ダグラスレイン / Douglas Laing
- ボトラーズ会社
- ストラスアーン蒸溜所を所有
ダグラスレインは、スコットランド・グラスゴーに拠点を置く、70年以上の歴史を持つ独立系ウイスキーボトラー兼ブレンダーです。
1948年に創業者フレッド・ダグラス・レイン(Fred Douglas Laing)氏が、戦後の復興期に「キング・オブ・スコッツ」というブレンドスコッチのブランドを買収したこと歴史は始まり、以来、家族経営の伝統を守り続けています。2013年に分社し、フレッド・レイン氏がダグラスレインという会社名を引き継ぎ、娘のキャラ・レイン氏と共に経営しています。
ダグラスレインは、スコットランド各地の蒸溜所から厳選した原酒を使用し、シングルカスクやブレンデッドモルトなど、個性豊かなウイスキーを展開しています。人気シリーズは以下の通り。
Big Peat(ビッグ・ピート):アイラ島の蒸溜所(アードベッグ、ポートエレン、ボウモア、カリラ)のモルトをブレンドした、ピート香豊かなウイスキー。
Scallywag(スカリーワグ):スペイサイドのシェリーモルトを中心にブレンドした、甘くフルーティな味わい。
Timorous Beastie(ティモラス・ビースティ):ハイランド地方のモルトをブレンドし、滑らかで豊かな風味を持つ。
Rock Island(ロック・アイランド):アイランズ地方のモルトをブレンドし、海風を感じさせる塩味とスモーキーさが特徴。
The Epicurean(エピキュリアン):ローランド地方のモルトをブレンドし、軽やかでフルーティな味わい。
ダグラスレインは「Old Particular(オールド・パティキュラー)」や「Xtra Old Particular(エクストラ・オールド・パティキュラー)」などのシングルカスクシリーズも展開。希少価値の高いウイスキーをボトリングしています。
近年では、2019年にスコットランド・パースシャーの「ストラスアーン蒸溜所」を買収し、自社の蒸溜所として稼働を開始しました。ウイスキー原酒を自社で確保し、より一層の品質向上を目指しています。
ダグラスマッギボン / Douglas McGibbon
- ボトラーズ会社(親会社:ダグラス・レイン社)
ダグラス・マッギボンは、スコットランドの独立系ボトラーであり、1947年に設立。親会社はダグラス・レイン社となります。
展開するシリーズとしては、「クランデニー (Clan Denny)」や、「マクギボンズ レッド&ゴールドリボン (McGibbon’s Red & Gold Ribbon)」などが有名。クランデニーは、70年の歴史を誇るダグラス・マクギボン社が、その氏族の名誉と伝統を背景に、熟成が最高に達したシングルモルト原酒を厳選し、シングルカスクでのみボトリングしたシリーズです。
また、1980年代にはゴルフをテーマにした「Golf Club Blended Scotch Whisky」というシリーズもありました。ユニークなセラミック製デキャンタが特徴的で、現在はコレクターズアイテムとして人気があります。
ドラムモー / Dràm Mòr
- ボトラーズ会社
ドラムモーは、2019年にケニーとヴィクトリヤ・マクドナルド夫妻によって設立された、スコットランド・ダンバートンを拠点とするインディペンデント・ボトラーです。もともとはスコットランドの蒸溜所の輸出支援を行うエージェンシーとしてスタートしましたが、独自の高品質なスピリッツへの需要の高まりを受け、独立したボトリング事業へと移行しました 。
「Dràm Mòr」はスコットランド・ゲール語で「ビッグ・ウイスキー」を意味しています。その名の通り、個性豊かなシングルカスクのウイスキーやラムを厳選し、ボトリング。ボ熟成樽にはシェリー、ポートワイン、デザートワイン、赤ワイン、ラム、コニャックなど、多彩な樽を使用しており、各蒸溜所の個性を最大限に引き出しています 。
ドラムモーは、年間3~4回のペースで季節ごとのリリースを行っており、各リリースには数百本のボトルとなるため、大手のボトラーに比べて限定的となっています。
ダン イーダン / Dun Eideann
- ボトラーズブランド
- 運営会社:シグナトリー社系列(スコットランド)
