麦は自身が育てたもので全て自家製(製麦は外注)。ウイスキー製造後に残る麦芽の搾りカスを家畜の餌にするなど、現代では珍しい農家が副業として蒸留所を運営しているスタイル。

ウイスキーの生産は農業が閑散期となる夏と冬の2か月間で、年間わずか4か月という短い期間。年間生産量は65000ℓと最小規模となっています。

ウイスキーはノンピート麦芽で造られた、ローランドらしいクセの少なく華やかなタイプ。2018年に初リリースとなった際は629本が限定リリースされ、予想を上回る人気ぶりで即完売となりました。

現在でも年2回、「サマーリリース」と「ウィンターリリース」が販売権を持つBBR社によって発売されていますが、日本への輸出分はかなり少ないため幻のウイスキーとなっています。

ダフトミル 2008 サマーバッチリリース 46度 700ml

 

 

 

スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!タムドゥー Tamdhu

タムドゥー Tamdhu
地域:スペイサイド
創業年:1897
イアンマクロード社

隠れたシェリー樽100%ウイスキー

蒸留所の年間生産量は400万ℓと中規模ながら、日本ではあまり馴染みのないタムドゥー(タムデュー)。

原酒のほとんどが「カティサーク」や「フェイマスグラウス」などのブレンデッド用になっているため、シングルモルトとしての流通量は多くありません。しかし近年は国際的なコンペティションで金賞を獲得するなど、じわじわと評価があがっており人気がでてきています。

タムドゥーのウイスキーは創業当時から変わらぬ、シェリー樽100%にこだわった伝統的なスタイル。同じスペイサイドでは、マッカランやグレンファークラスなどがシェリー樽にこだわりを持っていますが、生産しているオフィシャルボトルは「100%シェリー」という訳ではなく、ラインナップによってはバーボン樽の原酒もブレンドされています。

これらの名声の高い蒸留所でもシェリー100%が実現できていない中、タムドゥーのシングルモルトは今でもシェリー樽のみを使用しているのは素晴らしいことです。

ウイスキーの個性としては、シェリー樽系の中でも個性的なタイプ。タムドゥーの近隣にはノッカンドゥや閉鎖蒸留所のインペリアルがありますが、これらご近所さんとも違った独特のクセがありますね。

オフィシャルボトルは10年、12年、15年、タムドゥー バッチストレングスの4種。もちろんすべてシェリー100%で構成されていますが、それぞれ個性が異なっているので面白いです。シェリー樽はアメリカンホワイトオークとヨーロピアンオークの両方が使用されています。

 

 

スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!タムナヴーリン Tamnavulin

タムナヴーリン Tamnavulin
地域:スペイサイド
創業年:1966
エンペラドール・ディスティラーズ社

リベット川のほとりにある蒸留所

タムナヴーリンの正式名称は「タムナヴーリン・グレンリベット」。かつてはグレンリベットの名声にあやかって、グレンリベット表記をする蒸留所が沢山ありましたが、現在は名乗っている所はほとんどありません。

しかしタムナヴーリンは未だに「グレンリベット」付きの名を正式に名乗っています。その理由は、実際にリベット川のほとりに蒸留所が存在しているから。タムナヴーリンこそ本家本元のグレンリベットに次ぐ、真のグレンリベット⁉なのかもしれません。

年間生産量は400万ℓ。初留、再留3基ずつ。蒸留所としては中規模で、原酒はブレンデッドウイスキー「ホワイト&マッカイ」に使用されています。

ウイスキーは基本的にノンピーテッド。過去にはヘビリーピーテッドの仕込みも行っていましたが現在はつくられていません。2016年からオフィシャルシングルモルトがリリースされています。

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スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!タリスカー Talisker

タリスカー Talisker
地域:アイランズ(スカイ島)
創業年:1830
MHD

海霧の島で育つスカイ島のシンボル

タリスカーのあるスカイ島はインナーヘブリディーズ諸島最大の島で、切り立った高い山の多いことから霧が発生しやすいことでも有名です。

人口1万人にも満たない島ですが、夏には多くの旅行客や訪問者で来島。島の中心部の町、ポートリーの美しい港街の景観は多くの人を魅了しています。そして島に来る人の多くは、スカイ島のシンボルと言うべきタリスカー蒸留所を訪れており、年間6万人以上が見学にきています。

年間生産量は330万ℓ。初留2基、再留3基。

タリスカーの個性的な所はラインアームの形状。途中で「U字」に曲げられている蒸留所は他にありません。こういったこだわりが、タリスカーの独特な個性の要因のひとつになっているのです。

