ジャパニーズウイスキーのバブルは本当に崩壊したのか?山崎と響の現状価格を徹底検証

ユースケ
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こんばんは ユースケです。

自己紹介:BAR WHITE OAK 店主。ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーエキスパート。JSA認定ソムリエ。2022年1月 東京・銀座にBAR WHITE OAK をオープン。YouTube、TikTokでカクテル動画を公開中!

ここ数年、ジャパニーズウイスキーは世界的な人気を背景に価格が高騰し、“バブル”と呼ばれるほどの熱狂的な市場が広がっていました。なかでも限定品や終売ボトルは相場が跳ね上がり、飲み物というより「投資対象」として注目を集めていた時期があったのは記憶に新しいところです。

ところが最近になって、その過熱ぶりにやや陰りが見えはじめ、「ジャパニーズウイスキーバブルは終わったのではないか?」という声も聞かれるようになってきました。

この記事では、バブルの絶頂期とされる2023年頃と、現在(2025年7月)の価格を比較しながら、「山崎」と「響」という二大ブランドを例に、ジャパニーズウイスキー市場の今を丁寧に検証していきます。

 

 

ジャパニーズウイスキーのバブルは本当に崩壊したのか?山崎と響の現状価格を徹底検証

バブル期(2023年頃)の状況整理

2023年当時、ジャパニーズウイスキー市場は“狂乱”とも言えるほどの熱気に包まれていました。特に山崎18年や響21年といった長期熟成の人気銘柄は、定価の3倍以上で取引されるのが当たり前となり、場合によっては10万円を超える価格で売買されることもありました。

この価格高騰の背景には、世界的なジャパニーズウイスキー人気の高まりがあります。2010年代から国際的な品評会での受賞が続き、日本のウイスキーへの注目度が一気に上昇。既存のコレクターの他、投資家などが一斉に市場に参入したことで、これまでの供給に対して需要が爆発的に伸びたことで、相場は右肩上がりを続けました。

また、メルカリやヤフオクなどの個人間売買市場でも、ウイスキーが“投資対象”として扱われるようになり、転売を目的とした購入が急増。入手困難な銘柄は発売日に即完売し、その直後には高値で二次流通に並ぶ。そんな光景が常態化していきます。

国内だけでなく、海外市場でもジャパニーズウイスキーは高額で取引され、中国本土や東南アジア圏のバイヤーによる“爆買い”の影響もあり、価格上昇に拍車をかけました。

もはやジャパニーズウイスキーは“飲むための酒”ではなく、“投資対象”としての色合いが強まっていきました。

 

2025年現在の価格動向:「山崎」を例に検証

2025年のジャパニーズウイスキー市場には、確かに“熱狂の終焉”を思わせる変化が見られます。市場は落ち着きを見せているといわれますが、実際に価格はどのように変化しているのでしょうか。ここでは「山崎」シリーズを例に取り、定価と市場価格の推移をもとにその実態を検証してみます。

 

山崎18年:価格は高止まり、でも“実質的な沈静化”

2023年当時、山崎18年は二次市場やオークションで10万〜13万円台で取引されており、定価(税込35,200円)に対して7万〜10万円も高い価格がついていました。ところが2025年現在、定価は60,500円に引き上げられ、市場価格は10万円前後で推移しています。

つまり、市場価格そのものはあまり変化していませんが、定価が上がった分、価格差は縮まっているというわけです。依然としてプレミア価格であることに変わりはありませんが、2023年のような“過熱状態”ではなくなり、本来の価値に近づいたと評価することもできるでしょう。

 

山崎12年:高値は維持しつつも、過剰なプレミア感は後退

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続いて山崎12年を見てみましょう。こちらは18年ほど入手困難ではなく、価格の動きもやや穏やかです。

2023年当時の定価は11,000円(税込)で、市場では22,000〜28,000円程度で流通していました。つまり、定価の2倍以上が当たり前の相場でした。
一方で2025年の現在、定価は16,500円に上昇。市場価格は24,000〜30,000円前後と、やや高止まりのままです。

差額だけ見ると、定価との差は以前よりも縮小しています。店舗によっては未だに強気な価格設定も見られますが、少なくとも「定価の2.5倍が当たり前」というような状況ではなくなりました。価格は高いままでも、購入しやすさという意味では一歩前進しているといえるでしょう。

 

シングルモルト山崎(ノンエイジ):実質的には値下がり?

