スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!おすすめボトルも登場

  1. スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!キルホーマン Kilchoman
  2. スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!キングスバーンズ Kingsbarns
  3. スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!クライヌリッシュ Clynelish
  4. スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!クラガンモア Cragganmore
  5. スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!クレイゲラキ Craigellachie
  6. スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!クライドサイド Clydeside
  7. スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!グラスゴー Glasgow
  8. スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!グレンウィヴィス Glen Wyvis
  9. スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!グレンアラヒー Glenallachie
  10. スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!グレンエルギン Glen Elgin
  11. スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!グレンオード Glen Ord
  12. スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!グレンガイル Glengyle
  13. スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!グレンカダム Glencadam
  14. スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!グレンキース Glen Keith
  15. スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!グレンギリー Glen Garioch
  16. スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!グレンキンチー Glenkinchie
  17. スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!グレングラッサ Glenglassaugh
  18. スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!グレングラント Glen Grant
  19. スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!グレンゴイン Glengoyne
  20. スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!グレンスコシア Glen Scotia

スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!キルホーマン Kilchoman

キルホーマン Kilchoman
地域:アイラ島
創業年:2005
キルホーマン・ディスティラリー社

100%アイラのパイオニア 人気も急上昇

農場にある建物を改造して造られた蒸留所。生産設備は小さく、初年度はわずか23万ℓの生産能力でした。しかしその後ポットスチルを増設し合計で4基となり、現在では48万ℓまで増加しています。

設備の増強はポットスチルだけではなく、自家製麦芽を造るために必要な「キルン棟」やその他の製麦設備も完成させ、現在ではアイラ島100%のウイスキー造りができるようになっています。

スタンダードの「マキヤーベイ」に使われている麦芽はポートエレン産となる50ppmのピーテッドモルトですが、100%アイラに使用されている自家製麦芽仕込みの原酒は20ppm。この二つは同じキルホーマンでありながら、全く異なる性質のウイスキーを生み出しています。

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スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!キングスバーンズ Kingsbarns

出典:https://www.kingsbarns-jp.com/

キングスバーンズ Kingsbarns
地域:ローランド
創業年:2014
ウィームス・ディスティラリー社

ボトラーズとして名高いウィームス家の蒸留所

ローランドのファイフ地方に創業。付近には世界的なゴルフ場「セント・アンドリュース」があります。蒸留所は古い農場を改造してつくられており、規模は小さいながら年間60万ℓを生産しています。

オーナーはブレンデッドウイスキーの製造及び、ボトラーズとしても名高いウィームス家。実は地元でも有名な名門貴族で、自信の蒸留所を所有するのは初めてとなります。

ポットスチルは初留、再留1基ずつで、どちらも背丈の高いランタンヘッド型。ラインアームが長く、ローランドの伝統的な酒質である、軽くてスッキリとしたウイスキー造りに適した形です。

麦芽はノンピーテッドのみを使用。クラフト蒸留所ではある意味珍しい、伝統的な製造方法をとっています。

シングルモルトとしてはいくつかの銘柄がリリースされていますが、定番は「キングスバーンズ ドリーム・トゥ・ドラム」。ノンエイジ商品なので熟成感はありませんが、クリアでシンプルな個性が飲みやすく、初心者にもおすすめできる味わいです。

 

 

スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!クライヌリッシュ Clynelish

出典:https://www.malts.com/en-gb/distilleries/clynelish

クライヌリッシュ Clynelish
地域:ハイランド
創業年:1819(1967)
MHD

ハイランドの山猫はノンピーテッドでありながら個性的

クライヌリッシュの歴史は第一蒸留所の誕生から。その後1967年に第二蒸留所となる現クライヌリッシュ蒸留所が操業し、新しくできた方をクライヌリッシュ。古い第一蒸留所をクライヌリッシュから「ブローラ」に名称変更する形をとり、別の蒸留所として分けて稼働しています。

