【2025年版】キャンベルタウンの全蒸留所を解説!おすすめのウイスキー7選 

ユースケ
ユースケ

こんばんは ユースケです。

自己紹介:BAR WHITE OAK 店主。ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーエキスパート。JSA認定ソムリエ。2022年1月 東京・銀座にBAR WHITE OAK をオープン。YouTube、TikTokでカクテル動画を公開中!

かつて30以上の蒸留所がひしめき合い、「ウイスキー首都」とまで称されたスコットランド南西部の港町キャンベルタウン。現在この地で稼働している蒸留所は、わずか3か所のみとなりました。

それでも、ここで造られるウイスキーには他の地域にはない“キャンベルタウンらしさ”が色濃く残されており、今なお熱烈なファンを世界中に持っています。

本記事では、2025年時点で稼働中のキャンベルタウン蒸留所をそれぞれ簡潔に紹介し、最後におすすめのオフィシャルボトル7選もご紹介します。

 

 

 

【2025年版】キャンベルタウンの全蒸留所を解説!一覧

キャンベルタウン全蒸留所3か所

  • グレンガイル [ Glengyle ]
  • グレンスコシア [ Glen Scotia ]
  • スプリングバンク [ Springbank ]

 

グレンガイル蒸留所(Glengyle)

出典:By Glengyle distillery by Leo, CC BY-SA 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=106474693

グレンガイル蒸留所(Glengyle)

  • 創業年:1872年(1925年閉鎖→2004年再建)
  • 所有者:J&A ミッチェル社(スプリングバンクと同系列)
  • ブランド名:キルケラン(Kilkerran)

一度閉鎖されながらも、スプリングバンクの傘下で21世紀に奇跡の復活を遂げた蒸留所。

製品は「グレンガイル」ではなく「キルケラン」の名でリリースされており、バーボン樽やシェリー樽、さらにはワイン樽など、個性豊かな熟成が特徴です。実験的でありながらも骨太な味わいで、近年注目度が急上昇しています。

 

グレンスコシア蒸留所(Glen Scotia)

グレンスコシア蒸留所(Glen Scotia)

  • 創業年:1835年
  • 所有者:ヒルハウス・キャピタル・マネジメント
  • ブランド名:グレンスコシア

一時は閉鎖の危機に瀕しながらも、ロッホローモンド社の手によって再生。伝統的な製法を守りつつも革新も怠らず、2021年には「ワールド・ウイスキー・アワード(WWA)」で世界最高賞に輝いたことも話題になりました。

潮風を感じるソルティさ、熟した果実、やさしいピート香が共存する、多層的な味わいが魅力です。

 

スプリングバンク蒸留所(Springbank)

出典:Lirazelf – 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=62325073による

スプリングバンク蒸留所(Springbank)

  • 創業年:1828年
  • 所有者:J&A ミッチェル社
  • ブランド名:スプリングバンク、ロングロウ、ヘーゼルバーン。

キャンベルタウンの象徴とも言える存在であり、世界でも極めて稀な「自社製麦~ボトリング」まで一貫生産を守る蒸留所。以下の3つのブランドを製造しています。

  • スプリングバンク(ライトピーテッド)
  • ロングロウ(ヘビリーピーテッド)
  • ヘーゼルバーン(ノンピート)

多くの蒸留所が量産化へと傾くなか、あえて手間と時間を惜しまない姿勢は、世界中のウイスキー愛好家から高く評価されています。オールドボトル市場でも高値が続いており、その実力と人気は折り紙付きです。

 

 

 

【2025年版】キャンベルタウンの全蒸留所を解説!おすすめのウイスキー7選

  1. キルケラン 12年
  2. キルケラン ヘビリーピーテッド バッチ11
  3. グレンスコシア カンベルタウンハーバー
  4. グレンスコシア 10年
  5. スプリングバンク 10年
  6. ロングロウ ピーテッド
  7. キャンベルタウンロッホ

 

キルケラン 12年

キルケラン 12年

キルケラン12年は、グレンガイル蒸溜所のフラッグシップボトル。バーボン樽とシェリー樽の原酒をバランスよくブレンドし、キャンベルタウンらしい骨太なモルト感と複雑な香味を引き出しています。

香りはドライフルーツやレモンピール、ほのかに潮気を帯びたミネラル感。口に含むと、麦芽由来のビスケットや蜂蜜、かすかなピートが舌に広がり、余韻にはほろ苦いチョコレートと樽香が心地よく残ります。

