【ウイスキーレビュー】ニッカウヰスキー「フロム・ザ・バレル」を評価

ユースケ
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こんばんは ユースケです。

自己紹介:BAR WHITE OAK 店主。ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーエキスパート。JSA認定ソムリエ。2022年1月 東京・銀座にBAR WHITE OAK をオープン。YouTube、TikTokでカクテル動画を公開中!

この記事では、ニッカウヰスキーのブレンデッドウイスキー「フロム・ザ・バレル」のテイスティングレビューと、価格情報やボトル評価、「ニッカフロンティア」との違いについても解説致します。

このウイスキーは国内外で高い人気を誇る銘柄。世界的な酒類品評会である「インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ(ISC)2015」では、エントリーボトル450本の中から、カテゴリー最高賞となる“トロフィー”を受賞しています。

「フロム・ザ・バレル」の味わいが気になる方は、ぜひ最後までご覧ください。

 

 

 

【ウイスキーレビュー】フロム・ザ・バレルとは?

1985年にリリースされた「フロム・ザ・バレル」は、ブレンデッドウイスキーでありながら「樽出し」にこだわり、高アルコールでボトリングされているウイスキーです。

樽から直接注がれた原酒を加水せず、そのままのアルコール度数で樽詰めしたウイスキーのことを「カスクストレングス」と呼びますが、これらの用語が定着したのはつい最近の話。現在はウイスキーファンにも馴染みがあるこの言葉も、「フロム・ザ・バレル」が誕生した80年代はまだ一般的ではありませんでした。

「フロム・ザ・バレル」は余市と宮城峡で熟成させたモルト原酒とグレーン原酒をブレンドした後、再び樽に詰めて数か月間の熟成をおこなっています。

通常、ブレンデッドウイスキーの再貯蔵(マリッジ)は、ステンレスタンクなどを使い、原酒に樽からの影響を与えない方法で行われています。熟成後はアルコール度数の調整(加水)し、ボトリングされています。

しかし、「フロム・ザ・バレル」は、このマリッジを樽で行い、ボトリング時の加水を最小限に抑え、樽から直接注がれたウイスキーを忠実に再現。加水を最小限に留め、50度以上の度数にこだわるブレンデッドウイスキーは、世界的に見ても珍しいでしょう。

「ワールド・ウイスキー・アワード (WWA)」のサブカテゴリーであるノンエイジ部門において、2007年から5年連続で「ベスト」を獲得。2009年には、17年物や21年物といった、並み居る長期熟成のブレンデッドを凌駕し、全エイジング部門でトップとなる「ベスト・ジャパニーズ・ブレンデッドウイスキー」にも選ばれています。

 

フロム・ザ・バレルの定価と価格高騰について

「フロム・ザ・バレル」は2024年4月に実施された価格改定によって、2,800円から現在の3,200円に値上がりしました。

税込価格は3,520円。しかし実際の流通価格は2024年11月時点で5,000円を超えており、500mlボトルのブレンデッドウイスキーとしては異例の高値が続いています。

「フロム・ザ・バレル」の人気は今に始まったことではありませんが、年々定価よりも高い価格で販売されることが多くなり、SNSでは定価で購入できたことをアピールするウイスキーファンもいるくらい。

価格高騰の要因はいくつかあると思いますが、その一つには海外への積極的な輸出にあるでしょう。ニッカウヰスキーはブラックニッカなどの比較的安価なブレンデッドウイスキーを中心に、海外への販売を増やしています。

その中でも人気となっているのが「フロム・ザ・バレル」。特に欧州では広く支持されており、アルコール度数の高いブレンデッド銘柄がそれほど多くないこともあってか、一際目立つ存在となったことで、有名スコッチ・アイリッシュの銘柄に匹敵するほど売り上げを伸ばしています。

もちろん、その背景にはジャパニーズウイスキーに対しての信頼と興味が高まっていることもあると思いますが、「フロム・ザ・バレル」は単に売上を伸ばしているだけにとどまらず、多くの世界のトップバーや有名バーテンダーから支持を受けており、海外のバーではジャパニーズを代表するウイスキーにまで昇りつめています。(純国産ウイスキーではありませんが)

日本市場への供給量を増やすことよりも、海外に積極的に販売していきたいというニッカウヰスキーの思惑なのか、「フロム・ザ・バレル」は国内流通がこれまでよりも不安定になっていることで、価格が高騰しているようです。

 

フロム・ザ・バレルはどこで売っている?

「フロム・ザ・バレル」はネットショップで広く取り扱いがありますが、定価で販売している店舗を見つけるのは難しい状況。送料の負担もあるため、見つかるのであればネットよりも現実店舗で購入する方がお得です。

ウイスキー専門店よりも、普通のスーパーやディスカウントショップなどで定価販売されているパターンもあるので、普段から意識してウイスキーの販売コーナーをチェックしてみてください。

ユースケ
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ネットショップでは「在庫なし」でも、現実店舗では販売していることもあるので、定価で買いたい場合は諦めずに売り場を調査しに行きましょう♪

 

 

【ウイスキーレビュー】ニッカウヰスキー「フロム・ザ・バレル」を評価

フロム・ザ・バレル From the Barrel

 