ブローラはわずか10年程で閉鎖(1983年)となり、その後、新クライヌリッシュ蒸留所だけが生産を続けるようになります。

生産能力は年間480万ℓと中規模。シングルモルトとして人気が高いクライヌリッシュですが、ジョニーウォーカーの重要なキーモルトでもあります。

ボトラーズ商品などでもシングルモルトとしてよく見かけると思いますが、実はほとんどがブレンド用原酒として消費されており、オフィシャルボトルは「山猫ラベル」の14年物のみ。名声の割にラインナップが少ないウイスキー。

ノンピーテッド麦芽(ブローラはヘビリーピーテッドですが)から生み出されるフローラルでスイートな香りがあり、アロマのバランスも優れています。

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スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!クラガンモア Cragganmore

クラガンモア Cragganmore
地域:スペイサイド
創業年:1869
MHD

華やかな美酒 オールドパーのキーモルト

クラガンモアはオールドパーに原酒を供給しています。上品な甘みとフルーティーさが魅力的で、スペイサイドモルトの中でもクセが少なく華やか。この個性がオールドパーの飲みやすさに繋がっているのは間違いなさそうです。

蒸留所は1869年に操業。年間220万ℓと生産量は少ない訳ではありませんが、ほとんどがオールドパーにブレンドされているため、シングルモルトとしての出荷量は多くはありません。人気があるのにオフィシャルボトルは12年のみ。限定品や長期熟成のリリースも減っています。

また、ボトラーズでも近年は見る機会が減っているのも残念。非常に優れたモルトウイスキーなだけあるので、オフィシャルのラインナップだけでももう少し強化してほしいと願うばかりです。

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スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!クレイゲラキ Craigellachie

クレイゲラキ Craigellachie
地域:スペイサイド
創業年:1891
バカルディ社

日本語読みに一苦労する⁉蒸留所

クレイゲラキとはゲール語で「無情に突き出た大岩」の意味。スペイサイドの中心、フィディック川とスペイ川の合流する地点に設立された蒸留所です。日本語だといくつか読み方があり、「クレイゲラキ」の他、「クライゲラキ」「クレイゲラヒー」など、正しい発音は常に議論!?になっているとか、なっていないとか…

創業は1891年。ホワイトホースで有名な「ピーターマッキー」が共同経営する形でスタートさせています。その後単独経営し、原酒作りの需要拠点として活躍。98年にはバカルディ社に買収され、ホワイトホースからデュワーズの原酒へと変わっています。

年間生産量は410万ℓ。初留、再留2基ずつ。大型のストレート型ポットスチルでつくられていることで、古典的なスイート系スペイサイドモルトが生み出されています。

オフィシャルボトルは13年物が存在しており、その他はボトラーズでも数多くの商品が流通しています。

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スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!クライドサイド Clydeside

出典:https://www.theclydeside.com/

クライドサイド Clydeside
地域:ローランド
創業年:2017
モリソングラスゴー・ディスティラリー社

グラスゴーのクイーンズドックに創業

クライドサイドはキンクレイス蒸溜所(1958~1975 )が閉鎖して以来、久しぶりにグラスゴーで建設されたシングルモルト蒸留所の一つ。ボトラーズの「ADラトレー社」のオーナーでもある、モリソン家のティム・モリソン氏が2017年に創設。

1877年に、ティム氏の曽祖父「ジョン・モリソン」が、貿易の中心地として栄えていたグラスゴーにクイーンズドック(大型貨物船の積み下ろし港湾地区)を建設。クライドサイドは施設内にある建物を改装して建てられました。

年間生産量は340万ℓ。初留、再留1基ずつ。ガラスで囲まれた蒸留棟にはポットスチルが美しく輝き、現代的でスタイリッシュなデザインが施された蒸留所です。

ビジターセンターも充実しており、見学ツアーも行っています。その他ウイスキーショップやカフェも併設。観光地としてもこれから注目されています。

熟成樽はファーストフィルのバーボンバレル、ファーストフィルとリフィルのホグスヘッド、ホグスヘッドのシェリー樽など。さまざまなタイプが使用されています。

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スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!グラスゴー Glasgow

