ウイスキー用語集 か行

ウイスキー用語「か」

カスク(Cask)

ウイスキーの熟成・貯蔵に用いる樽の総称。多くはオーク材でつくられ、樽の容量、樹種、使用回数、前に詰められていた酒類、トーストやチャーの強さなどによって、原酒へ与える影響が変わる。

ウイスキー用のカスクには、バレル(Barrel)、ホグスヘッド(Hogshead)、シェリーバット(Sherry Butt)、パンチョン(Puncheon)、クォーターカスク(Quarter Cask)、オクタブ(Octave)などがある。

カスク・サンプル(Cask Sample)

熟成中の樽から採取する少量のウイスキー原酒。蒸留所の熟成管理、品質分析、官能評価、ボトリング時期の判断、樽選定などに用いられる。

樽から採取したサンプルは、熟成年数、保管場所、樽の状態、蒸発の進行などを確認するための重要な資料となる。

カスク・ストレングス(Cask Strength)

熟成後の原酒を、一般的な製品のように目標度数まで加水調整せず、樽出しに近いアルコール度数で瓶詰めしたウイスキー。英語ではCask Strengthのほか、Barrel Strength、Natural Strengthなどと表記されることがある。

アルコール度数は50%を超えることが多く、60%前後になる製品もある。ただし、カスクストレングスには世界共通の厳密な定義があるわけではなく、加水の有無、冷却濾過の有無、単一樽か複数樽のヴァッティングかは、製品ごとに確認が必要である。

カスク・フィニッシュ(Cask Finish)

通常の熟成を行った後、別の種類の樽へ原酒を移し、追加熟成を行うこと。ウッドフィニッシュ(Wood Finish)、フィニッシュ、後熟とも呼ばれる。

使用される樽には、シェリー樽、ポート樽、マデイラ樽、マルサラ樽、赤ワイン樽、ラム樽、コニャック樽、ビール樽などがある。追加熟成の期間は数か月から数年まで幅があり、原酒に樽由来の香味や複雑さを加えることが主な目的となる。

カスク・マネジメント(Cask Management)

蒸留所やボトラーが行う樽の総合的な管理・運用を指す言葉。樽の調達、樽材の選定、前詰め酒の確認、シーズニング、使用回数の管理、再生、原酒の詰め替え、熟成庫内での配置、ボトリング時期の判断などが含まれる。

近年は樽材の需給、シェリー樽の調達方法、樽の再利用、コスト上昇、持続可能性などが注目されており、カスクマネジメントは蒸留所の品質方針やブランド戦略を読み解く重要な要素となっている。

カスク・リフィル(Refill Cask)

一度以上ウイスキーの熟成に使用された樽。ファーストフィル(First Fill)の樽に比べて樽由来の香味は穏やかになりやすく、蒸留所由来の酒質や長期熟成の変化を表現しやすいとされる。

ただし、リフィル樽でも前に入っていた酒類、使用回数、熟成期間、樽の状態によって影響は大きく異なる。「リフィル・シェリー・バット」のように、前詰め酒と樽種を組み合わせて表記されることもある。

カスク・レジュベネーション(Cask Rejuvenation)

使用済みの樽の内面を削り、再度トーストやチャーを施すことで、熟成樽として再活性化する工程。リジュベネーション、樽の再生とも呼ばれる。

樽を再生すると木材の新しい層が露出し、原酒へ樽由来の成分を与えやすくなる。ただし、新樽と同じ状態になるわけではなく、樽材の履歴や処理方法によって結果は異なる。

加水(Dilution / Reduction)

ウイスキーに水を加えること。瓶詰め前に目標のアルコール度数へ調整する工程と、テイスティング時に飲み手が少量の水を加える行為の両方を指す。

瓶詰め前の加水は、リダクション(Reduction)と呼ばれることもある。加水によってアルコールの刺激が和らぎ、甘味や果実香、麦芽香などが感じやすくなる場合がある一方、加水量によっては香味の輪郭が弱くなることもある。

カナディアン・ウイスキー(Canadian Whisky)

カナダで製造されるウイスキーの総称。カナダ国内で糖化、蒸留、熟成を行い、木製容器で3年以上熟成したものが基本となる。瓶詰め時のアルコール度数は40%以上とされる。