2000年代からシングルモルトの販売に力を入れ、現在はシングルモルトの売上トップ10に入るほど人気となっています。そのため、造られている原酒のほとんどがシングルモルトに。

ウイスキーの仕込みはヘビリーピーテッド麦芽75%とノンピーテッド麦芽を25%を合わせて醸造するスタイル。平均フェノール値は20~25ppm。熟成樽はほとんどがバーボンのリフィル樽で、樽詰めされたウイスキーはほとんどが本土の集中熟成庫に運ばれています。

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スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!タリバーディン Tullibardine

タリバーディン Tullibardine
地域:ハイランド
創業年:1949
ピカール・ヴァン&スピリチュア―社

ハイランドクイーンの原酒をつくる蒸留所

蒸留所は1949年に操業しましたが4年後にはオーナーが変わり、その後も操業停止など不安定な時代が続きます。2011年にはフランスのワイン会社「ピカール・ヴァン&スピリチュア―」が買収したことで、以後は経営が安定していきます。

年間生産量は300万ℓ。初留、再留2基ずつ。ほとんどがブレンデッドのハイランドクイーンの原酒に使用されていましたが、近年はシングルモルトのリリースにも力を入れています。

現在はノンエイジの「タリバーディン・ソブリン」、「タリバーディン・シェリー フィニッシュ」。「タリバーディン・ソーテルヌ フィニッシュ」のほか、15年物と、シャリー樽の長期熟成25年もあります。

オーナーがワイン商なだけあって、ボルドーワインやソーテルヌの古樽を使ったカスクフィニッシュが施されている物が多いのも、タリバーディンの特徴でしょうか。

 

 

スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!ダルウィニー Dalwhinnie

ダルウィニー Dalwhinnie
地域:ハイランド
創業年:1897
MHD

気象観測所としても機能する山岳の蒸留所

ダルウィニー蒸留所は標高330mの場所に位置しており、政府の気象観測所としての役割も果たしています。

創業は1897年。当初は「ストラススペイ蒸溜所」という名称でした。1905年にアメリカ資本の会社へ売却。その際にダルウィニーと改名。しかし命名した会社はアメリカの禁酒法の影響をうけて倒産。再びスコットランドの企業がオーナーとなり、現在はディアジオ社が所有しています。

88年には旧UD社時代の名シリーズ「クラシックモルト・シリーズ」の一つとなり、シングルモルトとしての名声を得ることとなります。現在でもディアジオ社のリリースするシングルモルトの中では売上上位をキープ。日本ではそこまで人気のある銘柄ではありませんが、世界中のモルトファンに根強く支持される蒸留所です。

生産能力は年間220万ℓ。初留、再留1基ずつ。原酒の7割ほどはブレンデッド用で、「ブラック&ホワイト」「ロイヤル・ハウスホールド」「ブキャナンズ」「ヘイグ」などの有名な銘柄に供給されています。

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スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!ダルモア Dalmore

ダルモア Dalmore
地域:ハイランド
創業年:1839
エンペラドール・ディスティラーズ社

牡鹿のマークでおなじみ シガーにあうモルト

蒸留所はハイランドのピトロッホリーという場所にあり、エディンバラなどからも日帰りで訪れられる距離にあるリゾート地。自然豊かで野生の鹿が生息していることから、ダルモアのボトルデザインにオスの鹿が採用されているようです。

操業は1839年。1867年にはマッケンジー家が買収し、以後は一族経営が続きます。そして1960年にはホワイト&マッカイ社と合併。ダルモアは元々ホワイトマッカイへの原酒供給がメインであったため、傘下に入る形での吸収合併となりました。

現在はフィリピンのブランデーメーカー「エンペラドール社」が所有しています。

年間生産量は430万ℓ。初留、再留4基ずつ。

初留釜のスチル形状はT字シェイプと呼ばれる珍しいもので、再留釜にも首の部分に冷却用のウォータージャケットが搭載されており、ヘッドが冷却されることで蒸気の還流が促される仕組み。このような個性的な設備によって、ダルモアの力強さ、独特の複雑さが生み出されています。

ブレンデッドウイスキー「ホワイトマッカイ」「クレイモア」の原酒用。シングルモルトとしてはエンペラドールがオーナーとなった2014年頃から勢力的に展開するようになりました。

オフィシャルボトルは12、15、18年。そして個性的なのは、葉巻に合うように造られた「シガーモルト・リザーブ」。エンペラドールは世界的なブランデーメーカーということもあって、ブランデーのように葉巻との相性を考慮したウイスキーを造りたかったのでしょうか。

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スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!ダルユーイン Dailuaine