香り

洋梨、青りんご、バニラ、アーモンド、オレンジ、ドライレーズン、石油。

ブレンデッドウイスキーの割には、全体的にアロマティックで豊かな香り。度数の強さによって、ややアルコール臭を感じ、強く吸い込むと鼻に刺激が残ります。

加水すると黒糖、黒みつ豆、ウエハース、アップルブランデー。アルコールの刺激が少しおとなしくなり、全体的に香りも開きます。

 

味わい

口に含むと甘くてしっかりとボディがあります。キャラメル、洋菓子、キャンディーのような甘やかなアロマのあとに、ドライフルーツの風味を感じますが、持続する時間は短め。後半はドライ。

モルトウイスキーの個性というよりも、グレーンウイスキーからの穀物的な要素と、樽由来の風味を感じます。ウッディネスでスムース。

加水すると少しまろやかに変化しますが、アルコール度数の強さと刺激は健在で、多少の加水では大きく印象は変わりません。鼻から抜ける香りにフレッシュさと樽香を感じます。

グレーンウイスキー由来の要素が引き立ち、ハイプルーフなブレンデッドウイスキーらしい、どっしりとした構え。バランスは崩れず、加水に対してかなり強いウイスキーです。

 

評価

「フロム・ザ・バレル」の評価としては、「これぞ51.4%のパワフル・ブレンデッドウイスキー!昔は庶民の味方だったけど、今はちょっと高くない?」です。

「フロム・ザ・バレル」の長所はなんといっても、そのアルコール度数の強さにあります。50%以上に設定された、日本産のブレンデッドウイスキーは珍しく、加水によってもその個性を失わないのが最大の魅力。

ストレートでの十分に飲めますが、一般的にはロック、水割り、ハイボールの方が飲みやすく、香りも開いてくるのでおすすめ。ただし、コアなウイスキー愛好者には、やはりストレートやトワイスアップを推奨します。

ストレートで飲むと、テクスチャーの強さの割には後半にかけてフレーバーが伸びず、モルトウイスキーに感じるような余韻の複雑さについては少し劣っています。しかし、モルトウイスキーとはまた異なる、グレーンウイスキーならではの飲みごたえが全体を支えており、アルコール度数の強さも相まって、安価でありながら重厚な飲みごたえを生み出しています。

「高くない?」というのは、「定価」のことではなく「流通価格」のこと。人気銘柄の相場が高くなるのは仕方のないことですが、美味しくてリーズナブルな「フロム・ザ・バレル」が、2024年11月現在は5,000円超え…。ちょっと手がでませんね(笑)

本来の定価、3,200円(税別)なら、コスパに優れた美味しいウイスキーだと思いますので、もう少し安定した価格で飲めることを願うばかりです。

 

「ニッカフロンティア」との比較

「フロム・ザ・バレル」と比較されることが多いのが、2024年10月に発売された、ニッカウヰスキーのブレンデッドウイスキー「ニッカフロンティア」。

アルコール度数50%は「フロム・ザ・バレル」と近い設定で、容量は同じ500ml。税抜価格は「フロム・ザ・バレル」の3,200円に対し、「ニッカフロンティア」は2,000円と少しリーズナブル。構成原酒は両ボトルとも、国産と海外産の原酒をブレンドしている「ワールドブレンデッドウイスキー」になります。

2本を比べて最も異なる特性は、スモーキーさ。

「ニッカフロンティア」のキーモルトは「余市」。ニッカウヰスキーの原点である余市蒸留所のピーテッドモルト原酒をメインにすることで、「フロム・ザ・バレル」ではほとんど感じないピーティーな風味が「ニッカフロンティア」にはあります。

全体的な味わいの比較をすると、スムースながらコクのある味わいは両ボトルとも共通しているように思えますが、どちらかというと「フロム・ザ・バレル」の方がドライでキレのある味わいと、力強さを感じます。「ハイボール」や「水割り」といった、加水量の多い飲み方には適しているでしょう。

「ニッカフロンティア」も加水に弱い訳ではないのですが、個人的に、モルトウイスキーの風味に重点を置いているタイプだと思っているので、「ストレート」、「トワイスアップ」、「ロック」などの、濃いめで愉しむほうが向いている気がします。

また、「ニッカフロンティア」はスモーキーさに敏感な方なら、煙臭さも強めに感じるので、「フロム・ザ・バレル」を選んだ方が賢明です。

「どちらが美味しいのか?」と聞かれると、それぞれに良さがあります。

ウイスキー飲み方や個人の嗜好によっても変わるため、はっきりと選ぶことはできません。しかし、コストパフォーマンスにおいては「ニッカフロンティア」の方が優れているので、トータルの評価としては4年ぶりにリリースされた新作に軍配が上がると思います。

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「フロム・ザ・バレル」の持つ深い味わいと独自の個性、さらには新作「ニッカフロンティア」との比較を通じて、それぞれの魅力をお伝えしました。

どちらも日本のブレンデッドウイスキーの素晴らしさを象徴する一本であり、楽しみ方次第で新たな一面を発見できることでしょう。また、「フロム・ザ・バレル」は様々な飲み方でその印象も変わり、飲み手の好みやスタイルによって味わいは多様に広がります。

ぜひ一度、「フロム・ザ・バレル」の深いアロマと味わいをBARWHITEOAKで堪能してみてください♪

ユースケ
ユースケ

あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。

 

 

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