出典:https://www.glasgowdistillery.com/the-distillery/our-story

グラスゴー Glasgow
地域:ローランド
創業年:2015年
ザ・グラスゴー・ディスティラリー社

すでにウイスキーをリリースしている新進気鋭の造り手

クライドサイド蒸留所よりも少し前にグラスゴーに創業。ウイスキーを造り始めたのは2015年ですが、蒸留所としては2014年にまずはジンから生産を始めています。創業から3年目となる2018年には早くもシングルモルトをリリース。

年間生産量は50万ℓで、ポットスチルは初留、再留2基ずつ。

グラスゴー蒸留所の商品ブランド名は「グラスゴー 1770」。「1770」は過去にグラスゴーにあった同名の蒸留所の創業年から名付けられたもの。このシリーズは3種類のボトルがリリースされており、「オリジナル」はノンピーテッドモルトで仕込まれたもの。ファーストフィルのバーボン樽で熟成し、バージンオークでフィニッシュ。

「ピート」は、ハイランド産のピートを使用した麦芽でつくられています。熟成にはスコッチでは珍しいバージンオークを使用し、フィニッシュにPXシェリー樽を用いています。

トリプルディスティラー」はローランドの伝統である三回蒸留でつくられたもので、熟成はバージンオーク。

はっきりとした蒸留所のスタイルはまだ見えていませんが、リリースされた商品を見る限り、伝統的でありながら伝統に縛られない、新進気鋭の造り手だということがわかりますね。

 

 

 

スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!グレンウィヴィス Glen Wyvis

出典:https://glenwyvis.com/

グレンウィヴィス Glen Wyvis
地域:ハイランド
創業年:2016年
グレンウィヴィス・ディスティラリー社

町民3000人の出資よって誕生した蒸留所

「ウィヴィス」と言えば閉鎖蒸留所の「ベン・ウィヴィス(1965~1977) 」を思い起こさせますが、まったく別の蒸留所。ですが、蒸留所の所在地は、かつてベン・ウィヴィスのあった町と同じ、ディングウォールという町にあります。

大きな資本が必要とされるウイスキー蒸留所の開業ですが、グレンウィヴィスはディングウォールに住む町民らが出資してつくられました。スコットランドどころか、世界中の蒸留所でも珍しい運営スタイルをしていますね。

年間生産量は10万ℓ。2500ℓと1700ℓの小さなポットスチル2基で生産されています。

仕込みに使われる麦芽はノンピート。ジン用の蒸留器も導入されており、ロンドンタイプのドライジンもつくっています。

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スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!グレンアラヒー Glenallachie

グレンアラヒー Glenallachie
地域:スペイサイド
創業年:1967
ザ・グレンアラヒー・ディスティラーズ社

3パターンの樽詰め度数がこだわり

グレンアラヒーはクランキャンベルやキングスランサムなどのブレンデッド用原酒を造る蒸留所。2017年にペルノリカールから現オーナーに売却されると、シングルモルトのリリースにも力を入れるようになります。

現在オフィシャルラインナップは豊富に展開。ブランドとして歴史は浅くとも、モルトファンから着実に支持を受けています。

ポットスチルは初留2基、再留2基。年間400万ℓを生産。

グレンアラヒーのこだわりとしてユニークなのは、樽詰めのアルコール度数を3パターンに分けているところ。通常スコッチは63.5%に度数を調整して樽詰めするのが一般的ですが、アラヒーでは63.5%、68%、72%とそれぞれ変化させてウイスキーを熟成させています。

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スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!グレンエルギン Glen Elgin

グレンエルギン Glen Elgin
地域:スペイサイド
創業年:1898
MHD

ホワイトホースの原酒 「白馬」から「ツバメ」へ

操業した1898年頃は、スコッチが低迷していた時期。グレンエルギンは建設中にオーナー会社が倒産。その後は紆余曲折をへてディアジオ傘下となり、まともに生産できるようになったのは1930年頃だといいます。

