Four Roses フォアローゼズ

種類:ケンタッキー・ストレート・バーボンウイスキー
ブランド誕生:1888年
製造:Four Roses Distillery
ブランドオーナー:GALLO(E. & J. Gallo Winery)
旧ブランドオーナー:キリンホールディングス(2002~2026年)
マスターディスティラー:ブレント・エリオット
フォアローゼズ バーボン
熟成年数:5年以上
アルコール度数:40%
容量:700ml/1000ml
参考価格:約1,700~2,200円前後
「Four Roses(フォアローゼズ)」は、1888年に誕生した、ケンタッキーを代表するバーボンウイスキーブランドです。
ブランド最大の特徴は、
2種類のマッシュビル
5種類の独自酵母
を組み合わせることで、香りや味わいの異なる「10種類のバーボン原酒」を造り分けていること。
この10種類を商品ごとに選択・ブレンドすることで、華やかな果実香、フローラル、スパイス、キャラメル、ハーブなど、多彩な味わいを表現しています。
長年、日本のキリンホールディングス傘下のバーボンとして知られていましたが、2026年4月にブランドオーナーがGALLOへ変更されました。
フォアローゼズは1888年に誕生
フォアローゼズの歴史は1888年から始まります。
ブランド創始者として知られるのが「Paul Jones Jr.(ポール・ジョーンズJr.)」。
フォアローゼズには、有名な「4輪のバラ」の物語が伝えられています。
ポール・ジョーンズJr.がある女性へプロポーズした際、
「もしプロポーズを受け入れるなら、次の舞踏会で4輪の赤いバラを身につけてほしい」
と伝えたとされています。
そして舞踏会の夜、彼女は4輪の赤いバラを身につけて現れました。
このロマンチックなエピソードから「Four Roses」というブランド名が生まれた、というのが現在まで受け継がれているブランドストーリーです。
現在のボトルにも4輪のバラが大きく描かれています。
1943年にシーグラム傘下へ
フォアローゼズは20世紀前半、アメリカで非常に高い人気を持つバーボンでした。
1943年には、カナダの巨大酒類企業「Seagram(シーグラム)」がブランドを取得。
当時のフォアローゼズは、アメリカでも有数のバーボンブランドでした。
しかし1950年代後半、シーグラムはアメリカ国内でフォアローゼズのストレート・バーボン販売を終了。
その後、フォアローゼズは主に、
ヨーロッパ
アジア
など海外市場向けのバーボンとして展開されるようになります。
1971年に日本発売
フォアローゼズが日本で発売されたのは1971年です。
アメリカ本国ではストレートバーボンとしての販売がほぼ途絶えていた時代にも、日本やヨーロッパでは販売が続けられていました。
そのため日本は、フォアローゼズにとって非常に重要な市場となります。
現在も日本限定の、
フォアローゼズ ブラック
フォアローゼズ プラチナ
が販売されており、日本市場との関係の深さが分かります。
2002年、キリンがフォアローゼズを取得
大きな転換点となったのが2002年です。
キリンビールは、フォアローゼズのブランドと生産設備を取得。
「Four Roses Distillery LLC」を設立しました。
その後、フォアローゼズのケンタッキー・ストレート・バーボンをアメリカ市場へ本格的に復活させます。
シーグラム時代にはアメリカ市場から姿を消していたフォアローゼズが、約40年ぶりに本国でプレミアム・バーボンとして再スタートしました。
キリン傘下の約24年間で、
シングルバレル
スモールバッチ
限定スモールバッチ
など、現在につながるプレミアムシリーズも拡充されました。
2026年、GALLOがフォアローゼズを買収
2026年、フォアローゼズに再び大きな変化がありました。
2026年2月、キリンホールディングスはFour Roses Distillery, LLCを「E. & J. Gallo Winery」へ売却すると発表。
