
こんばんは ユースケです。
自己紹介:BAR WHITE OAK 店主。ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーエキスパート。JSA認定ソムリエ。2022年1月 東京・銀座にBAR WHITE OAK をオープン。YouTube、TikTokでカクテル動画を公開中!
この記事では、シングルモルトスコッチウイスキー「アラン シェリーカスク」のテイスティングレビューを中心に、製造元であるロックランザ蒸留所(旧名 アラン蒸留所)の情報や、ボトルとしての評価についても詳しくご紹介します。
「アラン シェリーカスク」の味わいが気になる方は、ぜひ最後までお読みください。
ロックランザ蒸溜所(Lochranza Distillery)とは?

出典:By paul birrell, CC BY-SA 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=498816
ロックランザ蒸溜所(Lochranza Distillery)
- 地域:アイランズ(アラン島)
- 創業年:1995年
- オーナー:アイル・オブ・アラン・ディスティラーズ
- 正規代理店:株式会社ウィスク・イー
ロックランザ蒸溜所(Lochranza Distillery)は、スコットランド・アラン島(Isle of Arran)北部に位置する蒸溜所です。もともとは「アラン蒸溜所(Arran Distillery)」として1995年に設立されましたが、2020年のブランド再編により、南部に新しく誕生した姉妹蒸留所のラグ蒸溜所(Lagg Distillery)との棲み分けを明確にするため、北部の蒸溜所は「ロックランザ蒸溜所」の名称に変更されました。
これにより、アラン島では現在…
- ロックランザ蒸溜所(北部):ノンピート主体
- ラグ蒸溜所(南部):ピーテッドモルト主体
という2拠点体制でウイスキーが生産されています。
原酒の棲み分けと生産スタイル
創業初期のアラン蒸溜所では、55ppmというヘビリーピーテッドの原酒も少量ながら製造していましたが、現在その役割は完全にラグ蒸溜所に移行。ロックランザではピートを使用しないクリーンなモルト原酒の生産に専念しています。
- ポットスチル構成:初留釜・再留釜 各2基(2020年増設)
- 年間生産量:約120万リットル(創業当時の倍近く)
- 仕込み水:ロックランザの山間から流れる清冽な湧き水(Easan Biorach)
このような製法の違いは、シングルモルトの味わいにもしっかりと現れており、ロックランザでは果実のような香味をもつフルーティーで繊細なモルトが特徴となっています。
主なラインナップ
ロックランザ蒸溜所の原酒は、主に「アラン(Arran)」の名でボトリングされています。代表的なラインナップには以下のようなものがあります。
- アラン10年:バーボン樽とシェリー樽をバランスよく用いた定番。洋梨やシトラスのアロマが魅力。
- アラン18年:長熟らしい深みとタンニンの複雑さが堪能できるミディアムボディ。
- アラン バレルリザーブ:バーボン樽100%で構成されたライトタイプ。気軽な一杯に。
- アラン シェリーカスク:シェリー樽100%。カスクストレングスでボトリング。
蒸溜所としての魅力と今後
ロックランザ蒸溜所は観光地としての人気も高く、スコットランド本島からフェリーを乗り継いででも訪れる価値のあるロケーションにあります。山と海に囲まれた自然豊かな村で、テイスティング付きのガイドツアー、ギフトショップ、カフェなど、ビジター設備も充実しています。
創業から30年を迎えようとする今、ロックランザ蒸溜所はもはや「新興」ではなく、伝統と現代性を兼ね備えた島モルトの代表格と言える存在になっています。
【スコッチウイスキーレビュー】アラン シェリーカスクを評価
アラン シェリーカスク
- 55.8% 700ml
- オフィシャルボトル
- 樽:ファーストフィルのシェリーホグスヘッド(250リットル)
- 抜栓時期:2025年7月
- テイスティング時期:2025年8月
- whiskybaseでの評価:86.00/100
- 楽天市場価格[2025年8月]:7,800円 送料別
アラン シェリーカスク とは?
