

こんばんは ユースケです。
自己紹介:BAR WHITE OAK 店主。ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーエキスパート。JSA認定ソムリエ。2022年1月 東京・銀座にBAR WHITE OAK をオープン。YouTube、TikTokでカクテル動画を公開中!
世界中のウイスキー愛好家を驚かせ続ける、台湾の至宝「カバラン」。その名を不動のものにしたのが、シングルカスク・カスクストレングスの最高峰「ソリスト」シリーズであり、圧倒的なシェリーカスクの濃厚さと力強さを誇る「カバラン ソリスト マンサニージャ シェリー」です。
本記事では、ブランドの象徴とも言える「カバラン ソリスト マンサニージャ シェリー」のテイスティングレビューを中心に、カバラン蒸留所の歴史や驚異の熟成技術、ラインアップまで深く切り込みます。


台湾のモルトウイスキー蒸留所|カバラン蒸留所[Kavalan Distillery]とは?

「亜熱帯の気候」を最大の武器に変えた、台湾初の本格蒸留所
カバランは、台湾の食品大手「金車グループ(キングカー・グループ)」が2005年に設立した蒸留所です。ウイスキー造りの常識を覆す「短期間での熟成」を成功させ、瞬く間に世界トップクラスの仲間入りを果たしました。
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世界を驚かせた2010年: 本場スコットランドで開催されたブラインドテイスティング大会で、並み居る強豪を抑え「カバラン クラシック」が優勝。世界にその名を知らしめました。
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圧倒的な受賞歴: WWA(ワールド・ウイスキー・アワード)やIWSC、そして日本のTWSC2020でも表彰台を独占するなど、国際的なコンペティションの常連です。
カバランが「美味しい」5つの理由

① 驚異の熟成スピード
スコットランドのような寒冷地とは異なり、台湾は高温多湿な亜熱帯気候です。
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天使の分け前(エンジェルズシェア): スコッチが年間2〜3%なのに対し、カバランは年間10〜12%。
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短期間で深い味わい: 気温が高いため、樽の成分が原酒に溶け出すスピードが非常に早く、わずか4〜7年でスコッチの15年〜20年熟成に匹敵する濃厚な風味を生み出します。
② 雪山山脈の清らかな天然水
ウイスキーの命とも言える水は、台湾北東部・宜蘭(ぎらん)にある「雪山山脈」の湧水を使用しています。この清澄で甘みのある水が、カバラン特有のシルキーな口当たりを作り出します。
③ こだわりの原料と2種類の酵母
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大麦: スカンジナビア産の高品質な二条大麦を厳選して輸入。
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酵母: 独自の風味を引き出すため、長年の研究に基づき選定された2種類のドライイーストを使い分けています。
④ 多種多様な熟成樽と「STR法」
カバランは樽の使い分けに非常に積極的です。
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シェリー樽への情熱: オロロソ、PX、モスカテルなど、多彩なシェリー樽を使用。
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STR法(Shaving-Toasting-Recharring): ワイン樽の内側を削り、再度焼くことで、不要な酸味を抑え、バニラやキャラメルのような甘みを引き出す独自技術を駆使しています。
⑤ 徹底した品質管理
熟成が早いため、ピークを逃さないよう全ての樽をバーコードで管理。
また、地震大国である台湾の特性に合わせ、樽を縦に積み上げる「パラタイズ式」を主に採用(大型のシェリー樽などは横置き)するなど、安全面と効率面を両立させています。
カバラン蒸留所の歴史年表

| 年 | 出来事 |
| 2005年 | 台湾の金車グループによってカバラン蒸留所の建設が始まる。 |
| 2007年 | カバラン蒸留所が台湾で初めてウイスキーの製造を開始。 |
| 2010年 | 「カバラン クラシック」がスコットランドのブラインド大会で優勝し、世界中に名を知られる。 |
| 2011年 | ワールド・ウイスキー・アワード(WWA)で数々の賞を受賞。 |
| 2012年 | IWSCで賞を受賞し、国際的な評価を不動のものにする。 |
| 2018年 | 金車グループが自社ビール「BUCKSKIN 柏克金啤酒」の販売を開始。 |
| 2020年 | 東京ウイスキー&スピリッツコンペティション(TWSC)で1位から3位までを独占。 |
| 2022年 | 「カバラン 金車コンダクター」がSFWSCで最高金賞(ダブルゴールド)を獲得。 |
| 2024年 |
ブランド史上最長の熟成期間となる「15周年記念」限定ヴィンテージウイスキー(2009年蒸留)を発売。 ・内容:「オロロソシェリー」と「エクスバーボン」の2種類のカスクストレングスを展開。 ・特徴: 亜熱帯での長期熟成に耐えた希少な原酒を使用し、コースターやグラスが付属する特別なギフトセットとして世界展開。 |
主なラインアップ