原酒はブレンデッドウイスキー「ホワイトホース」に使用され、現在に至るまでホワイトホースにはなくてはならない存在です。

年間生産量は270万ℓ。初留、再留3基ずつ。麦芽は全てノンピーテッドが使用されています。

シングルモルトとしては12年物が長くリリースされています。80年代頃まではホワイトホースのシンボルマークである白馬の絵柄がデザインされたボトル(ホワイトホースと間違えそうになるくらいはっきりとしたもの)でした。しかし現在はなくなり、蒸留所付近に生息するイワツバメが描かれるようになりました。

 

 

スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!グレンオード Glen Ord

グレンオード Glen Ord
地域:ハイランド
創業年:1838
MHD

製麦施設もある巨大な蒸留所

年間生産量1100万ℓの大規模蒸留所兼、製麦工場。グレンオード製麦所でつくられたモルトはグレンオードのみならず、クライヌリッシュ、ティーニニック、タリスカーなどにも供給されており、蒸留所によってフェノール値の異なるモルトを生産しています。

ウイスキーはブレンデッドの「デュワーズ」「ジョニーウォーカー」の原酒となっており、どちらも世界中で売れているメジャー銘柄ということもあって、実はスコッチを支えている重要な蒸留所でもあります。

最近はシングルモルトの販売量も増やしており、「シングルトン・オブ・グレンオード」の出荷量は100万ケースに近い数字。グレンフィディックやリベットには及ばないものの、売上本数はシングルモルトスコッチのなかで上位に入っています。

 

 

スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!グレンガイル Glengyle

出典:https://whisk-e.co.jp/product_types/glengyle/

グレンガイル Glengyle
地域:キャンベルタウン
創業年:1872(2004)
J&Aミッチェル社

キャンベルタウンに残るスプリングバンクの姉妹蒸留所

スプリングバンクの姉妹蒸留所であり、「キルケラン」シングルモルトを造っている蒸留所です。グレンガイルを名乗れないのはすでに他社によってブランド名が登録がされているからだとか。

蒸留所の創業は1872年で、1925年に一度閉鎖。そして2000年に再びグレンガイルを復活させようと動き始め、2004年にキャンベルタウンの地に新グレンガイル蒸留所が操業しました。旧蒸留所の建物こそ買い戻しましたが、生産設備はすでにないので、新品を調達、もしくは他の蒸留所から中古品をかき集める形で揃えています。

年間生産能力は75万ℓ。しかし実際の生産量はこれより少ないとのこと。麦芽は全てスプリングバンクでつくられたもので、スプリングバンクと同じライトピーテッドモルトと、ヘビリーピーテッドモルトも使用しています。

スプリングバンクが世界的に人気が高まり、ボトリングが全く追い付いていない状況下ですので、同じ麦芽を使うグレンガイルにも今後なんらかの影響がでそうです。

 

 

スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!グレンカダム Glencadam

グレンカダム Glencadam
地域:ハイランド
創業年:1825
アンガスダンディ社

クリーミーでうっとり 古き良き少量生産の蒸留所

アンガス地方ブレヒンの街にある蒸留所。この街にはかつてノースポートという蒸留所がありましたが、現在ではグレンカダムだけが生産を続けています。

生産能力は年間130万ℓと小規模。しかし蒸留所にはアンガスダンディのブレンディングセンターがあります。これは、同社のリリースする「スチュワーツ・クリーム・オブ・ザ・バーレイ」などブレンドする大規模なブレンド用の設備となっています。

ウイスキーは「大麦のクリーム」と評されている、やわらかくてソフトな味わい。アイリッシュウイスキーにも似たクリーミーでオイリーな個性も感じます。

オフィシャルボトルのラインナップは充実。スタンダード10年の他、17年、19年、25年。長期熟成からノンエイジのリーズナブルなボトルまで幅広くリリースされています。

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スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!グレンキース Glen Keith

