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スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!ラグ Lagg
ラグ Lagg
地域:アイランズ(アラン島)
創業年:2019
アイル・オブ・アラン・ディスティラーズ社
アラン島の南部にあるアランの第2蒸留所
アラン蒸留所の第2蒸留所として2019年に創業。その際、いままであった島の北側にあるアラン蒸留所は改名し、現在は「ロックランザ」と名乗っています。
ラグは、かつて同じ場所に存在していた蒸留所の名前をそのまま使用したもの。アラン島の南部にわざわざ建てたのは、北と南では気候が異なることが理由となっています。アラン島はそもそも大きな島ではありませんが、「スコットランドの縮図」と呼ばれるほどの気候の差が激しい島で、個性の異なる原酒造り(熟成)を行うのには打ってつけの条件。
効率を考えればすぐ近くに第2蒸留所をつくってもいい訳ですが、わざわざ島の反対側に建設し、ウイスキーのタイプを変えているのです。
年間生産量は75万ℓ。ロックランザの120万ℓと比べると小規模。主にヘビリーピーテッドタイプのウイスキーを生産。
蒸留所の規模としてはそこまで大きくありませんが、ビジター設備に力を入れており、ロックランザと同じく年間10万人程の観光客が訪れています。
スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!リンドーズアビー Lindores Abbey
リンドーズアビー Lindores Abbey
地域:ローランド
創業年:2017
ザ・リンドーズ・ディスティリング社
修道士ジョン・コーにゆかりのある蒸留所
リンド―ズ修道院の跡地につくられた蒸留所。リンド―ズは、1494年に書かれた最古のウイスキー文献『修道士ジョン・コーに8ボルの麦芽を与えてアクアヴィテを造らしむ…』に登場しているジョン・コーの居た修道院。スコッチウイスキーにとってもゆかりのある土地です。蒸留所が建設される前には発掘調査が行われています。
年間生産量は22.5万ℓ。初留1基、再留2基。ウイスキーの生産以外に、ニューメイクスピリッツを使用した漬け込み酒も販売。
「リンドーズ・アビー・ディスティラリーアクアヴィテ」という名はもちろん、ジョン・コーにあやかったもの。ビジター設備としてはバー、カフェ、博物館、ショップなど充実しています。
スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!リンクウッド Linkwood
リンクウッド Linkwood
地域:スペイサイド
創業年:1821
MHD
白鳥がシンボルマーク
地元の銘家であるピーター・ブラウンが1821年に創業。以後100年程はブラウン一族によって家族経営が続きますが、1936年にDCL社が買い取り、現在までディアジオ社の所有となっています。
リンクウッドと言えばオフィシャルボトル「花と動物シリーズ」に描かれている白鳥が印象的。冷却水を貯めている池に毎年飛来してくるところから、蒸留所のマスコット的な存在。ラベルだけでなく、キルン塔の風見鶏や倉庫の扉などにも白鳥のデザインが使用されています。
1971年に蒸留所は改修工事が終わり、新たな蒸留棟が完成。古いほうをリンクウッドA。新しいほうはリンクウッドBと呼ばれています。その後2013年には古い蒸留棟であるリックウッドAは取り壊しになり、現在はリンクウッドBのみが稼働。ポットスチルを増設し初留・再留、計6基で生産しています。
年間生産量は560万ℓ。99%の原酒がジョニーウォーカーやホワイトホースに使用されています。
シングルモルトとしては「花と動物12年」のみがオフィシャルとして出回り、他はボトラーズからのリリース。スペイサイドのなかでも個性的なモルトだと思いますが、オフィシャルは割と控えめ。ストレートでゆっくりと飲む分にはいいですね。湖畔で白鳥でも眺めながら…
スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!ロイヤルブラックラ Royal Brackla
ロイヤルブラックラ Royal Brackla
地域:ハイランド
創業年:1812
バカルディ社
ロイヤル3兄弟の一つ ウィリアム4世に献上