「アラン シェリーカスク」は、ファーストフィル・オロロソシェリーホグスヘッド100%で熟成し、カスクストレングスでボトリングされた商品です。無加水ならではの力強い酒質と、250Lサイズのシェリーホグスヘッドからしっかりと引き出された濃厚な樽香が、抜群のバランスで共存しています。
使用されているのは、オロロソシェリーのシーズニングを施した、250リットルのホグスヘッド樽。シェリーカスクといえば、500Lの「バット」と言われるサイズが定番ですが、こちらはあえて小ぶりなサイズで樽を組み替え、酒質と樽の接触面積を増やすころで、短期間でもしっかりとした熟成感と風味を引き出しています。
熟成年数は明記されていませんが、濃密なウッド感とシェリー樽由来のドライフルーツ様の甘さがしっかりと溶け込んでいます。
香り
アプリコット、キャラメルポッポコーン、カスタードクリーム、レモンシャーベット、カカオ、ドライレーズン、ドライイチジク、アーモンド、シナモン、カルダモン、ホワイトペッパー、アニス、りんごのコンポート、金平糖。フルーティーで甘やかな香りの中に、スパイシーな要素も感じます。
加水すると洋梨、かりん、マスカット、ライチ、未熟なメロン。白ワインのアロマに似たフルーティーさが現れます。香りのバリエーションは非常に豊富です。
味わい
甘くてフルーティー、刺激が強くてパワフル。フルボディ。徐々にドライでビター。ドライフルーツ、コットンキャンディー、フルーツ系のアイスキャンディー。中盤以降も甘さが続き、オロロソシェリー樽由来のスパイシーさと若干、漢方薬のような深みを感じます。フィニッシュにかけてはドライ。シェリー樽のスイートな余韻が長く続きます。
加水しても甘さがあります。少し酸味があってなめらか。トワイスアップまで加水しても、シェリー樽の個性はまったく衰えません。
評価
「アラン シェリーカスク」の評価としては、「コスパ良すぎ!リッツで濃厚なシェリーカスク100%ウイスキー」です。
「アラン シェリーカスク」の市場価格は現在およそ8,000円前後。しかし、その価格帯にしては驚くほど完成度が高く、まさに“コストパフォーマンスの鬼”とも言えるシングルモルト。
これは「シェリーカスク100%のウイスキー」としてだけでなく、同価格帯の全ウイスキーと比較しても、トップクラスに食い込んでくるであろう一本。とにかくこのウイスキー「シェリー樽の風味が良すぎる」、この一点に尽きます。
濃厚でリッチ、それでいて気品あるシェリーフレーバー
熟成にはファーストフィルのオロロソシェリーホグスヘッド(250L)が100%使用されています。そこから生まれるドライフルーツやキャンディー、ウッディスパイスのニュアンスは、力強いだけでなく、どこか上品な印象も。バランス感に優れ、余韻も深く、味わいには複雑さがしっかりとあります。
そして、特に注目したいのが「甘さ」です。シェリー樽由来の濃密な甘みと聞くと、私はまず「グレンドロナック」が頭に浮かびますが、「アラン シェリーカスク」もそれに匹敵するほどのリッチな甘さを感じます。
ファーストフィルの底力
このリッチなシェリーフレーバーは、ファーストフィル(初回使用)のシェリー樽で熟成されていることが大きな要因でしょう。ファーストフィルは、シェリー酒を抜いた直後のフレッシュな状態でウイスキーを詰めるため、シェリーの風味をダイレクトに酒質に与えます。
もちろん、「ファーストフィルだから絶対に濃厚」というわけではなく、なかには個性がやや閉じた樽も存在します。しかし、「アラン シェリーカスク」に使われている樽は、品質の高さがはっきりと感じ取れるもの。飲めば納得、という仕上がり。
なお、「グレンファークラス」のように、ファースト〜フォース(4回目)使用までのシェリー樽をブレンドして、原酒の個性を調整する蒸溜所もあります。これは決して妥協や手抜きではなく、ブランドごとの方向性に合わせた合理的なアプローチです。ファーストフィルはあくまで選択肢のひとつであり、「アラン シェリーカスク」の場合は「シェリーの濃さを全面に出す」スタイルを選んでいるということになります。
加水で変化する懐の深さ
ストレートでは、シェリー樽由来の強さとアルコール度数(約55〜56%)の迫力が前面に出ますが、加水することでその表情は一変します。甘みや香りがより開き、よりまろやかで芳醇な印象に。
加水後も味わいも、甘さ・香り共にリッチで芳醇。アルコール度数の強さも関係していますが、多めに加水してもその個性は衰えません。ストレートで力強いシェリー感を愉しむのも良いのですが、グラスの残りが3分の1くらいになったら、同量くらいの水を足して、最後はトワイスアップで飲むのをおすすめします。
もちろん、最初からロックや水割りでも十分美味しく楽しめます。ただし、ハイボールにはあまり向かない印象。濃厚なシェリーの風味が薄まってしまい、せっかくの個性が活かしきれないと感じました。
「アラン」らしいシェリースタイルを体現する1本
アランのウイスキーには、「アラン10年」や「アラン18年」など、シェリー樽を活用した製品が多くありますが、「アラン シェリーカスク」はその中でも最もストレートに“シェリー感”を追求したモデル。アランファンにはぜひ一度手に取ってほしい一本。そして、これからシェリーカスクの世界に足を踏み入れたいという方にも必ず飲んで欲しい銘柄です。
シェリー樽の魅力を凝縮したような「アラン シェリーカスク」。リッチな甘み、深い余韻、そして力強くも洗練された味わいは、シェリーカスク好きにはたまらない仕上がりです。これが8,000円前後で手に入るという事実は、まさに驚き。飲み方を変えることで表情を変えてくれる懐の深さも魅力のひとつ。
「アラン シェリーカスク」を飲みたい方は、BARWHITEOAKで堪能してみては如何でしょうか♪

あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。
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