【バーボンウイスキーレビュー】I.W.ハーパー12年を評価

ユースケ
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こんばんは ユースケです。

自己紹介:BAR WHITE OAK 店主。ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーエキスパート。JSA認定ソムリエ。2022年1月 東京・銀座にBAR WHITE OAK をオープン。YouTube、TikTokでカクテル動画を公開中!

この記事では、アメリカンバーボンウイスキー「I.W.ハーパー12年」のテイスティングレビュー、ボトル評価、定価や流通価格についても解説致します。

「I.W.ハーパー12年」の味わいを知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

 

高級バーボンの礎を築いた革新者「I.W.ハーパー」とは?

バーボンウイスキーといえば、アメリカンウイスキーを象徴する存在。その中でも、「I.W.ハーパー(アイ・ダブリュー・ハーパー)」は、単なる銘柄にとどまらず、バーボンの「格」を変えた存在として知られています。洗練された味わいとエレガントな佇まいで、バーボンに“高級”という新たな価値をもたらした1本。その誕生の歴史には、移民としてアメリカへ渡った一人の青年の挑戦がありました。

誕生とブランド名の意味とは?

「I.W.ハーパー」の誕生は1877年。弱冠19歳でドイツからアメリカに渡ったアイザック・ウォルフ・バーンハイムが、自身の名を冠したブランドとして創業しました。

当時のバーボンは、荒削りで庶民的な酒というイメージが一般的。しかし彼は、顧客と品質を最重視する哲学のもと、ラベルやボトルにまでこだわった“見せる”バーボン造りを展開。品質を直接確認できる透明瓶を用いるなど、販売方法にも革新をもたらします。

ブランド名の「I.W.」は創業者バーンハイムのイニシャル。そして、「ハーパー」の由来については諸説あります。親友の「フランク・ハーパー」の名を借りたという説や、営業担当の「トーマス・ハーパー」にちなんだという説があります。

いずれにしても「“ドイツ系”よりも“アメリカ人らしい”響き」が、「ハーパー」を名乗った理由に繋がっており、その結果「I.W.ハーパー」は広く知られるようになります。

世界を魅了した5つの金メダルと洗練の美学

「I.W.ハーパー」の評価を決定づけたのは、1885年のニューオーリンズ万国博覧会での金賞受賞を皮切りに、シカゴ(1893年)、パリ(1900年)、セントルイス(1904年)、サンフランシスコ(1915年)と続いた計5回の金メダル獲得。これを象徴するように、ボトルのラベルには5つのメダルがあしらわれています。

一方で、優雅な広告ビジュアルやクリスタルボトル入りのギフト展開(1949年開始)など、ブランドの“都会的なイメージ戦略”も特筆すべきポイントです。燕尾服とシルクハットの紳士像に代表されるデザインは、当時としては革新的で、贈答用としての地位も確立しました。

こだわりのマッシュ比率!トウモロコシ90%に裏打ちされた味わい

アメリカのバーボン規定では、原料の51%以上がトウモロコシでなければいけませんが、「I.W.ハーパー」ではその割合が約90%。かなり高い割合でトウモロコシを使用。この比率こそが、クセの少ない甘やかさと丸みのある口当たりを生み出しています。

「I.W.ハーパー」の主なラインナップ

I.W.ハーパー ゴールドメダル

5つの万博金賞を冠したスタンダードボトル。華やかでやわらかな甘味が広がり、どんなシーンにも寄り添う万能な1本。

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I.W.ハーパー 12年

12年間熟成されたプレミアムバーボン。熟成による複雑味と奥深さを持ちながら、雑味のないクリーンな仕上がりは、熟成バーボンの完成形と称されるほど。

 

 

【バーボンウイスキーレビュー】I.W.ハーパー12年を評価

I.W.ハーパー12年 I.W.Harper 12-year-old

 

I.W.ハーパー12年とは?

出典:https://www.iwharper.jp/

「I.W.ハーパー12年」は、スタンダードモデルの「I.W.ハーパー ゴールドメダル」とは一線を画す、長期熟成のプレミアムバーボンです。12年以上熟成された原酒のみを使用しており、深みのある味わいと芳醇な香り、そして滑らかな口当たりが魅力となっています。

バーボンでは一般的に3~4年の熟成が主流とされる中、12年という熟成年数はまさに異例。その長期熟成によって得られる複雑でまろやかな風味を最大限に活かすため、原酒の選定や樽の管理にも細心の注意が払われています。過剰な樽香や渋みを抑え、バランスの取れた味わいに仕上げられている点も特筆すべきポイントです。

「I.W.ハーパー12年」の魅力は中身だけではありません。重厚で高級感のあるカットガラス風のデキャンタボトルは、他のバーボンにはない存在感を放ちます。スクリューキャップ仕様で開栓しやすく、バーテンダーからも使い勝手の良さで高い評価を受けています。

クラシカルかつエレガントなデザインは贈り物としても人気が高く、見た目の美しさと中身の品質を兼ね備えた、まさに完成度の高い一本といえるでしょう。

 

終売(生産休止)と再販

・2022年6月:終売(生産休止)
・2024年7月:再販

「I.W.ハーパー12年」は、2022年6月に惜しまれつつ終売(一時的な生産休止)となりました。背景には、世界的な物流の混乱や生産体制の不安定化といった、外的要因の影響が大きかったとされています。

ディアジオによる終売の発表後は、駆け込み需要が急増。市場から在庫が瞬く間に消え、価格は高騰。一部の愛好家の間では「もう二度と手に入らないのでは」と不安視されていました。その後も、再販を願う声が国内外から数多く寄せられていました。