ダルユーイン Dailuaine
地域:スペイサイド
創業年:1852
MHD

森の中に佇む蒸留所

ダルユーインはゲール語で「緑の谷間」という意味で、キャメロン川沿いに建てられた蒸留所は森に囲まれています。それはまさに緑の谷間。一般見学を受け付けていないのが惜しいくらい、自然豊かなで美しい蒸留所です。

年間生産量は520万ℓ。初留、再留3基ずつ。ジョニーウォーカーに原酒供給を行う重要な蒸留所で、かつてはほぼ全ての原酒がブレンド用となっていましたが、1991年に旧UD社の「花と動物」で16年物がリリースされることになります。ラベルには「アナグマ(バジャー)」が描かれています。

ちなみにダルユーインの第二蒸留所として建てられたのが、現在は閉鎖となっているインペリアル蒸留所。スペイ川を挟んだ対岸に存在していました。

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スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!ダルメニャック Dalmunach

ダルメニャック Dalmunach
地域:スペイサイド
創業年:2015
ペルノリカール社

シーバスリーガルの原酒用 ペルノ最大級の蒸留所

ダルメニャック(ダルムナック)は閉鎖したインペリアル蒸留所(1897~2005)の跡地に建設された巨大な蒸留所。ペルノグループ傘下のなかでも最大級の生産規模で、年間1000万ℓの仕込みを可能としてます。

蒸留所は当初、インペリアル蒸留所の跡地に建設されるということもあり、インペリアルの名前がそのまま使用されるのではと言われていましたが、2012年に名称がダルメニャック(蒸留所がある集落の名前)と発表されました。

ポットスチルは初留、再留4基ずつ。仕込み水は、インペリアル時代はバリントム川から採取していましたが、ダルメニャックでは井戸を掘ってスペイ川の伏流水をくみ上げて使用しています。

原酒は全てシーバスリーガル用。オフィシャルシングルモルトの販売は今のことろありません。

ダルムナック ストロベリー&クリーム NAS ポートウッド フィニッシュ (クーパーズチョイス) 58度 700ml
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スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!ティーニニック Teaninich

ティーニニック Teaninich
地域:ハイランド
創業年:1817
MHD

ディアジオ社3番目の規模を誇る大型蒸留所

創業は1817年。地元の名士が自身の土地に建設。蒸留所はハイランドのクロマティ―湾沿いにあります。この湾には北海油田の石油リグ掘削が立ち並んでおり、ネズミイルカの生息地としても有名です。

1933年にはDCL社が買収し、その流れで現在はディアジオ社の所有となっています。1970年には蒸留所が取り壊しになり、すぐ隣に新しい蒸留所が建設されています。

2015年には生産設備を増強する改修が行われ、年間1030万ℓの生産量となりました。ディアジオ社所有としては、ローズアイル、グレンオードに次いで3番目に大きい蒸留所で、重要な生産拠点として知られています。

原酒はほとんどがブレンデッド用。ジョニーウォーカー、ヘイグ、VAT69などに使用されています。

また、原酒はスコッチベースのリキュール「ドランブイ」のベースとしても利用されています。シングルモルトとしては1992年に発売された「花と動物」シリーズの10年物が存在しており、他はボトラーズ会社からのリリース。ややマイナーな蒸留所ではありますが、探せば意外と数多くのボトルがあることが分かります。

 

 

スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!ディーンストン Deanston

ディーンストン Deanston
地域:ハイランド
創業年:1965
ディステル・グループ社

紡績工場をリノベーションした蒸留所

1785年に建設された歴史的な紡績工場を改装して建てられた蒸留所。レンガ造りの外観は今でも大きな変化はありません。ウイスキーの熟成庫も当時「綿花」を貯蔵していた倉庫をリノベーションしてつくられており、温度や湿度が一定に保たれる仕組みとなっています。

年間生産量は300万ℓ。初留。再留2基ずつ。

基本的にノンピーテッドで造られています。蒸留所を所有しているのは南アフリカのディステル・グループで、ディーストンの他トバモリー、ブナハーブンも同社が経営。

原酒はブレンデッドの「ブラックプリンス」「ロバートバーンズ」「ロイヤルアスコット」などに使用されています。シングルモルトとしては10年、12年、18年、ディーンストンヴァージン・オークが代表的。いずれもアルコール度数は46.3%に設定。蒸留所のこだわりとなっています。

 

 

スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!トーモア Tormore

トーモア Tormore
地域:スペイサイド
創業年:1958
ペルノリカール社

カーリングができる蒸留所⁉

1958年に創設。戦後に建てられた一番最初の蒸留所です。

設計したのは元ロイヤルアカデミー会長のサー・アルバート・リチャードソン氏で、蒸留所の佇まいが美しいことで有名。敷地内には人工池があって、冬になると凍った池の上でカーリングをすることもできたそうです。スコットランドのスペイサイドはカーリングの故郷と言われていますが、まさか蒸留所内で他の蒸留所との交流試合をしていたなんて驚きです。

年間生産量は480万ℓ。初留、再留4基ずつ。ブレンデッド用のライトテイストな原酒が求められていたようで、計8基の蒸留器すべてに精留器が付けられているのが特徴的。

基本的にノンピーテッド麦芽で仕込みが行われ、主にバランタインやロングジョンの原酒に使用されています。シングルモルトとしてはほとんど見かけないので、オフィシャルボトルがないと思っていましたが、実はあります。日本に正規輸入はありませんが、14年と16年が存在しており、どちらもバッチナンバー付きの商品として数量限定でリリースされています。

 

 

スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!トバモリー Tobermory

トバモリー Tobermory
地域:アイランズ(マル島)
創業年:1798
ディステル・グループ社

2つのウイスキーを造り分ける マル島の蒸留所

蒸留所のあるマル島は、スカイ島とジュラ島の中間付近にあります。創業は1798年と古い歴史があり、オーナーはいく度となく変わって、生産と休業が繰り返される時期もありました。

1993年からはバーンスチュワート社の所有となり生産は安定。その後2013年には現オーナーであるディステル社が買収し、大規模な改修工事が行われます。

改修後の2019年以降は、年間生産量100万ℓ。ポットスチルは初留、再留2基ずつで、計4基は全て新しく取り換えられています。

 

トバモリーは2つのウイスキーを造り分けています。ノンピーテッド麦芽で仕込んだものはトバモリー。フェノール値35~40ppmのヘビリーピーテッド麦芽で仕込んだものはレダイグ。

生産比率はトバモリーが45%、レダイグが55%。近年のスモーキーモルトの人気ぶりからか、レダイグのほうが若干多く造られています。ここ数年でシングルモルトとしてのほうが有名にはなりましたが、ブレンデッド用の原酒としては「バークレイ」や「ブラックボトル」に配合されています。

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スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!トマーティン Tomatin

トマーティン Tomatin
地域:ハイランド
創業年:1897
宝酒造

日本企業所有の第一号蒸留所

現在、日本企業の所有する蒸留所はいくつもありますが、トマーティンは日本企業が所有した最初の蒸留所です。

トマーティンの創業は1897年。当時はポットスチル2基からなる小さな蒸留所でしたが、年々生産量は増加。56年に4基、58年に6基、そして74年には当時のスコッチ最大となる23基(年間生産量1200万ℓ)までに増強されていました。

しかしその後はウイスキーの消費量が低迷したことで、経営が厳しくなります。そして1986年、宝酒造と大倉商事の合弁会社によって買収されました。

現在のトマーティンはピーク時の半分程となる、ポットスチル12基で稼働。年間500万ℓの生産が可能。

かつてはブレンデッドの原酒用としての役割が大きかったのですが、現在では有名銘柄に使用されていないこともあってか、むしろシングルモルトのほうに力を注いでいます。

ノンエイジのレガシー、12年、14年、18年、30年。オフィシャルではリリースが珍しいカスクストレングスタイプや、ヘビリーピーテッド仕込み(フェノール値40ppm)の「ク・ボカン」も人気となっています。

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スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!トミントール Tomintoul

トミントール Tomintoul
地域:スペイサイド
創業年:1964
アンガスダンディ社

近年はシングルモルトも勢力的にリリース

トミントールはゲール語で「納屋の形をした丘」という意味。蒸留所はスペイ川の支流エイボン川の山深い谷間に建てられました。

創業は1964年。まだ歴史が浅い蒸留所ですが、すでにオーナーは何度か変わっており、70年代にはホワイト&マッカイ社が買収しましたが、2000年からはブレンダーのアンガスダンディ社が買収し傘下としています。

年間生産量は330万ℓ。初留、再留2基ずつ。ブレンデッドウイスキー「ホワイトマッカイ」や「フィンドレーター」の原酒として役割を果たしています。

近年はシングルモルトにも力を注ぐようになっており、ノンピーテッド仕込み以外にフェノール値55ppmのヘビリーピーテッド「オールド・バラントルーアン」も製造しています。

ラインナップは豊富で10年、12年、14年、16年、ピーテッド(オールド・バラントルーアンとは別物)などをリリース。カスクフィニッシュなどで個性豊かに仕上げています。