「山崎」シリーズの中でも最も一般的なのが、ノンエイジのシングルモルト山崎です。生産量も多く、18年や12年に比べてプレミア価格になりにくい銘柄ですが、それでもバブル期には定価以上の価格がついていました。

2023年当時、定価は4,950円(税込)で、市場価格は12,000〜14,000円と、2倍以上の値段がつくことも珍しくありませんでした。
それに対して2025年の定価は7,700円。しかし、市場価格はほぼ変わらず12,000〜14,000円のまま。

ここで注目すべきは、定価が約2,750円上がったにもかかわらず、流通価格がほぼ据え置きという点です。つまり、市場価格は“実質的に値下がり”しているとも捉えられます。もちろん定価販売にはまだ遠いとはいえ、過去と比べてプレミア感は明らかに薄れてきているのです。

繰り返しになりますが、重要なのは「価格が下がった」わけではないという点です。むしろ定価は軒並み上昇しています。しかし、それでも「定価に近い価格で手に入るボトルが増えてきた」という現実は、バブル期との大きな違いといえるでしょう。

 

結論:「山崎」はバブルの余韻を残しつつも、健全化の兆し

「山崎」シリーズの価格動向を見る限り、流通量が限られている高級銘柄――たとえば18年や12年といった熟成年数の長いボトルは、依然として高値を維持しており、バブル的な価格帯が続いているのが実情です。

一方で、比較的手に入れやすいノンエイジのボトルなどについては、過熱感がやわらぎ、市場価格が定価に近づく傾向が見られます。
全体として、「山崎」はまだバブルの余韻を残しながらも、ウイスキー本来の価値を反映した価格へと徐々に落ち着きつつあるといえるでしょう。

銘柄 年度 定価(税込) 市場価格(目安) 定価との差額
山崎18年 2023年 35,200円 100,000~130,000円 +約65,000~95,000円
2025年 60,500円 約100,000円 +約39,500円
山崎12年 2023年 11,000円 22,000~28,000円 +約11,000~17,000円
2025年 16,500円 24,000~30,000円 +約7,500~13,500円
山崎(NA) 2023年 4,950円 12,000~14,000円 +約7,000~9,000円
2025年 7,700円 12,000~14,000円 +約4,300~6,300円

 

2025年現在の価格動向:「響」を例に検証

ジャパニーズブレンデッドウイスキーの代表格として、国内外で高い人気を誇るサントリーウイスキー「響」シリーズ。今回は、「響21年」、「響ブレンダーズチョイス」、「響ジャパニーズハーモニー」の3銘柄を取り上げ、2023年と2025年の定価・市場価格を比較しながら、その価格動向を詳しく見ていきます。

 

響21年:希少性は継続、だが熱狂はやや後退

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「響」シリーズの中でも最上位に位置するのは「響30年」ですが、極端に生産量が少ないことから、現在では実質的なフラッグシップモデルとして「響21年」がその役割を担っています。

「響21年」は、ウイスキーブーム以前から国内外で高い評価を受けてきた、いわば完成度の高いプレミアムブレンデッドウイスキーの象徴的存在。2023年当時の市場価格は7万〜10万円台に達しており、定価(税込35,200円)の2〜3倍近いプレミア価格がついていました。

しかし、2025年現在では、2024年の価格改定を経て定価は60,500円に引き上げられたものの、市場価格はおよそ8万〜9万円前後で推移。以前ほどの価格高騰は見られなくなっています。

つまり、「響21年」は今でも希少で人気銘柄であることに変わりありませんが、市場の過熱ぶりはやや落ち着き、価格は高止まりしつつも、過去のような投機的な熱狂は一段落したと言えるでしょう。

 

響ブレンダーズチョイス:ほぼ定価~やや割高

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「響ブレンダーズチョイス」は、「響21年」と比べて生産量が多く、2023年当時もそこまで極端な高値にはなっていませんでした。
当時の定価は税込13,200円で、市場ではおおよそ15,000〜16,000円ほど。プレミア価格ではありましたが、その差は比較的穏やかでした。

そして2025年現在、定価は税込16,500円に引き上げられましたが、市場価格は16,000〜20,000円前後で推移しています。ショップによっては定価を下回る価格で販売されているケースもあり、かつてのようなプレミア感はかなり薄れてきています。

流通ルートが限られているため、取り扱い店舗は少ないものの、定価と市場価格の差は縮小し、価格は安定傾向に。
少なくとも「響ブレンダーズチョイス」に関しては、投機的な熱狂はすでに収束しており、バブルは終わったと見てよいでしょう。

 

響ジャパニーズハーモニー:市場価格は変わらず

「響」シリーズの中でもっとも入手しやすいのが、「響ジャパニーズハーモニー」です。
2023年当時の定価は税込5,500円で、市場価格はおおよそ12,000〜14,000円。定価の2倍以上のプレミア価格がついていました。

2025年現在、定価は8,250円に値上がりしていますが、市場価格には大きな変化はなく、引き続き12,000〜14,000円前後で推移しています。定価での販売はまだ確認できませんが、価格差は以前よりも小さくなり、“定価に近づいた”感覚は出てきました。

