【バーボンウイスキーレビュー】エヴァン・ウィリアムス12年を評価

ユースケ
ユースケ

こんばんは ユースケです。

自己紹介:BAR WHITE OAK 店主。ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーエキスパート。JSA認定ソムリエ。2022年1月 東京・銀座にBAR WHITE OAK をオープン。YouTube、TikTokでカクテル動画を公開中!

アメリカンバーボンの中でも多くのウイスキー愛好者に親しまれてきた「エヴァン・ウィリアムス12年」。多くのバーボンファンに愛されてきましたが、メーカー終売が発表され、一部の店舗ではすでに取り扱いが終了している状況です。

この記事では、終売となったアメリカンバーボンウイスキー「エヴァン・ウィリアムス12年」を徹底レビューします。ヘヴン・ヒル蒸溜所が誇るバーボンの中でも、特に人気のある銘柄でしたが、再販は果たしてあるでしょうか。

「エヴァン・ウィリアムス12年」のテイスティングレポートを中心に、ボトルの特徴や、製造元の「ヘヴン・ヒル蒸留所」の歴史、エヴァン・ウィリアムスの各ラインナップ、さらにはおすすめの飲み方に至るまで、詳細に解説していきます。

 

 

ヘヴン・ヒル蒸溜所(Heaven Hill Distilleries)について

出典:https://heavenhilldistillery.com

  • エリア:
    ケンタッキー州・ルイヴィル(バーンハイム蒸留所)
    ケンタッキー州・バーズタウン(ヘヴン・ヒル スプリングス蒸留所)
  • 設立年 1935年
  • 所有者: ヘブン・ヒル社
  • 蒸留器:連続式蒸留器
  • 仕込み水:ケンタッキー州のライムストーンウォーター

ヘヴン・ヒルの概要と歴史

ヘヴン・ヒル蒸溜所は、アメリカ・ケンタッキー州ルイヴィル地区に位置する、全米でもトップクラスの生産能力を誇るバーボンウイスキーの蒸溜所です。1940年に設立されて以来、バーボンウイスキーの生産を中心に、数多くのスピリッツを製造しており、特にバーボンウイスキーで高い評価を受けています。

ヘヴン・ヒルの歴史は、1950年代から始まります。バーボンの名産地であるケンタッキー州に位置し、地域の風味豊かな水源(スプリングス)を活かし、バーボンウイスキーの生産を始めます。

ヘヴン・ヒル蒸溜所は、1996年に落雷による火災で一時的に生産を中断せざるを得ない事態に直面しました。この火災により蒸溜所の設備が壊滅的なダメージを受け、生産が不可能になります。約10万樽のウイスキーが焼失。その後、ヘヴン・ヒル社は事業を続けながらも、バーズタウンにおける蒸留所の再建に向けた計画を進めました。この火災が業界に与えた影響は非常に大きかったものの、ヘヴン・ヒルは持ち直し、ウイスキーの製造はルイビルにある「バーンハイム蒸溜所」で継続します。

その後、1999年にはディアジオ社からバーンハイム蒸溜所を買収し、自社生産を再開。1935年から続く、かつてのヘブンヒル蒸留所と同じ伝統的な製法を採用します。バーンハイム蒸溜所で「蒸留」し、本拠のバーズタウンでは「熟成」と「ボトリング」の作業を行ってきました。

新「ヘヴン・ヒル スプリングス蒸留所」

出典:https://heavenhilldistillery.com

2025年4月、ヘヴン・ヒル蒸溜所の焼失から約30年ぶりに「ヘヴン・ヒル スプリングス蒸留所」が再稼働し、新たな歴史の一歩を踏み出しました。

この新蒸留所は、総工費1億3,500万ドル(約155億円)を投じて建設され、今後のバーボン市場に大きな影響を与えることが期待されています。

新蒸留所は、バーズタウンの中心部からわずか数マイルの距離に位置し、61エーカー(東京ドーム5個分)の広大な敷地を誇ります。年間15万樽の生産能力を持ち、貯蔵庫は最大45万樽にまで拡張可能。最新技術を駆使した製造設備を導入し、エネルギー効率や環境負荷の低減を図っています。

