【初心者向け】ウイスキーの熟成樽を解説!種類・役割・樽材の秘密

  1. 【初心者向け】ウイスキーの熟成樽を解説!種類・役割・樽材の秘密|「バレル」
      1. 「バレル」で熟成したウイスキーの特徴:
  2. 【初心者向け】ウイスキーの熟成樽を解説!種類・役割・樽材の秘密|「ホグスヘッド」
      1. 「ホグスヘッド」で熟成したウイスキーの特徴
  3. 【初心者向け】ウイスキーの熟成樽を解説!種類・役割・樽材の秘密|「パンチョン」
      1. 「パンチョン」で熟成したウイスキーの特徴
          1. フローラルで繊細、ウッディーな風味
          2. ジャパニーズオーク「ミズナラ」で作るパンチョン
      2. パンチョンを使用したおすすめウイスキー
        1. シングルモルトウイスキー「山崎」 パンチョン 2020 EDITION
        2. 松井 ミズナラカスク
  4. 【初心者向け】ウイスキーの熟成樽を解説!種類・役割・樽材の秘密|「バット」(オロロソ・シェリーカスク)
      1. 「バット」で熟成したウイスキーの特徴
      2. バットを使用したおすすめウイスキー
  5. 【初心者向け】ウイスキーの熟成樽を解説!種類・役割・樽材の秘密|「オクタブ」
      1. 「オクタブ」で熟成したウイスキーの特徴
      2. オクタブを使用したおすすめウイスキー
  6. 【初心者向け】ウイスキーの熟成樽を解説!種類・役割・樽材の秘密|「クォーターカスク」
      1. 「クォーターカスク」で熟成したウイスキーの特徴
      2. クォーターカスクを使用したおすすめウイスキー

【初心者向け】ウイスキーの熟成樽を解説!種類・役割・樽材の秘密|「バレル」

ウイスキーの熟成樽として最も多く使われている。

  • 別名:バーボンバレル
  • 樽の容量:180~200リットル
  • 樽の材質:アメリカンホワイトオーク

バレルはバーボンバレルとも呼ばれており、その名の通りバーボンウイスキーの熟成に使われる樽のこと。バーボンの他、テネシーウイスキーやカナディアンウイスキーの熟成にも使用しています。

バーボンバレルは必ずアメリカンホワイトオークの新樽で作ります。これは、バーボンウイスキーの製造規定によるもの。

バーボンバレルの最大の特徴は、樽の内側を真っ黒に焦がしているところ。この内面処理を「チャー」と言い、樽材の成分を活性化する働きがあります。チャーには強さの具合(チャーレベル)があり、バーボンの銘柄によって焦がし具合は異なっています。

バーボンバレルはバーボンの熟成に使用した後は、スコッチ、アイリッシュ、ジャパニーズウイスキーなどに再利用されます。

 

「バレル」で熟成したウイスキーの特徴:

バーボンウイスキーの場合 →バニラの香りが特徴で、力強い味わいのウイスキーになる。
モルトウイスキーの場合 →樽の使用回数や、熟成年数などの条件次第で特徴が変わる為、一概には言うことができないが、ウイスキーのもともと持っている個性を引き出すことができる。

 

現在はスコッチの熟成に使われる樽の9割がバーボンバレル

バーボンウイスキーのメーカーは熟成が終わった樽を、スコッチのメーカーに売却。売ったお金でまた新しい樽を作ります。スコッチはその古樽にウイスキーを熟成させるという流れです。バーボン側からすれば、不要な樽を買ってくれるありがたい存在。

スコッチウイスキー側からすれば、古い樽の調達ができる。両者はウイスキーのシェアを争うのライバルでありながら「持ちつ持たれつの関係」にあるのです。

 

ユースケ
ユースケ

バーボンがないとスコッチは熟成する樽が足りなくなって困るし、バーボンのほうも古樽を売れなくなると、新樽を作る資金が回収できなくなり、ウイスキーの生産コストがあがってしまう…

 

 

