【2026年2月】長濱蒸留所見学|AMAHAGANとシングルモルトウイスキー造りを解説

ユースケ
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こんばんは ユースケです。

自己紹介:BAR WHITE OAK 店主。ウイスキー文化研究所認定 ウイスキーエキスパート。JSA認定ソムリエ。2022年1月 東京・銀座にBAR WHITE OAK をオープン。YouTube、TikTokでカクテル動画を公開中!

冬の寒さが残る2月の滋賀県長浜市。歴史情緒あふれる「黒壁スクエア」の一角に、日本を代表するクラフト蒸留所のひとつ、長濱蒸留所はあります。かつての米蔵を改装した風情ある建物の中に一歩足を踏み入れると、そこには外観からは想像もつかないほど情熱的なウイスキー造りの世界が広がっていました。

長濱蒸留所といえば、ワールドブレンデッドモルト「AMAHAGAN(アマハガン)」シリーズで広く知られていますが、今まさに注目すべきは、自社蒸留による「シングルモルト長濱」の進化です。日本最小級のポットスチルから生み出される原酒は、この数年でどのような深化を遂げているのか。

今回の蒸留所見学ツアーレポートでは、2026年2月現在の蒸留所の様子を徹底取材。製造工程のこだわりはもちろん、ファンなら見逃せないショップの限定ボトル情報や、ウイスキーのボトリング(ハンドフィル)体験まで、詳しく解説します。

これから長濱蒸留所を訪れる予定の方は、ぜひ最後までご覧ください。

 

実はクラフトビールの会社|長濱蒸留所とは?

琵琶湖のほとり、滋賀県北東部に位置する長浜市。この街は、かつて琵琶湖水運で栄えた宿場町であり、同時に歴史情緒あふれる城下町としての顔も持っています。

市街地の周辺には、浅井長政の居城として知られる「小谷城跡」、関ヶ原の合戦で名を残した石田三成の出生地、そして織田・徳川連合軍と浅井・朝倉連合軍が激突した「姉川の合戦跡」など、戦国時代の武将たちの足跡が点在。歴史好きにはたまらない土地柄です。

そんな観光都市・長浜市に、2016年、市内初となるウイスキー蒸留所「長濱蒸留所」が誕生しました。
運営母体は1996年創業のクラフトビールメーカー「長濱浪漫ビール」。創業20周年の記念事業としてスタートしたこの蒸留所は、日本最小規模のクラフトウイスキー蒸留所としても知られています。ビール造りで培った発酵技術を活かし、個性と品質を両立したウイスキー造りに挑戦しています。

 

蒸留所があるのは、江戸時代の米倉を改装した建物。現在はレストラン兼ビール醸造所として利用されており、店内からガラス越しにポットスチルを眺めることができます。
食事をしながら蒸留器を眺められるウイスキー蒸留所。実は、海外でもほとんど例がありません(笑)。

使用されているポットスチルは、ポルトガル・ホヤ社製のアランビックスチル。容量は1,000リットル、高さ約2メートルという小型の蒸留器。操業当初は2基体制でしたが、2018年に増設され、現在は初留2基・再留1基の計3基で蒸留を行っています。

仕込みは1バッチあたり麦芽400kg。仕込みから発酵までの工程はビール造りと共用で行われ、麦芽にはノンピーテッドのドイツ産麦芽と、スコットランド産のピーテッド麦芽を使用。今後は滋賀県産、さらには地元・長浜産の大麦麦芽を使ったウイスキー造りも計画されているそうです。

 

熟成に使用される樽のバリエーションも実に豊富。メインとなるバーボン樽をはじめ、シェリー樽、アイラ島のクオーターカスク、フィノシェリー、赤ワイン樽、白ワイン樽、さらにはアメリカン・モルトウイスキーのリフィルバレルまで、多彩な樽が使われています。

貯蔵庫もまた個性的。2018年からは長浜市内の「廃道トンネル」や、廃校となった小学校の校舎を熟成庫として活用。さらに琵琶湖に浮かぶ「竹生島(ちくぶじま)」、県外では沖縄でも一部原酒の熟成が行われています。

