【スコッチウイスキーレビュー】ロングロウ ピーテッドを評価

ユースケ
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こんばんは ユースケです。

自己紹介:BAR WHITE OAK 店主。ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーエキスパート。JSA認定ソムリエ。2022年1月 東京・銀座にBAR WHITE OAK をオープン。YouTube、TikTokでカクテル動画を公開中!

この記事では、シングルモルトスコッチウイスキー「ロングロウ ピーテッド」のテイスティングレビューを中心に、製造元であるスプリングバンク蒸留所の情報や、ボトルとしての評価についても詳しくご紹介します。

「ロングロウ ピーテッド」の味わいが気になる方は、ぜひ最後までお読みください。

 

 

 

スプリングバンク蒸溜所とは?

出典:Lirazelf – 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=62325073による

スプリングバンク Springbank

  • 地域:キャンベルタウン
  • 創業年:1828
  • オーナー:J.&A.ミッチェル
  • 正規代理店:株式会社ウィスク・イー

スプリングバンク蒸溜所は、スコットランド南西部のキャンベルタウンに位置する伝統的な家族経営の蒸溜所です。1828年に創業され、現在も創業家であるJ.&A.ミッチェル社が所有・運営しています。

伝統を守る少数精鋭の蒸溜所

キャンベルタウンはかつて「ウイスキーの都」として栄えましたが、現在はわずか数軒の蒸溜所のみが残っています。その中でスプリングバンク蒸溜所は特に評価が高く、世界中のウイスキーファンから熱い支持を受けています。

蒸溜所の最大の特徴は、大麦の製麦からボトリングまで、すべての工程を自社で手掛けていること。特に伝統的な「フロアモルティング」での自家製麦は現代では極めて希少で、職人の手作業による品質管理が続けられています。

製造設備と生産量

スプリングバンク蒸溜所は比較的小規模で、年間の最大生産能力は約75万リットルですが、品質重視のため実際の生産量は抑えられています。蒸留器は、初留用が1基、再留用が2基の計3基のポットスチルを使用し、熟練の技術で個性的なウイスキーを生み出しています。

3つの個性豊かなブランド

スプリングバンク蒸溜所では1つの蒸溜所でありながら、異なる個性を持つ3種類のシングルモルトウイスキーを製造しています。

  • スプリングバンク
    軽度のピート(約12ppm)を使用し、独自の「2.5回蒸留」方式で造られる。麦芽の香ばしさと海風を感じさせる塩気が特徴で、蒸溜所の主力製品。
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スプリングバンク
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  • ロングロウ
    ピートの強い香り(約50ppm)が際立つ、力強くスモーキーな味わい。2回蒸留で、個性的な風味を好む愛好家に人気。
  • ヘーゼルバーン
    ノンピート(0ppm)、3回蒸留によりまろやかで軽やかな味わいを実現。クセが少なく、飲みやすいタイプ。

 

現状の人気と供給事情

スプリングバンクのウイスキーは、手間と時間をかけて造られるため生産量が限られており、世界的に品薄状態が続いています。特に独立系ボトラーズからのリリースは極めて稀少で、高額で取引されています。

伝統的な手法を守りながら、独自の味わいを追求するスプリングバンク蒸溜所は、まさにクラフトマンシップの象徴。個性豊かな3ブランドを通じて、キャンベルタウンの歴史と魅力を今に伝える存在です。

 

 

 

【スコッチウイスキーレビュー】ロングロウ ピーテッドを評価

ロングロウ ピーテッド

 

ロングロウ ピーテッド とは?

「ロングロウ ピーテッド」は、スプリングバンク蒸溜所で造られる、ヘビリーピーテッドタイプのシングルモルトウイスキーです。もともとは限定品として1970年代に誕生したブランドですが、現在では「スプリングバンク」「ヘーゼルバーン」と並ぶ、蒸溜所の定番ラインのひとつとなっています。

「ロングロウ ピーテッド」は、フェノール値50〜55ppmという本格的なピート香を持つウイスキーで、スプリングバンク蒸溜所の中では最もスモーキーなライン。2回蒸留による力強いボディ、そしてキャンベルタウンらしい潮気やオイリーさも感じられ、アイラモルトとは一線を画す独自の個性を放っています。

現在のボトルは「ノンエイジ(年数表記なし)」ですが、10年以上熟成された原酒もブレンドされていると言われています。熟成にはバーボン樽とシェリー樽を使用。

スプリングバンク蒸溜所の製品の中でも生産量が少なく、全体のわずか10%程度とされています。そのため国内外で常に品薄傾向にあり、「スプリングバンク」や「ヘーゼルバーン」と比べると、そこまでレアリティは高くはありませんが、流通量は通常のウイスキーよりもかなり少ない状態が続いています。