その後、2024年7月には日本国内での再販が正式決定されます。

長期熟成の構成原酒が安定的に確保できる見通しが立ち、さらにディアジオの世界的な調達ネットワークにより原材料の供給も整ったことで、数量限定ではなく通年販売としての復活が実現しました。

再販に合わせて、ラベルデザインもリニューアル。これまでのクラシカルな雰囲気を保ちつつも、アメリカ本国の最新仕様に準じた、より洗練された印象に。伝統と高級感を感じさせるデザインに仕上がっています。(全体的にはそこまで大きく変更された印象はありません)

 

定価・流通価格について

「I.W.ハーパー12年」の終売(生産休止)が発表された際、市場価格は一気に高騰し、2022年頃には2万円を超えることもありました。

その後、2023年には流通価格がやや落ち着き、12,000円~17,000円程度で推移。そして、2024年7月に再販が発表されると、価格は急落し、1万円を下回る水準にまで下がりました。

現在(2025年5月時点)では、7,000円〜9,000円ほどで流通しており、参考小売価格10,000円(税別)を下回る状況となっています。

 

香り

バニラ、キャラメル、ウォールナッツ、洋梨のコンポート、桃、杏、ドライパイナップル、紅茶、葉巻、シナモン、カルダモン、マスカットグミ、アプリコットブランデー。

フルーティー&エステリー。優しくスパイス。紅茶のような枯れたアロマ。

加水するとアロエ、青りんご、アップルミント、ルバーブ。

 

味わい

まろやかで甘い。すぐに酸味を感じ、徐々にドライに変化。ミディアムボディ。中盤以降は穀物っぽさとバニラ。しっかりと飲みごたえがありながらも、熟成期間の長さから、やや丸い印象も。フィニッシュにかけてはアップルパイ、ベリー系の砂糖菓子。

加水後も引き締まった味わいで、ボディがある中にもやわらかさを感じます。

 

評価

「I.W.ハーパー12年」の評価としては、「ゴールドメダルとの差は歴然。桃の香りが妖艶なバーボンウイスキー」です。

「I.W.ハーパー12年」は、同ブランドの定番「ゴールドメダル」の上位ボトルとして、バーボン愛好家の間では広く知られる存在です。特に日本市場向けに展開されていることもあり、恐らく生産量はそれほど多くありません。

一時期は休売となり、「このまま終売してしまうのでは?」という声も聞かれましたが、無事に復活してくれたことに、個人的にも大きな安堵と喜びを感じています。

この12年熟成の魅力を語る上で外せないのが、「I.W.ハーパー ゴールドメダル」との比較です。両者を飲み比べることで、その差は歴然――特に12年には“妖艶な桃”のような香りが広がり、華やかさと奥行きを兼ね備えたバーボンに仕上がっています。やはりと言うべきか…「兄貴分」として、ゴールドメダルに比べ、一段上のラグジュアリーを感じさせる1本ですね。

一言でまとめるなら、「I.W.ハーパー12年」は豊かなアロマとしっかりしたボディ感を備え、12年の熟成がそのまま味わいの深みに還元された、非常に完成度の高いバーボンウイスキーです。芳醇でリッチ、それでいて洗練された風味。

対して、「I.W.ハーパー ゴールドメダル」は、原酒の若さからくるやや粗さや未熟なアロマが見え隠れします。とはいえ、トウモロコシ比率の高いマッシュビルからくる穀物由来の甘みや、程よい樽香がバランスを整えており、これはこれでしっかり成立している印象。ゴールドメダルも決して質の低いバーボンではありません。

ただ、アロマのバリエーションや味わいの奥行きといった面では、やはり12年熟成のボトルとは明確な差があります。もちろん、この違いは価格にも如実に反映されているため、「ゴールドメダル」に対して。そこまで多くの不満はありません。

それでも、コストパフォーマンスを一旦脇に置いて純粋にクオリティで比較すれば、同じブランドとは思えないほどの完成度の違いを感じてしまいます。「I.W.ハーパー12年」は、他のバーボンと比べても非常にレベルの高い1本ですから、「ゴールドメダル」とだけ比べてもいけませんね。

話を「I.W.ハーパー12年」に戻しましょう。

率直に言って、非常によくできた一本です。近年の値上がりは否めませんが、それでもこの価格帯においては間違いなくトップクラスのクオリティを誇っています。

なかでも特筆すべきはアロマの豊かさ。バーボンらしい新樽由来のバニラ香やウッディなニュアンスに加え、「桃」を思わせるような妖艶なフルーティーさが感じられ、単調になりがちなバーボンウイスキーですが、このウイスキーには華やかさと立体感のある個性を感じます。

さらに、スパイシーな香りが全体を引き締め、加水後の余韻も非常に満足度の高い仕上がりに。ウッディネス・エステリー・スパイシーが織りなす複雑な香味構成は、12年の熟成によって生み出された賜物でしょうか。

おすすめの飲み方はストレート。芳醇な香りをダイレクトに楽しむには最適。ロック、ハイボール、水割りと、どんな飲み方にも十分に応えてくれる懐の深さも持ち合わせています。特にストレートで飲み始め、途中からトワイスアップ(1:1の水割り)で香りの変化を楽しむのも一興…

 

 



 

 

「I.W.ハーパー12年」は、シリーズの中でも上位に位置づけられる、風格ある上質なバーボンです。豊かでリッチな味わいは、他のバーボンと比べてもひときわ個性が際立ちます。さらに、美しいボトルデザインも魅力のひとつ。自分で楽しむのはもちろん、プレゼント用にもぴったりの一本です。

「I.W.ハーパー12年」を飲みたい方は、BARWHITEOAKで堪能してみては如何でしょうか♪

ユースケ
ユースケ

あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。

 

 

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