興味深いのは、「響ブレンダーズチョイス」との比較です。両者の定価には約2倍の開きがあるにもかかわらず、市場価格の差はわずか4,000円ほど。これは、手頃な価格とブランドの安心感から、「ジャパニーズハーモニー」の方が安定した人気を集めている表れかもしれません。

 

結論:「響」は投機の対象から、“飲まれる酒”へと回帰しつつある

2025年現在、「響」シリーズは全体的に定価と市場価格の乖離が縮まりつつある状況です。「響21年」は価格こそ高止まりしていますが、かつてのような異常なプレミア感は落ち着きを見せています。

「ブレンダーズチョイス」は、すでに定価での購入が可能なケースもあり、実勢価格は安定傾向。一方、「ジャパニーズハーモニー」は依然として定価より割高ではあるものの、手に取りやすい価格帯が人気を支え、定価との価格差は以前よりも小さくなってきています。

総じて、「響」シリーズは過去のバブル的な高騰を抜け出し、“飲むためのウイスキー”としての本来のポジションを取り戻しつつあるといえるでしょう。
この動きは「山崎」シリーズと同様、ジャパニーズウイスキー市場全体の健全化と成熟を象徴しているように思われます。

 

銘柄 年度 定価(税込) 市場価格(目安) 定価との差額
響21年 2023年 35,200円 70,000~100,000円 +約34,800~64,800円
2025年 60,500円 80,000~90,000円 +約19,500~29,500円
響ブレンダーズチョイス 2023年 13,200円 15,000~16,000円 +約1,800~2,800円
2025年 16,500円 16,000~20,000円 -500円~+3,500円
響ジャパニーズハーモニー(NA) 2023年 5,500円 12,000~14,000円 +約6,500~8,500円
2025年 8,250円 12,000~14,000円 +約3,750~5,750円

 

 

バブルは崩壊したのか? 〜価格の沈静化と市場の健全化〜

ジャパニーズウイスキーの価格は確かに一部で落ち着きを見せていますが、「すべての銘柄が値下がりした」というわけではありません。

たとえば、イチローズモルトの「カードシリーズ」や、今や蒸留所自体が存在しない軽井沢のような終売ボトルは、現在でも二次市場で高値を維持し続けています。むしろ、これらの超レアボトルについては流通量が年々減少していることもあり、2023年よりも値上がりしているケースすらあるのが現状です。

その一方で、サントリーやニッカウヰスキー、キリンといった大手メーカー各社は、近年、供給体制の強化を進めています。定番商品や人気銘柄の生産・流通量が増加したことで、かつて常態化していた「発売直後に転売価格で出回る」といった光景は徐々に減少。正規ルートでの入手がしやすくなったことが、市場の過熱感を落ち着かせる一因となっています。

 

一部銘柄の沈静化、だが“暴落”ではない

価格が落ち着いてきたとはいえ、それは決して暴落や価値の喪失を意味するものではありません。むしろ、ここ数年のような投機的な熱狂が収まり、需要と供給のバランスが正常化し始めていると見る方が自然でしょう。

山崎や響のような看板銘柄も、価格自体は依然として高めながらも、極端なプレミア価格はやや修正されつつあります。

飲み手にとっては“歓迎すべき静けさ⁉”

価格の沈静化は、ウイスキーを「飲むもの」として楽しむ人々にとっては、むしろ歓迎すべき流れかもしれません。かつては定価の数倍でしか手に入らなかった銘柄も、今では「頑張れば手が届く」レベルに戻ってきました。ただし、投資目的で保有していた人々にとっては、資産価値が目減りしていることもあり、「バブル崩壊」と映る側面もあります。

“崩壊した”かどうかは、ウイスキーとの向き合い方によって、その捉え方も人それぞれ変わると思います。

“飲まれるウイスキー”への回帰

いま再び注目されているのは、希少性やプレミア感ではなく、ウイスキーそのものの「中身のクオリティ」。かつてのように限定品というだけで価格が高騰する時代は終わりつつあり、「本当に美味しいかどうか」が選ばれる基準になり始めています。

これは、ジャパニーズウイスキーにとって健全な流れと言えるでしょう。投資対象やコレクターズアイテムとしてではなく、“飲むための酒”として見直されることで、その本質的な魅力が再評価される好機が訪れているのです。

 

 



 

 

2025年現在、ジャパニーズウイスキー市場は確かに過熱期を抜け出し、静かな成熟のフェーズへと移りつつあります。「山崎」や「響」の価格動向に見るように、投機熱は一段落し、“飲むための酒”としての本質的な価値が、再び注目されはじめています。

これは決してネガティブな“バブルの崩壊”ではなく、“健全化”という言葉こそがふさわしいのかもしれません。

ユースケ
ユースケ

あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。

 

 

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