ウイスキー初心者向け講座 シェリーカスクとは?シェリー系おすすめ5選 

 

ユースケ
ユースケ

こんばんは。ユースケです。

僕の自己紹介:経歴9年の現役バーテンダー。ウイスキー文化研究所認定「ウイスキーエキスパート」。JSA認定「ソムリエ」。

この記事ではモルトウイスキーの熟成樽「シェリーカスク」について、ウイスキー初心者にもわかりやすく解説いたします。 

シェリーカスクのことがよくわからない方や、「シェリー」というお酒がいまいち理解できない方に、おすすめの内容になっています。 

 モルトウイスキーの熟成に欠かすことのできないのがシェリーカスクです。もともと、スコッチウイスキーはバーボンカスクが登場する前までは、100%シェリーカスクで熟成させるウイスキーでした。いまや空前のウイスキーブームであることから、シェリーカスクの需要も急激に伸びて、供給が追い付いていないのが現状です。 

 そんな、ウイスキー業界にとって重要な熟成樽「シェリーカスク」について、シェリー酒の説明も含めて丁寧に解説していきたいと思います。最後には、おすすめのシェリーカスクで熟成したウイスキーもご紹介しておりますので、ぜひご覧ください。 

 

ウイスキー初心者向け講座 シェリーカスクとは? 

シェリーカスクとは :スペインの酒精強化ワイン「シェリー」の熟成で使用した樽。 

※酒精強化ワインは、フォーティファイド・ワイン(fortified wine) とも呼ばれます。アルコールを添加したワインのことです。シェリー以外に、ポートワイン、マデイラワイン、イタリアのマルサラワインなどがあります。 

 シェリーにも種類がいくつかあります。基本的には「オロロソシェリー」の樽を使用します。単純に「シェリー」や「バット」と呼ばれるものは、オロロソシェリーカスクです。その他のタイプであれば、「フィノシェリーカスク」「ペドロヒメネスカスク」などのように、別の種類のシェリーであることが明記されるのが一般的です。 

 

シェリーカスクで熟成させたウイスキーは、ドライフルーツのような深みのある香りと、しっかりとした飲みごたえを感じることができ、他の熟成樽では再現できない独特の個性をウイスキーに与えてくれます。 

  

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ウイスキー初心者向け講座 シェリーカスクとは?シェリー酒について 

シェリー酒の正式名称(長いです) 

ヘレス・セレス・シェリー・マンサニーリャ・サンルーカル・デ・バラメーダ 

 

 シェリー酒の産地 

スペインのアンダルシア地方へレス、サンタマリカ、サンルーカルを中心とした地域。 

シェリーには原産地呼称があるので、同じ製法で作ったとしても、それが他の地域であれば「シェリー」とは名乗れません。 

 

シェリー酒の種類 

シェリー酒には辛口~極甘口までいろいろな種類があります。代表的な物をご紹介します。 

<辛口シェリー> 

  • フィノ: アルコール度15度~17度 。辛口シェリーの代表格で、全シェリーの中の9割以上がフィノタイプです。アルコール度数の強化のよって、自然にできた保護膜(産膜酵母)により、樽内での熟成時にワインを酸化から守ることができます。フィノシェリーの色が、他のシェリーより薄いのはこの産膜酵母の働きによるものです。ウイスキーの熟成樽に使用されることがあります。 

 

  • マンサニージャ(マンサニーリャ): アルコール度15度~17度 。サンルーカル・デ・バラメーダで作られるフィノタイプのことを、マンサニージャと呼びます。この地域で作られたフィノは、熟成が若く、フレッシュな味わいになっています。基本的にはフィノと大きくは変わらないシェリーです。 フィノ同様、ウイスキーの熟成樽として使用されるようになってきました。 

 

  • アモンティリャード: アルコール度16度~22度 フィノやマンサニーリャを作り、完成したものをさらに樽で酸化熟成させたシェリーです。フィノと比べると、琥珀色でヘーゼルナツのような深い香りが特徴です。ウイスキーの熟成樽としては、オロロソに近い特性を持っている為使用されることが多くなっています。 