オールド バラントルーアン

 

 

スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!トルベイグ Torabhaig

トルベイグ Torabhaig
地域:アイランズ(スカイ島)
創業年:2017
モスバーン・ディスティラリーズ社(ハイドンホールディングス)

スカイ島に誕生した2番目の蒸留所

タリスカーに次ぐ蒸留所として2017年に創業。トルベイグとはゲール語で「海を見下ろす高台」という意味で、その名の通りスカイ島南部の湾を見下ろせる高台にあります。

建物は古い農家が所有していたもの改造してつくられたもの。オーナーはスウェーデンのクルーズ会社「ハイドンホールディングス」となっています。

年間生産量は50万ℓ。初留、再留1基ずつ。仕込みの麦芽はフェノール値50~75ppmのヘビリーピーテッドタイプを主に使用。一部、ほぼノンピートの仕込みも行っています。

熟成樽はバーボン樽を基本としており、シェリーカスクやヴァージンオーク(新樽)、ワインカスク、ラムカスクなども利用しています。まだ新しい蒸留所ということもあって、様々な取り組みを積極的に行っています。

タリスカーよりもスモーキーで個性的。アイラモルトよりもフェノール値が高くはなっていますが、燻製香は一味違うように感じます。

 

 

スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!ドーノッホ Dornoch

ドーノッホ Dornoch
地域:ハイランド
創業年:2016
ドーノッホ・ディスティラリー社

古城ホテルのオーナーが造る密造酒的なウイスキー

北ハイランド・ドーノッホ町にあるクラフト蒸留所。古い城を改装する形でつくられた「ドーノッホ・キャッスル・ホテル」の創業者、トンプソン兄弟によって建てられました。

蒸留所はホテルの中にある訳ではなく、かつて消防団が使用していった古い建物を改造してつくられたもので、蒸留所と言えるぎりぎりのレベルの大きさ。

あまりの「狭さ」に当初は無かった「2階」を増築。1階との移動は階段ではなくハシゴ。密造酒時代を思わせるような狭い空間(小屋)でウイスキー造りが行われています。

年間生産量は1.5万ℓ。現在の広さでは生産量を増やせないため、移転を計画中。

 

 

スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!ノッカンドオ Knockando

ノッカンドオ Knockando
地域:スペイサイド
創業年:1898
MHD

ゲール語で「小さな黒い丘」 J&Bの原酒

ノッカンドオ(ノッカンドゥ)はスペイサイド・スペイ川中流地域にある蒸留所。ゲール語で「小さな黒い丘」という名だけあって、実際に蒸留所はスペイ川を見下ろせる丘の上に建っています。

創業は1898年。地元で酒の販売を行っていたイアン・トンプソンが設立。1904年にはジンのメーカー「ギルビー社」が買収。その後ディアジオ社傘下となって現在に至ります。

年間生産量は140万ℓでしたが、2017年~2021年まで改修工事が行われており、生産能力は上がっています。コロナ禍の影響からで2021年からの蒸留はできませんでしたが、今後新しい設備で本格的な生産が始まります。

シングルモルトは全体の約10%。9割はブレンデッド用となり、主にJ&Bの原酒に使用されています。

ノッカンドオのユニークなところは、かつて蒸留所内の特別な貯蔵庫に128か所の蒸留所の原酒が貯蔵されていたこと。これは「J&Bアルティマ」という128か所の原酒をブレンドした特別なボトルを造るために用意されていたものでした。

コアなウイスキーファンから絶大に支持されていたレアボトルでしたが、90年代を最後に現在は生産されていません。見つけたら最後。絶対に飲むべし!

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ノッカンドゥ
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スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!ノックニーアン Nc’nean

出典:https://ncnean.com/collections/all-spirits/products/organic-single-malt

ノックニーアン Nc’nean
地域:ハイランド
創業年:2017
ノックニーアン・ディスティラリー社

本土最西端にある「魔女の女王」⁉

スコットランドの詩人・小説家であるサー・ウォルター・スコット(1771- 1832)の作品に登場する有名な魔女の女王が「ノックニーアン」。魔女の女王の名前が付けられている、世界で唯一無二⁉のウイスキー蒸留所です。建物は古い農場だったものを改造して造られています。

年間生産量は10万ℓ。初留、再留1基ずつ。

仕込みに使われている麦芽はスコットランド産のオーガニック大麦を使したノンピーテッドタイプ。2020年にはオフィシャルシングルモルトを初リリースしています。その他ボトラーズの一部でもすでにボトルが出回っています。

 

 

 

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