カバランの主なラインアップは、入門向けのシリーズから、世界最高賞を受賞した最高級シリーズまで幅広く展開されています。
大きく4つのカテゴリーに分けてご紹介します。
1. 入門・カジュアルシリーズ
カバランの魅力を手軽に楽しめる、加水タイプのシリーズ。
- ディスティラリーセレクト
コストパフォーマンスに優れた入門ボトル。No.1はトロピカルフルーツの甘みが強く、No.2はハーブやフローラルな香りが特徴。ハイボールにも最適です。
- カバラン クラシック
カバランの「顔」とも言えるスタンダードボトル。マンゴーやココナッツの風味が際立ち、これぞ台湾ウイスキーという味わいです。
2. コンサートマスター&金車シリーズ
特定の樽での「フィニッシュ(後熟)」や、特別な配合にこだわった中価格帯のシリーズです。
- コンサートマスター(ポートカスク / シェリーカスク)
ベースの原酒を、さらに別の樽で後熟させたもの。ポートカスクはベリー系の甘酸っぱさ、シェリーカスクはチョコレートのような滑らかさが楽しめます。
- 金車コンダクター(キングカー・コンダクター)
親会社の社名を冠した自信作。パパイヤやバナナ、青リンゴといった複雑で華やかなフルーツ香が凝縮されています。
3. オークシリーズ
樽ごとの個性を強調した、より本格的なラインアップです。
オロロソシェリーオーク
王道のオロロソシェリー樽で熟成。ドライフルーツやナッツ、スパイスの効いた濃厚な風味が特徴です。
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エクスバーボンオーク
バーボン樽由来のバニラやオーク(木)の香りがしっかりと感じられる、爽やかで甘みのある一本。
4. ソリスト(Solist)シリーズ
カバランの名を世界に知らしめた、シングルカスク(単一の樽のみ)・カスクストレングス(加水なしの原酒)の最高峰シリーズです。樽ごとにシリアルナンバーが記載されています。
- ソリスト ヴィーニョバリック
WWA世界最高賞受賞。独自の「STR法」を施したワイン樽熟成。ベリーやキャラメルの濃厚な甘み。
- ソリスト シェリーカスク
非常に濃い琥珀色。ダークチョコレートやレーズンのような重厚でリッチな甘み。
- ソリスト バーボンカスク
バニラ、ココナッツ、フルーティーな酸味。非常に力強くクリーミー。
- ソリスト ポートカスク
ポートワイン樽由来のナッツやベリー、プラムのような深い果実味。
【台湾ウイスキーレビュー】カバラン ソリスト マンサニージャ シェリーを評価