同年4月1日、持分譲渡が正式に完了しました。
これによって、フォアローゼズは約24年間続いたキリングループを離れ、アメリカのファミリー企業GALLO傘下となりました。
GALLOは買収時に、
ウイスキーの中味
製造方法
従業員
伝統
を継承する方針を表明。
マスターディスティラーのブレント・エリオットも引き続きフォアローゼズのウイスキー造りを担当しています。
つまりオーナーは変わりましたが、フォアローゼズの基本的な製法や10レシピのシステムは継続されています。
フォアローゼズ最大の特徴「10種類の原酒」
フォアローゼズが他のバーボン蒸留所と大きく異なるのが、10種類の原酒を造り分けていることです。
使用するマッシュビルは2種類。
マッシュビル B
トウモロコシ:60%
ライ麦:35%
大麦麦芽:5%
マッシュビル E
トウモロコシ:75%
ライ麦:20%
大麦麦芽:5%
どちらも一般的なバーボンと比べて、ライ麦比率が比較的高いレシピです。
特に「B」はライ麦35%というかなりのハイライ仕様。
この高いライ麦比率が、フォアローゼズ特有の華やかさやスパイス感を生み出す要因のひとつです。
5種類の独自酵母
2種類のマッシュビルに組み合わせるのが、5種類の独自酵母です。
V:Delicate Fruit/繊細な果実香
K:Slight Spice/スパイス
O:Rich Fruit/豊かな果実香
Q:Floral Essence/フローラル
F:Herbal Notes/ハーブ
2種類のマッシュビル × 5種類の酵母。
これによって、
OBSV
OBSK
OBSO
OBSQ
OBSF
OESV
OESK
OESO
OESQ
OESF
という10種類の原酒を造り分けています。
一般的なバーボン蒸留所では、商品ごとに熟成年数や樽選びを変えることはあっても、これほど多くの酵母とマッシュビルを組み合わせて原酒を造り分けるケースは非常に珍しいものです。
「OBSV」など4文字の意味
フォアローゼズの商品説明を見ると、
「OBSV」
「OESK」
など、暗号のような4文字が登場します。
それぞれに意味があります。
O:Four Roses Distilleryで蒸留
B/E:使用するマッシュビル
S:Straight Whiskey
V/K/O/Q/F:使用する酵母
例えば、
OBSV
なら、
O=フォアローゼズ蒸留所
B=コーン60%・ライ35%・麦芽5%
S=ストレートウイスキー
V=繊細な果実香を生み出す酵母
という意味になります。
このレシピの違いを知ると、フォアローゼズの飲み比べがさらに面白くなります。
旧記事の「インディアナ産コーン」について
旧記事では、
「50年以上同じ農家からインディアナ産コーンを購入」
と紹介していました。
過去の資料ではこうした説明が見られましたが、現在のフォアローゼズ公式情報では、特定農家やインディアナ州産という情報は掲載されていません。
現行公式では「高品質なコーン」とし、ケンタッキー州ローレンスバーグの湧水を源とする石灰岩質の水を使用すると説明しています。
そのため現在の記事では、
「50年以上同じ農家」
という表現は削除するのが安全です。
ローレンスバーグのフォアローゼズ蒸留所
フォアローゼズ蒸留所は、ケンタッキー州ローレンスバーグにあります。
特徴的なのが、スペインのミッション建築を思わせる蒸留所のデザイン。
赤い屋根と白い外壁を持つ建物は、一般的なケンタッキーの蒸留所とは少し異なる印象です。
ここで、
仕込み
発酵
蒸留
が行われます。
蒸留されたニューメイクは、その後タンクローリーで「Cox’s Creek(コックス・クリーク)」にある熟成・瓶詰め施設へ運ばれます。
平屋建ての熟成庫
フォアローゼズでは、熟成庫にも独自のこだわりがあります。
一般的なケンタッキーのラックハウスは、6~9階建てほどの高さを持つことが多く、上層階と下層階で温度差が大きくなります。