二つの蒸留所の違い

バーンハイム蒸留所とヘブン・ヒル・スプリングス蒸留所を比較。

項目 ヘブン・ヒル・バーンハイム蒸留所 (Heaven Hill Bernheim Distillery) ヘブン・ヒル・スプリングス蒸留所 (Heaven Hill Springs Distillery)
所在地 ケンタッキー州 ルイビル ケンタッキー州 バーズタウン 
歴史 1999年に買収 2025年創業
連続式蒸留器 3基 1基(最大3基に拡張予定)
発酵数 17基 10基
年間生産量 40万バレル 15万バレル
(最大45万バレルに拡張予定)
製造するウイスキー コーンウイスキー、ライウイスキー、ウィートウイスキー、モルトウイスキー、バーボン、ウィーテッドバーボン コーンウイスキー、ライウイスキー、ウィートウイスキー、モルトウイスキー、バーボン、ウィーテッドバーボン
見学 不可

ヘブン・ヒル・スプリングス蒸留所は、2025年建設の新しい施設で、将来的にバーンハイムと同等の生産能力(45万バレル)に拡張予定。両蒸留所とも、製造するウイスキーの種類は同じであり、バーボン、ライ、ウィートなど幅広いウイスキーを生産しています。

製品ラインナップ

ヘヴン・ヒル オールド・スタイル(終売)

シンプルながらも深い味わいが特徴。コストパフォーマンスが高く、バーボン愛好者に長年愛されているブランド。ヘヴン・ヒルのブランドは全て生産終了(2025年時点)。

エヴァン・ウィリアムス ブラックラベル

キャラメル、バニラ、オークの香りが広がり、スムーズで軽やかな飲み口。芳醇な香りと豊かな味わい。濃厚なバーボン好きにおすすめ。

created by Rinker
Evan Williams(エヴァン・ウィリアムス)
¥2,590 (2025/11/12 05:50:16時点 Amazon調べ-詳細)

エライジャ・クレイグ スモールバッチ

ケンタッキー州の名門バーボンブランドで、1800年代にエライジャ・クレイグ牧師が初めてオーク樽での熟成を実施したことから名付けらた。12年熟成のバーボンをベースにしたスモールバッチで、リッチで芳醇な味わい。

created by Rinker
ELIJAH CRAIG(エライジャ・クレイグ)
¥3,807 (2025/11/12 02:23:40時点 Amazon調べ-詳細)

リッテンハウス ライ ボトルド・イン・ボンド

ペンシルベニア州発祥のライウイスキーブランドで、現在はヘヴン・ヒルが製造。しっかりとしたボディと、スパイシーでシャープな風味が特徴。ボトルド・イン・ボンド(BIB)として知られる高品質なライウィスキー。

バーンハイム オリジナル

7 年熟成の「ウィートウイスキー」。小麦を主成分として使用し、甘みとスムーズさが際立った味わい。クリーミーな口当たりと、甘さとスパイシーさが絶妙に調和。バーボン初心者にもおすすめ。

 

 

【バーボンウイスキーレビュー】エヴァン・ウィリアムス12年を評価

エヴァン・ウィリアムス12年 Evan Williams 12 Year Old

エヴァン・ウィリアムス12年

 

エヴァン・ウィリアムスとは?

エヴァン・ウィリアムス(Evan Williams)は、バーボンウイスキーブランドの一つであり、現在はバーンハイム蒸留所が製造しています。エヴァン・ウィリアムズは、1783年にケンタッキー州ルイヴィルで、とうもろこしを使ってウイスキーを作ったとされる人物の名前。ラベルに記載されている「SINCE 1783」という年号は、蒸留所の創業年ではなく、ウィリアムズがウイスキーの蒸留を開始した年を指しています。

ブランドは1970年代にヘヴン・ヒル社によって買収され、現在もヘヴン・ヒルの一部として、アメリカのバーボン市場で重要な地位を占めています。多くのバーボンファンから高く評価されており、その中でも「12年」や「シングルバレル」は特に人気があります。

メーカー終売|市場価格について

「エヴァン・ウィリアムス12年」は、2025年11月現在、メーカー終売となっており、一部の店舗ではすでに取り扱いが終了しています。そのため、市場価格は徐々に上昇しており、現在は5,500円~8,000円程度で販売されています。

この終売は輸入元から公式に発表されたもので、再販がない場合、近い将来「エヴァン・ウィリアムス12年」はオールドボトルとして扱われる可能性もあります。しかし、現時点で再販については未定のため、人気のあるラインナップの一つとして、この終売が一時的な措置であり、リブランドを目的としたものかもしれません。そのため、再販の可能性も残されています。

また、エヴァン・ウィリアムスに限らず、バーボン業界ではリブランドによるブランド高級化が進んでいます。一部のラインナップを見直し、プレミアムバーボン用の原酒を確保することが目的となっています。エヴァン・ウィリアムスも、「12年」ではなく、評価の高い長期熟成ボトル「エヴァン・ウィリアムス23年」に注力するため、12年物を完全に終売とする可能性も否定できません。