一方で、その品質と個性から非常に高い評価を得ており、ピート好きな上級者からも一目置かれる存在。「ロングロウ ピーテッド」は、アイラ系のピートウイスキーを飲み慣れた人にとっても、新しい発見ができる銘柄です。

 

香り

りんご、洋梨、レモングラス、麦芽飴、モルトスナック、マスカットグミ、エルダーフラワー、アガベシロップ、バニラ、カシュ―ナッツ、ピスタチオ、長靴。

豊富なアロマでややニューポッティーな香りも感じます。

加水するとバニラ、洋梨、キャンディーのアロマが開きます。

 

味わい

もったりと甘く、オイリーな口当たり。すぐにスモーキーでピーティー。ドライでスムース。ややソルティーな印象も。ミディアムライトボディ。中盤からフィニッシュにかけても燻製香が主体ですが、フルーティーとエステリーなニュアンスも現れます。

加水後も骨格があり、スモーキーさも継続。カカオニブ、アーモンド。

 

評価

「ロングロウ ピーテッド」の評価としては、「これがフロアモルティングだ!麦芽本来の個性を活かした唯一無二のスモーキ―モルト」です。

「ロングロウ ピーテッド」は、スプリングバンク蒸溜所が造るピーテッドタイプのシングルモルトであり、キャンベルタウンを代表するスモーキーモルトのひとつです。伝統的なフロアモルティングによって製麦された大麦から生まれる、個性豊かな風味が最大の魅力力と言えます。

アイラ島のヘビリーピーテッドとは一線を画すスモーキーさも特徴的。たとえば、ラフロイグのような「薬剤系」や、アードベッグの「焦げ臭系」のピート香に対して、ロングロウは、より「スモーキー&モルティー」なニュアンス。アイラモルトと共通する正露丸やBBQのような燻製香もありますが、ロングロウではピートがあくまで蒸留液(ニューポット)の骨格を引き立てる存在として働いており、その風味は実にバランスよく広がっていくことが分かります。

「ロングロウ ピーテッド」はノンエイジのボトルながら、若さや未熟さを感じさせません。尖ったアルコール感や不快な硫黄香、不調和な刺激は見当たらず、口当たりはまろやか。香りには意外なほど多彩な表情があり、フレグランスのようにきらびやかなアロマにスモーキーさが巧みに溶け込んでいます。アロマには、少し未熟な要素を感じますが、飲んでみると、いわゆる“ニューポッティー感”がないのも印象的です。

おそらくこの完成度は、原酒本来の風味を尊重した樽選びと熟成にこだわっているからでしょう。

樽由来のウッディな香味でごまかすのではなく、スプリングバンク蒸溜所が誇る自家製麦芽の風味を、そのまま活かす造りが貫かれています。樽の個性を強調するスタイルが主流になりつつある昨今において、ロングロウはむしろ「麦芽本来のキャラクター」を前面に出す、今の時代に逆行する個性のシングルモルトかもしれません。

なお、スプリングバンク蒸溜所では、大麦を100%フロアモルティングによって製麦しています。この工程を今なお全量で行っている蒸溜所は、世界でもスプリングバンクだけです。ロングロウのフェノール値はおよそ50ppmで、麦芽の乾燥にはピートの煙が用いられています。しかもそのピートは、乾燥したものと湿り気のあるものを使い分け、焚き方にも工夫が凝らされているというから驚きですね。

スプリングバンクの3ブランドの中でも、ロングロウはこの伝統製法と職人技が最も色濃く反映されたウイスキーです。まさに唯一無二のピーテッドシングルモルトであり、フロアモルティングの伝統を未来へ語り継ぐ、貴重な存在だと感じました。

 



 

「ロングロウ ピーテッド」は、単にピート香が強いというだけでなく、スプリングバンク蒸溜所ならではの丁寧な造りと、自家製麦芽の深みをしっかりと感じられる、非常に完成度の高い一本。昨今では樽香やインパクトの強さが注目されがちなシングルモルト市場において、ロングロウはむしろ“麦芽の味をどう引き出すか”という本質的な問いに真っ向から向き合っているように思えます。

もしあなたがスモーキーなウイスキーを好み、アイラ系とは違う個性を探しているなら、「ロングロウ ピーテッド」は間違いなく試す価値のあるボトルです。キャンベルタウンの風土と職人の魂が詰まったこのウイスキーが、きっと新たな感動を与えてくれるはず。

ユースケ
ユースケ

あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。

 

 

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