サントリーワールドウイスキー「碧Ao 海薫るハイボール缶」を正直レビュー

ユースケ
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こんばんは ユースケです。

自己紹介:BAR WHITE OAK 店主。ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーエキスパート。JSA認定ソムリエ。2022年1月 東京・銀座にBAR WHITE OAK をオープン。YouTube、TikTokでカクテル動画を公開中!

世界5大ウイスキーの原酒をブレンドした、SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」から、2025年8月に数量限定で登場したのが 『碧Ao 海薫るハイボール缶』 です。
「海薫る」というキャッチコピーは爽快感を期待させますが、実際の味わいはどうなのか——?

この記事では、『碧Ao 海薫るハイボール缶』のスペックやブランド背景を押さえつつ、実際に飲んで感じた印象を“忖度なし”でレビューしていきます。

缶ハイボール市場が盛り上がる中、価格は350円前後とプレミアム寄り。日常の一杯としては少し高めですが、その価値があるのかどうかは気になるところ。ぜひ購入前の参考にしてみてください♪

 

 

 

サントリーワールドウイスキー「碧Ao」とは?

サントリーワールドウイスキー「碧Ao」

 

ブランドのコンセプトと背景

2019年4月にリリースされた、サントリーワールドウイスキー「碧Ao」は、世界5大ウイスキー(スコッチ、アイリッシュ、バーボン、カナディアン、ジャパニーズ)の原酒をブレンドした、ワールドブレンデッドウイスキーの先駆的な存在です。

ブレンド設計はサントリーのチーフブレンダー、福與伸二氏が主導。その品質にこだわり、多数の試作を経て約1年半後に完成、100番目のサンプルがベースレシピになったといわれます。

特筆すべきは、原酒をすべて自社の蒸溜所から調達している点で、世界的にも非常に稀有なケース。自社所有ゆえに調達コストを抑えつつ、クオリティの高い原酒を自由に組み合わせることができるのが「碧」の大きなアドバンテージとなっています。

ブレンドのベースはカナディアンウイスキーで、一般的なブレンデッドウイスキーでいう「グレーン」にあたります。ここに、バーボンの力強さ、スコッチやアイリッシュによる個性、そして日本の山崎蒸溜所のシェリー樽原酒と、白州蒸溜所のピーテッド原酒を加えることで、複雑で奥深い味わいを生み出しています。

また、「碧 Ao」のボトルデザインは、ブランド哲学を視覚化したもの。五角形ラベルで世界五大ウイスキーを象徴し、左右非対称の造形で「世界」と「日本」の文化が融合することを表現。

深い碧色と金色の墨文字、マット仕上げの反射で高級感と視認性を両立させています。「伝統と革新」「世界と日本の融合」の理念を体現するためにデザインされており、見た目からも「5大ウイスキー物語」を楽しめるボトルとなっています。

 

5大ウイスキーブレンドの奥深さ|セミナーでの体験談

「碧Ao」の発売前(2019年)に行われたバーテンダー向けのセミナーでは、とても印象的な体験がありました。

多くの人が「5大ウイスキーそれぞれの原酒5種類をテイスティングできる」と思っていたのですが、実際に用意されていたのは予想外なものでした。セミナーで提供されたのは、「5大ウイスキーのうち1種類を除いた、4大ウイスキーのブレンドの原酒。もちろん、これはセミナーのために用意された特別なサンプルであり、商品化されているものではありません。

これは、サントリーが伝えたかったメッセージ。つまり、「5大ウイスキーのうち、1つでも欠けるとバランスが崩れる。5カ国の原酒が揃って初めて碧は完成する」ということを体感させる狙いでした。

実際に飲んでみると、1つでも欠けると全体のバランスが崩れることがよく分かりました。それぞれのウイスキーには異なる個性があり、美味しいと感じるサンプルもありましたが、全てサントリーが目指した完成形ではありません。

以下、4大ウイスキーブレンドサンプルの感想。

1,スコッチなしブレンド(アイリッシュ、カナディアン、ジャパニーズ、アメリカンの4カ国ブレンド)
完成品の「碧Ao」には、アードモア蒸溜所のモルトウイスキーを使用しています。この原酒はスモーキーな風味を与えるための重要な要素。スコッチがブレンドされていないと、複雑さに欠ける印象。ピーティーな風味が少しでも感じないと、どこか安っぽいブレンデッドウイスキーのような感じになります。

2,アイリッシュなしブレンド(スコッチ、カナディアン、ジャパニーズ、アメリカンの4カ国ブレンド)
アイリッシュウイスキーは、クーリー蒸溜所のノンピート原酒を使用しています。アイリッシュウイスキーが抜けていても、正直言うと「結構おいしい」と感じます。しかし、完成品の「碧Ao」に比べれば、やや物足りなさもあります。

3,カナディアンなしブレンド(スコッチ、アイリッシュ、ジャパニーズ、アメリカンの4カ国ブレンド)
「碧Ao」にはカナディアンが最も多くブレンドされており、このウイスキーのベースとしての役割を果たしています。スコッチのブレンデッドでいうならば、「グレーンウイスキー」の役割を担っているのが、カナディアンです。

カナディアンがブレンドされていないタイプは、全体的に個性的。ですが、その個性は少しバラバラな印象もありました。個人的にはカナディアン抜きが一番おいしかったのですが、完全版の「碧Ao」と比べると、少し飲みにくいところもあります。

4,ジャパニーズなしブレンド(スコッチ、アイリッシュ、カナディアン、アメリカンの4カ国ブレンド)
完全版の「碧Ao」には、山崎のシェリー樽熟成と白州のスモーキー原酒がブレンドされています。この2つが抜けているとウイスキー全体に深みがなく、明らかにボリュームも不足しています。ジャパニーズウイスキーが「碧Ao」の構成に与えている影響力は計り知れませんね…

5,アメリカンなしブレンド(スコッチ、カナディアン、アイリッシュ、ジャパニーズの4カ国ブレンド)
アメリカンは、ジムビーム蒸溜所のバーボンウイスキーを使用しています。この原酒が抜けていると、完全版の「碧Ao」とは全く異なる個性。つまり、「碧Ao」のキーとなるウイスキーは、バーボンウイスキーと言っても過言ではありません。

このブレンド自体は、樽香が抑えられスッキリとした印象。これはこれで悪くはなかったのですが、全体的なボリュームがやや欠けており、加水するとバランスが崩れやすいような印象もありました。

 

このセミナーでの体験から分かるのは、サントリーが目指した「碧 Ao」の奥深さと完成度の高さ。5大ウイスキーそれぞれが持つ個性は、それ単体でも十分に楽しめますが、どれか一つでも欠けると全体のバランスは崩れてしまいます。

逆に言えば、5つの原酒が揃うことで初めて、複雑で調和の取れた味わいが生まれるのです。「碧 Ao」は、単なるブレンドウイスキーではなく、5大ウイスキーが互いに支え合い、完成することを意図して作られた特別な銘柄であることを実感できました。

 

 

 

サントリーワールドウイスキー「碧Ao 海薫るハイボール缶」を正直レビュー

サントリーワールドウイスキー「碧Ao 海薫るハイボール缶」

 

「碧Ao 海薫るハイボール缶」とは?

「碧 Ao」は、スコットランド、アイルランド、アメリカ、カナダ、日本の5つの国の原酒をブレンドした、世界初のワールドウイスキーとして2019年に誕生しました。その理念を受け継いだ「碧 Ao 海薫るハイボール缶」は、缶でも各国の個性を生かしつつ、調和の取れた味わいに仕上げられています。

味わいは、「碧 Ao」らしい甘く華やかな香りと、まろやかで厚みのある口当たりが特徴です。さらに心地よいスモーキーさも感じられ、ハイボールとしてのベストバランスを追求した丁寧なブレンドが魅力となっています。

パッケージデザインは、ブランドカラーである深い“碧”色を基調に、氷を入れたハイボールのイラストとブランドロゴ「Ao」を大きく配し、中身の特長がひと目で伝わるよう工夫されています。

原材料はモルト、グレーン、炭酸のみで、香料や酸味料などは一切不使用。ウイスキー本来の風味を楽しめる、純粋なハイボール缶に仕上げられています。

 

味わい

香りは「海香り」というテーマながら、予想に反してスモーキーさや塩気のニュアンスは控えめで、わずかにスモーキー感が感じられる程度です。全体的にはフルーティーな香りが主役となっており、スモーキーなウイスキーを好む人には少し物足りなく感じるかもしれません。まろやかなフルーティーさが強調されており、スモーキーさはその一部に過ぎない印象です。

口に含むと、フルーティーな甘さと、かすかにピーティーな個性をバランスよく感じます。アルコール度数は9%ですが、非常に飲みやすく、もっと低いアルコール濃度のように思えるくらい。

炭酸はしっかりと効いており、爽快な仕上がり。ウイスキー自体の奥深さや複雑さを楽しむよりも、気軽に飲める、スムース&リフレッシュ感を重視した仕上がり。

 

評価

「碧Ao 海薫るハイボール缶」の評価としては、「スッキリと飲みやすい!ハイボール初心者や、ウイスキーを普段飲まない方向けのライトテイストなハイボール缶」です。

まず、ポジティブな点を挙げると、非常に飲みやすく、スッキリとした個性が魅力的です。タイトルにある「海薫る」という表現とは裏腹に、スモーキーさはほとんど感じられません。そのため、スコッチ全般が苦手な方でも問題なく楽しめると思います。

ウイスキーが苦手な方は「苦味」に抵抗を感じることがあるかと思いますが、「碧Ao 海薫るハイボール缶」にはそのような要素はまったくなく、自然なウイスキーの甘さがしっかりと活きています。

また、この商品はウイスキーと炭酸だけで作られており、安価なハイボール缶にありがちな「酸味料」が加えられていません。ナチュラルなウイスキーの味わいが楽しめるため、後味もスッキリとしています。

一方で、やや厳しい意見としては…正直に言うと、飲みやすさを追求しすぎた結果、「碧Ao」の本来の個性が控えめすぎて、ウイスキーハイボールとしてのボリュームに欠ける印象を受けました。アルコール度数は9%と標準的な濃さですが、不思議と個性が弱いと感じました。

これは単に「もっとスモーキーにすれば…」や「リッチな樽香が欲しい」といった話ではなく、ウイスキー全体の個性があまり感じられないという点です。ストレートに意見すると「全体的に薄い」と感じてしまいました。「5大ウイスキーのブレンド」という、「碧Ao」にとって最大の魅力についても、このハイボール缶を通しては、十分に伝わらない可能性もあるでしょう。

とはいえ、コストパフォーマンスを考えると、その評価も決して低くありません。1本350ml缶で350円(税別)と、気軽に楽しめる価格帯で提供されています。この価格であれば、十分にクオリティの高いハイボール缶と言えるでしょう。

ただし、「碧Ao」の元々の味わいを知っているユーザーにとっては、期待以上の評価にはならないかもしれません…

 



 

『碧Ao 海薫るハイボール缶』は、その飲みやすさと爽快感で、ハイボール初心者やライトなウイスキーファンにはぴったりな選択肢となっています。ウイスキーの深い個性を求める方には物足りなく感じるかもしれませんが、気軽に楽しめるハイボールとしては十分に満足のいくクオリティを誇ります。

価格も手頃で、リフレッシュしたい瞬間にぴったりの一本です。ぜひ一度、その独自のテイストを試してみてください。

※BARWHITEOAKで「碧Ao 海薫るハイボール缶」は提供しておりません。

ユースケ
ユースケ

あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。

 

 

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