 

  • オロロソ: アルコール度17度~22度。酸化熟成させたシェリーです。濃い琥珀色・マホガニー色です。ワ木樽の風味が強く、アーモンド、クルミ、ナッツのような香り。「におい」という意味のスペイン語が「オロール」と言われることから「オロロソ」と呼ばれています。しっかりしたボディで個性の強いシェリーです。ウイスキーの一般的なシェリーカスクはこのオロロソシェリーになります。 

 

<甘口シェリー> 

  • ペドロヒメネス: アルコール度:15度~22度。ペドロ・ヒメネス種のぶどうを天日に干して 、糖分の高い状態で作る、極甘口のシェリーです。かなり濃い色合いで、なかには黒っぽい色のものあります。力強く、強烈に甘く、シロップのような味わい。複雑なアロマと滑らかな口当たりが素晴らしい、デザートシェリーです。ウイスキーの熟成樽としては、「PXカスク」と略称されることがあります。オロロソシェリーの代用としての人気が高まっていることと、PXシェリーカスクで熟成させたウイスキーは、リッチな甘さを生み出すため、人気が高いシェリー樽となっています。生産量も少ないため、貴重です。 

 

  • モスカテル: アルコール度:15~22度。モスカテルはいわゆる「マスカット」と同じ品種です。天日干しにしてから醸造します。色合いはオロロソやアモンティリャード のような濃い琥珀色・マホガニー色です。フローラルで爽やかな香りがあり、まるでフレッシュジュースのような甘い味わいです。ペドロヒメネスと比べると、軽めで飲みやすいシェリーです。熟成樽としては、最近になって注目され始めており、スコッチやジャパニーズウイスキーでモスカテルカスクが使用されている商品があります。 

 

シェリーカスクの原木 

シェリーを作るスペイン南部では、樽用のオークが自生していません。そのため他の地域から樽材となる原木を運んできて、樽を作ります。 

主に使用されるのは、「アメリカンホワイトオーク」と「スパニッシュオーク」(コモンオーク)です。 

  •  アメリカンオーク: 北米産のホワイトオーク。バニラ香が強くでる傾向がある。樽材としてはやや安価。 
  • スパニッシュオーク: スペイン、フランス、中央ヨーロッパなどが原産。スペイシーで複雑なアロマを生み出す。アメリカンオークと比べると高級。 

 

ウイスキー初心者向け講座 シェリーカスクとは?シェリー酒の製造から熟成まで 

シェリー酒の作り方について、簡単に解説していきます。 

 シェリーカスクの製造 

ウイスキー用のシェリーカスクのサイズは、500リットルの「バット」か、250リットルの「シェリーホグスヘッド」の2種類です。 

原木はアメリカンホワイトオーク、またはスパニッシュオークです。伐採された原木はへレス地方へ運ばれ、アンダルシアの強い日差しのなか、1年間の自然乾燥をへて、樽材に加工されていきます。 

樽の内側は、火鉢の炭火でゆっくりとトースト処理されていきます。ここがバーボンウイスキーの樽とはかなり違うところです。バーボンの場合は樽に直接火をあてる方法をとっています。(ヘビリーチャーといいます) 

 

シェリーの醸造  

シェリーの製造方法は、収穫、圧搾、発酵までは、普通のスティルワインと同じです。樽での熟成工程からが、大きく変わっていくところになります。
一般的なシェリーである「フィノ」の場合、アルコール度数が11度から12度くらいになっているワインに、ブドウからつくったスピリッツを添加します。フィノは15度程度に調整すると、“フロール”と呼ばれる産膜酵母をワインの表面に形成します。そうすることで、ワインの酸化をある程度防ぎながら熟成させうことができます。 

ウイスキー用に使われる「オロロソ」シェリーは、アルコール度数17度くらいまでスピリッツを添加して、フィノとは逆に、産膜酵母を作らずに酸化熟成させていくのです。 

 