場所も、樽も、熟成環境も。
クラフト蒸留所だからこそ可能な、挑戦的でユニークなウイスキー造り。その姿勢こそが、長濱蒸留所最大の魅力と言えるでしょう。

 

長濱蒸留所へのアクセス(東京から)

長濱蒸留所の大きな魅力のひとつは、そのアクセスの良さです。多くの蒸留所が山深い場所にある中、ここはJR長浜駅から徒歩で約5分。観光地として有名な「黒壁スクエア」の中に位置しているため、公共交通機関で気軽に訪れることができます。

 

長浜駅までのアクセスですが、東京から行く場合は「東京 → 米原 → 長浜」というルートになります。最低でも1回は乗り換えがあります。

新幹線は「のぞみ」だと米原に停まらないので、名古屋で乗り換えが必要になります。なので、最初から米原に停まる「ひかり」を選ぶのがおすすめです。

東京駅から東海道新幹線に乗って、米原駅まで約2時間10分ほど。
米原に着いたら、JR北陸本線(新快速か普通列車)に乗り換えて、長浜駅までは5~10分ほどで到着します。

ちなみに大阪・京都方面からなら、東海道本線の新快速でそのまま行けるので、乗り換えなしでラクですよ。

 

長浜は、滋賀県の北東部、琵琶湖のほとりにある町。

昔は琵琶湖の水運で栄えた歴史ある宿場町で、今も城下町らしい落ち着いた街並みが残っています。

 

北国街道沿いの古い街並みを歩いていると、ふと現れるのが「黒壁スクエア」。

ここは、明治時代に「黒壁銀行」と呼ばれて親しまれていた古い銀行の建物を改装した「黒壁ガラス館」を中心に広がるエリアです。周辺には、ガラスショップや工房、ギャラリーに体験教室などなど。

 

長浜は立派な観光地でした。飲食店や食べ歩きができるフードも充実!昔ながらの街並みに溶け込むように、個性豊かなお店が点在していて、ぶらぶら歩くだけでも楽しい場所。

 

蒸留所見学の前に、まずは腹ごしらえ。
豊臣秀吉(まだ藤吉郎だった頃かもしれませんね)にあやかった名前のついた、うどんと近江牛のお寿司をいただきました。

この日は雪の降った翌日。底冷えする寒さの中で食べる温かいうどんは、もう格別です。
出汁のやさしい香りと湯気に包まれて、冷えた体がじんわりほぐれていく感じ……たまりません。

 

今度訪れるときは、もう少し時間に余裕を持って、ゆっくり観光も楽しみたいですね。というのも、この日は運悪く雪の影響で東海道新幹線が遅延…。予定が押してしまい、ほとんど寄り道ができなかった…

次回こそは、黒壁スクエアも街歩きものんびり味わいたいところ。

 

長浜蒸溜所到着!

寄り道がなければ、JR長浜駅から徒歩5分くらいです。

 

長浜蒸溜所の見学予約について

見学は公式サイトからの事前予約制となっています。

私が今回体験したのは、スタッフの方による解説付きのツアー。大体30分くらい。定員は各回6名。料金は2,200円(税込)。

その他、一泊二日でウイスキーの蒸留体験ができる、特別なツアーもあるようです。

土日祝日は特に混み合うようなので、早めの予約が鉄則。

 

【2026年2月】長濱蒸留所見学|AMAHAGANとシングルモルトウイスキー造りを解説

蒸溜所の扉を開けた瞬間、まず感じるのは酵母の香り。
ビールのような、でもどこかウイスキーらしさもある香りです。……まあ、どちらも造っているのだから当然といえば当然なんですが(笑)。

そして驚くのが、そのコンパクトさ。
熟成(エイジング)とボトリング(瓶詰)以外のすべての工程が、ひとつの空間で行われているんです。ここまで凝縮された環境でウイスキー造りをしている蒸溜所は、これまで訪れた中でも記憶にありません。