一方、フォアローゼズでは平屋建てのラックハウスを使用。
公式によると、上下の温度差は約8°F程度。
一般的な多層式ラックハウスでは約30°Fの差が生じることもあります。
平屋にすることで樽ごとの熟成環境の差を抑え、比較的均一で穏やかな熟成を目指しています。
樽詰め度数は120プルーフ
フォアローゼズでは、蒸留後の原酒を新しいアメリカンオーク樽へ詰めて熟成します。
バーボンの法律では最大125プルーフでの樽詰めが認められていますが、フォアローゼズでは、
120プルーフ=60%
まで加水して樽詰めします。
やや低めの度数で樽詰めすることで、木材から引き出す香味のバランスをコントロール。
バニラ、トフィー、オーク、果実など、フォアローゼズらしい柔らかな味わいを作り上げています。
フォアローゼズ バーボン
現在のスタンダード商品が「フォアローゼズ バーボン」です。
旧記事では「フォアローゼズ・イエロー」としていました。
黄色いラベルから日本では長く「イエロー」と呼ばれてきましたが、現在の正式商品名は、
「FOUR ROSES BOURBON」
です。
熟成年数:5年以上
アルコール度数:40%
容量:700ml/1000ml
10種類すべての原酒を絶妙なバランスでブレンドしています。
公式テイスティングノートでは、
香り:フルーツ、フローラル、柔らかなスパイス、蜂蜜
味わい:フレッシュフルーツ、洋梨、リンゴ
余韻:柔らかく心地よい
と表現されています。
華やかな香りと柔らかな味わいを持つ、バーボン初心者にも飲みやすい一本です。
フォアローゼズ ブラック
日本市場で長年人気を持つのが「フォアローゼズ ブラック」です。
日本限定販売
熟成年数:6年以上
アルコール度数:40%
容量:700ml
使用される中心的な原酒は、
OBSK
OESK
など。
K酵母由来のベーキングスパイス系の個性を持つ原酒を使い、スタンダードよりも熟成感とコクを強くしています。
香りには、
スパイス
オーク
キャラメル
など。
口に含むとナツメグやシナモンを思わせる穏やかなスパイスが広がります。
スタンダードよりも少し濃厚なフォアローゼズを飲みたい方におすすめです。
フォアローゼズ シングルバレル
「フォアローゼズ シングルバレル」は、一樽だけの原酒を瓶詰めするプレミアム商品です。
熟成年数:7年以上
アルコール度数:50%(100プルーフ)
容量:750ml
使用するレシピは、
OBSV
です。
つまり、
マッシュビルB
ライ麦35%
V酵母
という組み合わせ。
ライ麦由来のスパイシーさと、V酵母による果実香を併せ持ちます。
香りには、
洋梨
カカオ
バニラ
メープルシロップ
スパイス
など。
味わいは完熟したプラムやチェリーなど、スタンダードよりも濃厚で複雑です。
2024年のWorld Whiskies Awardsでは「World’s Best Single Barrel Bourbon」を受賞しています。
フォアローゼズ プラチナ
日本限定の最上級定番商品が「フォアローゼズ プラチナ」です。
日本限定販売
熟成年数:8年以上
アルコール度数:43%
容量:750ml
使用する主なレシピは、
OBSV
OBSK
OESV
OESK
の4種類。
長期熟成した限られた原酒を選び、華やかさ、スパイス、果実、オークをバランスよく仕上げています。
香りには洋梨、バニラ、スパイス。
味わいには完熟プラム、チェリー、オーク、キャラメル。
スタンダードなバーボンというより、熟成したシングルモルトのようなフルーティーさや滑らかさを感じることもある、フォアローゼズらしい華やかな一本です。
フォアローゼズ スモールバッチ
日本では数量限定で「フォアローゼズ スモールバッチ」も販売されています。
熟成年数:6年以上
アルコール度数:約45%
使用するレシピは、
OBSK
OBSO
OESK
OESO
の4種類。
甘い果実香に、ライ麦や酵母由来のスパイスを組み合わせたタイプです。
