Clementine クレメンタイン

種類:ケンタッキー・ストレート・バーボンウイスキー
代表的な旧ボトル:クレメンタイン8年
ボトリング名義:County Line Distillers、Kentucky Bourbon Distillersなど
熟成年数:8年
アルコール度数:50.5%(101プルーフ)
容量:750ml
主な市場:日本向け
現在の状況:終売・オールドボトル
参考価格:終売品のため年代・状態によって大きく変動
「Clementine(クレメンタイン)」は、かつて日本市場を中心に流通していた、現在では非常に希少なケンタッキー・ストレート・バーボンウイスキーです。
特によく知られているのが「クレメンタイン8年」。
8年以上熟成した原酒を使用し、101プルーフ=アルコール度数50.5%という、現在のスタンダードバーボンと比べても力強い仕様で瓶詰めされています。
現在はすでに終売しており、酒販店の通常商品として見かけることはほとんどありません。
未開栓のボトルはオークションや古酒市場を中心に流通しており、現在ではコレクターズバーボンとして扱われています。
クレメンタインはどこのバーボン?
クレメンタインは、製造元を一つの蒸留所だけで説明するのが難しいブランドです。
旧記事では、
「サゼラック社・バートン(トム・ムーア)蒸留所」
としていましたが、確認できる古いクレメンタインには異なる背景を持つボトルがあります。
代表的な1980年代の「クレメンタイン8年」については、ヘヴンヒルで造られたバーボンを使用し、「County Line Distillers」の名義で瓶詰めされたボトルが確認されています。
一方、1990年代以降には「Kentucky Bourbon Distillers(KBD)」、現在のウィレット蒸留所につながる会社によって瓶詰めされたクレメンタインも存在します。
つまり、
「クレメンタイン=バートン蒸留所のバーボン」
と単純に断定するのは適切ではありません。
ボトリングされた年代によって、原酒や瓶詰めを担当した企業が異なる可能性があります。
County Line Distillersとは?
クレメンタインのラベルや資料で登場するのが「County Line Distillers」です。
少し分かりにくいのですが、County Line Distillersは独立した有名蒸留所ブランドというより、長年さまざまな企業によって使用されてきた製造・瓶詰め名義です。
過去にはBarton Brandsのトレードネームとして使用されており、現在はバートン1792蒸留所を所有するサゼラック社の関連名義となっています。
そのため、
County Line Distillers
↓
Barton
↓
Sazerac
という現在の企業関係だけを見ると、「クレメンタインはバートン原酒」と思いやすくなります。
しかし、古いボトルでは名義と原酒の製造蒸留所が必ずしも一致しません。
実際、1980年代のクレメンタイン8年については、ヘヴンヒル原酒をCounty Line Distillers名義で瓶詰めしたボトルが確認されています。
オールドバーボンでは、このように「ラベルに書かれた会社=実際に原酒を蒸留した会社」とは限らない点に注意が必要です。
代表的な「クレメンタイン8年」
現在、オールドボトル市場で最もよく確認できるのが「Clementine 8 Year Old Kentucky Straight Bourbon」です。
熟成年数:8年
アルコール度数:50.5%(101プルーフ)
容量:750ml
種類:ケンタッキー・ストレート・バーボンウイスキー
日本向けに販売されたボトルが多く、1980年代から2000年代初頭にかけての個体が確認されています。
ラベルには、
「CLEMENTINE」
「THE WORLD’S FINEST BOURBON WHISKEY」
などの文字が大きく描かれた、クラシカルなデザインが採用されています。
現在のバーボンでは40~46%程度の商品も多い中、101プルーフという高い度数で瓶詰めされていたことも、クレメンタインの大きな特徴です。
旧記事の「53.5%」について
旧記事ではクレメンタインのアルコール度数を「53.5%」としていました。
しかし、現在確認できる代表的な日本向けクレメンタイン8年は、
101プルーフ=50.5%
です。
Whisky Auctioneer、Whiskybase、日本国内で流通した旧ボトルの情報でも50.5%・101プルーフが確認できます。
現時点では、旧記事に記載していた53.5%の仕様を裏付ける確かな資料を確認できませんでした。
そのため、本記事では代表的な旧ボトルの仕様として「50.5%」に修正しています。
ヘヴンヒル原酒のクレメンタイン
特に興味深いのが、1980年代に瓶詰めされたクレメンタインです。
1989年表記の「クレメンタイン8年」については、Whisky Auctioneerが、
ヘヴンヒルのバーボン
8年熟成
County Line Distillers名義
101プルーフ
日本市場向け
のボトルとして紹介しています。
