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スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!アナンデール Annandale

出典:https://annandaledistillery.com/
アナンデール Annandale
地域:ローランド
創業年:2014
アナンデール・ディスティラリー社
200年越しに蒸留が再開
アナンデールが誕生したのは1836年。スコットランド・ローランドとイングランドの国境の村、アナンに建てられました。
ジョニーウォーカーの原酒をつくる蒸留所となっていましたが、設備の老朽化から1919年に閉鎖。1924年~2007年まではウイスキーの製造ではなく、オートミールの加工工場として施設は利用されていました。
そして2010年にウイスキーの蒸留所として復活を遂げるべく、地元の実業家トムソン氏によって買い取られます。蒸留所の建物は「歴史的建造物」の指定を受けてしまっていたことから、外観を変えることが許されませんでした。
そのため新たな生産設備を導入するのに時間がかかり、蒸留が開始されたのは買い取ってから3年以上経った2014年。新しく蒸留所を建てたほうがお金も時間もかからなかったと、トムソン氏は語っています。
蘇ったアナンデールの生産能力は年間50万ℓ。初留、再留1基ずつ。
仕込みはノンピート麦芽と、フェノール値45ppmのヘビリーピーテッド麦芽の2種類を使用。
シングルモルトの初リリースは2018年で、ブランド名は「マン・オ・ワーズ」(ノンピートタイプ)と「マン・オ・スワード」(ヘビリーピートタイプ)。オフィシャルボトルの他、ボトラーズからはアナンデール表記の短期熟成も数は少ないのですが流通しています。
スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!アベラルギー Aberargie
アベラルギー Aberargie
地域:ローランド
創業年:2017
ザ・パース・ディスティリング社
モリソン家の新しい蒸留所
ボトラーズとしても有名なモリソン&マッカイ社(現在はモリソン・スコッチウイスキー・ディスティラーズ社)のモリソン家が経営する蒸留所。ボトラーズ事業と分ける形をとっており、運営はザ・パース・ディスティリング社(モリソン家)となっています。
蒸留所にはマッカイ社のブレンド、ボトリング、集中熟成庫などの設備がある敷地内の一角に新たに建てられています。
周辺には300エーカーの畑が広がり、原料の大麦は全て自社畑で収穫されたものを使用。製麦のみ他社で行っていますが、その他の工程はすべて蒸留所敷地内で行われているのは、クラフトウイスキーとしては大変珍しい取り組み。
年間生産量は75万ℓ。初留、再留1基ずつ。シングルモルトとしてのリリースはまだありません。
スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!アイル・オブ・ジュラ Isle of Jura

出典:By Jura Distillery by Rob Farrow, CC BY-SA 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=113858917
アイル・オブ・ジュラ Isle of Jura
地域:アイランズ(ジュラ島)
創業年:1810(1960)
エンペラドール・ディスティラーズ社
ヴァイキング語で「鹿の島」島の雇用のために復活をとげた蒸留所
アイラ島の北東に位置しているジュラ島は、人口180人に対し鹿の数は5000頭という、自然に恵まれた小さな島です。一度は生産停止(閉鎖)しましたが、1963年に新たに建設された「新ジュラ蒸留所」で生産が再開されました。
アイル・オブ・ジュラは島で唯一の蒸留所であるため、地元の人々からは愛されるローカルな存在となっています。蒸留所の周りには海と山が広がり、美しい自然環境に囲まれています。
年間生産量は240万ℓ。初留、再留2基ずつ。原酒はホワイト&マッカイのブレンドに使用されていますが、近年はシングルモルトでの人気も高まり、出荷量は増えています。2018年にはオフィシャルボトルがリニューアル。くびれのある特徴的なボトルデザインへと変わっています。
なめらかで優しい味わい。島系モルトにしては上品。
スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!アイルサベイ Ailsa Bay
アイルサベイ Ailsa Bay
地域:ローランド
創業年:2007
ウィリアム・グラント&サンズ社
ウィリアム・グラント社 第4のモルトウイスキー蒸留所
グレンフィディック、バルヴェニー、キニンヴィに次いで2007年に誕生したのがアイルサベイ。発酵槽24基、蒸留器は初留8基、再留8基となる大型蒸留所です。年間生産量は1200万ℓ。
特徴的なのは16基の蒸留所のなかでワンペアだけがステンレス製になっている所。スコッチでは通常銅製が使用されており、ステンレスでは不香気成分が発生しやすくなるため、基本的には使用されていません。一部にステンレス製を導入することで、個性の強くヘビーな原酒造りをして他の3つの蒸留所と差別化しているのでしょうか。
シングルモルトは「アーストン」というブランド名でリリース。「アーストン ランドカスク」は、ピーテッド麦芽仕込みを内陸の貯蔵庫で熟成されたもの。「アーストン シーカスク」は、その名の通りに海岸近くの貯蔵庫で熟成されたもの。ピートは感じず、穏やかでフレッシュな味わいです。
スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!アバフェルディ Aberfeldy

出典:https://www.dewars.com/gl/en/aberfeldydistillery/whisky-distillery/
アバフェルディ Aberfeldy
地域:ハイランド
創業年:1896
バカルディ社
デュワーズのキーモルト!博物館も併設している蒸留所
アバフェルディ村にあり、この地は創業者のジョン・デュワーの生まれ故郷。ピティリー川の良質な水を仕込み水にしウイスキーをつくっています。
年間生産量は340万ℓ。初留、再留2基ずつ。蒸留所はビジター設備が充実しており、デュワーズの博物館も併設してあります。
アバフェルディーは何を隠そう「デュワーズ」の重要な原酒であり、この蒸留所がなければ「世界のデュワーズ」は存在していません。生産された原酒は主にデュワーズ用として使用されています。
シングルモルトとしては、かつてのオフィシャルボトル「花と動物」が人気でした。赤リスが描かれているのが印象的。現在はシックなボトルデザインとなっていますが、昔から変わらぬ落ち着いたバランスの良い味わい。安定感のあるシングルモルトです。
スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!アビンジャラク Abhainn Dearg
アビンジャラク Abhainn Dearg
地域:アイランズ(ルイス島)
創業年:2008
マーク・テイバーン
170年ぶりにルイス島に復活した蒸留所
アビンジャラクはゲール語で「赤い川」という意味。
スコットランドで最も西にある蒸留所。ルイス島はアウターヘブリディーズ諸島で最大の面積をほこる島ですが、アビンジャラクができるまで170年程の間、蒸留所はありませんでした。
創業は2008年。生産能力は低く、年間で2~3万ℓ程度。これは、スコットランドでも最小規模とされているエドラダワーよりも少ない量。エドラダワーどころか、近年創業ラッシュとなっているクラフトウイスキー蒸留所と比べても、アビンジャラクは生産量が低いことが分かります。
2011年にはシングルモルトをリリース。まだ流通量は少ないのですが、シングルカスクなどは人気がでています。
スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!アベラワー Aberlour
アベラワー Aberlour
地域:スペイサイド
創業年:1826(1879)
ペルノ・リカール社
シェリー樽推し!ペルノリカールが力をいれる人気のシングルモルト
蒸留所が一番最初に建てられたのが1826年。その後火災で消失し、再建されたのが1879年となっており、現在では後者の年代がボトルに刻まれ、公式の創業年となっています。
70年代にフランスのペルノリカール社に買収され、以降はフランスのコニャックを思わせるようなボトルデザインとなるV.O.H.M表記(VERY OLD HIGHLAND MALTの略)が発売されていました。
年間生産量は380万ℓ。ポットスチルは初留と再留合わせて4基ですが、さらに4基を増設する予定。
シーバスリーガルの原酒用としての役割の他、シングルモルトも人気。オフィシャルボトルはシェリー樽の原酒が主体となってつくられています。フルーティーで深みのある味わいですが、甘さは上品でドライ。質の良いシェリー系ウイスキーです。
スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!アルタベーン Allt-A-Bhainne
アルタベーン Allt-A-Bhainne
地域:スペイサイド
創業年:1975
ペルノリカール
生産休止から一転 アジア市場で人気の100パイパーズのキーモルト
75年に創業したアルタベーンですが、2002年にシーグラム社からペルノリカールに事業が引き継がれたタイミングで生産休止(モスボール)。しかし生産はすぐに再開され、2005年に復活しています。
年間生産量は420万ℓ。初留、再留2基ずつ。
原酒は主にブレンデッドウイスキー「100パイパーズ」に利用されており、シングルモルトとしてはあまりリリースされていません。しかもパイパーズはアジア市場で好調で、アルタベーンはその原酒供給で需要があるため、今後もシングルモルトとして飲むことができるのは、ボトラーズの一部がリリースする商品のみでしょうか。
味わいはスムースでナチュラル。強い個性は感じません。ブレンデッド用原酒には使いやすい正統派のシングルモルト。
スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!インチデアニー InchDairnie

出典:https://www.inchdairniedistillery.com/strathenry/
インチデアニー InchDairnie
地域:ローランド
創業年:2015
ジョン・ファーガス社
年間生産量400万ℓを目指す新鋭
2015年にローランド・ファイフ地方に創業。同じ地域にはエデンミルやキングスバーンズもあります。
ローランド地域はクラフト蒸留所が急増している地域ですが、インチデアニー蒸留所は他のクラフト蒸留所とはまた違った存在です。その理由の一つとしては生産規模で、年間生産量は200万ℓ。スコッチ全体で見ても中規模で、クラフトとは言い難い生産量を誇っています。
さらに、数年以内に生産規模を倍増する計画もあり、もしそうなればローランドでも大規模な蒸留所と言えます。
インチデアニーではウイスキー造りも個性的。麦芽を粉砕する装置は通常使用されている「ローラーミル」ではなく、グレーンウイスキーなどに用いる「ハンマーミル」を使用。
ポットスチルも初留、再留の計2基以外に、ローモンドスチルも導入しています。このローモンドスチルだけでアルコール分を90%まで上げることができるようです。
新たなウイスキー造りに挑戦し、クラフト蒸留所を代表する存在になりつつあるインチデアニー。ウイスキーのリリースが楽しみですね。
スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!インチガワー Inchgower
インチガワー Inchgower
地域:スペイサイド
創業年:1871
MHD
ベルの原酒 花と動物ではミヤコドリ
オフィシャルボトルのインチガワー14年ではラベルに描かれた「ミヤコドリ」がトレードマーク。シングルモルトとしては「花動」以外はボトラーズのみが流通しているインチガワー。原酒のほとんどがブレンデッドウイスキー「ベル」に使用されています。
フルーティーでスムース。バランスのとれた名わき役。
年間生産量は320万ℓ。初留、再留2基ずつ。6万樽が貯蔵できる巨大な熟成庫も完備しています。ちなみに「ベル」はイギリス国内で人気のあるブレンデッドウイスキーです。
ラインナップには「ウエディングベル」の形状でおなじみのベルボトルもあります。ダイアナ妃とチャールズ皇太子のご成婚記念ボトルが有名。ひと昔前にありましたね。
スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!ウルフバーン Wolfburn

出典:https://wolfburn.com/the-story/the-distillery/
ウルフバーン Wolfburn
地域:ハイランド
創業年:2013
オーロラブリューイング社
本島最北端の街サーソーに蘇った蒸溜所
スコットランド本土の最北に位置する蒸留所。1821年に同名の蒸留所がありましたがそちらはすでに閉鎖している為、現在のウルフバーンは経営こそ異なりますが、銘柄としては復活した形です。
2012年に蒸留所の建設計画がスタート。13年からは生産が開始され、16年には早くもシングルモルトをリリースしています。
ウルフバーンという名前は、かつて野生のオオカミが多く生息していた地域であったから。「ウルフ」と仕込み水を採取している川(バーンは川を意味する)を合わせています。
年間生産量は13万ℓと小規模。熟成樽はファーストフィルのバーボンバレルがメイン。他にはクォーターカスクやホグスヘッドのように、バーボン樽を組み替えたものや、シェリー樽も使用しています。
リリースされているボトルは数多くありますが、定番ボトルは2016年に第1弾としてリリースした「ウルフバーン ノースランド」。熟成樽にアイラ産ウイスキーのセカンドフィル・クオーターカスクを使用し、ほのかにピーティーな風味が感じられます。
スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!エデンミル Eden Mill
エデンミル Eden Mill
地域:ローランド
創業年:2014
エデンミル・ディスティラーズ社
セントアンドリュースのすぐ近く ジンやウォッカも製造
ゴルフの聖地セントアンドリュースのすぐ近くに創業。かつての製紙工場だった敷地内の一角に建てられました。
創業者のポール・ミラー氏はグレンモーレンジィでウイスキーを造っていた職人。退職後にエデンミル蒸留所をオープンさせて、クラフトビール造りをまず始め、その後ウイスキーとジンやウォッカなどのスピリッツも生産しています。
年間生産量は10万ℓ。ポットスチルはポルトガル製で、初留1基、再留2基。
仕込みに使用している麦芽は地元ファイフ産で、マッカランがかつてこだわって使用していた「ゴールデンプロミス種」をメインとしています。ピートは使用せず、ローランドの伝統的なスタイルであるノンピーテッド麦芽。
ウイスキーの他、エデンミル蒸留所は「ゴルフジン」という名のジンをリリースしています。セントアンドリュースの近くだからゴルフジン…分かりやすい!
スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!エドラダワー Edradour
エドラダワー Edradour
地域:ハイランド
創業年:1825
シグナトリーヴィンテージ社
かつてはスコットランド最小規模の蒸留所 現在では2倍にまで増産
農家兼業スタイルの小さな蒸留所であったエドラダワー。2000ℓの最小クラスのポットスチルが2基だけで造り続けていましたが、2018年に生産設備を増設しました。
現在ポットスチルは2倍となり、初留2基、再留2基。それでも年間生産量は26万ℓと決して多い訳ではありません。かつてはスコットランド最小の蒸留所でしたが、現在ではスコッチウイスキーの生産ルールが変わり、2000ℓ以下のポットスチルでもつくることが可能となったため、エドラダワーより小さな造り手(クラフト蒸留所)はたくさん存在しています。
ウイスキーはシェリーカスクにもこだわり、主力となる10年の構成原酒にはリッチに反映されています。「12年 カレドニア」はシェリーカスクでのフィニッシュに最低42ヶ月。イビスコシェリーマチュアードはシェリーのカスクストレングスとなっています。
その他、ヘビリーピーテッドの「バレヒン」などもつくっており、経営がボトラーズのシグナトリーなだけあって、多彩な原酒造りが行われています。毎年個性的な限定商品をリリースしたりと、目が離せません。
スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!オーバン Oban
オーバン Oban
地域:ハイランド
創業年:1794
MHD
オーバンの町に残る唯一の蒸留所
西ハイランドにある小さな漁師町に操業したオーバン蒸留所は、ヘブリディーズ諸島の玄関口として観光の中心地として有名です。かつてはいくつかあった蒸留所も現在ではオーバンのみ。年間87万ℓと生産量は少ないことから、生産された原酒は全てシングルモルトとなっています。
オフィシャルボトルはオーバン14年。ディアジオ社のシングルモルトとしては売上第5位となっており、年間150万本ほど出荷されています。
この他、ディスティラリーエディションなどが数年ごとにリリースされているものの、数は多くありません。ボトラーズからもほとんどリリースされないことから、オーバン14年がこの蒸留所のすべてを語るといったところでしょう。
潮気、クリーム、ピート、ナッツ、フルーツ。様々な香気がバランスよく感じます。
スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!オーヘントッシャン Auchentoshan
オーヘントッシャン Auchentoshan
地域:ローランド
創業年:1823
ビームサントリー
ローランド伝統の3回蒸留
創業は1800年頃ですが、正式にオープンした年は1823年。ローランドを代表するシングルモルトウイスキー。創業者がアイルランド人であったことと、グラスゴーやエディンバラなどの大都市に近いこともあって、ウイスキーはクリアでスムースな酒質となる3回蒸留で生産されています。
初留釜、後留釜、再留釜の3つのスチルから生み出される原酒は年間200万ℓ。シングルモルトスコッチでありながらクセが少ない味わいなので、世界的に流行しています。ブレンデッド用としては「ロブ・ロイ」「アイラレジェンド」などに使用されています。
スタンダードボトルは12年。アメリカンオークのバーボン樽で熟成した原酒をヴァッティングしてつくられています。その他「オーヘントッシャン スリーウッド」は、異なる3つの樽で熟成した原酒で構成されており、バーボン樽、オロロソシェリー樽、ペドロヒメネス樽で順番に原酒が入れ替えられて熟成しています。
そして秀逸なのは21年。バーボン樽とスパニッシュオークのシェリー樽で熟成された21年物は、トロピカルでスパイシー。余韻が長く飲みごたえもあります。
スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!オスロスク Auchroisk
オスロスク Auchroisk
地域:スペイサイド
創業年:1974
MHD
J&Bの原酒用に操業 燕のラベルでおなじみのウイスキー
蒸留所は74年に操業しており、まだ歴史が長い訳ではありませんが、世界的に人気の高いブレンデッドウイスキー「J&B」の原酒を造っている重要な蒸留所です。合計8基のポットスチルで年間生産量は約600万ℓ。
シングルモルトとしては「花と動物」のオスロスク10年がオフィシャルボトルとして有名です。ラベルには周辺(スペイサイド)に生息する燕が描かれているのが印象的。