伝統的には、比較的軽快なベースウイスキーと、香味の強いフレーバリングウイスキーを別々につくり、熟成後にブレンドする製法が広く用いられてきた。コーンを主体とする軽やかな原酒に、ライ麦由来のスパイス感を持つ原酒を組み合わせるスタイルが代表的だが、製品ごとの差は大きい。

カフェ式連続式蒸溜機(Coffey Still)

イーニアス・コフィー(Aeneas Coffey)の名に由来する連続式蒸留器。日本ではニッカウヰスキーが「カフェ式連続式蒸溜機」または「カフェスチル」と呼んでいる。

カフェスチルは、一般的な高効率連続式蒸留器と比べて、原料由来の香味を残しやすいとされる。ニッカウヰスキーは宮城峡蒸溜所(Miyagikyo Distillery)でカフェ式連続式蒸溜機を用い、カフェグレーンやカフェモルトなどの製品を展開している。

カラメル色素(Caramel Colouring )

ウイスキーの色調を調整するために用いられることがある着色料。スコッチウイスキーでは、プレーンカラメル(Plain Caramel)として知られるE150aの使用が認められている。

主な目的は、複数の原酒を用いる製品で色合いを安定させることにある。着色料の使用の有無は、ラベルやメーカーの公式情報で明示されない場合もあるため、気になる製品は公式発表を確認したい。

カットポイント(Cut Point)

ポットスチル蒸留において、留出液をヘッド、ハート、テールに分ける際の切り替え地点。蒸留所ではカット、カットのタイミング、ミドルカットなどとも呼ばれる。

一般に、蒸留初期のヘッドには揮発性の高い成分が多く、中央部分のハートは熟成用原酒として樽詰めされる。蒸留後半のテールには重い成分が増えるため、蒸留所は目的とする酒質に応じてカットポイントを設定する。

カット・ストレングス(Cut Strength)

蒸留の際に、ハートとテールの切り替えを判断するアルコール度数、またはその度数を基準にしたカット条件を指す場合がある。主に蒸留所の製造現場や技術資料で使われる表現で、一般消費者向けのラベルではあまり見かけない。

蒸留所によっては、度数だけでなく、留出液の流量、温度、香味、分析値などを総合的に見てカットを判断する。

ウイスキー用語「き」

キーモルト(Key Malt)

ブレンデッドウイスキー、またはブレンデッドモルトウイスキーの香味の軸となるモルト原酒を指す慣用語。ブレンド全体の骨格や個性を形づくる役割を持つ。

キーモルトは法律上の分類ではなく、メーカーやブレンダー、販売側が説明に使う言葉である。複数の蒸留所原酒を使うブレンドでは、キーモルトが必ず1種類だけとは限らない。

キルン(Kiln)

大麦を発芽させてつくる麦芽を乾燥させる施設、または乾燥工程を指す。モルトウイスキーの製造では、発芽を止め、麦芽の水分を下げて保存・糖化に適した状態にする役割を担う。

伝統的にはピートや石炭などを燃料としていた。現在は専門の製麦会社から麦芽を購入する蒸留所も多く、蒸留所にキルン設備がない場合や、パゴダ屋根を残していてもキルンを稼働させていない場合がある。

禁酒法時代(Prohibition Era)

アメリカ合衆国で、飲用目的の酒類の製造、販売、輸送、輸入などが禁止された時代。米国憲法修正第18条とヴォルステッド法(Volstead Act)を根拠とし、1920年1月17日から1933年12月5日まで続いた。

禁酒法はアメリカの蒸留酒業界へ大きな打撃を与えた一方、カナダからアメリカへの酒類密輸を拡大させた。違法酒類取引の増加は、組織犯罪が資金を得る背景の一つにもなった。

キャンベルタウン(Campbeltown)

スコットランド西岸、キンタイア半島(Kintyre Peninsula)の東側に位置する港町、およびスコッチウイスキーの生産地域名。スコッチウイスキーの公式な生産地域の一つである。