今後、「エヴァン・ウィリアムス12年」の再販があるのか、再販後の価格や品質がどうなるのか、引き続き注目していきたいところです。

 

香り

バニラ、キャラメル、アプリコット、ヌガーグラッセ、レモンタルト、メープルシロップ、オレンジキュラソー、アーモンド、シナモン、グリーンオリーブ、石鹸、白桃や洋ナシの缶詰。

加水すると、サクマドロップ、接着剤、ブルーベリーのガム。

 

味わい

甘くてパワフル。わずかな酸味のあとに、ビターでドライ。バニラやキャラメル、フルーツの缶詰のような風味。ミディアムボディ。フィニッシュにかけてはオレンジビターズのような苦み。アメリカンオークの余韻が続きます。

加水後の口当たりはなめらかに変化。ビターな味わいが増し、骨格があります。加水に対しては強いウイスキーですが、無加水「50.5%」のほうがその個性を発揮している印象。

 

評価

「エヴァン・ウィリアムス12年」の評価としては、「復活が待ち遠しい!ストレートで飲むと美味しい、リッチで力強いバーボンウイスキー」です。

「エヴァン・ウィリアムス12年」の終売を知った際、思わず「お前もか…」と思ってしまいました。近年、バーボン業界では人気銘柄でもお構いなしに終売が発表されています。

スコッチウイスキーのように、「リブランドしてすぐに新ボトル登場」という流れはバーボン業界には少ないもの。再販が決定しても、終売後しばらく時間が経ってから突然、日本の代理店に連絡が入り「復活」となるパターンも珍しくありません。「エヴァン・ウィリアムス12年」の再販については、現時点で情報はありませんが、リブランドによる復活を楽しみに待ちたいと思います。

「エヴァン・ウィリアムス12年」は、約10年前には2,000円台で購入できた非常にコストパフォーマンスに優れたバーボンでした。101プルーフ(50.5%)という高アルコール度数もあり、多くのバーボン愛好家に評価されていた銘柄です。

しかし、価格が上がり、現在では5,000円を超える価格となっていますが、それでも人気は衰えていません。価格が2倍近く上がっても、その人気が衰えている印象はありません。

「エヴァン・ウィリアムス12年」は、まさに「バーボンらしいバーボン」です。

強いバニラの香り、オーキーでスパイシーな風味、そしてコンポートフルーツのような濃縮したフルーツ香。さらに、その奥にはフレッシュなハーブの香りも感じられ、全体的に複雑な香りを楽しむことができます。50.5%という高いアルコール度数が、このウイスキーの個性を力強く反映しており、安価なバーボンにありがちな、アルコール臭や石油化学製品を思わせる、ネガティブなアロマもほとんど感じません。

12年という熟成期間は、バーボンとしては長めです。この長い熟成が、リッチで力強いアメリカンオークの香りをしっかりと引き出し、50.5%という高アルコールにもかかわらず、まろやかで飲みやすい味わいを生み出しています。

過去に2,000円台で購入できたことを考えると、現在の価格は適正な水準。もし再販される場合、価格は間違いなく上昇するでしょう。再販前に、在庫を確保しておくことをおすすめします。

「エヴァン・ウィリアムス12年」の一番の楽しみ方はストレートです。ロックやハイボールも悪くはありませんが、加水すると、特徴的なリッチで力強い味わいが失われてしまいます。また、加水後は甘みも若干弱くなるため、50.5%のままで楽しむのが最適な飲み方と言って間違いありません。

エヴァン・ウィリアムス12年

 



 

「エヴァン・ウィリアムス12年」は、そのバーボンらしい力強い味わいと、熟成の深みが魅力的な一本。ストレートでその豊かな味わいを堪能し、加水なしでその個性を最大限に楽しんでください。もし再販が実現しても、価格が上昇することはほぼ間違いありません。今のうちに在庫を確保しておくことをおすすめします。

「エヴァン・ウィリアムス12年」を飲みたい方は、BARWHITEOAKで堪能してみては如何でしょうか♪

ユースケ
ユースケ

あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。

 

 

高級ジャパニーズウイスキーを定価で買うなら…
東急クレジットカード会員限定のウイスキー抽選販売がおすすめ!

  • 山崎、白州、響などの希少なジャパニーズウイスキー抽選販売の参加が可能。
  • 東急グループの他、提携先が豊富なのでポイントを貯めやすい。
  • PASMOのオートチャージができる(一体型カードと通常カードの両方で利用可能)
  • 年会費は初年度無料。次年度以降は1,100円。

≪東急カード公式サイトはこちら≫

たるブログ TOP

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました