【ウイスキーレビュー】イチローズモルト&グレーン 20thアニバーサリーエディションを評価

ユースケ
ユースケ

こんばんは ユースケです。

自己紹介:BAR WHITE OAK 店主。ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーエキスパート。JSA認定ソムリエ。2022年1月 東京・銀座にBAR WHITE OAK をオープン。YouTube、TikTokでカクテル動画を公開中!

この記事では、ベンチャーウイスキーの設立20周年記念ボトルとしてリリースされた、ワールドブレンデッドウイスキー「イチローズモルト&グレーン 20thアニバーサリーエディション」のテイスティングレビュー、ボトル評価、定価や流通価格についても解説致します。

「イチローズモルト&グレーン 20thアニバーサリーエディション」の味わいや、イチローズモルトについて詳しく知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

 

 

 

【ウイスキーレビュー】イチローズモルトとは?

イチローズモルトは、埼玉県秩父市に拠点を置く「ベンチャーウイスキー」が製造するウイスキーブランドです。

その洗練された味わいと革新性で国内外から高い評価を受けており、特に海外では「サントリー」、「ニッカウヰスキー」と共に、「イチローズモルト」は日本産ウイスキーブランドの代表格として、高い人気を誇っています。

 

歴史と誕生の背景

「イチローズモルト」の名前の由来となっているのが創業者の「肥土伊知郎」氏。イチローズモルトの誕生は、肥土氏の祖父が運営していた「羽生蒸溜所」は1990年代に閉鎖され、廃棄される危機にあったウイスキーの原酒を手にしたところから始まります。

肥土氏はこの原酒を受け継ぎ、「イチローズモルト」としてブランドを立ち上げます。2004年には「ベンチャーウイスキー」を設立し、2008年には「秩父蒸溜所」を稼働させることで、自身の家系に根付くウイスキー作りの伝統を守りながら、新たなウイスキー蒸溜所を稼働させ、ウイスキー造りを開始。

閉鎖した羽生蒸溜所の原酒と、秩父蒸溜所で新たに生み出された原酒を合わせることで、イチローズモルトの代表的なシリーズ「イチローズモルト リーフラベルシリーズ」を完成させます。

また、海外から原酒を輸入し、独自に調達した樽で熟成させたウイスキーと、自社のモルト原酒をあわせた「ワールドブレンデッドウイスキー」は、リーズナブルでありながら完成度が高く、多くのウイスキー愛好家に支持を受けています。

 

代表的なラインナップ

イチローズモルト リーフラベルシリーズ

「イチローズモルト リーフラベルシリーズ」は、モルト原酒100%で構成された「ブレンデッドモルトウイスキー」です。ウイスキー樽の原材料「ホワイトオーク」の「葉」をラベルデザインに採用している、イチローズモルトを代表するフラッグシップボトル。

このシリーズは、海外モルトと国産モルトを合わせた「ワールドブレンデッドモルトウイスキー」と、羽生と秩父のモルトウイスキーを合わせた「ジャパニーズブレンデッドモルトウイスキー」の2つのカテゴリーに分けられます。

ワールドブレンデッドモルトウイスキー
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ジャパニーズブレンデッドモルト
  • イチローズモルト ダブルディスティラリーズ

 

イチローズモルト ワールドブレンデッドウイスキー

「イチローズモルト ワールドブレンデッドウイスキー」は、秩父・羽生の国産モルト原酒と、海外から輸入し、秩父蒸溜所で独自に熟成させたモルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンドしたシリーズ。以下の3種類が代表作。

  • イチローズモルト&グレーン ホワイトリーフ
  • イチローズモルト&グレーン クラシカルエディション
  • イチローズモルト&グレーン リミテッドエディション

 

イチローズモルト カードシリーズ

「イチローズモルト カードシリーズ」は、イチローズモルトの名を世界に広めた銘シリーズです。閉鎖した「羽生蒸留所」の原酒をボトリングした、シングルモルトジャパニーズウイスキーとなります。

ベンチャーウイスキーの代表である肥土伊知郎氏によってブランディングされ、各ボトルにはトランプのカードが1つずつ描かれています。

このシリーズには「旧 羽生蒸留所」で1985年から2000年(閉鎖年)の間に蒸留されたモルト原酒を使用しており、2006年から2014年までに合計58種類がリリースされました。

ウイスキーファンや、海外のウイスキーコレクターから熱い支持を受けている、イチローズモルトの伝説的なシリーズ。現在では1本100万円以上の値が付けられているボトルもあります。

最後に登場した「ジョーカー(カラー版)」を除く全てのボトルが、シングルカスク(一つの樽)でボトリングされています。

 

イチローズモルト 秩父(シングルモルトウイスキー秩父)

「イチローズモルト 秩父」は、秩父蒸溜所で蒸留されたシングルモルトウイスキーをボトリングしたシリーズ。

基本的に定番商品はなく、全てリミテッドエディションでリリース。秩父のシングルモルトウイスキーは生産量が少なく、その評価も高いため常に品薄状態。最も購入が難しいジャパニーズウイスキーといえるでしょう。

これまでリリースされた代表的な商品

  • 秩父 ザ・ファースト
  • 秩父 ザ・ピーテッド
  • 秩父 ザ・フロアーモルテッド
  • 秩父 ザ・ファーストテン
  • 秩父 シルヴァーオーク カスクフィニッシュ
  • 秩父 レッドワインカスク

 

 

【ウイスキーレビュー】イチローズモルト&グレーン 20thアニバーサリーエディションを評価

イチローズモルト&グレーン 20thアニバーサリーエディション
ICHIRO’S MALT & GRAIN 20th Anniversary Edition

イチローズモルト&グレーン 20thアニバーサリーエディション

 

イチローズモルト&グレーン 20thアニバーサリーエディションとは?

ベンチャーウイスキー創業20周年を祝う記念ボトルとしてリリース

「イチローズ モルト&グレーン 20thアニバーサリーエディション」は、ベンチャーウイスキーの創業20周年を記念してつくられた、特別なワールドブレンデッドウイスキーです。

中心となっているのは、2008年創業の秩父蒸溜所で造られた15年熟成の原酒。それに加え、同社とゆかりのある日本の閉鎖蒸溜所の原酒や、スコッチウイスキーなど、世界各地の厳選された原酒がブレンドされています。

詳しい原酒構成は明かされていませんが、以下のような貴重な原酒が使用されているとされています。

  • 秩父蒸溜所のモルトウイスキー
  • 旧羽生蒸溜所のモルトウイスキー(2004年に閉鎖)
  • 旧軽井沢蒸留所のモルトウイスキー(2000年に生産停止)
  • 川崎蒸溜所(川崎工場)のグレーンウイスキー(2003年に閉鎖)
  • スコッチモルトウイスキー
  • その他のワールドウイスキー

ウイスキー本来の風味を引き出すため、ノンチルフィルター製法が採用され、着色も一切行わないナチュラルカラーでボトリングされています。生産本数は明かされていませんが、2024年の1年間にわたり、複数のバッチがリリースされました。

単なる周年記念のボトルにとどまらず、ベンチャーウイスキーの哲学とこれまでの歩みが凝縮された、完成度の高いブレンデッドウイスキーに仕上がっています。

以下、「イチローズ モルト&グレーン 20thアニバーサリーエディション」ラベル記載の引用。

2004年9月に設立されたベンチャーウイスキーはおかげさまで20周年を迎える
ことが出来ました。設立当時ウイスキーは冬の時代、年々市場規模が縮小して
いる中、父が残してくれた原酒を世の中に出すのが自らの役目だと信じ、ウイ
スキーの美味しさ、楽しさを多くの人々にお伝えできるようウイスキー造り
一筋に進んでまいりました。本品は、父から引き継いだ原酒、ウイスキー造り
研修をさせていただいた国内外の蒸溜所の原酒、2008年に操業を開始した
秩父蒸溜所の原酒など、秩父の貯蔵庫の中で大切に熟成させてきた貴重な国産
ウイスキー原酒や世界のウイスキー名産地から調達した原酒を使用し、まろやか
バランス良く、個性もしっかりと感じられる仕上がりとなりました。使用した
構成原酒そのものが、ベンチャーウイスキーの歴史を物語っています。弊社を支えていただいた多くの方々に感謝の想いをお伝えすると共に、今後とも末永くお愉しみいただけることを願っております。

 

定価と流通価格

「イチローズ モルト&グレーン 20thアニバーサリーエディション」は、2024年に税込17,600円で発売されました。

発売当初は定価での入手も可能でしたが、2025年5月現在では、国内市場でおおよそ20,000円〜26,000円前後の価格で取引されています。なお、海外の一部オンラインショップでは、425ユーロ(約69,000円)という高値で販売されている例も見られます。

 

香り

オレンジ、グレープフルーツ、青りんご、ドライアップル、イチジク、レーズン、いぶりがっこ、包帯、焼き過ぎたパン、グリーンペッパー、カルダモン、アニスキャンディー、マドレーヌ、ヌガー、アーモンド。