グレンキース Glen Keith
地域:スペイサイド
創業年:1957
ペルノリカール

シーバスリーガルの原酒供給だけでは満足しない

スペイサイド・キースの街にある蒸留所。地元を流れるアイラ川を挟んだ対岸に、姉妹蒸留所であるストラスアイラがあります。

グレンキースはストラスアイルの第2蒸留所として創設。シーバスリーガルやパスポートなどのブレンデッドに原酒を供給しています。年間生産量は600万ℓ。初留、再留3基ずつ。

ブレンド用原酒に適したライトテイストなウイスキーを造る為に、スペイサイドでは通常行われていない3回蒸留を実施したり、スモーキーな原酒からは「クレイグダフ」や「グレンアイラ」などのクセの強いシングルモルトもリリースしています。

シングルモルトの評価が徐々に上がりつつある蒸留所。オフィシャルラインナップの拡充に期待しましょう。

 

 

スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!グレンギリー Glen Garioch

グレンギリー Glen Garioch
地域:ハイランド
創業年:1797
ビームサントリー社

ガス直火焚き蒸留へ原点回帰

モリソンボウモアの経営から1994年にサントリーに買収。蒸留所は現在はビームサントリーの傘下となり、ビジター設備の拡充が行われたことで観光客が増加しています。

年間生産量は140万ℓ。かつては「ロブ・ロイ」や「アイラレジェンド」などのブレンド用原酒としての役割が主でしたが、2009年頃からオフィシャルボトルが新デザインとなり、シングルモルトの販売にも力を入れています。

グレンギリーの特徴としては、なんといっても初留釜がガス直火焚きであること。わざわざ効率の良いスチーム加熱から直火焚きへと原点回帰した蒸留所は他ではありません。オールドスタイルの蒸留を復活させ、独自のウイスキー造りを進めています。

オフィシャルラインナップは12年、15年、16年など。ファウンダーズ・リザーブは、蒸留所の200周年記念でリリースされたノンエイジボトル。

 

 

スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!グレンキンチー Glenkinchie

出典:https://www.malts.com/en-row/distilleries/glenkinchie

グレンキンチー Glenkinchie
地域:ローランド
創業年:1837
MHD

巨大なポットスチルから生み出されるしっかり系モルト

グレンキンチーは初留と再留が1基ずつしかありませんが、年間250万ℓものウイスキーを生産しています。これはポットスチルが巨大なため。一度に3万ℓものモロミを入れることができます。

原酒はほとんどが「ヘイグ」や「ベル」、「ジョニーウォーカー」のブレンド用に使用。

シングルモルトとしてはかつては10年物が定番となっていましたが、2007年に12年物がスタンダードに変更されて現在もリリースされています。ローランドモルト特有の落ち着きのある風味。すっきりとしたライトボディ。大きなポットスチルで造られたウイスキーは軽めのものが多いのですが、キンチーは飲みやすいだけでなくしっかりとした部分もありますね。

12年の他は「ダブルマチュアード」というシリーズがあり、このボトルは不定期に数量限定発売されています。ダブルマチュアードとは、熟成中のウイスキーを違う樽に移し変え、さらに熟成させる製法のこと。

ちなみにグレンキンチーの場合は、近年オロロソシェリーの代わりに利用されることが多くなった、「アモンティリャード・シェリー樽」で後熟しています。

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スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!グレングラッサ Glenglassaugh

グレングラッサ Glenglassaugh
地域:ハイランド
創業年:1875
ブラウンフォーマン社

モスボールから復活 シングルモルトに力を入れる

創設は1875年と長い歴史のある蒸留所ですが、1986年~2008年までは生産休止(モスボール)。蒸留所の親会社も目まぐるしく変わっており、安定した生産ができない状態が続いていました。現在はアメリカのブラウンフォーマングループの傘下となり、蒸留が続けられています。