シングルモルトで「ロイヤル」を名乗ることが許された蒸留所はわずか3か所。「ロイヤルロッホナガー」「グレンユーリーロイヤル」。そして「ロイヤルブラックラ」。グレンユーリーロイヤルは閉鎖してしまったので、現在操業しているのはロッホナガーとブラックラだけとなっています。
ロイヤルブラックラ が王室御用達となったのは1835年。植民地戦争で各地を転々としていたウィリアム4世が、蒸留所の近く訪問した際に献上され、認められました。その後ロイヤルブラックラは『キングス・オウン・ウイスキー』(王様のウイスキー)と呼ばれ、名声が高まりました。
年間生産量は410万ℓ。初留、再留2基ずつ。
蒸留所にある熟成庫では寝かせず、生産されたニュートラルスピリッツはグラスゴーにある集中熟成庫に送られて樽詰め。そして。ロイヤルブラックラの熟成庫には他社のウイスキーが貯蔵されています。
これは、熟成庫だけをリースしているような形。作業効率をよくするために、原酒を移動させるのは他のメーカーでも行われていることですが、自前のエージングセラーがありながら使用せず、しかも他のメーカーに貸しているのはレアケースです。
原酒はブレンデッドウイスキー「デュワーズ」に使用。オフィシャルボトルは12、16、21年がリリース。ボトラーズでもそれなりの種類がリリースされています。
スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!ロイヤルロッホナガー Royal Lochnagar
ロイヤルロッホナガー Royal Lochnagar
地域:ハイランド
創業年:1845
MHD
ロイヤル3兄弟の一つ 原酒の9割はブレンド用
蒸留所の創業は1845年。その3年後には、英王室の夏の保養所、バルモラン城が近くにあることから女王一家が蒸留所を見学に訪れ、そのことがきっかけで「王室御用達」を許可するワラントを授かりました。
それ以降、「ロッホナガー」から「ロイヤル」を付けて「ロイヤルロッホナガー」と呼ばれるようなります。ヴィクトリア女王はロイヤルロッホナガーを気に入っていたようで、一級品のボルドーワインにロッホナガーを数滴入れて飲むという、如何にも王室らしい⁉飲み方をしていたそうです。
年間生産量は50万ℓ。初留、再留1基ずつ。小規模の蒸留所。
原酒の9割はブレンデッド用となっており、「ジョニーウォーカー」や、日本では馴染みのない「ウィンザー」にブレンドされています。ウィンザーは韓国で人気のあるブレンデッドウイスキー。
現在は関税のルールが変わった影響で、アルコール度数35%に設定された「ウィンザー・ロッホナガー」が売り上げを伸ばしているようです。40%以下だとスコッチと名乗ることはできませんが…
シングルモルトとしては、日本で販売されているはオフィシャルボトルの12年のみ。ボトラーズもほとんど見かけることがありません。
スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!ローズアイル Roseisle
ローズアイル Roseisle
地域:スペイサイド
創業年:2009
MHD
精麦工場を併設する巨大な蒸留所
ローズアイルは年間生産量1250万ℓを誇るディアジオ社最大規模の蒸留所であり、精麦所の併設する重要拠点。ポットスチルは初留7基、再留7基の合計14基。蒸留所の見学ツアーも行われています。
仕込み水はグレネベリー湖から。モルトのピートレベルの調整はもちろん、原酒の酒質もライトからヘビーまでを造り分けることができる最新技術が採用されています。
コンピューターで生産が管理されているため、巨大蒸留所でありがならオペレーションは一人のスタッフで行うことも可能。さらに、熱交換システムを使用していることで蒸留所のエネルギーの85%ほどが再生可能エネルギーとなっています。さすが大手ウイスキーメーカーMHD。最新鋭かつエコロジーなローズアイルの生産システムは、世界中の蒸留所から注目されています。
原酒はすべてブレンデッド用となっていますが、ブレンドされている銘柄は公表されていません。シングルモルトの販売は今のところなく、ボトラーズでの販売もありません。
スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!ローズバンク Rosebank
ローズバンク Rosebank
地域:ローランド
創業年:1840(新ローズバンクは準備中)
旧ローズバック→MHD 新ローズバンク→イアンマクロード社
待ってました!ローランドの栄光が復活
創業初期は「キャメロン蒸留所」でしたが、1840年にローズバンクになりました。