19世紀には多数の蒸留所が操業し、「世界のウイスキーの首都」と呼ばれるほど繁栄した。現在はSpringbank Distillery(スプリングバンク蒸溜所)、Glengyle Distillery(グレンガイル蒸溜所)、Glen Scotia Distillery(グレンスコシア蒸溜所)などが地域を代表する。

キャパシティ(Capacity)

蒸留所や製造設備が理論上生産できる最大生産能力。ウイスキー蒸留所では、年間生産能力を「年産○○リットル」といった形で表すことが多い。

実際の生産量は、操業日数、仕込み回数、設備の保守、原料供給、在庫方針、需要予測などによって変動する。そのため、公表されるキャパシティと実際の生産量は必ずしも一致しない。

キャラクター(Character)

原酒またはウイスキー全体が持つ個性・性格を表す言葉。香り、味わい、口当たり、余韻、ピートの強さ、果実味、樽香、蒸留所らしさなどを総合した印象について用いられる。

厳密な分析用語や法的な分類ではないため、テイスティングノートでは「どのような香味が、その個性を構成しているか」まで具体的に書くと伝わりやすい。

ウイスキー用語「く」

クーパー(Cooper)

ウイスキー樽をつくる職人、または樽の修理・再生を担う職人。樽板の選定、組み立て、タガ締め、内面のトーストやチャー、漏れの修理、解体、再生などを行う。

熟成樽はウイスキーの香味形成に大きな影響を与えるため、クーパーの技術は蒸留所やボトラーにとって重要である。

クーパレッジ(Cooperage)

樽工房、製樽会社、またはクーパーが作業を行う施設を指す言葉。英語では、樽づくりという職能・業種そのものを意味する場合もある。

蒸留所が自社でクーパレッジを持つ例もあるが、多くの蒸留所は専門の製樽会社から樽を調達している。

クォーターカスク(Quarter Cask)

比較的小型の熟成樽。シェリーバットのおよそ4分の1に相当するサイズに由来する名称である。

容量は製樽業者や規格によって幅があるが、おおむね100~150リットル程度とされる。小型樽は液体と木材の接触面積の比率が大きく、一般に短期間で樽由来の香味が現れやすい。

グリーンウイスキー(Green Whisky)

樽熟成前のニューメイクスピリッツ、または熟成が十分に進んでいない若い原酒を指すことがある業界用語。使われる文脈によって意味が異なるため注意が必要である。

蒸留直後の無色透明な原酒を指す場合は、ニューメイク(New Make)またはニューメイクスピリッツ(New Make Spirit)と表現するほうが明確である。

グリスト(Grist)

糖化工程に備えて粉砕した麦芽。単に粉末にしたものではなく、ハスク(Husk/殻)、グリッツ(Grits/粗い胚乳粒)、フラワー(Flour/細粉)が混ざった状態を指す。

配合比はマッシュタンの形式や麦芽の状態に応じて調整される。伝統的には、ハスク2:グリッツ7:フラワー1程度が一つの目安とされる。

グレーン・ニューメイク(Grain New Make)

グレーンウイスキーを蒸留した直後で、まだ樽熟成をしていない透明な原酒。グレーンニューメイク、ニューメイクグレーンなどとも呼ばれる。

連続式蒸留器でつくられるグレーンニューメイクは、比較的軽快でクリーンな酒質を持つものが多い。一方、蒸留の度数や設備、原料、発酵条件によって香味には幅がある。

グレーンウイスキー(Grain Whisky)

モルト大麦以外の穀物を主原料としてつくられるウイスキー。原料にはコーン、小麦、ライ麦などが使われ、糖化のためにモルト大麦を併用することもある。

スコッチウイスキーでは一般に連続式蒸留器で蒸留され、ブレンデッドスコッチの構成原酒として重要な役割を持つ。単一蒸留所のグレーン原酒のみで構成されるシングルグレーンウイスキーとして販売される例もある。

グレン(Glen)

スコットランド・ゲール語の「gleann」に由来し、一般に谷や峡谷を意味する言葉。スコットランドの蒸留所名には「Glen」を含むものが多い。

ただし、蒸留所名に付く「Glen」が、すべて実際の谷を直接示すとは限らない。地名、土地の歴史、ブランド名として採用されたケースもある。

グレンリベット(The Glenlivet)