ダン・イーダンは、スコットランドの独立系ボトラー「シグナトリー・ヴィンテージ(Signatory Vintage)」の創設者であるアンドリュー・シンントン氏が手がけたブランドであり、シグナトリー社のセカンドブランド的な存在です。主にフランスやイタリア市場向けに展開されており、フランスでは「La Maison du Whisky」、イタリアでは「Donato社」が輸入代理店を務めています。
ブランド名「Dun Eideann」は、スコットランド・ゲール語で「エディンバラ」を意味しています。このブランドは、シグナトリー・ヴィンテージと同様に、シングルカスクやカスクストレングス、ノンチルフィルターといったこだわりのボトリングを特徴としており、特に1980年代から1990年代にかけて、アードベッグ、ローズバンク、ブラドノックなどの希少な蒸溜所のウイスキーは、高い評価を受けています。
現在では、日本でのリリース数が減少していますが、ダン・イーダンのボトルはその希少性と品質から、ウイスキー愛好家やコレクターの間で高い評価を受け続けています。
ダンカンテイラー / Duncan Taylor
- ボトラーズ会社
ダンカンテイラーは、1938年にスコットランド・グラスゴーで創業された独立系ウイスキーボトラーです。
当初は「カスクブローカー」および、トレーディング会社として活動。その後、同社はウイスキー専門商社に成長し、現在では業界最大規模となるスコッチウイスキーの熟成樽コレクションを保有しており、多くの蒸溜所と密接な関係を築きながら、自社の樽にニューメイクスピリッツを詰めることで、希少な熟成原酒のコレクションを生み出しました。
2001年に、元グレンドロナック蒸溜所の従業員であるユアン・シャンド氏がダンカンテイラーを買収。本拠地をハントリーに移転し、自社のボトリング施設を設立。ボトラー事業を拡大します。2024年からは、ショーン・スミス氏が新たなディレクター兼オーナーに就任し、家族経営の伝統を継承しつつ、さらなる発展を目指しています。
ダンカンテイラーの主なシリーズ
The Octave(オクタブ):40年以上にわたり、小型のオクタブ樽を使用した熟成実験を行い、独自の風味を持つウイスキーをリリース。
Dimensions(ディメンションズ):スコットランド各地のシングルモルトおよびシングルグレーンウイスキーを、シングルカスクかつカスクストレングスでボトリング。
Rare Auld Grain(レア・オールド・グレーン):長期熟成されたシングルグレーンウイスキーを集めたコレクションで、希少性と高品質が特徴。
Black Bull(ブラックブル):高いモルト比率と高アルコール度数が特徴のブレンデッドスコッチウイスキー。
Battlehill(バトルヒル):手頃な価格帯で提供されるシングルモルトシリーズ。
ダンカンテイラーは、閉鎖された蒸溜所の原酒や長期熟成のシングルカスクを含む、多彩なラインナップを展開しており、ウイスキー愛好家やコレクターから高い評価を受けています。
エディション スピリッツ / Edition Spirits
- ボトラーズ会社(親会社:ハンターレイン)
エディション スピリッツは、スコットランドの著名なウイスキーファミリーであるスチュワート・ラング氏の息子、アンドリューとスコット・ラング兄弟によって2010年に設立された独立系ボトラー。ダグラスレイン社での経験を活かし、独自のボトリングブランド「The First Editions」を展開。現在のエディション スピリッツは、ハンターレイン社の子会社となったことから、アンドリュー氏がブランドを手掛けています。
「The First Editions」シリーズは、シングルカスク、カスクストレングス、ノンチルフィルター、無着色というこだわりのもと、スコットランド各地の蒸溜所から厳選された原酒をボトリング。これまでに150本以上のボトルがリリースされており、各ボトルはその個性を最大限に引き出すため、熟成樽や瓶詰め時期に細心の注意が払われています。
エディション スピリッツの最高峰は「オーサーズシリーズ」。過去の偉大な作家に敬意を表し、特に個性が傑出した樽からボトリングされたプレミアムブランドとなります。
エリクサー ディスティラーズ / Elixir Distillers
- ボトラーズ会社(旧名:スペシャリティ・ドリンクス)