シェリーの熟成「ソレラシステム」 

シェリーを熟成させるためのシステムは普通のワインとは少し違います。シェリーには、「ソレラシステム」という伝統的な熟成方法があります。 

ソレラシステムを簡単に言うと、「継ぎ足し熟成」です。  

  • 最も古いシェリーが貯蔵された樽(ソレラ)から、一部をとってボトリングします。(3分の1以上はとらないようにします。) 
  • ソレラのシェリーが減った分を、2番目に古い樽から補充します。
  • 2番目に古い樽 のシェリーが減った分を、3番目に古い樽から補充していきます。 
  • …以上を繰り返していきます。

このように、順々に補充しながら、継ぎ足しを繰り返す熟成方法をソレラシステムといいます。この仕組みの特徴は、生産年によって変わるワインの品質を、ある程度均一にできるというメリットがあります。 

シェリーと名乗る為には2年以上の熟成が必要です。ウイスキー用のオロロソシェリーカスクも、通常は2~3年くらいの熟成(シーズニング)を経たものが使用されています。 

 

ウイスキー初心者向け講座 シェリーカスクとは? 生産量の9割がウイスキー樽用 

オロロソシェリーはウイスキーの為に作っている?! 

ウイスキーに使われるシェリーは、ほとんどが「オロロソ」ですが、実はオロロソシェリーの需要は少なく、あまり作られていません。 

これがシェリーの現実になりますが、シェリーを作るボデガ(シェリーの醸造所)では、生産の9割がウイスキーの樽を作る目的でシェリーを作っています。ボデガはウイスキーメーカーから依頼を受けて、シェリー(正確に言えばシェリーカスク)を作ります。つまり、ウイスキー樽としての需要がなければ、今のシェリー業界は成り立たないことになります。 

ウイスキーメーカーが必要なのはあくまでも「樽」です。樽の中身であるオロロソシェリーは必要ないのでボデガに渡します。ボデガからすれば、樽を用意してくれて(ウイスキーメーカーが用意する場合が多いです)、なおかつ中身のシェリーはすべてもらえて、樽製造に対しての報酬ももらえるのです。シェリー不況が続いて苦しんでいる中、ウイスキー樽の需要増大は、大変ありがたいことなのです。 

 

 完成したオロロソシェリーの行方

完成したオロロソシェリーは、先ほどお話しした通り、あまり需要がないため、全てを売ることはなかなかできません。ですので、売れ残ったシェリーは蒸留所に運ばれて、ブランデー(スピリッツ)にします。そのスピリッツはボデガに戻り、シェリーの製造時に使われる、添加用のアルコールとして利用されます。決して無駄にはなっていませんが、せっかく作ったシェリーがスピリッツになってしまうというのは、本来の理想とは少し違うように思います。 

また、ボデガによっては、シェリーカスク用のオロロソシェリーと、通常出荷用のオロロソシェリーを完全に分けて作っている所もあります。ウイスキーに理想的な樽を作る為に、樽に詰めるシェリーの量を調整したりするようです。ボデガはシェリーに対しての思いがしっかりあります。ウイスキー用の樽を作るのは、今や重要なシェリー産業の一部となっていますが、ウイスキー樽の為に、本来の作り方ではないシェリーを商品として売ることはしないようです。  

ユースケ
ユースケ

シェリーは世界的に消費量が伸び悩んでいます。一方、好調なのがウイスキーです。ウイスキー樽製造は、シェリー産業にとっては 救いの手となっているのです。ウイスキー好きとしては、オロロソシェリーに感謝をする意味でも、少しは消費してあげたいという気持ちがありますね。

  

ウイスキー初心者向け講座 シェリーカスクとは?シェリー系のおすすめウイスキー5選 


 

アベラワー アブーナ

約60%(カスクストレングスのため、アルコール度数が変わります) 8000円
アベラワーのなかでも、しっかりとシェリーを感じるのがこの「アブーナ」です。
オフィシャルボトルで、ここまでシェリーカスクのしっかりした味わいのものはなかなかありません。
カスクストレングスのため、アルコールの刺激が強いのですが、シェリーカスクの甘さとフルーティーな香りが心地よく感じれる為、飲みやすいです。
このクオリティーで1万円以内っていうのがすごい。