年間生産量は110万ℓとやや小さめ。ウイスキーは基本的にノンピーテッド。1か月に一度だけフェノール値30ppmのピーテッドモルトでの仕込みも行っています。

熟成樽はバーボンメーカーであるブラウンフォーマンがオーナーですから、バーボンカスクがメイン。通常シングルモルトでは使用されない「4回目」の古樽も利用。

原酒は「カティサーク」のブレンド用として供給されていますが、生産量の8割以上はオフィシャルシングルモルトとしてリリースしています。

 

 

スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!グレングラント Glen Grant

グレングラント Glen Grant
地域:スペイサイド
創業年:1840年
CTスピリッツ(カンパリグループ)

イタリア国内No,1の人気を誇るシングルモルト

1840年、蒸留所が集中するスペイサイド・ローゼス地区に創業。現在はビターリキュール「カンパリ」でおなじみのカンパリグループがオーナーとなっており、イタリア国内で不動の人気を誇るシングルモルトです。

年間生産量は620万ℓ。初留・再留4基ずつ。オフィシャルラインナップは充実していますが、「シーバスリーガル」「パスポート」のブレンド原酒としても有名です。

グレングラントはスペイサイドモルトのなかでは軽くてエステリー。背丈の大きいポットスチル(ストゥーパ型)と精留器を付けることで、広く好まれる酒質を目指して生産しています。イタリア人はライトボディなウイスキーを好みますから、グレングラントが好まれるのもわかりますね。

ウイスキーとは関係ありませんが、蒸留所の背後には3万3000坪もの広さをもつ自然庭園があり、四季折々の花や果物が栽培されています。こんな蒸留所は世界でグラントだけ。見学に訪れてみたいものです。

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スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!グレンゴイン Glengoyne

グレンゴイン Glengoyne
地域:ハイランド
創業年:1833
イアンマクロード社

ハイランドとローランドにまたがる蒸留所

仕込み水はハイランド、熟成はローランドというように、それぞれの境界線にまたがって建設された蒸留所。仕込み水がハイランドから流れてきたものを使用していることから、ハイランドモルトに分類されています。

年間生産量は110万ℓと小規模。ノンピーテッド麦芽で仕込み、バーボン樽熟成が3分の2、シェリー樽熟成が3分の1。長期熟成や一部のオフィシャルボトルではシェリーの風味豊かなものが存在しています。

日本ではマイナーですが、原酒はブレンデッド用として「ラングス」や「ヘッジス&バトラー」に使用されています。

グレンゴインはシングルモルトのラインナップが充実していますから、恐らくシングルモルト用にまわされている量が多いはず。味わいはスイートでフレッシュ。ライトボディで加水すると印象が薄くなってしまいますが、10年物は値段も安いのでぐいぐい飲むのにはちょうどいいかも。

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スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!グレンスコシア Glen Scotia

グレンスコシア Glen Scotia
地域:キャンベルタウン
創業年:1832
ヒルハウス・キャピタルマネジメント

80年代に蒸留再開 キャンベルタウンに残る銘酒

キャンベルタウンはかつて14以上の蒸留所が操業していましたが、現在はスプリングバンク、グレンガイル、グレンスコシアの3つのみ。

創業は1832年。しかしキャンベルタウンのウイスキー産業が衰退し始めた1920年代に蒸留所は一度閉鎖しています。その後80年代に大改修が施されて蒸留所は復活。現在はロッホローモンド社所有で、オーナー会社は中国の投資会社となっています。

年間生産量は80万ℓ。ポットスチルは初留、再留1基ずつ。基本的にノンピートモルトで仕込みを行っていますが、わずかな期間だけフェノール値19ppmと25ppmのピーテッドモルトのウイスキーも生産しています。

オフィシャルラインナップは、ヒルハウス・キャピタルマネジメントの経営下になってからは豊富に展開されています。10年、15年、18年など。ノンエイジボトルも増え、ファーストフィルのバーボン樽原酒100%でつくられた「キャンベルタウン ハーバー」や、ファーストフィルバーボン樽で熟成された後、PXシェリーカスクで後熟した「ダブルカスク」などがあります。

 

 

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