長濱蒸溜所は、まさに“クラフトディスティラリー”という言葉がぴったり。
シングルモルトのリリースが限られている理由も、現地を見れば一目瞭然です。正直、一度でも足を運べば「なるほど、そりゃ簡単には出せないよね」と納得してしまうはず。

まさに、百聞は一見にしかず。
蒸溜所見学は、ウイスキーへの理解を一段深めてくれます。

 

見学ツアーは、まず受付で料金を支払うところからスタート。クレジットカードも利用できます。

受付を済ませたら、製造スペースの隣にある部屋へ移動。ここは長濱蒸留所に併設されたレストランで、江戸時代の米蔵を改装した趣ある空間です。出来たてのクラフトビールやウイスキーを楽しめるほか、地元・滋賀県の食材をふんだんに使った本格的な料理も味わえます。

このスペースは、見学時にはテイスティング会場としても使用しており、ツアーはこの場所からスタート。まずは運営母体である長浜浪漫ビール(リカマンホールディングス)についての説明や、ウイスキー造りを始めた経緯などを伺います。蒸留所建屋の成り立ちについても詳しく解説してもらえました。

ちなみに、蒸溜所のすぐ近くには「船着き場」があります。これは、この建物がもともと米蔵だった名残。かつては運河を利用してお米を運び入れていたそうです。

 

いよいよ、製造工程の説明へ。

まずはウイスキー造りの基本から、丁寧に解説していただきました。仕込み、発酵、蒸留といった一連の流れを、実際の設備を前にしながら聞けるのはやはり理解が深まります。

そして長濱蒸留所ならではの特徴が、ビールも同じ設備で造っているという点。発酵工程などはビール造りと共通しており、ひとつの場所で二つの酒造りが行われています。

ウイスキーとビール、両方の製造工程を同時に学べる蒸留所というのは、なかなか珍しい体験。この蒸留所ならではの魅力です。

 

1. 粉砕(ミリング)

原料となるモルト(大麦麦芽)をモルトミルで粉砕します。

仕込み量:1仕込み当たり約400kgのモルトを使用。基本的にはノンピート麦芽を使用し、年に限られたシーズンのみピーテッド麦芽での仕込みを行います。

 

2. 糖化(マッシング)

粉砕したモルトは、お湯と混ぜ合わせます。
ここで麦芽に含まれる酵素が働き、でんぷんを糖へと分解していきます。

画像左に写っている大きなタンクが「マッシュタン(糖化槽)」。
粉砕したモルトと温水を混ぜ、糖化を行う重要な設備です。

一方、画像右の小さなタンクは「ケトル(煮沸釜)」。本来はビール造りで麦汁を煮沸するための設備で、通常のウイスキー蒸留所にはありません。

長濱蒸留所はもともとブルワリーであるため、このケトルが設置されています。ただしウイスキー造りでは煮沸工程を行わないため、ここでは約1,900Lの麦汁を一時的に貯める“タンク”として活用されています。

 

3. 発酵(ファーメンテーション)

発酵槽はステンレス製で、タンク容量は1,900L。
設置場所は、蒸留器のある部屋の上部、2階部分にあります。

ここで糖化を終えた麦汁に酵母を加え、いよいよアルコール発酵が始まります。長濱蒸留所では、発酵期間は約3日間(72時間)。時間をかけてじっくりと発酵させることで、アルコールだけでなく、ウイスキーの香味を形づくるさまざまな副生成物も生み出されます。

コンパクトな設備ながら、丁寧な発酵管理が行われているのが印象的でした。

 

蒸留器は、ポルトガル・ホヤ社製のアランビック型ポットスチルが3基。初留用が2基、再留用が1基という構成です。

発酵を終えたもろみは、この独特な形状のポットスチルで蒸留されます。銅製のスチルの中でゆっくりと加熱され、アルコール分を抽出。長濱蒸留所では2回蒸留を行い、最終的にアルコール度数約72%の透明な原酒――いわゆる“ニューメイク”が生まれます。

 

5. 樽詰め

出来上がったニューメイクは、加水してアルコール度数63.5%に調整。
その後、200〜250Lのバーボン樽へと詰められます。

ちょうどこの日は樽詰め作業の真っ最中。
タイミングよく、その様子を間近で見ることができました。ニューメイクがホースを通って樽へと流れ込んでいく光景は、何度見ても胸が高鳴ります。

これから何年もの時間をかけて、あの琥珀色へと育っていく――。
熟成のスタート地点に立ち会えたのも、蒸留所見学ならではの魅力。

6. 熟成

樽に詰められた原酒は、ここから長い熟成の時間へ。
この工程を経て、ようやくウイスキーとして完成します。

長濱蒸留所には、蒸留所に隣接した熟成庫はありません。原酒は別の場所へ運ばれ、そこで静かに眠ります。使用されなくなったトンネルを活用した「Aging Cellar」や、旧七尾小学校の施設を利用した熟成庫「AZAI FACTORY」など、実にユニークな環境で熟成が行われています。

特に面白いのが、小学校を活用した熟成庫。
部屋ごとにテーマを決めて樽を保管しているそうで、たとえば元校長室には“ちょっと良い樽”を置いてみたり、元保健室には“ナース=シェリーカスク⁉”なんて遊び心のある配置だとか(笑)。

クラフト蒸留所ならではの自由な発想とストーリー性。
熟成環境そのものが、長濱ウイスキーの個性の一部になっているように感じました。

 

いよいよ、お待ちかねのテイスティングです。

この日のラインナップは、画像左から――

  • ニューポット(熟成前のウイスキー)
  • シングルモルト長濱(バーボン樽熟成後、ファーストフィルのシェリー樽でフィニッシュ)
  • アマハガン(リフィルシェリー樽でフィニッシュ)

まずはニューポット。
これはなかなか飲む機会がありません。まさに蒸留所見学の醍醐味。モルティーでフルーティー。若々しさゆえの個性は感じるものの、他の蒸留所と比べても、ニューポットの段階で「飲みやすくて美味しい」と思える仕上がりでした。原酒のポテンシャルの高さを実感します。

続いて、蒸留所限定のシングルモルト。
ファーストフィルのシェリー樽フィニッシュがしっかりと効いており、コクのある味わい。芳ばしさとモルト由来のエステリーなニュアンスが重なり、厚みのある印象。

そしてアマハガン。
海外モルトとのブレンドで、リフィルのシェリーカスクを使用したタイプ。ファーストフィルとは異なり、穏やかなシェリー感とやわらかな口当たりが特徴です。原酒本来の個性を活かしながら、長濱モルトと海外モルトを自然に“つなぐ”存在だと感じました。

テイスティングを通して改めて思ったのは、長濱蒸留所のレベルの高さ。
これほどコンパクトな設備とスペースで、ここまで本格的なウイスキーを造っている――正直、シンプルにすごい。

 

以上で見学ツアーは終了。
短い時間ながら、製造工程から歴史、そして味わいまで、ぎゅっと凝縮された濃密な内容でした。

 

長浜蒸溜所|有料試飲も充実

有料試飲のラインナップがとにかく圧巻。

正直、蒸溜所の製品がずらっと展示されているだけかと思っていたのですが、ボトルの裏を見ると、すべてに価格と有料試飲の金額が明記されています。シングルモルトはもちろん、人気のアマハガン(ブレンデッド)まで。定番から限定ボトルまで幅広く揃っていて、これは本気で迷います。

かなり悩んだ末に選んだのが――
「シングルカスク長濱 コーヒーカスク ピーテッド」。

1杯20mlで1,870円。せっかくならここでしか飲めないユニークなタイプを。

こちらは、老舗コーヒー会社・萬国珈琲社とのコラボボトル。コーヒー豆を貯蔵することでロースト香をまとわせたバーボン樽を使用し、長濱蒸溜所のピーテッドモルト原酒を約3か月間後熟させています。

ひと口含むと、たしかにコーヒーを思わせるニュアンス。とはいえ、コーヒー感だけが前面に出るわけではありません。ピートのスモーキーさは控えめで、ロースト香とモルトの甘みがバランスよく重なり合っています。

“変わり種”に寄りすぎず、きちんとウイスキーとして成立している。
コーヒー樽の個性をうまく活かしながら、全体として調和させているあたりに、長濱らしさを感じました。

 

長浜蒸溜所のショップ|お土産は限定ハンドフィルボトル!

長浜蒸溜所にはショップも併設されています。
……というより、以前も触れましたが、とにかく蒸溜所自体がコンパクト。製造スペースもショップも、すべて同じ空間にぎゅっと集約されています。

なんと、マッシュタンのすぐ近くにお土産コーナー。
仕込み設備のすぐ横でボトルが並んでいる光景は、なかなか他では見られません(笑)

まさに“造り手との距離が近い”クラフトディスティラリー。
その空間で選ぶ一本は、きっと特別なお土産になります。

 

長浜浪漫ビール。

今回はウイスキーにフルベットしていたため、ビールは泣く泣く見送り。とはいえ、ここはもともとブルワリー。出来たてのクラフトビールも、きっと間違いないはずです。

次に訪れるときは、レストランで食事を楽しみながら、ゆっくりビールも味わってみたいですね。ウイスキーとビール、両方を堪能する“完全体”の長濱蒸留所体験を目指したいと思います(笑)

 

長浜蒸溜所限定のハンドフィルウイスキー。

この日は全部で3種類。アマハガンが2種類、そして長濱のシングルモルトが1種類というラインナップでした。蒸溜所ならではの特別感があります。

ボトルの価格は、上記画像の通り。
その場で樽から直接ボトリングしてもらえる体験込みと考えると、なかなか魅力的です。

 

選ぶなら当然、シングルモルト長濱でしょう!

 

シングルモルト長濱 KOVAL MAPLE CASK

シングルモルト長濱 KOVAL MAPLE CASK

  • アルコール度数:59.9%
  • 蒸留:2020.09.21
  • 瓶詰:2026.02.09
  • ボトルNO.:8450
  • タイプ:メープル
  • モルト:ノンピート

この「メープルカスク」は、アメリカ・シカゴのクラフト蒸溜所「KOVAL(コーヴァル)」で使用された樽。KOVALはバーボンだけでなく、ライやミレットなど多彩なアメリカンウイスキー、さらにはジンなどのスピリッツも手がける個性派の蒸溜所です。

おそらくこの樽は、「KOVAL ライ メープルシロップ カスクフィニッシュ」に使われたものではないかと思われます。
この商品は、いったんウイスキーを熟成させた樽をメープルシロップ会社に送り、メープルシロップの熟成に使用。その後、再びKOVALに戻し、ライウイスキーを後熟させるというユニークな工程を経たものです。

つまり、長濱のモルトが入る前の段階で、すでに
【KOVAL原酒 → メープルシロップ → 再びKOVAL原酒】
という履歴を持つ、かなり“ストーリー性のある樽”というわけです。

もっとも、長濱のモルトを詰めた時点では、メープルシロップの風味がそのままダイレクトに出るとは考えにくいでしょう。ただし、「メープルシロップ熟成に使用された樽」で熟成させたモルトウイスキー自体が極めて希少。こうした取り組みは、KOVALと長濱蒸溜所ならでは、と言ってもいいかもしれません。

なお、長濱蒸溜所は他にもKOVALの空樽を活用しており、アマハガンにも使用例があります。クラフト同士の繋がりが生み出す、こうしたユニークで実験的な樽使いも、長濱の大きな魅力のひとつです。

ハンドフィルは、蒸溜所でしか味わえない特別なボトリング体験。
目の前の樽から直接ボトルに詰めてもらう時間は、まさに訪れた人だけの特権。

今回はシングルモルトを選びましたが……正直なところ、アマハガンも買っておけばよかったと少し後悔しています(笑)

次に訪れる理由が、またひとつ増えてしまいました。

 

ハンドフィル以外にも、蒸溜所でないと手に入りにくいボトルがいくつもあります。訪れた際は、ぜひショップの棚をじっくりチェックしてみてください♪

とにかく限定ボトルの充実ぶりと、有料試飲のラインナップが圧倒的。見ているだけのつもりが、気づけばグラスを手に取り、レジへ……なんてことも。

お財布には、どうか余裕を持ってお出かけを(笑)。

 

長濱蒸溜所のレストランについて

長浜蒸溜所に併設されたレストランは、江戸時代の米蔵を改装した趣ある空間で楽しむビアホール&ダイニング。

地元・滋賀県産の食材をふんだんに使い、A4ランク以上の近江牛料理(ローストビーフ・ステーキなど)や、定番のソーセージ・フィッシュ&チップス、郷土の珍味『鮒ずし』など、多彩な料理を提供しています。

クラフトビールとウイスキーを味わいながら、ゆったりした席で、地元の味と存分に楽しめるレストランです。

 

長濱蒸留所のウイスキー|アマハガンとシングルモルトの各ラインアップ

「AMAHAGAN(アマハガン)」とは?

長濱蒸溜所の名を世界に知らしめた「AMAHAGAN(アマハガン)」。その名前が「NAGAHAMA」の逆読みであることは有名ですが、その中身にはクラフト蒸留所としての緻密な戦略と、妥協のない「モルトへのこだわり」が詰まっています。

アマハガンの最大の特徴は、グレーンウイスキーを一切使用していない「モルト100%」のウイスキーであること。(一部の銘柄にグレーンウイスキーの使用あり)

一般的なブレンデッドウイスキーは、飲みやすさを出すためにグレーンウイスキーを混ぜますが、アマハガンの定番ラインナップは、あくまで「ブレンデッドモルト」です。海外産の厳選されたモルト原酒と、長濱蒸留所のモルトのみをブレンド。

これは、自社原酒が熟成を待つ間の代用品という訳でなく、海外原酒の個性を長濱の個性が引き立て、まとめ上げる。この「調和(ブレンド)」こそが、AMAHAGANの核心と言えます。

ブレンドされたアマハガンの原酒は、そのままボトリングされるわけではありません。長濱の地で、さらに熟成(後熟)。熟成樽の種類は多彩で、ミズナラ、赤ワイン、シェリー、山桜、コーヒーカスクなど、短期間でも樽の個性を浸透できる使用となっています。

アマハガン ワールドモルト ベーシックブレンド(AMAHAGAN World Malt Basic Blend)

海外産のモルトをベースに長濱蒸溜所の原酒をブレンド。47度という高めの度数により、モルティな風味とオレンジチョコのようなフルーティーさ、バニラの甘みが複雑に絡み合う、飲み応えのあるスタンダードな一本。

アマハガン ワールドモルト レッドワインウッドフィニッシュ(Red Wine Wood Finish)

ベーシックブレンドをベースに赤ワイン樽で後熟。レーズンやベリーの風味と、長濱特有の穀物の甘みが絶妙に調和します。艶やかなレンガ色の外観と、ほどよい渋み、爽やかなオレンジピールの余韻が特徴です。

アマハガン ミズナラウッドフィニッシュ(Mizunara Wood Finish)

ベーシックブレンドをジャパニーズオーク(ミズナラ樽)で後熟。長濱モルトの甘い麦芽香が、ミズナラ由来の香木のニュアンスや香ばしい黒糖、ビターチョコのような豊かな余韻へと変化していく、芳醇な一本。

アマハガン ワールドモルト 山桜(World Malt YAMAZAKURA)

日本原産の山桜樽で後熟。長濱らしいモルティな甘みに、山桜由来の品のある甘く優しい香りが重なります。黒蜜のような華やかな甘さと、アフターに訪れる紅茶のような心地よい渋みが、麗らかな春を感じさせます。

アマハガン ワールドモルト ピーテッド スモーキーモルト(World Malt Peated Smoky Malt)

長濱の原酒に海外産のピートモルトとノンピートモルトをブレンド。焼きリンゴや桃のフルーティーな香りに、ハーブやピートスモーク、ヨード香が複雑に絡みます。きめ細やかなスモーキーさと、和三盆のようなほろ苦い余韻が魅力です。

アマハガン ウイスキー ハイボール 缶

「アマハガン」のモルト原酒を100%使用。糖類や香料は一切使わず、ウイスキー本来のモルティな甘みと華やかなアロマを、絶妙な炭酸のキレで引き立てています。

シングルモルト長濱

シングルモルト長濱 ザ・セブンス・バッチ

シングルモルト長濱 ザ・セブンス・バッチ

2019年から2022年に蒸留された個性豊かな原酒を厳選。4種の異なる樽をヴァッティングした、長濱蒸溜所のブレンディング技術が光る第7弾シングルモルト。レッドワイン樽とソーテルヌ樽の「2種のワイン樽」を主軸に、骨格を作るバーボン樽、そしてアクセントにアイラクォーター樽(ヘビリーピーテッド)をブレンド。

ダークチェリーやベリーの濃厚な甘みと、蜂蜜やアプリコットの華やかさが交差。バニラの甘みが全体を繋ぎ、最後は穏やかなスモーキーさとホワイトペッパーの刺激が心地よい奥行きを演出します。

シングルモルト長濱 ザ・シックス バッチ

シングルモルト長濱 ザ・シックス バッチ

2020年から2021年に蒸留された自社原酒のみを使用。希少なミズナラ樽の個性を最大限に引き出すべく、4種の異なる樽を緻密にヴァッティングした第6弾シングルモルト。2種のミズナラ樽(ファーストフィル・セカンドフィル)を軸に、バーボン樽とアイラクォーター樽をブレンド。

ミズナラ由来の力強いウッディさとシナモンのスパイス感に、白桃やオレンジの瑞々しいフルーティーさが重なります。バニラや蜂蜜の甘みをベースに、森林浴のような爽やかな余韻が全体を包み込みます。

 



 

まとめ

長濱蒸留所が教えてくれる「クラフトの真髄」

今回の訪問を通して感じた長濱蒸留所の魅力は、単に「日本最小級」という規模の珍しさだけではありません。実際に足を運び、その空気に触れて見えてきたポイントを整理します。

  • 「造り手との距離」が日本一近い
    マッシュタンのすぐ横でお土産を選び、蒸留器を眺めながら食事ができる環境は唯一無二。ウイスキーが「人の手で造られている」ことをこれほど肌で感じられる場所は他にありません。
  • 「ワールドモルト」から「シングルモルト」への美しい橋渡し
    世界中の原酒を長濱の技術で磨き上げる「AMAHAGAN」で基盤を作り、そこで培ったブレンディング技術を最新の「シングルモルト長濱」へと昇華させる。その一貫したストーリーが味わいの深みに繋がっています。
  • 挑戦を止めない「一醸一樽」の精神
    コーヒーカスクやメープルカスク、さらには廃校やトンネルでの熟成など、常識に囚われない実験的な試みが、訪れるたびに新しい発見を与えてくれます。

まだ長濱蒸留所を未体験の方は、ぜひ一歩目の「AMAHAGAN」から始めてみてください。その次はシングルモルト長濱を。そして、その背景にある物語が気になったなら、ぜひ北国街道を歩き、小さなクラフトディスティラリーに訪れてはどうでしょうか。

次は新幹線が遅延しないことを祈りつつ(笑)、私自身も、また長浜を再訪したいと思います♪

ユースケ
ユースケ

あなたの人生がウイスキーで幸せになることを願っています。最後までご覧頂きありがとうございました。それでは、また。

 

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この記事を書いた人
かきざきゆうすけ

柿﨑祐介(かきざきゆうすけ)
BAR WHITE OAK 店主。1985年生まれ。青森県出身。ウイスキーとワインをこよなく愛する。調理師専門学校を卒業後、パティシエ、料理人を経験。2011年からバーテンダーとして働く。2022年1月20日 東京・銀座にBAR WHITE OAK(バーホワイトオーク)をオープン。JSA認定ソムリエ。ウイスキー文化研究所認定ウイスキーエキスパート。Jr.野菜ソムリエ。ダビドフ認定シガーソムリエ。

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