この時代の原酒は、現在のBernheim Distilleryではなく、ケンタッキー州バーズタウンにあった旧ヘヴンヒル蒸留所で造られたものです。
旧ヘヴンヒル蒸留所は1996年、大規模な火災によって焼失しました。
そのため、火災以前に蒸留されたヘヴンヒル原酒を使用する古いクレメンタインは、現在では「Pre-Fire Heaven Hill」と呼ばれる時代のバーボンとしても興味深い存在です。
Kentucky Bourbon Distillersのクレメンタインも存在
クレメンタインには、Kentucky Bourbon Distillers、通称「KBD」によって瓶詰めされたボトルも確認されています。
KBDは現在の「Willett Distillery(ウィレット蒸留所)」につながる会社です。
1990年代当時のKBDは、自社で蒸留した原酒だけを販売していた現在とは状況が異なり、他社から取得した熟成原酒を多数保有し、さまざまなブランド名で瓶詰めしていました。
クレメンタインも、そうしたブランドのひとつとして扱われた時期があります。
1993年瓶詰めのクレメンタイン8年では、
8年熟成
101プルーフ
日本向け
という仕様が確認されています。
さらに2000年代初頭のボトルも存在するため、クレメンタインには複数の時代・瓶詰め元が存在すると考えたほうがよいでしょう。
日本市場とクレメンタイン
クレメンタインは、特に日本向けバーボンとして興味深い存在です。
1980~1990年代の日本は、アメリカ本国以上に高級バーボンや長期熟成バーボンの需要が高い市場でした。
そのため、
8年熟成
12年熟成
101プルーフ
シングルバレル
など、本国では一般的ではなかった高スペックの商品が日本向けに数多く輸出されています。
クレメンタイン8年も、その時代を象徴する一本。
現在ではアメリカのバーボン愛好家からも、日本市場へ輸出されていたオールドバーボンが注目されるようになっています。
クレメンタインの味わい
クレメンタイン8年は、8年間の熟成と101プルーフというスペックから、比較的濃厚で力強いタイプのバーボンです。
現存するボトルのテイスティングでは、
バニラ
キャラメル
ブラウンシュガー
ダークチェリー
ドライフルーツ
オーク
シナモンなどのスパイス
といったニュアンスが挙げられています。
50.5%という高いアルコール度数によってボディもしっかりしています。
一方、8年間熟成しているため、若い高プルーフバーボンのような荒々しさだけではなく、オーク由来の甘さや熟成感も楽しめるタイプです。
ただし現在流通しているものはすべて古酒です。
瓶詰め年代や保存状態によって香味にはかなり差があるため、個々のボトルのコンディションを確認する必要があります。
現在は終売・入手困難
2026年現在、クレメンタインは現行商品として通常販売されていません。
入手できるのは、
オールドボトル専門店
ウイスキーオークション
中古酒販売店
個人コレクション
などが中心です。
特に8年・101プルーフの未開栓品は流通量が少なく、以前のように「参考価格5,000円」とすることはできません。
近年の国内オークションでは数万円台で取引される例もあり、海外でも数百ドル以上で取引されています。
ボトリング年代、ラベル、液面、箱の有無、保存状態などによって価格が大きく変わるため、現在は「オールドボトル相場」として考えるべきウイスキーです。
なぜ現在のクレメンタインは価値が上がっている?
クレメンタインが注目される理由は、単に終売しているからだけではありません。
特に古いボトルでは、
8年熟成
101プルーフ
日本市場向け
旧ヘヴンヒル原酒の可能性
KBD/ウィレットにつながる瓶詰め
など、現在のバーボン市場では興味深い要素を数多く持っています。
1990年代までは比較的手頃に購入できたバーボンでも、現在では蒸留所の歴史や原酒の出自が再評価され、コレクターズアイテムになるケースが増えています。
クレメンタインも、その代表的な一本といえるでしょう。
クレメンタインのまとめ
クレメンタインは、かつて日本市場を中心に販売されていた、現在では希少なケンタッキー・ストレート・バーボンウイスキーです。
代表的な「クレメンタイン8年」は、
8年熟成
101プルーフ=50.5%
750ml
という、力強いスペックで瓶詰めされています。
旧記事では「サゼラック社・バートン蒸留所」「53.5%」としていましたが、現在確認できる資料からは、この表記をそのまま使用するのは適切ではありません。
1980年代のボトルには、ヘヴンヒル原酒をCounty Line Distillers名義で瓶詰めしたものがあり、その後はKentucky Bourbon Distillers(現在のウィレット)によるボトルも存在します。
つまり、クレメンタインは一つの蒸留所だけで説明するより、
「時代によって異なる原酒や瓶詰め元を持つ、かつての日本向けバーボンブランド」
として理解するのが適切です。
現在は完全なオールドボトルとなり、未開栓品は数万円以上で取引されることも珍しくありません。
古いヘヴンヒルやKBD時代のバーボン、日本向け輸出バーボンの歴史を知るうえでも、非常に興味深い一本です。