エリクサー・ディスティラーズ(Elixir Distillers)は、スキンダー・シン氏とラジビール・シン氏の兄弟によって1999年に設立された、ロンドンを拠点とする独立系ボトラー兼スピリッツメーカーです。シン兄弟は、著名なウイスキーオンラインショップ「ザ・ウイスキー・エクスチェンジ(The Whisky Exchange)」を創業したことでも知られています。元々は「スペシャリティ・ドリンクス(Speciality Drinks)」という名でしたが、2017年に「エリクサー・ディスティラーズ」に改称されました。
同社は、スコッチウイスキーを中心に、日本、アイルランド、アメリカのウイスキーやラム、テキーラなど、多岐にわたるスピリッツのブレンディングとボトリングを手がけています。 代表的なブランドには以下のとおり。
Elements of Islay(エレメンツ・オブ・アイラ):アイラ島のシングルモルトを小ロットでボトリングし、化学実験器具を模したラベルデザインが特徴。
Port Askaig(ポート・アスケイグ):アイラ島の東海岸に位置する港の名前を冠したシングルモルトシリーズで、年数表記のないカスクストレングスや8年熟成品など、多彩なラインナップを展開。
The Single Malts of Scotland(ザ・シングルモルツ・オブ・スコットランド):スコットランド各地の蒸溜所から厳選したヴィンテージのシングルモルトを、シングルカスクまたは小ロットでボトリングするシリーズ。
なお、同社の母体であるウイスキーオンラインショップの「ザ・ウイスキー・エクスチェンジ」は、2021年にフランスの大手酒類メーカー「ペルノ・リカール」社に買収されましたが、ボトラー部門であるエリクサー・ディスティラーズ自体はその対象外であり、現在も独立した企業として運営されています。
フェイブル ウイスキー / Fable Whisky
- ボトラーズ会社
フェイブル ウイスキーは、スコットランド・リヴィングストンに拠点を置く独立系ボトラーで、物語性と芸術性を融合させたユニークなウイスキーブランドとして知られています。創設者はカラム・ローリー氏とアンドリュー・トランス氏。ディアジオやモリソン・ボウモアなどでの豊富な経験を活かし、2021年にフェイブル ウイスキーを立ち上げました。
原酒はスコットランドの数多の蒸留所から独自に調達して熟成。厳選した樽をシングルモルトとしてボトリングさせるほか、ブレンデッドモルトも手がけています。シングルカスクウイスキーは、すべてカスクストレングス、ナチュラルカラー、ノンチルフィルターでボトリング。
ブランドの中心には、スコットランドの伝説「クランヤード湾の幽霊バグパイパー」が据えられており、この物語を11の「チャプター」として展開。各チャプターは、シングルカスクのスコッチとして対応。ラベルには、ボリビアのアーティスト、ウーゴ・クエジャール氏による幻想的なイラストが施されています。
ジェムストーン / Gemstone
- ボトラーズブランド
- 運営会社:株式会社リラックス(日本)
「ジェムストーン」は、ワインやウイスキーの輸入業者「株式会社リラックス」の独自ブランド。選りすぐったシングルモルトをシングルカスク・カスクストレングスにてボトリング。
グリーンモア スピリッツ / Gleann Morr Spirits
- ボトラーズ会社
グリーンモア スピリッツ*は、2013年にデレク・メア氏によってスコットランド・エディンバラで設立されたボトラーで、ウイスキーの他、ジン、ラム、ウォッカなど多彩なスピリッツを手がけています。
ウイスキーは「Rare Find(レア・ファインド)」が主力シリーズ。スコットランド各地の蒸溜所から厳選したシングルカスクのウイスキーをカスクストレングスでボトリングしています。
クラフトジンでは、「Firkin Gin(ファーキン・ジン)」という、10種類のボタニカルを使用したロンドンドライジンを、ウイスキーの熟成に使用されたオーク樽で追加熟成させた商品をリリース。また、エディンバラのリース地区にちなんだブランド「Leith Spirits(リース・スピリッツ)」も展開しています。
グローバルウイスキー / Global Whisky
- ボトラーズ会社
グローバル・ウイスキーは、2017年にスコットランド・グラスゴーで設立されたインディペンデント・ボトラーです。小規模なバッチリリースを専門とし、個性豊かなスコッチウイスキーを提供。同社は、熟成樽の選定からボトリングまでのプロセスにこだわり、各ウイスキーの特性を最大限に引き出すことを目指しています 。
グローバル・ウイスキーの主要ブランドはいくつかありますが、代表的なものは「オールドグーンシーズ(Auld Goonsy’s Malt)」。ラベルにも登場する“グーンシーお爺さん”にちなんで名づけられたシリーズです。
グーンシー氏は、クーパー(樽職人)や蒸留所マネージャーとして長年の経験を積んだ人物で、現在はグローバルウイスキー社のボトリングにおけるテイスティングチームの責任者を務めています。また、このテイスティングチームには、現役の蒸留所スタッフも参加しており、実務に裏打ちされた目利きで樽の選定を行っています。
ゴールドフィンチ・ウイスキー・マーチャント / Goldfinch Whisky Merchants
- ボトラーズ会社
ゴールドフィンチ・ウイスキー・マーチャントは、スコットランド・グラスゴーを拠点とする独立系ウイスキーボトラーです。2018年にアンドリュー・マクドナルド=ベネット氏(元エドリントン社)によって設立され、シングルカスクのスコッチウイスキーを中心に、特にシェリー樽熟成にこだわった高品質な製品を提供しています。
ゴールドフィンチは、ウイスキーの熟成と仕上げにおいて独自のアプローチを採用しています。スコットランドの優れた蒸留所から原酒を調達し、熟成期間や樽の種類を選定。
主なシリーズとして、「パロマ(Paloma)」があり、こちらは希少なパロ・コルタド・シェリー樽で熟成されたシングルモルトシリーズ。スペイン語で「鳩」を意味し、美しさと時代を超えた魅力を象徴しています。 また、「ボデガ・シリーズ(Bodega Series)」は、スペインのオロロソ・シェリー樽で熟成されたウイスキーをボトリング。シェリーの風味を前面に押し出したシリーズです。
ゴールドフィンチのボトルは、美しいオリジナルアートワークで装飾されており、視覚的にも魅力的。各ボトルは、コレクターや愛好家、投資家に向けて、明確な出自とともに提供されています。
ゴードン&マクファイル / Gordon & MacPhail
- ボトラーズ会社
ゴードン&マクファイル(Gordon & MacPhail)は、1895年にスコットランド・エルギンで創業された、世界で最も歴史ある大手ウイスキーボトラーの一つです。創業以来、ウイスキーの熟成とボトリングにおいて卓越した技術と品質を追求し続けています。
特に、蒸留所から新酒(ニューポット)を自社の樽に詰めて熟成させるという独自の手法を確立し、長年にわたりスコットランド各地の蒸留所と強固な関係を築いてきました。
しかし近年は、蒸溜所からニューポットでの買い付けが難しくなっています。ボトラーとしての方向性に注目が集まっていましたが、2023年に、ゴードン&マクファイルは2024年以降、新たな原酒の購入を停止し、自社所有の「ベンロマック蒸留所」と「ケアン蒸留所」に注力する方針を発表しました。これにより、独立系ボトラーとしての活動から、自社蒸留所でのウイスキー製造にシフトチェンジすることになります。
ゴードン&マクファイルの主なシリーズ
ディスカバリー(Discovery):シェリー、バーボン、スモーキーの3つのフレーバープロファイルに分類されたシリーズで、初心者から愛好家まで幅広く楽しめるラインナップ。
コニサーズチョイス(Connoisseurs Choice):1968年に開始されたこのシリーズは、希少なシングルモルトを厳選し、個々の蒸留所の特徴を際立たせたボトリングが特徴。近年では、1989年のモートラックが2023年の「ウイスキー・オブ・ザ・イヤー」を受賞するなど、高い評価を得ている。
ジェネレーションズ(Generations):超長期熟成のウイスキーをリリースするシリーズで、80年熟成のグレンリベットなど、世界最古級のシングルモルトが含まれている。
マクファイルズ・コレクション(MacPhail’s Collection):蒸留所名を非公開にしたミステリアスなシリーズで、複雑でリッチな味わいが特徴的。
ミスター・ジョージ・レガシー(Mr George Legacy):創業家のジョージ・アーカート氏へのオマージュとして、特別なヴィンテージをリリースするシリーズ。
ゴードン&マクファイルは、長年にわたりスコットランドのウイスキー文化を支えてきた存在であり、今後もその伝統と革新を融合させたウイスキー造りにも期待が寄せられています。
グレート ドラムス / Great Drams
- ボトラーズ会社