グレンファークラス17年

アルコール度数:43 % 8000円
スペイサイドのグレンファークラスは、伝統的にシェリーカスクでのウイスキーを作り続けています。
同じシェリーにこだわる「マッカラン」と違う点は、アメリカンホワイトオークのシェリーカスクも使用している所で、バニラ香が出やすいといわれています。マッカランよりも、甘さとボディーがある味わいに仕上がります。
17年はお値段がそこそこしますが、クオリティーは12年より断然いいのでお勧めです。

ザ マッカラン 12年

アルコール度数:40 % 7200円
シェリーカスクにこだわりを持ち続ける、シェリーカスクと言えば「マッカラン」です。
数年前に「ノンエイジシリーズ」が発売されましたが、12年は今でも人気があり、シェリーカスクの王道ですね。
お値段は上がり続けていますが、この値段ならまだ「買い」です。
シェリー系スコッチの中でも、安定の味わいですね。

ボウモア 15年 シェリー・カスク・フィニッシュ

アルコール度数:43 % 7000円
ボウモアのシェリーカスクフィニッシュ(シェリーカスクでの最後の追加熟成)したボトルです。
ボウモアが本来持つピーティーさ、華やかさが、シェリーカスクの影響でさらに複雑な変化をしてレベルアップしています。
ウイスキーの柔らかさと甘さも感じやすくなっており、7000円という値段なら、コスパも良いウイスキーだと思います。

グレンゴイン ペドロヒメネスシェリーカスクフィニッシュ

アルコール度数:46 % 10000円
ハイランドのグレンゴインは、シェリーに特別なこだわりを持つ蒸留所ではありませんが、ペドロヒメネスシェリーカスク(PXカスク)でのフィニッシュをしているウイスキーは、スコッチ全体でも珍しいです。オフィシャルボトルでPXカスクを使った熟成をしているのは「グレンドロナック」くらいではないでしょうか?
ふくよかな甘さを感じることができて、「さすが極甘口シェリーの樽だな」と分かりやすく伝わってきます。

 

まとめ 

ウイスキー初心者向け講座 シェリーカスクとは? 

→スペインの酒精強化ワイン「シェリー」の熟成で使用した樽。 

ウイスキー初心者向け講座 シェリーカスクとは?シェリー酒について 

→スペインのアンダルシア地方で作られる。辛口~極甘口までいろいろな種類がある。「アメリカンホワイトオーク」と「スパニッシュオーク」が使用される。 

ウイスキー初心者向け講座 シェリーカスクとは?シェリー酒の製造から熟成まで 

→サイズは、500リットルの「バット」か、250リットルの「シェリーホグスヘッド」。スピリッツを添加して酸化熟成。ソレラシステムによる2~3年のシーズニング。 

ウイスキー初心者向け講座 シェリーカスクとは? 生産量の9割がウイスキー樽用 

→生産の9割がウイスキーの樽を作る目的でオロロソシェリーを作っている。 

ウイスキー初心者向け講座 シェリーカスクとは?シェリー系のおすすめウイスキー5選 

 アベラワーアブーナ、グレンファークラス17年、ザ マッカラン 12年、ボウモア 15年 シェリー・カスク・フィニッシュ、グレンゴイン ペドロヒメネスシェリーカスクフィニッシュ

  

 

シェリーカスクの需要が高まる中、シェリー業界は「シェリーカスクの生産」で成り立っている現状があります。ウイスキーの為に、今後も良質なシェリーカスクを作ってほしいです。そのためには、シェリー業界も盛り上がらなければいけませんね。 

 ウイスキーもいいけど、シェリーをもっと飲んで盛り上げていきましょう!ウイスキー好きの私たちが協力しなければならないと思います。 

 

ユースケ
ユースケ

あなたの人生がウイスキーによって幸せになることを願っています。最後までご覧いただきありがとうございました。それでは、また。

 

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