アロマのバリエーションに富んでおり、複雑で奥行きのある個性。

加水後は、青りんご、マスカット、バニラ。爽やかなフルーティーさと樽香が増します。

 

味わい

甘みと酸味のバランスがあり、しっかりとしています。ミディアムボディ。終盤以降はフルーティーでドライ。グレーンウイスキー由来のバニラ、キャラメル、ウッディネスな風味もあります。フィニッシュにかけてはかすかなピート香に、エステリーさやほのかなスパイスも追いかけてきます。余韻の長さは中程度ですが、複雑に広がります。

加水後は、そのまで目立った変化はありませんが、バランスは整っています。

 

評価

「イチローズモルト&グレーン 20thアニバーサリーエディション」の評価としては、「イチローズモルト&グレーン最高峰の複雑な個性!秩父の存在感もあり」です。

使用されている原酒の詳細については、ネット上でもさまざまな情報があります。蒸溜所に関する情報は概ね正確なようですが、熟成年数など細かいスペックはあくまで推測にとどまります。

ただし、長期熟成の川崎グレーンや、閉鎖された羽生蒸溜所の原酒といった、現在では入手困難な貴重な原酒が使われているのは事実。そうした背景もあり、期待を込めてテイスティングに臨みました。

実際に飲んでみた感想としては、イチローズモルトの定番ボトルと比べても、香味の複雑さや余韻の奥行きは格段に上。税込17,600円という定価に見合う価値が十分にあると感じました。ブレンデッドウイスキーでありながら、ストレートでじっくり楽しめるだけの深みがあります。秩父の原酒を中心に、清涼感のある香りや上品な甘みに加え、スコッチモルト由来のかすかなピート香がバランスよく調和し、全体の個性をより豊かに引き立てています。

キーモルトとなる秩父蒸溜所の原酒は、10年以上(あるいはそれ以上)の長期熟成と思われ、他の原酒との調和を保ちつつも、しっかりと個性を主張しています。ブレンデッドとはいえ、“秩父らしさ”を感じさせる味わいです。

ただし、「イチローズモルト&グレーン 20thアニバーサリーエディション」は、たしかに希少な長期熟成原酒を含んでいるものの、従来の「イチローズモルト&グレーン」シリーズと比較して、飛び抜けて圧倒的なクオリティかと言われると、そこまでではない印象。もちろん、熟成の深みからくる複雑なアロマや味わいはシリーズの中でもトップクラスですが、全体としては“地に足のついた傑作”という表現がしっくりきます。

20周年という節目のボトルに対して、こちらが少し期待を膨らませすぎていたのかもしれません(笑)。

と言うのも、イチローズモルトの定番ラインアップが非常に優秀すぎるのです。その完成度の高さを考えると、今回の「イチローズモルト&グレーン 20thアニバーサリーエディション」は、たしかに美味しいものの、コストパフォーマンスの面で定番を大きく上回るとは言いきれません。

これは決してこの記念ボトルの完成度が低いという意味ではなく、繰り返しになりますが、むしろ“定番が良すぎるがゆえ”の評価です。

飲み方としてはストレートがおすすめ。バランスの整ったブレンデッドウイスキーですので、ハイボールや水割りでも美味しいと思いますが、複雑な余韻や、豊富なアロマを愉しむにはストレートが一番。オンザロックで加水後の変化をゆっくり嗜むのもいいですね。

「イチローズモルト&グレーン 20thアニバーサリーエディション」は、ベンチャーウイスキーの20周年を記念して造られた特別な1本です。ルーツである羽生蒸溜所、現在の秩父蒸溜所、そして希少な閉鎖蒸溜所の原酒が見事に融合し、ベンチャーウイスキーだからこそ実現できたプレミアムなウイスキーに仕上がっています。

イチローズモルトを愛する方には、ぜひ一度味わっていただきたい逸品…

イチローズモルト&グレーン 20thアニバーサリーエディション

 

 



 

 

「イチローズモルト&グレーン 20thアニバーサリーエディション」は、羽生や秩父の歴史、肥土伊知郎氏の哲学、そして日本のクラフトウイスキーの進化を一身に表現しています。単なる記念ボトルにとどまらず、ワールドブレンデッドというスタイルを通して「ウイスキーとは何か」という問いに挑んだ意欲作とも言えるでしょう。

「イチローズモルト&グレーン 20thアニバーサリーエディション」を飲みたい方は、BARWHITEOAKで堪能してみては如何でしょうか♪

ユースケ
ユースケ

あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。

 

 

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