カバラン ソリスト マンサニージャ シェリー カスクストレングス
Kavalan Solist Manzanilla Sherry Single Cask Strength
- 容量:750㎖
- アルコール度数:57.1%(バッチによって異なる)
- カスクナンバー:MA15065049A
- 抜栓時期:2023年4月
- テイスティング時期:2026年2月
- whiskybaseでの評価:88.00/100(バッチによって異なる)
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「カバラン ソリスト マンサニージャ シェリー カスクストレングス」とは?
カバランのソリストシリーズの中でも、特に希少で「通好み」と言われるのが「カバラン マンサニージャ シェリー カスクストレングス」です。ソリストオロロソシェリーが「重厚で甘美」なタイプであるのに対し、マンサニージャは「繊細でドライ、かつ塩気を感じる」非常にユニークな立ち位置にあります。同じ「シェリーカスク」ではありますが、オロロソとはタイプが異なる個性を持っています。
このボトルは、スペインのサンルーカル・デ・バラメダという海沿いの町で造られる特別なシェリー酒「マンサニージャ」の熟成に使用された樽をそのまま使用しています。
マンサニージャ シェリーとは?
マンサニージャは、スペインの海沿いの町サンルーカルで造られる極辛口のシェリー酒です。最大の特徴は、熟成中に「フロール(産膜酵母)」がワインを覆い、酸化を防ぎながらフレッシュな風味で樽熟成をするところ。内陸で造られている「フィノシェリー」と製法は同じですが、海風が吹く温暖な環境により酵母がより活発に活動するため、フィノよりも繊細で色が淡く、独特の潮気・ミネラル成分が宿ります。
マンサニージャのシェリーカスクは、青リンゴのような爽やかさと、上品な塩キャラメル、漢方や紹興酒を思わせるスパイス感など、「オロロソ」や「PX」とは異なる独自の個性を原酒に与えます。まさに海辺の風土が凝縮されたシェリーといえます。
香り
レーズン、ダークチョコレート、イチジク、アプリコットジャム、酸化したコーヒー豆、ドライマンゴー、ドライパパイヤ、ドライパイン、クコの実、黒糖、キャラメル、焦がしたオーク材、ココナッツファイン、バニラ、シナモン、カルダモン、黒ビール、長期熟成のシェリー酒やマデイラ酒。
加水すると、洋ナシ、りんご、ライチジュース、甘草、芍薬。
味わい
甘くて濃厚。ビターでスパイシー。フルボディで刺激が強く、口内の水分が持っていかれます。中盤から終盤以降は、アルコールの強さに慣れ、ドライフルーツ、シェリー酒の風味が強烈に広がります。ドライでエキゾチック。風邪薬や漢方薬のような、独特な風味。
加水後は、丸みを帯びてスパイシーさと黒糖のようなリッチな甘さが際立ちます。甘さと苦みが交互に押しよせ、複雑かつ重厚な印象。余韻は、かすかにモルトウイスキーらしさを感じる、モルティーでエステリーな個性も。
評価