創業者は地元のワイン商。その後1919年以降はDCL社の経営となり、かつてはローランド伝統の3回蒸留も行われていました。ローランドモルトのなかでも評価が高いウイスキーでしたが、ウイスキー不況の影響によってディアジオ社は閉鎖を決定。1993年に惜しまれつつ旧ローズバンク蒸留所は閉鎖します。
2002年には蒸留所を売却。その後、放棄された建物は荒廃していき、2008年には窃盗団が廃墟化した蒸留所へ侵入し、ポットスチルやマッシュタンを盗み出すという事件が発生!これにより蒸留所の魂とも呼べる、ローズバンクオリジナルのスチルがなくなり、わずかにあった再興の望みは完全に消えてしまいます…
その後、行くとどなくローズバンク復活の話が持ち上がりますが、そのたびに計画は中止に。ようやく話が本格化していったのは2017年のこと。復活計画は旧ローズバンクを経営していたディアジオ社によるものではなく、ブレンダー兼ボトラーズ会社のイアンマクロード社によって復活に向けた動きが活発になります。
イアンマクロード社は、まず所有権をもっている会社から旧ローズバンクの建物と敷地を買収。その後、ディアジオから「ローズバンク」のブランド商標権と樽のストックを買い取ることに成功します。
そしてローズバンク復活の為の工事が本格的にスタート。旧建物は「産業遺産」に指定されていることから、取り壊わすことができません。そこで、新しい蒸留棟は、敷地内の中庭に新たに建設されました。
新ローズバンクではかつて行っていた3回蒸留を復活させる予定。年間100万ℓのウイスキーを生産する予定です。
2020年にはブランド権をもつイアンマクロードがローズバンク30年をリリース。
もちろん、これは旧ローズバンクで生産されていたストック原酒。閉鎖される前の1990年蒸留の貴重なウイスキーで、値段は1本30万円ほどでしたが、あっという間に完売となりました。
新ローズバンク蒸留所は2024年から生産をスタートさせています。ウイスキーを飲める日がくるのはいつになるでしょうか。
スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!ロックランザ Lochranza (旧アラン Arran)
ロックランザ Lochranza (旧アラン Arran)
地域:アイランズ(アラン島)
創業年:1993年
アイル・オブ・アラン・ディスティラーズ
アラン蒸留所から改名 新ボトルもリリース
ロックランザという効きなれない名前に困惑する方も多いと思いますが、旧アラン蒸留所が改名される形でロックランザという名前になりました。
アイル・オブ・アラン・ディスティラーズはアラン島の南部「ラグ(ラッグ)」という地域に新たな蒸留所を2018年にオープンしており、その際に元のアラン蒸留所は所在地の名称からとって「ロックランザ」と呼ぶように変更。
アラン島では現在、北部のロックランザ蒸留所と、南部のラグにできたラグ蒸留所の2か所でウイスキーを生産しています。原酒もそれぞれを造り分けているようで、かつてのアラン蒸留所で造られていた55ppmのヘビリーピーテッドウイスキーは、いまでは新蒸留所のほうで造るようになっています。
ロックランザの年間生産量は120万ℓで、1993年の創業当時に比べ倍近くにまで増加。ポットスチルは初留。再留2基ずつ。シングルモルト及びブレンデッドウイスキー「ロバートバーンズ」の原酒にも使用されています。
スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!ロッホローモンド Loch Lomond
ロッホローモンド Loch Lomond
地域:ハイランド
創業年:1965
ヒルハウス・キャピタルマネジメント社
グレーンも生産 多彩な原酒生み出す複合蒸留所
当時スコットランド最古の蒸溜所であったリトルミル蒸留所(1772-1994 )によって創業されました。
現在の場所に移転したのは1965年。その後1984年には一度閉鎖されますが、1987年にはアレクサンダー・ブロッホ&グレンカトリン社が買い取り、生産を再開します。1994年にはグレーンウイスキーの蒸溜所と自社専用の樽工場を新設。この当時、ロッホローモンドはモルトとグレーンの両方を生産している唯一の蒸溜所でした。
また、敷地内に樽工場を保有しているのも、スコットランドでもまだ珍しい存在だったようです。そして2007年にカフェスチル(コフィ―スチル)型の連続式蒸留器も導入され、多種多様な原酒を生み出す複合蒸留所としてさらに注目されるようになります。