冷却ろ過なし・着色料不使用で、原酒本来の個性をダイレクトに楽しめる1本。

市場価格は12年物としてはやや高めですが、キルケラン蒸留所とキャンベルタウンモルトの魅力をしっかりと伝えてくれる実力派です。

 

キルケラン ヘビリーピーテッド バッチ11

キルケラン ヘビリーピーテッド バッチ11

「キルケラン ヘビリーピーテッド バッチ11」は、グレンガイル蒸溜所が製造する、ヘビリースモーキーなシングルモルトで、年2回リリースするスモールバッチのカスクストレングス(無加水)シリーズとなります。

「バッチ11」のフェノール値は45ppm。原酒構成は、バーボン樽90%、シェリー樽10%。アイラモルト並みの強烈なピートを持ちながら、ただスモーキーなだけでは終わらない奥行きを備えています。

香りは焚火のような乾いた煙、燻製ベーコン、そしてバニラカスタードのような甘さが交錯。味わいはオイリーで力強く、モルトの厚みとともに胡椒、レモンゼスト、焦がしオークのニュアンスが広がります。

スモーキ―モルト好きにはたまらない、“キャンベルタウン発のヘビリーピーテッドモルト”として、シリーズのなかでも高評価のバッチ。数量限定リリースのため、見かけたら迷わず手に取りたいボトルです。

 

グレンスコシア カンベルタウンハーバー

グレンスコシア カンベルタウンハーバー

「グレンスコシア カンベルタウンハーバー」は、伝統ある港町・キャンベルタウンの名を冠したエントリーモデル。バーボン樽熟成原酒を主体に、グレンスコシアらしい潮気とスパイス感をやさしく表現しています。

香りはバニラクリームや青リンゴ、微かに香る塩キャラメルのようなアクセント。口当たりは軽やかでドライ。ピートは控えめながらも、フィニッシュにほんのりと感じられる煙のニュアンスが心地よく、塩気のあるフィニッシュが全体を引き締めます。

アルコール度数40%で飲みやすく、初心者にも親しみやすいバランス。加水やハイボールにもよく合い、日常的に楽しめる“キャンベルタウン入門ボトル”としておすすめです。

キャンベルタウンのシングルモルトが高騰している中、4000円台で購入できるのは嬉しい限り。「キャンベルタウンの雰囲気を気軽に楽しんでみたい」という方に、まず手に取ってほしいウイスキーです。

 

グレンスコシア 10年

グレンスコシア 10年

「グレンスコシア10年」は、同蒸溜所のスタンダードライン「カンベルタウンハーバー」よりも一段階上の熟成レンジに位置するシングルモルト。バーボン樽熟成を基本に、10年以上の熟成を経ることで、より厚みのあるボディと奥行きのある香味が楽しめる構成になっています。

香りは完熟した洋ナシ、トーストしたオーク、かすかなバニラと潮風。味わいはソフトながらも芯があり、蜂蜜がけの麦ビスケットやレモンピール、ほのかなピートスモークが交互に顔を出します。余韻にはオーク由来のスパイスと塩気が残り、キャンベルタウンらしい複雑さを感じます。

「カンベルタウンハーバー」との違いは、ズバリ“熟成による深み”。ハーバーがフレッシュで軽快な印象なのに対し、10年はより円熟感が増しており、舌に残る余韻の長さが印象的です。

価格差は控えめながら、味わいのステップアップははっきりと感じられる一本。カンベルタウンの“次の一歩”を踏み出したい方に、自信を持っておすすめできます。

 

スプリングバンク 10年

スプリングバンク 10年

“キャンベルタウンモルトの象徴”と称されるスプリングバンク。そのスタンダードレンジにあたる「スプリングバンク 10年」は、もはや入門ボトルとは呼べない風格と完成度を備えたボトルです。全世界でスプリングバンクの評価が高まったことから、現在は入手困難となり、市場価格の高騰が続いています。

「スプリングバンク 10年」は、特異な「2.5回蒸留」でウイスキーを製造しています。原酒はバーボン樽とシェリー樽で熟成させ、バランスよくブレンド。香りは潮風に乗った麦芽、ドライフルーツ、オイリーなナッツ、そしてほのかに薬品を思わせるスモーク。味わいは複雑かつ力強く、ハチミツやキャラメル、黒胡椒のスパイス、ピートの苦みと塩気が幾層にも折り重なって展開します。