グレート・ドラムスは、イギリス・チェシャーを拠点とする家族経営の独立系ウイスキーボトラーです。創業者のグレッグ&カースティ・ディロン夫妻によって設立され、シングルカスクやアーティザンブレンドのウイスキーを多数リリースし、数々の賞を受賞しています。
また、オンラインでのウイスキー販売に加え、ウイスキークラブの運営やカスクの販売、テイスティングイベントの開催など、多岐にわたる活動を展開しています。
グレート ドラムスは、スコットランド各地の蒸留所から希少なカスクを厳選し、独自の熟成やフィニッシュを施してボトリングしています。そのプロセスでは、オロロソシェリー樽やバーボン樽など多様な樽を使用。
主なシリーズとしては「Rare Cask Series」があり、こちらは希少なカスクを使用。その他、熟成やフィニッシュに工夫を凝らしたブレンデッドモルトの「Blended Cask Series」があります。
ハンナ ウイスキー マーチャンツ / Hannah Whisky Merchants
- ボトラーズ会社
ハンナ・ウイスキー・マーチャンツ(Hannah Whisky Merchants)は、スコットランド・ファイフ州ダルゲティ・ベイに拠点を置く独立系ウイスキーボトラーで、元銀行員であったグレゴール・ハンナ(Gregor Hannah)氏によって2012年に設立。
彼は父親のウイスキーコレクションに影響を受け、27歳でこの会社を立ち上げました。同社は、シングルカスクのスコッチウイスキーを専門に扱い、すべてのボトリングを自社で手作業で行っています。
ハンナ・ウイスキー・マーチャンツの代表的なブランドである「レディ オブ ザ グレン(Lady of the Glen)」は、スコットランドの物語「ザ グリーン レディ」に登場するヒロインのキャラクターに由来する名前。パッケージデザインにはスコットランドの野生の花々をモチーフにした繊細なフローラルパターンが施され、スコットランドのエッセンスと現代的な感性を融合させています。
ハンナ・ウイスキー・マーチャンツは、その品質と革新性が評価され、スコッチ・ウイスキー・マガジン「Icons of Whisky」では「スコットランド独立系ボトラー・オブ・ザ・イヤー」を2022年~24年まで3年連続受賞。歴史が浅いながらも結果を残す実力派ボトラーです。
ハート ブラザーズ / Hart Brothers
- ボトラーズ会社
ハート・ブラザーズ(Hart Brothers)は、スコットランドのペイズリーに拠点を置く独立系ウイスキーボトラーで、1964年にイアンとドナルド・ハート兄弟によって設立されました。その起源は19世紀後半、グラスゴー近郊のペイズリーで家族が酒場を営んでいた時代にさかのぼります。
1975年にはアリステア・ハートがチーフブレンダーとして加わり、希少なシングルモルトの樽を厳選し、シングルカスクとしてボトリングするスタイルを確立。すべてのボトルは単一の樽から抽出され、加水せずにボトリングされます。
また、蒸留所の多様性も魅力の一つ。マッカラン、グレンドロナック、ハイランドパークなど、スコットランド各地の人気蒸留所から原酒を調達しています。
ヒドゥン スピリッツ / Hidden Spirits
- ボトラーズ会社
ヒドゥン・スピリッツは、2013年にイタリア・フェラーラでアンドレア・フェラーリ氏によって設立された独立系ボトラーです。スコットランドのシングルモルトウイスキーの他、ダークラムも厳選しボトリング。アンドレア氏は設立以前から熱心なウイスキーコレクター兼ブロガーであったため、スコットランドを頻繁に訪れて業界との関係を築いていました。
主なシリーズとしては、高アルコール度数でボトリングされたシングルカスク「High Proof Collection」や、若い原酒を使用し、革新的なアプローチでボトリングされた「Young Rebels Collection」があります。
ヒドゥン・スピリッツは、芸術的なラベルデザインも特徴の一つで、イタリアのアーティストによってデザインされたボトルは魅力的。 その品質と独自性から高い評価を受けています。
ハウス オブ マッカラム / House of MacCallum
- ボトラーズ会社
ハウス・オブ・マッカラムは、スコットランドの独立系ボトラーで、マスターブレンダーのアントニー・マッカラム(Antony McCallum)氏によって設立されました。彼はスコットランドのウイスキー業界で24年以上の経験を持ち、「ハート・ブラザーズ」や「イアン・マクロード」など、著名なボトラーでのキャリアを経て、独自のブランドを2018年よりリリースしています。
マッカラム氏の家系は、スコットランド西海岸にルーツを持つ古い貴族のクラン「クラン・マッカラム」に属し、その祖先はスコットランド最初の王たちにまで遡ることができます。この歴史的背景を反映し、ハウス・オブ・マッカラムは伝統と革新を融合させたウイスキー造りを目指しています。
人気シリーズには、芸術的なラベルデザインが特徴で、スコットランドのアーティストにより作成された「アート・オブ・ウイスキー(Art of Whisky)」があります。また、「オールド・アライアンス・ヴィンテージ・コレクション(Auld Alliance Vintage Collection)」シリーズは、特定の蒸留所から厳選されたヴィンテージウイスキーをボトリングしており、熟成感と個性を重視したラインナップとなります。
ハンターレイン / Hunter Laing
- ボトラーズ会社
- アードナッホー蒸溜所を所有
ハンターレイン(Hunter Laing & Co.)は、スコットランド・グラスゴーに本拠を構える家族経営のインディペンデント・ボトラーズです。
設立は2013年。創業者のスチュワート・ラング(Stewart Laing)氏は、元々兄弟とともにダグラス・レイン社(Douglas Laing & Co.)を共同経営していましたが、企業の方向性の違いにより分社化。スチュワート氏は息子のアンドリューおよびスコットと共に、新たなブランド「Hunter Laing」を立ち上げました。
レイン家は、1950年代からウイスキー業界に深く関わってきた家系であり、ボトリングのみならず、ブレンダー、ディストリビューター、そして輸出業者としても豊富な経験を持ちます。スチュワート・レイン氏自身も、少年時代から父フレッド・レインと共に業界で経験を積み、その知識と人脈をベースにハンターレインを築き上げました。
ハンターレインでは、複数のシリーズを展開しています。それぞれのブランドは熟成年数、価格帯、コンセプトが明確に区分されており、ボトラーズとしての多層的な魅力を提供しています。主なブランドは次の通り。
1. オールド&レア(Old & Rare)
最高級レンジ。非常に長期熟成されたシングルカスクをカスクストレングスでボトリング。熟成年数はおおよそ25年〜40年クラス。手作業でボトリングされ、木箱入りで販売。ラベルの書体や封蝋も高級感のある趣き。
2.オールドモルトカスク(Old Malt Cask)
1998年にスチュワート・ラングが生み出した名ブランドで、Hunter Laing設立後に継承。アルコール度数は基本的に50%固定。理由は「フレーバーが最もバランスよく感じられる黄金比」との哲学による。
3. ヘップバーンズ・チョイス(Hepburn’s Choice)
よりカジュアルに楽しめるシリーズ。比較的若めの熟成(8年〜12年程度)が中心バランスよりも個性的な味わいや樽の表現を重視。オフィシャルリリースの少ない蒸溜所の原酒も登場する。
4. ザ・ファーストエディション(The First Editions)
文学へのオマージュを込めたシリーズ。初版の書籍に見立てて、「1stカスク」をコンセプトにしたボトリング。シングルカスク、ノンチルフィルター、ナチュラルカラー。
5. スカラバス(Scarabus)
アイラ島のヘビーピート・スタイルのシングルモルトウイスキー。蒸溜所は公表されていない。スモーキーながらもバニラやトフィーの甘さを持つ。
また、2019年にはハンターレインの念願だった自社蒸溜所「アードナッホー」をアイラ島北東部にオープンさせています。
イアン マクロード / Ian Macleod
- ボトラーズ会社
- 複数の蒸溜所を所有
イアン マクロード(イアン・マクロード・ディスティラーズ Ian Macleod Distillers)は、スコットランドを拠点とする家族経営の独立系ボトラーで、1933年に設立されました。創業者のレナード・ラッセル・シニア(Leonard Russell Sr.)は、1936年にウイスキーブローカーとしての事業を開始。1963年に「イアン・マクロード社」を買収します。