【初心者向け】ウイスキーの熟成樽を解説!種類・役割・樽材の秘密|「ホグスヘッド」

スコッチ専用。バレルを分解してサイズを大きくした樽。

  • 別名:とくになし。
  • 熟成されるウイスキーの種類:スコッチモルトウイスキー、ジャパニーズモルトウイスキーなど。主にスコッチウイスキーで使用されており、そのためスコッチをお手本にしているジャパニーズウイスキーでも利用している。
  • 樽の容量:250リットル
  • 樽の材質:アメリカンホワイトオーク

 

「ホグスヘッド」で熟成したウイスキーの特徴

基本的にはバレルと同様ですが、バレルと比べるとホグスヘッドは熟成スピードが少し遅いので、バレルよりも長期熟成に向いている樽と言えます。

ホグスヘッドは「バレル」を一度解体して、側面の板の枚数を増やして、胴回りを大きくした樽のことです。スコッチウイスキーの業界で作り出された、スコッチ(モルトウイスキー)専用の樽。

ホグスヘッドに組み替えた樽は、バレルと比べると寸胴な見た目になり、容量が増えます。ちなみに名前の由来は、豚(ホッグ)の頭(ヘッド)の重さと同じだということから名付けられています。

もともとスコッチウイスキーはシェリーカスクで熟成されていましたが、時代が移り変わりスコッチの需要が増えると、バーボンバレルでの熟成がメインとなりました。シェリー樽とバーボン樽では樽の大きさが2倍程度違います。

樽のサイズはウイスキーの熟成するスピードに影響を与えるため、大きい樽でゆっくり寝かせるのがベストだという、スコッチの考え方ではバーボン樽のサイズは小さすぎました。そこで樽を大きくするために、バーボン樽を分解して組み替えることにし、バーボンバレルの改良型「ホグスヘッド」が誕生。

ホグスヘッドに組みかえることで、シェリー樽ほどの大きさにはなりませんが、ウイスキーをゆっくりと熟成できるようになりました。

 

ユースケ
ユースケ

シェリー樽を組み替えた、シェリーホグスヘッド(sherry hogshead)もあります。

 

 

【初心者向け】ウイスキーの熟成樽を解説!種類・役割・樽材の秘密|「パンチョン」

480~500リットルサイズのずんぐりした樽。

  • 使用するウイスキー:主にジャパニーズウイスキー。スコッチウイスキーではあまり使わない。
  • 樽の容量:480~500リットル
  • 樽の材質:アメリカンホワイトオーク、ミズナラなど

 

「パンチョン」で熟成したウイスキーの特徴

フローラルで繊細、ウッディーな風味

パンチョンは容量約350~500リットルの樽のこと。元々はビールやラム酒用に使用されていたサイズ。

パンチョンは日本のウイスキーメーカー「サントリー」が主に使用しています。

サントリーでは北米産ホワイトオークの柾目板だけを厳選して、パンチョンを作成。樽の内側はバーボンバレルと異なる処理がされており、バレルの場合は内側を真っ黒に焦がしますが、パンチョンはやや遠火の火でトースティ―に仕上げています。

パンチョンで寝かせたウイスキーは、ゆっくりと熟成が進みます。樽からの個性は穏やかに影響していき、長期熟成にも向く原酒作りを行うことができるのです。

 

ジャパニーズオーク「ミズナラ」で作るパンチョン

ミズナラ材でつくったパンチョンもあります。

埼玉県にある「ベンチャーウイスキー秩父蒸溜所」では、日本産のミズナラ・パンチョン樽を自社のクーパレッジで作成。「イチローズモルト ミズナラウッドリザーブ(MWR)」などの原酒に使用しています。

小規模な蒸溜所でありながら、加工が難しいミズナラ樽を自ら製作しているのはすごいですね!

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パンチョンを使用したおすすめウイスキー

シングルモルトウイスキー「山崎」 パンチョン 2020 EDITION

シングルモルトウイスキー「山崎」 パンチョン 2020 EDITION 

限定品で入手困難。一度は飲んでおきたい山崎の原酒です。

 

松井 ミズナラカスク

松井 ミズナラカスク

松井酒造では「鏡面」のみをミズナラ材に組み替えた樽をつくり、ウイスキーを熟成。「シングルモルトウイスキー松井 ミズナラカスク」をリリースしています。

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【初心者向け】ウイスキーの熟成樽を解説!種類・役割・樽材の秘密|「バット」(オロロソ・シェリーカスク)