余韻は長く、静かに煙と樽香が戻ってくるような、熟成の妙を感じる仕上がり。10年物とは思えないほど奥行きがあります。

スプリングバンクは冷却ろ過なし・着色料不使用・フロアモルティングからボトリングまですべてを自社で手がける「完全手作り」。このクラフトマンシップこそ、最大の魅力です。

価格が落ち着く気配はありませんが、それでも“飲む価値がある”と多くのウイスキーファンが語る一本。「スプリングバンク 10年」は、キャンベルタウンの本質を知るうえで、避けては通れないマスターピースと言えるでしょう。

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ロングロウ ピーテッド

ロングロウ ピーテッド

「ロングロウ ピーテッド」は、スプリングバンク蒸溜所がリリースするヘビリーピーテッドタイプのシングルモルトウイスキーです。「スプリングバンク」とは異なり、こちらはスタンダードな2回蒸留で製造されています。アイラモルトに通じるスモーキーな個性を持ちながら、キャンベルタウンらしいオイリーさや塩気がしっかりと表現された、硬派で力強い個性をもっています。

香りは土っぽいスモーク、焦げた薪、湿った木材とともに、ほんのりとバニラやレモンのアクセントが立ち上がります。口当たりは厚みがあり、黒胡椒やヨード、焙煎コーヒー、シリアルのような麦の甘みが交互に広がり、長い余韻には塩気とピートのビターさが続きます。

冷却ろ過なし・着色料不使用。非効率な伝統製法をあえて守り抜くスプリングバンク蒸溜所ならではの誠実な造りが、「ロングロウ ピーテッド」にも一貫して息づいています。

アイラのスモーキーさとは一線を画す、“キャンベルタウン流のピーテッドモルト”を体験したい方にぜひ手に取ってほしい1本。「スプリングバンク10年」よりも市場価格は安いため、クセの強いタイプに抵抗がなければ、こちらから飲み始めるのも良いと思います。

 

キャンベルタウンロッホ

キャンベルタウンロッホ

「キャンベルタウンロッホ(Campbeltown Loch)」は、スプリングバンク蒸溜所がプロデュースするブレンデッドモルトウイスキーです。以前の「キャンベルタウンロッホ」は、グレーンウイスキーを含む「ブレンデッドスコッチ」としてリリースされていましたが、そちらは終売となり、現在はブレンデッドモルトとして再登場しています。

「キャンベルタウンロッホ」の構成原酒は、現存する3か所の蒸溜所でつくられる、5種類のモルトウイスキーを使用。スプリングバンク蒸溜所の「スプリングバンク」、「ヘーゼルバーン」、「ロングロウ」。グレンガイル蒸溜所の「キルケラン」は、ノンピートタイプ。そして、グレンスコシア蒸溜所の「グレンスコシア」。

構成比率は非公開ですが、カスクタイプはバーボン樽とシェリー樽とのこと。原酒はスプリングバンク蒸溜所でブレンディングされています。

香りはスモークした麦芽、潮風、レモンオイル、そしてオールドレザーのような熟成感あるアロマ。若く力強いモルトがアクセントとなり、グレンスコシア由来のフルーティーさとミネラル感、そしてスプリングバンクの土っぽくオイリーな要素が絶妙に溶け合っています。

口に含むと、キャンベルタウンらしい塩気を含んだモルトの厚みが前面に出てきます。ピートは控えめながら芯があり、ビスケット、トフィー、スモーク、熟した果実、そしてほのかなウッディネスが複雑に折り重なる印象。

現在わずか3つにまで減った、キャンベルタウンにある蒸溜所の全ての原酒を使用したブレンデッドモルトウイスキーは、「キャンベルタウンロッホ」のみ。まさに“キャンベルタウン地域全体の味”を体現したボトルと言えます。

キャンベルタウンモルトの“全体像”を一杯で感じたい方には、まず手に取ってみる価値のある一本です。

 



 

かつて隆盛を極め、いまは静かに息づくキャンベルタウン。3つの蒸溜所がそれぞれの哲学を胸に、確かな手仕事で紡ぎ出すウイスキーは、どれもが唯一無二の存在感を放っています。

蒸溜所の個性をじっくり楽しむのもよし、地域の空気をグラスに映したような1本で全体を俯瞰するのもよし。キャンベルタウンの魅力は、1杯ごとに少しずつ深まっていくと思います。

 

ユースケ
ユースケ

あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。

 

 

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