香りには果実、キャラメル、オーク。
口当たりはクリーミーで、熟した赤い果実と穏やかなスパイスを感じます。
アメリカでは定番商品として販売されている人気のスモールバッチ・バーボンです。
2026年「シングルバレル・コレクション」を拡大
2026年、フォアローゼズはアメリカ市場でシングルバレルシリーズを大きく拡張しました。
従来のOBSVに加えて、
OESF
OESQ
OBSK
など、異なるレシピを使ったシングルバレル商品を展開。
いずれも100プルーフで、7~9年熟成。
これまでは10種類の原酒をブレンドによって楽しむのが中心でしたが、
「レシピそのものを一樽単位で比較する」
という新しい楽しみ方ができるようになっています。
2026年「Experimental Series」もスタート
GALLO傘下へ移った2026年には、新シリーズ「Experimental Series」も始まりました。
第1弾は、
「Experimental Series No.001」
ミズナラ樽フィニッシュです。
フォアローゼズのケンタッキー・ストレート・バーボンを、日本産ミズナラ樽で追加熟成。
10レシピという伝統的なフォアローゼズの枠組みを超え、新しい樽や製法を試す限定シリーズとして誕生しました。
さらに同年にはハニーカスクを使用した第2弾も発表。
GALLO傘下となった後も、従来のスタイルを守りながら新しいバーボン造りへの挑戦を進めています。
2026年限定スモールバッチは最長23年熟成を使用
2026年10月10日には「Four Roses 2026 Limited Edition Small Batch」の発売が予定されています。
使用する原酒は、
14年 OBSK
14年 OESK
15年 OESV
23年 OESK
の4バッチ。
アルコール度数は109.2プルーフ=54.6%。
ノンチルフィルタード、バレルストレングスで瓶詰めされます。
23年熟成原酒を含む非常に贅沢な構成で、フォアローゼズの10レシピを生かしたブレンディングの面白さを象徴する限定商品です。
現在価格
旧記事ではスタンダードの参考価格を1,500円としていました。
2026年現在、「フォアローゼズ バーボン」700mlは、
約1,700~2,200円前後
が実勢価格の目安です。
フォアローゼズ ブラックは約3,400~4,000円前後。
シングルバレルは約6,000~7,000円前後。
プラチナは約8,500~10,000円前後で流通しています。
以前と比べれば価格は上昇していますが、スタンダードは現在でも2,000円前後で購入できる定番バーボンです。
フォアローゼズのまとめ
フォアローゼズは、1888年に誕生した、ケンタッキーを代表する歴史あるバーボンブランドです。
最大の特徴は、
2種類のマッシュビル
5種類の独自酵母
10種類のバーボン原酒
を造り分けていること。
マッシュビルは、
コーン60%・ライ35%・麦芽5%
コーン75%・ライ20%・麦芽5%
の2種類。
これに5種類の酵母を組み合わせ、果実、花、スパイス、ハーブなどの異なる個性を持つ10種類の原酒を生み出しています。
2002年から2026年まではキリングループ傘下。
キリンによる買収後、フォアローゼズはアメリカ市場へ本格復帰し、世界的なプレミアム・バーボンとして再評価されました。
そして2026年4月、ブランドはE. & J. Gallo Wineryへ移管。
現在はGALLO傘下ですが、蒸留所のスタッフや製法、マスターディスティラーのブレント・エリオットは継続しています。
日本では、
フォアローゼズ バーボン
ブラック
シングルバレル
プラチナ
スモールバッチ
などを楽しむことができます。
華やかな果実香とライ麦由来のスパイス。
そして10種類の原酒を自在に使い分ける独自の製法。
フォアローゼズは、バーボンの「ブレンディングの面白さ」を最も分かりやすく体験できるブランドのひとつです。