スペイサイド地区の代表的なシングルモルト蒸留所・ブランド。創業者のジョージ・スミス(George Smith)は、1824年にスコットランドの酒税法改正後、早期に蒸留免許を取得した人物として知られる。

ザ・グレンリベットは19世紀以降、高い評価を得たことから、「Glenlivet」の名をめぐる商標・名称使用の争いにもつながった。現在はChivas Brothers社を通じてPernod Ricard(ペルノ・リカール)グループが所有している。

ウイスキー用語「け」

ゲール語(Gaelic)

スコットランド・ゲール語(Scottish Gaelic)やアイルランド語(Irish)など、ケルト語派のゲール語群を指す言葉。ウイスキー蒸留所名、地名、ブランド名の語源として重要である。

ゲール語にはラテン文字を用いる書記体系がある。英語とは発音規則が異なるため、綴りから日本語の読みを推測しにくい蒸留所名や地名が多い。

ウイスキー用語「こ」

コフィースチル(Coffey Still)

イーニアス・コフィー(Aeneas Coffey)が改良・特許化して普及した連続式蒸留器。パテントスチル(Patent Still)とも呼ばれる。

連続式蒸留器の技術にはロバート・スタイン(Robert Stein)らによる先行例があり、コフィーはその技術を改良して1830年に特許を取得した。コフィースチルは、大量かつ効率的な蒸留を可能にし、グレーンウイスキーの生産とブレンデッドウイスキーの発展を支えた。

コールドフィルター/冷却濾過(Chill Filtration)

ウイスキーを低温に冷却したうえで濾過し、低温時や加水時に生じる白濁を抑える工程。冷却濾過、チルフィルトレーションとも呼ばれる。

濾過によって脂肪酸エステルなどの一部成分が除去されるため、香味や口当たりへの影響を重視して、非冷却濾過(Non-chill Filtered)を採用する製品もある。

コニャックカスク(Cognac Cask)

コニャックの熟成に使用された樽。ウイスキーの追加熟成、またはフィニッシュに用いられることがある。

コニャックカスクは、ブドウ由来の果実味、蜂蜜、ドライフルーツ、スパイス、樽香などを連想させる香味を与えることがある。ただし、実際の影響は樽の使用履歴、樽材、熟成期間、原酒の酒質によって異なる。

コルク(Cork)

ウイスキーのボトル栓に使われる素材。天然コルク、天然コルクを粉砕して成形した集成コルク、合成コルクなどがある。

近年は品質の安定性、開栓性、液漏れ対策、コストなどを理由に、スクリューキャップを採用するウイスキーも多い。長期保管では、栓の状態、液面低下、漏れ、乾燥などに注意が必要である。

コントラクト・ディスティリング(Contract Distilling)

蒸留所が、自社ブランド以外の企業・ブランド向けに蒸留や製造を受託すること。製造委託、受託蒸留とも呼ばれる。

新規ブランドや酒類販売会社が蒸留設備を持たずにウイスキー事業へ参入する際に活用される。原料設計、蒸留仕様、熟成、樽、瓶詰めまでのどこを受託するかは契約ごとに異なる。

コントラクティング・ボトラー(Contract Bottler)

他社ブランドのために、瓶詰め、ラベル貼付、梱包などを受託する事業者。ブランド所有者、原酒の所有者、蒸留所、瓶詰め事業者がそれぞれ異なる場合に用いられる。

インデペンデントボトラーが必ずしもコントラクトボトラーであるとは限らない。前者は原酒を選定・所有して自社ブランドで販売する事業者を指し、後者は他社の委託を受けて瓶詰め業務を行う事業者を指す。

コンデンサー(Condenser)

蒸留器で気化したアルコール蒸気を冷却し、再び液体へ戻す装置。モルトウイスキーのポットスチルでは、ラインアームを通った蒸気がコンデンサーで冷却され、留出液となる。

代表的な形式には、シェル&チューブ・コンデンサー(Shell-and-Tube Condenser)とワームタブ(Worm Tub)がある。銅との接触量や冷却方法の違いは、留出液の香味に影響する要素の一つとされる。

 

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