シェリー樽(オロロソシェリーカスク)のこと。シェリーカスクは最も需要の高い樽。

  • 別名:シェリーカスク、シェリー樽、シェリーバット、バットなど
  • 熟成されるウイスキーの種類:モルトウイスキー、一部のグレーンウイスキー、ブレンデッドウイスキー。
  • 樽の容量:480~500リットル
  • 樽の材質:アメリカンオーク、ヨーロピアンオーク(スパニッシュオーク)

 

「バット」で熟成したウイスキーの特徴

フルーティーで濃厚な風味。長期熟成でまろやかに。

日本では一般的に「シェリーカスク」や「シェリー樽」と呼ばれることが多いのですが、「シェリーバット」または、単に「バット」と呼ばれることもあります。

シェリーとはスペインの酒精強化ワインの一種。そのシェリーの熟成に使われた樽が「バット」です。シェリーにもさまざまな種類がありますが、伝統的にウイスキーの熟用に使われるシェリーの種類は「オロロソシェリー」が一般的。「バット」だけの表記であれば、基本的にオロロソシェリー樽と言えます。

樽材はほとんどがアメリカンホワイトオークですが、ヨーロッパ産のホワイトオークを使用しているものもあります。オロロソシェリーは数年間のシーズニング(熟成)を経てから、ウイスキー樽として使用されます。

シェリーバットはスコッチウイスキーの伝統的に熟成樽として現在も使用されています。しかし第二次世界大戦以降はシェリーの需要が生産量が減ってしまい、シェリーバットの調達が難しくなると、代替え樽としてバーボン樽が使用されるようになり、現在ではそちらのほうが主流となっています。

近年、モルトウイスキーの需要が急速に増えたことで、シェリー樽の供給が追い付いていません。そんな中でも、シェリー樽熟成でしか生み出すことのできない特別な個性を付与させるために、シェリー樽での熟成にこだわりをもつ蒸留所は数多くあります。

シェリー樽はウイスキーの熟成樽のなかでも、特別な存在と言えますね。

 

 

バットを使用したおすすめウイスキー

タムデュー12年

 

 

【初心者向け】ウイスキーの熟成樽を解説!種類・役割・樽材の秘密|「オクタブ」

シェリーカスクを組み替えた小さな樽

  • 熟成されるウイスキーの種類:モルトウイスキー
  • 樽の容量:45~68リットル
  • 樽の材質:アメリカンオーク、ヨーロピアンオーク

 

「オクタブ」で熟成したウイスキーの特徴

元はシェリーカスクなのでそれに近い味わい。熟成が早い為、長期熟成には向かない。

オクタブはシェリー酒やウイスキー用に作られた樽で、シェリーバットの8分の1の大きさの樽です。シェリーバットを解体し、小さい樽に組みなおします。小さくなることで樽とウイスキーの触れる面積の割合が増え、熟成するスピードが速くなります。

スコッチはゆっくり寝かせるのが基本のスタイルですが、オクタブは素早い熟成によって、短期間で個性的な原酒を作ることができるのです。

 

オクタブを使用したおすすめウイスキー

ダンカンテイラー オクタブシリーズ

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【初心者向け】ウイスキーの熟成樽を解説!種類・役割・樽材の秘密|「クォーターカスク」

スコッチやジャパニーズの一部で使用

  • 熟成されるウイスキーの種類:モルトウイスキー(主にスコッチウイスキー)
  • 樽の容量:110~159リットル
  • 樽の材質:アメリカンホワイトオーク

 

「クォーターカスク」で熟成したウイスキーの特徴

バーボンバレルより早く熟成し、樽由来のバニラ香が豊かな傾向。

バーボンバレルを解体して、小さなサイズに組み替えたのがクォーターカスク。樽が小さくなるのでバレルよりも熟成が早くなります。クォーターカスクは持ち運びに便利なサイズだったため、かつては多くの蒸留所で利用されていました。

現在では一部の蒸留所のみが熟成に使用。「クォーター」は「4分の1」という意味で、バット(シェリーカスク)の4分の1の大きさ、という意味から名付けられています。

 

クォーターカスクを使用したおすすめウイスキー

アラン クォーターカスク

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次のページも引き続き熟成樽を解説。日本のミズナラカスクも登場。

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