ロッホローモンドの面白い所としては、カフェスチル型の蒸留器で造られているのは通常のグレーンウイスキーではなく、大麦麦芽100%の原料となっているモルトウイスキーであること。
しかしこのウイスキーは残念ながら、スコッチの法律上は単式蒸留器を使用していないため「モルトウイスキー」と呼称することができません。現在は「大麦麦芽100%のグレーンウイスキー」としてリリースされています。
ロッホローモンドは多種多様なモルト原酒を生み出していることから、シングルモルトのブランド銘もそれぞれ別々の名が付けられていました。
しかし2019年にオーナーが中国の投資会社に変わったことで、ブランド銘の見直しが行われて、分かりにくい呼称を改訂。現在、オフィシャルシングルモルトは「ロッホローモンド」の名称に統一されています。
ちなみにボトラーズ商品に関しては、当時の呼び名がそのまま使用されているものが多くなっています。
・LOCH LOMOND(ロッホ・ローモンド) ノンピーテッド
・INCHMURRIN(インチマリン) ノンピーテッド ローモンドスチルに似た特殊な蒸留器を使用
・GLEN DOUGLAS(グレン・ダグラス) ノンピーテッド? 7つの中で生産量が最も少ない
・OLD RHOSDHU(オールド・ロスドゥー) ノンピーテッド? リトルミルに似ているような…
・CRAIGLODGE(クレイグロッジ) ヘビリーピーテッド フェノール値20pm
・INCHMOAN(インチモーン) ヘビリーピーテッド フェノール値20pm
・CROFTENGEA(クロフテンギア) ヘビリーピーテッド フェノール値40ppm
ロッホローモンドの年間生産量は500万ℓ。カフェ式連続式蒸留器が増設されたことで、実際には年間1000万ℓ程の生産能力があります。
近年はオフィシャルボトルの評価が上がっており、スピリッツのコンペティションでは数々の賞を獲得。着々と実績を積み重ね、注目される蒸留所となりました。
スコッチウイスキー蒸留所128カ所解説!ロングモーン Longmorn
ロングモーン Longmorn
地域:スペイサイド
創業年:1894
ペルノリカール社
マッサンが修行した蒸留所
1894年に地元の実業家によって創業。ロングモーン蒸留所の周辺は大麦の一大産地であったことも、この地でウイスキー造りが行われた理由の一つ。
しかし環境に恵まれていながらも、1900年にオーナー会社は倒産。その後1970年まではグラント一族の経営。1978年にはカナダのシーグラム社の傘下に。現在はシーグラム社の酒類事業を引き継いだペルノリカール社が所有しています。
1919年にはニッカウヰスキーの創業者、竹鶴政孝が1週間だけ修行したことで知られています。ロングモーンはマッサンが初めて本格的なウイスキー造りを眼にした記念すべき蒸留所。
ここからスタートしたことを考えると、ジャパニーズウイスキーにとっても歴史的な場所といえるでしょう。ちなみにロングモーンで修行を終えたあとは、キャンベルタウンに行き、ヘーゼルバーン蒸留所(1825-1925)でより深くウイスキー造りの勉強に励みます。
年間生産量は450万ℓ。ポットスチルは初留、再留4基ずつで、1990年代までは直火焚きで蒸留を行っていました。
現在は一般的なスチームでの間接加熱ですが、初留釜のみ「エクスターナルヒーティング(加熱を蒸留器の外で行い、その後中へ戻すという特殊な方式)」を採用。この方式はグランカダム、グレンバーギ、ミルトンダフなどでも行われていますが、現在では珍しい加熱方式となっています。
原酒はブレンデッド「シーバスリーガル」「100パイパーズ」「パスポート」などに使用。ほとんどがブレンドにまわされるため、シングルモルトのリリースは2019年に発売される「シークレット・スペイサイド・コレクション」まではありませんでした。
オフィシャルではありませんが、ゴードン&マックファイル「蒸留所ラベル」がロングモーンの代表的なボトル。今もなお根強く人気があります。
シングルモルト・スコッチウイスキーの蒸留所は今現在も増え続けています。今回ご紹介できなかった、完成して間もないところや、情報の少ない蒸留所についても今後リサーチして記事を更新しますのでお楽しみに♪
あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。
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