フルーティーで甘みとドライさが絶妙な、バランス型のスペイサイドモルト。オフィシャルボトルよりも、最近ではボトラーズからの商品の方がよく見かけますね。
スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!オルトモア Aultmore
オルトモア Aultmore
地域:スペイサイド
創業年:1897
バカルディ社
霧の深い秘境で造られる銘酒
1897年にスペイサイドのフォギー・モス(霧が深い湿地)と呼ばれる場所に設立。デュワーズの原酒を造る拠点として重要な役割を果たしています。
麦芽はノンピーテッド。バランスの取れたスペイサイドらしい酒質です。生産された原酒はほとんどがデュワーズ用となっていますが、現在はシングルモルトとしてもオフィシャルボトルが人気となっており、12年、18年が発売されています。
ポットスチルが合計4基。年間生産量320万ℓと中規模。
60~70年代に蒸留所は建て替えられて、現在では原酒を熟成させていません。造られた原酒(ニューポット)はタンクローリーでローランドの大都市グラスゴーへ運んでいます。
スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!カードゥ Cardhu
カードゥ Cardhu
地域:スペイサイド
創業年:1824
MHD
ジョニーウォーカーのキーモルト シングルモルトとしても高評価
スペイ川中流域、マノックヒルの丘にひっそりとたたずむ蒸留所。
カードゥ(カーデュ)は「ノッカンドゥ」や「ノックドゥ」などと、よく間違えられることがあるそうですが、自分は間違ったことはありません(笑)カードゥはゲール語で「黒い岩」という意味。蒸留所はジョニーウォーカーのキーモルトとして繫栄してきました。
年間生産量は340万ℓ。初留、再留3基ずつ。ほとんどがブレンド原酒となっていますが、シングルモルトとしても評価が高く、近年出荷量は増えています。
オフィシャルボトル、カードゥ12年は甘みのあるクリーミーモルト。フルーティーでハチミツのよう。さすがジョニーウォーカーのキーモルト!
スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!カリラ Caol Ila
カリラ Caol Ila
地域:アイラ島
創業年:1846
MHD
アイラ海峡の意味をもつディアジオの重要拠点
カリラは年間生産量650万ℓ。アイラ島での最大規模の蒸留所です。ポットスチルは初留と再留3基ずつの合計6基。エイジングセラーがなく、基本的に造られたニューポットはタンクローリーで運び、スコットランド本土にあるディアジオの集中熟成庫で寝かされています。
ウイスキーはラガヴ―リンと同じポートエレン製のヘビリーピーテッドタイプを使っていますが、ラガヴーリンよりもライトでクセも少ないのが特徴的。熟成樽や年数、環境によって多彩に変化する酒質はアイラ島の中でもおもしろい存在ですね。
シングルモルトとしてはいくつかのラインナップがあり、これまで限定版でも数多くリリースされています。
ボトラーズ商品も豊富。生産量が多いですから、原酒を様々な会社へ供給しており、シングルモルトとしてはもちろん、ブレンデッド用のスモーキー原酒としても重宝されている存在です。
スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!キニンヴィ Kininvie
キニンヴィ Kininvie
地域:スペイサイド
創業年:1990
ウィリアムグラント&サンズ社
グラント社の秘蔵っ子 モンキーショルダーの原酒
ウィリアムグラント&サンズの第三の蒸留所として90年に操業したキニンヴィ蒸留所。
シングルモルトとしてはほとんど見かけることのないウイスキーですが、その原酒はブレンデッドウイスキー「モンキーショルダー」に使用されています。年間生産量は480万ℓ。初留3基、再留6基。
モンキーショルダーはトリプルバッテッドモルトウイスキーで、同社のグレンフィディック、バルヴェニー、そしてキニンヴィがブレンドされています。フィディック、バルヴェニーともにシングルモルトとして人気となっているので、キニンヴィはブレンド原酒用に操業された蒸留所と言えるのかもしれません。
蒸留所も簡素な造りとなっており、どちらかというと「第3の蒸留棟」のことをキニンヴィと呼称しているような感じです。
バーで見かけたら飲んでみたい。そんな秘蔵っ子モルト。
ブレンデッドモルトウイスキー「モンキーショルダー」↓
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