現在、同社はスコッチウイスキー業界で重要な地位を占めており、ボトラーとしての役割の他、蒸溜所の経営、シングルモルト、ブレンデッドウイスキー、ジンなど多岐にわたるブランドを展開しています。
イアン・マクロード社は、伝統と革新を融合させたウイスキー造りを理念としています。家族経営の強みを活かし、品質へのこだわりと長期的な視点でのブランド育成を行っています。閉鎖された蒸溜所の復活や、新しいブランドの開発にも積極的に取り組んでいます。
代表的なブランドは、「チーフタンズ(Chieftain’s)」。厳選されたシングルカスクのウイスキーを提供。多様な蒸溜所からの原酒を使用し、ノンチルフィルター、ナチュラルカラーでボトリングされています。
また、「スモークヘッド(Smokehead)」は、アイラ島のピートの効いたシングルモルトをベースにしたブランドで、若年層や新しいウイスキーファンをターゲットにした、モダンで個性的なデザインが特徴です。
イアン・マクロード社の所有する蒸溜所
1. グレンゴイン(Glengoyne)蒸溜所
グレンゴイン蒸溜所は、スコットランド・ハイランド地方に位置し、伝統的な製法を守り続ける蒸溜所。2003年にイアン・マクロード社が買収し、現在も高品質なシングルモルトを生産。
2. タムドゥ(Tamdhu)蒸溜所
スペイサイド地方のノッカンド村にあるタムドゥ蒸溜所は、1897年に創業。2010年に一時閉鎖。2011年にイアン・マクロード社が買収し、2013年に生産を再開。現在は、12年、15年、18年熟成のシングルモルトや、カスクストレングスのバッチストレングスシリーズなどを展開。シェリー樽熟成にこだわる蒸溜所。
3. ローズバンク(Rosebank)蒸溜所
ローズバンク蒸溜所は、1993年に閉鎖されましたが、2017年にイアン・マクロード社が買収し、復活プロジェクトを開始。2023年より生産再開。歴史的な設備や建物を保存しつつ、現代的な設備を導入。
インフリークエント フライヤーズ / Infrequent Flyers
- ボトラーズブランド
- 運営会社:アリスター・ウォーカー・ウイスキー・カンパニー(スコットランド)
インフリークエント・フライヤーズは、スコットランドのインディペンデントボトラーであるアリスター・ウォーカー・ウイスキー・カンパニー(Alistair Walker Whisky Company)が展開するシングルカスク・ウイスキーのブランドです。2018年に設立され、2019年7月に初のリリースを行いました。
アリスター・ウォーカー氏は、スコッチウイスキー業界で約20年の経験を持ち、父親は現在グレンアラヒー蒸溜所を手掛けるビリー・ウォーカー氏。アリスター氏は、ベンリアック蒸留所などでの経験を経て、独自の道を歩むために独立し、インフリークエント・フライヤーズを立ち上げました。
インフリークエント・フライヤーズは、特にシェリー樽やポート樽でのフィニッシュによる豊かな風味が好評。各リリースは限定数であるため、ウイスキー愛好家の間で高い評価を受けています。
JGトムソン / JG Thomson

出典:https://jgthomson.com/shop
- ボトラーズ会社
J.G. Thomson(ジェイ・ジー・トムソン)は、スコットランド・エディンバラのリース地区に拠点を置く、歴史あるワイン&スピリッツ商人の伝統を受け継ぐ独立系ボトラーです。18世紀に創業され、かつては「Vaults」に所在していました。
「Vaults(ヴォールツ)」とは、エジンバラにある歴史的な場所で、特にエジンバラの地下に広がるヴォールツという空間に由来しています。この場所は18世紀に建設され、元々は商業施設や住居として使用されていましたが、後に不法占拠されることとなり、忘れ去られた地下空間となりました。現在では、エジンバラの観光名所の一つとなっています。
ジェイ・ジー・トムソンの主な製品は、ブレンデッドモルトウイスキーです。風味の特徴に基づいて以下の3種類を展開。
- Sweet:メープルシロップやワックスアップルのような甘い風味が特徴。
- Rich:レーズン、オレンジピール、ドライスパイスなどのリッチな味わい。
- Smoky:アイラモルトを主体としたスモーキーな風味。
これらはすべてカスクストレングス、ナチュラルカラー、ノンチルフィルターでボトリングされています。
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