「カバラン ソリスト マンサニージャ シェリー カスクストレングス」の評価としては、「魅惑のマンサニージャカスク!漢方のようなスパイスと南国フルーツが共演する、個性的かつカバランらしい1本」です。
カバランの「ソリスト」シリーズといえばオロロソシェリーが有名ですが、この「マンサニージャ シェリー」も、非常に出来が良いことで知られる名作。王道のオロロソとは一体どのような違いがあるのか、今回はその魅力に迫ります。
圧倒的な濃厚さと、唯一無二のスパイシーさ
全体的な特徴は、このシリーズお馴染みの「カスクストレングスゆえの濃厚さ」が際立っています。ドライフルーツ、カカオ、ビターチョコレートの風味に加え、モルトウイスキーとは思えないほど強調されたスパイシーさが目立ちます。甘みもしっかりと感じられますが、マンサニージャ樽の影響力が絶大であるためタンニン分も豊富で、非常にどっしりとした骨格を持っています。
一言で表現するなら「濃厚でスパイシー」。まるで漢方薬のようなアジアンテイストなアロマに加え、フレッシュな果実というよりは、ドライフルーツや完熟したマンゴー、パパイヤといった、南国フルーツ系の濃厚な風味が力強く現れています。
オロロソを超える「厚み」と「強烈な個性」
「ソリスト オロロソシェリー」にも共通の個性は見られますが、このマンサニージャのほうがよりボディに厚みがあり、シェリー酒の風味がダイレクトに宿っている印象を受けます。オロロソも十分にカバランらしい個性が強い銘柄ですが、マンサニージャはさらにその上を行く強烈さ。台湾のような熱帯地域でなければ、これほどの個性は生み出せないのではないでしょうか。
そもそも「マンサニージャ」は、細かな違いを除けば、製法自体はオーソドックスな「フィノ」とほぼ同じです。フィノシェリーはシェリー全体の9割以上の生産量を占める主流の銘柄。一方、ウイスキーの熟成には古くから「オロロソ」が使われてきた歴史があり、一般的にはオロロソ樽の方が希少価値が高いとされています。
また、この両者はその性質も対照的です。樽の中で空気に触れさせる「酸化熟成」を促すオロロソに対し、マンサニージャは「フロール(酵母の膜)」で表面を覆うことで、酸化を防ぎながら熟成させます。
本来、全く異なるタイプであるこの2つの樽ですが、カバランはその双方の個性を巧みに引き出し、豊潤かつ独創的な風味へと昇華させています。それは、これまでウイスキー界では脇役だった「マンサニージャ樽」の利用価値そのものを、一気に引き上げてしまったかのような、驚きに満ちた仕上がりです。
カバランだからこそ成し得た「マンサニージャ」の表現
特筆すべきは、カバランがマンサニージャ樽を「フルマチュレーション(全期間熟成)」に用いている点です。
スコッチやジャパニーズにおいて、マンサニージャ樽は「カスクフィニッシュ(後熟)」として使われるのが一般的。そのため、同一の蒸留所でオロロソとマンサニージャ、それぞれの「完全熟成」による違いを比較できるのは、世界広しといえどカバランくらいでしょう。この両者を対等に飲み比べられること自体、他の蒸留所では叶いません。
「ソリスト マンサニージャ」は、オロロソに勝るとも劣らない独自の個性を発揮しており、並のオロロソ銘柄を遥かに凌ぐ素晴らしい完成度を誇ります。
オロロソ樽が世界的に不足している現代において、これほど代役を担えるポテンシャルを持ちながら、なぜ他の蒸留所は採用しないのでしょうか。個性が強すぎて扱いにくいのか、あるいは予想に反して「マンサニージャ」の樽自体が希少なのか。(もし希少性が理由であれば、フィノ樽でも同様の熟成が可能なはずですが…)
その真の理由は定かではありませんが、少なくともこの樽の特性を完全に見極め、最高の一杯へと昇華させるカバランの技術力には、ただ驚かされるばかりです。マンサニージャ樽をここまで見事に使いこなす姿勢は、まさに「カバランらしさ」の象徴といえるでしょう。
いずれにせよ、「カバラン ソリスト マンサニージャ シェリー カスクストレングス」が持つ豊潤で濃厚なシェリーの風味と、温暖な台湾が生んだトロピカルな個性、そして特有のスパイシーさは、どれも抗いがたい魅力に満ちています。
全体として個性が非常に強いため、好みは分かれるかもしれませんが、これこそカバランでなければ表現できない唯一無二の味わい。シェリーカスクのウイスキーを愛する方には、ぜひ一度体験していただきたい至高の一本です。
おすすめの飲み方
「ストレートからの、加水でトワイスアップ。」
まずはそのままの状態で、カスクストレングスならではの圧倒的なパワーを体感してください。その後、少しずつ水を加えていくのがおすすめ。加水することで重厚な熟成香が解き放たれるだけでなく、フレッシュな果実やキャンディのような甘いアロマが鮮やかに引き立ちます。
ストレートの時よりも全体のバランスが整い、より多層的な表情を見せてくれるのがこのボトルの面白いところ。まずは「素顔」を味わい、加水によるドラマチックな変化を堪能する。これこそが、「カバラン ソリスト マンサニージャ シェリー カスクストレングス」の魅力を余すことなく愉しむための最適解といえるでしょう。

カバラン蒸留所の飽くなき挑戦と、その卓越した技術力が凝縮された「カバラン ソリスト マンサニージャ シェリー」。オロロソという王道の影に隠れがちなこの樽を、主役としてここまで鮮烈に描き出したカバランの功績は、ウイスキー界においても非常に大きな意味を持っています。
亜熱帯の情熱的な気候と、海辺の風土が育んだ繊細なマンサニージャ樽。この二つが台湾の地で出会い、熟成という魔法を経て生まれた一杯は、既存のシェリー樽ウイスキーの概念を心地よく裏切ってくれるはず。その一言では語り尽くせない多層的な味わいの変化を、ぜひご自身の五感で確かめてみてください。
「カバラン ソリスト マンサニージャ シェリー カスクストレングス」を味わってみたい方は、BARWHITEOAKで堪能してみては如何でしょうか♪

あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。
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